説明

カッター工法を利用した防草構造

【課題】従来の、境界目地にコンリートカッターを用いて、雑草の屈光性に逆らう構造とした防草工法は、有益である半面、作業及び/又はコストの面、又は環境面等の多方面からおいて、更なる改良が望まれている。
【構成】構造物・構築物等の舗装、又は境界ブロックのあらゆる境界目地に、コンリートカッターで、雑草の屈光性に逆らう構造の略倒V字形の下向き切込み山形溝を切削するカッター工法を利用した防草構造で、境界目地の表面を頂点に下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削し、略倒V字形の下向き切込み山形溝を形成し、下向き切込み山形溝に挿入する相似形の略山形形状の防草板と、隙間に注入する接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物等の舗装、又は境界ブロックと、あらゆる面一等の境界目地から繁殖する雑草の防草効果を達成できるカッター工法を利用した防草構造に関する
【背景技術】
【0002】
従来、舗装道路(既設舗装道路)、車道及び歩道等の道路構造は、車道・歩道共、路側は境界コンクリートブロックを設置して、タイヤの脱輪防止と防草対策で通行車両の安全走行を考え設置してある。通行量の多い道路では、中央分離帯に(境界コンクリートブロックを設置ガードレールやフェンスを設置し、)路側に側溝を設置する。市街地の歩道には、舗装の変わりにインターロッキングを設置し、景観都市宣言をしている町もある。しかし、歩道の路側において、車道との境に設置された境界ブロックと舗装の間の垂直境界目地、又は側溝と舗装の間の境界目地(隙間境界目地)の各形態の境界目地(境界目地とする)から生えた雑草は、周知の如く、その草の根まで取ることができないため、一本生えると毎年増殖を続けるとともに、雑草の種類によっては枯れることがなく、誠に厄介であり、種々の問題を残すことが知られている。
【0003】
これら道路の舗装と境界コンクリートブロックは、材質(材料)による伸縮率の違いと、仮に同材質でも施工時期及び/又は気候等の外的要因による伸縮率の違いがあることから、経年すると、この境界目地には自然の原則で隙間や亀裂、割れ等が発生する。このような状況は、自然の摂理であり、また物理的には、接着した物は経年すれば、剥離することは当然である。この自然の摂理や、剥離した隙間に、風雨により運ばれた雑草の種子が入り込んだ状況や、又はこの隙間に残留した種子及び/又は根が残存する状況では、通常は、略1〜2年で雑草が発芽し、略4〜5年で雑草が繁殖する。殊に、舗装の境界目地から顔を出した光合性の雑草は、屈地性の性質で、その根は、重力を感知し路盤からの水を求めて下に伸び、屈光性の性質で、その芽は、太陽に向かって上に伸びる。従って、環境とのマッチングで、雑草の繁殖の程度は凄まじい。
【0004】
前述した雑草の繁殖が問題となるのは、殊に、道路の場合は、通行車両の雑草で覆われ、走行が妨害されている状況である。例えば、市街地の歩道において、各種事故、交通障害等の不慮の事故、また雑草によるお年寄りの転倒、怪我などアクシデントが危惧される。そして現実にこの様な由々しき状態が、毎年増えている状況である。従って、歩道の境界目地から生えた雑草、中央分離帯の境界目地から生えた雑草等の雑草の処理が大切であり、また一方で、この雑草の処理(撲滅)に難渋し、かつ大変に苦労しているのが現況である。
【0005】
尚、この境界目地の中に残存する雑草の根元までは取り除く事が不可能であることと、またこの境界目地から生えた雑草の根は、屈地性と引力とで路盤の水を求めて下に伸びる。従って、一度雑草が境界目地に生えると、この雑草は毎年繁殖し続けることになり、その背丈が、順次伸びて、人を隠すまで繁殖する。
【0006】
一方、新設道路であっても、舗装の下の路盤には、周知の如く、地下茎や残根が存在する場合が多いので、雑草の繁殖が問題となる。この問題を解決するための方策が、雑草の刈取、除草剤の散布、その他の防草手段を採用することである。処で、昨今の道路では、予算の節約で改良路盤(再生路盤)が多く、残根や種子を無くすことができないのが現況である。そして、この改良路盤において、無数の種子や残根が残っている限り、この種子等が、適当な条件が整った段階で、発芽して、ミクロの隙間を探し境界目地から顔を出して、光合成の性質(屈光性)を生かし、太陽の恵みを受けて成長し、猛烈に繁殖し続けるので、前述の状況では、境界目地から出た雑草の除去及び又は繁殖を完全に防止するのは不可能である。そして、また、この境界目地から発芽した雑草は、毎年の刈取り(草刈り)に莫大な費用が掛かり、かつ毎年増え続けるので、極めて不経済である。
【0007】
そして、この種の雑草除去方法として、従来から行われている簡便な方法は、除草剤の散布がある。これはあくまで一時的であって恒久的ではないので、この境界目地が存在する限り、雑草の刈取り(除去)及び/又は繁殖を止めることは不可能である。処で、前記除草剤の多用は、コストの上昇・環境・人畜・土壌等に対する悪影響と、環境破壊があり、問題であるとともに、その対策が緊急に必要となる状況である。
【0008】
また他の雑草除去方法としては、舗装を掘削して、雑草を除去し、舗装の打ち直しをする方法もあるが、路盤まで新しく構築すること、また境界目地内の残根や種子を無くすことはできず、結局、1〜2年で雑草が生えどんどん繁殖を続けるのが現状である。その他の雑草除去方法(境界目地からの雑草の防草対策)として、一例を説明すると、鉄板やゴム板、アスファルト等を用いて境界目地を物理的に接着、遮断する防草方法を採用してきた。しかし、この防草方法では、異物同士の接着による境界目地となり物理的に接着したものは、経年的に、剥離し、境界目地が発生する(隙間ができる)。殊に、道路等において、その交通量が激しい箇所、又は振動が激しい箇所では、境界目地の剥離が早くなり、雑草が多く繁殖している所が多いのが現況であり、その対策が要望されている。尚、防草の古来の方法(原始的な方法)及び/又簡便な方法として、例えば、手作業による草刈方法、また草刈機使用による草刈方法等がある。しかし、この例の中で、草刈機では、境界目地部分の草刈はコンクリートに刃が当たり非常に危険である。またこの草刈機では、稼動に伴って、排気ガス及び/又は騒音の発生と、地球環境破壊に繋がり好ましいことではない。
【0009】
上記に鑑み、本出願人は、この種の境界目地を物理的に遮断するのではなく、雑草の光合成の性質(屈光性・屈地性)を利用して境界目地となる部分を変形した構造とし、植物の性質のポイントである芽の屈光性に逆らう構造を採用し、雑草の自然な性質を利用し、雑草の成長を確実に止め得る(防草効果が達成できる)構造を、提唱し、かつこれに関する複数の特許出願をする。そして、この構造の一部は、現場において、実証の段階に到っている。尚、この防草効果が図れる先行文献が、一部で知られているので、その一例を、以下に列挙する。
【0010】
文献(1)は、特開2004−169544の「防草等を意図した構造物の構造と構造物と構造物の防草等の工法」又は特開2006−52626の「防草等を意図した構造物用の型枠と、この型枠利用の構造物と、同様な効果を有する防草等を意図したブロック」がある。この文献(1)は、防草ブロックの設置、又はコンクリートの現場打ち(打ち換え)等において防草型枠を使用し、簡単で安価に設置することが可能である。しかし、道路(既設)において特に維持管理部門における工事で、境界ブロック(既設)を取換えには、ハツリ作業とコンクリートの打設等の作業を要し、本来の舗装と同じ手間を要する作業と、膨大な費用等が必要で、実際の施工には困難性がある。そして、本発明が意図する境界目地に設けた、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝を有さない構造である。
【0011】
文献(2)は、特開平7−3719号の「路面切断方法」がある。この文献(2)は、アスファルト舗装道路に垂直視して断面が略四角形の浅い溝と、この浅い溝の底部隅より路面上方に向かって傾斜した切断溝を切るロードカッターの切断方法であり、道路の工事によって発生する新旧アスファルトの隣接部分の接着を確実に強固にすること、又は切断カッターに無理な力が一時的にかからないこと等を意図した構造であり、本発明のような防草対策ではない。その他の本発明との相違点は、前述の文献(1)と同様である。
【0012】
文献(3)は、特開2000−144628の「コンクリートカッターによる路面傾斜切断方法」がある。この文献(3)は、舗装水平面を一次基準にし、この一次基準の舗装水平面に対して、二次基準の垂直方向から両面側に向かって傾斜させたカッター刃を回転させて、傾斜面を成形する単純な構成である。即ち、この文献(3)は、傾斜切断を意図したカッター構造の発明であって、単に、斜め切りだけの発明である。従って、本発明が意図する防草効果を図るカッター工法(境界目地に設けた、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝)とは、全く異なる。
【0013】
文献(4)は、特開平11−303040号の「目地などの隙間の防草構造」がある。この文献(4)は、コンクリートブロック等と舗装材が接する界面の隙間の表面を、弾力性・接着力を有する資材で密着状態に接着して覆う構成の防草構造で、コンクリートブロック等と舗装材とが接する隙間に生える雑草を防ぐことを意図する。従って、本発明が意図する防草効果を図るカッター工法とは、全く異なる。また、この文献(4)の目地には、雑草の性質である屈光性に逆らうことのできる略倒V字形の下向き切込み山形溝を有さない構造であり、前述の如く、経年による振動等で隙間が発生すると、防草効果は非常に少ないと考えられる。
【0014】
文献(5)は、特開2006−241970の「既設コンクリート、又はアスファルト等構造物・構築物の防草効果達成用の切断方法と、この既設コンクリート、又はアスファルト等構造物・構築物の防草方法」がある。この文献(5)は、既設コンクリート、又はアスファルト等の構造物・構築物に、カッターを利用して防草を図り、傾斜面の切込みを介して、所定の箇所に、凹部を形成し、この凹部に充填材を充填し、新設コンクリート、又は、既設アスファルト等構造物・構築物を構築する既設コンクリート、又はアスファルト等の構造物・構築物の防草方法である。よって、既設コンクリート、又は、アスファルト等構造物・構築物の一部の打ち換えで防草を図ることを意図する。
【0015】
【特許文献1】特開2004−169544
【特許文献2】特開平7−3719号
【特許文献3】特開2000−144628
【特許文献4】特開平11−303040号
【特許文献5】特開2006−241970
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記文献(1)は、新設のブロック等を利用した防草工法であり、本発明が意図する目的との相違点ある。例えば、コンクリート、又はアスファルト等の構造物・構築物に僅かな工夫と、簡便な作業を介して、防草効果を達成する構造物と、防草工法であるが、境界ブロック(分離帯ブロック、街渠ブロック等を含む)の防草用凹部を設ける構造及び/又は工法と、この境界ブロックを取換えず行なう型枠工法であり、それなりの防草効果は期待できる。しかし、構造が複雑化すること、作業及び/又はコストの面で改良が望まれる。そして、また、文献(1)は、本発明が意図する境界目地に、雑草の屈光性と屈地性に逆らうことのできる略倒V字形の下向き切込み山形溝を成形する構造とは、構造の相違が顕著である。さらに、文献(1)は、本発明が意図する防草効果を図るためにコンクリート、又はアスファルト等の構造物・構築物(既設)において、その境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造とは相違する。
【0017】
また文献(2)は、新アスファルトの埋め戻しに有効なカット方法の提供と、また路面のカット方法に最適な傾斜する切断を可能とした方法を提供すること等にある。従って、本発明が意図する境界目地に、雑草の屈光性と屈地性に逆らうことのできる略倒V字形の下向き切込み山形溝を成形し、防草効果を図ること、また境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造とは相違する。
【0018】
文献(3)の発明では、舗装水平面を一次基準にし、この一次基準の舗装水平面に対して、二次基準の垂直方向から両側に向かって、傾斜させたカッター刃を回転させて、傾斜面を成型する構成である。従って、切削屑の排出には有効である。しかし、この文献(3)は、前述の如く、本発明が意図する、境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造とは相違する。
【0019】
文献(4)の発明は、境界目地等の隙間の上から貼る防草シールであり、異物同士の接着の困難性と、その伸縮率も違うので、経年により、この接着部が剥離し、隙間ができること、またコンクリートと壁面の境目に垂直隙間が発生すること等があり、防草手段としては適切でないと考えられる。そして、この文献(4)は、前述の如く、本発明が意図する、境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造とは相違する。
【0020】
文献(5)の発明は、光合成植物、雑草の性質の屈光性と屈地性に逆らう下向き合体溝を作り、防草効果を確実に上げられる画期的な工法であって、構造物・構築物、例えば、道路の場合は歩道の歩車境界ブロックと舗装の間の境界目地から雑草の発芽を防ぐ為に、ブロック側と舗装側の両表面の略10cm〜略15cm幅を、カッターで切込みし、これを撤去する工法である。従って、舗装とブロックの廃棄ごみの処分と、凹部分の舗装の復旧に材料と手間が掛る問題がある。また文献(5)は、前述の如く、本発明が意図する、境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造とは相違する。
【0021】
上記に鑑み本発明は、これらの実証と、提出済の発明に関し、さらに改良し、コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物等を構成する舗装、又は境界ブロックを取換えずに設置したままで、この境界ブロックの境界目地に雑草の屈光性に逆らうことのできる略倒V字形の下向き切込み山形溝を作る工法、即ち、技術分野で説明した如く、構造物・構築物等の既設コンクリート又は、アスファルト等の境界目地から出た雑草の防草効果を達成できるカッター工法を利用した防草構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1の発明は、本出願人の経験則を基にした発明であり、その基本原則は、道路等の場合において、ほとんどの雑草は境界目地から、一番始めに芽を出すことが知見されていることである。そして、この道路の場合は、舗装面に比べ、境界目地部分に、直線、垂直方向において、ミクロの隙間があれば、上方の隙間から、風雨とともに種子が流入することと、太陽に最短距離のために、前述の如く、短期間に発芽することが多い。また舗装の下では、路盤の残根種子が発芽することが多い。これらの二つの状況が主な原因であるので、本発明によれば、一般的には舗装及び/又は舗装面からは、発芽せず、また舗装の転圧不良等の軟弱な部分でも、植物(雑草)にとってよほどの好条件でも、隙間が垂直でないので、まれにしか雑草は顔を出せないこと、並びに芽を出しても長い期間(時間)が掛かることが分かった。このような経験則から、一般的な目地においては、ほとんど始めに垂直な目地部分から1本の芽が出ると、太陽の恵みを受けて何倍かに成長し、また周辺の芽が、太陽の恵みを受けて急速に成長する等、全ての芽が、猛烈に伸びて短期間に繁殖し、この繁殖に引きずられて、舗装の軟弱な部分からも、芽が顔を出す状況となるのが通常である。このような状況に鑑み、本発明は、健全な舗装には、傷つけることなく、この境界目地からの防草効果を図るための、略倒V字形の下向き切込み山形溝を備えたカッター工法を利用した防草構造(即ち、境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造)の提供と、また健全な舗装に傷を付けず、かつ無駄をなくすこと等を意図する。そして、またこの請求項1の発明は、略山形形状の防草板を有効に利用し、かつ舗装材・ブロック等の廃材を、略0(0は、ゼロである)とすること、又は手間を掛けず、かつ簡便で安価な、しかも環境に優しい、雑草の防草対策ができ、美観に影響のない、優れた境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造を提案する。
【0023】
請求項1は、コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物等を構成する舗装、又は境界ブロックの境界目地に、コンリートカッターを介して、雑草の屈光性に逆らう構造の略倒V字形の下向き切込み山形溝を切削するカッター工法を利用した防草構造であって、
この境界目地の表面を頂点に、下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削して形成される略倒V字形の下向き切込み山形溝と、
この略倒V字形の下向き切込み山形溝に挿入される、相似形の略山形形状の防草板と、
この略倒V字形の下向き切込み山形溝と、この略山形形状の防草板との隙間に注入する、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤と、で構成したカッター工法を利用した防草構造である。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な舗装の構造と、略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案すること等を意図する。
【0025】
請求項2は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記舗装の厚さが略3cm〜略4cmとなった場合の規制の構造において、前記略倒V字形の下向き切込み山形溝を、表面から、少なくとも略2cmの下向きの深さに切削し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案すること等を意図する。
【0027】
請求項3は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝は、基点から略45°の傾斜を確保し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な舗装の構造と、略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案すること等を意図する。
【0029】
請求項4は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝で形成した屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝を、前記境界目地の表面を頂点に(0点にし)、この目地の対峙方向に前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削する構造とし、この舗装、又は境界ブロックからの廃材を、略0とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明は、コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物等を構成する舗装、又は境界ブロックの境界目地に、コンリートカッターを介して、雑草の屈光性に逆らう構造の略倒V字形の下向き切込み山形溝を切削するカッター工法を利用した防草構造であって、
境界目地の表面を頂点に、下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削して形成される略倒V字形の下向き切込み山形溝と、
略倒V字形の下向き切込み山形溝に挿入される、相似形の略山形形状の防草板と、
略倒V字形の下向き切込み山形溝と、略山形形状の防草板との隙間に注入する、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤と、で構成したカッター工法を利用した防草構造である。
【0031】
従って、請求項1は、本出願人の経験則を基にした発明であり、その基本原則は、道路等の場合において、ほとんどの雑草は境界目地から、一番始めに芽を出すことが知見ていることである。そして、この道路の場合は、舗装面に比べ、境界目地部分に、直線、垂直方向において、ミクロの隙間があれば、上方の隙間から、風雨とともに種子が流入することと、太陽に最短距離のために、前述の如く、短期間に発芽することが多い。また舗装の下では、路盤の残根種子が発芽することが多い。これらの二つの状況が主な原因であるので、本発明によれば、一般的には舗装及び/又は舗装面からは、発芽せず、また舗装の転圧不良等の軟弱な部分でも、植物(雑草)にとってよほどの好条件でも、隙間が垂直でないので、まれにしか雑草は顔を出せないこと、並びに芽を出しても長い期間(時間)が掛かることが分かった。このような経験則から、一般的な目地においては、ほとんど始めに垂直な目地部分から1本の芽が出ると、太陽の恵みを受けて何倍かに成長し、また周辺の芽が、太陽の恵みを受けて急速に成長する等、この全ての芽が、猛烈に伸びて短期間に繁殖し、この繁殖に引きずられて、舗装の軟弱な部分からも、芽が顔を出す状況となるのが通常である。このような状況に鑑み、本発明は、健全な舗装には、傷つけることなく、この境界目地からの防草効果を図るための、略倒V字形の下向き切込み山形溝を備えたカッター工法を利用した防草構造を提供すること、また健全な舗装に傷を付けず、かつ無駄がなくなること等の特徴を有する。そして、またこの請求項1は、略山形形状の防草板を有効に利用し、かつ舗装材・ブロック等の廃材を、略0とすること、又は手間を掛けず、かつ簡便で安価な、しかも環境に優しい、雑草の防草対策ができ、美観に影響のない、優れた境界目地からの防草効果を図るカッター工法を利用した防草構造を提案できる。
【0032】
請求項2の発明は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
舗装の厚さが略3cm〜略4cmとなった場合の規制の構造において、略倒V字形の下向き切込み山形溝を、表面から、少なくとも略2cmの下向きの深さに切削し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【0033】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な舗装の構造と、略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項3の発明は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝は、基点から略45°の傾斜を確保し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【0035】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項4の発明は、請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝で形成した屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝を、前記境界目地の表面を頂点に(0点にし)、目地の対峙方向に下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削する構造とし、舗装、又は境界ブロックからの廃材を、略0とする構成としたカッター工法を利用した防草構造である。
【0037】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な舗装の構造と、略倒V字形の下向き切込み山形溝の構造を提案できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
舗装1(既設舗装)と境界ブロック2(既設境界ブロック)とで構成されたコンクリート(既設コンクリート)又は、アスファルト(既設アスファルト)等構造物・構築物Aにおいて、防草カッターを使い、雑草の屈光性に逆らえる略倒V字形の下向き切込み山形溝7を作るカッター工法を利用した防草構造を説明する。そして、この切込みの順番は一例であり、この例に限定されない。また、境界ブロック2は、ブロックの一例であり、他の例として、あらゆる構造物、構築物の面一等の境界目地(面一等の目地)や、分離帯ブロック、又は街梁ブロック等における面一等の境界目地も考えられる。
【0039】
図1〜図8は、面一3bでなる舗装1と境界ブロック2の境界目地3の表面3aを基点として、下向き第一傾斜切込み溝5と、下向き第二傾斜切込み溝6によって略倒V字形の下向き切込み山形溝7(下側逆三角の切込み)を形成する請求項1に記載の実施例の一例である。以下、実施例の一例を図1〜図8に基づいて説明する。
【0040】
実施例の一例の施工前のコンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物Aを図示したものが図1である。
【0041】
まず図2のように、面一3bでなる舗装1、又は境界ブロック2の境界目地3の表面3aを頂点3a−1として、境界ブロック2側より舗装1側に向かって、斜めに第一の切込みを入れて、下向き第一傾斜切込み溝5を形成する。この下向き第一傾斜切込み溝5(第一の切込み)の深さは、コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物Aの地中内の厚さが、舗装の厚さが略3cm〜4cm(一般歩道)の場合であることを考慮し、この切込み深さは、略2cm〜略3cmとし、屈光性が確保できる長さとする。そして、前記下向き第一傾斜切込み溝5の切込み角度を、略45°とし、屈光性が確保できる角度とする。また地中内の厚さが、舗装の厚さが略5cm〜略6cm(高速道路中央分離帯)の場合では、前記切込み深さは、舗装の厚さの半分程度とする。その他は前述及び/又は後述する一般歩道に準ずる。
【0042】
次に図3のように、舗装1と境界ブロック2が面一3bとなった構造で、この舗装1と境界ブロック2でなる境界目地3の表面3aを頂点3a−1として、舗装1側より境界ブロック2側に向かって、斜めに第二の切込みを入れて、下向き第二傾斜切込み溝6を形成する。この下向き第二傾斜切込み溝6の切込み深さ、切込み角度は、前述の下向き第一傾斜切込み溝5に準ずる。この頂点3a−1を略倒V字形の下向き切込み山形溝7の基点(頂点)とすることで、境界目地3を利用できることと、これにより、カッターの切込みが簡易であり、作業の迅速化、安全性の向上と、又廃材の発生を0とすること、また美観に影響のない(施工終了後に目立たない)こと等に有効である。そして、これらの効果を踏まえて、騒音の発生を抑制し、また排気ガスの減少化と、地球環境の維持に有効である。
【0043】
前述した構造を採用することで、下向き第一傾斜切込み溝5と下向き第二傾斜切込み溝6により略倒V字形の下向き切込み山形溝7が成形され、断面視すると下側逆三角形の切込み(下向き切込み山形合体溝)が形成される(図4参照)。尚、前述した請求項2の如く、舗装の厚さが略3cm〜略4cmとなった規制の構造においては、舗装1が薄いため、下向き第一傾斜切込み溝5と、下向き第二傾斜切込み溝6(以下、下向き第一傾斜切込み溝5とする)の先端部5a、6a(以下、先端部5aとする)は、舗装1の底部1aに達しない構造とすることが望ましい(必要である)。その主たる理由は、この下向き第一傾斜切込み溝5の先端部5aが舗装1の底部1aにまで達した状況や、この状況及び/又は底部1aに付随して、ひび割れが発生した場合において、例えば、この舗装1と路盤4との境に、種子があった場合は、ひび割れや、この下向き第一傾斜切込み溝5を介して、雑草の芽が伸びる虞がある。従って、本発明は、この下向き第一傾斜切込み溝5の先端部5aが舗装1の底部1a、又は底部1aの近傍、並びに路盤4に絶対に達しない構造とする。また他の理由としては、この切込み深さを、略2cm〜略3cmとすることで、この舗装1の底部1aに発生するひび割れを、略無くし得ることである。そして、この結果、前述の如く、ひび割れに起因する弊害を解消できるので、有益である。但し、この底部1a、又は底部1aの近傍に達した状況でも、例えば、空練り工法を採用した場合には、雑草が伸びを抑制できることも事実である。
【0044】
そして、図5のように、略倒V字形の下向き切込み山形溝7に略山形形状(相似形状)の防草板8を挿入し、略山形形状の防草板8と、略倒V字形の下向き切込み山形溝7とで形成される隙間9に、例えば、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤11(充填材)を注入するか、場合により、空練り工法を採用する。尚、この略山形形状の防草板8の材質は、例えば、耐腐食性と耐久性を有し、害のない材質であることが望ましいが、金属又は複合材を用いた材質であっても略山形形状の防草板8の効果を奏することができればよい。この略山形形状の防草板8と略倒V字形の下向き切込み山形溝7とで形成される隙間9に、接着材、又は接着力の強い乳剤等の充填剤11を注入すると、この充填剤11は、略山形形状の防草板8と略倒V字形の下向き切込み山形溝7との間に、略万遍なく装填される。これによって、隙間9の上部、又は略全ての方向から、例えば、雨水、風、虫等で運ばれる雑草の種子の流入及び/又は侵入を防ぐことができる。そして、この略山形形状の防草板8を装着する状況では、隙間9の下側(裏側)には、隙間90が形成されることが間々ある。(図7,図8参照)そして、この隙間90には、充填剤11が、確実に装填されない場合もあり、この隙間90の一部、及び全部が空いていても、幸いなことに、この隙間90からは雑草の芽は成長せず(屈光性に逆らうため)、この略山形形状の防草板8の上側(表側)に形成された隙間9までは育たない。従って、この隙間90の発生は、原則として、雑草の繁殖には問題とならない。このように、この略山形形状の防草板8の下側に隙間90が形成されていても(空いていても)、前述の如く、雑草の性質、屈光性に逆らう誘導路であるので、防草効果はなくならない。そして、前記隙間90の発生要因は、たとえば、略山形形状の防草板8と略倒V字形の下向き切込み山形溝7とで形成される隙間9に略山形形状の防草板8を挿入し、続いて、充填剤11を、充填する際に、この隙間9に在留する空気の逃げ場がなく、空気が溜まる。この空気が邪魔し、前記隙間90が発生することが考えられる。尚、この構造は、図示しないが、境界目地3に垂直にカッターを入れて、垂直溝を構成する例では、垂直溝の下端に空気溜りが発生し易く、ひび割れの発生や、種子の芽が成長する空間となり、問題となる。
【0045】
また、略山形形状の防草板8が可撓性の素材の場合、この略山形形状の防草板8の両自由端側の開きを、略倒V字形の下向き切込み山形溝7の開きより大きくし、この両自由端側を絞り込んで、この略倒V字形の下向き切込み山形溝7(下向き第一傾斜切込み溝5・下向き第二傾斜切込み溝6)に挿入する。この挿入の際に、山形形状の両自由端側を縮めて、下向き第一傾斜切込み溝5・下向き第二傾斜切込み溝6に挿入すると、略山形形状の防草板8の反発力で、この略山形形状の防草板8を、略倒V字形の下向き切込み山形溝7内に安定的、かつ強固に定着される。尚、略山形形状の防草板8の両自由端側に、切込みを設けることで、接着材、又は接着力の強い充填剤11の注入が容易となること、また反発力で、略倒V字形の下向き切込み山形溝7に定着した場合にも、接着材、又は接着力の強い充填剤11の注入に極めて有益である。そして、また、前記略山形形状の防草板8の両自由端側の開きを、略倒V字形の下向き切込み山形溝7の開きより小さくし、この両自由端側を拡開して挿入する構造も可能であり、その作業と特徴は、略前述の例に準ずる。
【0046】
そして、図6のように境界ブロック2側、舗装1側からのカッターによる切込みによる下向き第一傾斜切込み溝5・下向き第二傾斜切込み溝6の略倒V字形の下向き切込み山形溝7に、略山形形状の防草板8の挿入と、接着材、又は接着力の強い乳剤等の充填剤11を注入する作業で、仕上げのコンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物Aが完成し、防草対策が簡単にできる。そして、また、接着材、又は接着力の強い乳剤等の充填剤11を注入する作業の代替として、例えば、空練り工法を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例の一例の施工前の舗装と境界ブロックとでなる既設コンクリート、又はアスファルト等構造物・構築物を示す断面図である。
【図2】舗装と境界ブロックの間の境界目地を軸に境界ブロック側から舗装側に向かってカッターで斜めに第一の切込みを入れ、下向き第一傾斜切込み溝を形成した状態を示す断面図である。
【図3】舗装と境界ブロックの間の境界目地を軸に舗装側より境界ブロック側に向かってカッターで斜めに第二の切込みを入れ、下向き第二傾斜切込み溝を形成した状態を示す断面図である。
【図4】下向き第一傾斜切込み溝と下向き第二傾斜切込み溝を断面視して、舗装と境界ブロックが面一で、舗装又は境界ブロックの境界目地の表面を基点にして、略倒V字形の下向き切込み山形溝が形成された状態を示す断面図である。
【図5】略倒V字形の下向き切込み山形溝に略山形形状の防草板を挿入し、略山形形状の防草板の上、頂点から接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤を注入した状態を示す断面図である。
【図6】略倒V字形の下向き切込み山形溝に略山形形状の防草板を挿入し、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤を注入した後に仕上げのコンクリート、又はアスファルト等構造物・構築物が完成した状態を示す断面図である。
【図7】略倒V字形の下向き切込み山形溝に略山形形状の防草板を挿入し、略山形形状の防草板の上、頂点から接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤を注入した状態であって、略山形形状の防草板の裏側に、充填材が充填されなかった隙間が形成されたことを示す断面図である。
【図8】略倒V字形の下向き切込み山形溝に略山形形状の防草板を挿入し、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤を注入した後に仕上げのコンクリート、又はアスファルト等構造物・構築物が完成した状態であって、略山形形状の防草板の裏側に、充填材が充填されなかった隙間が形成されたことを示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 舗装
1a 底部
2 境界ブロック
3 境界目地
3a 表面
3a−1 頂点
3b 面一
4 路盤
5 下向き第一傾斜切込み溝
5a 先端部
6 下向き第二傾斜切込み溝
6a 先端部
7 略倒V字形の下向き切込み山形溝
8 略山形形状の防草板
9 隙間
90 隙間
11 接着材、又は接着力の強い乳剤等の充填剤
A コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート又は、アスファルト等構造物・構築物等を構成する舗装、又は境界ブロックの境界目地に、コンリートカッターを介して、雑草の屈光性に逆らう構造の略倒V字形の下向き切込み山形溝を切削するカッター工法を利用した防草構造であって、
この境界目地の表面を頂点に、下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削して形成される略倒V字形の下向き切込み山形溝と、
この略倒V字形の下向き切込み山形溝に挿入される、相似形の略山形形状の防草板と、
この略倒V字形の下向き切込み山形溝と、この略山形形状の防草板との隙間に注入する、接着剤、又は接着力の強い乳剤等の充填剤と、で構成したカッター工法を利用した防草構造。
【請求項2】
請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記舗装の厚さが略3cm〜略4cmとなった場合の規制の構造において、前記略倒V字形の下向き切込み山形溝を、表面から、少なくとも略2cmの下向きの深さに切削し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造。
【請求項3】
請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝は、基点から略45°の傾斜を確保し、屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝とする構成としたカッター工法を利用した防草構造。
【請求項4】
請求項1に記載のカッター工法を利用した防草構造であって、
前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝で形成した屈光性に逆らう略倒V字形の下向き切込み山形溝を、前記境界目地の表面を頂点に(0点にし)、この目地の対峙方向に前記下向き第一傾斜切込み溝及び下向き第二傾斜切込み溝を切削する構造とし、この舗装、又は境界ブロックからの廃材を、略0とする構成としたカッター工法を利用した防草構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−255771(P2008−255771A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275616(P2007−275616)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(591110012)
【出願人】(396020202)
【Fターム(参考)】