説明

カバーの回動機構

【課題】カバーを、本体の一平面に対して、回動軸を中心として回動可能に保持する為のカバーの回動機構に関し、スペースを有効活用し得るカバーの回動機構を提供する。
【解決手段】第1回動保持部50は、上部カバー5の背面側の左端部において、上部カバー5を本体筐体30上面に対して、回動自在に保持する。第1回動保持部50は、第1取付部材52、第2取付部材53を有する第1カバー取付部材51と、第1保持部材55により構成される。第1取付部材52は、上部カバー5背面に形成された第1取付凹部7に対して挿入される第1取付凸部52Aと、嵌合凹部52Bを有している。第2取付部材53は、第1取付部材52の嵌合凹部52Bに挿入される嵌合凸部53Aと、第1保持部材55の軸保持部65Aによって保持される回動軸53Bを有している。第1保持部材55は、本体筐体30上面の背面側において、鉛直方向に差し込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーを、本体の一平面に対して、回動軸を中心として回動可能に保持する為のカバーの回動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ装置、コピー機、及び多機能機等においては、カバーが、本体筐体の一平面に対して、その一端縁に沿って延びる回動軸を中心として回動可能に保持されているものが知られている。例えば、特許文献1記載の画像読取装置は、プラテンカバー部を有するカバーを、本体筐体上面の後端縁に沿って延びる回動軸を中心として回動可能に保持している。特許文献1記載の画像読取装置は、カバーが閉じられることによって、本体筐体に配設されたプラテンガラスを覆い得るように構成されている。カバーが閉じられることによって、プラテンガラス上にセットされた原稿が固定される。そして、画像読取装置は、本体筐体上部に位置するスキャナユニットにより、プラテンガラス上の原稿から画像を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−111728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1記載の画像読取装置において、前記カバーは、ヒンジ手段により、本体筐体に対して回動自在に保持されている。特許文献1の図6からわかるように、特許文献1におけるヒンジ手段は、上部取付座と、下部取付座と、ヒンジ軸とを有している。下部取付座に対して、上部取付座がヒンジ軸を中心に回動可能に取り付けられている。そして、特許文献1の図2(b)からわかるように、下部取付座は、略板状の部材により構成されている。下部取付座は、本体筐体上面における本体筐体後方部分に固定される。一方、上部取付座は、下部取付座と同様に板状に形成されている。上部取付座は、カバーを閉じた場合に本体筐体上面と対向する面(以下、「本体対向面」という)に固定されている。
【0005】
従って、特許文献1記載の画像読取装置では、ヒンジ手段を構成する上部取付座が、前記カバーの本体対向面の一部を占有している。そのため、本体対向面の一部を含むスペースを有効活用することができなかった。
【0006】
本発明は、カバーを、本体の一平面に対して、回動軸を中心として回動可能に保持する為のカバーの回動機構に関し、スペースを有効活用し得るカバーの回動機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るカバーの回動機構は、カバーと、回動保持部と、を備え、前記カバーを、本体の平面を被覆可能なように、回動軸を中心に回動可能に保持する。前記カバーは、前記回動軸側の端面に取付凹部を有している。そして、前記回動保持部は、取付凸部を一端に備えるカバー取付部材と、前記カバー取付部材の他端部を、前記回動軸を中心に回動可能に保持する保持部材と、を有している。前記カバー取付部材の取付凸部は、前記カバーの取付凹部に対して、前記第2方向に従って挿入されて嵌合する。又、保持部材は、本体における前記回動軸側の部分に配設される。従って、カバーが本体の平面を被覆した状態において、平面とカバーの間に、カバーの回動機構を構成する部材等が位置することはない。この結果、平面を含むスペースを有効活用することができる。
【0008】
そして、本発明の他の側面に係るカバーの回動機構であって、前記カバーは、第1材料により形成されており、前記カバー取付部材は、前記第1材料よりも大きい強度を有する第2材料により形成されている。従って、カバーの回動機構は、回動軸を中心としたカバーの回動操作に伴って生じるモーメントに十分に対抗し得る。
【0009】
又、本発明の他の側面に係るカバーの回動機構であって、前記カバー取付部材は、第1取付部材と、第2取付部材と、を有して構成されている。第1取付部材は、前記取付凸部を一端側に有し、前記取付凸部と逆側に形成され、前記第2方向へ窪んだ嵌合凹部、を有している。そして、第2取付部材は、前記第1取付部材の嵌合凹部と嵌合する嵌合凸部を一端側に有し、他端側において、前記保持部材に対して前記回動軸を中心に回動可能に保持されている。従って、カバーが本体の平面を被覆した状態において、平面とカバーの間に、カバーの回動機構を構成する部材等が位置することはない。この結果、平面を含むスペースを有効活用することができる。
【0010】
そして、本発明の他の側面に係るカバーの回動機構であって、前記カバー取付部材は、前記第1方向へ延びる規制凸部を、前記回動軸近傍の位置に有し、前記保持部材は、前記カバーが前記平面を被覆した状態から所定の回動量回動した場合に、前記規制凸部と接触することにより、前記カバーの回動を規制する回動規制部を有する。これにより、カバーを開閉動作する際の回動を一定の範囲に規制することができる。
【0011】
又、本発明の他の側面に係るカバーの回動機構であって、前記カバーは、前記回動軸側の端面において、前記第1方向に沿った両端部にあたる2箇所に、前記取付凹部を有し、前記回動保持部は、前記取付凹部の位置に対応し、前記第1方向に沿った両端部において、前記本体に対して、前記カバーを、前記回動軸を中心に回動可能に保持する。従って、カバーの回動軸側の端面における両端部にあたる2箇所をもって、カバーを保持することができ、第1方向における中央部分のスペースを有効に活用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置1について、上部カバーを開いた状態を示す外観斜視図である。
【図2】上記画像読取装置1の背面側の構成を示す説明図である。
【図3】上記画像読取装置1の内部構成を示す断面図である。
【図4】上記画像読取装置1の第1回動保持部50の構成を示す断面図である。
【図5】上記第1回動保持部50の外観斜視図である。
【図6】上記画像読取装置1の第1取付部材52の外観斜視図である。
【図7】上記画像読取装置1の第2取付部材53の外観斜視図である。
【図8】上記画像読取装置1の第2回動保持部60の構成を示す断面図である。
【図9】上記画像読取装置1の第2カバー取付部材61の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るカバーの回動機構を、画像読取装置1に対して具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、画像読取装置1が使用可能に設置された状態を基準として、画像読取装置1の上下方向を定義する。画像読取装置1の正面に位置するユーザを基準として、前後方向及び、左右方向を定義して説明する。
【0014】
図1に示すように、画像読取装置1は、上部カバー5と、本体筐体30とを有している。図1、図2に示すように、上部カバー5は、後述する第1回動保持部50及び第2回動保持部60によって、本体筐体30上面の後端縁に位置する回動軸53B、回動軸61Bを中心に開閉自在に配設されている。上部カバー5は、カバー筐体6内の左側部分に、ADF(Auto Document Feeder)ユニット10を備えている。ADFユニット10は、原稿の画像を読み取るために、原稿を所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送するユニットである。ADFユニット10の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
そして、本体筐体30は、画像読取装置1におけるスキャナ機能を実現するための各種構成部品を、本体筐体30内部に収容している。具体的には、本体筐体30は、その上部に、原稿の画像を読み取るスキャナユニット40を有している。スキャナユニット40の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
ここで、上部カバー5は、第1回動保持部50と、第2回動保持部60と、を備える。第1回動保持部50は、上部カバー5の後端縁における左端部分に配設されている。第2回動保持部60は、上部カバー5の後端縁における右端部分に配設されている。上部カバー5は、第1回動保持部50、及び第2回動保持部60によって、本体筐体30上面及び、上部カバー5の後端縁に沿って左右方向に延びる回動軸を中心に、本体筐体30の上面に対して開閉自在に配設されている。図2、図3に示すように、上部カバー5を閉じた場合に本体筐体30上面、即ち、スキャナユニット40の上面を被覆する。従って、上部カバー5を閉じた場合、上部カバー5は、スキャナユニット40による読取対象としてセットされた原稿をその位置に固定し得る。
【0017】
そして、本体筐体30は、画像読取装置1の制御の中枢を担う制御部を収容している。制御部は、CPU、ROM、RAM等を有しており、画像読取装置1の各機能に係る制御を担う。従って、制御部は、ADFユニット10、スキャナユニット40等を制御することにより、画像読取装置1におけるスキャナ機能を実現する。
【0018】
次に、画像読取装置1におけるADFユニット10の構成について、図3を参照しつつ詳細に説明する。図3に示すように、ADFユニット10は、原稿載置部15と、原稿搬送機構部20と、原稿搬送経路Rと、駆動モータMとを主に備えて構成されており、原稿載置部15に載置された原稿を、図3に示す所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送する。
【0019】
原稿載置部15は、上部カバー5の左右方向における中央部分に形成された平面である。ADFユニット10による搬送対象である原稿は、その長辺が左右方向に沿った状態で原稿載置部15に載置される。つまり、原稿は、その短辺が画像読取装置1の前後方向に沿った状態で原稿載置部15に載置される。原稿載置部15は、原稿搬送経路Rにおいて、ADFユニット10の下方に位置する一端部に沿って形成されている。
【0020】
原稿載置部15の上方には、仕切板16が、原稿載置部15との間に一定の間隔を隔てて形成されている。仕切板16は、ADFユニット10内部において、上方部分と下方部分を区分する。又、仕切板16の上面には、ADFユニット10によって搬送された原稿が積層される。
【0021】
原稿搬送経路Rは、画像読取装置1の左右方向に沿って、原稿載置部15から延びている。原稿搬送経路Rは、仕切板16の表面を接続するように、ADFユニット10内部に形成されている。原稿搬送経路Rは、Uターン経路Ruを有している。図3に示すように、Uターン経路Ruは、ADFユニット10の左側部分に、側面視略U字状に形成されている。Uターン経路Ruは、原稿載置部15から左方向に向かって搬送された原稿の搬送方向を180度変換しつつ、仕切板16の表面に導くための経路である。従って、Uターン経路Ruは、原稿搬送経路Rの内、上部カバー5における最も左側に位置する。
【0022】
尚、本実施形態においては、原稿載置部15の表面から原稿搬送経路Rに沿って仕切板16へ向かう方向を原稿の搬送方向という。
【0023】
原稿搬送機構部20は、ADFユニット10において、原稿載置部15に載置された原稿を、給紙・搬送する為の機構部である。原稿搬送機構部20は、駆動モータMの駆動力が伝達されることにより、原稿を原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側へ搬送する。
【0024】
図3に示すように、原稿搬送機構部20は、原稿供給ローラ21、原稿接触部材21A、原稿分離ローラ22、分離パッド23、原稿搬送ローラ対24、メインローラ25、第1従動ローラ26、第2従動ローラ27を有している。原稿供給ローラ21は、原稿載置部15の搬送方向下流側において原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に支持されている。原稿供給ローラ21は、駆動モータMの駆動により、原稿載置部15に載置された原稿を搬送方向下流側へ搬送する。
【0025】
原稿接触部材21Aは、原稿搬送経路Rを介して、原稿供給ローラ21と対向する位置に揺動自在に配設されている。原稿接触部材21Aは、原稿供給ローラ21上に位置する原稿の上面と接触している。原稿接触部材21Aは、原稿載置部15に積載された原稿を、原稿供給ローラ21に押圧する。又、原稿接触部材21Aは、原稿の分離を円滑に行うために、原稿を捌く機能を有する。
【0026】
原稿分離ローラ22は、原稿供給ローラ21よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に支持されている。原稿分離ローラ22は、駆動モータMの駆動に伴って回転する。そして、原稿分離ローラ22は、分離パッド23と協働することで、一枚の原稿のみを分離して搬送方向下流側へ搬送する。
【0027】
分離パッド23は、所定の可撓性及び摩擦係数を有する材料で構成された薄板状の部材である。分離パッド23は、原稿接触部材21Aよりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して、原稿分離ローラ22と対向する位置に配設されている。そして、分離パッド23は、原稿分離ローラ22上に位置する原稿の上面に接触するように配設されている。分離パッド23は、原稿に摩擦力を付与することによって、原稿分離ローラ22と協働して、原稿を一枚ずつに分離する。
【0028】
原稿搬送ローラ対24は、原稿分離ローラ22及び分離パッド23よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して相互に対向する位置に回転自在に支持されている。原稿搬送ローラ対24の内、原稿搬送経路Rの上部に位置するローラは、駆動モータMの駆動力によって回転駆動する。原稿搬送経路Rの下部に位置するローラは、対向するローラの回転に伴って従動する。原稿搬送ローラ対24は、原稿分離ローラ22等によって一枚ずつに分離された原稿を挟持しつつ回転することによって、原稿を、原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側に搬送する。
【0029】
メインローラ25は、原稿搬送経路Rを構成するUターン経路Ruに沿う位置に回転自在に支持されている。メインローラ25は、駆動モータMの駆動により回転駆動する。又、メインローラ25の外周面は、Uターン経路Ruの一部を構成する。メインローラ25は、回転することによって、原稿搬送ローラ対24から搬送された原稿を、Uターン経路Ruに沿って搬送する。
【0030】
第1従動ローラ26は、メインローラ25の下側において、原稿搬送経路R、即ちUターン経路Ruを介して対向する位置に回転可能に支持されている。第1従動ローラ26は、メインローラ25の回転に伴って従動する。又、第2従動ローラ27は、メインローラ25の上側において、原稿搬送経路R、即ちUターン経路Ruを介して対向する位置に回転可能に支持されている。第2従動ローラ27は、メインローラ25の回転に伴って従動する。従って、原稿Sは、メインローラ25、第1従動ローラ26、第2従動ローラ27の回転によって、Uターン経路Ruに従って搬送される。
【0031】
駆動モータMは、ADFユニット10における原稿の搬送に関する駆動源であり、制御部の制御に従って駆動する。図1、図3に示すように、駆動モータMは、その一部が本体筐体30側に突出するように配設されている。従って、画像読取装置1は、上部カバー5の内部、即ちADFユニット10の内部に、駆動モータM全体を収納する場合と比較して、上部カバー5の厚み、即ち上下方向の寸法を小さくし得る。
【0032】
続いて、画像読取装置1における本体筐体30の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本体筐体30は、上面側にスキャナユニット40を有している。図1、図3に示すように、スキャナユニット40は、原稿載置台として機能するコンタクトガラス41、イメージセンサ42、スライド軸、モータ等を備えている。コンタクトガラス41は、所謂プラテンガラスである。コンタクトガラス41は、本体筐体30の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。
【0033】
イメージセンサ42は、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成される。イメージセンサ42は、コンタクトガラス41上に位置する原稿の画像を読み取る。イメージセンサ42は、主走査方向、即ち、本体筐体30における前後方向がA4サイズの短辺に相当する長さの読取範囲を有している。イメージセンサ42は、本体筐体30の左右方向に向かって伸びるスライド軸によって、左右方向の一定の範囲、即ちA4サイズの長辺寸法に相当する範囲内をスライド移動可能に保持されている。従って、画像読取装置1は、制御部によるモータの駆動制御に基づいて、イメージセンサ42をスライド軸に沿ってスライド移動しつつ、コンタクトガラス41上に載置された原稿の画像を読み取り得る。
【0034】
図1、図3に示すように、本体筐体30上面には、凹部31が、上部カバー5における駆動モータMの配設位置に対応する部分に、下方に凹んだ凹状に形成されている。凹部31は、上部カバー5を閉じた場合に、上部カバー5の下方に突出する駆動モータMの一部を収容する。これにより、画像読取装置1は、上部カバー5における駆動モータMの配設位置及び凹部31との協働により、画像読取装置1の上下方向におけるサイズを小型化することができる。
【0035】
続いて、本実施形態における第1回動保持部50の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2に示すように、第1回動保持部50は、画像読取装置1背面側の左端部分において、上部カバー5を本体筐体30上面に対して回動自在に保持している。
【0036】
ここで、図4に示すように、上部カバー5のカバー筐体6には、第1取付凹部7が形成されている。第1取付凹部7は、カバー筐体6背面の左端部分を、上部カバー5の延出方向に向かって窪んだ所定の凹形状に形成されている。ここで、上部カバー5の延出方向とは、画像読取装置1の左右方向に並行な回動軸と直交する方向である。即ち、上部カバー5の延出方向とは、上部カバー5を閉じた状態において、カバー筐体6の背面側から前面側へ向かう方向を意味する。尚、カバー筐体6は、スチロール樹脂によって形成されている。スチロール樹脂は、例えば、26MPaの引っ張り強度を有している。
【0037】
図4〜図7に示すように、第1回動保持部50は、第1カバー取付部材51と、第1保持部材55を有している。第1回動保持部50は、第1保持部材55に対して、第1カバー取付部材51を、回動軸53Bを中心に回動可能に構成されている。
【0038】
第1カバー取付部材51は、第1取付部材52と、第2取付部材53と、を有している。第1取付部材52は、第1カバー取付部材51における上部カバー5側に位置する部材である。第1取付部材52は、第1取付凸部52Aと、嵌合凹部52Bとを有している。尚、第1取付部材52は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂により形成されている。アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂は、例えば、50MPaの引っ張り強度を有している。
【0039】
図4に示すように、第1取付凸部52Aは、第1取付部材52の一端側において、カバー筐体6の第1取付凹部7の形状に対応して突出するように形成されている。第1取付凸部52Aは、カバー筐体6の第1取付凹部7に対して、上部カバー5の延出方向に沿って挿入される。このようにして、第1取付部材52は、上部カバー5の背面側の左端部に取り付けられる。そして、図6に示すように、嵌合凹部52Bは、第1取付部材52の他端側において、前記上部カバー5の延出方向へ窪んだ凹状に形成されている。
【0040】
第2取付部材53は、第1カバー取付部材51における第1保持部材55側に位置する部材である。第2取付部材53は、嵌合凸部53Aと、回動軸53Bと、規制凸部53Cとを有している。第2取付部材53は、ポリアセタール樹脂により形成されている。ポリアセタール樹脂は、例えば、40MPaの引っ張り強度を有している。
【0041】
図4、及び図7に示すように、嵌合凸部53Aは、第2取付部材53の一端部側に突出形成されている。嵌合凸部53Aは、図6に示す第1取付部材52の嵌合凹部52Bの凹形状に対応する形状に形成されている。嵌合凸部53Aは、上部カバー5の延出方向に沿って、第1取付部材の嵌合凹部52Bに対して挿入される。このようにして、第2取付部材53は、第1取付部材52に対して取り付けられる。
【0042】
そして、回動軸53Bは、第2取付部材53の他端側において、第2取付部材53の左右方向に延びる棒状に形成されている。回動軸53Bは、第1保持部材55に対して、第2取付部材53を回動させる際の回動中心として機能する。図4に示すように、第1カバー取付部材51、即ち、第1取付部材52及び第2取付部材53は、カバー筐体6の第1取付凹部7に対して取り付けられている。この取り付けにより、回動軸53Bは、上部カバー5の背面側において、画像読取装置1の左右方向と平行に位置する。
【0043】
図4に示すように、規制凸部53Cは、第2取付部材53の回動軸53Bから所定距離離間した位置に形成されている。規制凸部53Cは、図4(b)に示すように、第1保持部材55の回動規制部55Bと当接する。この当接により、規制凸部53Cは、本体筐体30上面に対する上部カバー5の開き量を所定範囲内に規制する機能を果たす。所定範囲とは、例えば、本体筐体30上面から100度程度である。尚、規制凸部53Cと回動軸53Bとの間の距離は、図4に示すように、第1保持部材55において、回動軸53Bを保持する軸保持部55Aの厚みよりも大きく、且つ、後述する回動規制部55Bと当接可能な範囲である。ここでいう軸保持部55Aの厚みとは、図4に示す断面において、回動軸53B周りに位置する軸保持部55Aの厚みを意味する。つまり、軸保持部55Aの厚みは、画像読取装置1の左右方向における厚みを意味するものではない。
【0044】
そして、第1保持部材55は、図2に示すように、本体筐体30上面における背面側の左端部における所定位置において、本体筐体30上面に対して鉛直に差し込まれて取り付けられる。第1保持部材55は、軸保持部55A及び回動規制部55Bを一端部側に有する略棒状に形成されている。軸保持部55Aは、本体筐体30に取り付けた場合における第1保持部材55の上端部に形成されている。軸保持部55Aは、第2取付部材53の回動軸53Bを保持することによって、第1カバー取付部材51を、回動軸53Bを中心として、第1保持部材55に対して回動自在に保持している。
【0045】
そして、回動規制部55Bは、前記軸保持部55Aの外表面から、前記回動軸53Bに対して外側方向に突出するように形成されている。回動規制部55Bは、前記軸保持部55Aに保持された回動軸53Bを中心として、第2取付部材53が所定量回動した場合に、第2取付部材53の規制凸部53Cと当接する。所定量とは、例えば、本体筐体30上面から100度程度である。この当接により、回動規制部55Bは、第2取付部材53の回動量を一定範囲に規制する。
【0046】
このように、本実施形態に係る第1回動保持部50は、上部カバー5の背面における左端側に位置する第1取付凹部7に対して、前記延出方向に沿って挿入して取り付けられる第1カバー取付部材51、即ち、第1取付部材52及び第2取付部材53を備える。第1回動保持部50は、軸保持部55Aによって、第1カバー取付部材51の回動軸53Bを保持し、本体筐体30上面の背面側において鉛直方向に差し込まれる第1保持部材55を備える。従って、第1回動保持部50によれば、上部カバー5が本体筐体30上面に対して閉じられた場合であっても、上部カバー5と本体筐体30上面の間に、第1回動保持部50の構成部材が位置することがない。従って、本体筐体30上面や上部カバー5におけるその対向面を含むスペースを有効活用し得る。例えば、本実施形態においては、第1回動保持部50を用いることにより、上部カバー5において、本体筐体30上面に凹部31を形成することができ、駆動モータMを下方に突出する配置で配設することが可能となる。これにより、画像読取装置1の上下方向の寸法を小型化し得る。
【0047】
又、本実施形態においては、カバー筐体6は、26MPaの引っ張り強度を有するスチロール樹脂により形成されている。第1回動保持部50を構成する第1取付部材52は、50MPaの引っ張り強度を有するアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂により形成されている。第2取付部材53は、40MPaの引っ張り強度を有するポリアセタール樹脂により形成されている。即ち、第1カバー取付部材51は、カバー筐体6よりも引っ張り強度の大きい材料で形成されている。このように構成することにより、第1回動保持部50は、上部カバー5が本体筐体30に対して回動操作された際に生じるモーメントに、十分に対抗し得る。
【0048】
更に、第1回動保持部50においては、第1カバー取付部材51を構成する第2取付部材53は、回動軸53Bと共に、規制凸部53Cを有する。第1保持部材55は、回動規制部55Bを有している。そして、所定量回動した時点で、規制凸部53Cと、回動規制部55Bが当接するように構成されている。従って、第1回動保持部50によれば、図4に示すように、上部カバー5を開閉動作する際の回動量を一定の範囲に規制することができる。
【0049】
次に、本実施形態における第2回動保持部60の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1、及び図2に示すように、第2回動保持部60は、画像読取装置1の右端側において、上部カバー5を本体筐体30上面に対して回動自在に保持している。
【0050】
図8に示すように、上部カバー5のカバー筐体6には、第2取付凹部8が形成されている。第2取付凹部8は、カバー筐体6背面の右端部分を、上部カバー5の延出方向に向かって窪んだ所定の凹形状に形成されている。尚、カバー筐体6は、スチロール樹脂によって形成されている。スチロール樹脂は、例えば、26MPaの引っ張り強度を有している。
【0051】
そして、第2回動保持部60は、第2カバー取付部材61と、第2保持部材65とを有している。第2回動保持部60は、第2保持部材65に対して、第2カバー取付部材61を、回動軸61Bを中心に回動可能に構成されている。
【0052】
図8、及び図9に示すように、第2カバー取付部材61は、第2取付凸部61Aと、回動軸61Bと、規制凸部61Cとを有している。尚、第2カバー取付部材61は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂により形成されている。アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂は、例えば、50MPaの引っ張り強度を有している。
【0053】
図8に示すように、第2取付凸部61Aは、第2カバー取付部材61の一端側において、カバー筐体6の第2取付凹部8の形状に対応して形成されている。第2取付凸部61Aは、第2取付凹部8に対して嵌合可能に構成されている。第2取付凸部61Aは、カバー筐体6の第2取付凹部8に対して、前記上部カバー5の延出方向に沿って挿入される。このようにして、第2カバー取付部材61は、上部カバー5の背面側の右端部に取り付けられる。
【0054】
そして、回動軸61Bは、第2カバー取付部材61の他端側において、第2カバー取付部材61の左右方向に延びる棒状に形成されている。回動軸61Bは、第2保持部材65に対して、第2カバー取付部材61を回動させる際の回動中心として機能する。図8に示すように、第2カバー取付部材61は、カバー筐体6の第2取付凹部8に対して取り付けられる。この取り付けにより、回動軸61Bは、上部カバー5の背面側において、画像読取装置1の左右方向と平行であり、且つ、第1回動保持部50における回動軸53Bと同軸上に位置する。
【0055】
図8に示すように、規制凸部61Cは、第2カバー取付部材61の回動軸61Bから所定距離離間した位置に形成されている。規制凸部61Cは、図8(b)に示すように、第2保持部材65の回動規制部65Bと当接する。この当接により、規制凸部61Cは、本体筐体30上面に対する上部カバー5の開き量を所定範囲内に規制する機能を果たす。所定範囲とは、例えば、本体筐体30上面から100度程度である。尚、規制凸部61Cと回動軸61Bの間の距離は、図8に示すように、第2保持部材65において、回動軸61Bを保持する軸保持部65Aの厚みよりも大きく、且つ、後述する回動規制部65Bと当接可能な範囲である。ここでいう軸保持部65Aの厚みとは、図8に示す断面において、回動軸61B周りに位置する軸保持部65Aの厚みを意味する。つまり、軸保持部65Aの厚みは、画像読取装置1の左右方向における厚みを意味するものではない。
【0056】
そして、第2保持部材65は、図2に示すように、本体筐体30上面における背面側の右端部における所定位置において、本体筐体30上面に対して鉛直に差し込まれて取り付けられている。第2保持部材65は、軸保持部65A及び回動規制部65Bを一端部側に有する略棒状に形成されている。図8に示すように、軸保持部65Aは、本体筐体30に取り付けた場合における第2保持部材65の上端部に形成されている。軸保持部65Aは、第2カバー取付部材61の回動軸61Bを保持することによって、第2カバー取付部材61を、回動軸61Bを中心として、第2保持部材65に対して回動自在に保持している。
【0057】
そして、回動規制部65Bは、前記軸保持部65Aの外表面から、前記回動軸61Bに対して外側方向に突出するように形成されている。図8に示すように、回動規制部65Bは、前記軸保持部65Aに保持された回動軸61Bを中心として、第2カバー取付部材61が所定量回動した場合に、第2カバー取付部材61の規制凸部61Cと当接する。所定量とは、例えば、本体筐体30上面から100度程度である。この当接により、回動規制部65Bは、第2カバー取付部材61の回動量を一定範囲に規制する。
【0058】
このように、本実施形態に係る第2回動保持部60は、上部カバー5の背面における右端側に位置する第2取付凹部8に対して、前記延出方向に沿って挿入して取り付けられる第2カバー取付部材61を備える。第2回動保持部60は、軸保持部65Aによって、第2カバー取付部材61の回動軸61Bを保持し、本体筐体30上面の背面側において鉛直方向に差し込まれる第2保持部材65を備える。従って、第2回動保持部60によれば、上部カバー5を本体筐体30上面に対して閉じた場合であっても、上部カバー5と本体筐体30上面の間に、第2回動保持部60の構成部材が位置することはない。従って、本体筐体30上面や上部カバー5におけるその対向面を含むスペースを有効活用し得る。
【0059】
又、本実施形態においては、カバー筐体6は、26MPaの引っ張り強度を有するスチロール樹脂により形成されている。第2回動保持部60を構成する第2カバー取付部材61は、50MPaの引っ張り強度を有するアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂により形成されている。即ち、第2カバー取付部材61は、カバー筐体6よりも引っ張り強度の大きい材料で形成されているので、第2回動保持部60は、上部カバー5を本体筐体30に対して回動操作した際に生じるモーメントに十分に対抗し得る。
【0060】
更に、第2回動保持部60においては、第2カバー取付部材61は、回動軸61Bと共に、規制凸部61Cを有する。第2保持部材65は、回動規制部65Bを有している。第2カバー取付部材61が所定量回動した時点で、規制凸部61Cと、回動規制部65Bとが当接するように構成されている。従って、第2回動保持部60によれば、図8に示すように、上部カバー5を開閉動作する際の回動量を一定の範囲に規制することができる。
【0061】
そして、本実施形態においては、上部カバー5は、その背面側における両端部分において、第1回動保持部50と、第2回動保持部60とにより、本体筐体30に対して回動自在に保持されている。従って、上部カバー5及び本体筐体30において、画像読取装置1の左右方向における中央部分にあたるスペースを有効に活用し得る。
【0062】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、フラットベッドタイプのスキャナとして機能する画像読取装置1を例として挙げていたが、この態様に限定するものではない。例えば、スキャナ機能に加えて、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を有する多機能機であってもよい。又、例えば、画像形成装置の消耗品交換時に回動されるカバーの回動機構に、本発明を適用してもよい。
【0063】
又、本実施形態においては、上部カバー5は、ADFユニット10を備えて構成されているが、この態様に限定されるものではなく、ADFユニット10が上部カバー5に配設されていない構成であってもよい。
【0064】
更に、本実施形態においては、画像読取装置1の左端部側に配設された第1回動保持部50と、画像読取装置1の右端部側に配設された第2回動保持部60とによって、上部カバー5を本体筐体30に対して回動自在に取り付けていた。しかし、本発明は、この態様に限定されるものではない。例えば、画像読取装置1の左端部側及び右端部側において、何れも、第1回動保持部50により、上部カバー5を本体筐体30に対して回動自在に保持しても良い。又、例えば、画像読取装置1の左端部側及び右端部側において、何れも、第2回動保持部60により、上部カバー5を本体筐体30に対して回動自在に保持しても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 画像読取装置
5 上部カバー
6 カバー筐体
7 第1取付凹部
8 第2取付凹部
30 本体筐体
50 第1回動保持部
51 第1カバー取付部材
52 第1取付部材
53 第2取付部材
55 第1保持部材
60 第2回動保持部
61 第2カバー取付部材
65 第2保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の平面を被覆可能なカバーと、
前記カバーを、前記平面と平行な第1方向に沿った回動軸を中心に回動可能に保持する回動保持部と、を備え、
前記カバーは、
前記回動軸側の端面に、前記第1方向と直交する第2方向へ窪んだ取付凹部を有し、
前記回動保持部は、
前記カバーの取付凹部に対して、前記第2方向に従って挿入されて嵌合する取付凸部を一端に備えるカバー取付部材と、
前記本体における前記回動軸側の部分に配設され、前記カバー取付部材の他端部を、前記回動軸を中心に回動可能に保持する保持部材と、を有する
ことを特徴とするカバーの回動機構。
【請求項2】
請求項1記載のカバーの回動機構であって、
前記カバーは、
第1材料により形成されており、
前記カバー取付部材は、
前記第1材料よりも大きい強度を有する第2材料により形成されている
ことを特徴とするカバーの回動機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカバーの回動機構であって、
前記カバー取付部材は、
前記取付凸部を一端側に有し、前記取付凸部と逆側に形成され、前記第2方向へ窪んだ嵌合凹部、を有する第1取付部材と、
前記第1取付部材の嵌合凹部と嵌合する嵌合凸部を一端側に有し、他端側において、前記保持部材に対して前記回動軸を中心に回動可能に保持された第2取付部材と、を有して構成されている
ことを特徴とするカバーの回動機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカバーの回動機構であって、
前記カバー取付部材は、
前記第1方向へ延びる規制凸部を、前記回動軸近傍の位置に有し、
前記保持部材は、
前記カバーが前記平面を被覆した状態から所定の回動量回動した場合に、前記規制凸部と接触することにより、前記カバーの回動を規制する回動規制部を有する
ことを特徴とするカバーの回動機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のカバーの回動機構であって、
前記カバーは、
前記回動軸側の端面において、前記第1方向に沿った両端部にあたる2箇所に、前記取付凹部を有し、
前記回動保持部は、
前記取付凹部の位置に対応し、前記第1方向に沿った両端部において、前記本体に対して、前記カバーを、前記回動軸を中心に回動可能に保持する
ことを特徴とするカバーの回動機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74417(P2013−74417A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211240(P2011−211240)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】