説明

カッター機構付き印刷装置

【課題】パーシャルカットされて繋がったままの連続用紙の用紙端が固定刃付近の可動刃突入領域に入り込んでしまう問題をより確実に防止できるようにする。
【解決手段】記録紙100の切断時に可動刃13が固定刃12と圧接しながら摺動する可動刃突入領域に可動式のBFガイド30を設けることにより、非切断時には可動刃突入領域がBFガイド30により塞がれるようにして、バックフィードされた下流側連結記録紙101の用紙端が可動刃突入領域に入り込んでしまう問題を解消できるようにする。また、バックフィード動作の前にいったんフォワードフィード動作を行うことにより、バックフィード開始の際には下流側連結記録紙101の用紙端が固定刃12から離された状態となるようにして、下流側連結記録紙101の用紙端が固定刃12に引っ掛かってしまう不都合をより確実に防止できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッター機構付き印刷装置に関し、特に、ロール状の記録紙を切断する際に一部を切り残すパーシャルカット機能を搭載した印刷装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のカッター機構付き印刷装置の構成例を示す図である。図10に示すように、ロール状の記録紙100は、印刷機構のサーマルヘッド10と、紙送り機構のプラテンローラ11との間に通される。サーマルヘッド10で印刷された記録紙100は、カッター機構の固定刃12と可動刃13との間を通り、フロントカバー14とリアカバー15との間の排出口16から外部へ排出するようにプラテンローラ11により搬送される。このとき、搬送長が所定の長さになるとプラテンローラ11による記録紙100の搬送が停止されるとともに、サーマルヘッド10での印刷が停止され、記録紙100がカッター機構により切断される。記録紙100の切断は、カッター駆動装置17が可動刃13を固定刃12の方向に摺動させ、可動刃13と固定刃12とで記録紙100を挟むことによって行われる。
【0003】
ところで、記録紙100の切断方法として、記録紙100を完全に切断するフルカット機能に加えて、一部を切り残すパーシャルカット機能を搭載した印刷装置が存在する。この種の印刷装置では、可動刃13は、刃先がV字形になっており、記録紙100を挟んで対向する位置にある固定刃12に向かって移動し、固定刃12と圧接しながら摺動する。その結果、記録紙100は幅方向の両端から中央に向かって順次切断される。パーシャルカットは、可動刃13の中央部分のV字端が固定刃12に到達する直前に可動刃13の摺動を停止させることによって行う(この場合は、記録紙100の幅方向の中央付近が切り残される)。このような構成のカッター機構では、固定刃12の上で摺動する可動刃13が収まるための可動刃突入領域18が、可動刃13の幅以上(記録紙100の幅以上)に渡って形成されている。
【0004】
記録紙100をパーシャルカットした場合、次に印刷する印刷装置内の記録紙100は、排出口16より外側に排出された印刷装置外の記録紙(以下、「下流側連結記録紙101」という)と部分的に繋がった状態になっている。したがって、下流側連結記録紙101をオペレータが取り除かない限り、下流側連結記録紙101が部分的に繋がったままの状態で次の記録紙100への印刷が行われることになる。以下、部分的に繋がった状態の記録紙100と下流側連結記録紙101とを「連続用紙」という。
【0005】
ここで、次に印刷する記録紙100の用紙先端はカッター機構の位置(固定刃12の位置)にあるため、その状態のまま続けて次の印刷を行うと、サーマルヘッド10から固定刃12までの距離の分だけ記録紙100の先頭に無駄な余白ができてしまう。記録紙100の無駄な余白を少なくするためには、次の印刷開始前に、プラテンローラ11を逆回転させて、記録紙100を後方(搬送方向上流側)に逆送りする必要がある(以下、この方向の搬送を「バックフィード」という)。図10は、記録紙100を所定量バックフィードした状態を示している。
【0006】
ところが、記録紙100のバックフィードを行うと、直前に印刷され繋がったままの下流側連結記録紙101も一緒にバックフィードされる。このとき、バックフィードされた下流側連結記録紙101の切断部分が可動刃突入領域18に入り込んで、下流側連結記録紙101の用紙端が折れてしまうことがあった。また、下流側連結記録紙101が可動刃突入領域18に引っ掛かって記録紙100と下流側連結記録紙101との連結部分である切り残し部分が引きちぎられてしまったり、下流側連結記録紙101が蛇腹状に折り畳まれ、紙詰まりを起こしてしまうこともあった。
【0007】
これに対して、パーシャルカットされた連続用紙の浮き上がりを制限するための球体を固定刃の搬送方向下流側に設けることにより、連続用紙の破損を防止できるようにしたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載のプリンタによれば、連続用紙をバックフィードさせるときに、カット部の台紙が捲れて固定刃に引っ掛かることがなく、連続用紙を破損させることがないとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−335315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、パーシャルカットされた下流側連結記録紙101が可動刃突入領域18に入り込んで折れてしまったり、記録紙100と下流側連結記録紙101との連結部分である切り残し部分が引きちぎられてしまったり、下流側連結記録紙101が蛇腹状に折り畳まれて紙詰まりを起こしてしまったりする問題を完全には解消することができない。すなわち、球体と固定刃との間に大きな隙間および段差があるため、記録紙100としてカールの大きい小径ロール紙を使用する場合や、低温や高温高湿といった環境に放置されることによって記録紙100が変形している場合などでは、バックフィード時に下流側連結記録紙101の用紙端が可動刃突入領域18に入り込んだり引っ掛かったりしてしまう可能性は高い。
【0010】
また、運よく用紙端が可動刃突入領域18に引っ掛かることなくバックフィードできたとしても、次の印刷の際に記録紙100をプラテンローラ11により前方(搬送方向下流側)に搬送する(以下、この方向の搬送を「フォワードフィード」という)際に、記録紙100の用紙端が可動刃突入領域18に入り込んで紙詰まりを起こしてしまうこともある。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、パーシャルカットされて下流側連結記録紙が繋がったままの連続用紙をバックフィードする際、もしくはバックフィード後にフォワードフィードする際に、用紙端が可動刃突入領域に入り込んで折れてしまったり切り残し部分が引きちぎられてしまったり紙詰まりを起こしてしまったりする不都合をより確実に防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、搬送路に搬送されたロール状の記録紙の切断時に可動刃が突入する領域に、可動式の経路構成部材を設ける。この経路構成部材は、記録紙の非切断時は固定刃の刃先よりも搬送路側に突出する突出部により記録紙の搬送経路を構成するとともに、切断時は搬送路とは反対側に退避する。また、記録紙の切断後から印刷開始前に、記録紙を搬送方向下流側に第1の所定量だけフォワードフィードさせた後、記録紙を搬送方向上流側に第2の所定量だけバックフィードさせる。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、パーシャルカットされた下流側連結記録紙と次に印刷すべき記録紙とが繋がった状態で記録紙(連続用紙)のバックフィードが行われる際には、経路構成部材の突出部が搬送路側に突出した状態で可動刃突入領域が塞がれているので、記録紙としてカールの大きい小径ロール紙を使用する場合や、低温や高温高湿といった環境に放置されることによって記録紙が変形している場合であっても、バックフィードされた下流側連結記録紙が可動刃突入領域に入り込んで折れてしまったり、記録紙と下流側連結記録紙との連結部分である切り残し部分が引きちぎられてしまったり、下流側連結記録紙が蛇腹状に折り畳まれて紙詰まりを起こしてしまったりする問題を解消することができる。また、バックフィード後における次の印刷で記録紙(連続用紙)がフォワードフィードされる際にも、記録紙が可動刃突入領域に入り込んで紙詰まりを起こしてしまう問題を解消することができる。
【0014】
また、本発明によれば、記録紙のバックフィード前にフォワードフィードが行われることにより、記録紙に繋がった下流側連結記録紙の用紙端が固定刃から離された状態になる。そのため、下流側連結記録紙が固定刃に引っ掛かった状態のままバックフィードが行われることがなくなる。これにより、記録紙をバックフィードさせる際に当該記録紙に繋がった下流側連結記録紙が固定刃に引っ掛かって折れてしまったり、記録紙と下流側連結記録紙との連結部分である切残し部分が引きちぎられてしまったり、下流側連結記録紙が蛇腹状に折り畳まれて紙詰まりを起こしてしまったりする不都合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態によるプリンタの全体構成例を示す図である。
【図2】本実施形態によるプリンタの要部構成例を示す図である。
【図3】本実施形態のプリンタが備える固定刃、可動刃およびBFガイドの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態のBFガイドと固定刃との間に形成された隙間の構成例を示す図である。
【図5】本実施形態のプリンタが備えるプリンタ制御部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態によるプリンタ制御部の動作例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態のプリンタによる記録紙の搬送動作を示す図である。
【図8】本実施形態のBFガイドをアクチュエータにより移動させる場合のプリンタ制御部の構成例を示すブロック図である。
【図9】本実施形態のBFガイドをアクチュエータにより移動させる場合のプリンタ制御部の動作例を示すフローチャートである。
【図10】従来のプリンタの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるカッター機構付き印刷装置(以下、単に「プリンタ」という)の全体構成例を示す図である。図2は、本実施形態によるプリンタの要部構成例を示す図である。図1(a)はリアカバー15を閉じた状態を示しており、図1(b)はリアカバー15を開いた状態を示している。なお、この図1において、図10に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のプリンタは、本体に可動刃13が設けられるとともに、リアカバー15に固定刃12が設けられたカッター機構分離型の印刷装置である。リアカバー15には固定刃12の他にプラテンローラ11も設けられていて、図1(b)のように記録紙100のセット等のためにリアカバー15を開くと、リアカバー15と共にプラテンローラ11および固定刃12も移動する。
【0018】
プリンタの本体は、用紙収納部21を備えている。この用紙収納部21には、ロール状に蓄積された感熱式の記録紙100が収納される。リアカバー15は、その一端部が本体の後部の上部にヒンジ結合され、図1(a)のように用紙収納部21を閉じるよう回動自在に取り付けられている。
【0019】
図1(b)のように、プリンタの本体において用紙収納部21の前方には、記録紙100の用紙幅方向に延びるサーマルヘッド10が、発熱面を後方(図1の右側)に向けた状態で固定されている。このサーマルヘッド10は、本発明の印刷手段に相当する。また、リアカバー15の前端部には、記録紙100の用紙幅方向に延びるプラテンローラ11が回転自在に支持されている。リアカバー15が閉じられると、プラテンローラ11は適宜な圧力でサーマルヘッド10に圧接するようになっている。本実施形態では、サーマルヘッド10とプラテンローラ11とにより印刷兼紙送り機構が構成されている。
【0020】
サーマルヘッド10の上方、かつ、本体のフロントカバー14の裏側には、固定刃12と協働して記録紙100を切断する可動刃ユニット20が設けられている。この可動刃ユニット20は、前後方向(図1の左右方向)に往復動自在なよう組み込まれた可動刃13と、可動刃13を往復動させるカッター駆動装置17とを備えている。なお、図1は、可動刃13が固定刃12に対して最も退行したホームポジションにある状態を示している。また、プラテンローラ11の上方には、板状の固定刃12が可動刃13と平行に設けられている。固定刃12および可動刃13により本発明の切断手段が構成されている。
【0021】
図3に、固定刃12および可動刃13の構成例を示す。なお、図3の上側がプリンタの後方(図1の右側)、図3の下側がプリンタの前方(図1の左側)に相当する。図3に示すように、固定刃12は、その前端縁が刃部12aを構成している。一方、可動刃13は、その後端縁が刃部13aを構成している。この刃部13aは、スムーズな用紙カットを実現するために、中央部分から両端に向かうに従って後方にせり出す左右対称のV字状に形成されている。また、刃部13aの中央部分には、パーシャルカット時に切り残し部分102を形成して下流側連結記録紙101を後続の記録紙100に連結した状態とするための逃げとして、凹部13bが形成されている。
【0022】
可動刃13の後方の両端部には、記録紙100の切断時に可動刃13が固定刃12に乗り上げるのを助けるためのガイド片13cが後方に向かって突設されている。ホームポジションから後方に移動してきた可動刃13の刃部13aが固定刃12と接する前にガイド片13cが予め固定刃12に乗り上げることにより、可動刃13の刃部13aは固定刃12の上にスムーズに重畳し、可動刃13はカットポジションに至る。
【0023】
図1に戻り説明する。用紙収納部21に収納された記録紙100は、リアカバー15が閉じた状態において、サーマルヘッド10とプラテンローラ11との間に挟み込まれる。そして、固定刃12と可動刃13との間を経て、フロントカバー14とリアカバー15との間の排出口16から用紙先端部が排出される。この経路が、ロール状の記録紙100が搬送される搬送路である。記録紙100は、プラテンローラ11を回転させたときのプラテンローラ11とサーマルヘッド10との摩擦作用により、搬送路を下流側または上流側に搬送される。
【0024】
上述の固定刃12および可動刃13は、搬送路を挟んで互いに対向する位置に設置されている。ここで、記録紙100のカールの内側(非印刷面側)に固定刃12が設置され、外側(印刷面側)に可動刃13が設置されている。可動刃13は、記録紙100の非切断時はホームポジションに位置している。これに対し、記録紙100の切断時には、可動刃13が固定刃12の方向に往動して、可動刃13の刃部13aが固定刃12の刃部12aに重畳することにより、搬送路にある記録紙100を切断する。
【0025】
すなわち、記録紙100の切断時は、可動刃13が、記録紙100を挟んで対向する位置にある固定刃12に向かってホームポジションから移動し、固定刃12と圧接しながら摺動する。その結果、記録紙100は幅方向の両端から中央に向かって順次切断される。このとき、可動刃13の中央部分のV字端(凹部13b)が固定刃12に到達する直前に可動刃13の摺動を停止させれば、記録紙100は中央部分を切り残してパーシャルカットされる。
【0026】
本実施形態では、固定刃12の上側(搬送方向下流側)で、記録紙100の切断時に可動刃13が突入する領域に、可動式のBF(バックフィード)ガイド30を設置している。このBFガイド30は、本発明の経路構成部材に相当するものであり、記録紙100の非切断時に固定刃12の刃部12a(刃先)よりも搬送路側に突出する突出部30aを有しており、当該突出部30aによって記録紙100の搬送経路を構成する。なお、図1および図2は、記録紙100の非切断時においてBFガイド30がホームポジションにある状態を示している。
【0027】
具体的には、図3に示すように、BFガイド30は、中央から左右方向に延びる2片のガイド部材30b,30cが中央の回転軸30dにより連結されて構成され、当該回転軸30dを中心として2片のガイド部材30b,30cが互いに反対方向に回動自在に取り付けられている。中央の回転軸30dの回りにはねじりバネ(図示せず)が設けられており、記録紙100の非切断時には、突出部30aが固定刃12の刃先よりも搬送路側に突出するよう前方(図3の下側)に付勢されている。図3(a)は、ねじりバネに付勢されてBFガイド30がホームポジションにある状態を示している。
【0028】
また、BFガイド30は、記録紙100の切断時には、搬送路とは反対側(図3の上側)に退避するようになっている。具体的には、図3(b)に示すように、BFガイド30は、記録紙100の切断時に、可動刃突入領域で摺動する可動刃13に押されてガイド部材30b,30cが回動することで、搬送路とは反対側に退避する。記録紙100の切断が終わって可動刃13がホームポジションに戻ると、BFガイド30もねじりバネに付勢されて図3(a)のホームポジションに復帰する。
【0029】
なお、ここではねじりバネを用いているが、これに限定されない。例えば、中央から左右方向に延びる2片のガイド部材30b,30cの後方(図3の上側)に設けたコイルバネを用いても良い。また、BFガイド30は、2片のガイド部材30b,30cが回転軸30dを中心として独立して回動する構造となっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガイド部材を一体とし、そのガイド部材を搬送路とは反対の方向に退避させる構成としてもよい。
【0030】
図2に示すように、BFガイド30は、搬送方向下流側に形成された突出部30aから搬送方向上流側の固定刃12に向けて傾斜する斜面30eを有している。この斜面30eは、BFガイド30がホームポジションにあるときでも、固定刃12との近接端が固定刃12の刃先よりも搬送路側に突出しないように形成されている。
【0031】
また、BFガイド30と固定刃12との間には、プリンタが動作保証する記録紙100の最大紙厚よりも若干厚い微小厚の隙間が形成されている。図4に、この隙間の構成例を示す。図4に示すように、BFガイド30は、回転軸30dの付近の中心部と両側端部とが固定刃12に接触しながら回動する。BFガイド30が固定刃12と接触しない部分には、記録紙100の用紙幅よりも用紙幅方向に広く、かつ、記録紙100の最大紙厚よりも厚い微小厚の隙間31が形成されている。隙間31の厚さは、例えば、動作保証する記録紙100の最大紙厚の数倍程度である。下流側連結記録紙101とそれに繋がった記録紙100との用紙端が共に折り畳まれて隙間31に入り込むことがあることを考慮すると、隙間31の厚さは記録紙100の最大紙厚の2倍より若干厚い程度が良い。
【0032】
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、排出ガイド40を備えている。この排出ガイド40は、本発明の第2の経路構成部材に相当するものであり、BFガイド30よりも搬送方向下流側において搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて傾斜する曲面40aを有している。この曲面40aは、搬送方向上流側の下方端部はBFガイド30がホームポジションに位置するときの突出部30aよりも可動刃13側(記録紙100の印刷面側)に位置し、搬送方向下流側の上方端部はBFガイド30がホームポジションに位置するときの突出部30aよりも固定刃12側(記録紙100の非印刷面側)に位置するように形成されている。なお、必ずしも曲面40aである必要はなく、直線状の斜面であっても良い。
【0033】
排出ガイド40は、可動刃ユニット20に回動自在に取り付けられている。すなわち、図1に示すように、リアカバー15を開くときにプラテンローラ11等が排出ガイド40に当たらないように、排出ガイド40がリアカバー15の開閉動作に連動して回動する構造になっている。
【0034】
具体的には、図1(a)に示すようにリアカバー15を閉じているときは、排出ガイド40はリアカバー15に設けられた突起(図示せず)により押さえられ、記録紙100の搬送路上に位置している。一方、図1(b)のようにリアカバー15を開いたときは、排出ガイド40はその回転軸40bの回りに設けられたねじりバネ(図示せず)に付勢されて上方に回動する。
【0035】
本実施形態のプリンタにおいては、記録紙100への印刷、記録紙100の搬送、可動刃13の作動等は、マイクロコンピュータで構成されるプリンタ制御部50によって制御される。図5は、プリンタ制御部50の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、プリンタ制御部50は、CPU51、RAM52、ROM53、プラテン制御部54、ヘッド制御部55およびカッター制御部56を備えて構成されている。
【0036】
CPU51は、RAM52をワークメモリとして使用しながら、ROM53に格納されている各種プログラムに従って動作し、プラテン制御部54、ヘッド制御部55およびカッター制御部56を制御する。ROM53は、プラテン制御部54を制御するための搬送制御プログラム、ヘッド制御部55を制御するための印刷制御プログラム、カッター制御部56を制御するための切断制御プログラム等の各種プログラムを記憶している。
【0037】
プラテン制御部54は、搬送制御プログラムに基づくCPU51の制御に従って、プラテンローラ11を回転させることにより、記録紙100を順方向または逆方向に搬送させる。プラテン制御部54およびプラテンローラ11は、本発明の搬送手段に相当するものであり、記録紙100への印刷開始時に、記録紙100を順方向(搬送方向下流側)に第1の所定量だけフォワードフィードさせた後、記録紙100を逆方向(搬送方向上流側)に第2の所定量だけバックフィードさせる。その後、記録紙100への印刷中は、プラテン制御部54は記録紙100を順方向(搬送方向下流側)に順次フォワードフィードさせる。
【0038】
ここで、記録紙100をバックフィードさせるのは、サーマルヘッド10から固定刃12までの距離の分だけ記録紙100の先頭にできてしまう余白を少なくして印刷を開始するためである。すなわち、記録紙100をバックフィードさせることにより、印刷すべき記録紙100の先端をサーマルヘッド10の位置に近づける。このときバックフィードする第2の所定量は、所望量の余白を達成するために必要な量であり、プリンタの構造に従う。
【0039】
一方、バックフィードに先立って記録紙100をフォワードフィードさせるのは、直前のパーシャルカットにより下流側連結記録紙101が次に印刷すべき記録紙100に繋がった状態であった場合に、下流側連結記録紙101の用紙端が固定刃12とBFガイド30との隙間31に入り込んでいることがあり、そのままの状態で記録紙100をバックフィードさせると下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かってしまうことがあるからである。
【0040】
すなわち、本実施形態では、記録紙100の切断時に可動刃13が固定刃12の上側に乗り上げて摺動する可動刃突入領域にBFガイド30を設けている。BFガイド30は可動刃13の動きを妨げないように退避動作するが、パーシャルカット時に下流側連結記録紙101の端部が可動刃13に引き連られて固定刃12とBFガイド30との隙間31に入り込むことがある。印刷開始時に記録紙100をフォワードフィードするのは、隙間31に入り込んだ下流側連結記録紙101の端部を引き出すためである。このときフォワードフィードする第1の所定量は、下流側連結記録紙101の端部がBFガイド30の斜面30eに確実に乗り上げるのに必要な量に設定されている。
【0041】
なお、記録紙100をフォワードフィードさせた後でバックフィードさせるタイミングは、記録紙100への印刷開始時でなくても良い。すなわち、記録紙100の前回の切断後から今回の印刷開始前の間の任意のタイミングで行うようにしても良い。
【0042】
なお、本実施形態では、固定刃12とBFガイド30との間に微小厚の隙間31を意図的に設けている。この隙間31を設けないと、パーシャルカット時に可動刃13に引き連られて固定刃12とBFガイド30との間に挟まった下流側連結記録紙101の端部が、下流側連結記録紙101に繋がった記録紙100をフォワードフィードしても抜けなくなってしまうことがあるからである。この場合、下流側連結記録紙101と次の記録紙100とを連結している切り残し部分102が引きちぎられ、下流側連結記録紙101によって紙詰まりを起こしてしまう。固定刃12とBFガイド30との間に隙間31を設け、記録紙100をバックフィード前にフォワードフィードすることにより、このような紙詰まりの発生を防止することができる。
【0043】
ヘッド制御部55は、印刷制御プログラムに基づくCPU51の制御に従って、RAM52に展開された印刷すべき文字、記号およびバーコードなどの印刷データに対応する制御信号を生成し、生成した制御信号をサーマルヘッド10に供給して印刷動作を行わせる。カッター制御部56は、切断制御プログラムに基づくCPU51の制御に従って、可動刃13を前後方向に駆動させることにより、記録紙100を所定の位置で切断(フルカットまたはパーシャルカット)する。
【0044】
次に、上記のように構成した本実施形態によるプリンタの動作を説明する。図6は、本実施形態によるプリンタ制御部50の動作例を示すフローチャートである。図7は、本実施形態のプリンタによる記録紙100の搬送動作を示す図である。図6に示すフローチャートは、記録紙100への印刷を開始するときにスタートする。
【0045】
図6において、まずプリンタ制御部50のCPU51は、印刷指令が発生したか否かを判定する(ステップS1)。印刷指令が発生したとCPU51にて判断した場合、CPU51はさらに、その印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれているか否かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、ユーザがプリンタの操作部(図示せず)を操作することにより、記録紙100の余白を少なくするためのモードをプリンタに設定できるようになっている。そのモードが設定されている場合、印刷指令の中にはバックフィードコマンドが含まれる。
【0046】
印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれていると判断した場合、CPU51はプラテン制御部54を制御して記録紙100を順方向にフォワードフィードさせ(ステップS3)、第1の所定量だけフォワードフィードしたら記録紙100の搬送を停止させる(ステップS4)。これにより記録紙100と下流側連結記録紙101との連続用紙は、図7(a)の状態から図7(b)の状態に遷移する。
【0047】
図7(a)は、パーシャルカットが行われた直後の状態を示しており、前回印刷された下流側連結記録紙101と今回印刷すべき記録紙100とが連結した状態となっている。図7(a)に示すように、下流側連結記録紙101の後方側(搬送方向上流側)の部分は、BFガイド30の突出部30aによって、BFガイド30の斜面30eに沿って固定刃12よりも搬送路側に持ち上げられている。
【0048】
これに加えて、BFガイド30の斜面30eが有する傾斜(図7(a)では右上がりの傾斜)と反対の傾斜(図7(a)では右下がりの傾斜)を有する排出ガイド40の曲面40aによって、下流側連結記録紙101の先頭側(搬送方向下流側)が突出部30aの突出方向とは逆の方向に向けられている。これにより、下流側連結記録紙101の後方側の用紙端(記録紙100と連結している切断端)が搬送路側に跳ね上げられ、当該切断端が固定刃12から引き離されている。
【0049】
図7(b)は、記録紙100が第1の所定量だけフォワードフィードされた後の状態を示しており、記録紙100に繋がっている下流側連結記録紙101も一緒にフォワードフィードされている。記録紙100と下流側連結記録紙101との連続用紙がフォワードフィードされることにより、下流側連結記録紙101の後方側の切断端が固定刃12から離れる。しかも、当該切断端がBFガイド30の斜面30eに乗り上げることにより、固定刃12から更に離れる。
【0050】
以上のように、BFガイド30と排出ガイド40とが存在することにより、パーシャルカットが行われたときに殆どの場合は、図7(a)のように下流側連結記録紙101の後方側の切断端が固定刃12から離れた状態になる。したがって、記録紙100の余白量削減のためにそのまま記録紙100をバックフィードしても、下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かって曲がったり、紙詰まりを起こしたりすることを防止することができる。
【0051】
これに対して、図7(b)のように、記録紙100をバックフィードする前にフォワードフィードすれば、下流側連結記録紙101の後方側の切断端が固定刃12から更に離れた状態になるので、バックフィードの際に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かってしまう不都合をより確実に防止することができる。
【0052】
例えば、記録紙100がカールの大きい小径ロール紙である場合や、低温や高温高湿といった環境に放置されることによって記録紙100が変形してカールが大きくなっている場合などであっても、バックフィード時に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かからないようにすることができる。また、パーシャルカット時に下流側連結記録紙101の切断端が固定刃12とBFガイド30との隙間31に入り込んだ場合でも、フォワードフィードにより下流側連結記録紙101の切断端がBFガイド30の斜面30eまで引き出されるので、その後のバックフィード時に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かからないようにすることができる。
【0053】
ステップS4で記録紙100のフォワードフィードを停止した後、CPU51はプラテン制御部54を制御して記録紙100を逆方向にバックフィードさせ(ステップS5)、第2の所定量だけバックフィードしたら記録紙100の搬送を停止させる(ステップS6)。これにより連続用紙は、図7(b)の状態から図7(c)の状態に遷移する。これによって記録紙100への印刷の準備が整う。
【0054】
次に、プラテン制御部54が順方向に所定速度で記録紙100をフォワードフィードしながら、ヘッド制御部55がサーマルヘッド10を所定位置において発熱させることにより、記録紙100の発熱層を発色させて印刷を行う(ステップS7)。図7(d)は、印刷中に記録紙100を順方向にフォワードフィードしている状態を示している。図7(d)に示すように、BFガイド30は搬送方向下流側に向けて徐々に高くなる斜面30eを有している。そのため、バックフィード後の印刷中に記録紙100をフォワードフィードしても、記録紙100は斜面30eに乗り上げるため、BFガイド30に引っ掛からず、スムーズに搬送される。
【0055】
そして、印刷が終了したら、カッター制御部56が可動刃13の動きを制御して記録紙100を切断(フルカットまたはパーシャルカット)する(ステップS8)。なお、ステップS2で印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれていないとCPU51にて判断した場合、処理はステップS7にジャンプする。
【0056】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、記録紙100の切断時に可動刃13が突入する領域にBFガイド30を設け、記録紙100の非切断時は、固定刃12の刃先よりも搬送路側に突出部30aが突出するようにして記録紙100の搬送経路を構成するようにしている。
【0057】
このように構成した本実施形態によれば、パーシャルカットされた下流側連結記録紙101と次に印刷すべき記録紙100とが繋がった状態でバックフィードが行われる際には、BFガイド30の突出部30aが搬送路側に突出した状態で可動刃突入領域が塞がれているので、記録紙100としてカールの大きい小径ロール紙を使用する場合や、低温や高温高湿といった環境に放置されることによって記録紙が変形している場合であっても、バックフィードされた下流側連結記録紙101が可動刃突入領域に入り込んで折れてしまったり、記録紙100と下流側連結記録紙101との連結部分である切り残し部分102が引きちぎられてしまったり、下流側連結記録紙101が蛇腹状に折り畳まれて紙詰まりを起こしてしまったりする問題を解消することができる。また、バックフィード後における次の印刷で記録紙100がフォワードフィードされる際にも、記録紙100が可動刃突入領域に入り込んで紙詰まりを起こしてしまう問題を解消することもできる。
【0058】
また、本実施形態では、記録紙100への印刷開始時に、余白削減のために記録紙100を搬送方向上流側にバックフィードさせるのに先立って、記録紙100を搬送方向下流側にフォワードフィードさせるようにしている。これにより、下流側連結記録紙101の後方側の切断端が固定刃12から離れた状態になるので、バックフィードの際に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かってしまう不都合をより確実に防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、BFガイド30の他に排出ガイド40を設けている。この排出ガイド40の作用により、下流側連結記録紙101の後方側の切断端は固定刃12から引き離された状態になるので、バックフィードの際に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かってしまう不都合を確実に防止することができる。排出ガイド40がなくても、記録紙100をバックフィードする前にフォワードフィードすることによって一定の効果が期待できるが、排出ガイド40を設けることにより、バックフィードの際に下流側連結記録紙101が固定刃12に引っ掛かってしまう不都合をより確実に防止できるようになる。
【0060】
なお、上記実施形態では、可動刃突入領域内を摺動する可動刃13およびBFガイド30を付勢するねじりバネの作用によりBFガイド30を前後方向に移動させるように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、BFガイド30を付勢していたねじりバネをなくし、プリンタ内に備えた図示しないアクチュエータによりBFガイド30を移動させるようにしても良い。
【0061】
図8は、BFガイド30をアクチュエータにより移動させる場合のプリンタ制御部50’の構成例を示すブロック図である。なお、この図8において、図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0062】
図8において、CPU51’は、RAM52をワークメモリとして使用しながら、ROM53’に格納されている各種プログラムに従って動作し、プラテン制御部54、ヘッド制御部55、カッター制御部56、アクチュエータ制御部57およびセンサ制御部58を制御する。
【0063】
ROM53’は、プラテン制御部54を制御するための搬送制御プログラム、ヘッド制御部55を制御するための印刷制御プログラム、カッター制御部56を制御するための切断制御プログラム、アクチュエータ制御部57を制御するためのアクチュエータ制御プログラム、センサ制御部58を制御するための位置検出制御プログラム等の各種プログラムを記憶している。
【0064】
アクチュエータ制御部57は、アクチュエータ制御プログラムに基づくCPU51’の制御に従って、アクチュエータ61のDCモータを駆動することにより、当該アクチュエータ61によってBFガイド30を移動させる。センサ制御部58は、位置検出制御プログラムに基づくCPU51’の制御に従って、位置センサ62から出力される位置信号に基づいて、BFガイド30の位置を検出する。
【0065】
図9は、本実施形態のBFガイド30をアクチュエータ61により移動させる場合のプリンタ制御部50’の動作例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、記録紙100への印刷を開始するときにスタートする。
【0066】
図9において、まずプリンタ制御部50’のCPU51’は、印刷指令が発生したか否かを判定する(ステップS11)。印刷指令が発生したと判断した場合、CPU51’はさらに、その印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれているか否かを判定する(ステップS12)。
【0067】
印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれているとCPU51’で判断した場合、CPU51’は、アクチュエータ61を制御して、バックフィード動作が可能な所定の位置までBFガイド30を待機位置から移動させる(ステップS13)。ここで、待機位置は、BFガイド30の突出部30aが固定刃12よりも搬送路側に突出しない位置である。これは、記録紙100を切断するときにBFガイド30が可動刃13の動きに影響を与えない位置、つまり、可動刃13の摺動範囲よりも更に後方に退避した位置である。
【0068】
また、バックフィード動作が可能な所定の位置は、BFガイド30の突出部30aが固定刃12の刃先よりも搬送路側に突出する位置である。この位置は、BFガイド30の固定刃12との近接端が固定刃12よりも搬送路側に突出する位置とするのが好ましい。BFガイド30の突出部30aだけでなく、固定刃12との近接端が固定刃12よりも搬送路側に突出するようにすることで、突出部30aの突出量を多くすることができ、下流側連結記録紙101が可動刃突入領域に入って引っ掛かってしまう不都合をより効果的に防止することができる。
【0069】
アクチュエータ制御部57がBFガイド30を待機位置から所定の位置まで移動させた後、CPU51’は、プラテン制御部54を制御して記録紙100を順方向にフォワードフィードさせ(ステップS14)、第1の所定量だけフォワードフィードしたら記録紙100の搬送を停止させる(ステップS15)。記録紙100のフォワードフィードを停止した後、CPU51’は、プラテン制御部54を制御して記録紙100を逆方向にバックフィードさせ(ステップS16)、第2の所定量だけバックフィードしたら記録紙100の搬送を停止させる(ステップS17)。
【0070】
次に、CPU51’は、アクチュエータ61を制御して、BFガイド30の機能を保ち、かつ、印刷動作に影響が出ない位置までBFガイド30を移動させる(ステップS18)。ここでBFガイド30を移動させる位置は、BFガイド30の突出部30aが固定刃12よりも搬送路側に突出する一方、BFガイド30の固定刃12との近接端が固定刃12よりも搬送路側に突出しない位置である。つまり、図7と同じ位置である。
【0071】
その後、プラテン制御部54が順方向に所定速度で記録紙100をフォワードフィードしながら、ヘッド制御部55がサーマルヘッド10を所定位置において発熱させることにより、記録紙100の発熱層を発色させて印刷を行う(ステップS19)。そして、印刷が終了したら、CPU51’は、プラテン制御部54によってバックフィード動作が行われたか否かを判定し(ステップS20)、バックフィード動作が行われたと判断した場合はアクチュエータ61を制御し、BFガイド30を元の待機位置まで移動させる(ステップS21)。なお、バックフィード動作が行われたか否かを判定する代わりに、BFガイド30が待機位置にあるどうかをセンサ制御部58にて判定するようにしても良い。
【0072】
最後に、カッター制御部56は、可動刃13の動きを制御して記録紙100を切断する(ステップS22)。なお、ステップS12で印刷指令の中にバックフィードコマンドが含まれていないとCPU51’にて判断した場合、処理はステップS19にジャンプする。この場合、ステップS20ではバックフィード動作が行われていないと判断されるので、ステップS21の処理もジャンプする。
【0073】
このように、アクチュエータ61を利用してBFガイド30を移動させることにより、BFガイド30の移動量を自在に調整することが可能となる。記録紙100のバックフィード時には、固定刃12に対する突出部30aの突出量は多い方が効果的である。しかし、突出部30aの突出量をあまりに多くし過ぎると、印刷の際にBFガイド30が記録紙100の搬送の障害となることがある。
【0074】
これに対して、アクチュエータ61を利用することにより、BFガイド30は自身の駆動源を有することになる。これにより、記録紙100のバックフィード時には突出部30aの突出量をなるべく多くする一方、印刷時には搬送の障害とならない位置までBFガイド30を退避させることが可能となる。印刷時は、図7(d)のように搬送される記録紙100がBFガイド30の斜面30eに乗り上げるような位置にBFガイド30を移動させれば、BFガイド30の斜面30e上を記録紙100が搬送されることとなり、スムーズに記録紙100を搬送することができる。
【0075】
上記実施形態では、本体に可動刃13が設けられるとともに、リアカバー15に固定刃12が設けられたカッター機構分離型のプリンタを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本体またはリアカバー15の何れか一方に固定刃12と可動刃13との両方が設けられたプリンタであっても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、記録紙100の中央部分の1箇所を切り残すパーシャルカットの例について説明したが、切り残し部分102の位置は中央部分の1箇所に限定されない。例えば、用紙の幅方向一端のみを切り残すようにしても良いし、可動刃13の刃先をW字形に形成し、可動刃13のW字端が固定刃12に到達する直前に可動刃13の摺動を停止させることにより、記録紙100の2箇所を切り残すようにしても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、記録紙100の印刷面側に可動刃13、非印刷面側に固定刃12を設けたプリンタの例について説明したが、固定刃12および可動刃13の配置はこれと逆でも良い。その場合、BFガイド30も固定刃12と同様に印刷面側に配置する。
【0078】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 サーマルヘッド
11 プラテンローラ
12 固定刃
13 可動刃
16 排出口
17 カッター駆動装置
30 BFガイド
30a 突出部
30e 斜面
31 隙間
40 排出ガイド
40a 曲面
50 プリンタ制御部
54 プラテン制御部
55 ヘッド制御部
56 カッター制御部
57 アクチュエータ制御部
58 センサ制御部
61 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録紙が搬送される搬送路と、上記搬送路に搬送されてきた上記記録紙に印刷を行う印刷手段と、上記搬送路を挟んで互いに対向する位置に設置された固定刃および可動刃から成る切断手段とを備えたカッター機構付き印刷装置において、
上記記録紙の切断時に上記可動刃が突入する領域に設置され、非切断時は上記固定刃の刃先よりも上記搬送路側に突出した突出部を有して上記記録紙の搬送経路を構成するとともに、切断時は上記搬送路とは反対側に退避する可動式の経路構成部材と、
上記記録紙の切断後から印刷開始前に、上記記録紙を搬送方向下流側に第1の所定量だけフォワードフィードさせた後、上記記録紙を搬送方向上流側に第2の所定量だけバックフィードさせる搬送手段とを備えたことを特徴とするカッター機構付き印刷装置。
【請求項2】
上記経路構成部材よりも搬送方向下流側において搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて傾斜する斜面を有する第2の経路構成部材を備え、当該第2の経路構成部材の斜面は、上記搬送方向上流側の部分は上記経路構成部材が非切断時に位置するときの上記突出部よりも上記可動刃側に位置し、上記搬送方向下流側の部分は上記経路構成部材が非切断時に位置するときの上記突出部よりも固定刃側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカッター機構付き印刷装置。
【請求項3】
上記経路構成部材は、上記固定刃との近接端から搬送方向下流側に形成された上記突出部に向けて突出する方向に徐々に傾斜する斜面を有することを特徴とする請求項1に記載のカッター機構付き印刷装置。
【請求項4】
上記経路構成部材と上記固定刃との間には、上記カッター機構付き印刷装置が動作保証する記録紙の最大紙厚よりも厚い微小厚の隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカッター機構付き印刷装置。
【請求項5】
上記経路構成部材は、非切断時は上記突出部が上記固定刃の刃先よりも上記搬送路側に突出するようにバネにより付勢され、切断時は上記可動刃突入領域で摺動する上記可動刃に押されて上記搬送路とは反対側に退避することを特徴とする請求項1に記載のカッター機構付き印刷装置。
【請求項6】
上記経路構成部材を移動させるアクチュエータを備えたことを特徴とする請求項1に記載のカッター機構付き印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−136472(P2011−136472A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297496(P2009−297496)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】