説明

カバー構造

【課題】カバーをこじ開けようとした痕跡を、カバー表面から確認できるように残す。
【解決手段】所定の部品を覆うカバー50をこじ開けようとした痕跡を識別可能に残すカバー構造であって、カバー50は、カバー裏面から部品側に向かって突出形成される突片502を有し、カバー50の固定される固定側部品40は、こじ開け力を受けた突片502の当接する当接面404aを有し、カバー10は、こじ開け力による当接面404aからの抗力の集中する突片根元502a周辺を、無色又は有色透明に形成するとともに、この突片根元502a付近に抗力に対して脆弱な脆弱部505を形成した構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に設けられるセンサ、基板など部品を外部からアクセス不能にカバーするときに適用されるカバー構造に関し、特に、カバーをこじ開けようとした痕跡を識別可能に残すカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシン、パチンコなどの遊技機では、遊技者の操作や遊技媒体を検出するセンサ、所定の電子部品を実装した基板等の部品が備えられている。
これらのセンサ、基板等の部品は、不正行為者による違法部品との交換や改造、不正部品の追加、接続など、悪質な不正行為の標的となっており、その被害は深刻なものとなっている。
【0003】
例えば、スロットマシンでは、遊技者の操作を検出するセンサに不正部品が取り付けられることがある。
スロットマシンは、リールの回転を始動させるスタートレバーやリールの回転を停止させる停止ボタン等の遊技者が操作する操作部を備え、これらの操作部には、遊技者の操作を検出するセンサが設けられている。これらのセンサにおいて検出された入力信号は、センサに接続された接続ケーブルを介して、スロットマシンを制御する主基板に入力されることで、主基板に遊技者の入力操作が伝達され、一連の遊技が進行するようになっている。
【0004】
このようなスロットマシンにおいて、遊技者の操作に伴う上記のセンサで検出された所定の信号を擬似的に発生させる、いわゆる「打ち込み機」と称する不正部品が取り付けられる場合がある。
「打ち込み機」は、これらの遊技者の操作に係る入力信号を擬似的に発生させる不正部品で、例えば、スタートレバーに対応するセンサを不正部品と交換し、擬似的なスタート信号を発振させ、この擬似信号を主基板に入力することで、一連の遊技を自動で進行させることができる。
その結果、例えば、ビッグボーナスの当せんを検出したときに、「打ち込み機」の作動を停止することで、スロットマシンを有利な遊技状態とすることができてしまう。
【0005】
このような不正部品の取り付けを排除する技術として、例えば、特許文献1には、スタートレバーに対応するセンサを覆うカバーと、このセンサの接続ケーブルを覆うカバーとを備えるとともに、これらを取り外し不能に係止させるカバー構造の技術が提案されている。
このカバー構造では、ネジ止め箇所を、はめ殺しされるキャップで覆うように構成され、カバーを取り外すためには、このキャップを破壊しなければならないことから、キャップの破壊により、カバー開封の痕跡が残るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−18113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように痕跡の残るように構成することは、不正行為を抑止するためには有効な手段であり、汎用的、かつ、簡易な構造で、同様の効果のあるカバー構造が望まれている。
センサ、基板等の部品は、壊れたときに正規の部品と交換する場合を想定しつつも、一定のセキュリティ性を確保すべく、何らかのカバー部材で覆われているのが一般的である。
そこで、このカバー自体の構造、カバーをこじ開けようする外力の作用に着目して、簡易な構造、かつ、少ない部品点数で、しかも確実に痕跡を残すことができれば、汎用性を向上させることもできるし、セキュリティに掛けるコストも削減できる。
さらに、カバーの破壊にまで至らなくも、カバーをこじ開けようする外力を加えただけで、その痕跡が残るようにすれば、不正行為を相当抑止できるはずである。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、カバーをこじ開けようとする力を加えると、この力による影響がカバー表面に現れるように構成されたカバー構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明のカバー構造は、所定の部品を覆うカバーをこじ開けようとした痕跡を識別可能に残すカバー構造であって、前記カバーは、カバー裏面から前記部品側に向かって突出形成される突片を有し、前記カバーの固定される固定側部品は、こじ開け力を受けた前記突片の当接する当接面を有し、前記カバーは、こじ開け力による前記当接面からの抗力の集中する前記突片の根元周辺を、無色又は有色透明に形成するとともに、この根元付近に前記抗力に対して脆弱な脆弱部を形成した構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、カバーをこじ開けようとすると、カバー裏面に突出形成された突片がその力を受けるとともに、突片の根元に脆弱部を形成したことで、突片の根元は、透明なカバーであれば目視可能なので、こじ開け力の集中による脆弱部の破壊痕や破断痕を、カバー表面から確認でき、カバーの破壊にまで至らなくも、カバーをこじ開けようする外力を加えた痕跡を明確に残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るカバー構造が適用されるスタートレバーユニットを示し、(a)は、正面図、(b)は、A−A断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカバー構造が適用されるスタートレバーユニットを後方から見た分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカバーを示し、(a)は、表面斜視図、(b)は、裏面斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、こじ開け力を加えられたときのカバーと固定側部品との動作を説明するための説明図であり、(a)は、カバーと固定側部品との組み立て平面図、(b)は、B−B断面図、(c)は、突片のみのB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、こじ開け力を加えられたときのカバーと固定側部品との動作を説明するための説明図であり、(a)は、カバーと固定側部品との組み立て平面図、(b)は、C−C断面図、(c)は、突片のみのC−C断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、こじ開け力を加えられたときのカバーと固定側部品との動作を説明するための説明図であり、(a)は、カバーと固定側部品との組み立て平面図、(b)は、D−D断面図、(c)は、突片(爪部)のみのD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るカバー構造が適用されるスタートレバーユニット1を示し、(a)は正面図、(b)はA−A断面図、図2は、スタートレバーユニット1の分解斜視図、図3は、本発明の実施形態に係るカバー50を示し、(a)は、表面斜視図、(b)は、裏面斜視図である。
【0013】
これらの図に示すように、本発明の実施形態に係るカバー構造が適用されるスタートレバーユニット1は、スロットマシンに取り付けられる部品であり、遊技者がレバーを叩き、揺動させることによりリールの回転を始動させる操作部として構成されている。
【0014】
スタートレバーユニット1には、レバーの揺動を検出するためのセンサ41が内蔵されており、このセンサ41が不正改造等の対象となる部品となっている。
そこで、本発明のカバー構造では、このセンサ41を外部からアクセス不能に保護するカバー50を設けるとともに、このカバー50をこじ開けようとして力を加えると、この力による影響をカバー表面に出現させるとともに、その痕跡が残るようになっている。
以下、スタートレバーユニット1を構成する各部品について説明する。
【0015】
スタートレバーユニット1は、遊技者によって叩き操作されるレバー10と、レバー10に連結された連結ピン11と、連結ピン11を揺動可能に支持するベース20と、ベース20の表側を覆う化粧ケース30と、センサ41を収容するスペーサ40と、スペーサ40の後方からセンサ41を覆うカバー50と、を備え、図1におけるベース20と化粧ケース30との間を境にして、右側がスロットマシンの操作パネルから突出し、左側が操作パネルに埋設されるように取り付けられる。
【0016】
このような構成からなるスタートレバーユニット1において、カバー50がセンサ41を覆う、本発明のカバー構造に係るカバーとして機能するとともに、スペーサ40がカバー50の固定される固定側部品として機能するようになっている。
以下、スペーサ40と、カバー50について詳しく説明する。
【0017】
スペーサ40は、センサ41を支持しながら包囲する部品であり、略有底筒状に形成された合成樹脂製の射出成形品である。
スペーサ40には、ボス固定部401、センサ挿入部402、爪係止孔403、突片挿入孔404、カバー囲い部405が形成されている。
【0018】
ボス固定部401は、ネジ42の頭部のみ挿通不能な孔を有する部分であり、ネジ42をこの孔を介してボス201に形成されたネジ穴に螺着させることで、スペーサ40をベース20に固定させることができる。
センサ挿入部402は、センサ41とほぼ等しい外形で開口された開口部であり、図2に示すように、右方から挿入されるセンサ41を揺動不能に固定する。このセンサ41は、フォトインタラプタで構成され、連結ピン11の揺動を、遮光/通光により検知可能な位置に固定される(図1(b)参照)。
【0019】
爪係止孔403は、カバー50に形成された爪部501より小さい外形で開口された開口部であり、図2に示すように、右方から挿入される爪部501が弾性変形しながら通過し、通過後、復元した爪部501が爪係止孔403の裏面側に係止される。
この係止により、爪部501を圧縮操作しない限り、カバー50をスペーサ40から脱抜させることはできない。さらに、この係止状態の爪部501は、ベース20及びスペーサ40に包囲されるので、カバー50は脱抜不能にはめ殺しされる。
【0020】
また、爪係止孔403の内側には、本発明に係る当接面403aが形成されている。
当接面403aは、爪部501の弾性変形する方向と異なる、対向する二面に配置され、これらが爪部501を挟持するように囲むことで、図2において上下方向への爪部501の移動を規制する。
これにより、カバー50をこじ開けようとすると、こじ開け力が爪部501に伝わるとともに、爪部501が当接面403aを押圧するので、その結果、当接面403aがこの押圧力に抗する抗力で、爪部501を押圧するようになっている(図6参照)。
【0021】
突片挿入孔404は、カバー50に形成された突片502の断面とほぼ同じ外形で開口された開口部であり、図2に示すように、右方から突片502が嵌入される。
突片挿入孔404の内側には、本発明に係る当接面404aが形成されている。
当接面404aは、突片502を囲む四面に配置され、これらが嵌入方向と直交する方向への突片502の移動を規制する。
これにより、カバー50をこじ開けようとすると、こじ開け力が突片502に伝わるとともに、突片502が当接面404aを押圧するので、その結果、当接面404aがこの押圧力に抗する抗力で、突片502を押圧するようになっている(図4、5参照)。
カバー囲い部405は、カバー50の側面をほぼ隙間なく囲む壁部であり、工具等の侵入を阻止することで、カバー50をこじ開けから保護する。
【0022】
カバー50は、センサ41の後端部を覆う部品であり、略板状に形成された無色透明な合成樹脂製(ABS)の射出成形品である。
合成樹脂であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、常温では透明の固体として存在するものの、曲げ外力を加えるとその部分は白化し不透明になる特性を有している。これにより、その白色痕を、こじ開け力の痕跡とすることができる。
また、カバー50には、封印部51、爪部501、突片502、膨出部503、脆弱部505が形成されている。
【0023】
封印部51は、開口部510(直径10mm)をベースとして、この開口部510を閉鎖するように形成されている。また、この封印部51は、ボス固定部401と対向する位置に形成され、ネジ42の頭部へのアクセスを妨げるようになっている。このような封印部51は、封印片511と橋架部512と孔部513とから構成されている。
【0024】
封印片511は、有底筒状(直径4mm×高さ5mm)に形成された部分で、ネジ42の頭部を遮るように、開口部510の中心であって、ネジ42の頭部の中心と対向する位置に配置されている。つまり、封印片511は、ネジ42の頭部へのアクセスを妨げるように作用する。
【0025】
孔部513は、開口部510の一部であるものの、橋架部512は、開口部510周縁から封印片511を3点支持するように、これらの間に架設形成され、それぞれが、封印片511を中心として放射状に等角度間隔で配置されている。
橋架部512は、カバー表面50aにおいて、開口部510周縁と封印片511とを面一につなぎ、開口部510周縁から封印片511を支持する。また、カバー裏面50bにおいては、封印片511よりも薄肉に形成されている(図5(b)参照)。
さらに、橋架部512は、均一な渡り幅で封印片511を支持するのではなく、渡り幅の狭い部分を形成することで、部分的に脆弱化されている。
【0026】
このように、橋架部512は、封印片511を3点のみで支持するとともに、封印片511よりも薄肉、脆弱形成されているので、橋架部512を、所定の剪断工具(例えば、ニッパーなど)で切断したり、封印片511をドライバ等で押圧したりすることで、橋架部512が切断され、封印片511を開口部510周縁から容易に分断することができるようになっている。
開口部510周縁から分断された封印片511は、以下のような作用を有する。
【0027】
橋架部512を、所定の剪断工具(例えば、ニッパーなど)で切断したり、封印片511をドライバ等で押圧したりすることで、封印片511を開口部510周縁から分断すると、分断された封印片511は、開口部510にとどまる。これは、ドライバ等での押圧力は勿論のこと、剪断工具での切断力においても(特に、刃を閉じるときの押し出し力)、封印片511を、開口部510内に押し込むように作用するので、重力の働く向きに関係なく、分断された封印片511は開口部510内に押し込められるからである。
また、本実施形態のカバー50は、カバー表面50aが重力方向に沿うように取り付けられるとともに(図2参照)、封印片511は、ネジ42の頭部側に突出し、ネジ42の頭部側に重心を有していることから、その自重は、封印片511を開口部510内に押し込めるように作用することになる。
【0028】
このように、分断された封印片511が開口部510内にとどまることで、封印片511がネジ42の頭部を覆うことになる(図5(b)参照)。
さらに、ボス固定部401には、ネジ42の頭部を囲む壁面が形成されるとともに、この壁面が分断された封印片511の開口部510内での移動を規制しているので、封印片511が障害物となり、ネジ42の頭部へのドライバの到達が妨げられ、カバー50開封に至るまでの時間を引き延ばすことができる。
【0029】
また、分断された封印片511はネジ42の頭部を覆うのみならず、この封印片511を開口部510から取り出し難くすることで、さらに、カバー50開封に至るまでの時間を引き延ばすようになっている。
具体的には、橋架部512は、所定の剪断工具で切断したり、封印片511をドライバ等で押圧したりすることで、容易に切断されるものの、開口部510周縁には、橋架部512の切り残しが形成されることになる。
【0030】
この切り残しは、カバー50開封の痕跡となるだけでなく、開口部510周縁から開口部510の中心に向かって3方向から延出形成されるため、開口部510からの封印片511の取り出しを妨げるように作用することになる。
その結果、延出した切り残しが障害となり、封印片511の取り出しをさらに困難にさせることになる。
このように、本実施形態では、カバー50をこじ開けずに、封印部51による封印を解除して、センサ41にアクセスしようとする場合にも、カバー50開封に至るまでの時間を引き延ばすことで、不正行為の発生を抑制するようになっている。
【0031】
爪部501は、カバー裏面50bから突出形成され、先端部が弾性変形可能な矢じり状に形成された部分であり、爪係止孔403に係止される。この爪部501は、係止手段であるものの、本発明の突片としても機能する。
突片502は、カバー裏面50bから突出形成された板状のリブで、突片挿入孔404に嵌入される。
【0032】
膨出部503は、外方(図2中右方)に膨出した部分であり、その内側の凹部504にセンサ41のコネクタやこれに接続されるハーネス等を収容する。
この膨出部503は、外方に向かって窄まる錐台状(高さ約5mm)に形成され、摘み難い形状にしてある。これにより、カバー50をこじ開けようとする行為を抑制できる。
また、さらに摘み難くするために、対向する二面を有しない、略円錐台状に形成してある。
【0033】
脆弱部505は、爪部根元501a、突片根元502aの周辺部分であり、本実施形態では、所定の板厚(例えば、0.5mm)で薄肉形成された部分である。このような脆弱部505を、爪部根元501a、突片根元502aの周辺に設けることで、以下の作用効果を発揮する。
【0034】
カバー50をこじ開けようとすると、このこじ開け力は、爪部501、突片502に伝達される。爪部501は爪係止孔403により、また、突片502は突片挿入孔404により移動が規制されていることから、このこじ開け力を受けた爪部501と突片502は、それぞれ当接面403a,404aに当接してこれらから抗力を受ける。
爪部501と突片502はそれぞれカバー裏面50bから突出形成されていることから、当接面403a,404aからの抗力は、爪部501と突片502を、片持ち梁のように撓ませようとするものの、これらは当接面403a,404aで動きが規制されているため、爪部501と突片502とは弾性変形できない。そうすると、この抗力は、爪部501と突片502を、その突出形成されている根元から引き裂こうとする力として作用する。
【0035】
そこで、爪部根元501a、突片根元502aの周辺に、塑性変形し易い脆弱部505を設けておけば、その効力は、それぞれの根元501a,502aに集中して作用することになり、脆弱部505が最初に抗力を吸収しようとして、破断、破壊されることになる。
また、カバー50は、爪部根元501a、突片根元502aの周辺を含めすべて無色透明で形成されていることから、脆弱部505の破断痕、破壊痕などの塑性変形痕がカバー50の表側に現れる。
さらに、カバー50は、曲げ外力を加えると白化する材料(例えば、ABS樹脂)で形成されていることから、破断痕、破壊痕は白色痕を伴うので、こじ開けようとした痕跡を明確に残すことができる。
【0036】
このようにカバー裏面50bから突出形成される爪部501、突片502と、こじ開け力によりこれらの当接する当接面403a,404aと、効力の集中する爪部根元501a、突片根元502aの周辺に脆弱部505とを備えることで、カバー50がこじ開け力を受けることで、これらが相互に作用し合い、カバー表面50aから脆弱部505の破断痕、破壊痕などの塑性変形痕が識別できるようになっている。
以下、具体的にこじ開け力F1〜F4を加えたときの、爪部501、突片502と、当接面403a,404aと、脆弱部505の動作について、図4〜図6を参照しながら説明する。
【0037】
図4は、ポイントP1,P2にこじ開け力F1、F2を加えたときの、突片502と当接面404aの動作を説明する図であり、(a)は、スペーサ40とカバー50との組み立て平面図、(b)は、B−B断面図、(c)は、突片502のみのB−B断面図である。
この例は、ポイントP1,P2にマイナスのドライバ等を差込み、カバー50をこじ開けようとした場合を想定した説明図である。
【0038】
P1又はP2からこじ開け力F1又はF2をカバー50に加えると、突片502は、このこじ開け力F1又はF2を受けて、当接面404aに当接し、この面を押圧するので、この当接面404aから抗力N1又はN2を受ける。
抗力N1又はN2を受けた突片502は、撓もうとするものの、当接面404aにより動きが規制されているので、変形することはできない。
そうすると、抗力N1又はN2は、突片502を、その突出形成されている根元から引き裂こうとする力として作用し、脆弱な部分である、薄肉形成された脆弱部505に集中する。
脆弱部505は、抗力に対抗しようとするものの、弾性領域を超える抗力が加わると、破断、破壊などの塑性変形が生じることになり、その痕跡はカバー表面50aに表れることになる。特に、突片根元502aであって、突片502とカバー裏面50bとの繋ぎ目に、エッジ(角)を形成してあるので、ここから亀裂が生じ易くなり、塑性変形が助長されることになる。
【0039】
図5は、ポイントP3,P4にこじ開け力F3、F4を加えたときの、突片502と当接面404aの動作を説明する図であり、(a)は、スペーサ40とカバー50との組み立て平面図、(b)は、C−C断面図、(c)は、突片502のみのC−C断面図である。
この例は、ポイントP3,P4にマイナスのドライバ等を差込み、カバー50をこじ開けようとした場合を想定した説明図である。
【0040】
P3又はP4からこじ開け力F3又はF4をカバー50に加えると、突片502は、このこじ開け力F3又はF4を受けて、当接面404aに当接し、この面を押圧するので、この当接面404aから抗力N3又はN4を受ける。
抗力N3又はN4を受けた突片502は、撓もうとするものの、当接面404aにより動きが規制されているので、変形することはできない。
そうすると、抗力N3又はN4は、突片502を、その突出形成されている根元から引き裂こうとする力として作用し、脆弱な部分である、薄肉形成された脆弱部505に集中する。
脆弱部505は、抗力に対抗しようとするものの、弾性領域を超える抗力が加わると、破断、破壊などの塑性変形が生じることになり、その痕跡はカバー表面50aに表れることになる。特に、突片根元502aであって、突片502とカバー裏面50bとの繋ぎ目に、エッジ(角)を形成してあるので、ここから亀裂が生じ易くなり、塑性変形が助長されることになる。
【0041】
図6は、ポイントP2にこじ開け力F2を加えたときの、爪部501と当接面403aの動作を説明する図であり、(a)は、スペーサ40とカバー50との組み立て平面図、(b)は、D−D断面図、(c)は、爪部501のみのD−D断面図である。
この例は、ポイントP2にマイナスのドライバ等を差込み、カバー50をこじ開けようとした場合を想定した説明図である。
【0042】
P2からこじ開け力F2をカバー50に加えると、爪部501は、このこじ開け力F2を受けて、当接面403aに当接し、この面を押圧するので、この当接面403aから抗力N2を受ける。
抗力N2を受けた爪部501は、撓もうとするものの、当接面403aにより動きが規制されているので、変形することはできない。
そうすると、抗力N2は、爪部501を、その突出形成されている根元から引き裂こうとする力として作用し、脆弱な部分である、薄肉形成された脆弱部505に集中する。
脆弱部505は、抗力に対抗しようとするものの、弾性領域を超える抗力が加わると、破断、破壊などの塑性変形が生じることになり、その痕跡はカバー表面に表れることになる。特に、爪部根元501aであって、爪部501とカバー裏面50bとの繋ぎ目に、エッジ(角)を形成してあるので、ここから亀裂が生じ易くなり、塑性変形が助長されることになる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカバー構造によれば、カバー裏面50bから突出形成される爪部501、突片502と、こじ開け力によりこれらの当接する当接面403a,404aと、抗力の集中する爪部根元501a、突片根元502aの周辺に脆弱部505とを備えることで、カバー50がこじ開け力を受けることで、これらが相互に作用し合い、カバー表面50aから脆弱部505の破断痕、破壊痕などの塑性変形痕が識別できるようになっている。
【0044】
また、本実施形態のようにカバー50を平板状に形成することで、こじ開け力を、突出形成される爪部501、突片502の根元に直接伝えることができる。
例えば、カバー50を茶筒の外蓋のように断面コの字状に形成してしまうと、こじ開け力は、最初に周囲の囲いの部分に伝わり分散してしまうが、本実施形態のようにカバー50を平板状に形成することで、そのこじ開け力は、爪部根元501a、突片根元502aに直接伝わるようになるからである。
これにより、こじ開け力は、爪部501、突片502を、その突出形成されている根元から引き裂こうとする力としてダイレクトに作用するので、僅かなこじ開け力でも、その痕跡を残すことができる。
【0045】
以上のように構成された本発明によれば、カバーをこじ開けようとすると、カバー裏面に突出形成された突片がその力を受けるとともに、突片の根元に脆弱部を形成したことで、突片の根元は、透明なカバーであれば目視可能なので、こじ開け力の集中による脆弱部の破壊痕や破断痕などの変形痕を、カバー表面から確認できるので、カバーの破壊にまで至らなくも、カバーをこじ開けようする外力を加えた痕跡を明確に残すことができる。
【0046】
さらに、カバーは、曲げ外力を加えると白化する材料(例えば、ABS樹脂)で形成されていることから、破断痕、破壊痕は白色痕を伴うので、こじ開けようとした痕跡を明確に残すことができる。
また、このように、簡易な構造、少ない部品点数により、こじ開けようとした痕跡を確実に残すことができるので、カバー構造の汎用性を向上させ、セキュリティに掛けるコストも削減できる。
【0047】
以上、本発明について、実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、脆弱部を、薄肉形成した部分としたが、例えば、突片の根元周辺に、複数の孔(φ0.5mm)を所定の間隔(例えば、1mm)で並べた切り取り部を形成し、この部分を脆弱部とすることもできる。
【0049】
また、上記の実施形態では、カバーをABS樹脂で形成したが、ポリカーボネート(PC)樹脂で形成することもできる。これによっても、ABS樹脂よりも程度が少ないものの、曲げ外力を加えると白化するからである。また、ABS樹脂よりも硬質なことから、破断しやすく、カバー表面から破断痕を確認することができる。
【0050】
また、上記の実施形態では、本発明に係るカバー構造を、スタートレバーユニットに適用したが、遊技機に取り付けられる様々な部品を覆うカバー構造に適用できる。
具体的には、主基板、副基板などを含む基板類のカバー構造にも適用でき、例えば、二つの凹状ケースを嵌合させて主基板を収容する主基板ケースに適用する場合では、一方のケースを本発明のカバーとして構成し、他方のケースを本発明の固定側部品として構成することで、容易に実現することができる。
すなわち、一方のケースを透明ケースとするとともに、ケース裏面から突片を突出形成するとともに、この周辺に脆弱部を形成し、他方のケースには、当接面を形成することで、本発明に係るカバー構造を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、遊技機に取り付けられる所定の部品を覆うカバーに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 スタートレバーユニット
10 レバー
11 連結ピン
20 ベース
30 化粧ケース
40 スペーサ
403a,404b 当接面
41 センサ
50 カバー
51 封印部
501 爪部(突片)
501a 爪部根元
502 突片
502a 突片根元
505 脆弱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部品を覆うカバーをこじ開けようとした痕跡を識別可能に残すカバー構造であって、
前記カバーは、カバー裏面から前記部品側に向かって突出形成される突片を有し、
前記カバーの固定される固定側部品は、こじ開け力を受けた前記突片の当接する当接面を有し、
前記カバーは、
こじ開け力による前記当接面からの抗力の集中する前記突片の根元周辺を、無色又は有色透明に形成するとともに、この根元付近に前記抗力に対して脆弱な脆弱部を形成した
ことを特徴とするカバー構造。
【請求項2】
前記脆弱部は、前記突片の根元周辺であって、所定の厚みで薄肉形成された部分である請求項1記載のカバー構造。
【請求項3】
前記突片の根元であって、前記突片と前記カバー裏面との繋ぎ目にエッジを形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のカバー構造。
【請求項4】
前記カバーは、曲げ外力を加えると白化する材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項5】
前記カバーは、平板状に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項6】
前記カバー側面は、前記固定側部品の内側面に囲まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー構造。
【請求項7】
前記カバーは、カバー内側のスペースを拡張するための外方に膨出する膨出部を備え、
前記膨出部は、外方に向かって窄まる錐台状に形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカバー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate