説明

カテーテル

【課題】操作性の向上を好適に図ることが可能なカテーテルを提供すること。
【解決手段】カテーテル本体11は、内周面全体を規定する内層14と、外周面全体を規定する外層15と、これら内層14及び外層15に挟まれるようにして設けられた中間層16と、を備えている。内層14及び中間層16は、それぞれ、軸線方向の全体に亘って同一の材料により形成されている。一方、外層15は、軸線方向において形成材料の硬度が異なるように形成されている。カテーテル本体11において上記のように3層構造とされた領域には、遠位側に向けて内径及び外径が連続的に小さくなる内外テーパ領域33が形成されている。この場合に、内外テーパ領域33の遠位端部には、外層15において材料の硬度を相違させる境界が存在していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に導入して用いられるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは体内の腔、管、血管等に挿入する中空状の医療器具である。当該カテーテルは、様々な用途で用いられている。例えば、閉塞状態又は狭窄状態にある血管の通路を確保するために用いられるバルーンカテーテル、当該通路の確保に際して使用されるステントをデリバリするためのカテーテル、閉塞箇所や狭窄箇所を貫通させるために使用されるカテーテル、血栓の吸引を行うために用いられる吸引カテーテル、血管造影剤の注入等に際して使用される注入カテーテル、これらカテーテルを目的箇所に導入するために使用されるガイディングカテーテル等が知られている。
【0003】
カテーテルの操作性を向上させるのに必要な性能としては、例えば特許文献1に示されているように、分岐が多く複雑に曲がる細い末梢血管に対する追随性、目的箇所にカテーテルを導入する際に押し込む力の伝達性、及び当該押し込みに際してのカテーテルの折れ曲がりを防止する耐キンク性等が挙げられる。
【0004】
これに対して、上記特許文献1には、先端側のカテーテルシャフトと基端側のカテーテルシャフトとを軸線方向に連結する構成において、基端側のカテーテルシャフトの先端部分に螺旋状のスリット等を形成することで当該先端部分の剛性を低下させるとともに、その剛性を低下させた先端部分を先端側のカテーテルシャフトに挿入する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−253678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載された構成では、複数のカテーテルシャフトを前提としているため、単一のカテーテルシャフトに対する対策とはなり得ず、さらには仮に複数のカテーテルシャフトを利用する構成であったとしても、上記各性能のさらなる向上を図る必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、操作性の向上を好適に図ることが可能なカテーテルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0009】
第1の発明のカテーテル:カテーテル壁部を形成し、軸線方向において形成材料の硬度が異なる変化対象層を有するカテーテル体を備え、当該カテーテル体は、前記変化対象層が存在している領域に、前記材料の硬度とは別の要素であってカテーテル体の剛性に影響を与える要素である特定要素が、軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域を備えており、且つ前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、カテーテル壁部が変化対象層を用いて形成されていることにより、材料の硬度変化を利用した剛性の変化を生じさせることが可能となる。また、変化対象層が存在している領域には、材料の硬度とは別の要素であってカテーテルの剛性に影響を与える特定要素が軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域が形成されていることにより、剛性を変化させる要素が複数種存在することとなり、剛性の変化態様を多様化させることが可能となる。よって、剛性のバランスの設定を好適に行うことが可能となる。
【0010】
さらにまた、特定領域において特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、変化対象層において材料の硬度を相違させる境界が存在していない。これにより、上記のように剛性を変化させるための対象を多様化させた構成において、剛性が局所的に低下してしまう箇所を生じさせないようにすることが可能となり、耐キンク性の向上をも図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0011】
第2の発明のカテーテル:軸線方向に延在し同一の材料により形成されたベース層と、当該ベース層とともにカテーテル壁部を形成し、軸線方向において形成材料の硬度が異なる変化対象層と、を有するカテーテル体を備え、当該カテーテル体は、前記ベース層及び前記変化対象層が存在している領域に、前記材料の硬度とは別の要素であってカテーテル体の剛性に影響を与える要素である特定要素が、軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域を備えており、且つ前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、カテーテル壁部がベース層と変化対象層とを用いて形成されていることにより、複数のチューブを軸線方向に連結させた場合のようなチューブの繋ぎ目を生じさせないようにしながら、材料の硬度変化を利用した剛性の変化を生じさせることが可能となる。また、これらベース層及び変化対象層が存在している領域には、材料の硬度とは別の要素であってカテーテルの剛性に影響を与える特定要素が軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域が形成されていることにより、剛性を変化させる要素が複数種存在することとなり、剛性の変化態様を多様化させることが可能となる。よって、剛性のバランスの設定を好適に行うことが可能となる。
【0013】
さらにまた、特定領域において特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、変化対象層において材料の硬度を相違させる境界が存在していない。これにより、上記のように剛性を変化させるための対象を多様化させた構成において、剛性が局所的に低下してしまう箇所を生じさせないようにすることが可能となり、耐キンク性の向上をも図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0014】
第3の発明のカテーテル:第1又は第2の発明において、前記カテーテル体は、前記特定領域の軸線方向の途中位置に前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在するように形成されていることを特徴とする。これにより、変化対象層において材料の硬度を相違させる位置の自由度を高めながら、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【0015】
第4の発明のカテーテル:第1乃至第3の発明のいずれか1において、前記カテーテル体は、前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が高くなる箇所に対しても前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とする。これにより耐キンク性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0016】
第5の発明のカテーテル:第1乃至第4の発明のいずれか1において、前記特定領域は、前記特定要素に付随する剛性が遠位側に向けて低くなるように形成されており、前記最も剛性が低くなる箇所は、前記特定領域の遠位端部であることを特徴とする。特定領域は、特定要素に付随する剛性が遠位側に向けて低くなるように形成されているため、追随性及び力の伝達性の向上が図られる。この場合に、カテーテルは近位端部が遠位側に向けて押されることで生体内を進むものであるため、キンクは、遠位側における剛性の変わり目において生じ易い。これに対して、特定領域の遠位端部に、変化対象層において材料の硬度を相違させる境界が存在していないため、耐キンク性の向上が図られる。
【0017】
第6の発明のカテーテル:第1乃至第5の発明のいずれか1において、前記特定領域は、前記特定要素として、前記カテーテル壁部の肉厚、前記カテーテル体のルーメンの横断面積、及び前記カテーテル体の外縁のサイズのうち少なくとも一つの要素が変化する領域であることを特徴とする。特定要素が上記のような要素である場合、カテーテル体の内周面又は外周面に折れ目が生じることとなる。そして、このような折れ目部分の剛性が低いと、キンクが発生し易い。これに対して、この折れ目に対して、変化対象層において材料の硬度が変化する境界が存在していないため、耐キンク性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】カテーテル本体の遠位領域の拡大断面図である。
【図2】カテーテルの構成を示す概略全体側面図である。
【図3】別のカテーテルにおけるカテーテル本体の遠位領域の拡大断面図である。
【図4】別のカテーテルにおけるカテーテル本体の遠位領域の拡大断面図である。
【図5】別のカテーテルにおけるカテーテル本体の遠位領域の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。先ず図2を参照しながらカテーテル10の概略構成を説明する。図2はカテーテル10の構成を示す概略全体側面図である。
【0020】
図2に示すように、カテーテル10は、チューブ状をなすカテーテル本体11と、当該カテーテル本体11の近位端部(基端部)に装着されたハブ12とを備えている。
【0021】
カテーテル本体11のルーメン13(図1参照)内には、血管等へカテーテル10を挿入する際にガイドワイヤGが挿通される。また、ルーメン13は、造影剤、薬液、洗浄液等の通路として用いられる。ハブ12は、ルーメン13内へのガイドワイヤGの挿入口、ルーメン13内への造影剤、薬液、洗浄液等の注入口等として機能し、また、カテーテル10を操作する際の把持部としても機能する。なお、カテーテル10の長さ寸法は、1m〜2mとなっている。
【0022】
カテーテル本体11は、少なくともその遠位端部(先端部)から近位側に向けた所定範囲が複数の層が積層されてなる複数層構造をなしている。具体的には、カテーテル本体11は、軸線方向の全体に亘って複数層構造をなしている。
【0023】
当該カテーテル本体11の構造について、図1も参照しながら説明する。図1は、カテーテル本体11の遠位領域の拡大断面図である。
【0024】
図1に示すように、カテーテル本体11は、カテーテル本体11の内周面全体を規定する内層14と、カテーテル本体11の外周面全体を規定する外層15と、これら内層14及び外層15に挟まれるようにして設けられた中間層16と、を備えている。
【0025】
内層14は、中間層16及び外層15を形成する際のベースとなる層である。内層14は、合成樹脂を用いて形成されている。当該合成樹脂としては、後述する外層15の材料として列挙するものを用いることが可能であるが、具体的には、低摩擦材料を用いて形成されている。このように内層14を低摩擦材料により形成することで、先行させたガイドワイヤGに沿ってカテーテル10を生体内の目的箇所に導入する場合において当該ガイドワイヤGとカテーテル本体11の内周面との間の摺動抵抗を低減することが可能となる。また、本カテーテル10とは別の治療用のカテーテルを本カテーテル10内に挿入する場合に、当該治療用のカテーテルとカテーテル本体11の内周面との間の摺動抵抗を低減することが可能となる。
【0026】
内層14を形成する材料として、具体的にはポリテトラフルオロエチレンが用いられている。但し、内層14を形成する材料は、外層15を形成する材料に比べてガイドワイヤGや治療用のカテーテルとの摺動抵抗を低減させることが可能であれば任意であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレンとは別のフッ素含有樹脂を用いてもよい。当該フッ素含有樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン、パーフロロアルコキシ樹脂等が挙げられる。また、フッ素含有樹脂以外であってもよく、例えば、ポリアミド、ポリイミド、高密度ポリエチレン等を用いてもよい。また、以上列挙した材料等を複数種組合せて使用してもよい。
【0027】
内層14の厚み寸法は任意であるが、外層15の厚み寸法よりも小さいことが好ましい。具体的には、0.005mm〜0.030mmが好ましい。これにより、摺動抵抗の低減化を良好に実現しながら、カテーテル本体11の細径化を図ることが可能となる。
【0028】
中間層16はカテーテル本体11を補強する役割を有している。当該中間層16を形成する材料として、具体的にはステンレス鋼が用いられている。但し、中間層16を形成する材料は、上記補強効果が得られるのであれば任意であり、例えば、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金等の超弾性合金を用いてもよく、銅、ニッケル、チタン等の他の金属を用いてもよい。また、中間層16は金属に限定されることはなく、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン等のポリオレフィンを用いてもよく、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール、フッ素含有樹脂、ポリエーテルケトン等の他の合成樹脂を用いてもよい。また、カーボンファイバやグラスファイバを用いてもよい。また、以上列挙した材料等を複数種類組合せて使用してもよい。
【0029】
中間層16は、板状の壁部により形成されていてもよいが、本カテーテル本体11では、上記のような材料により形成された線状要素を用いて形成されている。具体的には、当該線状要素がメッシュ状に編み込まれることで、中間層16が形成されている。但し、メッシュ状に限定されることはなく、コイル状であってもよい。このように、中間層16を線状要素により形成することで、カテーテル本体11の補強を行いながら、曲げに対する柔軟性が高められる。
【0030】
中間層16を形成する線状要素は、その断面形状が矩形状となるように形成されているが、これに限定されることはなく、円形状や楕円形状であってもよい。また、中間層16を形成する線状要素は、当該中間層16の厚み寸法が内層14と同程度となるように形成されている。当該厚み寸法は任意であるが、外層15の厚み寸法よりも小さいことが好ましい。具体的には、0.01mm〜0.05mmが好ましい。
【0031】
また、軸線方向に隣り合う線状要素間のピッチは、一定であることが好ましい。当該ピッチの寸法は任意であるが、上記のようにカテーテル本体11の補強を行いながら、曲げに対する柔軟性を高める上では、0.5mm〜3.0mmが好ましい。
【0032】
外層15は、内層14及び中間層16を外側から覆うように設けられている。外層15は、合成樹脂を用いて形成されている。当該合成樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリイミド、ポリイミドエラストマ、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマ、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスチレンエラストマ、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ素系エラストマ、シリコンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。また、これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組合せた混合物を用いてもよい。
【0033】
ここで、ポリアミドエラストマとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族又は芳香族ポリアミドの繰り返し単位を生じさせる化合物と、ポリエステル、ポリエーテル等といった他のポリマの繰り返し単位を生じさせる化合物との重合体や、上記各種脂肪族又は芳香族ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、又はこれらの混合物を含む概念である。ポリアミドエラストマとして好ましくは、上記各種脂肪族又は芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、上記他のポリマをソフトセグメントとするブロック共重合体である。
【0034】
ポリエステルエラストマとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等といった飽和ポリエステルの繰り返し単位を生じさせる化合物と、ポリエーテル又はポリエステルといった他のポリマの繰り返し単位を生じさせる化合物との重合体や、上記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、又はこれらの混合物を含む概念である。ポリエステルエラストマとして好ましくは、上記飽和ポリエステルと上記他のポリマとのブロック共重合体である。
【0035】
本カテーテル本体11では、外層15として、ポリアミドとポリアミドエラストマとの混合物を用いており、より具体的にはナイロンと、ナイロンエラストマ(ブロック共重合体)との混合物を用いている。また、外層15は、軸線方向の全体に亘って同一の材料により形成されているのではなく、近位端部から遠位端部に向けて外層15の硬度(すなわち縦弾性係数)が段階的に小さくなるように形成材料が相違している。
【0036】
つまり、外層15として、図2に示すように、遠位端部から近位端部に向けて、第1外層領域21と、第2外層領域22と、第3外層領域23と、第4外層領域24と、第5外層領域25と、第6外層領域26と、を備えている。これら各外層領域21〜26は、第6外層領域26から第1外層領域21に向けて硬度が段階的に小さくなるように形成されている。
【0037】
各外層領域21〜26の硬度として好ましくは、第1外層領域21のショア硬度が35D〜55Dであり、第2外層領域22のショア硬度が40D〜65Dであり、第3外層領域23のショア硬度が50D〜70Dであり、第4外層領域24のショア硬度が55D〜80Dであり、第5外層領域25のショア硬度が55D〜80Dであり、第6外層領域26のショア硬度が55D〜80Dである。
【0038】
各外層領域21〜26の硬度の変化は、ナイロンの種類、ナイロンエラストマの種類、ナイロンとナイロンエラストマの混合割合のいずれか又はそれらの組み合わせを変化させることで実現されている。具体的には、隣接する所定の外層領域間では、ナイロンとナイロンエラストマとの混合割合を変化させずに、ナイロンの種類及びナイロンエラストマの種類のうち少なくとも一方を変化させることで硬度変化が実現されており、他の隣接する外層領域間では、ナイロンの種類及びナイロンエラストマの種類を変化させずに、ナイロンとナイロンエラストマとの混合割合を変化させることで硬度変化が実現されており、さらに他の隣接する外層領域間では、ナイロンの種類及びナイロンエラストマの種類のうち少なくとも一方を変化させるとともに、ナイロンとナイロンエラストマとの混合割合を変化させることで硬度変化が実現されている。このように硬度変化を生じさせることにより、外層領域21〜26の硬度を容易に細かく設定することができる。
【0039】
但し、当該構成に限定されることはなく、全ての外層領域21〜26において、同種のナイロンと同種のナイロンエラストマとの混合割合を段階的に変化させることで硬度変化が実現されている構成としてもよい。つまり、第6外層領域26から第1外層領域21に向けて、ナイロン及びナイロンエラストマの全重量に対して、ナイロンの混合割合が段階的に少なくなり、その反面、ナイロンエラストマの混合割合が段階的に多くなるように、各外層領域21〜26の形成材料を調製することで、上記硬度変化を実現することが可能となる。
【0040】
好ましくは、第1外層領域21はナイロンとナイロンエラストマとが0〜20対80〜100の割合で混合された材料により形成されており、第2外層領域22はナイロンとナイロンエラストマとが10〜30対70〜90の割合で混合された材料により形成されており、第3外層領域23はナイロンとナイロンエラストマとが15〜35対65〜85の割合で混合された材料により形成されており、第4外層領域24はナイロンとナイロンエラストマとが40〜60対40〜60の割合で混合された材料により形成されており、第5外層領域25はナイロンとナイロンエラストマとが40〜60対40〜60の割合で混合された材料により形成されており、第6外層領域26はナイロンとナイロンエラストマとが40〜60対40〜60の割合で混合された材料により形成されている。
【0041】
また、例えば、全ての外層領域21〜26において、ナイロンとナイロンエラストマとの混合割合は同一であるものの、ナイロン及びナイロンエラストマのうち少なくとも一方の種類を相違させることにより、硬度変化を生じさせてもよい。また、異なる樹脂系の形成材料を用いることにより、硬度変化を生じさせてもよい。
【0042】
各外層領域21〜26は、その軸線方向の長さ寸法が第6外層領域26から第1外層領域21に向けて段階的に小さくなるように形成されている。但し、これに限定されることはなく、各外層領域21〜26において軸線方向に連続する一部の領域は軸線方向の長さ寸法が同一又は略同一であってもよく、各外層領域21〜26の軸線方向の長さ寸法が全て同一又は略同一であってもよく、各外層領域21〜26のうち一部の領域はそれよりも近位側に存在している領域よりも軸線方向の長さ寸法が大きい構成としてもよい。各外層領域21〜26の軸線方向の長さ寸法として好ましくは、30mm〜100mmである。各外層領域21〜26の厚み寸法は任意であるが、血管等といった生体内の組織への負荷を低減させる上では、内層14や中間層16の厚み寸法よりも大きいことが好ましい。
【0043】
なお、外層15の表面に、ヒドロキシプロピルセルロースといったセルロース系ポリマ、ポリエチレングリコールといったポリエチレンオキサイド系ポリマ、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体といった無水マレイン酸系ポリマ、ポリアクリルアミドといったアクリルアミド系ポリマ、水溶性ナイロン等を用いて、親水性コーティングを施してもよい。また、金、白金、タングステン、各種合金等といった金属を用いて形成されたX線不透過マーカを所定の位置に取り付けてもよい。
【0044】
次に、カテーテル本体11の遠位領域(遠位端部から近位側に向けた所定範囲の領域)の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0045】
カテーテル本体11の遠位領域は、遠位端部に向けて剛性が低く且つ細くなるようにその構造が設定されている。具体的には、カテーテル本体11の内径を一定としながら外径を遠位側に向けて連続的に低下させる外側テーパ領域31,32と、カテーテル本体11の肉厚を一定としながら内径及び外径の両方を遠位側に向けて連続的に低下させる内外テーパ領域33と、を備えている。外側テーパ領域31,32は2つ設けられており、これら外側テーパ領域31,32は内外テーパ領域33を軸線方向に挟むようにして形成されている。また、各外側テーパ領域31,32のそれぞれは、肉厚、内径及び外径が一定となった一定化領域34,35,36,37により軸線方向に挟まれている。
【0046】
外側テーパ領域31,32の外径の変化率(当該領域の近位端部の外径に対する遠位端部の外径)は、通過性及び耐キンク性を良好なものとすることができれば任意であるが、1%〜10%が好ましい。また、内外テーパ領域33の外径の変化率(当該領域の近位端部の外径に対する遠位端部の外径)は、通過性及び耐キンク性を良好なものとすることができれば任意であるが、10%〜40%が好ましい。また、内外テーパ領域33の内径の変化率(当該領域の近位端部の内径に対する遠位端部の内径)は、通過性及び耐キンク性を良好なものとすることができれば任意であるが、1%〜40%が好ましい。
【0047】
各テーパ領域31〜33では、中間層16を形成する線状要素のピッチが一定に設定されている。また、当該線状要素のピッチは、一定化領域34〜37における線状要素のピッチと同一となっている。これにより、各テーパ領域31〜33においても、一定化領域34〜37と同様に、中間層16による補強を行うことが可能となる。
【0048】
上記のように各テーパ領域31〜33が形成された構成において、これら各テーパ領域31〜33のそれぞれについて、近位側と遠位側とで異なる外層領域が存在している。つまり、近位側の外側テーパ領域32は、第3外層領域23に含まれており、当該外側テーパ領域32の近位側には少なくとも第4外層領域24が存在しているとともに、遠位側には少なくとも第3外層領域23が存在している。また、遠位側の外側テーパ領域31は、第1外層領域21に含まれており、当該外側テーパ領域31の近位側には少なくとも第2外層領域22が存在しているとともに、遠位側には第1外層領域21が存在している。また、内外テーパ領域33は、第2外層領域22から第3外層領域23に亘って存在しており、当該内外テーパ領域33の近位側には少なくとも第3外層領域23が存在しているとともに、遠位側には少なくとも第2外層領域22が存在している。
【0049】
各テーパ領域31〜33において当該領域の構造に起因して最も剛性が低くなる箇所には、複数の外層領域間の境界は存在しないように、外層15が形成されている。詳細には、各テーパ領域31〜33のそれぞれについて、各テーパ領域31〜33の遠位端よりも近位側に外層領域間の境界が存在している。
【0050】
より具体的には、近位側の外側テーパ領域32は、その近位端部が、第3外層領域23と第4外層領域24との境界に存在しているものの、当該外側テーパ領域32によるテーパ形状に起因して最も剛性が低くなる箇所である遠位端部が、第3外層領域23の軸線方向の途中位置に存在している。
【0051】
遠位側の外側テーパ領域31は、その近位端部が、第1外層領域21と第2外層領域22との境界に存在しているものの、当該外側テーパ領域31によるテーパ形状に起因して最も剛性が低くなる箇所である遠位端部が、第1外層領域21の軸線方向の途中位置に存在している。
【0052】
内外テーパ領域33は、その近位端部が、第3外層領域23の軸線方向の途中位置に存在しているとともに、その遠位端部が、第2外層領域22の軸線方向の途中位置に存在している。また、内外テーパ領域33の軸線方向の途中位置に、第2外層領域22と第3外層領域23との境界が存在している。
【0053】
上記のようにテーパ領域31〜33が形成された構成においては、そのテーパ形状に起因して最も剛性が低くなるテーパ先の箇所に、折れ目が生じる。そして、当該折れ目部分に、外層領域間の境界が存在すると、キンクが発生してしまうことが懸念される。これに対して、当該折れ目が生じる箇所に対して、外層領域間の境界が重ならないようにしたことにより、当該キンクの発生が抑制される。よって、形成材料の硬度変化、外径の設定及び内径の設定によって、カテーテル10に求められる通過性、追随性、伝達性及び耐キンク性の向上を図った構成において、耐キンク性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0054】
次に、カテーテル10の製造方法について簡単に説明する。
【0055】
まずカテーテル10のルーメン13の形状に合わせて成型された金型に対して、内層14を押出被覆成形する。次に、当該内層14の外周面に線状要素を巻き付ける。この巻き付けに際しては、巻き付け用の市販の装置により、一定のピッチで線状要素の巻き付けを行う。これにより、内層14の表面に対して中間層16が形成される。次に、当該中間層16が形成された内層14に対して、各外層領域21〜26を押出被覆成形する。この際、各外層領域21〜26の肉厚を調整する。次に、各テーパ領域31〜33を研磨や加熱等を通じて形成する。その後、親水性コーティングの付与や、X線不透過マーカの取り付け及びハブ12の取り付けを行うことにより、カテーテル10の製造が完了する。
【0056】
次に、カテーテル10の使用方法について簡単に説明する。
【0057】
まず血管内に挿入されたシースイントロデューサにガイディングカテーテルを挿通する。次いで、ガイドワイヤGをカテーテル10のルーメン13及びガイディングカテーテル内に挿通し、治療対象箇所又は検査対象箇所を越える位置まで挿入する。続いて、ガイドワイヤGに沿ってカテーテル10を、押引又は捻り操作を加えながら治療対象箇所又は検査対象箇所まで挿入する。カテーテル本体11の先端部が治療対象箇所又は検査対象箇所に到達したら、薬液や造影剤を注入し治療や検査を行う。
【0058】
なお、カテーテル10は上記のように主として血管内を通されて、当該血管内を治療又は検査するために用いられるが、血管以外の尿管や消化管等の生体内の「管」や、「体腔」にも適用可能である。
【0059】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0060】
カテーテル本体11の壁部は、軸線方向に延在し同一の材料により形成されたベース層として、内層14及び中間層16を有するとともに、軸線方向において形成材料の硬度が異なる変化対象層として、外層15を有する複数層構造となっている。これにより、複数のチューブを軸線方向に連結させた場合のようなチューブの繋ぎ目を生じさせないようにしながら、材料の硬度変化を利用した剛性の変化を生じさせることが可能となる。
【0061】
また、これら内層14、中間層16及び外層15が存在している領域には、材料の硬度とは別の要素であってカテーテル本体11の剛性に影響を与える要素である特定要素として、カテーテル本体11の内径(ルーメン13の横断面積)及び外径(外縁のサイズ)が、遠位側に向けて小さくなる内外テーパ領域33(特定領域に相当)が形成されている。これにより、剛性を変化させる要素が材料の硬度を含めて複数種存在することとなり、剛性の変化態様を多様化させることが可能となる。よって、剛性のバランスの設定を好適に行うことが可能となる。
【0062】
さらにまた、内外テーパ領域33において上記特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所である遠位端部に対して、外層15において材料の硬度を相違させる境界が存在していない。これにより、上記のように剛性を変化させるための対象を多様化させた構成において、剛性が局所的に低下してしまう箇所を生じさせないようにすることが可能となり、耐キンク性の向上をも図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0063】
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施しても良い。
【0064】
(1)図3に示す変形例では、内外テーパ領域33と外層領域21〜26との関係は、上記実施の形態のものと同一である。一方、近位側の外側テーパ領域32はその全体が、第3外層領域23の軸線方向の途中位置に存在しており、遠位側の外側テーパ領域31はその全体が、第1外層領域21の軸線方向の途中位置に存在している。これにより、各テーパ領域31〜33の全てについて、近位側及び遠位側の両端のいずれもが、外層領域間の境界に対して重なっていない。
【0065】
また、図4に示す変形例では、内外テーパ領域33と外層領域21〜26との関係は、上記実施の形態のものと同一である。一方、近位側の外側テーパ領域32は、近位側の端部が第4外層領域24の軸線方向の途中位置に存在しているとともに、遠位側の端部は第3外層領域23の軸線方向の途中位置に存在しており、遠位側の外側テーパ領域31は、近位側の端部が第2外層領域22の軸線方向の途中位置に存在しており、遠位側の端部が第1外層領域21の軸線方向の途中位置に存在している。これにより、各テーパ領域31〜33の全てについて、近位側及び遠位側の両端のいずれもが、外層領域間の境界に対して重なっていない。
【0066】
上記各変形例の構成によれば、折れ目が生じる箇所の全てについて、外層領域間の境界との重複が回避されるため、耐キンク性が向上される。
【0067】
(2)図5に示す変形例のカテーテル40では、上記カテーテル10と異なり、カテーテル本体41は、内層42と外層43との二層構造となっている。但し、上記カテーテル10と同様に、中間層16が介在していてもよい。内層42の形成材料は、上記カテーテル10の内層14と同様である。また、外層43の形成材料も上記カテーテル10の外層15と同様であり、さらに遠位側に向けて段階的に硬度が低くなるように複数の外層領域43a,43b,43c,43d,43eを備えている。
【0068】
この場合に、本カテーテル40では、上記カテーテル10のような外側テーパ領域31,32及び内外テーパ領域33は設けられておらず、代わりに、外径を一定としながら、遠位側に向けて連続的に内径が大きくなる内側テーパ領域44と、肉厚を一定としながら遠位側に向けて内径及び外径の両方が大きくなる逆テーパ領域45とを備えている。これら内側テーパ領域44及び逆テーパ領域45を備えていることにより、ルーメン41aの横断面積を遠位側に向けて拡張することが可能となる。これにより、例えば、本カテーテル40を吸引カテーテルとして用いることにより、血栓の吸引を行い易くなる。
【0069】
上記のように各テーパ領域44,45が形成された構成において、内側テーパ領域44は、第2外層領域43bと第3外層領域43cとに亘って形成されており、内側テーパ領域44において当該テーパ構造により最も剛性が低くなる箇所である遠位側の端部は、外層領域間の境界と重なっていない。また、近位端部も、外層領域間の境界と重なっていない。ちなみに、第2外層領域43bと第3外層領域43cとの境界は、内側テーパ領域44の軸線方向の途中位置に存在している。
【0070】
また、逆テーパ領域45は、第1外層領域43aと第2外層領域43bとに亘って形成されており、逆テーパ領域45の近位側の端部は、外層領域間の境界と重なっていない。ちなみに、第1外層領域43aと第2外層領域43bとの境界は、逆テーパ領域45の軸線方向の途中位置に存在している。
【0071】
以上のように、本カテーテル40によれば、内側テーパ領域44及び逆テーパ領域45が存在しているとしても、それらテーパ形状により剛性が最も低くなる箇所であって折り目を生じさせる部分に対して、外側領域間の境界が重なっていない。これにより、各テーパ領域44,45を設けることで血栓の吸引を容易としながら、各外層領域43a〜43eを設けることにより追随性及び伝達性の向上を図った構成において、耐キンク性の向上が図られる。
【0072】
(3)上記カテーテル10において、中間層16を不具備としてもよい。また、このように中間層16を不具備とした構成又は上記カテーテル10のように中間層16を有する構成において、外層15は軸線方向の全体に亘って同一の材料により形成しながら、内層14を軸線方向において形成材料の硬度を変化させる構成としてもよい。また、上記カテーテル10のような3層構造において、中間層16の形成材料の硬度を軸線方向において変化させる構成としてもよい。また、形成材料の硬度が変化する領域において、内層14及び中間層16といったベース層を有しておらず、外層15といった変化対象層のみを有する構成としてもよい。
【0073】
(4)カテーテル壁部が内層14及び中間層16といったベース層と、外層15といった変化対象層とから形成されている領域が、カテーテル本体11の軸線方向の全体に存在している構成に限定されることはなく、当該領域がカテーテル本体11の軸線方向の一部にのみ存在している構成としてもよい。例えば、当該領域がカテーテル本体11の遠位端部から近位側に向けた所定範囲にのみ存在している構成としてもよい。この場合であっても、当該領域に、外側テーパ領域31,32及び内外テーパ領域33といった特定領域を形成することにより、剛性のバランスの設定を好適に行うことが可能となるとともに、特定領域において最も剛性が低くなる箇所に対して、材料の硬度を相違させる境界が存在しないようにすることで、耐キンク性の向上が図られる。
【0074】
(5)外側テーパ領域31に対して遠位側にて連続する一定化領域34、内外テーパ領域33に対して遠位側にて連続する一定化領域35、及び外側テーパ領域32に対して遠位側にて連続する一定化領域36の少なくとも一つは、カテーテル壁部の肉厚、ルーメン13の横断面積、及びカテーテル本体11の外縁のサイズのうち少なくとも一つの要素が遠位側に向けて連続的に小さくなる構成としてもよい。当該一定化領域において変動する要素としては、当該一定化領域に近位側にて連続する領域において変動する要素と同一種のものとする構成が考えられる。但し、当該一定化領域は、上記要素の単位長さ当たりの変化率が、当該一定化領域に対して近位側にて連続する領域の当該変化率と相違する構成とする。この場合であっても、当該一定化領域と当該近位側にて連続する領域との境界に、形成材料の硬度が変化する境界が存在しないようにすることが好ましい。特に、上記一定化領域の方が上記近位側にて連続する領域よりも上記変化率が小さい構成においては、キンクの生じ易い折れ目が存在することとなるため、当該一定化領域と当該近位側にて連続する領域との境界に、形成材料の硬度が変化する境界が存在しないようにすることが好ましい。
【0075】
(6)材料の硬度とは別の要素であってカテーテル体の剛性に影響を与える要素である特定要素としては、カテーテル壁部の肉厚、カテーテル体のルーメンの横断面積、及びカテーテル体の外縁のサイズ以外にも、例えばカテーテル体の側壁に吸引口が形成された吸引カテーテルにおける当該吸引口や、ガイドワイヤ用ルーメンの近位端開口がカテーテル体の軸線方向の途中位置に形成されたRX型のカテーテルにおける当該近位端開口が挙げられる。この場合、これら吸引口や近位端開口が存在している領域に対して軸線方向にずらした位置に、形成材料の硬度が変化する境界を生じさせることが好ましい。
【0076】
(7)本発明を、バルーンカテーテルに適用してもよい。例えば、バルーンカテーテルにおいてガイドワイヤ用ルーメンを生じさせるカテーテル体に対して本発明を適用してもよく、バルーンを膨張又は収縮させる際に圧縮流体が通過する流体用ルーメンを生じさせるカテーテル体に対して本発明を適用してもよい。なお、当該バルーンカテーテルは、PTCA用,PTA用,IABP用等のいずれであってもよい。また、種々の吸引カテーテルや、血流遮断用のカテーテルや、血栓等による閉塞箇所に遠位端部を押し付けることにより貫通させるためのカテーテル等に対して本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…カテーテル、11…カテーテル本体、14…ベース層を構成する内層、15…変化対象層を構成する外層、16…ベース層を構成する中間層、33…特定領域としての内外テーパ領域、40…カテーテル、41…カテーテル本体、42…ベース層としての内層、43…変化対象層としての外層、44…特定領域としての内側テーパ領域、45…特定領域としての逆テーパ領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル壁部を形成し、軸線方向において形成材料の硬度が異なる変化対象層を有するカテーテル体を備え、
当該カテーテル体は、
前記変化対象層が存在している領域に、前記材料の硬度とは別の要素であってカテーテル体の剛性に影響を与える要素である特定要素が、軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域を備えており、
且つ
前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
軸線方向に延在し同一の材料により形成されたベース層と、当該ベース層とともにカテーテル壁部を形成し、軸線方向において形成材料の硬度が異なる変化対象層と、を有するカテーテル体を備え、
当該カテーテル体は、
前記ベース層及び前記変化対象層が存在している領域に、前記材料の硬度とは別の要素であってカテーテル体の剛性に影響を与える要素である特定要素が、軸線方向に所定の方向性を持って連続的に変化する特定領域を備えており、
且つ
前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が低くなる箇所に対して、前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル体は、前記特定領域の軸線方向の途中位置に前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテル体は、前記特定領域において前記特定要素に付随して最も剛性が高くなる箇所に対しても前記変化対象層において前記材料の硬度を相違させる境界が存在しないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記特定領域は、前記特定要素に付随する剛性が遠位側に向けて低くなるように形成されており、
前記最も剛性が低くなる箇所は、前記特定領域の遠位端部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記特定領域は、前記特定要素として、前記カテーテル壁部の肉厚、前記カテーテル体のルーメンの横断面積、及び前記カテーテル体の外縁のサイズのうち少なくとも一つの要素が変化する領域であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載のカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−196389(P2012−196389A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63767(P2011−63767)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(503333038)株式会社グッドテック (3)
【Fターム(参考)】