説明

カメラ、パラメータ読み出し方法

【課題】仕様に応じた複数の設定データを記憶しておいても、コスト増を抑制して多様な仕様に対応可能なカメラ及びパラメータ読み出し方法を提供すること。
【解決手段】画像処理のパラメータに基づき画像処理する撮像装置100であって、当該撮像装置に要求されうる仕様に応じた複数の前記パラメータを記憶した記憶手段23と、画像処理の基板を収納するケース11,12に、外部装置と接続されるケーブル50を、基板20が密閉されるように取り付ける取り付け部9と、取り付け部9に取り付けられた前記ケーブルの特徴を検知する特徴検知手段31と、特徴に対応した前記パラメータを前記記憶手段23から選択してイメージセンサ22に提供するパラメータ提供手段32と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像パラメータの設定データに基づき画像処理するカメラ等に関し、特に、複数の設定データを記憶しておくことができるカメラ及びパラメータ読み出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小型なカメラでも、映像の切り出し範囲、左右反転、明るさ設定、画質などの映像パラメータを変更できる機能を持ち、さらに、映像パラメータの設定データを記憶できるカメラが利用されるようになってきた。例えば、車載されるカメラは、明るさや色合い、配置位置(前方監視と後方監視)の違いによる映像出力の反転、等が設定できること及び映像パラメータの設定データが記憶されることが要求される。映像パラメータは、カメラの用途や顧客の好み、取り付けられる車両の車種や位置に応じて、すなわちカメラの仕様に応じて、細かく定められる。
【0003】
カメラに共通する基本的な構成として、レンズと、映像を取り込むイメージセンサと、設定データを記憶するメモリと、画像処理を行う回路と、これらが搭載される基板、及び、これらを覆う筐体などがある。仕様が異なっても、基本的な構成は共通なので、カメラのメモリに記憶する設定データだけを変更することで、異なる映像パラメータに対応することが可能である。
【0004】
一方、カメラの映像を利用する外部装置と、カメラを接続するケーブルは、前述の設定データと同様に個別に設計される。カメラの設置場所などによって、映像パラメータだけでなく、ケーブルの防水性、長さ、太さ、芯線数、端子形状など、要求される特徴が異なるためである。なお、ケーブルとカメラとの接続部の構成は、設定データに関係なく、また、カメラやケーブルの仕様が異なっても共通のもので対応することが一般的である。
【0005】
しかし、これまでのカメラは、メモリにある1つの仕様の設定データしか記憶させないことが多かった。このため、搭載先の車両などカメラの仕様に応じて、設定データを選択してメモリに記憶させる必要が生じ、カメラの製造等について種々の制約を引き起こすことが知られている。
【0006】
そこで、外部装置から設定データをメモリに書き込むことも考えられるが、この手法は、カメラが車両に搭載された後、メモリに設定データを記憶する(又は変更する)際にケーブルのコスト増をもたらす。すなわち、シリアルケーブルを介してメモリと外部装置を接続することで、メモリに設定データを書き込んだり、書き換えることができる。しかしながら、設定データの書き込みのため、ケーブルの芯数が少なくとも数本追加されるため、車載のリアビューカメラなど10m近い長いケーブルが必要となる仕様では、大きなコスト増をもたらす。
【0007】
ここで、複数の撮影条件別に制御データを記憶しておき、撮像装置と接続されたことをデータ通信用インタフェースを介して検出すると、複数の撮影条件を表示して所望の撮影条件を選択するように案内する撮像制御装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。こうすることで、撮像装置とは離れた位置から、撮影条件を選択して撮像装置を的確に制御できるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、データ通信用インタフェースに通信線を必要とするため、データ通信用インタフェースや上述したケーブルのコスト増をもたらすという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、仕様に応じた複数の設定データを記憶しておいても、コスト増を抑制して多様な仕様に対応可能なカメラ及びパラメータ読み出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、画像処理のパラメータに基づき画像処理する撮像装置であって、当該撮像装置に要求されうる仕様に応じた複数の前記パラメータを記憶した記憶手段と、画像処理の基板を収納するケースに、外部装置と接続されるケーブルを、前記基板が密閉されるように取り付ける取り付け部と、前記取り付け部に取り付けられた前記ケーブルの特徴を検知する特徴検知手段と、前記特徴に対応した前記パラメータを前記記憶手段から選択してイメージセンサに提供するパラメータ提供手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
仕様に応じた複数の設定データを記憶しておいても、コスト増を抑制して多様な仕様に対応可能なカメラ及びパラメータ読み出し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パラメータ設定方法の概略を説明する図の一例である。
【図2】車載されたカメラの設置場所を模式的に説明する図の一例である。
【図3】従来のカメラの構成図の一例である。
【図4】記憶手段への設定データの書き込みを模式的に説明する図の一例である。
【図5】記憶手段の構成を説明する図の一例である。
【図6】本実施例のカメラの構成図の一例である。
【図7】記憶手段への書き込みと記憶手段の構成を模式的に説明する図の一例である。
【図8】記憶手段のメモリマップを示す図の一例である。
【図9】記憶手段へ設定データを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図10】イメージセンサが設定データを読み込むまでの手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】モデル認識手段の一例を示す図である。
【図12】モデル認識手段とケーブル特徴が構成するスイッチの周辺回路の一例を示す図である。
【図13】モデル認識手段の別の一例を示す図である。
【図14】モデル認識手段が構成する周辺回路の一例を示す図である。
【図15】金属切片とリアケース接続部内の配線が形成する周辺回路の一例を示す図である。
【図16】モデル認識手段の別の一例を示す図である。
【図17】モデル認識手段とケーブル特徴が構成する周辺回路の一例を示す図である。
【図18】組付け工程の手順の一例を示す図である。
【図19】回路基板の構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0014】
図1を用いて、本実施形態のパラメータ設定方法の概略を説明する。カメラ100のメモリ33には、そのカメラ100が対応する可能性のある仕様毎の設定データが複数個、記憶されている。例えば、設定データaは仕様aに対応した設定データ、設定データbは仕様bに対応した設定データ、設定データcは仕様cに対応した設定データ、である。
【0015】
また、ケーブル50には仕様毎に特徴部(以下、ケーブル特徴という)が設けられている。ケーブル特徴は、例えば、カメラ100の配置場所毎に決まっている。すなわち、カメラ100の仕様毎に決まっている。具体的には、ケーブル特徴は、ケーブル50の区別をカメラ側に電気的に通知するための、形状的又は電気的な特徴である。ケーブル特徴は、複数のケーブル50に共通の設計思想に基づき設計されている。カメラ側には、ケーブル50がカメラ側に固定(接続)された際、ケーブル特徴に応じた選択情報をメモリ33に通知するモデル認識手段31が設けられている。
【0016】
メモリ33の設定データa〜cは、ケーブル特徴a〜cと対応づけて記憶されている。このため、メモリ33は、ケーブル特徴に応じた選択情報に基づき、設定データa〜cから仕様に最適な設定データを特定することができる。イメージセンサ22は、特定された設定データを読み出し映像を撮影したり画像処理したりすることができる。
【0017】
したがって、ハード的にカメラが対応しうる全ての仕様の設定データa〜cを記憶しておけば、カメラ本体とケーブル50を接続するだけで、イメージセンサ22は最適な設定データにて撮影することができる。また、ケーブル自体にはメモリ33へアクセスする必要がないので、ケーブル50にカメラ側に仕様を通知するための信号線は不要であり、コスト増となることも防止できる。
【0018】
実際には、カメラ起動時(電源オン時)に、モデル認識手段31が既に接続されているケーブル50のケーブル特徴を検知し、選択情報を記憶手段23に出力する。したがって、起動毎にイメージセンサ22は読み込むべき設定データを選択する。
【0019】
このような構成とすることで、用途、顧客要求、車種などに応じて、設定データやケーブル50が異なる多機種少量生産だが、本体部は共通したカメラ100において、カメラ組付け工程において、仕様に応じて適切なケーブル50をカメラに接続するだけで、最適な設定データによる映像出力を行うカメラ100を搭載できることになる。
【0020】
したがって、多機種に対して多くの製造工程を共通化することで製造コストを抑えることができる。ケーブル50の芯数を増やしたりコストアップすることもない。
【0021】
また、注文された後に製造することになりやすい多機種少量生産のカメラ100でも、メモリ33に複数の設定データを記憶しておくことでメモリ33の内容も共通化できるので、生産効率を高めることができる。
【実施例1】
【0022】
図2は、車載されたカメラ100の設置場所を模式的に説明する図の一例である。車載されるカメラ100は多岐に渡っている。車両によっては、車両のフロント、左右のサイド及びリアの4箇所に搭載されることがある。フロントに配置されるカメラ100をフロントビューカメラ、サイドに配置されるカメラ100をサイドビューカメラ、リアに配置されるカメラ100をリアビューカメラ、という。
【0023】
フロントビューカメラは、車両の前方と可能な限り広角の左右を撮影するためのカメラ100であり、図示するバンパやルームミラーに配置される。サイドビューカメラは、路肩との間隔を把握するための映像や、運転席から死角になりやすい助手席前方の映像を撮影するためのカメラ100である。リアビューカメラは車両の後方を撮影するためのカメラ100である。どのカメラ100も視野が広いほど良く、また風雨に曝されるため防水性が要求される。このため、190度程度の広角レンズを用いかつ防水性能を備えたカメラ100が、カメラ100の基本性能となっており、どの用途にも共通のカメラ100を使うことができる。
【0024】
しかしながら、フロントビューカメラは路地から車両前方のみを道路に進入させた際に、運転席から死角になる左右の障害物や他車両を確認するという目的のため、前方方向よりもより車幅方向に近い左右の(以下、「左右方向の」という)映像が重要とされる。このため、フロントビューカメラは、左右方向の映像だけを切り出して出力できることが望ましい。
【0025】
一方、リアビューカメラは、前方を向いている運転者がみるモニタ60に、後方の映像を映し出すため、フロントビューカメラと比較すると左右が反転した映像が必要となる。また、左右だけでなく後方正面の映像も重要となるため、映像の切り出しは行わないことが多い。
【0026】
また、サイドビューカメラは、車両の照明の光が回り込みにくい位置にあるので、暗闇に強い設定で撮影することが好ましい。
【0027】
以上のように、基本性能が同じカメラ100であっても、用途に応じて映像の切り出し位置や有無、左右反転の有無、又は、明るさ、などの映像パラメータを設定変更すれば、車両に搭載することができる。
【0028】
これに対し、運転者が見るモニタ60は運転席に1つだけあることが多いため、各カメラ100からモニタ60までの距離はカメラ毎に大きく異なり、モニタ60とカメラ100を結ぶケーブル50は共通化することはできない。
【0029】
ケーブル50の長さだけではなく、フロントビューカメラとモニタ60を結ぶケーブル50は、高温になるエンジンルームに近い空間を這い回す必要があるため、このケーブル50は高温耐久性があるものを選択することが望ましい。リアビューカメラは、トランクの扉に配置されることが多いため、リアビューカメラとモニタ60を結ぶケーブル50は、トランクの開け閉めによる屈曲性や、長い伝送路での低損失性を求められる。サイドビューカメラは、サイドミラーの中に設置されることが多いため、一部の防水性はフロントやリアと比べ低くてもよい場合がある。このように、映像パラメータとケーブル特性には、用途や搭載車種といった顧客要求に応じて、個別の条件が盛り込まれる。上記のケーブル特徴は、このケーブル特性を識別するための形状的又は電気的な特徴となる。
【0030】
本実施形態では、カメラ100の搭載対象(ここでは車両)や搭載場所に応じてカメラ100に要求される機能を仕様と称する。仕様に応じて、映像パラメータも定まる。また、映像パラメータと設定データはほぼ同義であり、設定データのより具体的な呼び名が映像パラメータである。
【0031】
メモリに記憶された複数の設定データは、ケーブル特徴により特定されることになる。したがって、車両の各位置に搭載された時点では、カメラ100の仕様は不定であり、ケーブルがカメラ100に接続されてカメラ100の仕様が定まる。
【0032】
なお、本実施形態では、カメラ100の車両への搭載を例に説明するが、車両以外にも家庭やオフィスに設置される防犯用のカメラ100など、車両以外にカメラ100を搭載する場合にも、複数の映像パラメータをケーブル特徴により特定する、という考え方を適用できる。
【0033】
〔カメラ100の構成〕
カメラ100の構成について説明するが、比較のため、まず従来のカメラ100の構成について説明する。
<従来のカメラ100>
図3は、従来のカメラ100の構成図の一例を示す。カメラ100は大きく分けると、レンズ14、フロントケース11、及び、リアケース12を有する。
【0034】
レンズ14は、収差を低減するため通常複数枚のレンズ14a、14bで構成される。そのためレンズ14を保持するレンズ固定部材(レンズセル)が必要となるが、本図では2枚のレンズ14a、14bを保持するフロントケース11がレンズ固定部材を兼務している。
【0035】
また、防水性を確保するため、レンズ14とフロントケース11は、必要に応じて防水ゴム、Oリング、パッキンなどで密着させられている。フロントケース11とリアケース12間にも同様に防水性を持たせるため、Oリング等の防水リング13の変形性と弾性を利用して、フロントケース11とリアケース12が互いに密着されている。リアケース12にはケーブル50を差し込める差し込み用孔部9が開いている。ケーブル50のリアケース接続部51は、多く場合でリアケース12の差し込み用孔部9にネジ止めできるようにモールド加工が施されており、差し込み用孔部9とリアケース12の間は、パッキンやゴムなどの防水リング30で防水機能を確保している。
【0036】
フロントケース11とリアケース12が形成する空間には回路基板20が固定される。回路基板20には、イメージセンサ22、記憶手段23、画像処理部24、I/F回路25、出力回路26、コネクタ27、パッド29及び電源31が搭載される。回路基板20には、レンズ14を通して入射された光を電気信号に変換するイメージセンサ22が搭載されている。イメージセンサ22はCMOSタイプとCCDタイプがあるが、CMOSタイプ(図の例)は、イメージセンサ22が一部の画像処理機能や記憶手段23とのI/F機能を持ったものが多い。一方CCDの場合はCCD制御回路が外付けされ、CCD制御回路が、画像処理や記憶手段23とのインタフェースを提供する。
【0037】
イメージセンサ22又はCCD制御回路は、起動時に初期設定(映像パラメータ)を記憶手段23から読み込み、設定された条件で映像データを撮影して画像処理部24に出力する。画像処理部24が、イメージセンサ22から出力された映像データに、明るさや輪郭の鮮明度、歪みなどの補正処理を施す。
【0038】
補正後の映像データは、出力回路26にて外部に出力する形式に変換される。現在、車載されるカメラ100で主流の信号フォーマットは、NTSC(National Television System Committee )やPAL(Phase Alternating Line)と言ったアナログ形式のビデオ信号規格にしたがったものである。変換されたアナログ映像信号は、カメラ内部のコネクタ27、28に接続されたケーブル50を介して、外部装置(モニタ60等)に送信される。
【0039】
カメラ100が、外部からの設定に応じた画像処理を行う場合は、コネクタ27,28を介して外部装置と接続されたI/F回路25が、外部装置とデータを送受信し、画像処理部24に設定のための命令信号を通知する。この機能を使う場合の例としては、画面上に車幅線や文字をオーバーレイするか否かの選択などを、ケーブル端子52の先に接続したスイッチ(図示せず)などで切り替える場合が挙げられる。外部装置からの命令信号は、ケーブル50を介してI/F回路25で受け取り、画像処理部24に出力される。これにより、画像処理部24はイメージセンサ22が出力した映像データに、オーバーレイ情報を上書きし、アナログ映像信号に車幅線や文字などを重畳することができる。
【0040】
カメラ100の動作に必要な電力は、ケーブル50を通して電源回路21に供給される。電源回路21は、カメラ内部のデバイスに必要な電圧に変換して各ブロックに分配する。また、パッド29については次述するが、パッド29は各ブロック(特に記憶手段23)と調整用の機器を接続するためのインタフェースとなる。
【0041】
なお、本実施例では、イメージセンサ22と記憶手段23が直接接続された構成になっているが、画像処理部24を経由してイメージセンサ22が記憶手段23に接続されていてもよい。
【0042】
図4は、記憶手段23への設定データの書き込みを模式的に説明する図の一例である。設定データの書き込み方法として一般的なのは、回路基板20上に配置されたパッド29を介して、メモリ書き込み及び動作検査装置40が書き換える方法である。
【0043】
回路基板20の製造時には、回路基板20への部品実装後に、例えば、メモリ書き込み及び動作検査装置40は回路基板20に電力を供給し基本動作を確認する動作検査工程がある。その際、動作確認を機械的にチェックするため、あらかじめ検査に必要な信号線に、回路基板20の所定の位置で直接触れることのできる銅箔パタンを露出させたパッド29が設けられている。
【0044】
メモリ書き込み及び動作検査装置40は、そのパッド29に針状のプローブで触ることで、所望の信号レベルであるか否かをチェックする。
【0045】
図5は、記憶手段23の構成を説明する図の一例である。記憶手段23への書き込みに必要な信号線も、検査用の信号線と同様にパッド29を形成しておく。例えば、記憶手段23への書き込みをシリアル通信で行う場合、この信号線は、クロック信号、データの信号、及び、マスター/スレーブ切り替え信号の信号線である。検査前に、メモリ書き込み及び動作検査装置40は、回路基板20に電源回路21のみ供給し、これらのパッド29を通じて記憶手段23に対し、カメラ本体に適応させる可能性のある全ての仕様の設定データを書き込み記憶させる。
なお、パッド29の代わりに、コネクタ27に信号線を配置することも可能である。この場合、記憶手段23の設定データの書き換えに際し、パッド29に接触させる針(プローブ)を持つ大掛かりなメモリ書き込み及び動作検査装置40を接続する必要がない。しかし、代わってコネクタ27にメモリ書き込み及び動作検査装置40を繋げる必要が生じるため、コネクタ27は信号線が増える数ピン分大型化する。
【0046】
また、コネクタ27に信号線を配置することで、カメラ組付け工程として、リアケース12を組付けるまでメモリ33の設定データを書き換えることができるというメリットはあるが、別途書き換え工程として人的にコネクタ27を抜き差しするという作業が必要になる。
【0047】
図5の記憶手段23には、例えばアドレス0000000hに仕様nの設定データが1つだけ記憶される。このように従来のカメラ100では、設定データが1つだけが記憶され、必要であれば書き換えるなどして複数の仕様に対応していた。
【0048】
カメラ本体の電源がオンになったり又はメモリ書き込み及び動作検査装置40が回路基板20に電力を供給すると、イメージセンサ22は設定データを記憶手段23より読み込み、その設定データに基づく映像パラメータに従い映像データに補正を施す。
【0049】
<本実施例のカメラ100>
図6は、本実施例のカメラ100の構成図の一例を示す。図6において図3と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0050】
図6のカメラ100は、リアケース12とケーブル50の接続部となる差し込み用孔部9にモデル認識手段31を備える。また、モデル認識手段31は、パッド29と記憶手段23に接続されている。モデル認識手段31は、ケーブル特徴の認識結果である選択情報を記憶手段23に通知する。ケーブル特徴の認識方法等については後述する。
【0051】
図6の記憶手段23には、複数の設定データが記憶されている。記憶手段23への書き込み方法は、図5とほぼ同様である。
【0052】
なお、記憶手段23は、書き換え可能な不揮発メモリであり、例えば、フラッシュメモリに代表されるEEPROMを実体とする。
【0053】
図7は、記憶手段23への書き込みと記憶手段23の構成を模式的に説明する図の一例である。図7では、記憶手段23がメモリ33だけでなく、アドレス制御手段32を有する点で図5と異なる。図7では不図示のメモリ書き込み及び動作検査装置40が、パッド29を介して、記憶手段23にアクセスする。メモリ書き込み及び動作検査装置40は、予め記憶している複数の設定データを、メモリ33の決まったアドレスにそれぞれ書き込んでいく。
【0054】
図8は、記憶手段23のメモリマップを示す図の一例である。メモリ33の先頭アドレスから順番に、各仕様の設定データを書き込んでいく。アドレス0000000hには仕様1の設定データaが、アドレス1000000hには仕様2の設定データbが、アドレス2000000hには仕様3の設定データcが、アドレス3000000hには仕様4の設定データdが、それぞれ記憶されている。
【0055】
したがって、メモリ33に記憶される設定データの数がn個だとすると、従来の記憶手段23のメモリ33と比較して、n倍のサイズがメモリ33に必要になる。しかし、1つの設定データのサイズは、非常に小さいため、数倍に増えてもそれほど大きなサイズのメモリ33は必要ない。また、現在のメモリ33のサイズとコストの関係から考えても、ほとんどコスト増となることはない。
【0056】
図7に戻り、モデル認識手段31は、複数のケーブル50に共通の設計思想に基づき設計されているケーブル特徴を検知する。モデル認識手段31は、ケーブル特徴を識別した結果、選択すべき設定データを示す選択情報をアドレス制御手段32に通知する。
【0057】
アドレス制御手段32は選択情報を取得すると、イメージセンサ22が読み込むべき設定データが格納されているメモリ33の先頭アドレスを決定し、メモリ33とイメージセンサ22間の設定データのやり取りを中継する。選択情報と設定データを紐付けるにはいくつか方法がある。比較的、簡易な方法は、仕様1の先頭アドレスは000000h、仕様2の先頭アドレスは100000h…としておき(先頭アドレスのMSBが異なるようにしておき)、選択情報を先頭アドレスのMSB(Most Significant Bit:最上位ビット)と一致させる方法である。また、各設定データが選択情報に対応づけてメモリ33に記憶されている場合、アドレス制御手段32は、モデル認識手段31が出力した選択情報に対応づけられた設定データを特定する。
【0058】
アドレス制御手段32は、イメージセンサ22の要求する読み出し先のアドレスを制御する。例えば、イメージセンサ22に、読み込むべき設定データのアドレスを指定できる機能がある場合は、アドレス制御手段32はイメージセンサ22に、選択情報に応じた仕様の先頭アドレスを指定すればよい。この機能がなく、イメージセンサ22が自動的にゼロ番地から設定データを読み出す場合は、アドレス制御手段32はイメージセンサ22から出力される通信を中継して、メモリ33に送るアドレス情報を修正(オフセット)することで対応する。
【0059】
<組付け、モデル認識、及び、設定データの読み込みまでの手順>
図9は、記憶手段23へ設定データを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。
まず、カメラ100を車両に組付ける工程では、以下のことが行われる。
【0060】
基板動作検査工程になると、メモリ書き込み及び動作検査装置40が、カメラ100が対応する可能性のある仕様に対応した全ての設定データを、記憶手段23に記憶する(S110)。
【0061】
次に、製造ロボット又は作業員が仕様に応じて、ケーブル50の一端をカメラ100に、他端をモニタ60やスイッチなどの外部装置に接続する(S120)。
【0062】
図10は、イメージセンサ22が設定データを読み込むまでの手順を示すフローチャート図の一例である。図10の手順は、車両に搭載されたカメラ100を動作させる(起動する)毎に実行される。
【0063】
ユーザの操作により、カメラ100に電力が供給される(S210)。
【0064】
すでにケーブル50は接続されているので、モデル認識手段31が、ケーブル特徴に応じた選択情報をアドレス制御手段32に出力する(S220)。
【0065】
アドレス制御手段32は、選択情報と設定データの紐付けルールに従い、モデル認識手段31から通知された選択情報に応じて、メモリ33から読み込む設定データの開始アドレスを指定する(S230)。
【0066】
イメージセンサ22は、開始アドレスから始まる設定データをメモリ33から読み取り、RAMやレジスタ等に設定する(S240)。以降、イメージセンサ22は、この設定データに従い映像データに補正を施し、画像処理部24に出力する。
【0067】
なお、記憶手段23が画像処理部24に直接接続されている構成の場合、画像処理部24がアドレス制御手段32と同様の機能を提供することができる。
【0068】
〔モデル認識手段31の具体的構成〕
続いて、モデル認識手段31について詳細に説明する。モデル認識手段31は、ケーブル特徴を選択情報に変換する。ケーブル特徴は、ケーブル50のリアケース接続部51の形状又は電気的な性質に現れる。
【0069】
図11は、モデル認識手段31の一例を示す図である。モデル認識手段31は、カメラ100にケーブル50が組付けられることでケーブル特徴を識別するため、リアケース接続部51が接触する差し込み用孔部9に設置されている。上述したように、ケーブル50のカメラ側端部であるリアケース接続部51は、リアケース12との接点の防水性を保つため、また、リアケース12にネジ止めするためにモールド加工されていることが多い。このモールド部とリアケース12の間に防水ゴムを挟みこむようにして、基板へ接続する線材やコネクタ(図示せず)などをリアケース12の穴に通し、モールド部とリアケース12をネジなどしっかりと固定する。このように差し込み用孔部9において、密閉性を確保するためケーブル50はしっかりと固定されるので、モデル認識手段31を確実に作動させることができる。
【0070】
図11の例では、ケーブル特徴の認識をリアケース接続部51の一部であるモールド部先端形状で行う。すなわち、モールド部先端形状がケーブル特徴である。図11のケーブル特徴は、リアケース12に垂直な方向の凸部37の有無である。図11の左図では、モールド部が凸部37を有さず、図11の右図ではモールド部が凸部37を有している。
【0071】
線材が出てくる部分に近く、かつ、基板とも近い部分において、ケーブル特徴毎に、凸部37の有無、及び、位置が異なるように、モールド部尖端形状を設計する。
【0072】
一方、リアケース12には、凸部37の有無及び位置によりON/OFFの状態が変化するスイッチを搭載しておく。スイッチの端子35は、バネなどの弾性体であり、中立状態では弾性力により電極36に接触しない状態を保つ。したがって、左図のように凸部37のないケーブル50が接続された場合、端子35と電極36は接触しない。
【0073】
これに対し、凸部37のあるケーブル50が接続された場合、凸部37がスイッチの端子35を電極36まで押圧するので、端子35と電極36が接触する。
【0074】
したがって、端子35と電極36の接触の有無を検出することで、モデル認識手段31は、ケーブル特徴、すなわち、仕様を判別することができる。
【0075】
図12(a)は、モデル認識手段31とケーブル特徴が構成するスイッチの周辺回路の一例を示す図である。周辺回路により、スイッチのON/OFFによる電圧変化を選択情報として取り出し、ケーブル特徴を識別することが可能になる。
【0076】
図12(a)のスイッチの周辺回路は、電源電圧にプルアップするものである。電源電圧Vccとグラウンドがスイッチを介して接続されているので、スイッチ開の状態では、抵抗Rで電圧がプルアップされ選択情報がHighとなる。スイッチ閉の状態では、電源電圧Vccがグラウンドに接地するので選択情報がLowとなる。したがって、選択情報はスイッチの状態、すなわちケーブル特徴を現すことになる。
【0077】
なお、図12(a)は単純な構成として、1箇所のメカ形状変更(1箇所のスイッチ)としているが、これを2箇所以上に増やすことで、2^n種類の状態(多ビット化)を現すことができる。n=2とするだけで、4種類のケーブル特徴を判別することができる。
【0078】
ケーブル特徴は、少なくとも設定データを変える必要のある仕様毎に変えて個別に設計しておく。ただし、カメラ100の配置場所が異なっても設定データが同じであれば、ケーブル端部の端子形状やケーブル長さ、太さだけを異ならせ、ケーブル特徴は共通にしておけばよい。
【0079】
図12(b)は、アドレス制御手段32の構成例を示す図の一例である。アドレス制御手段32はマルチプレクサ34と、設定データa、b、c…のアドレスを記憶したレジスタ44と、を有する。マルチプレクサ34に選択情報が供給されると、マルチプレクサ34は対応する設定データのアドレスをイメージセンサ22に出力する。よって、イメージセンサ22は、仕様に対応した設定データをメモリ33から読み出すことができる。
【0080】
図13は、モデル認識手段31の別の一例を示す図である。図13のモデル認識手段31は、金属バネ38,39とその周辺回路により構成される。ケーブル50がリアケース12の差し込み用孔部9に接続された際、金属バネ38,39には、リアケース接続部51の金属切片42が接続しうる。金属バネ38、39が2つだとすると、金属切片42はいずれか一方のみと、両方と、又は、いずれも接触しない、の3つの状態で接触する。したがって。リアケース接続部51のどこに金属切片42が形成されているかにより、モデル認識手段31は、ケーブル特徴を識別できる。
【0081】
リアケース12には、金属切片42が挿入される可能性のある場所に、金属切片42が接することのできるバネ状の金属バネ38,39を形成しておく。図13では、線材に対し紙面の左右の位置に金属切片42が形成されていることを前提に、金属切片42と接する位置に金属バネ38,39が設けられている。
【0082】
図14は、モデル認識手段31が構成する周辺回路の一例を示す図である。金属バネ38は抵抗Rを介して電源電圧Vccにプルアップ接続されており、金属バネ39も抵抗Rを介して電源電圧Vccにプルアップ接続されている。図では、金属バネ38による選択情報を選択情報A、金属バネ39による選択情報を選択情報Bとした。金属切片42が金属バネ38,39のどちらにも接触しない状態では、選択情報A、BがいずれもHighとなる。
【0083】
図15は、図13のケーブル50のケーブル特徴を説明する図の一例である。図15は、金属切片42とリアケース接続部51内の配線が形成する周辺回路の一例を示す図である。この金属切片42は、リアケース接続部51の内部で、GND線43と電気的に接続されている。GND線43は、カメラ100の回路基板20のGNDと接続する線である。
【0084】
図14,図15の周辺回路において、金属切片42を備えたケーブル50がリアケース12に接続されると、金属切片42の形成位置に応じて、金属切片42が金属バネ38,又は39と接触する(接触しないこともある)。金属切片42は、ケーブル内部でGND線43に接続され、このGND線43はコネクタ27,28を通して回路基板20のGNDにも電気的に接続されている。このため、金属切片42と接触した金属バネ38、39の選択情報A、Bは、プルアップ状態からLowの電圧に変化する。
【0085】
不図示だが、2つの金属切片42を有するリアケース接続部51がリアケース12に接続された場合、金属バネ38及び39の選択情報は、いずれもLowの電圧に変化する。また、不図示だが、1つも金属切片42を有さないリアケース接続部51がリアケース12に接続された場合、金属バネ38及び39の選択情報A,Bは、いずれもHighのままである。したがって、金属バネが2つでも4つのケーブル特徴を識別できる。
【0086】
また、金属バネ38,39の数を増やせば、モデル認識手段31はさらに多くのケーブル特徴を識別できる。例えば、金属バネの数が3個の場合、8個のケーブル特徴を識別できる。
【0087】
なお、アドレス制御手段32の構成例は図12(b)と同様である。すなわち、複数の選択情報A、Bをマルチプレクサ34に接続することで、マルチプレクサ34はケーブル特徴に応じた設定データのアドレスをイメージセンサ22に出力できる。
【0088】
図16は、モデル認識手段31の別の一例を示す図である。図16のモデル認識手段31は、金属バネ38とその周辺回路である。すなわち、図13と比較して、金属バネ38が1つしかない点で異なっている。金属切片42の位置は仕様が変わっても共通なので、リアケース12の金属バネ38も1箇所でよい。このため、モデル認識手段31は、リアケース接続部51のモールド部に配した金属切片42とGND線43を結ぶ抵抗値の違いから、仕様を認識する。
【0089】
図17は、モデル認識手段31とケーブル特徴が構成する周辺回路の一例を示す図である。金属バネ38の周辺回路は図14と同様であるが、図14では金属バネ38は1つだけである。
一方、リアケース接続部51では、金属切片42とGND線43との間に抵抗値がR2の抵抗を配置する。この抵抗値R2が仕様に応じて異なる点が、図16のケーブル50のケーブル特徴の特徴である。ケーブル50をリアケース12の差し込み用孔部9に接続すると、金属バネ38と金属切片42が接触するので、電源電圧Vcc、金属バネ38、金属切片42、及び、GND線43が直列に接続される。よって、電源電圧Vccと基板GNDとの間の電圧が、抵抗値R1とR2の大きさにより分圧されることになり、選択情報の電圧がケーブル特徴によって決定される。
【0090】
例えば、抵抗値R1=1kΩ、ケーブルAの抵抗値をR2=1kΩ、ケーブルBの抵抗値をR2=2kΩとすると、選択情報としての電圧は、ケーブルAの場合はVcc/2となり、ケーブルBの場合はVcc×2/3となる。
【0091】
選択情報が電圧値になる場合、アドレス制御手段32は、選択情報の電圧値をデジタルデータに変換する。これらの電圧値の検出には、複数のコンパレータや、A/Dコンバータなどを用い、多ビットにデジタル化すればよい。デジタルデータをマルチプレクサ34に出力すれば、同様に、マルチプレクサ34はケーブル特徴に応じた設定データのアドレスをイメージセンサ22に出力できる。
【0092】
図17の例では、抵抗値R2の値を変えるだけで複数のケーブル特徴を識別することができるので、識別可能なケーブル特徴の種別を増やしやすいというメリットがある。
【0093】
〔カメラ組付け工程〕
回路組付け工程について説明する。以下では、回路基板20を、一般的な2枚構成とする。また、一方の回路基板20はセンサ基板20a、他方の回路基板20は画像処理基板、であるとして説明する。
【0094】
図18は、組付け工程の手順の一例を、図19は回路基板20の構成図の一例を、それぞれ示す図である。
【0095】
センサ基板20aにはイメージセンサ22、記憶手段23、及び、記憶手段23に設定データを書き込むためのパッド29が搭載されている。画像処理基板20bには、画像処理部24、出力回路26、I/F回路25及び電源回路21が搭載されている。各ブロックの機能は、図6にて説明したとおりである。
【0096】
また、センサ基板20aと画像処理基板20bは、1対のコネクタ27,28で互いに接続されており、画像処理基板20bの電源回路21からイメージセンサ22等に電力が供給され、センサ基板20aのイメージセンサ22から画像処理部24に映像データが送信される。
【0097】
カメラ100の組付け工程について説明する。
(1)レンズ組付け
例えば、製造装置又は作業員が、複数のレンズ14を精度よく作られたレンズ固定部品に固定する。
(2)設定データ書き込み
記憶手段23としてのメモリ33は、センサ基板20aに搭載されている。レンズ組付けと次工程のセンサ基板20aの組付けは、非常に繊細な工程で、微小なズレが画質に悪影響を及ぼすため、組付け中だけでなく、センサ基板20aの各ブロックを接着固定した後であっても、センサ基板20aを扱う作業には慎重を期す必要がある。
【0098】
このため、メモリ33への書き込みは、センサ基板20a位置調整の前に行うことが望ましい。具体的には、動作検査工程であれば搭載されている各ブロックや電源系の動作を確認するため、メモリ書き込み及び動作検査装置40に回路基板20をセットするため、このタイミングでメモリ33への書き込みを行うことは容易である。このように基板単体の動作検査工程にてメモリ33への書き込みを行えば作業効率的にも画質維持のためにも良い。
【0099】
動作検査工程はカメラ組付け工程の初期段階にあるが、仕様毎に書き込む設定データが異なると、当該仕様毎の受注を待ち、その仕様に応じた設定データを選択して書き込む必要がある。このため、従来のカメラ100では、受注前に工程(2)以後の工程を進めておくことが難しいことが、生産効率向上の課題となっていた。
【0100】
本実施例では、複数の仕様の設定データを全てメモリ33に書き込むことができるため、書き込んだ設定データで対応可能な仕様の範囲であれば、工程(2)以降の工程を進めることができる。
(3)センサ基板位置調整
イメージセンサ22を実装したセンサ基板20aを固定して保持し、作業員又は製造ロボットが出力映像を見ながら、X,Y,Zの三軸の傾きがなくなるように、レンズ14、レンズ固定部品及びセンサ基板20aの位置を調整する。なお、センサ基板単体ではアナログ映像信号が出力されないため、画像処理基板20bに相当する調整専用のダミー基板と、センサ基板20aをケーブル50で接続することで、調整を行う。
(4)センサ基板接着固定
作業員又は製造ロボットが、工程(3)で位置決めしたレンズ固定部品をセンサ基板20aにネジ止めや接着材にてしっかりと固定する。
(5)フロントケース組付け
作業員又は製造ロボットが、レンズ14とセンサ基板20aが一体化したモジュールを、フロントケース11に組付ける。この際、レンズ14とフロントケース11間の隙間を埋めるように、防水パッキンなどを挟み込む。
(6)画像処理基板組付け
作業員又は製造ロボットが、フロントケース11に固定されたセンサ基板20aと画像処理基板間を、コネクタ41を介して接続する。これにより、センサ基板20aと画像処理基板20bの信号線が接続される。コネクタ41を介することなく半田などで接続してもよい。
(7)画像処理基板固定
両基板間隔を一定に保つため、作業員又は製造ロボットが、固定する部材で両者の相対値を固定する。例えば、基板間にスペーサをはさみ、スペーサを圧縮する方向に両基板をネジ止めする。
(8)リアケース組付け
作業員又は製造ロボットが、フロントケース11とリアケース12の間に防水性を確保するための防水パッキンなどをはさんだ後、フロントケース11とリアケース12を接続する。接続方法はネジ止めなどが多いが、フロントケース11とリアケース12の素材がプラスチックの場合は、超音波融着などで固めてしまうことも有効である。なお、リアケース12には、センサ基板20aと反対側にケーブル50を後から差し込める差し込み用孔部9が開いている。
(9)ケーブル組付け
作業員又は製造ロボットが、リアケース12の差し込み用孔部9から、ケーブル先端の基板接続用のコネクタ28を画像処理基板20b上のコネクタ27に差込む。リアケース接続部51からコネクタ28までの距離より長めの線材を折りこむようにしてリアケース内部に押し込み、作業員又は製造ロボットは、モデル認識手段31が作動することを確認しながらリアケース接続部51のモールド部をリアケース12に差し込む。この際、モールド部とリアケース12の間の防水性を確保するため、防水パッキンをはさみ、ネジ止めもしくは超音波融着でしっかりと密着させる。
【0101】
したがって、以上の組付け工程により、センサ基板20aと画像処理基板20bをフロントケース11とリアケース12に密閉でき、ケーブル50を画像処理基板20bの差し込み用孔部9に接続することで、モデル認識手段31を作動させることができる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態のカメラ100は、カメラ100が対応しうる全ての仕様の設定データを記憶しておき、仕様を特定するケーブル特徴を備えたケーブルをカメラに接続するだけで、イメージセンサ22が最適な設定データにて撮影することができる。
【符号の説明】
【0103】
11 フロントケース
12 リアケース
13、30 防水リング
14 レンズ
21 電源回路
22 イメージセンサ
23 記憶手段
24 画像処理部
27,28,41 コネクタ
29 パッド
31 モデル認識手段
32 アドレス制御手段
33 メモリ
34 マルチプレクサ
35 端子
36 電極
37 凸部
38、39 金属バネ
40 メモリ書き込み及び動作検査装置
50 ケーブル
51 リアケース接続部
100 カメラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特許365212号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理用のパラメータに基づき画像処理する撮像装置であって、
当該撮像装置に要求されうる仕様に応じた複数の前記パラメータを記憶した記憶手段と、
画像処理の基板を収納するケースに、外部装置と接続されるケーブルを、前記基板が密閉されるように取り付ける取り付け部と、
前記取り付け部に取り付けられた前記ケーブルの特徴を検知する特徴検知手段と、
前記特徴に対応した前記パラメータを前記記憶手段から選択してイメージセンサに提供するパラメータ提供手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記特徴検知手段は、前記取り付け部と接触する部分の、前記ケーブルの形状又は電気特性により前記特徴を検知する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特徴検知手段は、取り付けられた前記ケーブルが電気的接点をオンするか否かにより前記特徴を検知する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記特徴検知手段は、抵抗によりプルアップされた第1の端子及び接地された第2の端子を有し、
前記電気的接点は、取り付けられた前記ケーブルが前記第1の端子と前記第2の端子を短絡することでオンになる、
ことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記取り付け部に設けられた金属端子を有し、
前記特徴検知手段は、取り付けられた前記ケーブルの金属切片と、前記金属端子が接触するか否かにより前記特徴を検知する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記金属端子は、抵抗によりプルアップされ、
前記金属切片は、取り付けられた前記ケーブルが有する、当該撮像装置のグラウンドと接続するGND線と短絡している、
ことを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記取り付け部に複数の前記金属端子を有し、
前記特徴検知手段は、複数の前記金属端子のうち前記金属切片と接触する前記金属端子又は前記金属切片と接触する前記金属端子の数、の少なくとも一方から、前記特徴を検知する、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記金属切片と前記GND線に直列に抵抗が接続されている、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項9】
前記特徴検知手段は、前記抵抗の抵抗値によって変化する、前記金属端子と前記金属切片が接触した際のプルアップ電位に基づき、前記特徴を検知する、
ことを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記記憶手段には、前記特徴毎に異なるアドレスに前記パラメータが記憶されており、
前記パラメータ提供手段は、
前記特徴に対応したアドレス又は該アドレスに記憶された前記パラメータを前記イメージセンサに供給する、
ことを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の撮像装置。
【請求項11】
当該撮像装置に要求されうる仕様に応じた複数のパラメータを記憶した記憶手段と、
画像処理の基板を収納するケースに、外部装置と接続されるケーブルを、前記基板が密閉されるように取り付ける取り付け部と、
前記パラメータに基づき画像処理するイメージセンサとを、有する撮像装置のパラメータ読み出し方法であって、
特徴検知手段が、前記取り付け部に取り付けられた前記ケーブルの特徴を検知するステップと、
パラメータ提供手段が、前記特徴に対応した前記パラメータを前記記憶手段から選択してイメージセンサに提供するステップと、
を有することを特徴とするパラメータ読み出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−176757(P2011−176757A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40843(P2010−40843)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】