説明

カバー付きチェーン

【課題】継手リンクの着脱が容易で、継手リンクとリンク本体を覆うトップカバーを共用化できるトップカバー付きチェーンの提供。
【解決手段】内リンクと外リンクを交互に連結したチェーン本体110の端部を継手リンク120で連結したチェーンに、トッププレートと一対のサイドプレートよりなるトップカバー130を装着したトップカバー付きチェーンにおいて、前記継手リンク120が、継手ピン121の一端に固着された外プレート124と、継手ピン121の他端に段差部123を備えた嵌合部122に挿脱自在に嵌合している継手プレート125とで構成されているとともに、前記継手プレート125は、前記段差部123とトップカバー130のサイドプレート内面とで挟持されているトップカバー付きチェーン100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用チェーンコンベア等として用いられるローラチェーン等の上面及び両側面をトップカバーで覆ったチェーンに関し、特に、継手リンクの着脱が容易で、継手リンクとチェーン本体を覆うトップカバーとを共用化できるトップカバー付きチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラチェーン等のチェーンは、その両端を継手リンクで連結してエンドレスチェーンとして搬送用コンベヤ等に利用され、外観上の綺麗さや載置面を大きくして搬送物を載置し易くし、また、搬送物がチェーンと直接接触して傷が付かないように、トッププレートと一対のサイドプレートよりなる合成樹脂製のトップカバーを装着し、チェーンの上面及び両側面を覆うことが行われており、このトップカバーは、チェーンを屈曲自在にするように、チェーン長手方向に沿って、ローラチェーンの各リンクに対応した数で取り付けられ、チェーンの外プレートから突出した連結ピンをサイドプレートに設けた挿通孔に挿入してチェーンに係止されていた。
【0003】
そして、このようなチェーンに装着するトップカバーについては、チェーンへの装着状態において、トップカバーのトッププレートがチェーンのリンクに支えられるようにして、サイドプレートに設けた挿通孔への連結ピンの挿入代を、カバーの外れ止めのために必要な係止力が得られる程度として、標準品のローラチェーンに使用できるようにしたものもある(特許文献1参照)。
【0004】
また、チェーン本体との連結および取り外しを容易にするために、継手リンクの継手プレートを継手ピンに固着せずに、継手ピンに着脱自在に嵌め込んだ状態で、図5に示されるような継手ピンに設けた挿通孔に割りピンPを差し込むか、または、図6に示されるような継手ピンにクリップCを差し込むことにより継手ピンからの離脱を防止していた。
【0005】
【特許文献1】特開2001ー315936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような継手プレートと、継手ピンとを割りピンやクリップ等の係止具で係止して連結したチェーンの場合、トップカバーをチェーンに装着する際に、前記のような係止具が継手プレートの外側に存在するから、チェーン本体に用いているトップカバーとは異なる継手リンク専用のトップカバーを用いなければならないという厄介な問題があった。
【0007】
また、継手プレートの継手ピンへの取り付け、取り外しに際して、割りピンやクリップで係止されたものでは、取り付け時に、割ピンを割るための先端が鋭利な工具や、クリップを嵌めるためのペンチ等の工具が必要であり、取り外しにも同様の工具が必要なことから、取り付け、取り外が容易に行えない問題があり、部品点数も多くなることからコストが高くなる問題もあった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、継手リンクにおいても、チェーン本体のトップカバーを共用でき、また、継手プレートを継手ピンに係止するための特別の係止具を必要とせずに、継手リンクからの着脱を容易にしたトッププレート付きチェーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、内リンクと外リンクを交互に連結したチェーン本体の端部を継手リンクで連結したチェーンに、トッププレートと一対のサイドプレートよりなるトップカバーを装着したトップカバー付きチェーンにおいて、前記継手リンクが、継手ピンの一端に固着された外プレートと、継手ピンの他端に段差部を備えた嵌合部に挿脱自在に嵌合している継手プレートとで構成されているとともに、前記継手プレートが、前記段差部とトップカバーのサイドプレート内面とで挟持されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
また、本請求項2に係るトップカバー付きチェーンは、前記継手リンクを覆うトップカバーが、チェーン本体を覆うトップカバーとは異なる色に着色されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述したような構成を備えることによって、以下のような特有の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係るトップカバー付きチェーンは、継手リンクが、継手ピンの一端に固着された外プレートと、継手ピンの他端に段差部を備えた嵌合部に挿脱自在に嵌合している継手プレートとで構成されているとともに、前記継手プレートが、前記段差部とトップカバーのサイドプレート内面とで挟持されていることにより、トップカバーのサイドプレートが、継手プレート外面に対する係止具として作用し、その作用はトップカバーのチェーンへの装着によって奏するものであるから、割ピンやクリップ等の係止具を必要としない。そのため、継手プレートの外面には、割ピンやクリップ等の障害物は存在しないから、チェーン本体で用いているトップカバーと継手リンクのトップカバーは共用化できる。
【0012】
このように、トップカバーを共用化でき、割ピンやクリップ等の独立した係止具を必要としないことから、部品点数を削減できるので、トップカバー付きチェーンの製造コストを低減できる。
【0013】
また、トップカバーのサイドプレートによる継手プレートに対する拘束力は、継手プレートが嵌合部から外部に脱落せず、段差部を越えて内側に進入しない程度の小さな力ですむので、トップカバーのチェーンへの挿脱が容易であり、また、連結したチェーン本体の内側プレートとのクリアランスが適正に確保され、摺動摩耗を防止できる。
【0014】
さらに、本請求項2に係るトップカバー付きチェーンは、前述したように、本体チェーンのトップカバーが継手リンクにも使用できることから、トップカバーと同じものものを用いた場合には、継手リンクの位置を確認するのは困難であるため、異なる色とすることにより、容易に継手リンクの位置を認識し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例であるトップカバー付きチェーンの斜視図であり、図2は、本発明の実施例であるチェーン本体の斜視図であり、図3は、本発明の実施例である継手リンクの斜視図であり、図4は、本発明の実施例であるトップカバーの斜視図である。
【0016】
まず、本発明の一実施例であるトップカバー付きローラチェーン100は、図1に示すように、ローラチェーン本体110と、ローラチェーン本体110の端部を連結する継手リンク120及びローラチェーン110と継手リンク120に装着したトッププレート130よりなる。
【0017】
ローラチェーン本体110は、図2に示すように、一対の内プレート112の一方を一対のブッシュ113に圧入固着し、一対のブッシュ113の外周にローラ114を回転自在に嵌た後、他方の内プレート112を前記一対のブッシュ113に圧入固着されて内リンク111を構成し、外リンク115は、一対の外プレート116の一方を一対の連結ピン117に圧入固着し、連結ピン117を内側リンク111のブッシュ113に挿通した後、他方の外プレートに圧入固着することにより構成され、連結ピン117により内リンク121を交互に連結して長尺のローラチェーン本体110としている。
【0018】
また、継手リンク120は、図3に示すように、一対の継手ピン121に圧入固着された外プレート124と、継手プレート125からなり、外プレート124が固着された継手ピン121をローラチェーン本体110の端部である内リンク111のブッシュ113に挿通して内リンク111を連結した後、継手プレート125を段差部123を備えた継手ピン121の嵌合部122に挿脱可能に嵌合させている。
【0019】
さらに、各トップカバー130は、図4に示すように、上面が平坦なトッププレート131と該トッププレートの両側から垂下した一対のサイドプレート133よりなり、トッププレート131は平坦な上面と、装着状態で隣接するトップカバーの下部に重合する延長部132を備え、サイドプレート133は、内向きの拘束力を生ずるように、内側に若干傾斜させており、中央部に連結ピン嵌合孔134が設けられ、嵌合孔134の下部内面には、下方に拡開するテーパー面135を備え、ローラチェーンの長手方向の一方の端縁部136は連結ピン嵌合孔134の軸芯を中心とする凸円弧状にされ、他方の端縁部137は前記円弧状の端縁部136に対応する凹状の円弧状にされており、図1に示すように、ローラチェーンへの装着時に前後方向に隣り合うトップカバーの凹凸端縁部が嵌合するようにされている。
【0020】
そして、前記トップカバー130を継手リンク120で連結したローラチェーン本体110に装着する際に、サイドプレート133を広げてローラチェーン本体110に嵌め込むと、外プレート116から突出した連結ピン117がサイドプレート133の挿入孔134に挿入されてローラチェーン本体110に係止され、同様に、継手リンク120においても、継手プレート125から突出した継手ピン121もサイドプレート133の挿入孔134に挿入されて係止されると同時に、サイドプレート133の内面は、継手ピン121に嵌合している継手プレート125の外面に当接し、サイドプレート133の内側への拘束力により内側に押しつけられ、継手ピン121の段差部123により係止され、すなわち、サイドプレート133の内面と段差部123により狭持される。この際、サイドプレート133の継手プレート125に対する拘束力は小さく、継手プレート125が継手ピン121の段差部123から内側に進入しないので、チェーン本体110の内リンク111とが適切なクリアランスとなって、摺動摩耗は防止できる。
【0021】
以上のように、本発明は、トップカバーの内側への拘束力は小さいためチェーンへの装脱が容易であり、継手リンクの継手ピンから着脱もトップカバーの装着、離脱のみで行なうことができ、また、トップカバーもチェーン本体と共用できるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施例のトップカバー付きチェーンの斜視図。
【図2】本実施例のチェーン本体の斜視図。
【図3】本実施例の継手リンクの斜視図。
【図4】本実施例のトップカバーの斜視図。
【図5】従来例の割ピンを用いた継手リンクの斜視図。
【図6】従来例のクリップを用いた継手リンクの斜視図。
【符号の説明】
【0023】
100 ・・・トップカバー付きチェーン
110 ・・・チェーン本体
111 ・・・内リンク
112 ・・・内プレート
113 ・・・ブッシュ
114 ・・・ローラ
115 ・・・外リンク
116 ・・・外プレート
117 ・・・連結ピン
120 ・・・継手リンク
121 ・・・継手ピン
122 ・・・嵌合部
123 ・・・段差部
124 ・・・外プレート
125 ・・・継手プレート
130 ・・・トップカバー
131 ・・・トッププレート
132 ・・・延長部
133 ・・・サイドプレート
134 ・・・ピン挿入孔
135 ・・・テーパー面
136 ・・・円弧状端縁部
137 ・・・凹状の円弧状端縁部
P ・・・割ピンP
C ・・・クリップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内リンクと外リンクを交互に連結したチェーン本体の端部を継手リンクで連結したチェーンに、トッププレートと一対のサイドプレートよりなるトップカバーを装着したトップカバー付きチェーンにおいて、
前記継手リンクが、継手ピンの一端に固着された外プレートと、継手ピンの他端に段差部を備えた嵌合部に挿脱自在に嵌合している継手プレートとで構成されているとともに、前記継手プレートが、前記段差部とトップカバーのサイドプレート内面とで挟持されていることを特徴とするトップカバー付きチェーン。
【請求項2】
前記継手リンクを覆うトップカバーが、チェーン本体を覆うトップカバーとは異なる色に着色されていることを特徴とする請求項1に記載のトップカバー付きチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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