説明

カテーテル用アダプタ

カテーテルを保持するための二枚貝形状のアダプタが、カテーテルと流体装置またはラインとの間に流体経路を形成するように構成される。アダプタは、リビングヒンジにより一体的に接続された2枚のシェルを有する。これらのうち、第1シェルは、ルアー端とカテーテル端を有する。カテーテル端に穴が設けられ、この穴を介してカテーテルをカテーテル端に挿入することができる。第1シェルの内面に配置された可撓チューブが、ルアー端とカテーテル端を接続する。カテーテル端を介して挿入されたカテーテルは、可撓チューブに沿って延びる。保持構造が、第2シェルの内面に設けられている。第1シェルと第2シェルが互いに接近した時に、保持構造が可撓チューブを押圧し、これにより流体に対して密封状態でカテーテルを固定的に保持する。第1シェルと第2シェルにそれぞれ設けられたラッチ機構が、第1シェルと第2シェルを互いに結合し、ロックする。不注意により第1シェルと第2シェルの結合が解かれてしまうのを防ぎために、これらのラッチ機構は第1シェルと第2シェルの外面と外縁から離れて設置されている。ノッチを経て先のとがった物体をアダプタの内部に挿入してラッチ機構を互いに切り離すことにより、第1シェルと第2シェルを非結合にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルを流体配送または貯蔵器に接続する医療装置に関し、より詳しくはカテーテルを流体配送または貯蔵器に接続するアダプタに関する。このアダプタは、不注意によりカテーテルが外れてしまうのを防ぐために、アダプタ外面から離れて配置されたラッチ機構を有する。
【背景技術】
【0002】
シリンジや薬剤流体ラインなどの流体配送または貯蔵器にカテーテルを結合するカテーテル接続装置は、公知である。このような装置は、硬膜外注射処置を含む医療処置に使用できる。硬膜外注射処置では、例えば出産時に薬剤を患者に注入して局部麻酔を患者にかけるために、カテーテルを患者の硬膜外スペースに挿入する。硬膜外カテーテルを患者の硬膜外スペースに挿入する前に、最初に硬膜外針を硬膜外スペースに挿入する。その後、この硬膜外針を使って硬膜外カテーテルを患者の硬膜外スペースの中へと案内し、そして硬膜外針を取外す。それからカテーテル接続装置を使って、薬剤を有するシリンジ、流体ライン、または流体貯蔵手段にカテーテルの自由端を接続する。従来の医療用カテーテル接続装置はカテーテルを固定するとともに、シリンジ、流体ライン、または流体貯蔵手段のルアーが接続される端部を提供し、したがってカテーテルとシリンジ、流体ライン、または流体貯蔵手段との間に流体経路を形成する。従来のカテーテル接続装置は、米国特許第5078703号(特許文献1)、同第4006744号(特許文献2)、同第6350260号(特許文献3)、同第7635355号(特許文献4)、米国特許出願公開第2006/0271000号(特許文献5)、同第2008/0183154号(特許文献6)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5078703号明細書
【特許文献2】米国特許第4006744号明細書
【特許文献3】米国特許第6350260号明細書
【特許文献4】米国特許第7635355号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0271000号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0183154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの米国特許や米国特許出願公開に開示されている従来装置の多くは、外部に晒されたロック機構を有していて、不注意でカテーテルが外れてしまう可能性がある。他の開示されている従来装置では、流体貯蔵手段が流体ラインの場合に、装置の一部をねじり、そして回してカテーテルを流体貯蔵手段に揃える必要がある。
【0005】
本発明のカテーテル用アダプタは、従来のカテーテル接続装置のこれら不利な点を克服することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の医療用アダプタは、二枚貝の形をした単体装置であり、ポリプロピレンなどの医療用プラスチックからできている。この単体装置は、共通のリビングヒンジにより一体的に接続された2枚のシェルを含む。これらシェルは互いに整合する外縁を有する。これらシェルがリビングヒンジに沿って折られ、それらの内面が互いに対向した際に、シェルの外縁は整合状態で互いに隣接する。これらシェルは、一方のシェルが他方よりも薄くなるように、形成されている。薄い方のシェルは、その一端に成型されたルアー端を有し、その他端に成型された開口端を有する。開口端は、リビングヒンジに平行かつ隣接する縦軸に沿ってカテーテルを受けるように構成されている。エラストマー製の可撓チューブが、薄い方のシェルの内面において、ルアー端を開口端に接続していて、ルアー端と開口端の間に貫通経路が形成されている。可撓チューブにより接続されたルアー端と開口端はリビングヒンジに隣接した状態で、互いに揃っており、したがってルアー端と開口端はシェルの中心から外れた位置にある。
【0007】
ルアー端と開口端を有する薄い方のシェルのほぼ中心の位置にて、留め具を備えたラッチ機構がシェル内面に形成されている。
【0008】
本発明の医療用装置における他方のシェル、すなわち2枚のシェルのうちの厚い方のシェルは、そのほぼ中心の位置においてシェル内面に指形のラッチ機構が形成されている。2枚のシェルがリビングヒンジに沿って互いに近づくように折られた際に、この指形ラッチ機構は留め具をパチンとつかむ。2枚のシェルが互いに接近してそれらの外縁が整合した状態で隣接した時に、厚い方のシェルの指形ラッチ機構が薄い方のシェルの留め具に結合しロックされるので、2枚のシェルは互いにしっかりと係合する。このように2枚のシェルが結合した時には、厚い方のシェルの内面に設けられた保持面構造が薄い方のシェルの内面において可撓チューブを押圧し、事前に開口端を経て可撓チューブに挿入されているカテーテルを固定的に保持する。
【0009】
2枚のシェルの結合を解くことを可能にするノッチまたは空洞が、指形ラッチ機構を有するシェルの外面から内部へと設けられている。シリンジの従来の雄ルアー滑り端などの先のとがった物体をノッチに挿入して、指形ラッチ機構の背部のボスを押し、指形ラッチ機構を留め具から切り離し、これにより2枚のシェルの結合を解くとともに、保持面構造により可撓チューブに加えられていた圧力を取り除くことができるようになっている。したがって、可撓チューブに挿入され、可撓チューブに沿って延びているカテーテルを、その際に本装置から引き離すことができるようになっている。
【0010】
本発明装置の他の特徴は、可撓チューブが射出成形により作られていることである。この射出成形では、薄い方のシェルの外面に設けられた穴を経てエラストマー材が型に充填され、充填されたエラストマー材が硬化してルアー取付け端を開口端に接続する可撓チューブを形成する。また射出成形処理において、ユーザがアダプタをつかむことをより容易にする柔らかなエラストマー製パッドがシェルの外面に形成される。
【0011】
それゆえに、本発明は単体構造のカテーテル接続装置に関する。このカテーテル接続装置は、第1部材すなわち一方のシェルと、第2部材すなわち他方のシェルを備える。一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有する。一方のシェルと他方のシェルが互いに整合する外縁を持つとともに、共通のリビングヒンジにて一体的に接続されて二枚貝形状の部材を形成する。一方のシェルがルアー端と開口端を有し、一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブによりルアー端と開口端が接続されている。これにより貫通路がルアー端と開口端の間に形成される。開口端は、可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成されている。一方のシェルはそのほぼ中央に第1ラッチ機構を有し、他方のシェルはそのほぼ中央に第2ラッチ機構を有し、一方のシェルと他方のシェルが共通のリビングヒンジに沿って折られ、それにより一方のシェルと他方のシェルの内面が互いに向き合うように動かされた時に、第1ラッチ機構と第2ラッチ機構がロック係合して、一方のシェルと他方のシェルを互いに結合する。他方のシェルはその内面に保持構造を備えていて、一方のシェルと他方のシェルが互いに結合された時に、保持構造が可撓チューブを押圧し、可撓チューブ内のカテーテルを固定的に保持する。
【0012】
また本発明は、カテーテルを流体貯蔵器または流体ラインに結合するためのアダプタに関する。このアダプタは、二枚貝形状の単体の部材を備える。この部材は、一方のシェルと他方のシェルを有する。リビングヒンジにより一方のシェルと他方のシェルは一体的に互いに取り付けられ、また互いに近づくように折ることができる。一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有する。一方のシェルがルアー端と開口端を有し、一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブによりルアー端と開口端が接続されている。これにより貫通路がルアー端と開口端の間に形成される。開口端は、可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成されている。第1ラッチ機構が一方のシェルのほぼ中央に設けられ、第2ラッチ機構が他方のシェルのほぼ中央に設けられている。一方のシェルと他方のシェルがリビングヒンジに沿って折られ、それにより互いに接近した時に、第1ラッチ機構が第2ラッチ機構に係合しロックされる。保持構造が他方のシェルの内面に設けられ、第1ラッチ機構が第2ラッチ機構に係合した時に、保持構造が可撓チューブを押圧し、可撓チューブ内のカテーテルを固定的に保持する。
【0013】
さらに本発明は、カテーテルと、流体貯蔵手段と、アダプタを備える装置に関する。アダプタは、二枚貝形状の単体の部材を含む。この部材は、一方のシェルと他方のシェルを有する。リビングヒンジにより一方のシェルと他方のシェルが一体的に互いに取り付けられ、また互いに近づくように折ることができる。一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有する。一方のシェルがルアー端と開口端を有し、一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブによりルアー端と開口端が接続されている。これにより貫通路がルアー端と開口端の間に形成される。開口端は、可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成されている。ルアー端は、流体貯蔵手段の相手側ルアーに結合するように構成されている。第1ラッチ機構が一方のシェルに設けられ、第2ラッチ機構が他方のシェルに設けられている。一方のシェルと他方のシェルがリビングヒンジに沿って折られ、それにより互いに接近した時に、第1ラッチ機構が第2ラッチ機構に係合しロックされる。保持構造が他方のシェルの内面に設けられている。第1ラッチ機構が第2ラッチ機構に係合した時に、保持構造が可撓チューブを押圧し、カテーテルを固定的に保持する。アダプタによりカテーテルと流体貯蔵手段との間に流体経路が形成される。
【0014】
下記の図面と連係した本発明の以下の説明により、本発明がより明らかとなり、また本発明が最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明のカテーテルアダプタ結合装置の透視図であり、装置の2つのシェルを同一平面に沿って示している。
【図2】図2は図1の装置を示し、そこでは装置の両シェルの内面が同一平面に沿って晒された状態になっている。
【図3】図3は本発明の装置を示し、そこでは装置の2つのシェルが互いに接近して、閉じたおよび/または結合した装置を形成している。
【図4】図4は本発明の装置における一方のシェルの外面を示す平面図であり、この外面にはエラストマー製パッドが設けられているとともに、装置の留めラッチ機構を晒すための開口が設けられている。
【図5】図5は本発明の装置における他のシェルの外面を示す平面図であり、装置内部に配置された指ラッチ機構のボスを晒すためのノッチまたは空洞を示している。
【図6】図6は本発明医療装置における2つのシェルの外面を示す透視図であり、装置内に可撓チューブを作る射出成形処理前の状態を示している。
【図7】図7は本発明医療装置における2つのシェルの内面を示す透視図であり、装置内に可撓チューブを作る射出成形処理前の状態を示している。
【図8】図8は本発明のロックされた装置を示す透視図であり、そこでは装置ルアー端が保護カバーキャップにより保護されている。
【図9】図9は装置における両シェルの外面を示す透視図であり、そこでは両シェルが同一平面に沿って開いた状態であり、また装置ルアー端が保護カバーキャップにねじ結合している。
【図10】図10は図2に対応しており、ただし装置ルアー端が保護カバーキャップにねじ結合している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図5を参照すると、本発明の医療用カテーテルアダプタ2は、連結器と保持器の組合せ装置である。この組合せ装置2は、硬膜外カテーテルなどのカテーテルを、シリンジや流体ラインなどの流体貯蔵器や流体配送器に接続するためのものである。特に、装置2は、二枚貝の形をした一つの単体装置として示されている。この単体装置は、第1部材すなわち一方のシェル4と、第2部材すなわち他方のシェル6とを有する。これらのシェル4と6は、共通のリビングヒンジ8により一体的に接続されている。したがって、これらのシェル4と6は、矢印10と12の方向に互いに近づくように動かすことができ、図3に示される閉位置では互いに接近している。
【0017】
図1と2に示されるように、シェル4は外面14aと内面14bを有し、シェル6は外面16aと内面16bを有する。大体において、シェル4と6の外縁18と20は相互に調和する構成である。したがって、装置2が図3に示される閉位置にある時、外縁18と20が調和して互いに当接し、閉じた容器を形成する。この閉じた容器は、外縁18と20を越えてはみ出す外方端を有しない。それゆえに、本発明のカテーテルアダプタ2は、閉および/または結合位置にある時、後述する2つの接続ポートを除き滑らかな境界を持つコンパクトな装置になっている。
【0018】
図2に示されるように、シェル4の厚さ4aは、シェル6の厚さ6aより小さい。換言すると、シェル4はシェル6より薄い。シェル6の外縁20は半円形の開口22aと22bを備えている。これら開口22aと22bの湾曲は、シェル4に設けられる接続ポートを考慮して、シェル4と6が閉じることができるように設定されている。
【0019】
特に、シェル4の一部として、2つの接続ポートが形成されている。大体において、これら2つの接続ポートは内面14bから突出している。これら2つの接続ポートを、ルアー取付け端(ルアー端)24とカテーテル取付け開口端(開口端)26と称してもよい。装置2はポリプロピレンなどのプラスチック材から成型された単一体であり、ルアー端24と開口端26は装置2の成型と同時に形成される。エラストマー材の射出成形前の状態では、装置2は図6と7に示される如くである。
【0020】
ルアー端24は、基部24aと、中間部24bと、取付け端部24cとを備える。中間部24bの外径はシェル6における半円形開口22bよりも僅かに小さく設定され、シェル4と6が矢印10と12の方向に相対的に動かされて、両者が閉じそして互いに結合された時に、半円形開口22bが中間部24bに対する嵌合部を形成するようになっている。
【0021】
開口端26をカテーテル端と称してもよい。開口端26は、開口26aと、前端26bと、基部26cとを備える。前端26bの外径はシェル6における半円形開口22aよりも僅かに小さく設定され、図3に示されるようにシェル4と6が閉じられた時に、半円形開口22aが前端26bに対する嵌合部を形成するようになっている。
【0022】
ルアー端24と開口端26の間に貫通経路を形成するために、シェル4の外面14aから穴28(図6と7)を介してエラストマーが射出成形される。その結果、シェル4の内面14bにエラストマー製の可撓チューブ30が形成され、これによりルアー端24と開口端26の間に貫通路が形成される。はっきりとは示されていないが、一端ではエラストマー材がルアー端24の基部24aの中へと部分的に入り込み、他端では開口端26の開口26aと同一平面になっている。硬膜外カテーテルなどのカテーテル32を、開口26aを経て開口端26の中へ挿入し、そこから可撓チューブ30を経てルアー端24の基部24aの中まで入れることができる。カテーテル32の挿入移動は、ルアー端24の基部24aと中間部24bとの境界に設けられた図示しない内方肩部により止められるようになっている。
【0023】
シェル6の内面16bには、それと一体的に保持構造38が形成されている。保持構造38の長さは、開口端26の基部26cとルアー取付け端24の基部24aとの間の可撓チューブの長さと実質的に同じである。図2と7に示されるように、保持構造38は、複数のリブ38e、38f、38g、38hにより互いに離間された複数の凹所38a、38a′、38b、38c、38c′、38dを備えていてもよい。これら複数の凹所とリブは、一緒にリブ付面を形成している。このリブ付面は、可撓チューブ30に接触するために、シェル6の内面16bに向かって内側に僅かに曲っている。保持構造38の一部として、互いに離間し対向する2つの突起38iと38i′が設けられている。半円形開口22bに隣接する保持構造38の端部に、これら突起38iと38i′は位置する。
【0024】
保持構造38のリブ付面は、可撓チューブ30に嵌合し、これを押圧できるように構成されている。前記リブに接触する可撓チューブ30のエラストマー材の各部分は前記リブにより圧縮され、前記凹所に対向するエラストマー材の各部分は前記凹所に入り込んで、実質的に非圧縮状態を維持する。このように、シェル4と6が互いに接近するように動かされると、保持構造38、特に突起38i、38i′、凹所38a、38a′、38b、38c、38c′、38d、およびリブ38e、38f、38g、38hにより形成されるそのリブ付接触面、が可撓チューブ30を押圧し、保持構造38の各凹所、リブ、および突起により、可撓チューブ30のエラストマー材に嵌合圧縮の波形構成が形成される。その結果、長さ方向に沿って可撓チューブ30内に置かれたカテーテル32は、流体が漏れない状態でその中に固定的に保持される。言い換えれば、いったんシェル4と6がロック状態で互いに結合すると、図2と7に示されるように構成された可撓チューブ30に接触する保持構造38は、後述するようにカテーテル32と可撓チューブ30の間で流体の漏れないシールを形成するとともに、カテーテル32と可撓チューブ30を互いに固定的に保持するように働く。加えて、保持構造38が可撓チューブ30を圧縮する時にはカテーテル32にしわができず、カテーテル32を通る流体の流れが邪魔されないような寸法に、保持構造38の前記凹所、リブ、および突起が構成されている。
【0025】
したがって、図3に示されるようにシェル4と6がリビングヒンジ8を介して動かされて互いに接近し、そして互いにしっかりと結合すると、保持構造38が可撓チューブ30を押圧し、カテーテル32内の通路をしわ状にゆがめることなく、可撓チューブ30に沿ってカテーテル32を固定的に保持する。同時に、保持構造38はカテーテル32と可撓チューブ30の間に流体の漏れないシールを形成し、可撓チューブ30やアダプタ2からの流体漏れを防ぐ。シェル4と6が互いに切り離されて非係合になるまでは、カテーテル32を装置2から取外せない。
【0026】
さらに、シェル4と一体的にラッチ機構が形成されている。このラッチ機構は、シェル4の内面14bに設けられていて、形状的には断続型の留め具34として構成されている。留め具34は、留め部材34aと34bを有する。留め具34の近傍において、シェル4に開口36が設けられている。開口36は、シェル4の内面14bをその外面14aに接続する。
【0027】
シェル4と6を互いにロックされた状態で結合するために、形状的にラッチ指40として構成された別のラッチ機構が設けられている。このラッチ機構は、シェル6の内面16bから一体的に延びている。ラッチ指40が握指部40bと40c(図5と6)に分割されているとみなし得るように、ラッチ指40はその中央においてボス40a(図1と5)により断続されている。
【0028】
ラッチ機構34と40は協働して、つぎの動作を生じせしめる。内面14bと16bが互いに向き合うようにシェル4と6がリビングヒンジ8に沿って折られると、ラッチ指40が留め具34にパチンと嵌合し、本発明のアダプタ装置2は図3に示されるような閉じた二枚貝形状の容器となる。その際、開口端26を経て可撓チューブ30に沿って挿入されているカテーテル32が、シェル6の保持構造38により、可撓チューブ30に対して固定的に保持される。それにより、流体用の通り抜けられる経路または通路が、ルアー端24とカテーテル32の間に形成される。
【0029】
図3乃至図5に示されるように、ラッチ機構34と40は閉じた二枚貝形状の容器の内部に位置するので、ラッチ機構34と40はアダプタ装置2のシェル4と6の外面14aと16aから離れて存在する。さらに、ラッチ機構34と40はシェル4と6のほぼ中央に位置するので、ラッチ機構34と40はシェル4と6の外縁4aと6aから離れて存在する。その結果、いったんラッチ機構34と40がロックされた関係で互いに係合すると、ラッチ機構34と40は外部に晒されることがなく、したがって両者が互いに干渉することもなく、また誤って両者が非係合および/または非結合になることもない。
【0030】
シェル4と6を結合状態から互いに分離させるために、解放または分離用の貫通穴またはノッチ42がシェル6の外面16aに設けられ、これを通してラッチ指40を直接見ることができるようになっている。その際、ラッチ指40は留め具34に対してロックされた関係になっている。シリンジの取外しのできる雄端などの先のとがった物体をノッチ42に挿入してボス40aを押し、ラッチ指40を留め具34(特に留め部材34aと34b)から離すと、シェル4と6が互いに分離する。いったんシェル4と6が互いに分離または非係合状態になると、可撓チューブ30はもはや保持構造38により押圧保持されない。したがって、カテーテル32を可撓チューブ30から取外すことができる。
【0031】
カテーテル32を可撓チューブ30に挿入し、したがってカテーテル32が可撓チューブ30に沿って延び、また装置2のシェル4と6がロックされた状態で結合し、カテーテル32が装置2に固定的に保持されている状態を想定する。カテーテル32などのカテーテルを挿入された患者に薬剤を供給するために、ルアー端46aを有するシリンジ46などの流体貯蔵器が装置ルアー端24のルアー24cにねじ結合できるようになっている。このようにシリンジ46をルアー端24に結合した場合、シリンジ46内の薬剤がカテーテル32へ移送され、そしてそこから患者へと送られる。本発明において、図3に符号46aで示されるような公知シリンジの公知ルアー端に結合するように構成された公知のルアーを、ルアー端24として使用してもよい。特別な形状や寸法に設定されたシリンジや流体ラインのために、ルアー端24をこれらの特別な流体配送および貯蔵器に結合できるように構成してもよい。
【0032】
上述のように、可撓チューブ30は、シェル4の穴28を経てのエラストマー材の射出成形により作られる。図6に最も良く示されるように、浅い池状部または窪み48が外面14aに形成されている。外面14aには、穴28に加えて、小穴50aと50bが設けられている。射出処理の間、内面14bに対向するように型が配されており、穴28を経てエラストマー材がそこに注入される。これにより、図7に示される通り、ルアー取付け端24と開口端26との間の位置にて、シェル4の内面14bにおける型空間50に可撓チューブ30が形成される。射出処理の際、ルアー取付け端24と開口端26との間に渡ってジャーナルまたはピン状の棒が配され、この棒が可撓チューブ30の貫通路を生じさせることになる。
【0033】
可撓チューブ30に加えて、射出成形処理において、エラストマー材は浅い池状部48にエラストマー製の可撓パッド54を形成する。エラストマー製パッド54は、シェル4の外面14aと同じ高さである。このようにして形成されたエラストマー製パッド54は、小穴50aと50bに進入した部分を介して固定される。エラストマー製パッド54に、浮き出しによる譲受人の名前などのしるしを設けてもよい。エラストマー製パッド54は、ユーザにとって、装置2をより良くつかむためのタッチ応答式エラストマー製パッドとして機能する。このように、エラストマー材のシェル4への射出成形は、シェル4の内面14bに可撓チューブ30を形成するとともに、シェル4の外面14aにソフトなエラストマー製指パッド54を形成する。
【0034】
ルアー端24を無菌状態にするために、図8乃至図10に示される通り、保護カバーキャップ52を装置2のルアー端24にねじ結合してもよい。
【0035】
本発明のアダプタ装置2は硬膜外カテーテルとともに使用するとして開示されているが、開口端すなわちカテーテル接続ポートの直径を変えることで、他の型のカテーテルにも使用できる。開示されたルアー端は、従来のルアーであり、従来の相手ルアーとともに使用されるように構成されている。このルアー端を次のように変更してもよい。流体配送、移送、または貯蔵器とカテーテルの間に流体経路を形成するために、特別な形状や寸法の取付け部に結合するようにルアー端の寸法を変更してもよい。すなわち、本発明には多くの変形例、部分的変更例、および細部にわたっての変更例が存在するのであり、本明細書で述べた全ての事項および添付図に示された全ての事項は、説明のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、添付請求項の主旨と範囲によってのみ限定され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のシェルと他方のシェルを備えたカテーテル装置であり、
前記一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有し、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに整合する外縁を持つとともに、共通ヒンジにて一体的に接続されて二枚貝形状の部材を形成し、前記一方のシェルがルアー端と開口端を有し、前記一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブにより前記ルアー端と開口端が連通接続され、これにより貫通路が前記ルアー端と開口端の間に形成され、前記開口端が前記可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成され、前記一方のシェルはそのほぼ中央に第1ラッチ機構を有し、前記他方のシェルはそのほぼ中央に第2ラッチ機構を有し、前記一方のシェルと他方のシェルが前記共通ヒンジに沿って折られ、それにより前記一方のシェルと他方のシェルの前記内面が互いに向き合うように動かされた時に、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構がロック係合して、前記一方のシェルと他方のシェルを互いに結合し、前記他方のシェルはその内面に保持構造を備えていて、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合された時に、前記保持構造が前記可撓チューブを押圧し、これによりカテーテルを固定的に保持するカテーテル装置。
【請求項2】
前記一方のシェルと他方のシェルにおける前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構は、前記一方のシェルと他方のシェルの前記外面および前記外縁から離れている請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項3】
前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの一方が少なくとも1つの指を備え、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの他方が留め具を備え、前記指と留め具が前記一方のシェルと他方のシェルの前記内面から延び、前記一方のシェルと他方のシェルが相対的に互いに近づくように折られ、それにより前記一方のシェルと他方のシェルの前記外縁が互いに整合的に隣接する時に、前記指と留め具が互いに係合して前記一方のシェルと他方のシェルを互いに結合し、前記指を有する前記シェルの前記外面にノッチが形成され、前記指を前記留め具から外し、これにより前記一方のシェルと他方のシェルの結合を解くために、先のとがった物体を前記ノッチに挿入することができる請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項4】
前記ルアー端と開口端が軸方向において互いに揃っていて、前記ルアー端と開口端を接続する前記可撓チューブが、前記一方のシェルの中心から外れた軸に沿って前記共通ヒンジに平行に延びる請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項5】
前記可撓チューブがエラストマー材から形成され、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面と前記内面を結ぶ少なくとも1つの穴を介して射出成形されており、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面にエラストマー製のパッドを形成する請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項6】
前記保持構造が細長面を備え、前記細長面が前記一方のシェルの前記内面において晒されている前記可撓チューブの長さに実質的に整合し、また前記保持構造はリブ付面を有し、前記リブ付面には少なくとも1対の互いに離れた突起が設けられ、前記突起は前記保持構造の長さ方向に対して直交し、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合された時に、前記突起が前記可撓チューブを押圧し、これにより前記可撓チューブの内部の前記カテーテルを固定的に保持する請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項7】
請求項1に記載のカテーテル装置であり、前記ルアー端は相手ルアーを有する流体ラインまたは流体貯蔵器に本カテーテル装置を結合的に固定し、前記流体ラインまたは流体貯蔵器から本カテーテル装置に保持された前記カテーテルまでの間に渡り流体経路が形成される請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項8】
カテーテルを流体貯蔵器または流体ラインに結合するためのアダプタであり、
二枚貝形状の単体の部材を備え、前記部材が一方のシェルと他方のシェルを有し、リビングヒンジにより前記一方のシェルと他方のシェルが一体的に互いに取り付けられ、また互いに近づくように折ることができ、前記一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有し、前記一方のシェルがルアー端と開口端を有し、前記一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブにより前記ルアー端と開口端が接続され、これにより貫通路が前記ルアー端と開口端の間に形成され、前記開口端が前記可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成され、第1ラッチ機構が前記一方のシェルのほぼ中央に設けられ、第2ラッチ機構が前記他方のシェルのほぼ中央に設けられ、前記一方のシェルと他方のシェルが前記リビングヒンジに沿って折られ、それにより互いに接近した時に、前記第1ラッチ機構が前記第2ラッチ機構に係合しロックされ、保持構造が前記他方のシェルの前記内面に設けられ、前記第1ラッチ機構が前記第2ラッチ機構に係合した時に、前記保持構造が前記可撓チューブを押圧し、これにより前記カテーテルを固定的に保持するアダプタ。
【請求項9】
前記一方のシェルと他方のシェルが互いに整合する外縁を有し、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合されてロックされた時に、前記一方のシェルと他方のシェルが共通の外縁を有する前記二枚貝形状の部材を形成する請求項8に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記一方のシェルと他方のシェルにおける前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構は、前記一方のシェルと他方のシェルの前記外面および前記外縁から離れていて、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合されロックされている時に、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構がアダプタの内部に位置する請求項9に記載のアダプタ。
【請求項11】
前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの一方が少なくとも1つの指を備え、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの他方が留め具を備え、前記指と留め具が前記一方のシェルと他方のシェルの前記内面から延び、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに近づくように折られ、前記指と留め具が互いに係合する時に、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合し、前記指を有する前記シェルの前記外面にノッチが形成され、前記指を前記留め具から外し、これにより前記一方のシェルと他方のシェルの結合を解くために、先のとがった物体を前記ノッチに挿入することができる請求項8に記載のアダプタ。
【請求項12】
前記ルアー端と開口端が軸方向において互いに揃っていて、前記ルアー端と開口端を接続する前記可撓チューブが、前記一方のシェルの中心から外れた軸に沿って前記リビングヒンジに平行に延びる請求項8に記載のアダプタ。
【請求項13】
前記可撓チューブがエラストマー材から形成され、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面と前記内面を結ぶ少なくとも1つの穴を介して射出成形されており、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面にエラストマー製のパッドを形成する請求項8に記載のアダプタ。
【請求項14】
カテーテルと、
流体貯蔵手段と、
アダプタと、
を備える装置であり、
前記アダプタが二枚貝形状の単体の部材を含み、前記部材が一方のシェルと他方のシェルを有し、リビングヒンジにより前記一方のシェルと他方のシェルが一体的に互いに取り付けられ、また互いに近づくように折ることができ、前記一方のシェルと他方のシェルの各々が内面と外面を有し、前記一方のシェルがルアー端と開口端を有し、前記一方のシェルの内面に設けられた可撓チューブにより前記ルアー端と開口端が接続され、これにより貫通路が前記ルアー端と開口端の間に形成され、前記開口端が前記可撓チューブに挿入されるカテーテルを受けるように構成され、前記ルアー端が前記流体貯蔵手段の相手側ルアーに結合するように構成され、第1ラッチ機構が前記一方のシェルのほぼ中央に設けられ、第2ラッチ機構が前記他方のシェルのほぼ中央に設けられ、前記一方のシェルと他方のシェルが前記リビングヒンジに沿って折られ、それにより互いに接近した時に、前記第1ラッチ機構が前記第2ラッチ機構に係合しロックされ、保持構造が前記他方のシェルの前記内面に設けられ、前記第1ラッチ機構が前記第2ラッチ機構に係合した時に、前記保持構造が前記可撓チューブを押圧し、これにより前記カテーテルを固定的に保持し、
前記アダプタにより前記カテーテルと前記流体貯蔵手段との間に流体経路が形成される装置。
【請求項15】
前記カテーテルが硬膜外処置に使用される硬膜外カテーテルである請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記一方のシェルと他方のシェルが互いに整合する外縁を有し、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合されてロックされた時に、前記一方のシェルと他方のシェルが共通の外縁を有する二枚貝形状の部材を形成する請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記一方のシェルと他方のシェルにおける前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構は、前記一方のシェルと他方のシェルの前記外面および前記外縁から離れていて、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合されロックされている時に、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構が前記アダプタの内部に位置する請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの一方が少なくとも1つの指を備え、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構のうちの他方が留め具を備え、前記指と留め具が前記一方のシェルと他方のシェルの前記内面から延び、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに近づくように折られ、前記指と留め具が互いに係合する時に、前記一方のシェルと他方のシェルが互いに結合し、前記指を有する前記シェルの前記外面にノッチが形成され、前記指を前記留め具から外し、これにより前記一方のシェルと他方のシェルの結合を解くために、先のとがった物体を前記ノッチに挿入することができる請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記ルアー端と開口端が軸方向において互いに揃っていて、前記ルアー端と開口端を接続する前記可撓チューブが、前記一方のシェルの中心から外れた軸に沿って前記リビングヒンジに平行に延びる請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記可撓チューブがエラストマー材から形成され、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面と前記内面を結ぶ少なくとも1つの穴を介して射出成形されており、前記エラストマー材が前記一方のシェルの前記外面にエラストマー製のパッドを形成し、
前記保持構造がリブ付面を備え、前記第1ラッチ機構と第2ラッチ機構が互いに係合した時に、前記リブ付面が前記可撓チューブを嵌合押圧する請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−520281(P2013−520281A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554997(P2012−554997)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/000287
【国際公開番号】WO2011/106077
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(505397690)スミスズ メディカル エイエスディー インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】