説明

カテーテル先端

【課題】回転可能なセンサを含んだカテーテル先端を提供する。
【解決手段】パワー導体(32)とデータ導体(34)を含んだカテーテル(20)のカテーテル先端は、アクチュエータ・スリーブ(60)、センサ区画(62)及びシールポケット(64)を画定する支持部材(52)を備える。アクチュエータ(54)は、アクチュエータ・スリーブ(60)内に配置され、パワー導体(32)に結合される。センサ(36)は、センサ区画(62)内に配置され、データ導体(34)に結合される。軸受け/シール(56)は、支持部材(52)内に据付けられ、アクチュエータ(54)及びセンサ(36)に結合される。カバー(58)は、支持部材(52)に結合され、またセンサ(36)を関心対象に曝露させている透明なウィンドウ(38)を画定し、ここでカテーテル先端(26)はシールポケット(64)内でカテーテル(20)に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはカテーテルの分野に関し、また具体的には回転可能なセンサを含んだカテーテル先端に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、ガイド及び診断手技(例えば、医学的手技)において使用されることがよく知られている。カテーテルは、ステント、フィルタ、移植可能な別の医用デバイスなどの様々なツールを移送するために使用することができる。カテーテル先端は、カテーテルのうちの、生物学的組織(例えば、心臓)などの関心対象の内部において手技を実行するための機能性デバイス(複数のこともある)を収容することが典型的であるような部分である。幾つかの状況では、所望の機能を実行するためにカテーテル先端を回転させなければならない。関心対象内部におけるこうした回転は、カテーテル先端に対してあるいは関心対象に対して危険なものとなる可能性がある。
【特許文献1】米国特許第6895106号
【特許文献2】米国特許第6944265号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、関心対象内部でデータを送信及び受信するためにカテーテル先端内部で回転させることが可能であるようなセンサを移送するカテーテル先端に対する必要性が存在する。さらに、関心対象内部でデータを送信及び受信するための回転式センサを提供するカテーテル先端を含んだカテーテルに対する必要性が存在する。さらに、カテーテルまたはカテーテル先端自体を回転させることを要することなく関心対象内部からデータを取得するための方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、関心対象のデータを取得するために少なくとも1つのパワー導体と1つのデータ導体を含むカテーテルに結合するように構成されたカテーテル先端に関する。本カテーテル先端は、アクチュエータ・スリーブ、センサ区画(センサ・コンパートメント)及びシールポケットを画定する支持部材を備える。アクチュエータは、アクチュエータ・スリーブ内に配置させると共にパワー導体に結合させている。センサは、センサ区画内に配置させると共にデータ導体に結合させている。軸受け/シールは、支持部材内に据付けられると共にアクチュエータ及びセンサに結合させている。カバーは、支持部材に結合させると共にセンサを関心対象に曝露させている透明なウィンドウを画定しており、カテーテル先端はシールポケット内でカテーテルに結合されている。
【0005】
本発明の別の実施形態は、関心対象内に挿入するためのカテーテルに関する。本カテーテルは、遠位端及び近位端を有する細長い体部と、近位端に結合させたハンドルと、細長い体部内に配置させると共にハンドルに結合させたデータ導体と、細長い体部の遠位端の位置に配置させたカテーテル先端と、を備える。このカテーテル先端は、アクチュエータ・スリーブ、センサ区画及びシールポケットを画定する支持部材を備える。アクチュエータは、アクチュエータ・スリーブ内に配置させると共にパワー導体に結合させている。センサは、センサ区画内に配置させると共にデータ導体に結合させている。軸受け/シールは、支持部材内に据付けられると共にアクチュエータ及びセンサに結合させている。カバーは、支持部材に結合されると共にセンサを関心対象に対して曝露させている透明なウィンドウを画定しており、カテーテル先端は細長い体部に結合されている。
【0006】
本発明の別の実施形態は、関心対象の内部からデータを取得する方法に関する。本方法は、時計回り方向と逆時計回り方向の少なくとも一方で0度と180度の間の所定の度数だけカテーテルのセンサを回転させる工程を含む。このカテーテルは、カテーテル先端に結合させたパワー導体及びデータ導体を含む。このカテーテル先端は、アクチュエータに結合されかつデータ導体に結合されたセンサを含んでおり、該アクチュエータはパワー導体に結合されている。関心対象内部の目標箇所においてこのセンサを用いてデータが検出される。このデータは後続の処理のためにデータ導体を介して送信される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、関心対象からデータを取得するように構成させたカテーテル20の一例を表している。一例示的実施形態では、その関心対象は心臓とすることがあり、この際にカテーテル20は心臓の内部からデータを取り出すために使用される心臓内カテーテルとなる。カテーテル20は一般に、ハンドル22、シャフト24及びカテーテル先端26を含む。ハンドル22は、ユーザによるカテーテル20の把持及び制御を可能にする。ハンドル22は、ハンドル体部28及び制御手段30を含む。ハンドル体部28は、ハンドル22のうちユーザが実際に掴む部分である。一実施形態では、ハンドル体部28はユーザの手になじむように人間工学的に構成させることがある。別の実施形態では、ハンドル体部28は、直角プリズムや楕円体形状などユーザによる把持を容易にする別の任意の形態をとることがある。
【0008】
制御手段30は、カテーテル先端26と連絡するためのインタフェースの役割をするように意図している。ユーザは、カテーテル先端26が実行する機能内容を決定するため、あるいはカテーテル先端26を延伸または後退させるために制御手段30と対話することがある。一例示的実施形態では、制御手段30は、ユーザがカテーテル20を把持しているのと同じ側の手の拇指で操作されることがある。別の実施形態では、制御手段30はユーザの空いている手によって操作されることがある。別の実施形態では、制御手段30から離れた箇所に対してロボット工学的な操作がなされることがある。
【0009】
シャフト24は、ハンドル22をカテーテル先端26に結合させると共に、少なくとも1つのパワー導体32及び1つのデータ導体34を収容するように構成されている。幾つかの実施形態ではさらに、シャフト24内に追加的なワイヤ(例えば、カテーテル先端26をガイドするためのステアリング用ワイヤやカテーテル先端26の取り出しのための安全ワイヤ)が収容されることもある。パワー導体32はカテーテル先端26に電気的パワーを提供する電気的ワイヤまたはバスである。データ導体34は、カテーテル先端26に電気情報信号を提供しかつカテーテル先端26から電気情報信号を受け取っている電気的ワイヤまたはバスである。例示的な一実施形態では、シャフト24は複数のパワー導体及び/またはデータ導体を収容することがある。別の例示的実施形態では、データ導体34はディジタル信号情報を送信及び受信することがある。さらに別の実施形態では、データ導体34はアナログ信号情報を送信及び受信することがある。
【0010】
カテーテル先端26は、カテーテル20のうちの、関心対象から実際のデータ取り出しを実行するように構成されたオーバーモールド部分である。カテーテル先端26はセンサ36及びウィンドウ38を含む。センサ36は様々な状態、要因または属性を検知することによってデータ取り出しを実行する。センサ36は、トランスジューサまたは探触子(ただし、これらに限らない)を含め、データの送信及び受信が可能な任意のタイプのセンサとすることがある。一実施形態では、センサ36は、超音波イメージングを容易にさせる方式で音波を送出及び検知するように構成されることがある。別の実施形態では、センサ36は、サーマル・イメージングを容易にさせるように赤外光波を検出することがある。さらに別の実施形態では、センサ36はX線イメージングを容易にさせるように放射線を送出及び検知することや、電気的活動を検知することがある。カテーテル先端26は任意のサイズとすることがあるが、例示的な一実施形態では、カテーテル先端26は直径が概ね3ミリメートルである。
【0011】
ウィンドウ38は、カテーテル先端26のうちの、1つまたは複数の波長をもつ光波(例えば、可視光、赤外線、及びX線光波)及び/または音波が、曝露させたセンサ36の内部を通過することあるいは該センサから出ることを可能にさせる透明部分である。本明細書の目的においては、透明なウィンドウ(transparent window)とは、ウィンドウ38がウィンドウ38を通過して送られまた受け取られる任意のタイプのエネルギー(例えば、音や光など)に対して不透過性(opaque)でないことを意味している。ウィンドウ38は、カテーテル先端26の180度部分の周りに拡がるように構成されている。幾つかの例示的実施形態では、ウィンドウ38は、カテーテル先端26の180度部分を超えた拡がりとすることや、これ未満の拡がりとすることがある。
【0012】
図2は、センサアセンブリ40の例示的な一実施形態を詳細に表している。センサアセンブリ40は、センサアレイ42、センサ体部44、芯出し/機械的支持体46、及びオーバーモールド付きシール48を含む。センサアレイは、センサアセンブリのうちの、上で提示したような利用可能な任意のデータタイプ(例えば、超音波)の1つまたは幾つかを用いて関心対象からデータを取り出すための露出したリードからなる部分である。センサアレイ42のリードはセンサ体部44に結合させ、またセンサ体部44を通過してデータ導体34に戻している。センサ体部44はセンサアレイに対するマウントの役割をすると共にノッチ50を画定している。センサ体部44は、互いに結合させた1つまたは複数の部品または部分から構成されることがある。ノッチ50はアクチュエータと結合しており(これについては以下でより詳細に記載することにする)、これにより広範囲のデータ取り出しができるようにセンサ体部(またしたがって、センサアレイ)を回転させることができる。この回転は、センサ体部44及びセンサアレイ42の一貫した芯出し回転を維持するように構成させた芯出し/機械的支持体によって容易とさせている。この一貫した回転によって、センサ体部44及びセンサアレイ42がカテーテル先端26のその他の部分と接触する恐れが低下し、したがってセンサアセンブリ40の寿命が長くなる。オーバーモールド付きシール48は、データ導体34を一緒に保持すると共にセンサアセンブリ40を以下で詳細に示すような支持構造内部にシールする役割をするオーバーモールド・セクションである。
【0013】
図3は、カテーテル先端26の分解図を表している。カテーテル先端26は一般に、センサアセンブリ40(上で記載したものなど)、支持部材52、アクチュエータ54、軸受け/シール56、及びカバー58を含む。支持部材52は、カテーテル先端26内部にアクチュエータ54及びセンサアセンブリ40を確保するように機能する。支持部材52は、アクチュエータ・スリーブ60、センサ区画62、シールポケット64、及びアクチュエータ・ハーネスチャンネル66を画定する。例示的な一実施形態では、支持部材52は2.8ミリメートルの外径を有する。別の実施形態では、支持部材52は熱可塑性材料から製作されることがある。別の実施形態では、支持部材52は金属、複合材料、プラスチック、ゴム、あるいはこれらの材料を組み合わせたものなど別の材料から製作されることがある。
【0014】
アクチュエータ・スリーブ60は、アクチュエータ54を支持部材52の内部に収容している。アクチュエータ・スリーブ60は、丈夫な構造を増進させるように意図した1つまたは複数の補強リブ68と、軸受け/シール56がアクチュエータ・スリーブ60からセンサ区画62まで通過できるようにするための開口70と、を画定することがある。補強リブ間に開口を備えるようにアクチュエータ・スリーブ60を図示しているが、別の実施形態では、アクチュエータ・スリーブは、外側部分上に画定した補強リブを備えた1つの連続した材料片とすることがある。別の実施形態では、そのアクチュエータ・スリーブは補強リブを使用せずにアクチュエータを確保することがある。軸受け/シール開口70を丸い開口であるように図示しているが、別の実施形態では、軸受け/シールは、軸受け/シール56がアクチュエータ・スリーブ60からセンサ区画62まで通過できるようにしながら、回転、センサの芯出し、及びその区画のシールを可能とさせる任意の形状とすることがある。
【0015】
センサ区画62は、センサアセンブリ40を確実かつ便利な方法で保持している。センサ区画62は、セクション72、止め73、及びセクション74を画定している。例示的な一実施形態では、セクション72は、セクション74と比べてより幅広にすることがある。セクション72は、センサ体部44、センサアレイ42、及び芯出し/機械的支持体46を保持するように構成されている。芯出し/機械的支持体46は止め73と接触しており、また芯出し/機械的支持体46がセクション72の内部で摺動する可能性を低下させるように意図している。セクション74は、データ導体34の安全な方式でのステアリングを可能にしカテーテル先端26の一貫した壁厚が維持できるように直径を小さくした領域の役割をする。セクション74の直径が小さくなっているため、データ導体34が確実に保持され、これによりカテーテル先端26の部分と接触する可能性を低下させることができる。セクション74の直径を小さくすることによってさらに、一実施形態では、カテーテル20に対するステアリング及び安全ワイヤの取り付け用の領域が提供される。別の例示的実施形態では、セクション74の幅は、セクション72と実質的に同じとすることがある。
【0016】
シールポケット64は、センサアセンブリ40をカテーテル先端26内部にシールしている。シールポケット64はセンサアセンブリ40のオーバーモールド付きシール48を受け容れており、またカバー58を支持部材52の上に配置させたときにセンサアセンブリ40がカテーテル先端26内部に実質的にシールされる。オーバーモールド付きシール48はゴムなどの弾性材料から製作されており、したがってシールポケット64内部でかつカバー58へのオーバーモールド付きシール48のぴったりとした装着によってシールが画定される。別の例示的実施形態ではこれに代えて、シールポケット64をカバー58の一部分とすることがある。
【0017】
アクチュエータ・ハーネスチャンネル66(モータ・ワイヤハーネス・レースウェイまたはコンジットとも呼ぶ)は、アクチュエータ54に接続させるパワー導体32に対するガイドの役割をする。アクチュエータ・ハーネスチャンネル66を支持部材52の下側面に配置させることによって、パワー導体32がセンサ36やデータ導体34と接触状態にあってもショートを起こすリスクを低下させて、パワー導体32をアクチュエータ54からハンドル22まで安全に導くことができる。別の例示的実施形態では、アクチュエータ・ハーネスチャンネルは、カテーテル先端26のうちのセンサアセンブリ40と実質的に同じ部分を通るシール付きキャビティとすることがある。
【0018】
軸受け/シール56は、アクチュエータ54をセンサアセンブリ40と結合させるように構成されている。軸受け/シール56は、シール76及び駆動ピン78を含む。シール76は、アクチュエータ・スリーブ60をセンサ区画62から分離させ、これによりアクチュエータ54とセンサアセンブリ40の間のショートの可能性を低下させると共に、結合媒質の損失を防止するように機能する。駆動ピン78はアクチュエータ54をセンサアセンブリ40のノッチ50に結合させている。駆動ピン78は、駆動ピン78が回転したときにセンサ体部44も回転するようにしてノッチ50内部に実質的に確保されるように意図している。
【0019】
アクチュエータ54は、広範囲のデータ取り出しを容易にするためにセンサ体部44及びセンサアレイ42を回転させるように構成されている。アクチュエータ54は、上述のようにアクチュエータ・ハーネスチャンネル66を介してハンドル22まで延びているパワー導体32によってパワー供給されている。アクチュエータは、駆動ピン78の回転を容易にするような任意の構成とすることがある。例示的な一実施形態では、アクチュエータ54は、パワー信号を受け取った際にある固定量だけ回転するように機能する電気式ステッパー・モータとすることがある。電気モータは典型的には、パワー導体32と結合したモータ・ワイヤハーネスを含む。別の実施形態では、アクチュエータ54は、その内部のディジタル式ロジックの出力に基づいて駆動ピンを回転させる半導体デバイスとすることがある。さらに別の例示的実施形態では、アクチュエータ54は油圧式または空気圧式モータを含むことがある。
【0020】
図3及び4を参照すると、センサアセンブリ40を支持部材52の内部に収容しシールするためにセンサアセンブリ40の最上部を覆うようにはめ込んだカバー58を表している。カバー58は、ウィンドウ38、内部表面80、セクション82、及びシールポケット84を含む。ウィンドウ38は、カバー58のうちの、曝露させるセンサ36まで至らせるように1つまたは複数の波長をもつ光波(例えば、可視光、赤外線、及びX線光波)を通過させることができる透明部分である。ウィンドウ38はさらに、音波に対して透過性とすることがある。ウィンドウ38はカテーテル先端26の180度部分の周りに延びるように構成されている。幾つかの例示的実施形態では、ウィンドウ38は、カテーテル先端26の180度部分を超えた拡がりとすることや、これ未満の拡がりとすることがある。別の例示的実施形態では、カバー58は厚さが0.2ミリメートルである。内部表面80は、支持部材52のセクション72に対する相手方となっており、センサアセンブリ40を収容している。セクション82は支持部材52のセクション74に対する相手方となっており、データ導体34を安全方式で収容しステアリングしている。シールポケット84は支持部材52のシールポケット64に対する相手方となっており、オーバーモールド付きシール48の周りのシールを画定する際に支援となる。
【0021】
図5は、センサアセンブリ40を支持部材52内部に収める方法を詳細に表している。センサアレイ42、センサ体部44、及び芯出し/機械的支持体46がセクション72の内部に収められる。データ導体34は、センサアレイ42に対する安全な接続が得られるようにセクション74内部でステアリングを受ける。実質的にぴったりとしたシールを画定できるようにしてシールポケット64内にオーバーモールド付きシール48が収められる。このようにシールを形成することによって外部環境が要因の1つになる可能性を低減させ、これによりセンサ36から正確なデータを取り出すことが可能となる。
【0022】
図6〜8は、支持部材52内部におけるアクチュエータ54と軸受け/シール56の相互作用の様子を表している。図6を参照すると、アクチュエータ54はアクチュエータ支持スリーブの内部に確保されると共に、シール76を支持部材52に押しつけてアクチュエータがセンサアセンブリ40と接触しないようにし、これによりセンサアレイ42が取り出したデータや結合媒質のシールに影響を及ぼすようなアクチュエータ54からのショートまたはノイズの可能性を低下させている。シール76を支持部材52に押しつけることによって、センサ体部44をアクチュエータ54に対して確保できるように開口70を通して駆動ピン78が挿入される。図7を参照すると、アクチュエータ・ハーネスチャンネル66は、カテーテル先端26の別の構成要素から離れるようにパワー導体32を支持部材52に沿ってハンドル22までガイドしており、これによってショートの可能性が低下すると共に、パワー導体32からのノイズがデータ取り出しに影響を及ぼすことがない。図8を参照すると、軸受け/シール56のアクチュエータ54への結合を表している。センサ体部44は駆動ピン78を介してアクチュエータ54に結合させており、またこの駆動ピン78はノッチ50内に確保されており、これによってセンサ体部44及びセンサアレイ42は広範囲のデータ取り出しが得られるように回転することができる。
【0023】
図9及び10は、組み上げ済みのカテーテル先端26、並びにその内部の個々の要素の相互作用の例示的な一実施形態を表している。図9を参照すると、センサアレイ42及びセンサ体部44は、センサアレイがカテーテル先端26内部で回転できるようにしてセクション72及び内部表面80によって生成されるキャビティの内部にはめ込まれている。アクチュエータ・ハーネスチャンネル66は、カテーテル先端26の全体として円筒状の形状が損なわれないような方式でパワー導体32を保持している。アクチュエータ・ハーネスレースウェイは、カテーテル先端26に対するオーバーモールド作業過程を単純化すると共にオーバーモールド材料を節約するために、カテーテル先端26からの突出部(protrusion)ではなくカテーテル先端26内への貫入部(intrusion)によって画定させている。製造を容易にするために、ウィンドウ38がカバー58のうちのカバーから突出部を画定するようにしている。別の例示的実施形態では、アクチュエータ・ハーネスレースウェイは、カテーテル先端26からの突出部とすることがある。別の実施形態では、ウィンドウ38はカバー58の厚さの域内で一体にインレイ形成(inlayed)させることがある。
【0024】
図10を参照すると、オーバーモールド付きシール48はカテーテル先端26の内部と外部の間のシールを作成するシールポケット64上にカバー58によって押し付けられ、これにより任意のセンサ読み値に対する外部環境の影響を低減させている。センサアセンブリ40を保持するキャビティは、結合媒質で満たされることがある。この結合媒質は、カテーテル先端26の内部でセンサ36を機械的に安定化させると共に使用するテクノロジーに応じて音波及び/または光波の効率のよい伝播を促進するように意図している。センサ36によって音波が送受信される例示的な一実施形態では、その結合媒質は、例えば塩水、水、オイル、過フルオロカーボン、その他など人体と同様の音響インピーダンスを有すると共に同様の音速を伝えるような任意の媒質とすることがある。センサ36によって光波が送受信される別の例では、その結合媒質は、人体と同様の光学インピーダンスを有すると共に同様の光速度を伝える任意の媒質とすることがある。ウィンドウ38は、180度部分全体にわたってデータが取り出せるようにしてセンサアレイ42を関心対象に対して露出させている。この広い観察角度を使用して、データの3次元ボリュームを容易にすることができる。データ導体34及びパワー導体32は、図1に示すようにセンサ区画とアクチュエータ・ハーネスレースウェイのそれぞれを介してカテーテル先端26からハンドルまで進んでいる。カテーテル先端26からデータが受け取られると、これがさらに視覚表示を含むコンピュータ処理手段による処置を受けることがある。
【0025】
互いに連係して利用される複数の機能を含むようにカテーテル20を例証しているが、カテーテル20は別法として、利用する機構や特徴が指摘した機構や特徴のすべてと一致しないことがある。例えば別の実施形態では、軸受け/シール56を、アクチュエータ54に対する永続的なアタッチメントとすることがある。さらに別の実施形態では、芯出し/機械的支持体46は、支持部材52内に組み入れられた芯出し/支持体特徴によって置き換えることや、完全に省略されることがある。
【0026】
各要素について具体的な形状を図面に記載しているが、これらの各要素は、当該要素により実行される機能を容易にするような別の任意の形状とすることができる。例えば、センサ体部44及びセンサアレイ42を直角プリズムを画定するように図示しているが、別の実施形態では、この構造は比較的円筒状の形態の構造を画定することがある。
【0027】
本開示の目的において、「結合され(coupled)」という用語は、2つの構成要素(電気的要素や機械的要素)が互いに直接的または間接的に繋ぎ合わされることを意味している。こうした繋ぎ合わせは、本質的に静的とすることや本質的に移動可能とすることがある。こうした繋ぎ合わせは、2つの構成要素(電気的要素や機械的要素)と任意の追加的な中間部材とが(互いにあるいは該2つの構成要素を用いて)1つの単一の体部として一体に画定されるようにして、あるいは該2つの構成要素と任意の追加的な部材とが互いに対して取り付けられるようにして実現されることがある。こうした繋ぎ合わせは、本質的に永続的とすることがあり、また別法では、本質的に取外し可能または解除可能とすることがある。
【0028】
例示的実施形態を参照しながら本開示について記載してきたが、当業者であれば、特許請求した主題の精神及び趣旨を逸脱することなくその形態及び詳細を変更できることを理解されよう。例えば、1つまたは複数の利点を提供する1つまたは複数の特徴を含んだ様々な例示的実施形態について記載してきたが、記載した特徴は互いに交換されることがあること、また別法では、記載した例示的実施形態内または別の代替的実施形態内で互いに組み合わされることがあることが企図される。本開示のテクノロジーはかなり複雑であるため、本テクノロジーの変更形態のすべてを予見することはできない。例示的実施形態を参照しながら記載しかつ添付の特許請求の範囲に列挙した本開示は、できる限り広範囲となるように明瞭に意図したものである。例えば、別に具体的な指摘がない限り、ある特定の単一の要素を記載している特許請求の範囲は、この特定の要素の複数要素をも包含している。
【0029】
さらに、好ましい実施形態及び別の例示的実施形態に示したようなシステムの要素の製作及び配置は単に例示であることを指摘することは重要である。本開示ではある数の実施形態についてだけ詳細に記載しているが、本開示を吟味する当業者であれば、記載した主題の新規的教示及び利点を大きく逸脱することなく多くの修正(例えば、様々な要素のサイズ、次元、構造、形状及び比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の利用、色、向き、その他の修正)が可能であることを理解されよう。例えば、一体に形成させるように図示した要素が複数の部品から製作されることや複数の部品として図示した要素が一体に形成されることがあり、組上げの操作は逆転させることや変更されることがあり、本システムの構造及び/または部材あるいはコネクタあるいは別の要素の長さや幅は変更されることがあり、要素間にある調整位置や取り付け位置の性質や数は変更されることがある。本システムの要素及び/またはアセンブリは、十分な強度や耐性を提供するような広範な任意の材料から製作されることがあることに留意すべきである。したがって、こうした修正のすべては、本開示の趣旨の域内に含ませるように意図している。本主題の精神を逸脱することなく、好ましい実施形態や別の例示的実施形態の設計、動作条件及び配置で別の置換形態、修正形態、変更形態及び省略形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的な一実施形態によるカテーテルの側面斜視図である。
【図2】例示的な一実施形態による図1のカテーテルの内部で使用されるセンサアセンブリの斜視図である。
【図3】例示的な一実施形態による図1のカテーテルで使用するためのカテーテル先端の分解斜視図である。
【図4】例示的な一実施形態による図3のカバーの下側の斜視図である。
【図5】例示的な一実施形態による図2のセンサアセンブリを挿入させた図3の支持部材の斜視図である。
【図6】例示的な一実施形態による図3の支持部材内に挿入されるアクチュエータの上側斜視図である。
【図7】例示的な一実施形態による図3の支持部材内に挿入されるアクチュエータの底側斜視図である。
【図8】例示的な一実施形態による図3のアクチュエータの図2のセンサアセンブリとの結合を表した側面斜視図である。
【図9】例示的な一実施形態による図1のカテーテル先端の断面斜視図である。
【図10】例示的な一実施形態による図1のカテーテル先端の透明斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
20 カテーテル
22 ハンドル
24 シャフト
26 カテーテル先端
28 ハンドル体部
30 制御手段
32 パワー導体
34 データ導体
36 センサ
38 ウィンドウ
40 センサアセンブリ
42 センサアレイ
44 センサ体部
46 芯出し/機械的支持体
48 オーバーモールド・シール
50 ノッチ
52 支持部材
54 アクチュエータ
56 軸受け/シール
58 カバー
60 アクチュエータ・スリーブ
62 センサ区画
64 シールポケット
66 チャンネル
68 補強リブ
70 軸受け/シール開口
72 セクション
73 止め
74 セクション
76 シール
78 駆動ピン
80 内部表面
82 セクション
84 シールポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象のデータを取得するために少なくとも1つのパワー導体(32)と1つのデータ導体(34)を含むカテーテル(20)に結合するように構成されたカテーテル先端(26)であって、
アクチュエータ・スリーブ(60)及び、センサ区画(62)を画定する支持部材と、
前記アクチュエータ・スリーブ(60)内に配置させると共に前記パワー導体(32)に結合させたアクチュエータ(54)と、
前記センサ区画(62)内に配置させると共に前記データ導体(34)に結合させたセンサ(36)と、
を含み、
前記アクチュエータ(54)は前記カテーテル先端(26)の前記遠位端の位置に配置されており、かつ前記支持部材(52)は前記パワー導体(32)を受け容れるチャンネル(66)を有する外面を含んでいる、
カテーテル先端(26)。
【請求項2】
前記軸受け/シール(56)は0度と180度の間の離散的な動きの回転運動を得るように構成されている、請求項1に記載のカテーテル先端(26)。
【請求項3】
前記アクチュエータ・スリーブ(60)上に前記アクチュエータ(54)を保護するためのリブ(68)を含む請求項1に記載のカテーテル先端(26)。
【請求項4】
前記支持部材(52)、カバー(58)、アクチュエータ(54)及びセンサ(36)を所定の直径に収容するオーバーモールドを含む請求項1に記載のカテーテル先端(26)。
【請求項5】
前記センサ(36)が体部(44)とトランスジューサ・アレイ(42)を含むトランスジューサであり、該体部は、前記支持部材(52)の内部においてセンサ(36)の一貫した芯出し回転を維持するように構成させた芯出し/機械的支持部材(46)を含んでいる、請求項1に記載のカテーテル先端(26)。
【請求項6】
関心対象内に挿入するためのカテーテル(20)であって、
遠位端及び近位端を有する細長い体部(24)と、
前記近位端に結合させたハンドル(22)と、
前記細長い体部(24)内に配置させると共に前記ハンドル(22)に結合させた前記データ導体(34)と、
前記細長い体部(24)内に配置させると共に前記ハンドル(22)に結合させた前記パワー導体(32)と、
前記細長い体部(24)の遠位端の位置に配置させた請求項1乃至5のいずれかに記載のカテーテル先端(26)と、
を備えるカテーテル(20)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−161675(P2012−161675A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104309(P2012−104309)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2006−314796(P2006−314796)の分割
【原出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】