説明

カバー水栓

【課題】エルボ・ホースガイドや接続管等の別途の部品の追加による取り付け作業の非効率性やコスト高を回避しつつ、吐水口や洗面器等、水栓本体正面下方の種々の部材・洗面用具等に干渉し難く、利便性を高めることのできるカバー水栓を提供する。
【解決手段】給湯配管3に接続される湯側接続部と、給水配管4に接続される水側接続部と、湯側接続部と水側接続部との間に配設されるとともにシャワーホース24が接続されるシャワー接続部18とを備えた水栓本体10と、水栓本体10を被覆するカバー30が備えられたカバー水栓1aにおいて、カバー30に、シャワーホース24を係止可能なフック40a,40bをカバー30の左右に設けた。また、フック40a,40bをシャワー接続部18よりも低い位置に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーホースを接続可能なホース接続部を備える水栓本体と、この水栓本体を被覆するカバーを備えたカバー水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水栓の一部又は前部をカバーで被覆して水栓の美観を向上させるカバー水栓が多く用いられるようになっている。この種のカバー水栓では、例えば既存の壁付き水栓に用いられる水栓本体にカバーを取り付け、特に、美観上、使用者の目に止めさせたくない水栓本体背面側の湯側接続部及び水側接続部をカバーにより被覆することにより水栓の美観を向上させる。一方、壁付き水栓の水栓本体には、通常、これらの湯側接続部と水側接続部との間にシャワーホースを接続するホース接続部が設けられ、また、水栓本体の正面側には吐水口が設けられている。そして、このような水栓本体をカバー水栓として用いる場合には、カバーの何れかの部位に、ホース接続部に接続されたシャワーホースをカバー外部に引き出すための挿通孔を設け、この挿通孔からシャワーホースを引き回して使用できるように構成している。また、ホース接続部の端部は、引き回されるシャワーホースが水栓本体の操作ハンドルの操作の妨げにならないようにするためや、ホース接続部とシャワーホースとの接続部分が使用者の目に付いて美観を損ねることの無いよう、水栓本体の下方に向けられるように設けられ、よって、シャワーホースを挿通する挿通孔も水栓本体の下方中央付近のカバーに設けられることが多かった(特許文献1参照)。
【0003】
ところが一方で、水栓本体の正面側には吐水口が設けられているため、前述のような部位に設けられた挿通孔を通してシャワーホースが接続されると、挿通孔から引き出されたシャワーホースが、吐水口下方付近に垂れ下がり、吐水口下方の浴室床面に載置されて使用される洗面器や吐水口自体等に干渉することがある。特に、シャワーヘッドを把持し、散水位置を変えるようにして身体や頭部の各部位に向けてシャワーを使用する際には、シャワーホースが洗面器付近において上下左右に大きく動き洗面器や吐水口に引っかかり、シャワーの利便性が大きく損なわれることとなっていた。また、このようなシャワーホースが洗面器等に干渉し難くなるようにするために、ホース接続部に接続される部位のシャワーホースの向きを特定の方向に強制的に保持するためのエルボを取り付けたり(特許文献1)、ホースガイドなどを取り付けたり(特許文献2)、カバー水栓の側面まで延設される接続管をシャワー接続部からカバー水栓の側面まで増設し、カバー水栓の側面からシャワーホースが引き回されるようにしたカバー水栓も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−4999号公報
【特許文献2】特開2002−121783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカバー水栓では、エルボ・ホースガイドや接続管・壁面に対して接続管を固定するステー等の部品が追加的に必要となるため、取り付け作業の非効率性やコスト高の要因となっていた。
【0006】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決しようとするものであり、エルボ・ホースガイドや接続管等の別途の部品の追加による取り付け作業の非効率性やコスト高を回避しつつ、吐水口や洗面器等、水栓本体正面下方の種々の部材・洗面用具等に干渉し難く、利便性を高めることのできるカバー水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の手段は、
給湯配管に接続される湯側接続部と、給水配管に接続される水側接続部と、該湯側接続部と該水側接続部との間に配設されるとともにシャワーホースが接続されるシャワー接続部とを備えた水栓本体と、
前記水栓本体の少なくとも一部を被覆するカバーが備えられたカバー水栓であって、
前記カバーには、前記シャワーホースを係止可能な係止部が備えられたことを特徴とするカバー水栓である。
【0008】
本発明では、シャワーホースを係止可能な係止部をカバーに備えたので、エルボ・ホースガイドや接続管等を利用することなくシャワーホースを特定の位置又は向きに係止し、シャワーホースの大きな動きを規制することが可能となる。係止部としてはフック、係止凹部、溝、突設片等を例示できるが、シャワーホースを係止可能であれば良いので、これら以外にも、係止のための種々の手段を採用することができる。また、少なくとも係止可能であれば良く、嵌合固定等、ある程度堅固に固定する係止部も含めて採用することができる。前述の通り、少なくとも水栓本体の一部が被覆されるカバーに係止部を設けることとしているが、水栓本体の全部を被覆するカバーであっても良い。
【0009】
また、本発明の第二の手段は、前記係止部が前記水栓本体のシャワー接続部よりも低い位置に設けられたことを特徴とするものである。
【0010】
係止部が水栓本体のシャワー接続部よりも低い位置であれば、シャワー接続部に接続されるシャワーホースが吐水口や洗面器等、水栓本体正面下方の種々の部材・洗面用具等に干渉し難いように構成することができる。
【0011】
また、本発明の第三の手段は、前記係止部が、前記カバーの左右にそれぞれ設けられたことを特徴とするものである。
【0012】
このように構成することにより、カバーの左右においてそれぞれシャワーホースを係止することが可能となる。よって、カバー水栓が設置される近辺の浴室内のユニットバスやその他の設置状況に応じて、シャワーホースの係止位置を適宜選択することができ、カバー水栓の利便性をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明の第四の手段は、前記係止部が前記シャワーホースを着脱自在に係止固定可能に設けられたことを特徴とするものである。
【0014】
前述した係止部では、シャワーホースを単に内側に挿通させた状態とする係止部も含まれるが、本発明のようにシャワーホースを着脱自在に係止固定可能にした係止部とすることにより、必要に応じて係止部からシャワーホースを着脱することができる。よって、洗面器を使用している場合等には洗面器等に干渉しないようにシャワーホースを係止部に確実に固定することができ引き回しの際のシャワーホースの暴れを最小限に抑えることができる。そして、浴室内を洗浄する際のようにシャワーホースを大きく伸ばして使用する場合等にはシャワーホースを係止部から外して使用するというように、係止部への着脱を選択して利用することができる。シャワーホースを着脱自在に係止固定可能に設ける係止部の構成としては、例えば、開口部の幅がシャワーホースの外径よりも小さい「C」字状のフック・凹溝、奥端の幅がシャワーホースの外径よりも小さい切り欠き等を例示することができる。
【0015】
また、本発明の第五の手段は、前記係止部が前記カバーに着脱自在に設けられたことを特徴とするものである。
【0016】
カバーに対して係止部を着脱自在に設けることにより、不要な場合にはカバーから係止部を取り外すことが可能となり、係止部が必要のない場合には、係止部自体をカバーから取り除くことができる。
【0017】
また、本発明の第六の手段は、前記係止部がフックであることを特徴とするものである。
【0018】
係止部をフックとすることにより、係止部を簡便な構成でカバーに付加することができ、本カバー水栓の製造コストを低減することができる。
【0019】
また、本発明の第七の手段は、前記係止部がカバーに設けられた凹溝であることを特徴とするものである。
【0020】
係止部をカバーに設けられた凹溝とすることにより、係止部がカバーから突出することが無く、洗面器等の接触による係止部の破損のおそれを極めて少なくすることができる。
【0021】
また、本発明の第八の手段は、前記係止部が、その長手方向がカバーの上下方向に沿って形成された切り欠きであることを特徴とするものである。
【0022】
係止部をこのような切り欠きにより構成することにより、シャワーを下方に引き回せば切り欠き内の下方にシャワーホースが移動し、シャワーを上方に引き回せば切り欠き内の上方にシャワーホースが移動するように設けることができる。一方、係止されるシャワーホースは切り欠き内から容易には外れないように構成することができる。よって、ホースの引き回しの自由度を確保しながらもホースの係止を確実に実現できる。また、カバーから突出する部位が無いので、洗面器等の接触による係止部の破損のおそれを極めて少なくすることができる。
【0023】
また、本発明の第九の手段は、前記係止部が、カバーに穿設されたホース挿通孔であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明は、カバーに穿設されたホース挿通孔にシャワーホースを係止可能とするものである。カバーにホース挿通孔を穿設するだけで、係止部を簡便な構成でカバーに付加にすることができ、本カバー水栓の製造コストを低減することができる。また、係止部がカバーから突出することが無く、洗面器等の接触による係止部の破損のおそれを極めて少なくすることができる。
【0025】
また、本発明の第十の手段は、前記切り欠き又は前記ホース挿通孔から、バー外部にシャワーホースを引き回すことを特徴とするものである。
【0026】
カバーに設けられた切り欠き又はホース挿通孔からカバー外部にシャワーホースを引き回すこととしており、これらの切り欠き又はホース挿通孔よりも基端側のシャワーホース及び水栓本体のホース接続部をカバー内部に隠蔽することができる。よって、カバー水栓の美観をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のカバー水栓は前述のように構成され、係止部によってシャワーホースを特定の位置又は向きに係止しておくことが可能となり、シャワーホースが吐水口や洗面器等、水栓本体正面下方の種々の部材・洗面用具等に干渉し難いように構成することができるので、利便性を向上させることができる。また、特に第六の手段・第九の手段のカバー水栓では、これに加えて、簡便な係止部とすることにより製造コストを低減させることもできる。また、特に第七の手段・第八の手段・第九の手段のカバー水栓では、これに加えて、係止部の破損のおそれを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のカバー水栓の斜視図である。
【図2】図1のカバー水栓の右側面視縦断面図である。
【図3】図1のカバーの要部拡大断面図である。
【図4】本発明の別のカバー水栓の斜視図である。
【図5】本発明のさらに別のカバー水栓の斜視図である。
【図6】本発明のさらに別のカバー水栓の要部拡大断面図である。
【図7】本発明のさらに別のカバー水栓の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態を図を参考にして詳細に説明する。本発明のカバー水栓1aは、図1及び図2に示されるように、浴室の壁面X前方に配設されるものであり、壁面Xの正面側上部に水栓本体10が取り付けられ、湯側接続部19及び水側接続部(図示省略)が突設される水栓本体10の背面側及び下方の部位がカバー30にて被覆されるものである。
【0030】
カバー水栓1aは、前述の通り浴室の壁面Xの前方に配設されている。また、水栓本体10は、下方から立ち上がるように取りまわされた給湯配管3に湯側接続部19が、給水配管4に水側接続部が各々接続されている。また水栓本体10は、図2に示されるように、ステー2を介して壁面Xに固定されている。
【0031】
水栓本体10の左側面には、吐水温度を調整するための温度調節ハンドル12が軸着されている。また、水栓本体10の右側面には、吐水口20又はシャワーホース24からの吐水切換、吐止水及び吐水量の調整を行うための切換ハンドル14が軸着されている。また、水栓本体10の正面側下部には、図2に示されるように、手前側から、吐水口20、シャワー接続部18が突設されている。なお、吐水口20の下方には、浴室の床面Yとの間に、洗面器を載置するのに十分なスペースが確保されている。図示しないシャワーヘッドに先端が接続されるシャワーホース24は、接続金具26を介して、基端側がシャワー接続部18に対して直接螺着されている。よって、シャワーホース24の基端側は、シャワーホース接続部18の軸心方向(すなわち吐水口20下方)に沿って取り付けられることになる。また、カバー30の前面には、給湯側ソケット6の調整スピンドル7と給水側ソケット8の調整スピンドル9とが露呈されている。
【0032】
カバー30は、温度調節ハンドル12及び切換ハンドル14等を除く水栓本体10のほぼ全体と、給湯配管3及び給水配管4のほぼ全体を被覆するように形成されており、正面視においてはやや縦長のほぼ矩形状に形成され、右側面視においては下部が奥側に立設され上部が前方に突出するように倒立した「L」字状に形成され、背面側が開口された箱状に設けられている。
【0033】
カバー水栓1aの上部寄りにおいて正面側に突出した突出部5の下面中央付近からは、水栓本体10の吐水口20がカバー30の外部に突出している。また、この吐水口20の奥側には、同様にシャワー接続部18がカバー30の外部に、下方に向けて突出している。前述したように、これらの吐水口20及びシャワー接続部18の下方の部位のカバー30は、奥側におおきく後退するような形状に形成されており、吐水口20の下方の浴室の床面Y上に、洗面器等を載置するスペースが確保されている。
【0034】
カバー30には、カバー本体32、吐水口20付近を被覆すると共に吐水口20によってカバー本体32に固定されている下側カバー34及び吐水口20よりも下方であってカバー30の正面側においてカバー本体32に対して着脱可能な前側カバー36が備えられている。
【0035】
前側カバー36のやや上部寄り左右で、水栓本体10のシャワー接続部18よりも低い位置には、本発明の「係止部」の一例であるフック40a,40bがそれぞれ設けられている。このフック40a,フック40bは「C」字状に形成されている。フック40a,フック40bの内径は、係止されるシャワーホース24の外径よりも僅かに大きく設けられている。一方、フック40a,フック40bの開口部42の開口幅は、シャワーホース24の外径よりも僅かに小さく設けられている。フック40a,フック40bは樹脂製とされており、シャワーホース24を開口部42内に挿通する場合には、開口部42が弾性拡開されるようにしてその内側にシャワーホース24を圧入することが可能に構成されている。なお、シャワーホース24が金属製のフレキシブル管などではなくビニール製などの場合には、シャワーホース24自体が変形されてフック40a,フック40b内側に圧入することが可能である。
【0036】
このように構成されたカバー水栓1aでは、下側カバー34の正面視中央奥側に配設されているシャワー接続部18に直接シャワーホース24が取り付けられていても、水栓本体10のシャワー接続部18よりも低い位置に設けられたフック40a,フック40bにより、シャワーホース24をカバー水栓1aの正面視左右のいずれかに係止できるので、吐水口20の直下にシャワーホース24が垂れ下がるようなことがない。特に、本例のようにシャワー接続部18が下方に向かって突設されていると、シャワーホース24もその接続された部位は、下方、すなわち吐水口20下のスペースにおかれた洗面器等の方向に向けられることになるが、フック吐水口20下方に洗面器等をおいた場合に、シャワー22を使用するためにシャワーホース24の位置を変えるように取り回しても、洗面器等にシャワーホース24が引っかかるなどのおそれを減少させることができる。
【0037】
また、このようなフック40a,フック40bがカバー水栓1aの正面視左右にそれぞれ設けられているので、例えば、カバー水栓1aの左側に近接してユニットバスが配設されている場合には、これと反対側のフック40aにシャワーホース24を係止して、カバー水栓1aの左側に配設されたユニットバスからより遠い位置でシャワーホース24を取りまわすことが可能となるようにし、逆に、カバー水栓1aの右側に近接してユニットバスが配設されている場合には、これと反対側のフック40bにシャワーホース24を係止して、カバー水栓1aの右側に配設されたユニットバスからより遠い位置でシャワーホース24を取りまわすことが可能となるように、シャワーホース24の係止位置を左右で選択できるように構成されている。
【0038】
また、フック40a,フック40bのいずれか又は双方を、カバー30に対して着脱自在に設けるものとしても良い。フック40a,フック40bをカバー30に対して着脱自在に設ける手段としては、フック40a,フック40b又はカバー30に吸盤を設けて、フック40a,フック40bを吸盤を介してカバー30に吸着可能としたり、カバー30とフック40a,フック40bとに互いに係合可能な係合部をそれぞれ設けることなどを例示することができる。
【0039】
また、図3に示されるように、回動自在に設けられたフック40cとすることもできる。フック40cはシャワーホース24を係止する主体部41と、この主体部41の基端部43をカバー30側に固定するための固定部44とから構成されており、これらの主体部41と固定部44とが自在継手により連接されている。よって、シャワーホース24を係止する主体部41は、固定部44に対して、その接合角度を自由に変化させることができるので、シャワーを使用する際にフック40cに係止固定されるシャワーホース24の向きを自在に変えることができる。したがって、シャワーの使用時にシャワーホース24が無理な角度で湾曲されることを少なくすることができ、シャワーの利便性をより高めることができる。
【0040】
ついで、本発明の別のカバー水栓1bについて説明する。図4に示されるように、このカバー水栓1bは、「係止部」として、凹溝50a,凹溝50bを採用したものである。なお、以下において、前述した第一のカバー水栓1aと共通する構成については、カバー水栓1aに用いた符号と同一の符号を図面中に付してその説明を省略する。
【0041】
凹溝50a,凹溝50bは前側カバー36のやや上部寄りの左右にそれぞれ設けられ、ほぼ左右対称の形状に形成されている。凹溝50a,凹溝50bは、それぞれカバー水栓1bの正面視中央から下方に向かって徐々に端部に向かって傾斜するようにその長手方向の向きが設けられている。また、凹溝50a,凹溝50bは、上端から下端に向かうに従って徐々にその深さを増すように形成されており、下端寄りにおいては、その内側に挿通されるシャワーホース24の外径以上の深さとなる断面円形状の凹溝として形成されている。また、下端寄りの少なくとも一部において、凹溝50a,凹溝50bの開口部52の幅がシャワーホース24の外径よりも小さくなるように設けられている。よって、ビニール製などのシャワーホース24では、シャワーホース24自体が変形されて凹溝50a,凹溝50bの内側に圧入可能に構成されることになり、これによりシャワーホース24を着脱自在に固定可能に設けられ、必要な場合にはシャワーホース24を凹溝50a,凹溝50bに確実に固定しておくことができる。なお、カバー30が弾力性のある材質でない場合には、凹溝50a,凹溝50b内にゴム製等弾力性のあるカバーを取り付けておくことにより、金属製のフレキシブル管などであっても凹溝50a,凹溝50b内に着脱自在に圧入することができる。また、このような凹溝50a,凹溝50bは、カバー30から特に突出した部位を有しないので、意図せずにシャワーホース24を引っ掛けたりすることがなく、凹溝50a,凹溝50bの破損のおそれを低減することができる。
【0042】
ついで、本発明の別のカバー水栓1cについて説明する。図5に示されるように、このカバー水栓1cは、「係止部」として、カバー30の側部に形成された切り欠き60a,切り欠き60bを採用したものである。
【0043】
切り欠き60a,切り欠き60bは、縦長に形成されており、カバー本体32の側部に、その長手方向がカバー水栓1cの上下方向に沿うようにして形成されている。切り欠き60a,切り欠き60bの幅は、奥端部62を除いて、挿通されるシャワーホース24の外径よりやや大きく設けられており、挿通されて係止されるシャワーホース24が、取り回しに従って上下に移動することができるように構成されている。一方、切り欠き60a,切り欠き60bの奥端部62はその幅がシャワーホース24の外径よりもやや小さく設けられており、ビニール製などのシャワーホース24では、シャワーホース24自体が変形されて奥端部62内に圧入可能に構成されている。なお、金属製のフレキシブル管などであっても、奥端部62にゴム製等の弾力性のあるカバー等を取り付け圧入することよって係止固定することが可能である。このようにして、必要に応じて、係止されるシャワーホース24を奥端部62にまで押し込めば、奥端部62の位置において、切り欠き60a,切り欠き60b内におけるシャワーホース24の上下移動を規制してシャワーホース24を一時的に固定することもできる。また、切り欠き60a,切り欠き60bはカバー30の下端から形成されているので、係止されるシャワーホース24が相当下方に引き下げられなければ切り欠き60a,切り欠き60bから外れることはなく、容易にはシャワーホース24の係止が解除されないように構成されている。なお、これらの切り欠き60a,切り欠き60bを、カバー30の側部ではなく、カバー30の前面側に設けることとしても良い。
【0044】
また、カバー水栓1cにおいては、シャワーホース24を切り欠き60a,切り欠き60bからカバー30外部に引き回すこととしている。このため、シャワーホース24の基端側寄りの部位はカバー30内を引き回されており、カバー30内に隠蔽されている。そこで、シャワー接続部18及び接続金具26が露呈することにより美観を損ねないようにするために、シャワーホース24の基端側寄りの部位を被覆するのみならず、下側カバー34をシャワー接続部18及び接続金具26も被覆するように下方に膨出した形状としている。
【0045】
ついで、本発明の別のカバー水栓1dについて説明する。図6にその要部が示されるように、このカバー水栓1dは、「係止部」として、カバー30の側部に穿設されたホース挿通孔70を採用したものである。このカバー水栓1dでは、あらかじめホース挿通孔70にシャワーホース24を挿通しておくことにより、シャワーホース24をホース挿通孔70の位置に係止固定することができる。ホース挿通孔70にはスリーブ72が取り付けられており、シャワーホース24の引きだしが円滑に行われるように構成されている。また、スリーブ72の開口部74は外側が大径となるように形成されており、引き出されるシャワーホース24を引っ張った時などにおいて、引っ張った方向にシャワーホース24が向きやすいように構成されている。
【0046】
また、図示は省略するが、ホース挿通孔70はカバー30の左右にそれぞれ設けられており、カバー水栓32が設置される周囲の状況に応じて、あらかじめ左右のいずれかのホース挿通孔70を選択してシャワーホース24を挿通しておくことができる。また、前述のカバー水栓1cと同様に、シャワーホース24の基端側寄りの部位をカバー30内に収め、シャワーホース24をホース挿通孔70からカバー30外部に引き回し、また下側カバー34をシャワー接続部18及び接続金具26も被覆するように下方に膨出した形状としても良い。
【0047】
ついで、本発明の別のカバー水栓1eについて説明する。図7に示されるように、このカバー水栓1eは、「係止部」として、カバー30の前面側に、カバー30に対して着脱自在に設けられた舌片状の突設片80a,突設片80bを採用したものである。突設片80a,突設片80bは、前側カバー36との間に、シャワーホース24が挿通可能な間隔を設けており、この突設片80a,突設片80bと前側カバー36との間にシャワーホース24を挿通することにより、シャワーホース24を係止することができる。突設片80a,突設片80bは比較的長めに設けられており、係止されるシャワーホース24が相当下方に引き下げられなければ突設片80a,突設片80bから外れることがなく、容易にはシャワーホース24の係止が解除されないように構成されている。また、突設片80a,突設片80bは、前側カバー36に突起状の係合部82によって脱着自在に取り付けられており、必要に応じて突設片80a,突設片80bを取り外すことができる。
【0048】
なお、前述したいずれの係止部においても、カバーの左右のいずれか一方にのみ設けることとしても良い。また、左右2か所だけではなく、複数個以上とすることでも良い。また、上下に異なる位置に係止部を設けることとしても良い。上下に異なる位置に係止部を設けると、水栓本体10下方に通常とは異なる高さの洗面器等を載置した場合に、シャワーホース24を異なる高さに係止できることになり、利便性が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明はシャワーを備えたカバー水栓に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1a,1b,1c,1d,1e:カバー水栓、2;ステー、3;給湯配管、4;給水配管、5;突出部、6;給湯側ソケット、7;調整スピンドル、8;給水側ソケット、9;調整スピンドル、10;水栓本体、12;温度調節ハンドル、14;切換ハンドル、18;シャワー接続部、19;湯側接続部、20;吐水口、24;シャワーホース、26;接続金具、30;カバー、32;カバー本体、34;下側カバー、36;前側カバー、40a,40b,40c;フック、41;主体部、42;開口部、43;基端部、44;固定部、50a,50b;凹溝、52;開口部、60a,60b;切り欠き、62;奥端部、70;ホース挿通孔、72;スリーブ、74;開口部、80a,80b;突設片、82;係合部、X;壁面、Y:床面。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯配管に接続される湯側接続部と、給水配管に接続される水側接続部と、該湯側接続部と該水側接続部との間に配設されるとともにシャワーホースが接続されるシャワー接続部とを備えた水栓本体と、
前記水栓本体の少なくとも一部を被覆するカバーが備えられたカバー水栓であって、
前記カバーには、前記シャワーホースを係止可能な係止部が備えられたことを特徴とするカバー水栓。
【請求項2】
前記係止部が、前記水栓本体のシャワー接続部よりも低い位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のカバー水栓。
【請求項3】
前記係止部が、前記カバーの左右にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカバー水栓。
【請求項4】
前記係止部が前記シャワーホースを着脱自在に係止固定可能に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項5】
前記係止部が前記カバーに着脱自在に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項6】
前記係止部がフックであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項7】
前記係止部がカバーに設けられた凹溝であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項8】
前記係止部が、長手方向がカバーの上下方向に沿って形成された切り欠きであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項9】
前記係止部が、カバーに穿設されたホース挿通孔であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカバー水栓。
【請求項10】
前記切り欠き又は前記ホース挿通孔から、カバー外部にシャワーホースを引き回すことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のカバー水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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