説明

カバー付き角型二次電池セル

【課題】角型二次電池のカバーの排気性向上。
【解決手段】角型二次電池セル10に取り付けられるカバー20は、底板21、左右の側板22、23、上板24から構成される枠体である。側板22、23、上板24には、厚さ方向の端部に凸部22b、23b、24cを設けている。また上板24には、角型二次電池セル10の正極端子14及び負極端子15と干渉しない切欠部24aが設けられている。排気弁16から噴出するガスは、上板24、凸部24b、角型二次電池セル10の上面とで囲まれて形成される連通路を介して側板22、23、凸部22b、23b、角型二次電池セル10の側面によりで囲まれる連通路を通り、側板22、23の孔22a、23aから排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カバー付き角型二次電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や多くの家電製品に小型で高出力の二次電池が用いられている。また、電気自動車やハイブリッド車などでは、二次電池の電池セルを複数個繋げて、より高出力で容量の大きい電池モジュールを用いている。二次電池は、過充電や内部短絡などにより内部温度が上昇すると、電解液や活物質からガスが発生し、内部圧力の上昇による破裂の虞がある。このため、図7に示すような角型二次電池セル10では、角型二次電池セル10の内部で発生したガスを角型二次電池セル10の外部へ排気するための排気弁16を角型二次電池セル10の上面に設けている。排気弁16は、角型二次電池セル10の内部圧力が所定値以上になった場合に破れるように部分的に薄く形成されている。そして、従来、人や物が排気弁16に触れて排気弁16が破れないように、排気弁16の上方に保護カバー17(カバー)が設けられていた。
【0003】
また、二次電池の排気弁の構成として、特許文献1に開示される構成も用いられている。特許文献1では、密閉型電池において、電池ヘッダには内部圧力の増大時に圧力を開放する圧力開放弁(排気弁)を設けている。さらに、電池ヘッダの上部には絶縁性被覆材(カバー)を設けている。絶縁性被覆材は電池ヘッダに接着されている。絶縁性被覆材には、圧力開放弁を投影した部分に非接着部が形成されており、圧力開放弁の作動に影響が無い構成となっている。またさらに、特許文献2では、複数のセルを収容した電槽には、ガスを排気する注入口(排気弁)を覆う被覆部材(カバー)を設ける構成が開示されている。被覆部材には、排気孔が設けられており、セル内部にガスが溜まって破裂することがない構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−288877号公報
【特許文献2】特開2003−257404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカバーでは、排気されるガスの圧力によりカバー自体が外れてしまう虞があった。図7に示す保護カバー17は角型二次電池セル10の上面に取り付けられている。そのため、角型二次電池セル10の内部が高圧になって排気弁16が破れると、ガスが高圧のまま噴出され、保護カバー17を押し上げようとする。そしてガスの圧力により保護カバー17が脱落してしまう虞がある。また、特許文献1及び特許文献2でも同様に圧力解放弁や注入口からの高圧のガスにより絶縁性被覆材や被覆部材が脱落して外れる虞がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、より排気性の高い二次電池のカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、角型二次電池セルの上面から突出する正極端子及び負極端子と、角型二次電池セルの上面に設けられ角型二次電池セルの内部のガスを外部へ排気可能な排気弁と、角型二次電池セルを囲うカバーと、を有するカバー付き二次電池セルにおいて、カバーは、角型二次電池セルの上面を覆う上板と、角型二次電池セルの側面を覆う側板と、角型二次電池セルの底面の全部または一部を覆う底部材とから構成される枠体であり、上板における正極端子と負極端子の並び方向に有するそれぞれの端部に側板が接続され、底部材の少なくとも一方の端部は、側板における上板と接続した側と反対側の端部に接続され、上板に設けられ正極端子及び負極端子を挿通可能な切欠部と、側板に設けられ排気弁からのガスを排気する孔もしくは開口部とを有し、角型二次電池セルの外壁とカバーとの間には、排気弁と孔もしくは開口部とを連通する連通路が形成されることを特徴とする。本発明によれば、カバーは枠体であり、排気弁からのガスの排気によりカバーに力が加わっても、角型二次電池セルから外れる虞が無く、排気性を向上させることができる。
【0008】
そして、本発明のカバー付き角型二次電池において、カバーの上板における排気弁を覆う部分から上板の端部まで、及び側板における側板の端部から開口部までには、連通路を形成する少なくとも2つの連続する凸部が二次電池セルと対向する側に設けられており、角型二次電池セルをカバーで覆ったときに、凸部は、角型二次電池セルの表面に接触することを特徴とする。これにより、排気弁からのガスの排気を連続する凸部で形成する連通路を介して排気の勢いを抑えることができ、ガスを側板の開口部から緩やかに排気できる。
【0009】
また、本発明の連続する凸部は、角型二次電池セルとの接触部に樹脂コーティングが施されていることを特徴とする。これにより、連通路の途中からガスが漏れて排気されることを低減することができ、ガスを開口部へと導き、開口部から排気することができる。
【0010】
また、本発明の底部材は、2つの板部材より構成されており、2つの板部材は、前記上板のそれぞれの端部に接続された側板にそれぞれ接続されていることを特徴とする。底部材は、2つの板部材により別々に設けることができ、角型二次電池の底面の全てを覆う必要が無い。そのため、底部材を小型化でき材料の使用量を低減しコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、より排気性の高いカバー付き角型二次電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る角型二次電池セル及びカバーの組付け状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るカバーを示す斜視図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】(a)図3のA−A断面図である。(b)図3のB−B断面図である。(c)図3のC−C断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るカバーを示す斜視図である。
【図6】本発明の変更例に係るカバーを示す斜視図である。
【図7】角型二次電池セルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る二次電池のカバーについて図に基づき説明する。
図1及び図7は、二次電池セルとしての角型二次電池セル10に、カバー20を付けた、カバー付き角型二次電池を示す斜視図である。角型二次電池セル10は、筐体11と、2つの樹脂製の絶縁部材12と、正極端子14と負極端子15、さらに排気弁16から構成されている。筐体11は、角型二次電池セル10の外壁をなす本体である。筐体11は、薄型の直方体形状であり、例えば高さ10センチメートル、横15センチメートル、厚さ2センチメートルの大きさで形成される。2つの絶縁部材12は、筐体11の上面に間隔を空けて設けられている。正極端子14及び負極端子15は、筐体11に収容される図示しない電池素子を充電もしくは放電するための端子である。正極端子14及び負極端子15は、絶縁部材12によりそれぞれ筐体11と絶縁されつつ、電池素子と接続されている。2つの絶縁部材12及び正極端子14、負極端子15は、角型二次電池セル10の上面における長手方向に並ぶように配置されている。排気弁16は、角型二次電池セル10の内部のガスを排気可能であり、筐体11の上面の正極端子14及び負極端子15の間に設けられている。排気弁16は、筐体11の内部にガスが溜まり、内部圧力が所定圧力以上になった場合に破れるように筐体11より薄く形成されている。なお、筐体11の上面には、図示しない電解液注液口が排気弁16の隣に設けられている。
【0014】
図2は、角型二次電池セル10を覆うためのカバー20の斜視図である。カバー20は、底部材としての底板21、左の側板22、右の側板23、上板24から構成される枠体である。底板21、左右の側板22、23、上板24は、金属であり本実施形態ではアルミニウムの一枚板から製造されるものである。底板21は、横長の矩形状である。底板21は、筐体11の横幅よりわずかに長く形成されている。底板21の左右の端部は、左の側板22の下端と右の側板23の下端と接続されている。本実施形態では、底板21は、角型二次電池セル10の底面の全部を覆っている。側板22は、縦長の矩形状であり、底板21に鉛直に立設されている。つまり、側板22は、上板24の端部に接続され、さらに上板24と接続した側の反対側の端部に底板21が接続されている。側板22には、孔22aが設けられている。孔22aは、側板22の長手方向の中央から底板21に至る範囲で切り抜かれて形成されている。また、側板22の長辺には凸部22bが設けられている。凸部22bは、側板の上端から孔22a付近まで形成されている。凸部22bは、例えば側板22の表面から3ミリメートル程度の突出幅であり、カバー20の内側である側板23側に向かって側板22を折り曲げて形成されている。そして、図1に示すように角型二次電池セル10の筐体11の外壁に当接する接触部である凸部22bの表面には、凸部22bが対向する角型二次電池セル10の表面との間からのガスが通過するのを低減させるため樹脂コーティングが施されている。
【0015】
右の側板23は、左の側板22と同じ形状であり、底板21に鉛直に立設されている。側板23には、孔23aが設けられている。孔23aは、側板23の長手方向の中央から底板21に至る範囲で切り抜かれて形成されている。また、側板23の長辺には凸部23bが設けられている。凸部23bは、側板の上端から孔23a付近まで形成されている。凸部23bは、例えば側板23の表面から3ミリメートル程度の突出幅であり、カバー20の内側である側板22側に向かい側板23を折り曲げ形成されている。そして、図1に示すように角型二次電池セル10の筐体11の外壁に当接する接触部である凸部23bには、樹脂コーティングが施されている。なお、側板22及び側板23の板面は、互いに平行に対向している。側板22、23の上端の高さは、角型二次電池セル10の高さよりわずかに高く設定されている。
【0016】
正極端子14と負極端子15の並び方向に有するそれぞれの端部である上板24の左右の端部は、左右の側板22、23の上端にそれぞれ接続されている。上板24は、底板21と同じ大きさの横長矩形状である。そして、上板24は、角型二次電池セル10の正極端子14及び負極端子15を挿通可能に2つの切欠部24aが設けられている。切欠部24aは、上板24の一方の長辺から他方の長辺へ向かって凹むように切欠かれている。なお、切欠部24aは、上板24を部分的に切欠くものである。そして、切欠部24aの切欠き深さは、後述する角型二次電池セル10とカバー20とを組付けたときの関係により設定されている。上板24には、凸部24bが設けられている。凸部24bは、上板24の長辺及び切欠部24aに沿って形成されている。凸部24bは、例えば3ミリメートルの突出幅で、カバー20の内側である上板24の下方に向かい上板24を折り曲げて形成されている。そして、図1に示すように角型二次電池セル10の筐体11の外壁に当接する接触部である凸部24bには、表面に樹脂コーティングが施されている。なお凸部24bは、側板22、23の凸部22b、23bと繋がっており、連続する凸部を形成している。
【0017】
次に、図1、図3に基づき、角型二次電池セル10とカバー20の組付け状態について説明する。カバー20に角型二次電池セル10を厚さ方向の一方からスライドさせて挿入する。このとき、カバー20の切欠部24aの開いている方向、図2の手前側から角型二次電池セル10を挿入する。カバー20は、底板21、側板22、23、上板24がそれぞれ角型二次電池セル10の大きさよりわずかに大きく形成された枠体なので、角型二次電池セル10がわずかな隙間を残して収容される。ここで、角型二次電池セル10の底面は、底板21に支持されている。角型二次電池セル10の左右の側面は、側板22、23の凸部22b、23bにそれぞれ近接した位置となる。そして、孔22a、23aは、角型二次電池セル10の側面の下方に凸部22b、23bの幅だけ隙間を有して対向している。また、角型二次電池セル10の上面は、上板24の凸部24bに近接した位置である。なお、上板24の切欠部24aは、正極端子14、負極端子15と干渉しないよう挿通する位置であり、絶縁部材12の幅よりわずかに大きい横幅で切り欠かれている。そして、角型二次電池セル10の排気弁16は、上板24により上方を覆われている。
【0018】
図4には、図3における各部の断面図を示す。図4(a)は、図3の角型二次電池セル10の排気弁16を通るA−A断面である。角型二次電池セル10の上面に排気弁16が形成されている。そして排気弁16の上方は、上板24が覆っており、角型二次電池セル10の厚さ方向における両端の凸部24bによりガスを通すための空間として連通路28が形成されている。図4(b)は、負極端子15を通るB−B断面図である。角型二次電池セル10の筐体11の上面に絶縁部材12を介して負極端子15が突出して設けられている。そして、カバー20の上板24が筐体11の上面を覆っているが、切欠部24aにより負極端子15と干渉しないようになっている。また、切欠部24aと同じ断面位置には、上板24と2つの凸部24bにより筐体11を覆う空間である狭小部28aが形成されている。この狭小部28aは、図4(a)における連通路28と繋がっており、排気弁16からのガスを通す空間である。なお、正極端子14付近は、図4(b)に示す負極端子15付近と同様であり、絶縁部材12、切欠部24a、凸部24b、狭小部28aから構成されている。
【0019】
図4(c)は、図3における側板22と連通路29のC−C断面である。筐体11の上面と上板24により形成される連通路28及び狭小部28aは、図3、図4(c)に示すように筐体11の左右の側面とカバー20の側板22、23及び凸部22b、23bにより囲まれる空間で形成される連通路29へと繋がっている。連通路29は、孔22a、23aの位置まで形成されており、排気弁16からのガスを孔22a、23aへと誘導するものである。なお、カバー20は、図4(a)、図4(b)に示すように上板24が角型二次電池セル10の筐体11の厚みよりも若干短く設定されている。そして、上板24と同様に、底板21、側板22、23も筐体11の厚みよりも若干短い長さに設定されている。ここで、図4(b)に示すように、カバー20が角型二次電池セル10に装着されたときに、連通路28を形成し、さらに切欠部24aを形成する凸部24bが絶縁部材12に当接するように、切欠部24aの寸法が設定されている。凸部24bを絶縁部材12に当接させてカバー20の位置決めを行うものである。
【0020】
角型二次電池セル10及びカバー20は、図1で示す1組の構成を複数並べるように図示しないケース内に配置する。そして、複数の角型二次電池セル10の各正極端子14同士を1つにつないで外部機器に接続し、各負極端子15同士を1つに繋いで外部機器に接続する。これにより大容量の電池モジュールを構成する。
【0021】
次に本実施形態における、排気弁16からのガスの排気について作用を説明する。
角型二次電池セル10において、筐体11の内部で短絡などが発生し、水素や二酸化炭素などのガスが発生すると、筐体11の内部圧力が上昇していく。そして、筐体11の内部圧力が所定圧力以上となると、筐体11よりも薄い排気弁16が破れて筐体11内部のガスが噴出する。排気弁16から噴出したガスは、排気弁16を覆うカバー20の上板24に衝突し連通路28内を左右の側板22、23に向かい流れていく。このとき、排気弁16から噴出するガスは高圧であり、上板24を上方へ押し上げる力が作用する。しかし、カバー20は、枠体であり、底板21が角型二次電池セル10の底面を支持しているため、上板24が上方へ上がることは無く、また、カバー20が角型二次電池セル10から外れることが無い。また、上板24の凸部24bは、角型二次電池セル10の上面に近接しており、さらに凸部24bは樹脂コーティングされているため、連通路28からガスが漏れることが無い。そして連通路28内をガスが流れていく。
【0022】
連通路28は、上板24の切欠部24aにおいて図4(b)に示すように断面が小さくなる狭小部28aを通過する。そしてこの狭小部分により排気弁16からのガスがやや絞られて、瞬間的に大きな流量のガスが流れることがないよう流量の調整が行われる。そして狭小部28aを通過したガスは、側板22、23へ向かって流れていく。側板22、23まで到達したガスは、連通路29により角型二次電池セル10の側面に沿って下方へ流れていく。下方へ流れたガスは、側板22、23の孔22a、23aからカバー20の外へ緩やかに流れて排気される。
【0023】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)カバー20は、底板21、側板22、23、上板24から枠体に形成されており、角型二次電池セル10の排気弁16から高圧のガスが噴出して上板24を押し上げるように作用しても枠体のカバー20が角型二次電池セル10から外れることが無く、排気性を向上することができる。
(2)上板24及び側板22、23には、凸部24b、22b、23bを設け、さらに角型二次電池セル10の表面に近接させることにより、連通路28、29、狭小部28aを形成したので、排気弁16からのガスを連通路28、29、狭小部28aを介して角型二次電池セル10の側面へと誘導することができる。
(3)左右の側板22、23には、孔22a、23aを設けたので、連通路28、29、狭小部28aを通過したガスをカバー20の外部へ排気することができる。
【0024】
(4)各凸部22b、23b、24bには、樹脂コーティングを施したので、連通路28、29、狭小部28aから凸部22b、23b、24bを介してガスが漏れることを抑えることができ、ガスを連通路28、29、狭小部28aから孔22a、23aへ誘導することができる。
(5)上板24には、角型二次電池セル10の正極端子14及び負極端子15に干渉しない2つの切欠部24aを設け、2つの切欠部24aは、同じ方向に凹むよう設けたので、カバー20と角型二次電池セル10は、角型二次電池セル10の厚さ方向にスライドさせるだけで容易にカバー20を取り付けることができる。
(6)上板24の切欠部24aは、角型二次電池セル10の絶縁部材12に凸部24bを当接させるよう切欠き幅及び切欠き深さを設定しているので、カバー20は、正極端子14及び負極端子15と短絡することが無い。さらにカバー20の取付けにおいて切欠部24aを絶縁部材12に当接するまでスライドさせるだけで容易に位置決めを行うことができる。
【0025】
(7)排気弁16から噴出したガスは、連通路28の狭小部28aを通過するので、狭小部28aにてガスの流れが絞られることにより、連通路29及び孔22a、23aから緩やかにガスを排気することができる。
(8)凸部22b、23bは、側板22、23の長手方向の中央まで設けたので、連通路29を角型二次電池セル10の側面の長手方向の中央まで形成することができ、連通路29を介してガスを下方から緩やかに排出することができる。
(9)底板21は、側板22、23を繋いでいるので、枠体のカバー20の強度を確保することができる。
【0026】
(10)枠体のカバー20は、底板21、側板22、23、上板24のそれぞれの板幅を、角型二次電池セル10の厚さよりもわずかに短く設定したので、複数の角型二次電池セル10を用いた電池モジュールを形成しても、カバー20が電池モジュールの厚さを増加させることが無く、積載スペースへの影響が少なくできる。
(11)1個の角型二次電池セル10に対し、1個のカバー20を取り付ける構成としたので、複数の角型二次電池セル10を有する電池モジュールにおいて、角型二次電池セル10を1つずつ扱うことができる。そのため、不具合が生じた角型二次電池セル10のみを容易に交換でき、メンテナンスが容易である。
【0027】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図5に基づき以下に説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態における底板21及び側板22、23の形状を変更したものである。
カバー30は、2つの底板21aと左右の側板22、23、上板24とから構成される。上板24は、第1の実施形態と同一形状である。左右の側板22、23は、第1の実施形態の形状に加え、爪部材22c、23cを有している。爪部材22c、23cは、それぞれの側板22、23の上下方向中央よりやや下方から、図5の手前側に突出するように設けられている。爪部材22c、23cは、上板24の切欠部24aの凹んでいる方向と同じ方向に突出している。なお、本実施形態では、爪部材22c、23cは矩形形状であるが、これに限定されるものではない。爪部材22c、23cは、カバー30を角型二次電池セル10に取り付けた後に、それぞれ凸部22b、23bと同じ方向に折り曲げる。爪部材22c、23cは、凸部22b、23bの幅よりも長く設定されており、折り曲げたときに、角型二次電池セル10の手前側の側面に対向する位置となる。爪部材22c、23cは、角型二次電池セル10からカバー20が厚み方向から抜けることを防止する。
【0028】
側板22、23の下端には、底板21aがそれぞれ設けられている。左右2つの底板21aは、小さな板部材であり、角型二次電池セル10の底面の角部を支持するものである。しかし、本実施形態では、底板21aにより角型二次電池セル10の底面全体を支持するものではない。なお、底板21aは矩形形状であるが、これに限定されるものではない。カバー30が角型二次電池セル10を保持した状態で、角型二次電池セル10の底面を支持できる大きさ、形状であれば良い。底板21aは、角型二次電池セル10の底面を部分的に支持できれば良く、カバー30は、分離された2つの底板21aを含めて枠体として形成されている。
【0029】
以上の構成による本実施形態の排気弁16からのガスの排気については、第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0030】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(12)側板22、23に爪部材22c、23cを設け、カバー30を角型二次電池セル10に取り付けた後、折り曲げる構成としたので、カバー30が角型二次電池セル10をより確実に保持でき、排気性を更に向上させることができる。
(13)底板21aは各側板22、23の下端に小さい板状部材として分離させたので、カバー30の軽量化を図ることができる。
(14)カバー30は、底板21a、側板22、上板24、側板23、底板21aの順にそれぞれの端部が接続されており、アルミニウムなどの金属板を折り曲げて容易に製造することできる。
【0031】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に本発明の変更例について説明する。
○カバー20、30の材質はアルミニウムに限らない。樹脂製であっても良いが、ステンレスなど金属製が好ましい。
○カバー20、30の大きさは、実施形態の寸法に限定されない。角型二次電池セルの形状に合わせて変更可能である。
○角型二次電池セル10の厚み方向に対するカバー20、30の寸法は適宜変更可能である。実施形態では、角型二次電池セル10の厚み方向の寸法よりわずかに小さく設定したが、同じ長さに設定しても良い。角型二次電池セル10の寸法と同じか小さい長さとすることで電池モジュールとしての寸法に与える影響を抑えることができる。
○凸部22b、23b、24bの寸法は、適宜変更可能である。角型二次電池セル10の容量により発生するガスの量も変わるので、連通路28、29の流路を拡げる場合には寸法を大きくすれば良い。
【0032】
○カバー20、30は、図6に示すように、2個の角型二次電池セルを保持できるカバー40としても良い。カバー40は、実施形態におけるカバー20の2個分を1つとして構成したものである。なお、図6において、底板21には、角型二次電池セル10の位置決めのために2つの突出部21bを設けても良い。また、1つのカバーで2個に限らず、数個の角型二次電池セルを保持できるようにしても良い。これにより電池モジュールにおいて、角型二次電池セルを複数用いる場合に、カバーの数を減らすことができ、組付け作業などの工数を低減できる。
○孔22a、23aの位置は、適宜変更可能である。孔ではなく、開口部を形成しても良いし、上下方向に位置をずらしても良い。また幅も変更可能である。さらに、切り抜き状に変更しても良い。
○図5に示すカバー30は、角型二次電池セル10に対し、角型二次電池セル10の厚み方向からスライドさせて取り付ける場合に限らない。カバー30に弾性強度があれば、左右の側板22、23の下端付近の間隔を広げて、底板21aが角型二次電池セル10の横幅以上に広げてからカバー30を角型二次電池セル10の上方から取り付けても良い。
○底部材は底板21としたが、板に限らない。角型二次電池セル10の底面に延びる形状であれば良く、棒状部材やメッシュ状の部材を使用しても良い。
○底部材としての底板21は、第1の実施形態では角型二次電池セル10の底面の全部を覆うとしたが、底面の一部を覆う構成としても良い。要は、角型二次電池セル10の内部のガスが排気弁16によって外部に排気される時、カバーが角型二次電池セル10より離脱しなければ良い。
【符号の説明】
【0033】
10 角型二次電池セル
11 筐体
12 絶縁部材
14 正極端子
15 負極端子
16 排気弁
20 カバー
21、21a 底板
21b 突出部
22 左の側板
22a、23a 開口部
22b、23b 凸部
22c、23c 爪部材
24 上板
24a 切欠部
24b 凸部
28、29 連通路
28a 狭小部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角型二次電池セルの上面から突出する正極端子及び負極端子と、前記角型二次電池セルの上面に設けられ前記角型二次電池セルの内部のガスを外部へ排気可能な排気弁と、前記角型二次電池セルを囲うカバーと、を有するカバー付き二次電池セルにおいて、
前記カバーは、前記角型二次電池セルの上面を覆う上板と、
前記角型二次電池セルの側面を覆う側板と、
前記角型二次電池セルの底面の全部または一部を覆う底部材とから構成される枠体であり、
前記上板における前記正極端子と前記負極端子の並び方向に有するそれぞれの端部に前記側板が接続され、
前記底部材の少なくとも一方の端部は、前記側板における前記上板と接続した側と反対側の端部に接続され、
前記上板に設けられ前記正極端子及び前記負極端子を挿通可能な切欠部と、
前記側板に設けられ前記排気弁からのガスを排気する孔もしくは開口部とを有し、
前記角型二次電池セルの外壁と前記カバーとの間には、前記排気弁と前記孔もしくは前記開口部とを連通する連通路が形成されることを特徴とするカバー付き角型二次電池セル。
【請求項2】
前記カバーの前記上板における前記排気弁を覆う部分から前記上板の端部まで、及び前記側板における前記側板の端部から前記開口部までには、前記連通路を形成する少なくとも2つの連続する凸部が前記二次電池セルと対向する側に設けられており、
前記角型二次電池セルを前記カバーで覆ったときに、前記凸部は、前記角型二次電池セルの表面に接触することを特徴とする請求項1に記載のカバー付き角型二次電池セル。
【請求項3】
前記凸部は、前記角型二次電池セルとの接触部に樹脂コーティングが施されていることを特徴とする請求項2に記載のカバー付き角型二次電池セル。
【請求項4】
前記底部材は、2つの板部材より構成されており、2つの板部材は、前記上板のそれぞれの端部に接続された側板にそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカバー付き角型二次電池セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26091(P2013−26091A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161464(P2011−161464)
【出願日】平成23年7月24日(2011.7.24)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】