説明

カドミウム非含有の再発光半導体構成体

開示される再発光半導体構成体(RSC)は、カドミウムを含まないフルカラーRGB又は白色発光デバイスを提供し得る。いくつかの実施形態には、III−V族半導体を含み、第1光子エネルギーの光を、より小さい光子エネルギーの光へと変換するポテンシャル井戸と、第1光子エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有するII−V族半導体を含むウィンドウとが含まれ得る。いくつかの実施形態には、第1光子エネルギーを有する光を、より小さい光子エネルギーの光へと変換し、かつ、実質的にCd非含有であるII−V族半導体を含む、ポテンシャル井戸が含まれ得る。いくつかの実施形態には、第1のIII−V族半導体を含み、第1光子エネルギーの光を、より小さい光子エネルギーの光へと変換するポテンシャル井戸と、第2のIII−V族半導体を含み、第1光子エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有するむウィンドウとが含まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
参照は次記の係属中米国特許出願に対して行われ、これらの内容は本明細書で開示される実施形態に組み込まれ得る:米国特許出願番号第61/175,640号「Re−Emitting Semiconductor Construction With Enhanced Extraction Efficiency」(代理人整理番号第64759US002号)(2009年5月5日出願);米国特許出願番号第61/175,632号「Semiconductor Devices Grown on Indium−Containing Substrates Utilizing Indium Depletion Mechanisms」(代理人整理番号第65434US002号)(2009年5月5日出願);及び米国特許出願番号第61/175,636号「Re−Emitting Semiconductor Carrier Devices For Use With LEDs and Methods of Manufacture」(代理人整理番号第65435US002号)(2009年5月5日出願)。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概ね、ソリッドステート半導体光源に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイス、及び半導体デバイスの製造方法は、幅広く様々な種類が知られている。これらのデバイスの一部は、可視光又は近可視光(例えば、紫外線若しくは近赤外線)などの光を発するように設計されている。例としては、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオードなどのエレクトロルミネセンスデバイスが挙げられ、これらにおいては、駆動電流又は同様の電気信号がデバイスに印加されて光を発する。発光するよう設計された半導体デバイスの別の例が、再発光半導体構成体(RSC)である。
【0004】
LEDとは異なり、RSCは発光するのに外部電子回路からの駆動電流を必要としない。その代わりにRSCは、RSCの活性領域における第1波長λの光の吸収によって電子正孔対を生成する。この電子と孔が活性領域にあるポテンシャル井戸内で再結合し、第1波長λとは異なる第2波長λの光を発し、所望により更に、ポテンシャル井戸の数と設計機能に応じて、他の波長λ、λなどの光を発する。第1波長λの開始放射又は「ポンプ光」は典型的に、RSCに連結された青、紫、又は紫外線の発光LEDによって供給される。代表的なRSCデバイス、その製作の方法、及び関連するデバイスと方法は、例えば米国特許第7,402,831号(Millerら)、米国特許出願公開第US 2007/0284565号(Leatherdaleら)、及び同第US 2007/0290190号(Haaseら)、国際公開特許WO 2009/048704号(Kelleyら)、並びに係属中の米国特許出願第61/075,918号「Semiconductor Light Converting Construction」(代理人整理番号第64395US002号)(2008年6月26日出願)に見出すことができ、これらは全て、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0005】
本明細書において特定の波長の光に対して言及が行われる場合、その言及は、ピーク波長がその特定の波長であるスペクトルを有する光に対してなされていると理解されるであろう。
【0006】
光ポンピング垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)は、RSCの一種と見なすことができ、光を放射するよう設計された半導体デバイスの別の例である。VCSELは、ポンプ光源によって放射された第1波長の光の少なくとも一部分を、第2波長の少なくとも部分的なコヒーレント光に変換する。VCSELは、第1ミラーと第2ミラーとの間に配置され、かつ第1波長の少なくとも一部分を第2波長の光に変換する半導体多層積層体を含む。この半導体多層積層体は、Cd(Mg)ZnSe合金を含み得る量子井戸を含む。係属中の米国特許出願第61/094,270号「Diode−Pumped Light Source」(代理人整理番号第64116US002号)(2008年9月4日出願)が参照され、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0007】
本出願の一部利益となるのは、白色光を放射することができる光源である。一部の場合において、既知の白色光源は、青色発光LEDなどのエレクトロルミネセンスデバイスを、第1及び第2RSC系発光素子と組み合わせることによって構築される。この第1発光素子には、例えば、青色光の一部を緑色光に変換し、青色光の残りを透過する、緑色発光ポテンシャル井戸が挙げられる。第2発光素子には、第1発光素子から受け取った緑色及び/又は青色の光の一部を赤色光に変換し、青色光及び緑色光の残りを透過する、ポテンシャル井戸が挙げられ得る。結果として得られた赤色、緑色、及び青色光の構成成分を合わせることにより、例えば、国際公開特許WO 2008/109296号(Haase)に記述されているデバイスが、実質的に白色の光の出力を提供することができる。
【0008】
一部のデバイスは、ピクセル化した配列又はアレイを用いて、白色光を提供する。すなわち、それ自体では白色光を発しないような複数の個別の発光素子が、互いにごく近接して配列されることにより、全体として合成の白色ピクセルを形成する。このピクセルは典型的に、観測システムの解像度限界を下回る特性寸法又はサイズを有しているため、異なる発光素子から発せられる光は、効果的に合わせられて観測システム内に入る。そのようなデバイスの一般的な配列は、3つの個別の発光素子−赤色(R)発光素子1つ、緑色(G)発光素子1つ、青色(B)発光素子1つ−のものであり、これらが1つの「RGB」ピクセルを形成する。着色発光素子の大きなアレイは、カラー画像を形成するために、そのようにして構成することができる。そのようなデバイスの開示については、再び、国際公開特許WO 2008/109296号(Haase)が参照される。
【0009】
図1は、RSC 108及びLED 102を組み合わせたデバイス100の例を示す。このLEDはLED半導体層104の積層体を有し、これは時に、LED基材106上にあるエピ層と呼ばれる。層104は、p型とn型の接合層、発光層(典型的には、量子井戸を含む)、緩衝層、及びスーパーストレート層を含み得る。層104は、任意の結合層116を介してLED基材106に接合されていてもよい。LEDは上表面112及び下表面を有し、この上表面は、上表面が平坦である場合に比べてLEDからの光の取り出しが増大するように、非平坦になっている。電極118、120は、図に示すように、この上側表面及び下側表面上に設けられてもよい。これらの電極を介して、好適な電源に接続されているとき、LEDは第1波長λの光を放射し、これは青色、紫色、又は紫外線(UV)の光に対応し得る。このLED光の一部は、RSC 108内に入り、そこで吸収される。
【0010】
RSC 108は、接着層110を介してLEDの上側表面112に接合される。このRSCは上側表面122及び下側表面124を有し、この下側表面124を介して入るLEDからのポンプ光を有する。上側表面及び下側表面の一方又は両方のいずれでも、光取り出しのために役立つよう、非平坦であり得る。RSCには、構造内の一部のバンドギャップが選択されるように工学的に操作されていて、LED 102の発光したポンプ光の少なくとも一部が吸収されるように、量子井戸構造114も含まれる。ポンプ光の吸収によって発生した電荷担体は、より小さなバンドギャップを有する構造の一部である量子井戸に拡散し、そこで担体は再結合してより長い波長の光を発生する。これは図1において示されるように、RSC 108内から発し、RSCから外に出る、第2波長λでの再発光による出力光を提供する。
【0011】
図2は、RSCを含む半導体層積層体210の例を示す。この積層体は、リン化インジウム(InP)ウエハ上に分子ビームエピタキシ(MBE)を用いて成長させたものである。GaInAs緩衝層は、まずMBEによりInP基板に形成されて、II−VI形成用の表面を準備した。続いて、RSCに使用するII−V族エピタキシャル層を成長させるために、超高真空移送システムを通って別のMBEチャンバへウエハを移動させた。成長させたRSCの詳細は図2に示され、表1にまとめられている。表は、RSCに伴う異なる層の厚さ、材料組成、バンドギャップ、及び層の説明を記載している。RSCには8つのCdZnSe量子井戸230が含まれ、それぞれが遷移エネルギー2.15eVを有する。各量子井戸230は、LEDより発光される青色光を吸収できる2.48eVのバンドギャップエネルギーを有するCdMgZnSe吸収層232の間に挟まれていた。RSCはまた、種々のウィンドウ、緩衝体、及びグレーディング層を含んでいた。
【0012】
【表1】

【0013】
この例及びその他のRCSデバイスの更なる詳細は、国際公開特許WO 2009/048704号(Kelleyら)に見出すことができる。
【0014】
前の実施例に示すように、CdMgZnSe合金は、RSCデバイスの製造において特に利点がある。明らかに、CdMgZnSeの合金(これは、本明細書の検討目的のため、CdZnSeをも含む)は、幅広い範囲のバンドギャップエネルギーにわたって、有用な半導体基材上に、格子整合した、又は擬似格子整合した多層積層体として形成することを便利に可能にするような格子定数で、製造することができる。例えば、エピタキシャル成長プロセス中にCdMgZnSe合金の組成物を単に制御するだけで、適切な厚さとバンドギャップを有するCdMgZnSe系半導体層の積層体がInP基材(RSCの必要又は望ましい構成成分のほぼ全てを含む半導体層積層体)の上に製造でき、これにより、一実施形態において、結果として得られたRSCは、青色のポンプ光を緑色の再発光光に変換し、及び別の実施形態においては青色のポンプ光を赤色の再発光光に変換し、更に別の実施形態においては青色のポンプ光を緑色と赤色の再発光光両方に変換する。よって、全体又は大半がCdMgZnSe系材料からなっている1つ以上のRSCを備えた青色放射エレクトロルミネセンスデバイスを組み合わせることによって、RGBピクセル化又はその他の白色光源を製造することが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
近年、潜在的な環境問題及び/又は健康問題に基づき、特定の物質の使用を制限しようと、様々なグループ又は団体によって対処が検討され、及び/又は対処がとられている。そのような物質の1つがカドミウムである。よって、カドミウムは通常のCdMgZnSe系RSCにはごく微量しか存在していない場合でも、またCdMgZnSe合金におけるカドミウム原子は半導体材料の格子構造に強力に結合している場合でも、カドミウム含有の材料使用を実質的に避けて、効率的なRSCデバイス(場合によっては、RGBアレイを含む)の製造を可能にするような、代替のアプローチを見出すことが望ましい可能性がある。よって、少なくとも、開示される実施形態の一部は、実質的にカドミウム非含有の発光デバイス又はその構成要素を目的とし、又は少なくとも適合性を有する。しかしながら読者は、開示される実施形態の多くは必ずしもカドミウム非含有である必要はなく、1つ以上の構成要素がかなりの量のカドミウムを含み得るにもかかわらず、様々な設定において有利に利用できることを、理解すべきである。
【0016】
本出願は、とりわけ、第1ポテンシャル井戸及びウィンドウを含む半導体構成体を開示する。この第1ポテンシャル井戸は、第1のIII−V型半導体を含み、第1光子エネルギーを有する光を、より小さな第2光子エネルギーを有する光へと変換するよう適合されている。ウィンドウは、第1のII−VI型半導体を含み、第1光子エネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有する。
【0017】
代表的な実施形態において、第1ポテンシャル井戸は擬似格子整合であり得、ウィンドウは実質的にCd非含有であり得る。このウィンドウ及び/又は全体の半導体構成体は、後述するように、RoHS指令に適合し得る。第1光子エネルギーを有する光には、紫外線、紫色、青色、及び/又は緑色の光が挙げられ得る。第2光子エネルギーを有する光には、赤色光が挙げられ得る。この半導体構成体は擬似格子整合であり得、例えばGaAsなどの第2のIII−V族半導体を含む基材上に配置することができる。第1のIII−V族半導体には、GaInP又はAlGaInPが含まれ得る。第1のII−VI族半導体には、BeMgZnSe若しくはBeZnSeが含まれ得、又は例えば、MgZnSSe若しくはBeZnSSeが含まれ得る。第1ポテンシャル井戸は、1層以上の吸収材層と、所望により追加のポテンシャル井戸とを含む擬似格子整合の半導体層の積層体の構成要素であり得、この積層体の層はそれぞれに、AlGaInPを含み得る。第1ポテンシャル井戸は、1層以上の吸収材層と、所望により追加のポテンシャル井戸と、を含む、擬似格子整合の半導体層の積層体の構成要素であり得、この半導体層の積層体は、実質的にCd非含有であり得る。半導体構成体はまた、第1光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源上に配置することができ、及び、第2ポテンシャル井戸は、第1光子エネルギーを有する光を、第1光子エネルギーより小さく第2光子エネルギーより大きい第3光子エネルギーを有する光へと変換するためのものであり、この第2ポテンシャル井戸は第2のII−VI族半導体を含む。第1光子エネルギーを有する光には、紫外線、紫色、及び/又は青色光が挙げられ得、第3光子エネルギーを有する光には、緑色光が挙げられ得る。あるいは、半導体構成体は、第1光子エネルギーよりも大きい第3光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源、及び、第3光子エネルギーを有する光を第1光子エネルギーを有する光へ変換するための第2のII−VI族半導体を含む第2ポテンシャル井戸と、組み合わせることができる。そのような場合、第2のII−VI族半導体には、MgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeが挙げられ得、第3光子エネルギーを有する光には紫外線、紫色、及び/又は青色の光が挙げられ得、第1光子エネルギーを有する光には、緑色光が挙げられ得、及び、第2光子エネルギーを有する光には、赤色光が挙げられ得る。
【0018】
本出願は更に、第1のII−VI族半導体を含む第1ポテンシャル井戸を含む半導体構成体を開示し、この第1ポテンシャル井戸は、第1光子エネルギーを有する光を、より小さい第2光子エネルギーを有する光へと変換するよう適合されている。この第1ポテンシャル井戸は、実質的にCd非含有である。
【0019】
代表的な実施形態において、第1のII−VI族材料は、InPに対して擬似格子整合であり得、例えばMgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeを含み得る。第1光子エネルギーを有する光には、紫外線、紫色、及び/又は青色光が挙げられ得、第2光子エネルギーを有する光には、緑色光が挙げられ得る。この半導体構成体はまた、第1光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源と組み合わせることができる。
【0020】
本出願はまた、第1ポテンシャル井戸及びウィンドウを含む半導体構成体を開示する。この第1ポテンシャル井戸は、第1のIII−V型半導体を含み、第1光子エネルギーを有する光を、より小さな第2光子エネルギーを有する光へと変換するように適合されている。ウィンドウは、第2のIII−V型半導体を含み、第1光子エネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有する。
【0021】
代表的な実施形態において、第1ポテンシャル井戸は、ウィンドウに対して格子整合していてよく、及び/又は第2のIII−V族半導体は、間接的バンドギャップを有し得る。更に、この半導体構成体はまた、第1のII−VI族半導体を含む第2ポテンシャル井戸を含み得、第3光子エネルギーを有する光を第1光子エネルギーを有する光へと変換するよう適合されている。この第2ポテンシャル井戸は実質的にCd非含有であり得る。第3光子エネルギーを有する光には、青色、紫色、及び/又は紫外線の光が挙げられ得、第1光子エネルギーを有する光には、緑色光が挙げられ得、及び、第2光子エネルギーを有する光には、赤色光が挙げられ得る。第1のIII−V族半導体はAlGaInPを含み得、第2のIII−V族半導体はAlInPを含み得、並びに、第1のII−VI族半導体は、例えば、MgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeを含み得る。
【0022】
関連する方法、システム、及び物品も述べられる。
【0023】
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0024】
本出願では:
「格子整合した」とは、基板上のエピタキシャル層のような2種類の結晶性材料に関して、各材料が個別に見た場合にそれぞれ所定の格子定数を有し、これらの格子定数がほぼ等しい、一般的には、その差が0.2%以下、より一般的にはその差が0.1%以下、最も一般的にはその差が0.01%以下であることを意味する。
「擬似格子整合した」は、エピタキシャル膜及び基板等の、所定の厚さの第1結晶性層及び第2結晶性層に関して、各々の単離した層がある格子定数を有し、これらの格子定数が十分に類似しており、その結果、所定厚さの第1層は、ミスフィット欠陥が実質的にない層の平面の中で第2層の格子間隔を採ることができることを意味する。
「ポテンシャル井戸」は、キャリアを1つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造内の(1つ以上の)半導体層を意味しており、その際、(1つ以上の)半導体層は、周囲の層よりも低いバンドエネルギー、及び/又は周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほどに薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm以下又は約10nm以下の厚さを有する。
【0025】
更に、層又は構成要素が「実質的にCd非含有」である、又は類似の表現は、その層又は構成要素がもしCdを含んでいるとしても、その量は0.01重量%未満であることを意味する。
【0026】
「RoHS指令」とは、2003年1月27日の電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会の指令2002/95/ECを指し、一般には有害物質に関する制限指令、又は単にRoHSと呼ばれる。これは2003年2月13日にOfficial Journal of the European Unionにて公表され、更に2005年8月18日の委員会決定により改訂され、2005年8月19日に2005/618/ECの名称でOfficial Journal of the European Unionにて公表された。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】LED/RSCデバイスの組み合わせの概略側面図。
【図2】RSCを含む代表的な半導体層積層体の概略側面図。
【図3】RSCを含むある半導体構成体の概略側面図。
【図4】RSC中に見出され得る様々な層について好適なバンドギャップエネルギーの説明に役立つ、エネルギーダイアグラム。
【図5】様々なII−VI族及びIII−V族半導体化合物及び個々の元素について、格子定数とバンドギャップエネルギーを示すグラフ。
【図6】様々なII−VI族及びIII−V族半導体化合物及び個々の元素について、格子定数とバンドギャップエネルギーを示すグラフ。
【図7】AlGaInP合金についての、バンドギャップエネルギー対組成のグラフ。
【図8】本明細書に開示されるように、青色ポンピング光源及びRSCを使用したRGB光源の概略断面図。
【図9】別のRGB光源の概略断面図。
【図10】RSCに基づく複合RGB画素(ピクセル)のアレイを含むカラー画像システムの概略平面図。 図中、同様の参照数字は同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一般的な半導体構成体と、特に再発光半導体構成体(RSC)とに関連する一般的原理及び設計に関する検討事項の議論から始める。前述のように、RSCデバイスは光ルミネセンス変換プロセスを介して動作する。すなわち、吸収材料のバンドギャップよりも大きいエネルギーを備えたポンプ光の光子が、電子正孔対を生成し、これが再び結合して、発光層のバンドギャップ又はその付近のエネルギーの光子を放射する。この変換構造は、原理的に均質の半導体であり得るが、均質層の効率は、表面で形成されるキャリアが、比較的高い確率で非放射性再結合を有するという事実があるため、低くなる。よって、層から層へのバンドギャップを工学的に操作し、キャリアを閉じ込める量子井戸を形成し、自由表面に拡散するのを防ぐようなウィンドウ層を形成することによって、格子整合ヘテロ構造のような、より複雑な構造を介する方が、より高い効率を得ることができる。更に高い効率は、十分に小さいサイズの量子井戸を使用して、量子閉じ込め効果が放射性再結合を促進するようにすることによって、得ることができる。
【0029】
量子閉じ込めを利用した高効率の半導体下方変換構造を製造するには、この構造及び関連する設計検討事項の典型的な層には、1つ以上のポテンシャル井戸層、吸収材層、及びウィンドウ層が挙げられる。効率的な変換を達成するために、これらの層の全てが(RSCに含まれている限りにおいて)、好ましくは相互に格子整合して、あるいは擬似格子整合して成長させ、これにより、非放射性の再結合を促進する構造的欠陥の生成を防ぐことができる。ここで、これらのタイプの層それぞれについて設計に関する検討事項を見ていく。
【0030】
ポテンシャル井戸層は、望ましい放射光子エネルギー(E)と通常は同じ、又はわずかに小さくてもよい、バンドギャップエネルギー(Epw)を有する。バンドギャップエネルギーEpwと放射エネルギーEとの差は、ポテンシャル井戸層の厚さが十分に小さい場合、井戸における量子化に伴うエネルギーレベルによるものである。開示される実施形態においては、任意の色又は波長、又はこれらの組み合わせの光放射が想到されるが、ディスプレイ型の用途、並びに一般照明用途における具体的な利益となるのは、可視光、特に赤色、緑色、及び青色の光である。よって、RSC設計における具体的な利益となるのは、少なくとも赤色光及び/又は緑色光、並びに場合によっては青色光を放射することができるポテンシャル井戸層である。(多くの場合、青色光は、RSCに連結されるLEDなどのエレクトロルミネセンスデバイスによって供給されるため、そのような場合においてはRSCは必ずしも、青色光を放射するように設計されたポテンシャル井戸層を含む必要はない。)用語「赤色」、「緑色」、又は「青色」は、かなりの範囲の光子エネルギー(又は波長)に妥当に適用することができるが、議論の目的のために、赤色については約2eV(約620nmの波長に対応)又は更には1.9eV(約650nmの波長)の代表的光子エネルギー、並びに、緑色については約2.3eV(約540nmの波長)の代表的光子エネルギーを選択し得る。これらの値は制限的なものとして見なされるべきではなく、ポテンシャル井戸層の具体的な材料の安定性を検討する際に、何らかのガイダンスをデバイス設計者に与えるものである。
【0031】
吸収材層は、ポンプ光スペクトルの大部分の光子エネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギー(E)を有しているため、ポンプ光の大半は吸収され、電子正孔対に変換される。ポンプ光の典型的なスペクトル幅(又は光子エネルギーの範囲)に対して、吸収材のバンドギャップEは好ましくは、ポンプ光スペクトルのピークにおける光子エネルギーEpumpよりも、数百meV小さい。効率的な吸収のためには、約200meVを超える差があることが望ましい。また、この吸収材層は、ポテンシャル井戸内のキャリアを閉じ込める「壁」又は「バリア」を形成できることにも注意されたい。バリア高さEとポテンシャル井戸エネルギーEpwとの差は、好ましくは、デバイスの動作温度で利用できる熱エネルギー(T)よりも有意に大きい。典型的には、光ルミネセンス強度の温度依存性を最小限に抑えるために、E−E、又はE−Epwは、10KTよりも大きく、Kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度での動作温度である。差の値は、200meVを超え、好ましくは300meVのオーダーであることが望ましい。
【0032】
ウィンドウ層は、ポンプエネルギー分布よりも高いバンドギャップエネルギー(E)を有し、これにより、吸収層及び/又はポテンシャル井戸層へのポンプ光の効率的な浸透が可能になる。典型的なGaInNポンプLEDにおいて、ウィンドウバンドギャップは好ましくは、LEDスペクトルの中央(すなわち、ポンプ光のピーク波長)で光子エネルギーEpumpを約200meV以上上回る。この検討事項は、吸収層で効率的に吸収されるポンプ光を有したいという希望と組み合わせて、吸収材のバンドギャップとウィンドウのバンドギャップとの間に約400meV以上の差があり得ることを意味し、これにより、ウィンドウ−吸収材界面で生成されるキャリアが、外側ウィンドウ表面へと拡散して非放射的に結合することを防止するような、バリアを自動的に提供することに注意されたい。
【0033】
図3及び4は、設計に関する検討事項の前述の議論を支持するものとして設けられている。
【0034】
図3では、例えばRSC 310などの半導体構成体が、概略断面図に示されている。RSC 310は、半導体ウィンドウ層312、半導体吸収材層314、半導体ポテンシャル井戸層316、及びもう1つの半導体層318を含むように示されており、RSCはポンプ光320で照らされ、出力光322を放射している。層318は、ウィンドウ層312に類似又は同じもう1つのウィンドウ層であってもよく、また、「シアンブロッカー」と呼ばれる光フィルタリング層であってもよい。シアンブロッカー層は、吸収材層のバンドギャップエネルギーEと同じ桁で、望ましくは若干(典型的には、数meV〜数十meV)少ないバンドギャップエネルギーEcbを備えて提供することができ、これによりシアンブロッカーは、RSCの他の層を透過したポンプ光源によって供給された短波長光の実質的に全てを、効果的に吸収することができる。しかしながら、シアンブロッカーバンドギャップエネルギーEcbも、好ましくは、放射エネルギーEよりも実質的に高く、これによりポテンシャル井戸から発する再発光光は、透過率が高い。これに関する参照は、係属中の米国特許出願第61/075,918号「Semiconductor Light Converting Construction」(代理人整理番号第64395US002号)(2008年6月26日出願)に対して行われる。層318がシアンブロッカーの場合、出力光322には、実質的にポンプ光320が一切含まれない可能性がある。一方、層318がウィンドウ層の場合、出力光322には、RSC 310の吸収層及びポテンシャル井戸の設計に依存して、ある程度の(かなりの量の場合も含む)ポンプ光320が含まれ得る。
【0035】
図4において、エネルギー(例えば、バンドギャップエネルギー又は光子エネルギー)が、RSC内に見出され得る様々なタイプの層又は領域を表わすよう区分された横軸に対してプロットされている。ウィンドウ層(E)、吸収材層(E)、ポテンシャル井戸(Epw)、及びシアンブロッカーのバンドギャップエネルギーが示されており、ポンプ光分布のピークエネルギー(Epump)及びポテンシャル井戸によって再発光された光のピークエネルギー(E)も示されている。前述の議論に従い、様々なパラメーターの間に下記のおよその関係を維持することが望ましい:
【数1】

【0036】
これらの関係は、例えば、CdMgZnSe合金などのカドミウム含有半導体材料を組み込んだRSCデバイスにおいて容易に維持することができる。CdMgZnSe合金系においては、赤色発光及び/又は緑色発光のいずれであっても、全ての望ましいバンドギャップ値を有する密に格子整合した材料を、合金の組成を適切に変更することによって達成することができる。この理由からCdMgZnSeは、フルカラー発光(例えば、RGB)用途に使用するために設計されたRSCに使用するのに、非常に有利な合金系である。
【0037】
様々なII−VI型及びIII−V族半導体化合物及び元素半導体結晶の特性をプロットした、図5のバンドギャップ対格子定数のダイアグラムは、この利点を示している。太線で区切られた領域510は、CdMgZnSe合金で達成可能なバンドギャップ対格子定数値の範囲に対応している。またこの図に含まれるのは、赤色発光(約620nm)に対応するバンドギャップエネルギーを表わす線512、緑色発光(540nm)に対応するバンドギャップエネルギーを表わす線514、緑色発光よりも300大きいバンドギャップエネルギーを表わし、よって多くの実施形態において吸収材層として適切な線516、並びに、線516より500meV上回るバンドギャップエネルギーを表わし、よって多くの実施形態においてウィンドウ層として適切な線518である。
【0038】
図5において、矩形領域520は、赤色と緑色の両方、並びに吸収層及びウィンドウ層にも適切な格子整合層を成長させることができる領域を示している。このCdMgZnSe材料系においてさえも、赤色発光ポテンシャル井戸層として使用するのに好適な合金は、InPに対して完全には格子整合せず、よってそのような合金は、全体の構造がInP成長基材に対して擬似格子整合である場合、小さな圧縮歪みを備えて成長させる必要がある場合がある。また図5で明らかなように、半導体合金にCd又はHgを含めない場合、620nmの赤色光を放射するのに十分小さい直接バンドギャップエネルギーを有するII−VI材料は存在しない。
【0039】
しかしながら注目に値することとして、カドミウムがなくともテルルの添加により、少なくとも緑色発光下方変換構造体に適切であるような格子整合した合金を製造することが可能であることを発明者らは見出した。これは、図6のバンドギャップ対格子定数ダイアグラムに示されていて、図では、太線によって区切られた領域610は、MgZnSeTe合金系において利用できる可能なバンドギャップエネルギーと格子定数の領域を示している。ZnSeTeの合金を含め、そのような合金は、均質層(単数又は複数)において、カドミウムをほとんど又は全く含まず、例えば、Cdが0.01重量%未満、又は0.001重量%未満での層形成において、既知のエピタキシャル成長プロセスを用いて、製造することができる。そのような合金は、均質層(単数又は複数)において、水銀をほとんど又は全く含まず、例えばHgが0.1重量%未満、又は0.01重量%未満での層形成において、製造することもできる。そのような合金は、RoHS指令に準拠して製造することも可能である。
【0040】
図6のMgZnSeTe系(領域610)は、RSCデバイスにおける実質的にCdを含まない単色緑色発光のための有望なオプションであり、MgZnSeTe層は、InP基材上での成長に対して融和性である。緑色発光ポテンシャル井戸、吸収材層、及びウィンドウ層にとっても、ZnSeTe合金を含む適切なMgZnSeTe系合金は、InP基材に対して格子整合が可能である。図6で、領域610の境界を形成する太い破線で示されているように、MgSeTe合金サブ系に対応する領域610の上部分において、バンドギャップエネルギー対組成物の間の正確な関係について、現時点では、当該技術分野におけるコンセンサスが欠如しているにもかかわらず、これは事実である。
【0041】
青色ポンプ光(例えば、ピーク波長450nm)で使用するための代表的な緑色発光の下方変換層構造体が、表2に示されている。この構造体は、そのウィンドウ層、吸収材層、及びポテンシャル井戸に、ZnSeTeを含むMgZnSeTe系合金を用いている。記載されている組成物は、バンドギャップ対格子定数値における不確定性のため、近似値である。
【0042】
【表2】

【0043】
もちろん、表2のものに類似の実施形態で、追加のポテンシャル井戸と追加の吸収材層、所望によりシアンブロッカー層も含むものも、MgZnSeTe系合金を用いて製造することができる。表に示されている量子井戸のバンドギャップエネルギー(Epw)は2.2eVの値であり、これは、量子効果により、約2.2〜2.3eV(すなわち、緑色光)のピークエネルギーを有する再発光光を生成すると予想される。
【0044】
後のプロセス工程において、RSCを形成する半導体層は、望ましい場合はエレクトロルミネセンスポンプ光源(例えば、青色発光LED)に接着することができ、そのような方法においてウィンドウ層(表2の成長順序5)はLEDとポテンシャル井戸(表2の成長順序3)との間にあり、この後にInP成長基材を例えばエッチングなどで除去して、緑色光がポテンシャル井戸によって生成できるようになることが、読者には理解されよう。この半導体層積層体の構成は、ポンプ光源側を向くよう設計されているRSCの表面が、最後に成長させたRSCデバイス層の表面になっており、この構成を「標準の向き」と呼ぶ。本明細書で開示される半導体積層体は、「逆の向き」を用いて製造することもでき、ポンプ光源側を向くよう設計されているRSCの表面が、最初に成長させたRSCデバイス層の表面になっている。逆の向きが使用された場合、ガラス又はその他の好適な材料で製造されたキャリアウィンドウは、積層体の成長基材の反対側に取り付けることができ、この成長基材を次に除去してから、RSCをポンプ光源に取り付けることができる。これに関する参照は、米国特許出願第61/175,636号「Re−Emitting Semiconductor Carrier Devices For Use With LEDs and Methods of Manufacture」(代理人整理番号第65435US002号)(2009年5月5日出願)に対して行われ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
カドミウム非含有の緑色発光RSCのための材料としてMgZnSeTe合金(ZnSeTe合金を含む)を選択した場合、デバイス設計者が直面する問題は(ここでは緑色と赤色の両方の発光を単一のデバイスに合わせることが望ましい場合において)、この緑色コンバーターに適合する赤色発光ポテンシャル井戸として使用するのに好適な、効率的なカドミウム非含有材料を見出すことである。これは、赤色への下方変換のためのIII−V層のハイブリッド統合を介して容易に達成することができる。
【0046】
赤色発光ポテンシャル井戸については、AlGaInP合金系(GaAs基材に対して格子整合している)が優れた候補である。この合金系は、GaInP材料を含むと見なし得る。一部のAlGaInP合金は、高効率の赤色LEDを製造するのに商業的に使用されている。このような材料は、良好な光学的下方コンバーターを製造するのにも使用することができる。
【0047】
GaAsに対して格子整合しているAlGaInP合金、すなわち、形態(AlGa1−x0.5In0.5Pの組成物に関するバンドギャップエネルギー対組成物のグラフを、図7に示す。この図のデータは、E.F.Schubert著「Light−Emitting Diodes」、Cambridge University Press(Cambridge,UK)から得られたものである。これらの組成物で、1.9eV(653nm)と2.2eV(555nm)との間の直接バンドギャップエネルギーを達成することができる。赤色波長620nm(2.0eV)で発光するポテンシャル井戸を製造するには、x≒0.10の組成物を使用することができる。バンドギャップがポテンシャル井戸エネルギーを0.2eV上回る吸収材層を製造するには、x≒0.46の組成物を使用することができる。
【0048】
バンドギャップエネルギーがポンプ光を効率的に透過させるのに十分なほど大きいウィンドウ層を製造するには、AlGaInP合金以外で、そのような合金と融和性のある半導体材料を探すことができる。典型的なRSC系は、例えば、ピーク波長が約450nm(2.8eV)の青色ポンプ光を使用し得る。ウィンドウ層における青色ポンプ吸収を避けるために、ウィンドウのバンドギャップエネルギーは、望ましくは、約3.0eVを上回る。図7は、そのようなAlGaInP組成物が存在しないことを示す。
【0049】
しかしながら、赤色発光体の青色ポンピングのためのウィンドウとして使用できる、バンドギャップエネルギーが3.0eVより大きく、GaAsに対して格子整合しているII−VI合金を製造することが可能である。この用途の有望な候補はBeMgZnSeであり、これは、GaAs上に格子整合して成長させることができ、バンドギャップは最高3.1eVである(Be0.14Mg0.26Zn0.6Seの組成物で)。ウィンドウ層としてこの材料を採用し、青色ポンプ光(450nm又は2.76eV)で使用される赤色発光RSC下方コンバーターのための代表的な層構造体を、表3に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
ここでも、表3のものに類似の実施形態で、追加のポテンシャル井戸と追加の吸収材層、所望によりシアンブロッカー層も含むものも、AlGaInP系及びBeMgZnSe系合金を用いて製造することができる。表に示されている量子井戸のバンドギャップエネルギー(Epw)は1.97eVの値であり、これは、量子効果により、約2eV(すなわち、赤色光)のピークエネルギーを有する再発光光を生成すると見込まれる。
【0052】
赤色発光ポテンシャル井戸の直接青色ポンピングへの別のアプローチは、緑色発光ポテンシャル井戸の青色ポンピングを使用してから、このポテンシャル井戸からの緑色発光を使って赤色発光ポテンシャル井戸をポンピングすることである。そのような配置は、「ダブル下方変換」と呼ばれる。この配置で、ウィンドウ層が赤色発光ポテンシャル井戸と共に使用される場合は、直接青色ポテンシャル井戸が使用される場合よりも低いバンドギャップエネルギーを有し得る。例えば、第1ポテンシャル井戸からの緑色発光が540nm(2.3eV)のピークを有する場合、緑色発光の実質的部分が吸収されるのを避けるために、赤色発光ポテンシャル井戸と共に使用するウィンドウのバンドギャップエネルギーは好ましくは約2.5eVを超える。(これは、上記の直接青色光ポンピングのための約3eVを超えるウィンドウ層の望ましいバンドギャップに匹敵する。)図6から、少量のBe又はSを添加したZnSeは、約2.7eVの直接バンドギャップエネルギーを有し、GaAsに対して格子整合しているII−VI材料を提供できることが明らかである。そのような材料は、よって、ウィンドウ層に好適である。緑色(540nm)ポンピングで使用するための赤色発光ポテンシャル井戸を採用した代表的なRSC層構造を、表4に示す。Beに関して記載されている組成物はおよその値である。
【0053】
【表4】

【0054】
量子井戸のバンドギャップエネルギー(Epw)はここでも1.97eVであり、赤色光の発光に対応している。表4のものに類似の実施形態で、追加のポテンシャル井戸、吸収材層、及び/又はシアンブロッカー層も含むものも、AlGaInP系及びBeZnSe系合金を用いて製造することができる。
【0055】
また、間接バンドギャップを有する半導体材料を、AlGaInP/GaAs赤色下方コンバーターの格子整合したウィンドウ材料に使用することも可能である。例えば、Al0.5In0.5P(間接バンドギャップエネルギーが約2.28eV)又は
【数2】


は、赤色発光ポテンシャル井戸の緑色ポンピングのためのウィンドウとして好適であり得る。
【0056】
上述の見地から、Cdを実質的に含まない赤色発光ポテンシャル井戸(例えばIII−V族半導体で、例えば、AlGaInP又はGaInPなどの合金)は、Cd非含有の格子整合ウィンドウ層(例えば、II−VI族半導体で、例えば、BeMgZnSe、BeZnSe、MgZnSSe、又はBeZnSSeなどの合金)、及びCd非含有の格子整合吸収材層と組み合わせることによって、望ましい場合は実質的にCdを含まない半導体積層体又はRSCを提供できることが、理解されるであろう。更に、Cd非含有の緑色発光ポテンシャル井戸(例えば、II−VI族半導体、例えば、MgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeなどの合金)は、Cd非含有の格子整合ウィンドウ層(例えば、別のII−VI族半導体、例えば、MgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeなどの合金)、及びCd非含有の格子整合吸収材層と組み合わせることによって、望ましい場合は実質的にCdを含まない半導体積層体又はRSCを提供できる場合によっては、半導体構成体のII−VI族半導体層は、カドミウム含有基材又は緩衝層(例えば、CdZnSe緩衝層)の上で成長させることができるが、そのような緩衝層及び基材は後でエッチング又はその他の好適な方法で除去することができ、これにより完成した半導体構成体又はデバイスは実質的にCdを含まない。
【0057】
赤色光の生成に、直接ポンピングアプローチ又はダブル下方アプローチのいずれかを使い、緑色光の生成に、例えば、表2のMgZnSeTe又はZnSeTe合金などのCd非含有II−VI族半導体を使うことにより、フルカラーディスプレイのRGBピクセル、及び非ピクセル化の白色エミッターを製造することができる。
【0058】
図8は、本明細書で開示されるように、青色発光エレクトロルミネセンスデバイス812(例えば、GaInN LED)を、青色ポンピングの緑色発光RSC 814、及び、青色ポンピングの赤色発光RSC 816と組み合わせて含んでいる、ピクセル化RGB光源810の概略断面図である。これら構成要素のいずれか又は全てが、実質的にCd非含有であり得、RoHS指令に準拠し得る。エレクトロルミネセンスデバイス812には、3つの個別に特定可能な青色発光源812a、812b、812cが含まれる。光源812aからの青色発光は、RSCによる下方変換なしに、光源810を出ることができる。光源812bからの青色ポンピング発光は、RSC 814によって遮られ、これが青色ポンピング光を緑色発光に下方変換し、残存する青色光はほとんど又は全く残さない。RSC 814は、例えば、合金MgZnSeTe、ZnSeTe、BeMgZnSe、又はMgZnSSeなどのII−VI族半導体からなるポテンシャル井戸を含み得る。光源812cからの青色ポンピング発光は、RSC 816によって遮られ、これが青色ポンピング光を赤色発光に下方変換し、残存する青色光はほとんど又は全く残さない。RSC 816は、例えば、合金AlGaInP又はGaInPなどのIII−V族半導体からなるポテンシャル井戸を含み得る。
【0059】
図8において、緑色発光RSC及び赤色発光RSCを含むエピ層は、異なる基材上で別に成長させることができ、例えば、緑色エミッターはInP基材上で成長させ、赤色エミッターはGaAs基材上で成長させることができる。そのような場合において、RSCは、別のプロセス工程において、エレクトロルミネセンスデバイス812に接着し、パターン化してピクセル化することができる。構造体に対する赤色発光RSCの接着は、パターン化した緑色発光RSC又はピクセル814を備えたエレクトロルミネセンスデバイス812上に平坦化層818を設けることにより促進することができる。図8の構成において、平坦化層818は望ましくは、エレクトロルミネセンスデバイス812の青色発光とRSC 814の緑色発光の両方に対して高い透明度を有する。
【0060】
図8では複合RGBピクセルが1つだけ示されているが、読者には、この光源810にはそのようなピクセルの大型アレイが含まれ得ることが理解されよう。
【0061】
図9は、別のピクセル化RGB光源910の概略断面図である。この光源もまた、青色発光エレクトロルミネセンスデバイス812を含み、個別に特定可能な青色発光源812a、812b、812cを備える。光源910は、図8に関連して記述したものと同じ、青色ポンピングの緑色発光RSC 814を含み得る。しかしながら、光源910はまた、青色ポンピングの緑色発光RSC 912と、緑色ポンピングの赤色発光RSC 914を含み得る。本明細書に記述されるように、これら構成要素のいずれか又は全てが、実質的にCd非含有であり得、RoHS指令に準拠し得る。
【0062】
図8の実施形態と同様に、光源812aからの青色発光は、RSCによる下方変換なしに、光源910を出ることができる。また図8の実施形態と同様に、光源812bからの青色ポンピング発光は、RSC 814によって遮られ、これが青色ポンピング光を緑色発光に下方変換し、残存する青色光はほとんど又は全く残さない。RSC 814は上述のように、II−VI族半導体からなるポテンシャル井戸を含み得る。光源812cからの青色ポンピング発光は、RSC 912によって遮られ、これが青色ポンピング光の一部又は全てを緑色発光に下方変換し、所望により、一部の残存青色ポンピング光も残す。緑色光及び所望による青色光は次に、RSC 914によって遮断され、これが緑色光及び所望による青色光を、赤色発光に下方変換する。RSC 914は、例えば、合金AlGaInP又はGaInPなどのIII−V族半導体からなるポテンシャル井戸を含み得る。
【0063】
図8と同様に、図9の実施形態における緑色発光RSC及び赤色発光RSCを含むエピ層は、異なる基材上で別に成長させることができる。別のタイプのRSCは、同様に、別のプロセス工程において、エレクトロルミネセンスデバイス812に接着し、パターン化してピクセル化することができる。構造体に対する赤色発光RSCの接着は、パターン化した緑色発光RSC又はピクセル814、912を備えたエレクトロルミネセンスデバイス812上に平坦化層918を提供することにより促進することができる。前と同様、平坦化層918は望ましくは、エレクトロルミネセンスデバイス812の青色発光とRSC 814、912の緑色発光の両方に対して高い透明度を有する。
【0064】
図8及び9のデバイスは、次の工程を含むプロセスを使用して製造することができる:緑色発光RSC半導体積層体を青色ポンピングLEDに接着する;成長基材(例えば、InP)をRSC半導体積層体から除去する;緑色発光RSC上に取り出し機能を作製する;緑色発光RSCをピクセルにパターン化する;透明材料でオーバーコートし、デバイスを平坦化する;赤色発光RSCを、平坦化したデバイス(ピクセル化した緑色コンバーターを備えた青色LED)に接着する;成長基材(例えば、GaAs)を赤色発光RSCから除去する;赤色発光RSC上に取り出し機能を作製する;赤色発光RSCをピクセルにパターン化する;ポンピングLEDに対する電気的接続のためのバイアスを作製する。
【0065】
図10は、複合RGB画素又はピクセルのアレイに基づく、画像生成システムの領域1010、又はその一部の概略平面図である。複合又はフルカラーRGBピクセル1011のそれぞれは、3つの構成カラー要素のグループからなっており、時にこれは「サブピクセル」と呼ばれる。これは、1つの(「R」)赤色発光、1つの(「G」)緑色発光、1つの(「B」)発光である。6つのフルカラーピクセル1011が図10に示されているが、6つより少ない数、又は6よりも多い数(例えば、数十、数百、又は数千個)を望むように使用することができる。フルカラーピクセル1011は、図8及び9のように実現することができ、赤色及び緑色発光はRSC要素によって設けられ、青色光は青色LEDアレイから直接提供される。この青色LEDアレイは赤色及び緑色エミッターにポンピングも行っている。別の方法としては、青色光もRSCによって設けられてもよく、ポンピングLED要素は、青よりも短い波長(例えば、紫)の光を発するよう選択することができる。画像情報について、画像生成システム1010における赤、緑及び青のエミッターのそれぞれが、好ましいように個別に特定可能である。これは、「アクティブ」又は「パッシブ」マトリックススキームのいずれかによって達成可能である。アクティブマトリックスアプローチにおいては、ポンピングLED要素のそれぞれが、専用のスイッチング回路に関連づけられており、論理信号がこのスイッチに印加されると、駆動電流がポンプLED要素に印加される。パッシブマトリックスアプローチにおいては、ポンピングLED要素のアノードとカソードが、行及び列の電極に接続されている。特定のピクセルのアノード及びカソードに接している電極に対して十分な電圧が印加されると、そのピクセルから光が放射される。
【0066】
RSCに基づくピクセルアレイの作製のためのアプローチの詳細は、国際公開特許WO 2008/109296 A1号(Haase)及び同WO 2009/048704 A2号(Kelleyら)、並びに次の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願に記載されている:第61/059,073号(代理人整理番号第64095US002号)、(2008年6月5日出願)、同第61/088,953号(代理人整理番号第64355US002号)(2008年8月14日出願)、同第61/095,205号(代理人整理番号第64404US002号)(2008年9月8日出願)、及び同第61/140,697号(代理人整理番号第64411US002)、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
様々なRSCデバイスに使用され得る光取り出し機能には、粒子のオーバーコーティング、ナノ構造、並びにエッチング構造(ウェット及び/又はドライエッチングを含む)が挙げられ、例えば米国特許出願第61/175,640号「Re−Emitting Semiconductor Construction With Enhanced Extraction Efficiency」(代理人整理番号第64759US002号)(2009年5月5日出願)に開示されているものなどの取り出し機能が含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
このようにして製造された赤色発光及び緑色発光RSCは、適応照明用の大型フルカラーRGBピクセル、又は画像形成用の小さなRGBピクセルを製造するのに使用することができる。あるいは、赤色及び緑色のエミッターをパターン化するか、又はパターン化せずに、赤色発光RSCを設計することによって緑色光及び青色光の一部を透過させ、緑色発光RSCを設計することによって一部の青色光を透過させることによって、非ピクセル化の白色エミッターを作製して、固定スペクトルの白色エミッターを製造するのに使用することができる。更に他の実施形態において、他のカラー/波長のスタンドアロンの緑色エミッター、赤色エミッター、若しくは緑色エミッター、又はカラー/波長の組み合わせを作製することができる。本出願の教示を用いて、これら実施形態のそれぞれは、RSCを形成し得るポテンシャル井戸、吸収材層、ウィンドウ層、及びその他の構成要素の半導体層(及び、例えば接着材料、接続ワイヤ、電気的接続材料、カプセル化材料などの、半導体を含まないその他のデバイス構成要素)で形成することができ、これらは全てCd、Hg、及び/又はAsを実質的に含まなくてもよく、したがってRoHS指令に準拠し、これによりそのようなデバイス自体それぞれが、実質的にCd、Hg、及び/又はAsを実質的に含まなくてもよく、したがってRoHS指令に準拠できる。
【0069】
本出願の教示は更に、デバイス又は構成体が、それ自体だけで考えたときに、そのような選択された材料(例えば、水銀及び/又は砒素)が実質的に非含有ではないような1つ以上の構成要素を含み得、かつ、実際にそのような選択された材料を比較的顕著な量又はかなり大量に含み得るけれども、全体として考えたときに、カドミウム及び/又はその他の選択された材料を実質的に含まないと見なされ得る、デバイス又は構成体を製造するのに使用することができる。そのような実施形態において、顕著な量又は大量のカドミウム及び/又はその他の選択された材料を含むデバイス/構成体の構成要素は、そのような材料を含まないか実質的に含まないようなデバイス/構成体のその他の構成要素によって補償することができ、これにより、平均で、そのデバイス/構成体を全体として考えたときに、そのような材料を比較的少量だけ有することになる。RSCを形成する半導体層の積層体の場合、RSCは例えば、カドミウム濃度が5重量%、又は10重量%である半導体材料からなるポテンシャル井戸層を含み得る。しかしながら、積層体の他の半導体層、例えばウィンドウ層及び/又は吸収材層は、カドミウムをほとんど又は全く含まない可能性があり、例えば、別個に考えたときにこれらは実質的にCd非含有であり得る。カドミウムをほとんど又は全く含まない層の全体重量又は質量は、顕著な量又は大量のカドミウムを含むポテンシャル井戸層の重量又は質量に比べ、十分大きい可能性があり、これにより半導体積層体全体は、低いカドミウム量を維持し、例えば、0.01重量%未満であり得、これによりRoHS指令に準拠できる。別の実施形態において、RSCを形成する同様の半導体積層体は、複数のポテンシャル井戸層から成っていてよく、複数のポテンシャル井戸層を含み得、この一部又は全てが個々に、顕著な量又は大量(例えば、0.01重量%超、0.1重量%超、1重量%超、5重量%超、又は10重量%超)のカドミウム又はその他の選択材料を含む可能性がある。そのような実施形態において、半導体積層体の他の層は、実質的にCd不含有であり得、これらCd非含有層は、積層体の十分に大きな割合を占めているため、その半導体積層体は全体として、非常に少量(例えば、0.01重量%未満)のカドミウム量を維持することになり得、これにより、その積層体で形成されたRSCは、例えばRoHS指令に準拠する。このような場合において、RSCの1つ以上の構成層が実質的にCd非含有ではないけれども、全体としてRSCが実質的にCd非含有である場合、そのCd含有層は、1つ以上のポテンシャル井戸層であり得、又は、RSCを構成する1つ以上のその他の構成層であり得る。
【0070】
本明細書で開示されるCd非含有、Hg非含有、及び/又はAs非含有の実施形態は、例えばCdMgZnSeなどのカドミウム含有材料のみを採用し得る従来の実施形態に比較して、不利だと見なされ得るような本実施形態の観点において、望ましくないと見なされる可能性が高く、本教示の以前には、当業者によって非実際的だとして無視又は却下されてきたかもしれない。そのような認識される不利益には次のものが挙げられ得る。赤色発光及び緑色発光RSCをポンピングLEDウエハに取り付けるためのウエハ接着工程2つが必要で、プロセスの複雑さが増す;使用するポンピングLEDのウエハ当たり、高価な基材を1枚だけではなく2枚も(例えば、InPウエハとGaAsウエハ)消費することに伴う追加コスト;特に赤色発光RSCに使用される吸収剤層に関して、バンドギャップエネルギーの上限に対する制限があるため、温度安定性又は性能を犠牲にする可能性がある;ZnSeTe合金からなるポテンシャル井戸の効率はまだ十分に理解されておらず、一部の用途では低すぎる可能性がある;MgZnSeTe及びZnSeTe合金の品質はよくわかっておらず、一部尾用途では不適切である可能性がある。
【0071】
上記で検討された具体的な材料及び構造に加え、赤色、緑色、及び/又は青色のエミッター、ピクセル化RGBエミッター、白色エミッター、並びにその他の色のエミッターを実現するための他のアプローチで、これらの一部又は全てが実質的にCd、Hg及び/又はAsを含有せず、よってRoHS指令に準拠し得るような他のアプローチが、可能である。1つのアプローチにおいて、緑色エミッターは、例えば、GaN系青色ポンピング発光LEDなどの青色発光エレクトロルミネセンスデバイスと共に、モノリシックに成長させることができる。そのような場合、緑色エミッターは、LEDの青色発光によって光学的に、又は電気的に、ポンピングすることができる。この点に関しては、AlGaInN半導体における量子ドットを採用するデバイスを参照し、例えば、米国特許第7,217,959号(Chen)及び米国特許出願第US 2005/0230693号(Chen)が参照される。赤色発光は、光学的下方変換ポテンシャル井戸を用いて提供することができ、例えば、前記表3及び表4に関連して検討したAlGaInP又はGaInP構造が挙げられる。
【0072】
他の実施形態において、緑色及び赤色のエミッターはモノリシックに成長させることができる。例えば、AlGaInP合金又はGaInP合金を利用した赤色発光ポテンシャル井戸又はRSCは、圧縮歪みZnSeTe量子井戸に基づき、緑色発光ポテンシャル井戸又はRSCの成長のため、基材として使用され得る。そのような場合、吸収材層及び/又はウィンドウ層は、GaAsに対して格子整合又は擬似格子整合した、BeMgZnSe又はMgZnSSe半導体合金から製造され得る。
【0073】
また本明細書において、例えば、AlInGaAsNPSbに基づく希釈窒化物半導体系からの合金など、その他のIII−V材料系を使用した赤色発光ポテンシャル井戸又はRSCが想到される。米国特許出願公開第US 2008/0111123号(Tuら)が参照される。1つのアプローチにおいて、In0.1Ga0.90.0020.998に基づくポテンシャル井戸と、625nm付近の発光は、GaP基材に対して格子整合して成長させることができる。GaPは、420nmでポンピングするための吸収材層として使用することができ、ZnS又はZnSSeからなる格子整合したウィンドウ層も使用することができる。
【0074】
最後に、赤色、緑色、及び青色の要素を含んだハイブリッドピクセルアレイを製造するために本明細書に記述されたアプローチが、単色の下方変換半導体デバイス、及び多数又は白色の下方変換半導体デバイスの、カドミウム非含有バージョンを生成するために使用できることが、読者には再び注意を喚起される。
【0075】
特記しない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用されている量、性質の測定などを表現する全ての数は、用語「約」により改変されていると理解されるべきである。したがって、反することが示されない限り、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」に記載の数値的パラメーターは、本発明の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化する近似値である。均等論を「特許請求の範囲」の範疇に適用することを制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも、記録された有効数字の桁数を考慮して、又通常の四捨五入を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似であるにもかかわらず、いかなる数値も本明細書で述べられる具体的な例で示される程度に、これらは妥当に可能な限り精確に報告される。しかしながら、いかなる数値も試験及び測定の限界に関連する誤差を含み得る。
【0076】
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに当該技術分野の当業者に明らかとであり、本発明は、ここに記載された例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。例えば、1つの開示実施形態の特徴は、別に記載のない限り、他の開示実施形態全てにも適用され得ることを、読者は推定すべきである。また、本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、それらが上述の開示に矛盾しない範囲において、参照によって全てが組み込まれることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光子エネルギーを有する光を、より小さな第2光子エネルギーを有する光へと変換し、かつ第1のIII−V型半導体を含む、第1ポテンシャル井戸と、
前記第1光子エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有し、かつ第1のII−VI族半導体を含む、ウィンドウと、を含む、半導体構成体。
【請求項2】
前記第1ポテンシャル井戸が擬似格子整合である、請求項1に記載の構成体。
【請求項3】
前記ウィンドウが実質的にCd非含有である、請求項1に記載の構成体。
【請求項4】
前記半導体構成体が、RoHS指令に適合している、請求項1に記載の構成体。
【請求項5】
前記第1光子エネルギーを有する前記光が、紫外線、紫色、青色、及び/又は緑色光を含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項6】
前記第2光子エネルギーを有する前記光が、赤色光を含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項7】
前記構成体が擬似格子整合であり、第2のIII−V族半導体を含む基材上に配置されている、請求項1に記載の構成体。
【請求項8】
前記第2のIII−V族半導体がGaAsを含む、請求項7に記載の構成体。
【請求項9】
前記第1のIII−V族半導体がGaInP又はAlGaInPを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項10】
前記第1のII−VI族半導体がBeMgZnSe又はBeZnSeを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項11】
前記第1のII−VI族半導体がMgZnSSe又はBeZnSSeを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項12】
前記第1ポテンシャル井戸が、1つ以上の吸収材層と、所望により1つ以上の追加ポテンシャル井戸と、を含む、擬似格子整合半導体層の積層体の構成要素であり、前記半導体層の積層体の層はそれぞれ、AlGaInPを含む、請求項1に記載の構成体。
【請求項13】
前記第1ポテンシャル井戸が、1つ以上の吸収材層と、所望により1つ以上の追加ポテンシャル井戸と、を含む、擬似格子整合半導体層の積層体の構成要素であり、前記半導体層の積層体は、実質的にCd非含有である、請求項1に記載の構成体。
【請求項14】
前記第1光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源上に配置されている、請求項1の構成体。
【請求項15】
前記第1光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源上に配置されている、請求項1の構成体と、
前記第1光子エネルギーを有する光を、前記第1光子エネルギーより小さく前記第2光子エネルギーより大きい第3光子エネルギーを有する光へと変換し、かつ第2のII−VI族半導体を含む、第2ポテンシャル井戸と、を含む、発光システム。
【請求項16】
前記第2ポテンシャル井戸が実質的にCd非含有である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2ポテンシャル井戸が、1つ以上の吸収材層と、所望により1つ以上の追加ポテンシャル井戸と、を含む、擬似格子整合半導体層の積層体の構成要素であり、前記半導体層の積層体は、全体として実質的にCd非含有である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1光子エネルギーを有する前記光が、紫外線、紫色、及び/又は青色光を含み、前記第3光子エネルギーを有する前記光が、緑色光を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のII−VI族半導体がMgZnSeTe又はZnSeTeを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2のII−VI族半導体がBeMgZnSe又はMgZnSSeを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
請求項1の構成体と、
前記第1光子エネルギーよりも大きい第3光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源と、
前記第3光子エネルギーを有する前記光を、前記第1光子エネルギーを有する光へと変換し、かつ第2のII−VI族半導体を含む、第2ポテンシャル井戸と、を含む、発光システム。
【請求項22】
前記第2ポテンシャル井戸が実質的にCd非含有である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2ポテンシャル井戸が、1つ以上の吸収材層と、所望により1つ以上の追加ポテンシャル井戸と、を含む、擬似格子整合半導体層の積層体の構成要素であり、前記半導体層の積層体は、全体として実質的にCd非含有である、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2のII−VI族半導体がMgZnSeTe又はZnSeTeを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2のII−VI族半導体がBeMgZnSe又はMgZnSSeを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記第3光子エネルギーを有する前記光が、紫外線、紫色、及び/又は青色光を含み、前記第1光子エネルギーを有する前記光が、緑色光を含み、前記第2光子エネルギーを有する前記光が、赤色光を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2ポテンシャル井戸が、前記光源と請求項1の構成体との間に配置される、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
第1光子エネルギーを有する光を、より小さな第2光子エネルギーを有する光へと変換し、かつ第1のII−VI型半導体を含む、第1ポテンシャル井戸を含む半導体構成体であって、
前記第1ポテンシャル井戸と半導体構成体全体のうち少なくとも1つが実質的にCd非含有である、半導体構成体。
【請求項29】
前記第1のII−VI族半導体がInPに対して擬似格子整合である、請求項28に記載の構成体。
【請求項30】
前記第1のII−VI族半導体がMgZnSeTe又はZnSeTeを含む、請求項28に記載の構成体。
【請求項31】
前記第1のII−VI族半導体がBeMgZnSe又はMgZnSSeを含む、請求項28に記載の構成体。
【請求項32】
前記第1光子エネルギーを有する前記光が、紫外線、紫色、及び/又は青色光を含み、前記第2光子エネルギーを有する前記光が、緑色光を含む、請求項28に記載の構成体。
【請求項33】
前記第1光子エネルギーを有する前記光を放射するよう適合された光源と組み合わせた、請求項28に記載の構成体。
【請求項34】
第1光子エネルギーを有する光を、より小さな第2光子エネルギーを有する光へと変換し、かつ第1のIII−V型半導体を含む、第1ポテンシャル井戸と、
前記第1光子エネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有し、かつ第2のIII−V族半導体を含む、ウィンドウと、を含む、半導体構成体。
【請求項35】
前記第1ポテンシャル井戸が、前記ウィンドウに対して格子整合している、請求項34に記載の構成体。
【請求項36】
前記第2のIII−V族半導体が間接的バンドギャップを有する、請求項34に記載の構成体。
【請求項37】
前記第1光子エネルギーを有する前記光を放射するよう適合された光源上に配置されている、請求項34に記載の構成体。
【請求項38】
第3光子エネルギーを有する光を、前記第1光子エネルギーを有する前記光へと変換し、かつ第1のII−VI族半導体を含む、第2ポテンシャル井戸を更に含み、
前記第3光子エネルギーは前記第1光子エネルギーよりも大きい、請求項34に記載の構成体。
【請求項39】
前記第2ポテンシャル井戸が半導体積層体内に含まれており、前記第2ポテンシャル井戸と半導体積層体全体のうち少なくとも1つが実質的にCd非含有である、請求項38に記載の構成体。
【請求項40】
前記第3光子エネルギーを有する前記光が、紫外線、紫色、及び/又は青色光を含み、前記第1光子エネルギーを有する前記光が、緑色光を含み、前記第2光子エネルギーを有する前記光が、赤色光を含む、請求項38に記載の構成体。
【請求項41】
前記第1のIII−V族半導体がAlGaInPを含み、前記第2のIII−V族半導体がAlInPを含み、及び前記第1のII−VI族半導体がMgZnSeTe又はZnSeTeを含む、請求項38に記載の構成体。
【請求項42】
前記第1のII−VI族半導体がBeMgZnSe又はMgZnSSeを含む、請求項38に記載の構成体。
【請求項43】
前記第3光子エネルギーを有する光を放射するよう適合された光源上に配置されている、請求項38に記載の構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−532454(P2012−532454A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517782(P2012−517782)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/040038
【国際公開番号】WO2011/008476
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】