説明

カップホルダー

【課題】部品点数を削減できるとともに、トレー部材の突出速度を制御することのできるカップホルダーを提供する。
【解決手段】車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されたトレー部材と、前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、飲料容器等を載置可能な載置部を有するホルダー部材と、前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って自由端部が前記トレー部材から離反するので、部品点数を削減できるとともに、トレー部材の突出速度を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲み物用カップ、缶、ペットボトル等を置くために使用するカップホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すような構造のカップホルダーの場合、前面の開口したハウジング内に摺動出没可能に配設された保持体及びカップ保持体とからなり、保持体の突出方向への付勢は、保持体に設けた定荷重バネで行うとともに、カップ保持体のガタ止めは、保持体とカップ保持体を互いに拡開方向へ付勢する捩りバネを使用して保持体を重力方向に常に付勢することで防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実案登録第2555211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記構成の従来のカップホルダーは、保持体のハウジングからの突出速度の制御ができなかった。このため、高級感の演出等の目的のためには突出速度の制御が要望されていた。
また、保持体のガタ止め用に捩りバネが定荷重バネの他に必要であり、部品点数が多いと云う欠点が存在した。
【0005】
この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、トレー部材を突出方向へ付勢する定荷重バネを使用して、ホルダー部材のガタ止めを行うことにより部品点数の削減を図るとともに、収納ケース側に設けた案内部の形状を変化させることにより、トレー部材の突出速度の制御を実現したカップホルダーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下のような内容である。
(1)本発明のカップホルダーは、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されたトレー部材と、前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、飲料容器等を載置可能な載置部を有するホルダー部材と、前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って自由端部が前記トレー部材から離反することを特徴とする。
(2)本発明のカップホルダーは、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されるとともに、飲料容器等を載置可能な載置部を有するトレー部材と、前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、前記載置部に載置された飲料容器等を保持するホルダー部材と、前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って前記トレー部材から離反することを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載のカップホルダーにおいて、前記案内部は、前記収納ケースの側面に設けられ、該収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部を有し、該変位部において前記定荷重バネの荷重方向がトレー部材の突出量に伴って変化することを特徴とする。
(4)(1)〜(3)に記載のカップホルダーにおいて、前記収納ケースは、上下に並設された2個の案内部を有しており、前記ホルダー部材は、前記案内部にそれぞれ対向する位置に前記係合部が2個設けられ、前記トレー部材の移動に伴い、前記案内部内を前記係合部が摺動することを特徴とする。
(5)(1)または(2)に記載のカップホルダーにおいて、前記案内部は、前記収納ケースの底面に設けられ、該収納ケースの前面開口側へ向け水平方向に伸びる突条部と該突条部に連設した傾斜部とから成り、前記トレー部材を移動する際、前記ホルダー部材の係合部であるリブが前記案内部を摺動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されたトレー部材と、前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、飲料容器等を載置可能な載置部を有するホルダー部材と、前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って自由端部が前記トレー部材から離反するので、トレー部材の付勢とホルダー部材のガタ止めを1個の定荷重バネで実現し部品点数が削減できるとともに、トレー部材の突出速度を制御することができる。したがって、カップホルダーの高級感を演出することができる。
また、本発明によれば、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されるとともに、飲料容器等を載置可能な載置部を有するトレー部材と、前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、前記載置部に載置された飲料容器等を保持するホルダー部材と、前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って前記トレー部材から離反するので、部品点数を削減できるとともに、トレー部材の突出速度を制御して、高級感を演出することができる。
また、前記案内部は、前記収納ケースの側面に設けられ、該収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部を有し、該変位部において前記定荷重バネの荷重方向がトレー部材の突出量に伴って変化するので、トレー部材の突出速度の制御が案内部の変位部によって実現できるとともに、係合部が案内部を摺動変位することでホルダー部材のガタ止めが達成できる。
また、前記収納ケースは、上下に並設された2個の案内部を有しており、前記ホルダー部材は、前記案内部にそれぞれ対向する位置に前記係合部が2個設けられ、前記トレー部材の移動に伴い、前記案内部内を前記係合部が摺動するので、ホルダー部材立ち上げ用のばね部材を省略して部品点数の削減ができるとともに、ホルダー部材をトレー部材に対してほぼ水平状態に立ち上げることで保持特性を向上できる。
また、前記案内部は、前記収納ケースの底面に設けられ、該収納ケースの前面開口側へ向け水平方向に伸びる突条部と該突条部に連設した傾斜部とから成り、前記トレー部材を移動する際、前記ホルダー部材の係合部であるリブが前記案内部を摺動するので、トレー部材の突出方向がガイドされるとともに突出速度を制御して、高級感を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態であるカップホルダーの斜視図である。
【図2】図2は、同カップホルダーの引き抜いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、同カップホルダーの分解斜視図である。
【図4】図4は、同カップホルダーのトレー部材を引き出した状態を示す側面図である。
【図5】図5は、同カップホルダーの縦断面図である。
【図6】図6は、同カップホルダーのトレー部材を収納した状態の縦断面図である。
【図7】図7は、同カップホルダーに使用される定荷重バネの作用力の方向変化を示す説明図である。
【図8】図8は、本発明のカップホルダーの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9は、同カップホルダーのトレー部材を引き出した状態を示す平面図である。
【図10】図10は、同カップホルダーの側面図である。
【図11】図11は、図9におけるA−A線断面図である。
【図12】図12は、図9におけるB−B線断面図である。
【図13】図13は、同カップホルダーのトレー部材を収納した状態のA−A線部縦断面図である。
【図14】図14は、同カップホルダーのトレー部材を収納した状態のB−B線部縦断面図である。
【図15】図15は、本発明のカップホルダーの第3の実施形態を示す斜視図である。
【図16】図16は、同カップホルダーの底面方向から看た斜視図である。
【図17】図17は、その分解斜視図である。
【図18】図18は、同カップホルダーに使用される収納ケースの平面図である。
【図19】図19は、同収納ケースのC−C線部縦断面図である。
【図20】図20は、同収納ケースのD−D線部縦断面図である。
【実施例1】
【0009】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるカップホルダーの斜視図、図2は本発明のカップホルダーの引き抜いた状態を示す斜視図、図3は本発明のカップホルダーの分解斜視図である。ここで、本発明のカップホルダー10は、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケース11と、前記収納ケース11の開口11aから突出、収納自在に配設されたトレー部材12と、前記トレー部材12の一部に支承されるとともに、前記収納ケース11に設けられた案内部13を摺動する係合部14を有し、飲料容器等を載置可能な載置部を有するホルダー部材15と、前記収納ケース11と前記ホルダー部材15との間に掛け渡され、前記トレー部材12を収納ケース11から突出する方向へ付勢する定荷重バネ16とからなり、前記定荷重バネ16の本体16aを前記ホルダー部材に、引き出し端部16bを前記収納ケース11に係合するとともに、前記ホルダー部材15は、前記トレー部材12の収納ケース11からの突出動作に伴って自由端部15aが前記トレー部材12から離反する構成である。
【0010】
収納ケース11は、前面に開口11aを有した略箱型をしており、天井部内側に回転ダンパ18の歯合するラック歯部17が奥端から開口方向に向けて連続形成されている。また、両側壁には、長溝状の案内部13が左右対称に形成されるとともに、内側にトレー部材12を案内するガイドレール19が立設されている。更に、底壁の開口端の近傍には、トレー部材12に設けられたラッチ部材20の係合する係合孔21と定荷重バネ16の引き出し端部16bの係止される係止孔22が形成されている。
案内部13は、奥端側の水平部13aと収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部13bとから構成されている。変位部13bは、円弧状に上向きにカーブした後、逆向きにカーブして水平溝13cへと移行する。この変位部13bの形状を調整することにより、トレー部材12の突出速度、及び終端速度変化の状態を制御できる。
【0011】
トレー部材12は、収納ケース11に対し開口11aから出し入れ可能な略板状をし、前端に設けられたカバー部23と、カバー部23の下端中央に設けられ、収納ケース11との係合を解除するためのラッチ部材20と、略中央に設けられたカップ等を案内する左右の保持部24と、両側壁に設けられて収納ケース11のガイドレール19と遊嵌される側縁25と、ホルダー部材15の回動軸26の遊嵌される軸孔27と係合部14の遊嵌される長孔28を有している。
また、保持部24の周縁には、捩りバネ29で付勢され、カップ等に当接して、揺れ止めを行う揺れ止め部材30が回動可能に軸支されている。
【0012】
ホルダー部材15は、先端(自由端)にカップ等を支える自由端部(載置部)15aと、中央後端に定荷重バネ本体16aを保持する保持部15bと、両側にトレー部材12の軸孔27に係合して回動自在に支持する回動軸26と、長孔28に遊嵌されてホルダー部材15の回動範囲を規制する係合部14とが立設されている。また、保持部15bには、定荷重バネ16の巻き軸16cを支承するための長溝15cが形成されている。そして、トレー部材12に回動軸26で半回動自在に支持されたホルダー部材15は、保持部15bに取り付けられた定荷重バネ16と、展開された引き出し端部16bを収納ケース11の係止孔22に係止することにより、収納ケース11に対してトレー部材12とともに、突出方向の付勢力を受ける。また、ホルダー部材15の上面には、緩衝部材15dが取り付けられており、トレー部材12と当接した際の衝撃を緩和している。
【0013】
定荷重バネ16は、一定の引張り力Fを有するバネで、例えば、コンストンスプリングを使用することができる。コンストンスプリングは、ドラムに弾性部材を巻き付ける形式に限らず、ドラム無しであって、仮想中心軸に巻き付ける形式であってもよい。また、定荷重バネ16の巻き軸16cとホルダー部材15の回動軸26を一致させない位置に配設する。同軸に配置すると、回動軸26廻りの回転トルクが発生せず、1個の定荷重バネで突出方向の付勢力とガタ止めトルクを得ることができないからである。
【0014】
回転ダンパ18は、収納ケース11の天井部内側に形成されたラック歯部17と歯合し、トレー部材12の突出速度を一定にする。回転ダンパ18がないとトレー部材12は、等加速度運動となってしまうからである。
【0015】
以上のように構成されたカップホルダー10の動作を図4〜図7にしたがって説明する。図4は、トレー部材を引き出した状態を示す側面図、図5は、その縦断面図である。トレー部材12が定荷重バネ16の付勢力により突出すると、ホルダー部材15も回動軸26を中心に回動してカップ等を支える自由端部(載置部)15aが下降する。自由端部(載置部)15aが下降すると定荷重バネ本体16aを保持する保持部15bが上昇して、図7に示すように定荷重バネ16の引張り力Fは、一定であるが方向が変化し、トレー部材12を突出する力は、分力F1となり、分力F2がホルダー部材15を回動軸26廻りに回転モーメントとして自由端部(載置部)15aを上昇させる方向にガタ止めとして作用する。したがって、1個のバネ部材でトレー部材12の突出力F1と、ホルダー部材15のガタ止め力F2を得ることができる。また、ホルダー部材上面の緩衝部材15dも、トレー部材12と当接して、ガタ止め効果を発揮する。
【0016】
案内部13の形状は、奥端側の水平部13aと収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部13bとから構成されており、変位部13bは、円弧状に上向きにカーブした後、逆向きにカーブして水平溝13cへと移行している。したがって、この変位部13bの形状を調整することにより、図7に示す分力F1、分力F2が変化してトレー部材12の突出速度、及び終端速度変化の状態を制御できる。
【0017】
図6は本発明のカップホルダー10のトレー部材12を収納した状態の縦断面図である。ホルダー部材15の係合部14は、案内部13に沿って収納ケース11の奥まで収納されている。また、ホルダー部材15の自由端部(載置部)15aは上昇しており、トレー部材12のカバー部23の下端中央に設けられたラッチ部材20は、収納ケース11の係合孔21と係合している。このラッチ部材20の係合を解除することで、トレー部材12が付勢力により自動的に突出する。
【実施例2】
【0018】
図8は、本発明のカップホルダーの第2の実施形態を示す斜視図、図9は本発明のカップホルダーのトレー部材を引き出した状態を示す平面図、図10は本発明のカップホルダーの側面図である。ここで、カップホルダー31は、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケース32と、収納ケース32の開口から突出、収納自在に配設されるとともに、飲料容器等を載置可能な載置部33を有するトレー部材34と、トレー部材34の一部に支承されるとともに、収納ケース32に設けられた案内部35−1、35−2を摺動する係合部36−1、36−2を有し、載置部33に載置された飲料容器等を保持するホルダー部材37と、収納ケース32とホルダー部材37との間に掛け渡され、トレー部材34を収納ケース32から突出する方向へ付勢する定荷重バネ38とからなり、定荷重バネ38をホルダー部材37にセットし、引き出し端部38aを前記収納ケースに係合するとともに、前記ホルダー部材37は、前記トレー部材34の収納ケース32からの突出動作に伴って前記トレー部材34から離反(ポップアップ)する構成である。
【0019】
収納ケース32は、前面に開口を有した略箱型をしており、天井部内側に回転ダンパ18の歯合するラック歯部17が奥端から開口方向に向けて連続形成されている。また、両側壁には、長溝状の案内部35−1、35−2が上下に並列して形成されている。更に、底壁の開口端の近傍には、トレー部材34に設けられたラッチ部材39の係合する係合孔21と定荷重バネ38の引き出し端部38aの係止される係止孔22が形成されている。案内部35−1、35−2は、奥端側の水平部35−1a、35−2aと収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部35−1b、35−2bとから構成されている。変位部35bは、円弧状に上向きにカーブしており、この変位部35bの形状を調整することにより、トレー部材34の突出速度、及び終端速度変化の状態を制御できる。また、変位部35−1b、35−2bを相互に変化させることで、トレー部材34のポップアップ状態を調整することができる。
【0020】
トレー部材34は、収納ケース32に対し開口から出し入れ可能な略板状をし、前端に設けられたカバー部40と、カバー部40の下端中央に設けられ、収納ケース32との係合を解除するためのラッチ部材39と、略中央に設けられたカップ等を載置する左右の載置部33と、両側壁の下端に設けられて収納ケース32のガイド凹溝41と遊嵌される側突条42を有している。
また、トレー部材34は、図12、14に示すように後端側壁に鉛直方向の長溝43、44が形成されている。長溝43、44は、平行配置された直線部43a、44aと奥端方向に湾曲した湾曲部43b、44bから構成されており、ホルダー部材37の側部に形成された係合部36−1、36−2が遊嵌される。
【0021】
ホルダー部材37は、略中央にカップ等を支える保持凹部37aと、中央後端に定荷重バネ本体38bを保持する保持部37bと、両側に設けられて収納ケース32の案内部35−1、35−2及びトレー部材34の長溝43、44に遊嵌される係合部36−1、36−2を有している。また、ホルダー部材37は、保持部37bに取り付けられた定荷重バネ38の展開された引き出し端部38aを収納ケース32の係止孔22に係止することにより、収納ケース32に対してトレー部材34とともに、突出方向の付勢力を受ける。
【0022】
このように構成された本実施の形態においても、図13、14に示すようにトレー部材34が収納された状態では、ホルダー部材37は、下降しており、トレー部材34のカバー部40の下端中央に設けられたラッチ部材39は、収納ケース32の係合孔21と係合している。このラッチ部材39の係合を解除することで、トレー部材34が自動的に前方へ突出する。
【0023】
トレー部材34が定荷重バネ38の付勢力により突出すると、ホルダー部材37もトレー部材34と略平行に上昇する。ホルダー部材37が上昇すると、図11に示すように定荷重バネ38の引張り力Fは、一定であるが、トレー部材34を突出する力は、分力F1となり、分力F2がホルダー部材37を下降させる方向にガタ止めとして作用する。したがって、1個のバネ部材でトレー部材34の突出力と、ホルダー部材37のガタ止め力を得ることができる。
【0024】
案内部35−1、35−2の形状は、奥端側の水平部35−1a、35−2aと収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部35bとから構成されており、変位部35−1b、35−2bは、円弧状に上向きにカーブしている。したがって、この変位部35−1b、35−2bの形状を調整することにより、分力F1、分力F2が変化してトレー部材34の終端突出速度、ホルダー部材37のポップアップ速度を制御できる。また、ホルダー部材37の係合部36−1、36−2は、案内部35−1、35−2の他にトレー部材34の長溝43、44に遊嵌しており、湾曲部43b、44bに係合することでガタ止めができる。
【実施例3】
【0025】
図15は、本発明のカップホルダーの第3の実施形態を示す斜視図、図16は本発明のカップホルダーの底面方向から看た斜視図、図17はその分解斜視図である。ここで、カップホルダー50は、車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケース51と、前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されたトレー部材52と、前記トレー部材の一部に支承されたホルダー基部54と、前記ホルダー基部54に下から支承されるとともに、基端53bでトレー部材52の奥端に形成された折曲した長穴65に取り付けられ、飲料容器等を載置可能な載置部53aを有するホルダー部材53と、前記収納ケース51とトレー部材52に取り付けられたホルダー基部54との間に掛け渡され、前記トレー部材52を収納ケース51から突出する方向へ付勢する定荷重バネ55とからなり、前記定荷重バネ55の本体を前記ホルダー基部54に、引き出し端部55bを前記収納ケース51の係止部57に係合するとともに、前記ホルダー部材53は、前記トレー部材52の収納ケース51からの突出動作に伴って自由端部(載置部)53aが前記トレー部材から離反する構成である。
【0026】
収納ケース51は、前面に開口を有した略箱型をしており、天井部内側に回転ダンパ18の歯合するラック歯部62が奥端から開口方向に向けて連続形成されている。また、両側壁には、内側に突起部56が直線的に連続形成されている。更に、底壁の開口端の近傍には、定荷重バネ55の引き出し端部55bの係止される係止部57が形成されている。更に、図19、20に示すように収納ケース51の底部内側中央には、ホルダー基部54が載置案内される案内部63が配設されている。案内部63は、収納ケース51の底面内側に設けられ、この収納ケース51の前面開口側へ向け水平方向に伸びる突条部63bと該突条部63bに連設した出口近傍の傾斜部63aとから成り、前記トレー部材52を移動する際、ホルダー基部54の係合部であるリブ54bが前記案内部63を摺動する。
【0027】
トレー部材52は、収納ケース51に対し開口から出し入れ可能な略板状をし、前端に設けられたカバー部58と、略中央に設けられたカップ等を保持する左右の保持凹部59と、両側壁の下端に設けられて収納ケース51の突起部56と遊嵌される凹溝60を有している。また、トレー部材52には、ガイドアーム61が保持凹部59を外周から支えるようにバネ64で付勢されている。
【0028】
ホルダー部材53は、先端に飲料容器等を載置可能な載置部53aを有するとともに、基端53bでトレー部材52の奥端の折曲した長穴65に支承され、載置部53aが前記トレー部材52の保持凹部59に位置するように配設されている。
【0029】
ホルダー基部54は、トレー部材52の下面に、トレー部材52の長穴66に軸54aで係止されるとともに、トレー部材に形成された軸孔に軸54cで取り付けられ、揺動可能に取り付けられる。また、ホルダー基部54の軸54cの間には、定荷重バネ55の本体が取り付けられ、下面には前記案内部63を摺動するリブ54bが立設されている。
【0030】
以上のように構成されたカップホルダー50は、定荷重バネ55の付勢力によってトレー部材52が突起部56及び凹溝60に沿って突出すると、ホルダー部材53の先端(自由端)が下降してトレー部材52から離反し、カップ等に載置部が形成される。この際、互いに嵌合された突起部56と凹溝60は、案内レールの役目を果たして、トレー部材52の突出動作を安定させることができる。
更に、図20に示すように本実施の形態に於いても定荷重バネ55の引張り力Fは、一定であるが、案内部63は、開口部近傍の傾斜部63aで下方に傾斜しているため、引っ張り方向が変化して、トレー部材52を突出する力は、分力F1となり、終端突出速度を緩やかにできる。
また、分力F2がホルダー部材53を下降させる方向にガタ止め力として作用する。したがって、1個のバネ部材でトレー部材52の突出力の調整と、ホルダー部材53のガタ止め力を得ることができる。
また、トレー部材52を収納ケース51に押し込むことにより、ホルダー部材53が自動的に畳まれて収納される。
【0031】
更に、本発明は上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 カップホルダー
11 収納ケース
11a 開口
12 トレー部材
13 案内部
13a 水平部
13b 変位部
13c 水平溝
14 係合部
15 ホルダー部材
15a 自由端部
15b 保持部
15c 長溝
15d 緩衝部材
16 定荷重バネ
16a 本体
16b 引き出し端部
16c 巻き軸
17 ラック歯部
18 回転ダンパ
19 案内部
20 ラッチ部材
21 係合孔
22 係止孔
23 カバー部
24 保持部
25 側縁
26 回動軸
27 軸孔
28 長孔
29 捩りバネ
30 揺れ止め部材
31 カップホルダー
32 収納ケース
33 載置部
34 トレー部材
35−1、35−2 案内部
36−1、36−2 係合部
37 ホルダー部材
38 定荷重バネ
38a 引き出し端部
39 ラッチ部材
40 カバー部
41 ガイド凹溝
42 側突条
43a、43b 長溝
44a、44b 長溝
50 カップホルダー
51 収納ケース
52 トレー部材
53 ホルダー部材
53a 載置部
54 ホルダー基部
54a 軸
54b リブ
54c 軸
55 定荷重バネ
55b 引き出し端部
56 突起部
57 係止部
58 カバー部
59 保持凹部
60 凹溝
61 ガイドアーム
62 ラック歯部
63 案内部
63a 傾斜部(先端)
63b 突条部
64 バネ
65 長穴
66 長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、
前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されたトレー部材と、
前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、飲料容器等を載置可能な載置部を有するホルダー部材と、
前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、
前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、
前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って自由端部が前記トレー部材から離反することを特徴とするカップホルダー。
【請求項2】
車両内装部材に固定され、前面が開口した収納ケースと、
前記収納ケースの開口から突出、収納自在に配設されるとともに、飲料容器等を載置可能な載置部を有するトレー部材と、
前記トレー部材の一部に支承されるとともに、前記収納ケースに設けられた案内部を摺動する係合部を有し、前記載置部に載置された飲料容器等を保持するホルダー部材と、
前記収納ケースと前記ホルダー部材との間に掛け渡され、前記トレー部材を収納ケースから突出する方向へ付勢する定荷重バネとからなり、
前記定荷重バネの本体を前記ホルダー部材に、引き出し端部を前記収納ケースに係合するとともに、
前記ホルダー部材は、前記トレー部材の収納ケースからの突出動作に伴って前記トレー部材から離反することを特徴とするカップホルダー。
【請求項3】
前記案内部は、前記収納ケースの側面に設けられ、該収納ケース前面開口側へ向け高さ方向に変位する変位部を有し、
該変位部において前記定荷重バネの荷重方向がトレー部材の突出量に伴って変化することを特徴とする請求項1または2に記載のカップホルダー。
【請求項4】
前記収納ケースは、上下に並設された2個の案内部を有しており、前記ホルダー部材は、前記案内部にそれぞれ対向する位置に前記係合部が2個設けられ、前記トレー部材の移動に伴い、前記案内部内を前記係合部が摺動することを特徴とする請求項1〜3に記載のカップホルダー。
【請求項5】
前記案内部は、前記収納ケースの底面に設けられ、該収納ケースの前面開口側へ向け水平方向に伸びる突条部と該突条部に連設した傾斜部とから成り、
前記トレー部材を移動する際、前記ホルダー部材の係合部であるリブが前記案内部を摺動することを特徴とする請求項1または2に記載のカップホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−245836(P2012−245836A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117741(P2011−117741)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】