説明

カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナー

【課題】 トナー母粒子と樹脂微粒子とを用いるカプセルトナーの製造方法において、樹脂微粒子を充分に解砕して、定着画像に白点が発生するのを抑制することができるカプセルトナーの製造方法およびカプセルトナーを提供する。
【解決手段】 カプセルトナーの製造方法は、冷却工程と、付着工程と、膜化工程とを含む。冷却工程では、樹脂微粒子を、脆化温度以下の温度まで冷却する。付着工程では、トナー母粒子が流動している粉体流路内に、冷却工程で冷却された樹脂微粒子を、脆化温度以下の温度を維持した状態で投入し、トナー母粒子と樹脂微粒子とを、撹拌下で混合させ、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。膜化工程では、樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の樹脂微粒子が膜化するまで撹拌を継続させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、たとえば帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電および定着の各工程を経ることにより画像が形成される。帯電工程で、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光工程で、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光が照射され、感光体表面に静電潜像が形成される。次に現像工程で、感光体表面の静電潜像が現像装置から供給された現像剤によって現像され、感光体表面にトナーからなるトナー像が形成される。感光体表面に形成されたトナー像は、転写工程で転写装置によって記録媒体に転写され、その後、定着工程で、記録媒体に定着される。また、画像形成動作後に感光体表面上に残留した転写残留トナーは、クリーニング工程で、クリーニング装置により除去されて所定の回収部に回収され、除電工程で、クリーニング後の感光体表面における残留電荷が、次の画像形成に備えるために、除電装置により除電される。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
【0003】
上記現像剤としては、トナーのみからなる1成分現像剤と、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤とが挙げられる。トナーは、現像工程だけではなく、転写工程、定着工程およびクリーニング工程の各工程において求められる機能を備える必要がある。
【0004】
定着工程におけるトナー像の定着方法としては、たとえば、トナー像を構成するトナーを加熱溶融する加熱媒体として熱ロールを使用するヒートロール定着法が挙げられる。ヒートロール定着法で用いられる定着装置は、構成が簡便であり、また、ヒートロール定着法で定着された画像は、画像品位が良好である。
【0005】
ヒートロール定着法による定着において、省エネルギー化を達成するためには、トナー像を構成するトナーをできるだけ低い温度で溶融させて記録媒体に定着させる必要がある。そのため、低温定着が可能なトナーが求められており、トナー中に含有させる結着樹脂として分子量を小さい樹脂を用いたり、トナーに離型剤を含有させるなどの方法によってトナーの軟化温度を低下させ、低温定着が可能なトナーを実現している。
【0006】
しかしながら、このようなトナーは、たとえば高温環境下において、トナーが軟化して凝集してしまい、耐ブロッキング性が低下する問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、特許文献1には、乳化凝集法によって得られるトナーであって、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母粒子と、トナー母粒子表面を被覆する樹脂被覆層とからなり、樹脂被覆層の主成分が非晶性樹脂であるトナーが開示されている。特許文献1に開示のトナーによれば、トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂が含まれるので、低温定着性が良好であるとともに、トナー母粒子表面が樹脂被覆層で被覆されているので、耐ブロッキング性の低下を抑制することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示のトナーは、乳化凝集法によって作製されており、作製時に用いられた分散剤および溶剤である水をトナー内部から充分に除去する必要があるので、トナーの洗浄および乾燥に時間がかかり、製造コストが高くなるという問題がある。なお、分散剤および水がトナー内部に残留すると、帯電性能の劣化および環境性能の悪化が発生する。
【0009】
ここで、特許文献2には、トナー母粒子と、樹脂微粒子とを混合機で撹拌混合してトナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させ、その後、樹脂微粒子が付着したトナー母粒子に機械的衝撃力を加えることで、トナー母粒子表面に樹脂微粒子を固着させるトナーの製造方法が開示されている。
【0010】
結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー母粒子と、非晶性樹脂からなる樹脂微粒子とを用い、特許文献2に開示のトナーの製造方法でトナーを製造することによって、乳化凝集法でトナーを作製する場合の上記問題が起こることなく、低温定着性が良好であるとともに、耐ブロッキング性の低下を抑制することができるトナーを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−266565号公報
【特許文献2】特開平5−281782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このようにして得られたトナーを画像の形成に用いると、定着画像に白点が現れ、画質が低下するおそれがある。白点が現れる原因は、比較的大きい凝集状態の樹脂微粒子である。樹脂微粒子は混合機に投入される前に凝集状態であるが、特許文献2に開示のトナーの製造方法では、樹脂微粒子を、混合機でトナー母粒子とともに撹拌混合しても、凝集状態の樹脂微粒子を充分に解砕することができず、凝集状態のまま残った樹脂微粒子が比較的大きい場合、定着画像に白点が現れる。
【0013】
本発明の目的は、トナー母粒子と樹脂微粒子とを用いるカプセルトナーの製造方法において、樹脂微粒子を充分に解砕して、定着画像に白点が発生するのを抑制することができるカプセルトナーの製造方法およびカプセルトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度まで冷却する冷却工程と、
回転撹拌手段と、粉体流路とを備える回転撹拌装置において、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子が流動している粉体流路内に、前記冷却工程で冷却された前記樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度を維持した状態で投入し、前記トナー母粒子と前記樹脂微粒子とを、撹拌下で混合させ、前記トナー母粒子の表面に前記樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る付着工程と、
前記樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の前記樹脂微粒子が膜化するまで撹拌を継続させて、前記トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
【0015】
また本発明は、前記樹脂微粒子が、結晶性樹脂および非晶性樹脂を含むことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記冷却工程では、前記脆化温度以下の温度まで冷却した樹脂微粒子を、前記脆化温度以下の温度のキャリアガスによって前記粉体流路まで搬送し、前記粉体流路内に投入することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記冷却工程では、前記樹脂微粒子を冷却材によって前記脆化温度以下の温度まで冷却することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記冷却材として、液体窒素またはその蒸発ガスを用いることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記付着工程の後工程として、前記トナー母粒子および前記樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を、撹拌下で前記樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する噴霧工程を含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記カプセルトナーの製造方法によって製造されるカプセルトナーである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カプセルトナーの製造方法は、冷却工程と、付着工程と、膜化工程とを含む。冷却工程では、樹脂微粒子を、前記樹脂微粒子の脆化温度以下の温度まで冷却する。付着工程では、回転撹拌手段と、粉体流路とを備える回転撹拌装置において、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子が流動している粉体流路内に、冷却工程で冷却した樹脂微粒子を、前記樹脂微粒子の脆化温度以下の温度を維持した状態で投入し、トナー母粒子と樹脂微粒子とを、撹拌下で混合させ、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。膜化工程では、樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の樹脂微粒子が膜化するまで撹拌を継続させて、トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する。
【0022】
付着工程において、トナー母粒子が流動している粉体流路内に、前記脆化温度以下の温度を維持した状態で樹脂微粒子を投入することによって、前記脆化温度以下の温度の樹脂微粒子を粉体流路内で撹拌することができる。すなわち、前記脆化温度以下の温度であるために衝撃に対して脆い状態の樹脂微粒子を粉体流路内で撹拌させることができる。そのため、粉体流路内への投入時に凝集状態である樹脂微粒子を充分に解砕することができ、解砕された樹脂微粒子をトナー母粒子表面に付着させることができる。したがって、樹脂微粒子が凝集状態のまま残存することを抑制でき、得られるトナー中に、樹脂微粒子からなる比較的粒子径の大きい凝集粒子が含有されることを抑制できるので、定着画像に白点が発生することを抑制できる。
【0023】
また本発明によれば、樹脂微粒子が、結晶性樹脂および非晶性樹脂を含むので、低温定着性および耐ブロッキング性が良好なトナーを得ることができる。
【0024】
また本発明によれば、冷却工程では、前記脆化温度以下の温度まで冷却した樹脂微粒子を、前記脆化温度以下の温度のキャリアガスによって粉体流路まで搬送し、粉体流路内に投入するので、前記脆化温度以下の温度まで予め充分に冷却された状態の樹脂微粒子を、前記脆化温度以下の温度を維持した状態のまま安定して粉体流路まで搬送でき、粉体流路に投入することができる。そのため、粉体流路内において凝集状態の樹脂微粒子を安定して充分に解砕することができる。
【0025】
また本発明によれば、冷却工程では、樹脂微粒子を冷却材によって前記脆化温度以下の温度まで冷却するので、樹脂微粒子を安定して前記脆化温度以下の温度まで冷却することができる。
【0026】
また本発明によれば、冷却材として、液体窒素またはその蒸発ガスを用いるので、樹脂微粒子を安定して前記脆化温度以下の温度まで冷却することができる。
【0027】
また本発明によれば、付着工程の後工程として、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を、撹拌下で樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する噴霧工程を含む。樹脂微粒子付着トナー母粒子に可塑化液体を噴霧することによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子表面の樹脂微粒子を軟化させることができるので、膜化工程で、樹脂微粒子を安定してトナー母粒子表面に膜化させることができる。
【0028】
また本発明によれば、トナーは、本発明のカプセルトナーの製造方法によって製造される。本発明のカプセルトナーの製造方法では、粉体流路内で樹脂微粒子を充分に解砕することができるので、本発明のカプセルトナーの製造方法で製造されたトナーは、定着画像に白点が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態であるカプセルトナーの製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明のカプセルトナーの製造方法で用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。
【図3】図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。
【図4】粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1、カプセルトナー
本発明の実施の一形態であるカプセルトナーは、複数のカプセルトナー粒子を含む。カプセルトナー粒子は、トナー母粒子と樹脂被覆層とを含む。
【0031】
(トナー母粒子)
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含む。
【0032】
結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、黒トナーまたはカラートナー用の公知の結着樹脂を使用することができ、たとえば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル酸エステル共重合樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また原料モノマー混合物に離型剤を混合し、重合反応を行って得られる樹脂を用いてもよい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0033】
上述の結着樹脂の中でも、ポリエステル樹脂は、透明性に優れ、カプセルトナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラーカプセルトナー用の結着樹脂に好適である。ポリエステル樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。
【0034】
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0035】
多価アルコールとしては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0036】
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステル樹脂の酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステル樹脂が得られる。
【0037】
多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステル樹脂の特性を変性できる。また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステル樹脂の主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによって、変性ポリエステルが得られる。ポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させた、水中での自己分散性ポリエステル樹脂も使用できる。またポリエステル樹脂とアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
【0038】
結着樹脂のガラス転移温度は、30℃以上80℃以下が好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が30℃未満であると、画像形成装置内部においてカプセルトナーが熱凝集するブロッキングが発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移温度が80℃を超えると、記録媒体へのカプセルトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
結着樹脂の軟化温度は、60℃以上140℃以下が好ましい。
【0039】
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
【0040】
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
【0041】
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
【0042】
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
【0043】
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0044】
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
【0045】
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
【0046】
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0047】
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
【0048】
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上10重量部以下である。
【0049】
着色剤は、結着樹脂中に均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。また2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、たとえば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。マスターバッチおよび複合粒子は、後述する乾式混合の際にトナー組成物中に混入される。
【0050】
トナー母粒子には、結着樹脂および着色剤の他に電荷制御剤が含まれてもよい。電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
【0051】
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
【0052】
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上3重量部以下である。
【0053】
トナー母粒子には、結着樹脂および着色剤の他に離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーと離型剤とのブロック共重合物、ビニル系モノマーと離型剤とのグラフト変性物などが含まれる。
【0054】
離型剤の添加量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以上10重量部以下、特に好ましくは1.0重量部以上8.0重量部以下である。
離型剤の融点は、60℃以上120℃以下が好ましい。
【0055】
トナー母粒子の体積平均粒子径は、4μm以上8μm以下が好ましい。トナー母粒子の体積平均粒子径が4μm以上8μm以下であると、長期間にわたり高精細な画像を安定して形成できる。また、トナー母粒子をこの範囲内にまで小粒径化することにより、記録媒体に対するカプセルトナーの付着量が少なくても高い画像濃度が得られ、トナー消費量を削減できる。
【0056】
トナー母粒子の体積平均粒子径が4μm未満であると、トナー母粒子の粒径が小さすぎるので、高帯電化および低流動化するおそれがある。カプセルトナーが高帯電化、低流動化すると、感光体にカプセルトナーを安定して供給できなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。
【0057】
トナー母粒子の体積平均粒子径が8μmを超えると、トナー母粒子の粒径が大きすぎるので、形成画像の層厚が大きくなり、粒状性の著しい画像となり、高精細な画像を得られない。また体積平均粒子径が大きくなることによりトナー母粒子の比表面積が減少し、カプセルトナーの帯電量が小さくなる。カプセルトナーの帯電量が小さくなると、カプセルトナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
【0058】
トナー母粒子の変動係数は、18以上25以下が好ましい。
トナー母粒子の軟化温度は、60℃以上140℃以下が好ましく、トナー母粒子のガラス転移温度は、30℃以上80℃以上が好ましい。
【0059】
(樹脂被覆層)
トナー母粒子は、その表面が樹脂被覆層で被覆されている。
【0060】
樹脂被覆層は、後述するカプセルトナーの製造方法において、トナー母粒子の表面で樹脂微粒子が膜化されることで形成される。
【0061】
樹脂微粒子を構成する樹脂としては、たとえば、トナー材料に用いられる樹脂を用いることができ、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンアクリル共重合体などが挙げられる。
【0062】
樹脂微粒子を構成する樹脂は、高分子の配列状態の違いにより、非晶性樹脂と結晶性樹脂に分類することができる。
【0063】
非晶性樹脂は、高分子が無定形状態にある樹脂であり、結晶性が低く、結晶性指数が0.6未満、または1.5を超える樹脂である。結晶性樹脂は、高分子が規則正しい分子構造を有する樹脂であり、樹脂中の結晶部分の割合(結晶化度)が大きく、結晶性指数が0.6以上1.5以下である。
【0064】
結晶性指数は、樹脂の軟化温度と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化温度/吸熱の最高ピーク温度)で定義される値で、結晶性の指標となる。吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。吸熱の最高ピーク温度が軟化温度と20℃以内の差であれば融点とみなし、軟化温度との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するものとみなす。
【0065】
結晶化の度合いは、樹脂微粒子を構成する樹脂の原料モノマーの種類とその比率、および製造条件たとえば、反応温度、反応時間、冷却速度などにより調整することができる。
【0066】
<結晶性樹脂>
結晶性樹脂としては、たとえば、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエチレン樹脂および結晶性ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
【0067】
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数3〜10の脂肪族ジオールを60モル%以上含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであり、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものが望ましい。アルコール成分中の炭素数3〜10の脂肪族ジオールの含有量は、結晶性促進の観点から85モル%以上がさらに好ましい。カルボン酸成分中の芳香族時カルボン酸の含有量は、低温定着性、耐久性および高温高湿条件下での帯電安定性の観点から、85モル%以上がさらに好ましい。
【0068】
炭素数3〜10の脂肪族ジオールとしては、炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールおよび炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールが好ましい。直鎖型脂肪族ジオールを主成分とし、さらに分岐鎖型脂肪族ジオールを含有したアルコール成分と芳香族系のカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分を原料モノマーとして得られた結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として含有することにより、低温定着性をより一層向上させることができる。なお、分岐鎖型脂肪族ジオールとは、2つのOH基が結合するアルキレン基が分岐を有するジオールまたは2級のOH基を有するジオールを指す。
【0069】
炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、結晶性促進の観点からα、ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールがより好ましい。
【0070】
炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、50〜90モル%が好ましく、結晶性促進の観点から、60〜90モル%がより好ましい。
【0071】
炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0072】
炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、10〜50モル%が好ましく、低温定着性促進の観点から、10〜40モル%がより好ましい。
【0073】
炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールと炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールのモル比(炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオール/炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオール)は、低温定着性の観点から、60/40〜90/10が好ましく、70/30〜85/15がより好ましく、70/30〜80/20がさらに好ましい。
【0074】
アルコール成分には、前記炭素数3〜10の脂肪族ジオール以外のアルコールが本発明の効果が損なわれない範囲で含有されていてもよい。かかるアルコール成分としては、エチレングリコール等の炭素数が3〜10以外の脂肪族ジオール;ポリオキシプロピレン(22)−2、2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシエチレン22−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパンに代表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0075】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびこれらの酸無水物、アルキル炭素数1〜3エステル等の誘導体等のベンゼン骨格を有する化合物が好ましく、これらの中では、結晶性促進の観点から、テレフタル酸およびその誘導体がより好ましい。
【0076】
上記芳香族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;およびこれらの酸の無水物、アルキル炭素数1〜3エステル等の誘導体が挙げられる。これらの中では、結晶性促進の観点から、フマル酸が好ましい。
【0077】
<非晶性樹脂>
非晶性樹脂としては、たとえば、非晶性ポリスチレン樹脂などの非晶性スチレン系樹脂、非晶性スチレンアクリル共重合樹脂、非晶性ポリメチルメタクリレート樹脂などの非晶性アクリル系樹脂、非晶性ポリエチレン樹脂などの非晶性ポリオレフィン系樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリウレタン樹脂、非晶性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0078】
非晶性ポリエステル樹脂は、炭素数3〜10の脂肪族ジオールを60モル%以上含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有し、かつ芳香族ジカルボン酸化合物として炭素数12以上の多環式芳香族ジカルボン酸化合物を1〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであり、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有し、かつ芳香族ジカルボン酸化合物として炭素数12以上の多環式芳香族ジカルボン酸化合物を1〜50モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものが望ましい。
【0079】
アルコール成分については、結晶性ポリエステル樹脂の態様と同様のものが挙げられる。
【0080】
カルボン酸成分については、芳香族ジカルボン酸化合物を特定量以上含有している点で
結晶性ポリエステル樹脂の態様と共通しているが、さらに、特定量の炭素数12以上の多環式芳香族ジカルボン酸化合物がカルボン酸成分中に含有されている点に非晶性ポリエステル樹脂の態様の特徴を有する。
【0081】
炭素数12以上の多環式芳香族ジカルボン酸化合物としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、およびこれらの酸無水物、アルキル炭素数1〜3エステル等の誘導体等のベンゼン骨格を有する化合物が好ましく、炭素数は12〜30が好ましく、12〜24がより好ましい。これらの中では、ポリエステル樹脂の結晶性の観点から、2,6−ナフタレンジカルボン酸および1,5−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0082】
炭素数12以上の多環式芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、1〜50モル%であり、ポリエステル樹脂の結晶性およびトナーの低温定着性の観点から、5〜40モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
【0083】
さらに、上記多環式芳香族ジカルボン酸化合物と結晶性ポリエステル樹脂の態様において例示した芳香族ジカルボン酸化合物との総含有量が、カルボン酸成分中、80モル%以上であり、低温定着性、耐久性および高温高湿条件下での帯電安定性の観点から、85モル%以上が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
【0084】
芳香族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分も、結晶性ポリエステル樹脂の態様と同様のものが挙げられる。
【0085】
結晶性ポリエステル樹脂の態様および非晶性ポリエステル樹脂の態様のいずれにおいても、アルコール成分とカルボン酸成分のモル比(アルコール成分/カルボン酸成分)は、紙への定着性及び帯電安定性の観点から、100/70〜100/120が好ましい。
【0086】
ポリエステル樹脂は、屈折率が高く光学特性に優れることから顔料等の着色剤のバインダーとしても優れており、また、熱設計の自由度が高くより低温での溶融特性を制御可能であることから、特に低温定着トナーに用いる際は優れた機能性を発揮する。
【0087】
結晶性ポリエステル樹脂を作製する際、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、たとえば、不活性ガス雰囲気中にて、必要であればエステル化触媒を用いて、温度120〜230℃で行うことができる。
【0088】
非晶性スチレンアクリル共重合体樹脂は、たとえばスチレン系モノマーと、アクリルモノマーと、アクリル樹脂モノマーとを共重合させて得ることができる。アクリルモノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有するアクリル酸、置換基を有するメタアクリル酸、置換基を有するアクリル酸エステル、置換基を有するメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0089】
アクリル樹脂モノマーとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基(水酸基)含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0090】
スチレン系モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などによって行われる。
【0091】
非晶性スチレンアクリル共重合体樹脂は、モノマーの配合により疎水性を制御することができ、高温高湿環境における帯電低下を抑止することが可能である。また重合度、配合比を選べることから、熱設計の自由度も高くトナー材料として好適に使用できるものである。
【0092】
樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度は、トナー母粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移温度よりも高いことが好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましい。
樹脂微粒子を構成する樹脂の軟化温度は60℃以上160℃以下が好ましい。
【0093】
このように、本発明のカプセルトナーは、トナー母粒子表面に樹脂被覆層が形成されており、内包成分が保護されるので、耐久性および保存安定性に優れる。このようなカプセルトナーを画像形成に用いると、高精細で、濃度むらのない画質の良好な画像を得られる。
【0094】
また、本発明のカプセルトナーは、樹脂微粒子が凝集した状態の粒子である凝集粒子の含有率が低い。凝集粒子は、粒子径が12μm以上の比較的大きい粒子である。本発明のカプセルトナー中の凝集粒子の含有率は4%以下である。したがって、比較的粒子径の大きい凝集粒子に起因する定着画像の白点の発生を抑制することができ、形成される画像の画質を良好にすることができる。
このような本発明のトナーの製造方法を以下に記載する。
【0095】
2、カプセルトナーの製造方法
図1は、本発明の実施の一形態であるカプセルトナーの製造方法を示す工程図である。本実施形態のカプセルトナーの製造方法は、トナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程S1と、樹脂微粒子を調製する樹脂微粒子調製工程S2と、樹脂微粒子をその脆化温度以下の温度まで冷却する冷却工程S3と、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する被覆工程S4とを含む。
【0096】
(1)トナー母粒子作製工程S1
トナー母粒子作製工程S1では、樹脂被覆層によって被覆されるべきトナー母粒子を作製する。トナー母粒子の作製方法は特に限定されず、公知の方法によって行うことができ、たとえば、粉砕法などの乾式法、および、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融乳化法などの湿式法が挙げられる。以下、粉砕法によってトナー母粒子を作製する方法を説明する。
【0097】
(粉砕法によるトナー母粒子の作製方法)
粉砕法によるトナー母粒子の作製では、結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤を含むトナー組成物を、混合機で乾式混合した後、混練機によって溶融混練する。溶融混練によって得られる混練物を冷却固化し、固化物を粉砕機によって粉砕する。その後必要に応じて分級などの粒度調整を行い、トナー母粒子を得る。
【0098】
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
【0099】
混練機としては公知のものを使用でき、たとえば、二軸押出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式の混練機が好ましい。
【0100】
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
【0101】
分級には、遠心力および風力による分級により過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用でき、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用できる。
【0102】
(2)樹脂微粒子調製工程S2
樹脂微粒子調製工程S2では、乾燥した樹脂微粒子を調製する。乾燥にはどのような方法を用いてもよく、たとえば熱風受熱式乾燥、伝導伝熱式乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などの方法で乾燥樹脂微粒子を得られる。樹脂微粒子は、後の被覆工程S4において、トナー母粒子を被覆するために用いられる。トナー母粒子を被覆することにより、たとえばトナー母粒子に含まれる離型剤などの低融点成分の溶融による、保存中のカプセルトナーの凝集を防止できる。
【0103】
樹脂微粒子は、たとえば、前述の樹脂微粒子を構成する樹脂をホモジナイザーなどで乳化分散させ細粒化することによって得られる。また樹脂微粒子を構成する樹脂のモノマー成分の重合によって得られる。
【0104】
以下、非晶性樹脂を用いて調製した樹脂微粒子を非晶性樹脂微粒子、結晶性樹脂を用いて調製した樹脂微粒子を結晶性樹脂微粒子とも記載する。
【0105】
樹脂微粒子の体積メジアン粒径は、トナー母粒子の体積平均粒子径よりも充分に小さい必要があり、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。また、0.1μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。樹脂微粒子の体積メジアン粒径が0.05μm以上1μm以下であることによって、トナー母粒子表面に好適な大きさの突起部が形成される。そのため、本発明の方法で製造されるカプセルトナーは、クリーニング時にクリーニングブレードに引っ掛かり易くなり、クリーニング性が向上する。
【0106】
(3)冷却工程S3
冷却工程S3では、樹脂微粒子を、樹脂微粒子の脆化温度以下の温度まで冷却する。樹脂微粒子の脆化温度は、樹脂微粒子の低温強度特性を示す尺度となる温度である。樹脂微粒子は、その脆化温度よりも2℃以上20℃以下低い温度まで冷却されることが好ましい。
【0107】
樹脂微粒子の冷却方法としては、樹脂微粒子を直接冷却する方法、樹脂微粒子を後述する粉体流路まで搬送するキャリアガスによって樹脂微粒子を間接的に冷却する方法が挙げられる。
【0108】
樹脂微粒子を直接冷却する方法としては、温度の調節された空間内で対流、放射、伝熱などによって樹脂微粒子を冷却する方法が挙げられる。
【0109】
このような方法で樹脂微粒子を冷却することができる装置としては、温度制御可能な冷凍機などが上げられる。具体的には、一定温度の冷風を循環させるタイプの冷凍庫、真空中で壁面温度を低温に保ち放射によって樹脂微粒子の温度を調節する冷却機、およびペルチェ素子などの温度制御機器によって樹脂微粒子を冷却する装置などが挙げられる。このような冷却能力を有する装置中に樹脂微粒子を充分な時間置くことによって、樹脂微粒子の温度をその脆化温度以下の温度まで冷却することができる。
【0110】
キャリアガスによる間接冷却では、樹脂微粒子を冷却するために冷却材を用いる。冷却材としては、たとえば液体窒素およびその蒸発ガスが挙げられる。樹脂微粒子を直接冷却する方法では、樹脂微粒子の実効温度を正確に知ることができる。
【0111】
樹脂微粒子を粉体流路まで搬送するとともに、間接的に冷却するキャリアガスとしては、冷却された圧縮空気および液体窒素の蒸発ガスが挙げられる。樹脂微粒子を粉体流路まで搬送する間のキャリアガスの冷却温度は、−60℃以上0℃以下が好ましい。この温度範囲の温度のキャリアガスで樹脂微粒子を搬送することによって、樹脂微粒子をその脆化温度以下まで冷却することができる。
【0112】
上記のような方法で樹脂微粒子をその脆化温度以下の温度まで冷却することによって、後の被覆工程S4で、樹脂微粒子の脆化温度以下の温度の樹脂微粒子を、粉体流路に投入することができる。
【0113】
さらに、脆化温度以下の温度まで冷却された樹脂微粒子を、樹脂微粒子の脆化温度以下の温度のキャリアガスによって粉体流路まで搬送すると、後の被覆工程S4で、樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度を維持した状態で安定して粉体流路に投入することができる。
【0114】
(4)被覆工程S4
被覆工程S4は、温度調整工程S4aと、付着工程S4bと、噴霧工程S4cと、膜化工程S4dと、回収工程S4eとを含む。これらの工程は、以下のトナーの製造装置を用いて行われる。
【0115】
<トナーの製造装置>
図2は、本発明のカプセルトナーの製造に用いるトナーの製造装置201の構成を示す正面図である。図3は、図2に示すトナーの製造装置201を切断面線A200―A200からみた概略断面図である。トナーの製造装置201は回転撹拌装置であり、粉体流路202と、噴霧手段203と、回転撹拌手段204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部206と、粉体回収部207とを含んで構成される。
【0116】
(粉体流路)
粉体流路202は、撹拌部208と、粉体流過部209とから構成される。撹拌部208は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部208には、開口部210,211が形成される。開口部210は、撹拌部208の回転軸方向片側の面208aにおける略中央部において、撹拌部208の面208aを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。また、開口部211は、撹拌部208の前記軸方向片側の面208aに垂直な側面208bにおいて、撹拌部208の側面208bを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部209は、一端が開口部210と接続され、他端が開口部211と接続される。これによって撹拌部208の内部空間と粉体流過部209の内部空間とが連通され、粉体流路202が形成される。この粉体流路202を、トナー母粒子、樹脂微粒子および気体が流過する。粉体流路202は、トナー母粒子および樹脂微粒子が流動する方向である粉体流動方向が一定となるよう設けられる。
【0117】
(回転撹拌手段)
回転撹拌手段204は、回転軸部材218と、円盤状の回転盤219と、複数の撹拌羽根220とを含む。回転軸部材218は、撹拌部208の軸線に一致する軸線を有しかつ撹拌部208の軸線方向片側の面208cに、面208cを含む側壁を厚み方向に貫通するよう形成される回転軸部221aに挿通されるよう設けられ、図示しないモータによって軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転盤219は、その軸線が回転軸部材218の軸線に一致するように回転軸部材218に支持され、回転軸部材218の回転に伴い回転する円盤状部材である。複数の撹拌羽根220は、回転盤219の周縁部分によって支持され、回転盤219の回転に伴って回転する。回転軸部221aには、ガス排出口221bが接続されたガス排出部222が設けられる。
【0118】
(噴霧手段)
噴霧手段203は、粉体流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられ、粉体流過部209において、後述する樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動方向における開口部211に最も近い側の粉体流過部に設けられる。噴霧手段203は、トナー母粒子および樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を貯留する液体貯留部と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、可塑化液体とキャリアガスとを混合し得られる混合物を粉体流路202内に存在する樹脂微粒子付着トナー母粒子に向けて噴射し、可塑化液体の液滴を樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する二流体ノズルとを備える。キャリアガスとしては、圧縮エアなどを用いることができる。送液ポンプによって一定流量で噴霧手段203に送液され、噴霧手段203によって噴霧された可塑化液体はガス化し、樹脂微粒子付着トナー母粒子表面にガス化した液体が展延する。これによってトナー母粒子および樹脂微粒子が可塑化する。
【0119】
(温度調整用ジャケット)
温度調整手段である図示しない温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側の少なくとも一部に設けられ、ジャケット内部の空間に冷却媒または加温媒を通して粉体流路202内と回転撹拌手段204を所定の温度に調整する。これによって、温度調整工程S4aにおいて、粉体流路内および回転撹拌手段の外側の温度をトナー母粒子および樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御することができる。また噴霧工程S4cおよび膜化工程S4dにおいて、樹脂微粒子付着トナー母粒子および可塑化液体にかかる温度のばらつきを少なくし、樹脂微粒子付着トナー母粒子の安定な流動状態を保つことが可能となる。温度調整用ジャケットとしては、たとえば内径が粉体流路管の外径よりも大きいものを用いる。
【0120】
本実施形態において、温度調整用ジャケットは、粉体流路202の外側全体に設けられることが好ましい。樹脂微粒子付着トナー母粒子は通常粉体流路内の内壁に何度も衝突するが、衝突の際衝突エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、樹脂微粒子付着トナー母粒子に蓄積される。衝突回数の増加とともに、樹脂微粒子付着トナー母粒子に蓄積される熱エネルギーが増加し、やがて樹脂微粒子付着トナー母粒子は軟化して粉体流路の内壁に付着する。温度調整用ジャケットを粉体流路202の外側全体に設けることにより、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路内壁への付着力が低下し、装置内温度の急上昇による粉体流路202内壁に対する樹脂微粒子付着トナー母粒子の付着を確実に防止でき、樹脂微粒子付着トナー母粒子によって粉体流路202内が狭くなることを回避できる。したがって、カプセルトナーを高い収率で製造できる。
【0121】
また、噴霧手段203より下流の粉体流過部209内部では、噴霧された可塑化液体が乾燥せず残存状態にあり、温度が適正でないと乾燥速度が遅くなり可塑化液体が滞留しやすい。これに樹脂微粒子付着トナー母粒子が接触すると、粉体流路202内壁に樹脂微粒子付着トナー母粒子が付着しやすくなり、カプセルトナーの凝集発生源となる。開口部210付近の内壁では、撹拌部208に流入する樹脂微粒子付着トナー母粒子と、回転撹拌手段204による撹拌で撹拌部208内を流動する樹脂微粒子付着トナー母粒子とが衝突し、衝突した樹脂微粒子付着トナー母粒子が開口部210付近に付着しやすい。したがってこのような樹脂微粒子付着トナー母粒子が付着しやすい部分に温度調整用ジャケットを設けることによって、粉体流路202内壁に対する樹脂微粒子付着トナー母粒子の付着をより確実に防止できる。
【0122】
(粉体投入部および粉体回収部)
粉体流路202の粉体流過部209には、粉体投入部206と、粉体回収部207とが接続される。図4は、粉体投入部206および粉体回収部207まわりの構成を示す側面図である。
【0123】
粉体投入部206は、トナー母粒子および樹脂微粒子を供給(投入)する図示しないホッパと、ホッパと粉体流路202とを連通する供給管212と、供給管212に設けられる電磁弁213とを備える。ホッパから供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子は、電磁弁213によって供給管212内の流路が開放されている状態において、供給管212を介して粉体流路202に供給される。粉体流路202に供給されるトナー母粒子および樹脂微粒子は、回転撹拌手段204による撹拌により、一定の粉体流動方向に流過する。また電磁弁213により供給管212内の流路が閉鎖されている状態においては、トナー母粒子および樹脂微粒子は粉体流路202に供給されない。
【0124】
粉体回収部207は、回収タンク215と、回収タンク215と粉体流路202とを連通する回収管216と、回収管216に設けられる電磁弁217とを備える。電磁弁217により回収管216内の流路が開放されている状態において、粉体流路202を流過するカプセルトナー粒子は回収管216を介して回収タンク215に回収される。また、電磁弁217により回収管216内の流路が閉鎖されている状態においては、粉体流路202を流過するカプセルトナーは回収されない。
【0125】
トナーの製造装置201としては、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、温度調整用ジャケットは粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に設けられてもよく、粉体流過部209または撹拌部208の外側の一部に設けられてもよい。粉体流過部209と撹拌部208との外側の全面に温度調整用ジャケットを設けた場合、樹脂微粒子付着トナー母粒子の粉体流路202内壁への付着をより確実に防止することができる。
【0126】
上述したようなトナーの製造装置201は、市販品の撹拌装置と噴霧装置とを組合せて得ることもできる。粉体流路および回転撹拌装置を備える市販の撹拌装置としては、たとえば、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などが挙げられる。このような撹拌装置に可塑化液体を噴霧する噴霧装置を取付けることによって、本実施形態のカプセルトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置201とすることができる。
【0127】
(温度調整工程S4a)
温度調整工程S4aでは、回転撹拌手段204を回転させながら、粉体流路202内および回転撹拌手段204をこれらの外側に配設した温度調整用ジャケットに媒体を通じて所定の温度に調整する。これにより粉体流路202内の温度を、トナー母粒子、樹脂微粒子および樹脂微粒子付着トナー母粒子が軟化変形しない温度以下に制御できる。
【0128】
粉体流路202内の温度は、トナー母粒子のガラス転移温度以下に設定され、30℃以上トナー母粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。粉体流路202内の温度は、トナー母粒子の流動により、どの部分においてもほぼ均一となる。粉体流路202内の温度がトナー母粒子のガラス転移温度を超えると、トナー母粒子が軟化し過ぎ、トナー母粒子の凝集が発生するおそれがある。また粉体流路202内の温度が30℃未満であると、可塑化液体の乾燥速度が遅くなり生産性が低下する。したがってトナー母粒子の凝集を防止するために、粉体流路202および回転撹拌手段204の温度をトナー母粒子のガラス転移温度以下に維持する必要がある。
【0129】
(付着工程S4b)
付着工程S4bでは、トナー母粒子の表面に樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る。
【0130】
付着工程S4bでは、まず、回転撹拌手段204の回転軸部材218が回転している状態で、粉体投入部206からトナー母粒子を投入する。その後、トナー母粒子が矢符214方向に流動している粉体流路202内に、前述の冷却工程S3で冷却された樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度を維持した状態で投入する。
【0131】
付着工程S4bで、トナー母粒子が流動している粉体流路202内に、脆化温度以下の温度を維持した状態で樹脂微粒子を投入することによって、脆化温度以下の温度の樹脂微粒子を粉体流路202内で撹拌させることができる。すなわち、脆化温度以下の温度であるために衝撃に対して脆い状態の樹脂微粒子を粉体流路202内で撹拌させることができる。そのため、粉体流路202内への投入時に凝集状態である樹脂微粒子を、樹脂微粒子の1次粒子径の約1〜10倍の粒子径であるサブミクロンレベルまで充分に解砕することができ、解砕された樹脂微粒子をトナー母粒子表面に付着させて、樹脂微粒子付着トナー母粒子を得ることができる。したがって、樹脂微粒子が凝集状態のまま残存することを抑制でき、得られるカプセルトナー中に、樹脂微粒子からなる比較的粒子径の大きい凝集粒子が含有されることを抑制できるので、定着画像に白点が発生することを抑制できる。なお、樹脂微粒子が結晶性樹脂を多く含むほど、粉体流路202に投入する前の樹脂微粒子はより凝集する傾向にあるが、この場合でも、樹脂微粒子を充分に解砕することができる。
【0132】
樹脂微粒子の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して3重量部以上20重量部以下であることが好ましい。樹脂微粒子の添加量が3重量部未満であると、トナー母粒子を樹脂微粒子で均一に被覆することが難しくなり、トナー母粒子の種類によっては、保存安定性が悪くなるおそれがある。樹脂微粒子の添加量が20重量部を超えると、一部の樹脂微粒子がトナー母粒子に付着せず、遊離したままカプセルトナー中に含まれることになる。
【0133】
付着工程S4bにおいて、回転撹拌手段204の最外周の周速度は、50m/sec以上120m/sec以下に設定するのが好ましい。回転撹拌手段204の最外周とは、回転撹拌手段204の回転軸部材218が延びる方向に垂直な方向において、回転軸部材218の軸線との距離がもっとも長い回転撹拌手段204の部分204aである。
【0134】
回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速度を50m/sec以上に設定することによって、トナー母粒子および樹脂微粒子を孤立流動させることができる。回転撹拌手段204の最外周における周速度が50m/sec未満であると、トナー母粒子および樹脂微粒子を孤立流動させることができないため、トナー母粒子を樹脂被覆層で均一に被覆できなくなる。
【0135】
回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速度を120m/sec以下に設定することによって、クリーニング性の良好なカプセルトナーとすることができる。回転撹拌手段204の最外周における周速度が120m/secを超えると、機械的衝撃力および機械的衝撃力によって発生する熱エネルギーによって、トナー母粒子が必要以上に球形化されるので、得られるカプセルトナーのクリーニング性が低下する。
【0136】
トナー母粒子および樹脂微粒子は、回転盤219に対して垂直に回転盤219と衝突することが好ましい。これにより、トナー母粒子および樹脂微粒子を充分に撹拌し、トナー母粒子を樹脂微粒子でより均一に被覆できるので、均一な樹脂被覆層が形成されたカプセルトナーの収率を向上させることができる。
付着工程S4bの時間は、1分間以上20分間以下が好ましい。
【0137】
(噴霧工程S4c)
噴霧工程S4cでは、流動状態にある樹脂微粒子付着トナー母粒子に、それらの粒子を溶解せずに可塑化する効果のある可塑化液体を、前述の噴霧手段203からキャリアガスによって噴霧する。なお、本工程で用いるキャリアガスは、前述の冷却工程S3で用いられたキャリアガスのように冷却する必要はない。
【0138】
噴霧された可塑化液体は、粉体流路202内が一定のガス濃度になるようにガス化され、ガス化した可塑化液体は貫通孔221を通って粉体流路外へ排出されることが好ましい。これによって、粉体流路202内のガス化した可塑化液体の濃度を一定に保つことができ、濃度が一定に保たれていない場合よりも可塑化液体の乾燥速度を上げることができる。よって未乾燥の可塑化液体が残存する樹脂微粒子付着トナー母粒子が他の樹脂微粒子付着トナー母粒子に付着することを防止し、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を抑制し、均一な樹脂被覆層が形成されたカプセルトナーの収率をより向上させることができる。
【0139】
ガス排出部222において濃度センサにより測定されるガス化された可塑化液体の濃度は、3%以下程度であることが好ましい。またガス化された可塑化液体の濃度は、0.1%以上3.0%以下であることがさらに好ましい。これによって、生産性を低下させることなく、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集を防止できる。
【0140】
本実施形態では、粉体流路202において樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動速度が安定してから、噴霧を開始することが好ましい。これにより、樹脂微粒子付着トナー母粒子に可塑化液体を均一に噴霧でき、均一な樹脂被覆層を有するカプセルトナーの収率を向上させることができる。
【0141】
可塑化液体としては、特に限定されないが、噴霧後に樹脂微粒子付着トナー母粒子から除去される必要があるので、蒸発し易い液体であることが好ましい。このような液体としては、低級アルコールを含む液体が挙げられる。低級アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。可塑化液体がこのような低級アルコールを含むと、樹脂微粒子のトナー母粒子に対する濡れ性を高めることができ、トナー母粒子の表面全面または大部分に樹脂微粒子を付着させ、さらに変形および膜化させることが容易となる。また低級アルコールは蒸気圧が大きいので、可塑化液体を除去する際の乾燥時間をより短縮でき、樹脂微粒子付着トナー母粒子同士の凝集を抑制できる。
【0142】
また、可塑化液体の粘度は、5cP以下であることが好ましい。可塑化液体の粘度は、25℃において測定され、たとえば、コーンプレート型回転式粘度計により測定できる。粘度が5cP以下であることによって、噴霧手段203から噴霧される可塑化液体の噴霧液滴径が粗大化することなく、液滴径の微細な可塑化液体の噴霧が可能となる。これによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子表面を均一に濡らし、馴染ませ、衝突エネルギーとの相乗効果で樹脂微粒子付着トナー母粒子を軟化させることができる。その結果、均一な樹脂被覆層を有するカプセルトナーを得ることができる。
【0143】
噴霧手段203の二流体ノズルの軸線方向である液体噴霧方向と、粉体流路202において樹脂微粒子付着トナー母粒子の流動方向である粉体流動方向との成す角度θは、0°以上45°以下であることが好ましい。θがこのような範囲内であると、可塑化液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳することが防止され、カプセルトナーの収率をさらに向上させることができる。角度θが45°を超えると、可塑化液体の液滴が粉体流路202内壁で反跳し、可塑化液体が滞留しやすくなり、樹脂微粒子付着トナー母粒子の凝集が発生してカプセルトナーの収率が悪化する。
【0144】
また噴霧手段203によって噴霧した可塑化液体の拡がり角度φは、20°以上90°以下であることが好ましい。拡がり角度φがこの範囲から外れると、樹脂微粒子付着トナー母粒子に対する可塑化液体の均一な噴霧が困難となるおそれがある。
【0145】
可塑化液体の噴霧速度は、0.2g/min以上3g/min以下が好ましく、エア流量は、5l(リットル)/min以上30l(リットル)/min以下が好ましい。
【0146】
(膜化工程S4d)
膜化工程S4dでは、樹脂微粒子付着トナー母粒子表面の樹脂微粒子が軟化して膜化するまで回転撹拌手段204の撹拌を継続させて、トナー母粒子表面に樹脂被覆層を形成する。
【0147】
膜化工程S4dは、噴霧工程S4cと同時に開始し、同時に終了させる。この場合、膜化工程S4dの時間は、2分間以上40分間以下が好ましい。
【0148】
また、膜化工程S4dは、噴霧工程S4cと同時に開始し、噴霧工程S4cよりも後に終了させてもよい。この場合、膜化工程S4dの時間は、3分間以上60分間以下が好ましい。
【0149】
膜化工程S4dにおいて、樹脂微粒子付着トナー母粒子が前記範囲の時間、撹拌混合されることによって、トナー母粒子の表面において樹脂微粒子を適度に膜化させることができる。
【0150】
噴霧工程S4cおよび膜化工程S4dにおいて、回転撹拌手段204の最外周の周速度は、30m/sec以上に設定するのが好ましく、50m/sec以上に設定するのがさらに好ましい。回転時の回転撹拌手段204の最外周における周速が30m/sec以上に設定することによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができる。最外周における周速度が30m/sec未満であると、樹脂微粒子付着トナー母粒子を孤立流動させることができないので、均一な樹脂被覆層を形成できないおそれがある。
【0151】
樹脂微粒子付着トナー母粒子は、回転盤219に対して垂直に衝突することが好ましい。これによって、樹脂微粒子付着トナー母粒子が充分に撹拌されるので、トナー母粒子を樹脂微粒子でより均一に被覆でき、均一な樹脂被覆層を有するカプセルトナーの収率をより向上させることができる。
【0152】
(回収工程S4e)
回収工程S4eでは、噴霧手段からの可塑化液体噴霧と回転撹拌手段204の回転を停止し、粉体回収部207からカプセルトナーを装置外に排出し回収する。
【0153】
(混合工程)
本発明のカプセルトナーの製造方法では、樹脂微粒子として、非晶性樹脂微粒子および結晶性樹脂微粒子を用いてもよい。樹脂微粒子として、非晶性樹脂微粒子および結晶性樹脂微粒子を用いることによって、低温定着性および耐ブロッキング性に優れるカプセルトナーを得ることができる。
【0154】
樹脂微粒子として、非晶性樹脂微粒子および結晶性樹脂微粒子を用いる場合、樹脂微粒子調製工程S2で作製した非晶性樹脂微粒子と結晶性ポリエステル樹脂微粒子とをヘンシェルミキサなどの混合機で混合して、混合樹脂微粒子を得る。以下、この工程を混合樹脂微粒子調製工程と記載する。混合樹脂微粒子調製工程は、樹脂微粒子調製工程S2の後、かつ冷却工程S3の前に行われる。冷却工程S3以降の工程では、混合樹脂微粒子を、樹脂微粒子として用いる。
【0155】
混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などが挙げられる。
【0156】
混合樹脂微粒子における結晶性樹脂微粒子の含有量が少ない場合は、定着時に樹脂被覆層を溶融する効果が充分でなく、低温定着性が低下する。混合樹脂微粒子における結晶性樹脂微粒子の含有量が多い場合には、非晶性樹脂による耐熱効果をブロッキング改善に有効に活かすことが難しくなる。混合樹脂微粒子における結晶性樹脂微粒子の含有量を20重量%以上50重量%以下とすることで、低温定着性および耐ブロッキング性の効果を最大限に発揮させることができる。また、樹脂被覆層中で非晶性樹脂の間に結晶性樹脂が一様に存在させることにより、前記効果が安定して有効に機能する。
【0157】
結晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径は、非晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径より小さいことが好ましい。たとえば、非晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径に対して、結晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径は、50%以上100%未満であることが好ましい。非晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径に対して、結晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径が50%未満であると、結晶性樹脂微粒子のハンドリングが難しいので、トナー母粒子を好適に被覆できなくなる。非晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径に対して、結晶性樹脂微粒子の体積メジアン粒径が100%以上であると、結晶性樹脂によりカプセルトナーの耐ブロッキング性が損なわれるという問題が生じる。
【0158】
このようにして得られる、表面に樹脂被覆層が形成されたトナー母粒子は、そのままカプセルトナーとして用いてもよく、また、外添剤が添加されたものをカプセルトナーとして用いてもよい。
【0159】
外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。またこれらは、シリコン樹脂、シランカップリング剤などによって表面処理されていることが好ましい。外添剤の添加量は、カプセルトナー100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
【0160】
3、現像剤
本発明のカプセルトナーは、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用できる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくカプセルトナー単体で使用する。2成分現像剤として使用する場合、本発明のカプセルトナーをキャリアとともに用いる。
【0161】
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
【0162】
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0163】
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。さらにキャリアの体積抵抗率は、10Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましい。
【0164】
キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cmの容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
【0165】
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
【0166】
2成分現像剤におけるカプセルトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、カプセルトナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)と混合する場合、カプセルトナーが全現像剤量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるようにすればよい。また、カプセルトナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
【実施例】
【0167】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
[樹脂およびトナー母粒子の軟化温度]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
【0168】
[樹脂およびトナー母粒子のガラス転移温度]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、吸熱ピークを測定した。
【0169】
観測される吸熱ピークのうち最も高温側にあるピークの温度である最高ピーク温度が、軟化温度と20℃以内の差であれば融点とし、軟化温度との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するものとする。ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0170】
試料が結晶性ポリエステル樹脂の他に非晶性樹脂を含むか、あるいは結晶性ポリエステル樹脂が非晶性部分を含む場合は、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピーク温度、または吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0171】
結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂の他に非晶質樹脂を含むか、あるいは結晶性ポリエステル樹脂が非晶質部分を含む場合は、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピーク温度、または吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0172】
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
【0173】
[トナー母粒子の体積平均粒子径および変動係数]
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:卓上型2周波超音波洗浄器VS−D100、アズワン株式会社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径および体積粒度分布における標準偏差を求めた。変動係数(CV値、%)は、下記式(1)に基づいて算出した。
CV値(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒子径)×100…(1)
【0174】
[樹脂の吸熱の最高ピーク温度]
上記ガラス転移温度の測定方法と同様にして、吸熱の最高ピーク温度に相当する温度(Tc)を測定した。
【0175】
[樹脂の結晶性指数]
上記ガラス転移温度の測定方法と同様にして、吸熱の最高ピーク温度に相当する温度(Tc)を測定した。上記軟化温度の測定方法で測定した軟化温度(Tm)と吸熱の最高ピーク温度に相当する温度(Tc)とを用い、下記式2から、結晶性指数を算出した。
結晶性指数=Tm/Tc …(2)
【0176】
[樹脂微粒子および混合樹脂微粒子の体積メジアン粒径]
レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラックMT3000、日機装株式会社製)を用いて測定を行った。測定試料(樹脂微粒子または混合樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)の水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入・撹拌後、装置に注入し、2回測定を行い、平均を求める。測定条件は、測定時間:30秒、粒子屈折率:1.4、粒子形状:非球形、溶媒:水、溶媒屈折率:1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒径側からの累積体積が50%になる粒径を粒子の体積メジアン粒径D50(μm)として算出した。
【0177】
[樹脂微粒子の脆化温度]
樹脂微粒子の脆化温度は、以下の方法で試験したとき、樹脂微粒子を構成する樹脂からなる試験片の全個数に対する50%の個数が破壊する温度(50%脆化温度)であり、(JIS)K7216に準じて測定される温度である。
【0178】
樹脂微粒子の脆化温度は、下記式(3)を用いて計算して求められる。30〜−50℃の温度範囲で、5℃おきに温度を変化させ、各温度で10個の試験片を冷却して破壊試験を行い、そのときの破壊試験における試験片の破壊個数を求めた。試験片つかみ具は、B形のものを用いた。試験片は、長さ20mm×幅6mm×厚み2mmの長方体になるように、圧縮成型により直接作製したものを用いた。試験片の作製においては、少なくとも樹脂の軟化温度以上で加熱し、試験片に空隙などができないようにした。なお、試験片は、樹脂の厚みを合わせてシート状に作製した後に、打抜きまたは切削により所定の形状に加工することで作製してもよい。試験片の冷却は、ドライアイスが投入された伝熱媒体中で行った。
Tb= Th + ΔT ( S /100 − 1/2 ) …(3)
Tb :脆化温度
Th :全試験片が破壊する最高温度
ΔT :測定温度間隔
S :全試験片が破壊しない最低温度からThまでの各温度における破壊の百分率の総和
【0179】
なお、混合樹脂微粒子における脆化温度は、複数の樹脂微粒子のうち最も脆化温度が低い樹脂微粒子の脆化温度とする。
【0180】
[凝集粒子の含有率(%)]
上記のトナー母粒子の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法で、トナー母粒子の体積粒度分布およびカプセルトナーの体積粒度分布を求めた。トナー母粒子の体積粒度分布を用いて、体積平均粒子径が12μm以上のトナー母粒子の含有率Co(%)を求めた。また、カプセルトナーの体積粒度分布を用いて、体積平均粒子径が12μm以上のカプセルトナーの含有率Ca(%)を求めた。下記式(4)を用い、カプセルトナー中の凝集粒子の含有率(%)を求めた。
凝集粒子の含有率(%)=Ca(%)−Co(%) …(4)
【0181】
(実施例1)
〔トナー母粒子作製工程〕
ポリエステル樹脂(商品名:タフトン、花王株式会社製、ガラス転移温度:60℃、軟化温度:138℃) 85重量部
着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3) 5重量部
離型剤(商品名:カルナウバワックス、東亜化成株式会社製、融点:82℃)
8重量部
帯電制御剤(商品名:ボントロンE84、オリエント化学工業株式会社製)2重量部
【0182】
上記の原料を、ヘンシェルミキサにより3分間前混合した後、二軸押出機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)を用いて、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分300回転(300rpm)、原料供給速度20kg/時間で溶融混練した。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、φ2mmのスクリーンを有するスピードミルで粗粉砕した。その後、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)により微粉砕し、さらにエルボージェット分級機(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で分級することによって、トナー母粒子(体積平均粒子径:6.9μm、変動係数:22、軟化温度:116℃、ガラス転移温度:55℃)を得た。
【0183】
〔樹脂微粒子調製工程〕
〈非晶性樹脂微粒子Aの作製〉
ポリオキシプロピレン(2,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸、および無水トリメリット酸を反応させて、非晶性ポリエステル樹脂1(軟化温度:140℃、吸熱の最高ピーク温度:69℃、ガラス転移温度:67℃、結晶性指数:2.03)を得た。
【0184】
非晶性ポリエステル樹脂1をメチルエチルケトンに溶解し、この溶液にアニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液を添加して機械式分散機(商品名:クレアミックス、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得られた乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去し、非晶性樹脂微粒子A(体積メジアン粒径:0.18μm、脆化温度:20℃)を得た。
【0185】
〈結晶性樹脂微粒子aの作製〉
1,6−ヘキサンジオール300g、フマル酸862g、酸化ジブチル錫4gおよびハイドロキノン1gを、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容積5リットルの四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに所望の結晶性指数に達するまで8.3kPaにて反応させて、結晶性ポリエステル樹脂1(軟化温度:123℃、吸熱の最高ピーク温度:115℃、結晶性指数:0.93)を得た。
【0186】
結晶性ポリエステル樹脂1をメチルエチルケトンに溶解し、この溶液にアニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液を添加して機械式分散機(商品名:クレアミックス、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得られた乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去し、結晶性樹脂微粒子a(体積メジアン粒径:0.16μm、脆化温度:−13℃)を得た。
【0187】
〔混合樹脂微粒子調製工程〕
非晶性樹脂微粒子Aと結晶性樹脂微粒子aとをそれぞれ500g添加し、非晶性樹脂微粒子Aと結晶性樹脂微粒子aとの重量比率が50:50になるよう濃度を調節して、非晶性樹脂微粒子Aと結晶性樹脂微粒子aとが混合された混合樹脂微粒子スラリーを作製した。これを、凍結乾燥して、乾燥粉末とし混合樹脂微粒子1を得た。この混合樹脂微粒子1中の結晶性樹脂微粒子aの含有量は50重量%である。混合樹脂微粒子1の体積メジアン粒径は、35μmであった。
【0188】
〔冷却工程、温度調整工程および付着工程〕
コンプレッサより供給される圧縮空気から水分を除去した後、その圧縮空気を第1および第2の低温恒温槽(商品名:TRL−107SLC、トーマス化学機器株式会社製)にそれぞれ供給し、第1および第2の低温恒温槽中のメタノールの温度を調節した。
【0189】
第1の低温恒温槽では、熱交換機を用いて、供給された圧縮空気の温度調節を行った。このようにして温度調節された圧縮空気をキャリアガスとして用いる。このときの第1の低温恒温槽の設定温度は−15℃であり、この設定温度をキャリアガスの温度とする。
【0190】
第2の低温恒温槽では、熱交換機を用いて、供給された圧縮空気の温度を調節し、この圧縮空気を、流量調節バルブで流量調整しながら、粉体搬送(投入)装置(商品名:AeroV、昭和炭酸株式会社製)に供給し、この状態を30分間以上維持することによって、前記装置の内部温度を所定の設定温度(−15℃)に安定させた。所定の設定温度に安定させた前記粉体搬送(投入)装置内に混合樹脂微粒子1を投入し、前記装置内部に備えられた温度計により、前記装置内部の温度をモニタリングしながら、前記装置内部の温度制御と圧縮空気の流量調節とを行うことによって、混合樹脂微粒子1を所定の冷却温度(−15℃)まで冷却した。
【0191】
図2に示す装置に準ずるハイブリダイゼーションシステム(商品名:NHS−1型、株式会社奈良機械製作所製)において、粉体流過部および撹拌部壁面の全面に温度調整用ジャケットを設け、粉体流路には温度センサを取り付けた。被覆工程において、粉体流路内の温度が45℃となるよう調整した。粉体流路内にトナー母粒子100重量部を投入して回転数を8000rpmに設定し、粉体流路内でのトナー母粒子の流動状態を安定させた。
【0192】
トナー母粒子が流動している粉体流路内に、前記粉体搬送(投入)装置から、−15℃に冷却した混合樹脂微粒子1を、−15℃に冷却したキャリアガスを用いて10重量部投入し、3分間回転撹拌を続けた。その後、回転撹拌を10分間継続することで、トナー母粒子の表面に、解砕された混合樹脂微粒子を付着させた。付着工程における、ハイブリダイゼーションシステムの回転撹拌手段の最外周における周速度は100m/secとした。
【0193】
〔噴霧工程および膜化工程〕
エタノール(可塑化液体)を噴霧速度0.5g/min、エア流量5l(リットル)/minで40分間噴霧し、混合樹脂微粒子をトナー母粒子表面で膜化させた。エタノール噴霧を停止した後5分間撹拌し、カプセルトナー(体積メジアン粒径:7.2μm、変動係数:25)を得た。このカプセルトナーに含まれる凝集粒子の含有率は1%であった。
【0194】
このとき貫通孔およびガス排出部を通じて排出された可塑化液体の排出濃度は約1.4Vol%で安定していた。また装置内へ送るエア流量は、回転軸部から装置内に送るエア流量を5l(リットル)/minに調節し、二流体ノズルからのエア流量と合計して10l(リットル)/minとした。
【0195】
噴霧工程および膜化工程でも回転撹拌手段の最外周における周速度は100m/secとした。また液体噴霧方向と、粉体流動方向とのなす角度(以下「噴霧角度」という)が平行(0°)になるよう二流体ノズルの取付け角度を設定した。
【0196】
液体噴霧ユニットとしては、定量送液が可能となるよう、送液ポンプ(商品名:SP11−12、株式会社フロム製)と二流体ノズルを接続したものを使用できる。可塑化液体の噴霧速度および液体ガス排出速度は、市販のガス検知器(商品名:XP−3110、新コスモス電機株式会社製)を用いて観察できる。
【0197】
このようにして作製したカプセルトナー100重量部に、外添剤として疎水性シリカ粒子(株式会社アエロジル社製、1次粒径12nm、HMDS処理)2重量部を投入し、回転撹拌手段を周速度30m/secで1分間混合し、実施例1のカプセルトナーを得た。
【0198】
(実施例2)
キャリアガスの温度を−15℃から−5℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例2のカプセルトナーを得た。
【0199】
(実施例3)
〔樹脂微粒子調製工程〕
〈非晶性樹脂微粒子Aの作製〉
実施例1と同様にして、非晶性樹脂微粒子Aを得た。
【0200】
〈結晶性樹脂微粒子bの作製〉
1,6−ヘキサンジオール300g、フマル酸812g、酸化ジブチル錫4gおよびハイドロキノン1gを、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容積5リットルの四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに所望の結晶性指数に達するまで8.3kPaにて反応させて、結晶性ポリエステル樹脂2(軟化温度:113℃、吸熱の最高ピーク温度:109℃、結晶性指数:0.96)を得た。
【0201】
結晶性ポリエステル樹脂2をメチルエチルケトンに溶解し、この溶液にアニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液を添加して機械式分散機(商品名:クレアミックス、エム・テクニック株式会社製)で乳化した。得られた乳化物からメチルエチルケトンを減圧溜去し、結晶性樹脂微粒子b(体積メジアン粒径:0.18μm、脆化温度:−19℃)を得た。
【0202】
〔混合樹脂微粒子調製工程〕
結晶性樹脂微粒子aの代わりに結晶性樹脂微粒子bを用いたこと以外は実施例1の混合樹脂微粒子調製工程と同様にして混合樹脂微粒子2を得た。この混合樹脂微粒子2中の結晶性樹脂微粒子aの含有量は50重量%である。混合樹脂微粒子2の体積メジアン粒径は、42μmであった。
【0203】
以降の工程では、冷却工程において、混合樹脂微粒子1の代わりに混合樹脂微粒子2を用い、混合樹脂微粒子2の冷却温度を−20℃とし、キャリアガスの温度を−15℃から−20℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして実施例3のカプセルトナーを得た。
【0204】
(実施例4)
冷却工程において、混合樹脂微粒子2の温度を−20℃から−25℃に変更し、キャリアガスの温度を−20℃から−10℃に変更したこと以外は実施例3と同様にして実施例4のカプセルトナーを得た。
【0205】
(比較例1)
冷却工程において、混合樹脂微粒子1の温度を−15℃から0℃に変更し、キャリアガスの温度を−15℃から−0℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして比較例1のカプセルトナーを得た。
【0206】
(比較例2)
冷却工程において、混合樹脂微粒子1の温度を−20℃から−15℃に変更し、キャリアガスの温度を−20℃から−0℃に変更したこと以外は実施例3と同様にして比較例2のカプセルトナーを得た。
【0207】
樹脂微粒子の物性を表1に示し、混合樹脂微粒子における非晶性樹脂微粒子および結晶性樹脂微粒子の種類などを表2に示す。
【0208】
【表1】

【0209】
【表2】

【0210】
〈2成分現像剤の作製〉
実施例および比較例のカプセルトナーと、体積平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアとを、トナー濃度が7%になるように混合し、2成分現像剤を作製した。
【0211】
実施例1〜4および比較例1,2のカプセルトナーを含む上記2成分現像剤を用いて、以下の評価を行った。
【0212】
[画質]
市販複写機(商品名:MX―2300G、シャープ株式会社製)に、実施例および比較例のカプセルトナーを含む上記2成分現像剤をそれぞれ充填した。分光測色濃度計(商品名:X−Rite Model939、エックスライト社製)による画像濃度IDが12になるよう調整した上で、気温20℃湿度65%の環境条件において現像し、2cm×10cmの帯状のベタ画像を得た。帯状のベタ画像の白点の数を目視により数え画質を評価した。
【0213】
画質の評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好。白点が確認されない。
○:良好。白点が1点確認される。
△:実使用上問題なし。白点が2点以上9点以下確認される。
×:不良。白点が10点以上確認される。
画質の評価結果を表3に示す。
【表3】

【0214】
表3の結果から、実施例では、樹脂微粒子が充分に解砕できたので、実施例のカプセルトナーは、凝集粒子の含有率が低く、帯状のベタ画像に白点が発生することを抑制でき、画質が良好であることがわかる。
【0215】
実施例1,2の結果の比較、および実施例3,4の結果の比較から、樹脂微粒子およびキャリアガスの両方の温度が樹脂微粒子の脆化脆化温度よりも低い方が樹脂微粒子をより充分に解砕できることがわかる。また、凝集粒子の含有率が低いほど、より好ましい結果が得られることがわかる。
【0216】
また、比較例の結果から、凝集粒子の含有率(重量基準)が4%を超えると、特に白点の個数が増加し、画像欠陥となる。このことから、白点の発生には、着色剤を含まない粒子の大きさが関係していることがわかる。
【符号の説明】
【0217】
201 トナーの製造装置
202 粉体流路
203 噴霧手段
204 回転撹拌手段
206 粉体投入部
207 粉体回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度まで冷却する冷却工程と、
回転撹拌手段と、粉体流路とを備える回転撹拌装置において、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子が流動している粉体流路内に、前記冷却工程で冷却された前記樹脂微粒子を、その脆化温度以下の温度を維持した状態で投入し、前記トナー母粒子と前記樹脂微粒子とを、撹拌下で混合させ、前記トナー母粒子の表面に前記樹脂微粒子を付着させて樹脂微粒子付着トナー母粒子を得る付着工程と、
前記樹脂微粒子付着トナー母粒子の表面の前記樹脂微粒子が膜化するまで撹拌を継続させて、前記トナー母粒子の表面に樹脂被覆層を形成する膜化工程とを含むことを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂微粒子が、結晶性樹脂および非晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナーの製造方法。
【請求項3】
前記冷却工程では、前記脆化温度以下の温度まで冷却した樹脂微粒子を、前記脆化温度以下の温度のキャリアガスによって前記粉体流路まで搬送し、前記粉体流路内に投入することを特徴とする請求項1または2に記載のカプセルトナーの製造方法。
【請求項4】
前記冷却工程では、前記樹脂微粒子を冷却材によって前記脆化温度以下の温度まで冷却することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のカプセルトナーの製造方法。
【請求項5】
前記冷却材として、液体窒素またはその蒸発ガスを用いることを特徴とする請求項4に記載のカプセルトナーの製造方法。
【請求項6】
前記付着工程の後工程として、前記トナー母粒子および前記樹脂微粒子を可塑化させる液体である可塑化液体を、撹拌下で前記樹脂微粒子付着トナー母粒子に噴霧する噴霧工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のカプセルトナーの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のカプセルトナーの製造方法によって製造されるカプセルトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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