説明

カプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタおよびカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造

【課題】 簡単な構成で、密封箇所への設置が容易であり、設置のための施工工数を削減し得て、誤配線も効果的に防止し得る。
【解決手段】 センサ部1には、金属被覆ケーブル2が結合され、金属被覆ケーブル2はケーブル接続部機能を有するブリッジアダプタ3によってフレキシブルケーブル4に接続されている。耐熱ケーブルとしての金属被覆ケーブル2は、MIケーブルのように耐熱性のある管状の金属被覆内に信号線を封入するとともに金属被覆内に無機絶縁物を充填して信号線を金属被覆から絶縁するようにしたものである。極性の異なる一対のリード線温度補償抵抗が、平行並列的に且つゲージ温度補償抵抗と、ブリッジバランス補償抵抗と、ホイートストンブリッジ構成用抵抗との縦列方向に対して傾斜して配置されており、ブリッジアダプタ基板の幅方向の実装寸法を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージに接続されるブリッジアダプタおよびカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ひずみゲージ、特に金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型ひずみゲージは、ホイートストンブリッジ回路を構成し且つ温度補償用抵抗を備えたブリッジアダプタと組み合わせて使用されることが多い。このブリッジアダプタは、ひずみゲージと共にひずみ計測に必要なホイートストンブリッジ回路を構成するブリッジ構成用抵抗および温度によるみかけひずみを補正するための温度補償用抵抗を配線基板に実装したものである。ブリッジアダプタは、前記配線基板の所定箇所にひずみゲージを接続し且つ前記配線基板の所定箇所に電源入力を供給するとともに前記配線基板の所定箇所から信号出力を取り出すようにして用いる。このブリッジアダプタは、耐熱ケーブルである金属被覆ケーブルに接続部を介して接続されたフレキシブルケーブルに接続されている。
【0003】
すなわち、図10に示すように、カプセル型ひずみゲージであるセンサ部101には、金属被覆ケーブル102が結合され、金属被覆ケーブル102はケーブル接続部103によってフレキシブルケーブル104に接続され、そしてフレキシブルケーブル104にはブリッジアダプタ105が結合されている。センサ部(カプセル型ひずみゲージ)101は、耐熱性のある金属からなるチューブにひずみゲージを封入したものである。耐熱ケーブルとしての金属被覆ケーブル102は、いわゆるMI(Mineral Insulator)ケーブル(無機絶縁ケーブル)のように耐熱性のある管状の金属被覆内に信号線を封入するとともに金属被覆内に無機絶縁物(例えば、セラミックの粉末)を充填して信号線を金属被覆から絶縁するようにしたものである。フレキシブルケーブル104は、信号線をフレキシブル被覆内に封入し、可撓性を持たせたものである。ケーブル接続部103は、金属被覆ケーブル102とフレキシブルケーブル104とを気密に接続する部分であり、例えば特許文献1(特許第3230120号)に示されるように構成しても良い。ブリッジアダプタ105は、金属被覆ケーブル102、ケーブル接続部103およびフレキシブルケーブル104を介して接続されるセンサ部101のゲージ抵抗と共に計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。なお、ブリッジアダプタ105は、フレキシブルコード106を介して電力供給源および検出信号処理部に接続される。
【0004】
このブリッジアダプタ105は、具体的には、センサ部101を構成するひずみゲージとして、例えば2素子タイプのカプセル型ひずみゲージを用いる場合、図11に等価回路を示すように構成される。すなわち、この場合、センサ部101によるひずみゲージは、アクティブゲージ抵抗1011とダミーゲージ抵抗1012との直列回路からなるハーフブリッジとして構成され、直列回路の両端とこれらの接続点との3点から信号線が引き出されている。アクティブゲージ抵抗1011は、センサ部101のアクティブひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル102のケーブル抵抗およびフレキシブルケーブル104のケーブル抵抗を加えた抵抗値RAを示し、ダミーゲージ抵抗1012は、センサ部101のダミーひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル102のケーブル抵抗およびフレキシブルケーブル104のケーブル抵抗を加えた抵抗値RDを示す。
ブリッジアダプタ105は、プリント配線基板からなるブリッジアダプタ基板上に、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(抵抗値R1)1051、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(抵抗値R2)1052、ゲージ温度補償抵抗(抵抗値RTC(+))1053、ゲージ温度補償抵抗(抵抗値RTC(−))1054、リード線温度補償抵抗(抵抗値RLC(+))1055、リード線温度補償抵抗(抵抗値RLC(−))1056、ブリッジバランス補償抵抗(抵抗値RBAL(+))1057およびブリッジバランス補償抵抗(抵抗値RBAL(−))1058を実装し、図11に示すような回路を構成したものである。
【0005】
すなわち、ゲージ側には、ゲージ端子TG1、ゲージ端子TG2、ゲージ端子TG3およびシールド端子TS1の各端子を備え、信号処理系側には、電源(ブリッジ電源。以下同じ)入力端子TI1、電源入力端子TI2、信号出力端子TO1、信号出力端子TO2およびシールド端子TS2の各端子を備えている。ゲージ端子TG1には、センサ部101のアクティブゲージ抵抗1011とダミーゲージ抵抗1012との直列回路の一端が、ゲージ端子TG2には、前記直列回路のアクティブゲージ抵抗1011とダミーゲージ抵抗1012との接続点が、ゲージ端子TG3には、前記直列回路の他端が、そしてシールド端子TS1には、センサ部101のシールド部に、金属被覆ケーブル102のシールド部を介して接続されたフレキシブルケーブル104のシールド部が、それぞれ接続される。電源入力端子TI1および電源入力端子TI2には、信号処理系から当該ひずみゲージブリッジに供給されるブリッジ電源電力が与えられ、信号出力端子TO1および信号出力端子TO2からは、当該ひずみゲージブリッジから信号処理系に出力される検出信号出力が取り出される。また、シールド端子TS2は、信号処理系との間の接続信号線のシールド部を介して信号処理系のシールド部に接続される。
【0006】
ゲージ端子TG1は、ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)1051を順次直列に介して信号出力端子TO1に接続される。ゲージ端子TG3は、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)1052を順次直列に介して信号出力端子TO1に接続されている。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057との接続点と、ゲージ端子TG2との間には、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055が接続されている。ゲージ端子TG2と、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058との接続点との間には、リード線温度補償抵抗(RLC(−))1056が接続されている。ゲージ端子TG2、すなわちリード線温度補償抵抗(RLC(+))1055とリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056との接続点は、信号出力端子TO2に接続されている。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057との接続点は、電源入力端子TI1に接続されている。ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058との接続点は、電源入力端子TI2に接続されている。
【0007】
ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)1051およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)1052は、アクティブゲージ抵抗1011およびダミーゲージ抵抗1012と共にホイートストンブリッジを構成する。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053およびゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054は、アクティブゲージ抵抗1011におけるセンサ部101のアクティブひずみゲージ抵抗とダミーゲージ抵抗1012におけるセンサ部101のダミーひずみゲージ抵抗の温度特性による抵抗値の変動を補償し、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056は、センサ部101のリード線のリード線抵抗と金属被覆ケーブル102のケーブル抵抗とフレキシブルケーブル104のケーブル抵抗の温度特性による抵抗値の変動を補償する。ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058は、アクティブゲージ抵抗1011におけるセンサ部101のアクティブひずみゲージ抵抗、ダミーゲージ抵抗1012におけるセンサ部101のダミーひずみゲージ抵抗、センサ部101のリード線のリード線抵抗、金属被覆ケーブル102のケーブル抵抗およびフレキシブルケーブル104のケーブル抵抗、ならびにこれらの温度特性による抵抗値の変動を補償するためのゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056を含めた総合的なブリッジバランスの変動を補償する。
【0008】
これらゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056等の具体的な温度補償については、例えば特許文献2(特許第3275117号)等に開示されており、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、図12および図13にブリッジアダプタ105のブリッジアダプタ基板1059の表面および裏面の実装状態をそれぞれシールド容器を除去して示す。図示のように、ブリッジアダプタ基板1059は長方形をなし、その表面側には、フレキシブルケーブル104の方向に沿ってゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057が縦列的に配置され、且つそれらとほぼ平行に、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058が縦列的に配置され、それらにほぼ直交する方向に、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056が縦列的に配置されている。また、ブリッジアダプタ基板1059の裏面側には、これらゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057の列およびそれらとほぼ平行な、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058の列にほぼ平行に、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)1051およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)1052が配置されている。
【0009】
このようなカプセル型ひずみゲージは、高温条件下での使用に適しており、高温圧力容器およびタービン機関等のような密封された空間内の計測に用いられることが多い。このような密封された空間は、一般に、その空間を仕切る隔壁の両側で圧力が異なっている。このように、カプセル型ひずみゲージを用いて、密封された空間内の計測を行う際には、図14に模式的に示すように、センサ部101側から低圧側の容器の内壁に逐次取り付けて行き、最後に、コンプレッションフィッティング金具201等を用いて気密を保ちながら容器の隔壁301の外側にケーブルを引き出すことが必要となる。例えば数十mの長さのMIケーブルの場合、センサ部101側からコンプレッションフィッティング金具201の中空開口に通すのは、作業効率上問題となるため、ケーブル末端側(図14における右端側)からコンプレッションフィッティング金具201に通すのが一般的である。
従来は、ブリッジアダプタ105の形状寸法が、コンプレッションフィッティング金具201の中空開口径よりも大きいことから、取り付け作業の際には、一旦ブリッジアダプタ105を、センサ部101に接続されたケーブル(フレキシブルケーブル104または金属被覆ケーブル102)から取り外し、ケーブルをコンプレッションフィソティング金具201の中空開口に通した後に、再度ブリッジアダプタ105に接続し直す必要があった。このような操作は、計測準備作業の効率を低下させ、施工における作業工数を増加させるだけでなく、再接続する際に新たに誤配線を生じさせる原因となる。
【0010】
【特許文献1】特許第3230120号公報
【特許文献2】特許第3275117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型ひずみゲージに用いるためのブリッジアダプタおよびカプセル型ひずみゲージのケーブル接続構造において、簡単な構成で、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止し得るブリッジアダプタおよびケーブル接続構造を提供することを目的としている。
本発明の請求項1の目的は、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止し得るだけでなく、ケーブル接続構造全体の構成も簡単化し得るブリッジアダプタを提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、耐熱ケーブルとフレキシブルケーブルとの接続部の気密性の強化維持を可能とするブリッジアダプタを提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止することができる構成簡単なケーブル接続構造を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、耐熱ケーブルとフレキシブルケーブルとの接続部の気密性を強化維持し得るケーブル接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載した本発明に係るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタは、第1の目的を達成するために、
金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタにおいて、
前記ブリッジアダプタが、
耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温用ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるとともに、
前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部と、
前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記耐熱ケーブルの前記耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部とを具備し、且つ
前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなることを特徴としている。
請求項2に記載した本発明に係るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタは、請求項1のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタであって、
前記ブリッジアダプタが、前記被覆部の内部に充填される充填材を含むことを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載した本発明に係るケーブル接続構造は、上述した目的を達成するために、
金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造において、
耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるケーブル接続部であって、
前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を収容し、前記耐熱ケーブルの耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部を有するケーブル接続部と、
前記フレキシブルケーブルに一端が接続され、且つ他のフレキシブルケーブルに他端が接続されるとともに、前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部および
前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部および前記他のフレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆および前記他のフレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に結合される被覆部、を有するブリッジアダプタであって、
前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなるブリッジアダプタと、
を具備することを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載した本発明に係るケーブル接続構造は、請求項3のケーブル接続構造であって、
前記ケーブル接続部が、前記被覆部の内部に充填される充填材を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージに用いるためのブリッジアダプタおよびカプセル型ひずみゲージに用いるためのケーブル接続構造において、簡単な構成で、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止し得るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタおよびケーブル接続構造を提供することができる。
すなわち本発明の請求項1のブリッジアダプタによれば、金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタにおいて、前記ブリッジアダプタが、耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるとともに、前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部と、前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記耐熱ケーブルの前記耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部とを具備し、且つ前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなり、
特に、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止し得るだけでなく、ケーブル接続構造全体の構成も簡単化することが可能となる。
また、本発明の請求項2のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタによれば、請求項1のブリッジアダプタにおいて、前記ブリッジアダプタが、前記被覆部の内部に充填される充填材を含んでおり、特に、耐熱ケーブルとフレキシブルケーブルとの接続部の気密性の強化維持が可能となる。
【0016】
さらに、本発明の請求項3のケーブル接続構造によれば、金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造において、耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるケーブル接続部であって、前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を収容し、前記耐熱ケーブルの耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部を有するケーブル接続部と、前記フレキシブルケーブルに一端が接続され、且つ他のフレキシブルケーブルに他端が接続されるとともに、前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部、並びに前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部および前記他のフレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆および前記他のフレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に結合される被覆部、を有するブリッジアダプタであって、前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなるブリッジアダプタと、を具備しており、特に、密封箇所への設置が容易で、設置のための施工工数を削減することができ、誤配線も効果的に防止することができ、構成も簡単である。
【0017】
また、本発明の請求項4のケーブル接続構造によれば、請求項3のケーブル接続構造において、前記ケーブル接続部が、前記被覆部の内部に充填される充填材を含んでおり、特に、耐熱ケーブルとフレキシブルケーブルとの接続部の気密性を強化維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施の形態に基づき、図面を参照して本発明のブリッジアダプタを詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るブリッジアダプタを用いたカプセル型ひずみゲージのケーブル接続構造の要部の構成を示している。
図1に示すケーブル接続構造は、センサ部1、金属被覆ケーブル2、ブリッジアダプタ3およびフレキシブルケーブル4を具備している。図1に示すように、カプセル型ひずみゲージであるセンサ部1には、金属被覆ケーブル2が結合され、金属被覆ケーブル2はケーブル接続部機能を有するブリッジアダプタ3によってフレキシブルケーブル4に接続されている。センサ部(カプセル型ひずみゲージ)1は、耐熱性のある金属からなるチューブにひずみゲージを封入したものである。耐熱ケーブルとしての金属被覆ケーブル2は、いわゆるMI(Mineral Insulator)ケーブル(無機絶縁ケーブル)のように耐熱性のある管状の金属被覆内に信号線を封入するとともに金属被覆内に無機絶縁物であるセラミックの粉末を充填して信号線を金属被覆から絶縁するようにしたものである。フレキシブルケーブル4は、信号線をフレキシブル被覆内に封入し、可撓性を持たせたものである。
【0019】
この場合、ブリッジアダプタ3は、金属被覆ケーブル2とフレキシブルケーブル4とを気密に接続するケーブル接続部の機能を含んでおり、例えば特許文献1(特許第3230120号)に示されるようなケーブル接続部としても機能する。ブリッジアダプタ3は、さらに、金属被覆ケーブル2を介して接続されるセンサ部1のゲージ抵抗と共に計測用のホイートストンブリッジ回路を構成する。なお、ブリッジアダプタ3は、フレキシブルケーブル4を介して電力供給源および検出信号処理部に接続される。
なお、図1には、ブリッジアダプタ3の被覆部としてのシールド容器の一部を切欠して示しており、図2には、ブリッジアダプタ3のブリッジアダプタ基板の実装状態をシールド容器を除去して示している。ブリッジアダプタ3は、シールド容器30、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、リード線温度補償抵抗(RLC)35、リード線温度補償抵抗(RLC)36、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38およびブリッジアダプタ基板39を有している。この場合、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、リード線温度補償抵抗(RLC)35、リード線温度補償抵抗(RLC)36、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38等は、いわゆるチップ部品を用いて構成している。
【0020】
図示のように、ブリッジアダプタ基板39は、金属被覆ケーブル2およびフレキシブルケーブル4の方向に沿って細長い長方形をなし、その表面には、ブリッジアダプタ基板39の長手方向に沿って(すなわち、金属被覆ケーブル2およびフレキシブルケーブル4の方向に沿って)ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31が縦列的に配置され、且つそれらとほぼ平行に、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32が縦列的に配置されており、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33および34とブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37および38との間にリード線温度補償抵抗(RLC)35とリード線温度補償抵抗(RLC)36が、平行並列的に且つブリッジアダプタ基板39の長手方向(すなわち、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31の縦列方向で、且つそれらとほぼ平行な、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32の縦列方向)に対して傾斜して配置されている。
【0021】
従来は、図12のように、ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))1053およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))1057の縦列およびそれらとほぼ平行な、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))1054およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))1058の縦列にほぼ直交する方向に、リード線温度補償抵抗(RLC(+))1055およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))1056が縦列的に配置されていたのに対し、図2に示しているように、極性の異なる一対のリード線温度補償抵抗(RLC)35とリード線温度補償抵抗(RLC)36が、平行並列的に且つゲージ温度補償抵抗(RTC)33とブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37とホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31との縦列方向およびゲージ温度補償抵抗(RTC)34と、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38と、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32との縦列方向に対して傾斜して配置されているので、ブリッジアダプタ基板39の幅方向の実装寸法を顕著に小さくすることが可能となる。このような実装配置とすることによって、ブリッジアダプタ3は、ブリッジアダプタ基板39を狭小に形成し、これらを収容する被覆部であるシールド容器30を充分に小径に形成することができる。
【0022】
このように、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、リード線温度補償抵抗(RLC)35、リード線温度補償抵抗(RLC)36、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38をブリッジアダプタ基板39上に実装して、シールド容器30に収容している。ブリッジアダプタ基板39の両端近傍には、金属被覆ケーブル2の信号線およびフレキシブルケーブル4の信号線が接続されており、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32、ゲージ温度補償抵抗(RTC)33、ゲージ温度補償抵抗(RTC)34、リード線温度補償抵抗(RLC)35、リード線温度補償抵抗(RLC)36、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL)37およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL)38が実装されたブリッジアダプタ基板39が、これら金属被覆ケーブル2およびフレキシブルケーブル4のブリッジアダプタ基板39への接続部と共にシールド容器30に気密に封入されている。このとき、シールド容器30内には、望ましくは、エポキシ樹脂等の充填材を充填封入する。このように構成することで、より一層の気密性の向上を図ることができる。
【0023】
なお、このブリッジアダプタ3は、具体的には、センサ部1を構成するひずみゲージとして、例えば2素子タイプのカプセル型ひずみゲージを用いる場合、図3に示すように、図11の等価回路と実質的に同様に構成される。すなわち、この場合、センサ部1によるひずみゲージは、アクティブゲージ抵抗1Aとダミーゲージ抵抗1Bとの直列回路からなるハーフブリッジとして構成され、直列回路の両端とこれらの接続点との3点から信号線が引き出されている。アクティブゲージ抵抗1Aは、センサ部1のアクティブひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル2のケーブル抵抗を加えた抵抗値RAを示し、ダミーゲージ抵抗1Bは、センサ部1のダミーひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル102のケーブル抵抗を加えた抵抗値RDを示す。ブリッジアダプタ3は、プリント配線基板からなるブリッジアダプタ基板39上に、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32、ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34、リード線温度補償抵抗(RLC(+))35、リード線温度補償抵抗(RLC(−))36、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))37およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))38を実装し、図3に示すような回路を構成している。
【0024】
すなわち、ゲージ側には、ゲージ端子TG1、ゲージ端子TG2、ゲージ端子TG3およびシールド端子TS1の各端子を備え、信号処理系側には、電源入力端子TI1、電源入力端子TI2、信号出力端子TO1、信号出力端子TO2およびシールド端子TS2の各端子を備えている。ゲージ端子TG1には、センサ部1のアクティブゲージ抵抗1Aとダミーゲージ抵抗1Bとの直列回路の一端が、ゲージ端子TG2には、前記直列回路のアクティブゲージ抵抗1Aとダミーゲージ抵抗1Bとの接続点が、ゲージ端子TG3には、前記直列回路の他端が、そしてシールド端子TS1には、センサ部1のシールド部に、金属被覆ケーブル2のシールド部が、それぞれ接続される。電源入力端子TI1および電源入力端子TI2には、信号処理系から当該ひずみゲージブリッジに供給される電源電力が与えられ、信号出力端子TO1および信号出力端子TO2からは、当該ひずみゲージブリッジから信号処理系に出力される検出信号出力が取り出される。また、シールド端子TS2は、信号処理系との間の接続信号線のシールド部を介して信号処理系のシールド部に接続される。
【0025】
ゲージ端子TG1は、ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))37およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31を順次直列に介して信号出力端子TO1に接続され、ゲージ端子TG3は、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34、ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))38およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32を順次直列に介して信号出力端子TO1に接続されている。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))37との接続点と、ゲージ端子TG2との間には、リード線温度補償抵抗(RLC(+))35が接続されている。ゲージ端子TG2と、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))38との接続点との間には、リード線温度補償抵抗(RLC(−))36が接続されている。ゲージ端子TG2、すなわちリード線温度補償抵抗(RLC(+))35とリード線温度補償抵抗(RLC(−))36との接続点、は、信号出力端子TO1に接続されている。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))37との接続点は、電源入力端子TI1に接続され、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34とブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))38との接続点は、電源入力端子TI2に接続されている。このような構成のブリッジアダプタ3は、詳細には図示されていないが、シールド容器30内に封入され、このシールド容器30は、シールド端子TS1およびシールド端子TS2の両者に接続されている。
【0026】
ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)31およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)32は、アクティブゲージ抵抗1Aおよびダミーゲージ抵抗1Bと共にホイートストンブリッジを構成する。ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33およびゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34は、アクティブゲージ抵抗1Aにおけるセンサ部1のアクティブひずみゲージ抵抗とダミーゲージ抵抗1Bにおけるセンサ部1のダミーひずみゲージ抵抗の温度特性による抵抗値の変動を補償し、リード線温度補償抵抗(RLC(+))35およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))36は、センサ部1のリード線のリード線抵抗と金属被覆ケーブル2のケーブル抵抗の温度特性による抵抗値の変動を補償する。ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))37およびブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))38は、アクティブゲージ抵抗1Aにおけるセンサ部1のアクティブひずみゲージ抵抗、ダミーゲージ抵抗1Bにおけるセンサ部1のダミーひずみゲージ抵抗、センサ部1のリード線のリード線抵抗および金属被覆ケーブル2のケーブル抵抗、ならびにこれらの温度特性による抵抗値の変動を補償するためのゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34、リード線温度補償抵抗(RLC(+))35およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))36の温度特性による総合的なブリッジバランスの変動を補償する。
【0027】
既に述べたように、これらゲージ温度補償抵抗(RTC(+))33、ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))34、リード線温度補償抵抗(RLC(+))35およびリード線温度補償抵抗(RLC(−))36等の具体的な温度補償については、例えば特許文献2(特許第3275117号)等に開示されており、ここではその詳細な説明を省略する。
このようなカプセル型ひずみゲージを用いて、密封された低圧空間内の計測を行う際には、図4に模式的に示すように、センサ部1側から低圧側の容器の内壁に逐次取り付けて行き、最後に、耐熱ケーブル、例えば金属被覆ケーブル2、を封止保持するための封止保持部材としてのコンプレッションフィッティング金具201等を用いて気密を保ちながら容器の隔壁301の外側にケーブルを引き出すことが必要となる。例えば、数十mの長さのMIケーブルの場合、センサ部1側からコンプレッションフィッティング金具201の中空開口に通すのは、作業効率上問題となるため、ケーブル末端側(図4における右端側)からコンプレッションフィッティング金具201に通すのが一般的である。通常のコンプレッションフィッティング金具201は、図5に分解して示すように、ボディ2011、シート2012、シーラント2013、フォロア2014およびキャップ2015を有して構成されている。ボディ2011は、全体としてほぼ円筒状をなし、一端の外周部を隔壁301の開口部に圧入するためにテーパ状に形成し、他端の外周部をキャップ2015を螺装するためのねじ部として形成して、中間部に外周に膨出する大径部を形成している。
【0028】
シート2012、シーラント2013およびフォロア2014は、いずれも複数分割して形成している。隔壁301の内側から通孔を通して外側に引き出したフレキシブルケーブル4、ブリッジアダプタ3および金属被覆ケーブル2の末端を、コンプレッションフィッティング金具201のボディ2011の中空部およびキャップ2015の中空開口に挿通した状態で、ボディ2011の雄ねじ部を隔壁301の通孔の雌ねじに螺合し、シート2012、シーラント2013およびフォロア2014で順次金属被覆ケーブル2を挟持して、ボディ2011の開口内に挿入し、キャップ2015で締め付けることによって、金属被覆ケーブル2を、コンプレッションフィッティング金具201によって隔壁301に密封保持させる。ボディ2011は、予め隔壁301の通孔に圧入しておいても良い。
被計測空間が低圧側であるときは図4および図5等のように外方からコンプレッションフィッティング金具201のボディ2011を圧入して、コンプレッションフィッティング金具201を隔壁301の外方に装着するようにするが、被計測空間が高圧側であるときは図6のように内方からコンプレッションフィッティング金具201のボディ2011を圧入して、隔壁301の内方にコンプレッションフィッティング金具201のボディ2011を装着する。
【0029】
従来は、ブリッジアダプタ105の形状寸法が、コンプレッションフィッティング金具201の中空開口径よりも大きいことから、取り付け作業の際には、一旦ブリッジアダプタ105を、センサ部101に接続されたケーブル(フレキシブルケーブル104または金属被覆ケーブル102)から取り外し、ケーブルをコンプレッションフィソティング金具201の中空開口に通した後に、再度ブリッジアダプタ105に接続し直す必要があったが、上述のような構成では、ブリッジアダプタ3の外径を、コンプレッションフィッティング金具201のボディ2011の中空部の内径およびキャップ2015の中空開口の内径よりも小さく構成したので、ブリッジアダプタ3を取り外すことなく、フレキシブルケーブル104または金属被覆ケーブル102に接続したままで、カプセル型ひずみゲージの設置施工を行うことができる。
【0030】
上述したように、ホイートストンブリッジ回路を構成し、且つ温度によるみかけひずみ補償をおこなうブリッジアダプタ3を細型とし、金属被覆ケーブル2とフレキシブルケーブル4の接続部と一体に形成する。このため、高温圧力容器およびタービン機関等のように密封された箇所の計測に際して、取り付け作業を、ブリッジアダプタ3を取り外すことなく、行うことができるので、例えば、多数のカプセル型ひずみゲージを使用する際には、特に顕著に、作業効率の改善により施工工数を大幅に削減することが可能となり、しかも再配線作業が不要となるので、誤配線の危険を効果的に回避し得る。
さらに、接続部機能を含むブリッジアダプタ3内にエポキシ樹脂等のような絶縁性の充填材を充填することにより、ブリッジアダプタ3の内部回路に対する防滴/絶縁効果が得られるばかりか、内部温度が均一になることにより計測の安定性も向上する。
【0031】
上述したように、高温圧力容器およびタービン機関等のような密封された箇所の計測に際して、ブリッジアダプタを取り外すことなく取り付け作業を行うことが可能となり、特に、多数のカプセル型ひずみゲージを使用する際にも、作業効率の改善による施工工数の大幅な削減ならびに誤配線の防止が可能となる。さらに、接続部となるブリッジアダプタの内部にエポキシ樹脂等の充填材を充填することによって、内部のブリッジアダプタ回路部への防滴効果が向上することはもとより、内部温度が均一になることにより計測が安定化するという利点も得られる。
なお、上述のように小型狭小化したブリッジアダプタを、金属被覆ケーブルとフレキシブルケーブルとの接続部とは別途にフレキシブルケーブルの途中に設ける構成としてもコンプレッションフィッティング金具の小さな中空開口を通すことは可能である。このような本発明の本発明の第2の実施の形態に係るブリッジアダプタを用いたカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造の要部の構成を図7に示している。
【0032】
図7に示すように、カプセル型ひずみゲージであるセンサ部11には、金属被覆ケーブル12が結合され、金属被覆ケーブル12はケーブル接続部13によってフレキシブルケーブル14に接続される。そしてフレキシブルケーブル14には、上述したブリッジアダプタ3におけるブリッジアダプタ部の構成と同様にして、小型狭小化を図ったブリッジアダプタ15が結合されている。ブリッジアダプタ15は、フレキシブルケーブル16を介して電力供給源および検出信号処理部に接続される。この場合、センサ部11によるひずみゲージは、アクティブゲージ抵抗とダミーゲージ抵抗との直列回路からなるハーフブリッジとして構成され、直列回路の両端とこれらの接続点との3点から信号線が引き出される。アクティブゲージ抵抗は、センサ部11のアクティブひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル12のケーブル抵抗およびフレキシブルケーブル14のケーブル抵抗を加えた抵抗値RAを示し、ダミーゲージ抵抗は、センサ部11のダミーひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブル12のケーブル抵抗およびフレキシブルケーブル14のケーブル抵抗を加えた抵抗値RDを示す。
【0033】
さらに、主として静的計測に用いられる上述したような2素子ひずみゲージ向けのブリッジアダプタに限らず、主として動的計測に用いられる1素子ひずみゲージ向けのブリッジアダプタについても本発明を適用することができる。本発明の第3の実施の形態として、1素子ひずみゲージを用いる場合のブリッジアダプタの回路を、1素子2線式ひずみゲージを用いる場合について図8に、そして1素子3線式ひずみゲージを用いる場合について図9に示す。
本発明の第3の実施の形態に係るブリッジアダプタを1素子2線式ひずみゲージに用いる場合、図8に示すように、センサ部21によるひずみゲージが、アクティブゲージ抵抗211(RA)からなるものとして構成され、アクティブゲージ抵抗211の両端から信号線が引き出されている。アクティブゲージ抵抗211は、センサ部21のアクティブひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブルのケーブル抵抗(および(接続部を別体とした場合)フレキシブルケーブルのケーブル抵抗)を加えた抵抗値RAを示す。
【0034】
ブリッジアダプタ22は、プリント配線基板からなるブリッジアダプタ基板上に、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)221、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)222、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R3)223、ハイパスフィルタ構成用抵抗(R4)224およびハイパスフィルタ構成用コンデンサ(C)225を実装し、図8に示すような回路を構成したものである。
すなわち、ゲージ側には、ゲージ端子TG1、ゲージ端子TG2、ゲージ端子TG3およびシールド端子TS1の各端子を備え、信号処理系側には、電源入力端子TI1、電源入力端子TI2、信号出力端子TO1、信号出力端子TO2およびシールド端子TS2の各端子を備えている。ゲージ端子TG1には、センサ部21のアクティブゲージ抵抗211の一端が、ゲージ端子TG2には、前記アクティブゲージ抵抗211の他端が、そしてシールド端子TS1には、センサ部21のシールド部に、金属被覆ケーブルのシールド部(またはそれを介して接続されたフレキシブルケーブルのシールド部)が、それぞれ接続される。電源入力端子TI1および電源入力端子TI2には、信号処理系から当該ひずみゲージブリッジに供給される電源電力が与えられ、信号出力端子TO1および信号出力端子TO2からは、当該ひずみゲージブリッジから信号処理系に出力される検出信号出力が取り出される。
また、シールド端子TS2は、信号処理系との間の接続信号線のシールド部を介して信号処理系のシールド部に接続される。
【0035】
ゲージ端子TG1は、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R3)223を介して信号出力端子TO2に接続され、ゲージ端子TG3は、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)221およびホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)222を順次直列に介して信号出力端子TO2に接続され、ゲージ端子TG2は、ハイパスフィルタ構成用コンデンサ(C)225を介して信号出力端子TO1に接続されており、ゲージ端子TG2とゲージ端子TG3との間は短絡され、信号出力端子TO1と信号出力端子TO2との間には、ハイパスフィルタ構成用抵抗(R4)224が接続されている。ゲージ端子TG1は、電源入力端子TI1に接続され、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)221とホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)222との接続点は、電源入力端子TI2に接続されている。このような構成のブリッジアダプタ22も、図示してないがシールド容器内に封入されており、このシールド容器は、シールド端子TS1およびシールド端子TS2の両者に接続されている。
【0036】
本発明の第3の実施の形態に係るブリッジアダプタを1素子3線式ひずみゲージに用いる場合、図9に示すように、センサ部23によるひずみゲージが、アクティブゲージ抵抗231(RA)からなるものとして構成され、アクティブゲージ抵抗231の一端から第1の信号線が、アクティブゲージ抵抗231の他端から第2および第3の信号線が引き出されている。アクティブゲージ抵抗231は、センサ部23のアクティブひずみゲージ抵抗に、金属被覆ケーブルのケーブル抵抗(および(接続部を別体とした場合)フレキシブルケーブルのケーブル抵抗)を加えた抵抗値RAを示す。
ブリッジアダプタ22は、図8と同様に構成され、プリント配線基板からなるブリッジアダプタ基板上に、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)221、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)222、ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R3)223、ハイパスフィルタ構成用抵抗(R4)224およびハイパスフィルタ構成用コンデンサ(C)225を実装したものである。ゲージ端子TG1には、センサ部23のアクティブゲージ抵抗231の一端に接続された第1の信号線が接続され、ゲージ端子TG2およびゲージ端子TG3には、前記アクティブゲージ抵抗231の他端に共通に接続された第2および第3の信号線がそれぞれ接続され、そしてシールド端子TS1には、センサ部21のシールド部に、金属被覆ケーブルのシールド部(またはそれを介して接続されたフレキシブルケーブルのシールド部)が接続される。
その他、本発明は、その要旨を変更しない範囲内で種々変形して実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造を一部を切欠して模式的に示す図である。
【図2】図1のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタの要部の実装構成を模式的に示す図である。
【図3】図1のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを2素子3線式ひずみゲージに用いた場合の等価回路を模式的に示す回路構成図である。
【図4】図1のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造の具体的な施工の一つの形態を説明するための模式図である。
【図5】図4の施工の工程を説明するために一部を分解して示す模式図である。
【図6】図1のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造の具体的な施工の他の一つの形態を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを1素子2線式ひずみゲージに用いた場合の等価回路を模式的に示す回路構成図である。
【図9】図8のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを1素子3線式ひずみゲージに用いた場合の等価回路を模式的に示す回路構成図である。
【図10】従来のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造を一部を切欠して模式的に示す図である。
【図11】図10のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを2素子3線式ひずみゲージに用いた場合の等価回路を模式的に示す回路構成図である。
【図12】図10のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタのブリッジアダプタ基板の表面側の実装構成を模式的に示す図である。
【図13】図10のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタのブリッジアダプタ基板の裏面側の実装構成を模式的に示す図である。
【図14】図10のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタを用いたケーブル接続構造の具体的な施工の一つの形態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1,11,21,23 センサ部
1A アクティブゲージ抵抗
1B ダミーゲージ抵抗
2,12 金属被覆ケーブル(耐熱ケーブル)
3,15,22 ブリッジアダプタ
4,14,16 フレキシブルケーブル
13 ケーブル接続部
30 シールド容器
31 ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)
32 ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)
33 ゲージ温度補償抵抗(RTC(+))
34 ゲージ温度補償抵抗(RTC(−))
35 リード線温度補償抵抗(RLC(+))
36 リード線温度補償抵抗(RLC(−))
37 ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(+))
38 ブリッジバランス補償抵抗(RBAL(−))
39 ブリッジアダプタ基板
201 コンプレッションフィッティング金具
211 アクティブゲージ抵抗(RA)
221 ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R1)
222 ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R2)
223 ホイートストンブリッジ構成用抵抗(R3)
224 ハイパスフィルタ構成用抵抗(R4)
225 ハイパスフィルタ構成用コンデンサ(C)
231 アクティブゲージ抵抗
301 隔壁
2011 ボディ
2012 シート
2013 シーラント
2014 フォロア
2015 キャップ
TG1 ゲージ端子
TG2 ゲージ端子
TG3 ゲージ端子
TS1 シールド端子
TS2 シールド端子
TI1 電源入力端子
TI2 電源入力端子
TO1 信号出力端子
TO2 信号出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタにおいて、
前記ブリッジアダプタは、
耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるとともに、
前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部と、
前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記耐熱ケーブルの前記耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部とを具備し、且つ
前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなることを特徴とするカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタ。
【請求項2】
前記被覆部の内部には、充填材が充填固化されてなることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタ。
【請求項3】
金属チューブ内にひずみゲージを封入してなるカプセル型高温ひずみゲージのケーブル接続構造において、
耐熱性管体内部に信号線が絶縁挿通されてなりカプセル型高温ひずみゲージのひずみゲージセンサ部に気密に接続される耐熱ケーブルに一端が気密に接続され、且つフレキシブル被覆内に信号線が封入されてなり可撓性を有するフレキシブルケーブルに他端が気密に接続されるケーブル接続部であって、
前記耐熱ケーブルの信号線への接続部および前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部を収容し、前記耐熱ケーブルの耐熱性管体および前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に気密に結合される被覆部を有するケーブル接続部と、
前記フレキシブルケーブルに一端が接続され、且つ他のフレキシブルケーブルに他端が接続されるとともに、前記カプセル型高温ひずみゲージを前記耐熱ケーブルを介してブリッジ接続し、当該ブリッジに生ずる見かけひずみを補償して前記フレキシブルケーブルに接続するブリッジ回路部、および
前記フレキシブルケーブルの信号線への接続部および前記他のフレキシブルケーブルの信号線への接続部を含む前記ブリッジ回路部を収容し、前記フレキシブルケーブルのフレキシブル被覆および前記他のフレキシブルケーブルのフレキシブル被覆に結合される被覆部、を有するブリッジアダプタであって、
前記ブリッジ回路部の構成要素の配置構成を狭小化し、前記被覆部の外径が、圧力差のある空間を仕切る隔壁に形成された通孔に前記耐熱ケーブルを封止保持するための封止保持部材の中空開口内に挿通し得る寸法となるように、小径化してなるカプセル型高温ひずみゲージ用のブリッジアダプタと、
を具備することを特徴とするケーブル接続構造。
【請求項4】
前記ケーブル接続部は、前記被覆部の内部に充填される充填材を含むことを特徴とする請求項3に記載のカプセル型高温ひずみゲージ用のケーブル接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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