説明

カテーテルセット

【課題】ホルダチューブ内側中空部のプライミングと、カテーテル内側中空部のプライミングを同時に行うことができ、これによってプライミング作業を簡素化できるカテーテルセットを提供する。
【解決手段】ホルダチューブ10Aは、カテーテル12が挿入される中空のチューブ本体20と、チューブ本体20の一端部に連結されたコネクタ22とを備える。コネクタ22は、チューブ本体20が連結されたチューブ連結ポート37と、カテーテル12の基端部を構成するハブ16に接続可能なカテーテル接続ポート36と、シリンジ6に接続可能な注入具接続ポート38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルと、このカテーテルを収納するホルダチューブとの組み合わせからなるカテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、血管内や体腔内に挿入してカテーテル先端を目的部位まで到達させ、治療用の薬剤注入や診断用の造影剤注入を行うために使用される。カテーテルは、使用前においては、一般に、渦巻状に巻かれたホルダチューブに収納されており、使用の際にホルダチューブから引き抜かれて使用される(例えば、下記特許文献1参照)。このようなカテーテルの使用に先立って、以下に説明するホルダチューブ内側中空部のプライミングと、カテーテル内側中空部のプライミングを行う必要がある。
【0003】
ホルダチューブ内側中空部のプライミングでは、カテーテルをホルダチューブから引き抜くことに先立って、ホルダチューブ内に生理食塩水などを注入してカテーテル湿潤させるためカテーテルを浸漬する。カテーテルの血管内での潤滑性を得ることを目的としてカテーテルのシャフトの外表面に親水性コートが被覆されている場合、ホルダチューブ内側内表面とシャフトの表面とが張り付くことが懸念される。これを防止するため、ホルダチューブ内側中空部のプライミングを行う。
【0004】
カテーテル内側中空部のプライミングでは、カテーテル内側中空部に生理食塩水などを注入してカテーテル内側中空部を濡らす(例えば、下記特許文献2参照)。カテーテル内側中空部が十分に濡れていないと、カテーテル内に挿入されるガイドワイヤ等がカテーテル内側内表面に張り付く、又はガイドワイヤ等とカテーテル内側内表面の摩擦が増加することにより、ガイドワイヤの操作性に支障を来たす懸念があるとともに、空気が患者体内に送り込まれ、空気塞栓を生じる懸念がある。これを防止するため、カテーテル内側中空部のプライミングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4280526号公報
【特許文献2】特開2006−51342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、これまでは、ホルダチューブ内側中空部のプライミングと、カテーテル内側中空部のプライミングは、個別に行う必要があり、一連のプライミングの操作が煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ホルダチューブ内側中空部のプライミングと、カテーテル内側中空部のプライミングを同時に行うことができ、これによってプライミング作業を簡素化できるカテーテルセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、カテーテルと、前記カテーテルを収納するホルダチューブと、を有するカテーテルセットであって、前記ホルダチューブは、前記カテーテルが挿入される中空のチューブ本体と、前記チューブ本体の一端部に連結されたコネクタとを備え、前記コネクタは、前記チューブ本体が連結されたチューブ連結ポートと、前記カテーテルの基端部を構成するハブに接続可能なカテーテル接続ポートと、液体注入具に接続可能な注入具接続ポートとを有することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、カテーテル結合ポートをホルダチューブ内側中空部に収納されたカテーテルのハブに接続するとともに、プライミング溶液を収容した液体注入具を注入具接続ポートに接続した状態で、液体注入具によりコネクタ内にプライミング溶液を注入すると、カテーテル接続ポートを介してカテーテル内側中空部に流入したプライミング溶液は、カテーテル内側中空部をカテーテル先端に向かって流れる。一方、チューブ連結ポートを介してチューブ本体内側中空部に流入したプライミング溶液は、チューブ本体とカテーテルとの間を流れる。すなわち、チューブ本体内側中空部に流入したプライミング溶液は、チューブ本体内側内表面とカテーテル外表面により形成される空間を流れることとなる。これにより、カテーテル内表面と外表面、及びホルダチューブ内表面の両方を同時にプライミングすることができ、プライミングに要する時間を短縮化できる。
【0010】
上記のカテーテルセットにおいて、前記チューブ本体には、前記チューブ本体の一端部内でカテーテル軸方向に対して並列状に延在する第1ルーメン及び第2ルーメンが設けられ、前記第1ルーメンは、前記コネクタからの液体の前記ホルダチューブへの流入口となるように、前記チューブ連結ポートに連通し、前記第2ルーメンは、前記カテーテルの先端から流出した液体を前記チューブ本体の外部に排出するための液体排出口に連通し、前記第2ルーメンには、前記カテーテルの先端が配置されるとよい。
【0011】
上記の構成によれば、チューブ連結ポートからのプライミング溶液は、第1ルーメンを介してチューブ本体内側中空部に流入してカテーテル外面を濡らす一方、カテーテル接続ポートを介してカテーテル内側中空部に流入したプライミング溶液は、カテーテル内側中空部を経由してカテーテル先端から流出し、第2ルーメン及び液体排出口を介してホルダチューブの外部に流出する。このため、チューブ本体の一端部側に設けられた液体排出口と、チューブ本体の他端部側の開口の両方からのプライミング溶液の排出により、カテーテル内側中空部とホルダチューブ内側中空部の両方のプライミングが完了したことを確認できる。
【0012】
上記のカテーテルセットにおいて、前記チューブ本体は、前記チューブ本体の略全長を構成し前記チューブ連結ポートに連結された第1チューブと、前記第1チューブの前記コネクタ側の端部の内側中空部に設けられた第2チューブとを有し、前記第1ルーメンは、前記第1チューブと前記第2チューブの間の空間により構成され、前記第2ルーメンは、前記第2チューブの中空部により構成され、前記第1チューブの前記コネクタ側の端部近傍には、前記液体排出口として機能する側孔が設けられ、前記第2チューブの前記コネクタ側の端部は、前記側孔に臨むように配置されてもよい。
【0013】
このように、チューブ本体を第1チューブと第2チューブとで構成することにより、第1ルーメンと第2ルーメンとをチューブ本体内に容易に形成することができる。また、第1チューブに側孔を設けることにより、カテーテル先端から流出したプライミング溶液をチューブ本体の外部に排出するための液体排出口を容易に形成することができる。
【0014】
上記のカテーテルセットにおいて、前記チューブ本体は、前記チューブ本体の略全長を構成する第1チューブと、前記第1チューブの前記コネクタ側の端部の内部に設けられ、前記チューブ連結ポートに連結された第2チューブとを有し、前記第1ルーメンは、前記第2チューブの中空部により構成され、前記第2ルーメンは、前記第1チューブ内表面と前記第2チューブ外表面の間の空間により構成されてもよい。
【0015】
このように、チューブ本体を第1チューブと第2チューブとで構成することにより、第1ルーメンと第2ルーメンとをチューブ本体内に容易に形成することができる。また、この構成の場合、第2チューブはチューブ連結ポートと連結されているため、第2チューブに側孔を設ける必要がなく、構成を簡素化できる。
【0016】
上記のカテーテルセットにおいて、前記第1チューブのうち、前記第2チューブを包囲する部分又は前記コネクタ側の端部には、前記液体排出口として機能する側孔が周方向に1又は2以上設けられてもよい。
【0017】
このように周方向の複数箇所に側孔が設けられることにより、カテーテル先端から流出したプライミング溶液がチューブ本体の外部に流出しやすいため、カテーテル内のプライミングが完了したことを迅速に確認することができる。
【0018】
上記のカテーテルセットにおいて、前記コネクタは、前記コネクタ内部の流路分岐部と前記チューブ連結ポートの口部との間の流路に絞りを有してもよい。
【0019】
通常、カテーテルの内径はチューブ本体の内径と比べて小径であるため、このような絞りを設けることにより、チューブ本体だけにプライミング溶液が流入するということがなく、カテーテルにプライミング溶液を効果的に流入させることができ、カテーテルのプライミングを確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るカテーテルセットによれば、ホルダチューブ内側中空部のプライミングと、カテーテル内側中空部のプライミングを同時に行うことができ、これによってプライミング作業を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルセットの全体構成を示す平面図である。
【図2】図2Aは、図1に示したホルダチューブのコネクタの一部省略断面図であり、図2Bは、図2AにおけるIIB−IIB線に沿った断面図であり、図2Cは、図2AにおけるIIC−IIC線に沿った断面図である。
【図3】図1に示したカテーテルセットを用いたプライミング方法を説明する図である。
【図4】図1に示したカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図である。
【図5】第2構成例に係るホルダチューブを有するカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図である。
【図6】図6Aは、第3構成例に係るホルダチューブを有するカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図であり、図6Bは、図6AにおけるVIB−VIB線に沿った断面図である。
【図7】図7Aは、第4構成例に係るホルダチューブを有するカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図であり、図7Bは、図7AにおけるVIIB−VIIB線に沿った断面図である。
【図8】図8Aは、第5構成例に係るホルダチューブを有するカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図であり、図8Bは、図8AにおけるVIIIB−VIIIB線に沿った断面図であり、図8Cは、図8AにおけるVIIIC−VIIIC線に沿った断面図である。
【図9】図9Aは、第6構成例に係るホルダチューブを有するカテーテルセットを用いてプライミングを実施しているときのコネクタ及びその周辺を示す一部省略断面図であり、図9Bは、図9AにおけるIXB−IXB線に沿った断面図であり、図9Cは、図9AにおけるIXC−IXC線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るホルダチューブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテルセット10の全体構成を示す平面図である。カテーテルセット10は、カテーテル12と、このカテーテル12を収容するホルダチューブ14とを有している。カテーテル12は、使用前においては渦巻状又は巻回状に保持されたホルダチューブ14内側中空部に収容され破損しないように保持されている。また、カテーテル12をホルダチューブ14内に収容した状態で滅菌された後、袋体に収納され清浄性が保持されている。
【0024】
カテーテル12は、治療用の薬剤注入等のために使用される治療用カテーテル、診断用の造影剤注入のために使用される造影カテーテルなど、どのような種類のカテーテルであってもよい。カテーテル12は、細径で長尺なシャフト15と、シャフト15の基端に接続されたハブ16と、シャフト15のハブ16への接続部に設けられたストレインリリーフ18とを備える。
【0025】
ハブ16は、その先端にてシャフト15の基端を保持するものであり、基端にはシリンジ(図示せず)やコネクタ22(図3参照)等の他の器具が接続可能となっている。ストレインリリーフ18は、シャフト15のハブ16への接続部での屈曲(キンク)を防止する。
【0026】
シャフト15は、先端から基端まで連通する中空状の可撓性を有するチューブ状の部材である。シャフト15の外表面には、親水性コーティングが施されている。親水性コーティングすることにより、親水性コーティングが血管内で潤滑性を発揮しカテーテル12の摺動性が向上するため、カテーテル12の操作が容易となる。このような親水性コーティングは、シャフト15の基端部(近位端部)よりも先端側の部分の外表面全体又は一部に施されることが好ましい。
【0027】
次に、ホルダチューブ14の構成について説明する。ホルダチューブ14は、製品出荷時には、例えば、渦巻状に巻かれた状態で、図示しない固定具により渦巻形状を保持されているが、図1では、前記固定具を取り外して、ホルダチューブ14の両端部を自由に変位させることができる状態を示している。
【0028】
ホルダチューブ14は、カテーテル12が挿入される中空状のチューブ本体20と、チューブ本体20の一端部に連結されたコネクタ22とを備えている。ここで、図2Aは、ホルダチューブ14の一部省略断面図であり、図2Bは、図2AにおけるIIB−IIB線に沿った断面図であり、図2Cは、図2AにおけるIIC−IIC線に沿った断面図である。
【0029】
チューブ本体20は、チューブ本体20の略全長を構成しコネクタ22に連結された第1チューブ24と、第1チューブ24のチューブ連結ポート37側の端部内側中空部に設けられた第2チューブ26とを有する。また、チューブ本体20内には、チューブ本体20の一端部(コネクタ22側の端部)内で並列状に延在する第1ルーメン28及び第2ルーメン30が設けられている。
【0030】
第1チューブ24は、全体がほぼ同じ外径および内径の円筒状チューブであり、その内部には、カテーテル12を収容するための内側中空部が軸線方向に設けられている。第1チューブ24の一端部である第1端部13aに、コネクタ22が連結され、第1チューブ24の他端部である第2端部13b(図1参照)は、カテーテル12を挿入するための挿入口として構成されている。
【0031】
第1チューブ24の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のある程度の可撓性を備える樹脂材料が使用される。
【0032】
第1チューブ24は、上記樹脂材料を射出成形又は押出成形等することにより作製される。第1チューブ24の長さは、カテーテル12のシャフト15の略全長が収納され、かつ、シャフト15の略全長が収納された状態でシャフト15の先端部が、第1チューブ24の第1端部13a近傍に位置するように設定される。
【0033】
第2チューブ26は、第1チューブ24の内側中空部で第1端部13aの近傍箇所に配置されており、第1チューブ24の内周面に、第1チューブ24と同軸方向になるように接着、溶着等により固着されている。第2チューブ26の、コネクタ22とは反対側の端部は、カテーテル12のシャフト15の挿入口として軸線方向に開口している。第2チューブ26のコネクタ22側の端部は、第1チューブ24の第1端部13a近傍に設けられた側孔32に臨むように配置されている。第2チューブ26のコネクタ22側の端部には、側孔32に臨む孔34が設けられ、側孔32と孔34は連通している。また、第2チューブ26のコネクタ22側端部は閉じられているため、第2チューブ26のコネクタ22側の開口は孔34のみとなる。あるいは、第2チューブ26のコネクタ22側の端部のルーメンが第1チューブ24の外表面に開口して側孔32が形成されるように構成されてもよい。
【0034】
第1チューブ24に設けられた側孔32は、カテーテル12の先端から流出したプライミング溶液(プライミングの際に使用される生理食塩水)をチューブ本体20の外部に排出するための液体排出口として機能する。
【0035】
第2チューブ26の中空部には、シャフト15の先端部が配置されている。第2ルーメン30は、第2チューブ26の中空部により構成されており、シャフト15の先端部を収容するとともに、プライミングの際には、シャフト15の先端部から流出したプライミング溶液を流すための流路として機能する。
【0036】
製品組立工程において、カテーテル12を渦巻状のホルダチューブ14に収納する際に、カテーテル12先端(シャフト15の先端)を第2チューブ26に挿入しやすいように、第2チューブ26は、湾曲する第1チューブ24の曲がりの外周側の位置に配置されるのがよい。また、カテーテル12先端を第2チューブ26に挿入しやすいように、第2チューブ26のコネクタ22とは反対側の端部の内径を大きくしてもよい。
【0037】
シャフト15の最先端部は、側孔32、34に臨む位置に配置されている。第2チューブ26の長さは、シャフト15の先端部を安定して収容できるように設定される。製品組立工程において、カテーテル12をホルダチューブ14に収納する際に、シャフト15の先端を第2チューブ26内に挿入及び配置できるように、第2チューブ26の内径は、シャフト15の先端の外径よりも大きく設定されている。
【0038】
第2チューブ26の外径は、第1チューブ24の内径よりも小さく、このため、第1チューブ24内表面と第2チューブ26外表面との間には、空間が形成されている。上述した第1ルーメン28は、第1チューブ24内表面と第2チューブ26外表面の間の空間により構成され、コネクタ22からのプライミング溶液をチューブ本体20の内側中空部に導入する際の流路として機能する。
【0039】
第2チューブ26の構成材料としては、上述した第1チューブ24の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0040】
次に、コネクタ22の構成について説明する。コネクタ22は、チューブ本体20が連結されたチューブ連結ポート37と、カテーテル12のハブ16に接続可能なカテーテル接続ポート36と、シリンジ6(液体注入具)に接続可能な注入具接続ポート38とを有する。コネクタ22の構成材料としては、上述したチューブ本体20の構成材料と同様のものを使用することができる。
【0041】
図2Aに示すように、コネクタ22は、3つのポートを有する分岐コネクタとして構成されており、コネクタ22の外装を構成するボディ46の内部には、プライミング溶液を流すための3つのポートが連結され、連通する流路46aが形成されている。
【0042】
図示した構成例において、チューブ連結ポート37とカテーテル接続ポート36は、ボディ46を構成する直線状の管部48の両端に設けられ、注入具接続ポート38は、管部48の軸線に対して傾斜するように管部48に連結している。このような配置により、プライミングを実施する際に、カテーテル接続ポート36をカテーテル12のハブ16に接続しやすいとともに、シリンジ6を注入具接続ポート38に接続しやすい。
【0043】
注入具接続ポート38は、カテーテル接続ポート36の側に傾斜するように設けられているが、チューブ連結ポート37の側に傾斜するように設けられてもよい。あるいは、注入具接続ポート38は、管部48の軸線に対して垂直に設けられてもよい。その他、チューブ連結ポート37、カテーテル接続ポート36及び注入具接続ポート38の配置は、図示例の構成に限らず、適宜変更できる。
【0044】
チューブ連結ポート37には、第1チューブ24の第1端部13aが固着されている。この固着は、圧入、融着、接着等の適宜の固定方法によりなされる。図示例では、第1チューブ24の第1端部13aの外周面が、チューブ連結ポート37の内周面に固着されている。
【0045】
カテーテル12の内側中空部断面積よりもチューブ本体20の内側中空部の流路断面積が大きい場合、プライミング溶液がチューブ本体20内側中空部だけに流れてしまい、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了しない可能性がある。こうした場合、プライミング溶液がコネクタ22内部に注入された際に、コネクタ22側からチューブ本体20側へのプライミング溶液の流れを制御するために、図2Aに示すように、コネクタ22内部の流路分岐部50とチューブ連結ポート37の口部37aとの間の流路(図示せず)に、流体抵抗増大部としての絞り40を設けてもよい。このような絞り40を設けることで、プライミング溶液がコネクタ22内部に注入された際に、プライミング溶液がチューブ本体20内側中空部だけに流入することが防止される。図示例の絞り40は、コネクタ22を構成するボディ46の内周部に固定された部材であるが、ボディ46の内周部に一体的に形成されたものであってもよい。
【0046】
絞り40の開口部の断面積は、第1チューブ24の内側中空部断面積とカテーテル12(具体的には、シャフト15)の内側中空部断面積とを考慮して決められる。
【0047】
第1チューブ24の内側中空部には第2チューブ26が設けられているため、第1チューブ24のうち、第2チューブ26が設けられた部分(第1ルーメン28)の流路断面積は、第2チューブ26が存在する断面積の分だけ小さくなっている。すなわち、第2チューブ26は、コネクタ22側からチューブ本体20内へのプライミング溶液の流れに対し、流体抵抗増大部として機能し得る。従って、コネクタ22側からチューブ本体20内へのプライミング溶液の流れを第2チューブ26により抑制でき、プライミング溶液がチューブ本体20側だけに流れることを制御あるいは抑制できる場合には、上述した絞り40は設けなくてもよい。
【0048】
カテーテル接続ポート36は、カテーテル12のハブ16に接続可能に構成されており、図示例では、ハブ16の基端開口に挿入及び嵌合可能な先端管部42と、先端管部42の外周側に回転可能に設けられたロック部44とを有する。ロック部44の内周には雌ネジ部44aが形成され、先端管部42がハブ16の基端開口に挿入された際に、ロック部44がハブ16の基端外周に設けられた雄ねじ部に螺合するようになっている。
【0049】
注入具接続ポート38は、シリンジ6の先端管部7(図4参照)が挿入及び嵌合可能な口部38aを有している。なお、注入具接続ポート38の口部38aは、シリンジ6の先端管部7ではなく、シリンジ6に接続された他のチューブが接続できるように構成されてもよい。
【0050】
本実施形態に係るカテーテルセット10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0051】
上記のように構成されたカテーテルセット10のプライミングを実施するには、図3に示すように、まず、カテーテル12がホルダチューブ14内側中空部に収納された状態で、コネクタ22のカテーテル接続ポート36をカテーテル12のハブ16に接続する。図示のように、ホルダチューブ14の巻回形状を保持したままカテーテル接続ポート36とハブ16とを接続すると、カテーテルセット10をコンパクトな状態に保持できる。また、この接続に際しては、カテーテル接続ポート36に設けられたロック部44を回転させることにより、カテーテル接続ポート36とハブ16とを強固に固定する。なお、カテーテル接続ポート36は、製品組立時に予めハブ16に接続されていてもよく、この場合、前述の手順は省略される。
【0052】
次に、ライミング溶液(生理食塩水)を収容(充填)したシリンジ6を、注入具接続ポート38に接続する。このとき、図3に示すように、コネクタ22が上側になり、チューブ本体20が下側になり、かつ、コネクタ22の注入具接続ポートが上向きになるようにして、ホルダチューブ14を立てた状態にすると、シリンジ6をコネクタ22に接続しやすいとともに、プライミング溶液を注入する際のシリンジ6の操作がしやすくなる。また、後述するようにプライミングに際してはプライミング溶液がホルダチューブ14から排出されるため、プライミング溶液を受け止めるためのトレー54をカテーテルセット10の下に置いてプライミングを実施するとよい。
【0053】
なお、シリンジ6を注入具接続ポート38に直接接続する代わりに、シリンジ6の先端管部7に別のチューブの一端を接続し、当該チューブの他端を注入具接続ポート38に接続してもよい。そして、シリンジ6と注入具接続ポート38とが直接的に、あるいは別のチューブを介して接続された状態で、シリンジ6の押し子8を先端側に押し込み、シリンジ6内のプライミング溶液をコネクタ22内に注入する。
【0054】
すると、図4に示すように、コネクタ22内に流入したプライミング溶液52は、流路分岐部50にて、チューブ本体20の内側中空部へ向かう流れと、カテーテル12内側中空部へ向かう流れとに分流される。この場合、コネクタ22内に設けられた絞り40によりチューブ本体20の内側中空部のプライミング溶液52の流通抵抗が増大しているので、チューブ本体20の内側中空部だけにプライミング溶液52が流入するということがなく、カテーテル12内側中空部にもプライミング溶液52を効果的に流すことが可能である。
【0055】
カテーテル12のシャフト15の内側中空部断面積は非常に小さく、カテーテル12内への液体の流入抵抗が大きいため、プライミング溶液52の注入時におけるコネクタ22内の圧力が高くなるが、カテーテル接続ポート36に設けられたロック部44の作用によりカテーテル接続ポート36とハブ16とが強固に接続されているので、カテーテル接続ポート36がハブ16から外れることがなく、安定した状態でプライミング操作を行うことができる。
【0056】
チューブ連結ポート37からのプライミング溶液52は、第1ルーメン28を介してチューブ本体20の内側中空部に流入し、カテーテル12外表面を濡らす。プライミング溶液52がチューブ本体20の第2端部13b(図3参照)まで達すると、第2端部13bからプライミング溶液52が流出するので、この流出によりホルダチューブ14の内側中空部のプライミングが完了したことを確認することができる。
【0057】
一方、カテーテル接続ポート36を介してカテーテル12の内側中空部に流入したプライミング溶液52は、第2ルーメン30に配置されたシャフト15の先端から流出し、第2ルーメン30及び側孔32、34を介してホルダチューブ14の外部に流出する。これによりカテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを確認できる。
【0058】
このように、第1チューブ24の第1端部側13aの外表面に開口するように設けられた側孔32と、第1チューブ24の第2端部13bの両方からのプライミング溶液52の排出により、カテーテル12の内側中空部とホルダチューブ14の内側中空部の両方のプライミングが完了したことを確認できる。
【0059】
以上のように、カテーテルセット10によれば、カテーテル12の内側中空部とホルダチューブ14の内側中空部を個別の操作でプライミングする必要がなく、すなわち、カテーテル12の内側中空部とホルダチューブ14の内側中空部の両方を同時に1つの操作でプライミングすることができることから、プライミング作業を簡素化できる。
【0060】
また、カテーテルセット10では、チューブ本体20が第1チューブ24と第2チューブ26とで構成されているため、第1ルーメン28と第2ルーメン30とを有する二重ルーメン構造をチューブ本体20内に容易に形成することができる。また、第1チューブ24の外表面に開口する側孔32を設けることにより、カテーテル12先端から流出したプライミング溶液52をチューブ本体20の外部に排出するための液体排出口を容易に形成することができる。
【0061】
上述したカテーテルセット10において、ホルダチューブ14の変形例として、図5に示す第2構成例に係るホルダチューブ14Aを採用してもよい。ホルダチューブ14Aは、チューブ本体20Aの第2チューブ26aが液溜り部56を有する点で、図2に示したホルダチューブ14と相違する。すなわち、このホルダチューブ14Aにおいて、第2チューブ26aの、側孔32に臨む端部には、第1チューブ24の内方に膨出した液溜り部56が設けられている。カテーテル12のシャフト15の先端部は、側孔32に臨んでおり、従って、液溜り部56近傍に位置している。第2構成例に係るホルダチューブ14Aは、第2チューブ26aに液溜り部56が設けられている点以外は、図2等に示したホルダチューブ14と同一構成である。
【0062】
コネクタ22が上側になり、渦巻状又は巻回状に曲げられたチューブ本体20Aが下側になるようにカテーテルセット10を立てた状態でプライミングを実施する場合(図3と同様の状態で使用する場合)、液溜り部56にカテーテル12の先端部から流出したプライミング溶液52が溜まるので、側孔32、34を通して目視でプライミング溶液52の存在を確認することができる。従って、側孔32、34を通して見えるプライミング溶液52の存在により、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを容易かつ迅速に確認することができる。
【0063】
上述したカテーテルセット10において、ホルダチューブ14に代えて、図6A及び図6Bに示す第3構成例に係るホルダチューブ14Bを採用してもよい。このホルダチューブ14Bは、カテーテル12が挿入される内側中空部を有するチューブ本体60と、チューブ本体60の一端部に連結されたコネクタ22とを備えている。コネクタ22は、図2に示したコネクタ22と同一構成である。
【0064】
チューブ本体60は、チューブ本体60の略全長を構成する第1チューブ62と、第1チューブ62のチューブ連結ポート37側の端部内に設けられた第2チューブ64とを有する。また、チューブ本体60内には、チューブ本体60の一端部内で同軸方向に並列状に延在する第1ルーメン66及び第2ルーメン68が設けられている。
【0065】
第1チューブ62は、全体がほぼ同じ外径および内径の円筒状チューブであり、カテーテル12を収容するため軸線方向に中空状となっている。なお、本実施形態において、第1チューブ62の内径は、チューブ連結ポート37の外径よりも大きく設定されている。第1チューブ62のコネクタ22側の端部内には第2チューブ64が配置され、第1チューブ62の他端部(図1に示した符号13bで示す部分に相当する箇所)は、カテーテル12を挿入するための挿入口として構成されている。
【0066】
第2チューブ64は、第1チューブ62の一端部から軸線方向に突出するように配置されており、第1チューブ62の内周面の一部に、接着、溶着等により固着されている。第2チューブ64のうち、第1チューブ62から突出する部分は、チューブ連結ポート37に連結されている。具体的には、第2チューブ64のうち、第1チューブ62から突出する部分の外周面は、チューブ連結ポート37の内周面に、接着、溶着等により固着されている。
【0067】
第1チューブ62及び第2チューブ64の構成材料としては、図2A等に示した第1チューブ24の構成材料として例示した材料を用いることができる。
【0068】
第2チューブ64の外径は、第1チューブ62の内径よりも小さく、第1チューブ62内表面と第2チューブ64外表面との間の空間には、シャフト15の先端部が配置されている。第2ルーメン68は、第1チューブ62内表面と第2チューブ64外表面との間の空間により構成され、シャフト15の先端部を収容するとともに、プライミングの際には、シャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52を流すための流路として機能する。
【0069】
第1チューブ62のうち、第2チューブ64を包囲する部分であって、第2チューブ64との接合部65を除く部分には、カテーテル12の先端から流出したプライミング溶液52をチューブ本体60の外部に排出するための液体排出口として機能する側孔70(70a〜70c)が周方向に1つ又は複数(図示例では3つ)設けられる。図示例の側孔70は、第1チューブ62の一端部において、接合部65の両側と、当該接合部65と反対側の合計3箇所に、略60度間隔で第1チューブ62の外表面に開口するように設けられている。側孔70a〜70cの第1チューブ62の軸線方向に関する位置関係は、同一位置に限らず、軸線方向にずれていてもよい。
【0070】
製品組立工程において、カテーテル12を渦巻状のホルダチューブ14Bに収納する際に、カテーテル12先端(シャフト15の先端)を第2ルーメン68に挿入しやすいように、第2チューブ64は、湾曲する第1チューブ62における曲がりの内周側の位置に配置されるのがよい。これにより、湾曲する第1チューブ62の曲がりの外周側に第2ルーメン68が形成され、カテーテル12自体の剛性により、カテーテル12は第1チューブ62の外周側を沿うように挿入されるため、カテーテル12のシャフト15の先端が挿入しやすくなる。
【0071】
上述した第1ルーメン66は、第2チューブ64の中空部により構成され、コネクタ22からのプライミング溶液52をチューブ本体60内側中空部に導入する際の流路として機能する。
【0072】
上記のように構成されたホルダチューブ14Bを用いたプライミングにおいて、カテーテル12のシャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52は、側孔70を介してチューブ本体60の外部に排出される。従って、上記のように構成されたホルダチューブ14Bによっても、第1チューブ62の側孔70からのプライミング溶液52の排出により、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを容易かつ迅速に確認することができる。
【0073】
また、ホルダチューブ14Bでは、チューブ本体60が第1チューブ62と第2チューブ64とで構成されているので、第1ルーメン66と第2ルーメン68とを有する二重ルーメン構造をチューブ本体60内に容易に形成することができる。また、この構成の場合、第2チューブ64はチューブ連結ポート37と連結されているため、第2チューブ64には、図2Aに示した側孔34に相当するものを設ける必要がなく、構成を簡素化できる。
【0074】
コネクタ22が上側になり、渦巻状又は巻回状に曲げられたチューブ本体60が下側になるようにカテーテルセット10を立てた状態でプライミングを実施する場合(図3と同様の状態で実施する場合)、シャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52は図6Bに示すように下方に流れやすい。この場合、プライミング溶液52は、図6Bで下側に位置する他の側孔70b、70cからは容易に排出される。これにより、第2ルーメン68からプライミング溶液52が排出されやすくなり、カテーテル12内側中空部のプライミングが完了したことを、より迅速に確認することができる。
【0075】
図1に示したカテーテルセット10において、ホルダチューブ14に代えて、図7A及び図7Bに示す第4構成例に係るホルダチューブ14Cを採用してもよい。図7Aは、ホルダチューブ14Cの一部省略断面図であり、図7Bは、図7AにおけるVIIB−VIIB線に沿った断面図である。
【0076】
このホルダチューブ14Cは、図6Aに示したホルダチューブ14Bの第1チューブ62をチューブ連結ポート37側に延長するとともに、側孔70を無くしたものに相当する。すなわち、ホルダチューブ14Cのチューブ本体20Cは、第1チューブ62とは異なる構成の第1チューブ72を有している。具体的には、第1チューブ72は、チューブ連結ポート37を包囲する位置まで延在しており、チューブ連結ポート37を包囲する側の端部が、プライミング溶液52を排出するための液体排出口として機能すべく軸線方向に開口している。
【0077】
上記のように構成されたホルダチューブ14Cを用いたプライミングにおいて、カテーテル12のシャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52は、第1チューブ72の端部(第1チューブ72とチューブ連結ポート37との間の隙間)を介してチューブ本体20Cの外部に排出される。従って、上記のように構成されたホルダチューブ14Cによっても、第1チューブ72の端部からのプライミング溶液52の排出により、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを容易かつ迅速に確認することができる。また、ホルダチューブ14Cによれば、第1チューブ72のコネクタ22側の端部開口に液体排出口としての機能を持たせているため、第1チューブ72には、図6A及び図6Bに示した側孔70を設ける必要がなく、第1チューブ72の構成を簡素化できる。
【0078】
図1に示したカテーテルセット10において、ホルダチューブ14に代えて、図8A〜図8Cに示す第5構成例に係るホルダチューブ14Dを採用してもよい。図8Aは、ホルダチューブ14Dの一部省略断面図であり、図8Bは、図8AにおけるVIIIB−VIIIB線に沿った断面図であり、図8Cは、図8AにおけるVIIIC−VIIIC線に沿った断面図である。
【0079】
このホルダチューブ14Dは、第1チューブ74と第2チューブ64の接続構造及び形状の点において、図6Aに示したホルダチューブ14Bと相違する。すなわち、図8A〜図8Cに示すように、ホルダチューブ14Dのチューブ本体20Dは、第1チューブ62と異なる構成の第1チューブ74を有する。具体的には、第1チューブ74の一端部は、周方向の位置に関して注入具接続ポート38側(図8Aで上側)の内周部で、第2チューブ64の外周部と接合又は固着されている。第2チューブ64の一端部の外周面はチューブ接続ポート38の内周部に接合又は固着されている。第1チューブ74は、第2チューブ64外周部との接合部から他端部、つまりチューブ接続ポート38と反対側に向かって内径が拡大している。このため、第1チューブ74内表面と第2チューブ64外表面との間には隙間が形成されている。
【0080】
第1チューブ74の一端部において、周方向の位置に関して第1チューブ74と第2チューブ64との接合部76とは反対側、すなわち、周方向の位置に関して注入具接続ポート38が設けられた側とは反対側(図8Aで下側)には、液体排出口として機能する側孔78が設けられている。
【0081】
上記のように構成されたホルダチューブ14Dを用いたプライミングにおいて、カテーテル12のシャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52は、側孔78を介してチューブ本体20Dの外部に排出される。従って、上記のように構成されたホルダチューブ14Dによっても、第1チューブ74の側孔78からのプライミング溶液52の排出により、カテーテル12内のプライミングが完了したことを容易かつ迅速に確認することができる。
【0082】
ホルダチューブ14Dを備えたカテーテルセット10を立てた状態にすると(図3参照)、側孔78は下向きとなる。このため、カテーテルセット10を立てた状態でプライミングを実施した際に、シャフト15の先端から流出したプライミング溶液52が、下向きに開口する側孔78からチューブ本体20Dの外部に流出しやすい。これにより、カテーテル12内のプライミングが完了したことを、より迅速に確認することができる。
【0083】
図1に示したカテーテルセット10において、ホルダチューブ14に代えて、図9A〜図9Cに示す第6構成例に係るホルダチューブ14Eを採用してもよい。図9Aは、ホルダチューブ14Eの一部省略断面図であり、図9Bは、図9AにおけるIXB−IXB線に沿った断面図であり、図9Cは、図9AにおけるIXC−IXC線に沿った断面図である。
【0084】
このホルダチューブ14Eは、第1チューブ80と第2チューブ82の接続構造の点において、図6Aに示したホルダチューブ14Bと相違する。すなわち、図9A〜図9Cに示すように、ホルダチューブ14Eのチューブ本体20Eは、第1チューブ62と異なる構成の第1チューブ80を有する。具体的には、第1チューブ80の一端部の内表面が、チューブ接続ポート37の外周部と接合又は固着されている。また、第2チューブ82の外形は、チューブ接続ポート37側の一端部から他端部に向けて縮径している。このため、第1チューブ80の内表面と第2チューブ82の外表面との間にはチューブ接続ポート37側の一端部から他端部方向に拡大した隙間(第2ルーメン68)が形成されている。
【0085】
第1チューブ80の一端部近傍において、周方向の位置に関して注入具接続ポート38が設けられた側とは反対側(図9Aで下側)には、液体排出口として機能する側孔84が設けられている。
【0086】
上記のように構成されたホルダチューブ14Eを用いたプライミングにおいて、カテーテル12のシャフト15の先端部から流出したプライミング溶液52は、側孔84を介してチューブ本体20Eの外部に排出される。従って、上記のように構成されたホルダチューブ14Eによっても、第1チューブ80の側孔84からのプライミング溶液52の排出により、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを容易かつ迅速に確認することができる。
【0087】
ホルダチューブ14Eを備えたカテーテルセット10を立てた状態にすると(図3参照)、側孔84は下向きとなる。このため、カテーテルセット10を立てた状態でプライミングを実施した際に、シャフト15の先端から流出したプライミング溶液52が、下向きに開口する側孔84からチューブ本体20Eの外部に流出しやすい。これにより、カテーテル12の内側中空部のプライミングが完了したことを、より迅速に確認することができる。
【0088】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
10…カテーテルセット 12…カテーテル
14、14A、14B、14C、14D…ホルダチューブ
20、20A、20B、20C、20D…チューブ本体
22…コネクタ 24、62、72、74…第1チューブ
26、26a、64…第2チューブ 28、66…第1ルーメン
30、68…第2ルーメン
32、34、70、70a〜70c、78…側孔(液体排出口)
37…チューブ連結ポート 36…カテーテル接続ポート
38…注入具接続ポート 56…液溜り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルと、
前記カテーテルを収納するホルダチューブと、を有するカテーテルセットであって、
前記ホルダチューブは、
前記カテーテルが挿入される中空のチューブ本体と、
前記チューブ本体の一端部に連結されたコネクタとを備え、
前記コネクタは、前記チューブ本体が連結されたチューブ連結ポートと、前記カテーテルの基端部を構成するハブに接続可能なカテーテル接続ポートと、液体注入具に接続可能な注入具接続ポートとを有する、
ことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテルセットにおいて、
前記チューブ本体には、前記チューブ本体の一端部内で並列状に延在する第1ルーメン及び第2ルーメンが設けられ、
前記第1ルーメンは、前記コネクタからの液体の前記ホルダチューブへの流入口となるように、前記チューブ連結ポートに連通し、
前記第2ルーメンは、前記カテーテルの先端から流出した液体を前記チューブ本体の外部に排出するための液体排出口に連通し、
前記第2ルーメンには、前記カテーテルの先端が配置される、
ことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項3】
請求項2記載のカテーテルセットにおいて、
前記チューブ本体は、前記チューブ本体の略全長を構成し前記チューブ連結ポートに連結された第1チューブと、前記第1チューブの前記コネクタ側の端部の内部に設けられた第2チューブとを有し、
前記第1ルーメンは、前記第1チューブと前記第2チューブの間の空間により構成され、
前記第2ルーメンは、前記第2チューブの中空部により構成され、
前記第1チューブの前記コネクタ側の端部近傍には、前記液体排出口として機能する側孔が設けられ、
前記第2チューブの前記コネクタ側の端部は、前記側孔に臨むように配置される、
ことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項4】
請求項2記載のカテーテルセットにおいて、
前記チューブ本体は、前記チューブ本体の略全長を構成する第1チューブと、前記第1チューブの前記コネクタ側の端部の内部に設けられ、前記チューブ連結ポートに連結された第2チューブとを有し、
前記第1ルーメンは、前記第2チューブの中空部により構成され、
前記第2ルーメンは、前記第1チューブと前記第2チューブの間の空間により構成される、
ことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項5】
請求項4記載のカテーテルセットにおいて、
前記第1チューブのうち、前記第2チューブを包囲する部分又は前記コネクタ側の端部には、前記液体排出口として機能する側孔が周方向に1又は2以上設けられる、
ことを特徴とするカテーテルセット。
【請求項6】
請求項1〜5記載のカテーテルセットにおいて、
前記コネクタは、前記コネクタ内部の流路分岐部と前記チューブ連結ポートの口部との間の流路に絞りを有する、
ことを特徴とするカテーテルセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−70916(P2012−70916A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217686(P2010−217686)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】