説明

カバー、ケース又は筐体類

【課題】吸水しても透過光の低下が少なく、衝撃強度、表面抵抗率に優れた材料を提供する。
【解決手段】下記の(A)、(B)および(C)成分からなる樹脂組成物。(A)(a−1)アクリル系樹脂30〜70重量部、(a−2)ゴム質重合体にシアン化ビニルと芳香族ビニルをグラフトした共重合体30〜70重量部および(a−3)シアン化ビニルと芳香族ビニルの共重合体0〜30重量部、(B)特定エラストマー5〜30重量部および(C)有機および無機電解質1種以上0〜10重量部、からなる樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水しても透過光の低下の少ない熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明なプラスチック類が大量に使用されている。が、電気的に不良導体であるため、静電気による障害、ほこりを問題とする事が多い。このため、プラスチックに帯電防止性を与えることが考えられている。透明樹脂には、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル−ブタジエンスチレン共重合体(MBS)やメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS/透明ABS)等が現在多く用いられている。しかし、これらの樹脂の制電性は低く、静電気障害(ICの誤動作等)、ほこりの付着等が起こるクレームがあった。しかし、帯電防止性能、透明度、吸水白化、衝撃性全てを兼ね備えた透明樹脂は無かった。
【0003】
上記透明樹脂に制電性を付与する方法としては、ゴム質重合体の屈折率とマトリックスの樹脂の屈折率を実質的に一致させる方法がしられている。以下にその例を示す。
(1)特開昭55−36237号公報、特開昭63−63739号公報:ポリオキシエチレン鎖及びスルホン酸塩、カルボン酸塩あるいは第四級アンモニウム塩構造を有するビニル共重合体をアクリル樹脂に混練する方法。
(2)特開平1−308444号公報:アクリル樹脂にポリアミドエラストマー及びカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基などの少なくとも1種の官能基を含有する変性ビニル系重合体、さらに必要に応じてゴムグラフト共重合体を添加し、層状剥離のない表面光沢に優れる永久帯電防止樹脂。
【0004】
(3)特開昭63−309552号公報、特開昭63−312342号公報:ポリエーテルエステルアミドを用いた衝撃性及び透明性を有する熱可塑樹脂についての報告。
(4)特開昭63−200837号公報:結晶性の低いポリエーテルエステルアミド(TPA)を用いた衝撃性及び透明性を有する熱可塑樹脂についての報告。
(5)特開平06−100747号公報、特開平08−59948号公報:アクリル樹脂、AS樹脂、TPAを溶融混合する事によって得る透明帯電防止樹脂に関する報告。
(6)特開平8−120147号公報:結晶性を低下させたTPAを、アクリル樹脂に分散させた透明帯電防止樹脂に関する報告。
【0005】
しかしながら、これら多数報告されている高分子帯電防止剤(例えばポリエーテルエステルアミド)は吸水率が高いものが多く、高温多湿時等に光線透過率が変化する場合(吸水白化等)が多かった。透明で充分な衝撃性と帯電防止性及び低吸水率を達成している例は無かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、吸水により透明度が低下しない衝撃性の高い持続性帯電防止樹脂に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため検討を重ね本発明に到った。すなわち本発明は、(A)成分が、(a−1)アクリル系樹脂30〜70重量部、(a−2)ゴム質重合体に、シアン化ビニルと芳香族ビニルをグラフトしたグラフト共重合体30〜70重量部、及び(a−3)シアン化ビニルと芳香族ビニルとの共重合体0〜30重量部を混合してなるゴム質重合体を5〜40重量部含む透明なマトリックス樹脂70〜95重量部、(B)成分、屈折率が1.51〜1.54、23℃の吸水率が100重量%以下、かつ表面抵抗率が1×1011Ω以下の熱可塑性エラストマー5〜30重量部(但し、(A)成分のゴム質重合体を含むマトリックス樹脂と(B)の熱可塑性エラストマーとの屈折率の差が0.02以下)、および(C)成分が、有機電解質及び無機電解質の中から選ばれた少なくとも1種0〜10重量部、からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0008】
本発明の(A)成分の(a−1)アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単独重合体および15重量%以下のアクリル酸メチル単位またはアクリル酸エチル単位を含有するメタクリル酸メチル共重合体の中から選ばれるが、好ましいものは、メタクリル酸メチル単位85〜99重量%とアクリル酸メチル単位またはアクリル酸エチル単位15〜1重量%とを含有するメタクリル酸メチル共重合体である。通常はメタクリル酸メチル重合体(PMMA)、アクリル酸メチル重合体(PMA)が使用できる。
【0009】
本発明の(A)成分の(a−2)は、ゴム質重合体、シアン化ビニルおよび芳香族ビニルとのグラフト共重合体である。本発明のゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、エチレンα−オレフィンゴムであるエチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴムなどの非ジエン系ゴム、アクリル酸エステルゴム、メタクリル酸エステル系ゴム、シリコンアクリルゴム等が挙げられる。
【0010】
本発明のシアン化ビニルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好適に用いられる。本発明の芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレンのようなα−置換スチレン、ビニルトルエン、m−、p−クロルスチレンなどを指し、これら1種以上が用いられ、スチレンが最も好ましい。通常はポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンを重合してなるABS樹脂が代表的なものとして挙げられる。
【0011】
本発明のゴム質重合体、シアン化ビニルおよび芳香族ビニルは、既知の塊状重合、懸濁重合、乳化重合で製造される。本発明の(A)成分の(a−3)は、シアン化ビニルと芳香族ビニルとの共重合体である。シアン化ビニルおよび芳香族ビニルは上述のものが用いられるが、通常はアクリロニトリルとスチレンを重合してなるAS樹脂が代表的なものとして好適である。
【0012】
本発明の(A)成分の(a−4)酸変性あるいはエポキシ変性した変性樹脂は、上記(a−1)、(a−2)および(a−3)の一部をマトリックス樹脂との相溶性を損なわない範囲で酸変性あるいはエポキシ変性した樹脂である。酸変性樹脂の共重合体に用いられる単量体に特に制限はないが、前記マトリックス樹脂と混合した際に透明性(全光線透過率が60%以上)を維持するものでなくてはならない。例えば、前記(a−1)樹脂中にカルボキシル基を含有したビニルモノマーを共重合させたもの、また前記(a−3)樹脂中にカルボキシル基を含有したビニルモノマーを共重合させたものなどがあげられる。
【0013】
ここでいうカルボキシル基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸等の遊離カルボキル基を含有する不飽和化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物型カルボキシル基を含有する不飽和化合物等があげられるが、これらの中で、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好適である。他の変性では官能基としてスルホン酸、グリシジル基等を持ったモノマーを共重合したもの等が上げられる。
【0014】
本発明の(B)成分は、屈折率が1.51〜1.54、23℃の飽和吸水率が100重量%以下、かつ表面抵抗率が1×1011Ω以下の熱可塑性エラストマーである。屈折率が1.51未満では、上記条件をもつ熱可塑性エラストマーを得ることが難しく。また、屈折率が1.54を越えると、熱可塑性エラストマーの原料が高価、かつ黄色味がきつくなる。屈折率はさらに好ましくは1.51〜1.53が好ましい。
【0015】
23℃の飽和吸水率は、低いほど望ましく、100重量%を越える場合には、本発明の樹脂組成物が吸水時に変色したり全光線透過率が低下する。吸水率はさらに好ましくは、80重量%以下が望ましい。該エラストマーの表面抵抗率は低いほど良く、1×1011Ωを越えると、本発明の樹脂組成物の表面抵抗率が高いものしか得られず本発明の目的を達成できない。特に好ましくは、特開平8−120147号公報に記載されているのビスフェノールAエチレンオキサイド付加物を原料としたポリエーテルエステルアミドを用いるのが望ましいが、他の特開平1−144417号公報、特開昭63−309552号公報、特開昭63−312342号公報、特開平6−100747号公報等に記載されているポリエーテルエステルアミドのうち低吸水率のものなら使用できる。
【0016】
本発明は、上記のように、吸水率が少なくかつ表面抵抗率が低い熱可塑性エラストマーと、ある特定の屈折率のゴム質重合体を含んだマトリックス樹脂に関する。本発明の(A)および(D)成分は、ゴム質重合体を5〜40重量部含んだ透明な樹脂であるが、ゴム質重合体が5重量部以下だと衝撃性に問題がある。また、40重量部以上だと混合して得た熱可塑性樹脂組成物の剛性が低くなるし、透明性が劣る。さらに望ましくはゴム質重合体を10〜30重量部含むことが望ましい。
【0017】
本発明の(D)成分において好ましい例としては、屈折率が1.51〜1.53のブタジエンゴムを用いたグラフト共重合体が挙げられる。本発明組成物において、その帯電防止性能をさらに向上させるため、(C)成分として、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸とホルマリンの縮合物等の芳香族スルホン酸、ラウリルスルホン酸の様なアルキルスルホン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸等の有機カルボン酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニル等の有機リン酸及びこれらのアルカリ金属塩、やアルカリ土類金属塩の中から選ばれた少なくとも1種を用いる事ができる。
【0018】
これらの中でアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましく、特にナトリム塩及びカリウム塩が好適である。該(C)成分の配合量としては、好ましくは0.1〜2重量部の範囲で選ばれる。この量が0.1重量部未満ではその効果が十分に発揮されないし、10重量部を超えると剛性が低下したり、成形品にした場合、表面の肌荒れが生じたり、成形品に着色したりするなど、好ましくない事態を招来する。
【0019】
本発明で用いる、(A)および(D)成分に関しては本発明の効果を損なわない範囲で、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−フェニルマレイミド等の共重合可能なビニル系単量体を併用することも可能である。アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの具体的な例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル等がある。
【0020】
本発明の各成分の混合については特に制限はなく、溶融混合(押し出し機、バンバリーミキサー)等通常公知の方法を用いることができる。また、(A)および(D)成分の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状−懸濁重合、溶融混合等の通常公知の方法を用いる事ができる。
【0021】
さらに、必要に応じて、酸化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブリード・ブルーム剤、シール性改良剤、結晶核剤、難燃化剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、防菌、防カビ剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、粘土調整剤、着色防止剤、発泡剤、発泡助剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの着色剤、フェライトなどの金属粉末、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカーなどの無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、ケイソウ土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズなどの充填剤、またはこれらの混合物、あるいは他のゴム質重合体、例えばSBR、NBR、BR、NR、IR、1.2−ポリブタジエン、AR,CR、IIR、また、その他必要に応じて上記成分以外の熱可塑性樹脂、例えばジエン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイトなど、適宜、配合することができる。
【0022】
本発明にいう筐体とは、電気及びOA機器例えば、テレビ、パソコン、プリンター、コピー、空気清浄機、電話、FAX、パソコン、携帯電話等の筐体類を指し、またカセット類、ICカード類のケース等も指す。また本発明のカバー、ケースとは、スイッチ、箱状容器、オフィス家具の天板、前面パネル、照明器具のカバー等をいう。本発明のトレイとは、IC、コネクター等のトレイをいう。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の好ましい実施態様は、次のとおりである。PMMAとABSの混合物をマトリックス樹脂とした透明持続性帯電防止樹脂。PMMAとABSと変性樹脂の混合物をマトリックス樹脂とした透明持続性帯電防止樹脂。MBSまたはMABSをマトリックス樹脂とした透明持続性帯電防止樹脂。本発明の樹脂組成物組成物は、プレス成形、射出成形あるいは押出成形等の通常公知の方法により所望の成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の樹脂組成物は、衝撃強度に優れ、吸水前後での全光線透過率の低下も少なく、かつ表面抵抗率が低く、室内ゲーム機用部材として十分な材料であった。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、発明の主旨を越えない限り、次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。また本発明は、かかる実施例において、部および%は、特に断らない限り重量基準である。なお、熱可塑性樹脂組成物の各物性は次に示す方法に従って求めた。
【0026】
(1)アイゾット衝撃強さ:ASTMD256に準じてノッチの入った1/4インチ厚みの試験片を用い、23℃、50%RHで測定した。アイゾットが80J/m以下では梱包落下等で割れ易い。
(2)表面抵抗率:1/8インチ厚の平板を用い、東亜電波工業(株)製、極絶縁系SM−10E型により、成形後、23℃、50%RHの条件にて24時間状態調節したのち測定した。
【0027】
(3)全光線透過率:5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を用いて、全光線透過率を測定した。測定にはスガ試験機(株)のヘイ ズメーター(SM−3型)を用いた。
吸水時の値は、厚み2.5mmの平板を60℃、RH90%に7日間放置後、23℃、RH50%に1時間放置後測定した。
全光線透過率の低下率(%)=(試験前の全光線透過率−試験後の全光線透過率)/試験前の透過率×100
【0028】
(4)−1 エラストマーの吸水率(JIS-K7209):厚みが1mmの成形品を90℃で4時間乾燥した後、23℃の純水中に2日間放置した後の重量変化を測定した。
(4)−2 吸水試験時の吸水率:上記全光線透過率の試験片の重量を測定した。
吸水率(%)=(試験後の重量−試験前の重量)/試験前の重量×100
(5)屈折率:JISK7142 5.1 A法により、フィルムを用いてアッベ屈折計にて測定した。(23℃、50%RH)
【0029】
(6)TypeCの製造例
かきまぜ機、窒素導入口及び留去管を取り付けた500mlセパラブルフラスコに、カプロラクタム97g、数平均分子量1470のポイオキシエチレングリコール90g、トリメリット酸16.4g、ジフェニルメタンジイソシアネート4.52gをN,N−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)(商品名”イルガノックス”1098:酸化 防止剤)0.3gと共に仕込み、窒素を50ml/minで流しながら、150℃で融解させた後、260℃で4時間重合した。
【0030】
260℃にしてから1時間、2時間、4時間後の反応中の水分は0.7、0.5、0.3重量%であった。次いで、テトラブチルオルソチタネート0.3gを添加した後、徐々に1トールまで減圧して未反応のカプロラクタムを系外に留去した。さらに同温度で1トール以下の圧力下で2時間重合して、単黄色透明なエラストマー(TypeC)を得た(ヘイズ46%)。このエラストマーは、ポリオキシエチレングリコールセグメント49重量%を含有し、相対粘度1.93で、融点は190℃、結晶化温度は121℃分解温度は330℃であった。表2に帯電防止剤であるTypeA、B、Cの物性を示す。
【実施例1】
【0031】
表1の配合に従い、タンブラーにて混合し、40mmφ押出機にて260℃で溶融混合して所期のペレットを得た。このペレットを7oz成形機で射出成形し、所定の試験片を得、物性を測定した。結果を表1に示す。なお、使用した帯電防止剤の内容は、表2に示した。
[実施例2、3]
【0032】
配合を表1に変える以外は、実施例1同様にして得た結果を、表2に示す。
【比較例1〜3】
【0033】
表1に示す配合を用いて得られた結果を、表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分が、(a−1)アクリル系樹脂30〜70重量部、(a−2)ゴム質重合体に、シアン化ビニルと芳香族ビニルをグラフトしたグラフト共重合体30〜70重量部、および(a−3)シアン化ビニルと芳香族ビニルとの共重合体0〜30重量部、を混合してなるゴム質重合体を5〜40重量部含む透明マトリックス樹脂70〜95重量部と、(B)成分が、屈折率1.51〜1.54、23℃の飽和吸水率が100重量%以下、かつ表面抵抗率が1×1011Ω以下の熱可塑性エラストマー5〜30重量部(但し、(A)成分のゴム質重合体を含む透明マトリックス樹脂と(B)成分の熱可塑性エラストマーとの屈折率の差が0.02以下)、および(C)成分が、有機電解質および無機電解質の中から選ばれる1種以上0〜10重量部、からなる表面抵抗率が5×1013Ω以下、かつ吸水時に全光線透過率の変化が少ない熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1の(A)成分に代えた(D)成分が、(d−1)メタクリル酸メチルと芳香族ビニルとの共重合体0〜70重量部、(d−2)ゴム質重合体に、メタクリル酸メチルと芳香族ビニルをグラフトしたグラフト共重合体30〜100重量部、であるゴム質重合体を5〜40重量部含む透明なマトリックス樹脂70〜95重量部使用することを特徴とする透明な熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1、2記載の(A)成分に、さらに(a−4)酸変性あるいはエポキシ変性した変性樹脂0〜30重量部、を混合してなるゴム質重合体を5〜40重量部含む透明マトリックス樹脂70〜95重量部、であることを特徴とする透明な熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3項記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形された部材を使用することを特徴とする筐体類。
【請求項5】
請求項1〜3項記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形された部材を使用することを特徴とするカバー、ケース類。

【公開番号】特開2010−163630(P2010−163630A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106368(P2010−106368)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2000−148703(P2000−148703)の分割
【原出願日】平成12年5月19日(2000.5.19)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】