説明

カメラ、画像再生装置、画像合成方法、およびプログラム

【課題】特別な広角レンズなどを用意せずとも、パノラマのような広がり感を表現すると共に、雄大な背景画像の中で、被写体の動きを表現できるカメラ、画像合成方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】撮像部3から動画を構成する各コマの画像データが第1バッファ5aに出力されるたびに、第3バッファ5dには、部分背景画像と余白部が一時記憶され、合成部7aに出力される。合成部7aは、部分背景画像が出力されるたびに、部分背景画像の一部が余白部と重複するように、部分背景画像を貼り合わせ、背景画像を生成していく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、画像再生装置、画像合成方法、およびプログラムに関し、詳しくは、動画からパノラマのような広がりのある画像を合成することのできるカメラ、画像合成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像の普及につれ、様々な画像加工技術が提供され、従来、考えられなかったような表現で画像を楽しむことが可能となってきている。カメラもデジタル画像化されたことによって、簡単に動画撮影を行うことができるようになった。また、画像のデジタル化に伴って電子ズームにより画像の一部を拡大表示することが容易になり、遠距離の被写体に対して活用されている。電子ズームは視野を狭める方向に使用されるが、反対に、撮影範囲を広げるための技術もカメラに搭載されつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、分割画像を繋ぎ合わせて画像合成し、広い視野を再現するパノラマ画像を得る撮像装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3804313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示の撮像装置は、撮影範囲を広げることができる。しかし、この撮像装置は、被写体が静止していることを前提としており、風景のような止まった画像にしか応用することができない。すなわち、特許文献1に開示の撮像装置は、動きのある被写体の撮影には適していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、特別な広角レンズなどを用意せずとも、パノラマのような広がり感を表現すると共に、雄大な背景画像の中で、被写体の動きを表現できるカメラ、画像合成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるカメラは、連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかを検出する動き判定部と、先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定する共通部画像判定部と、上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係わるカメラは、上記第1の発明において、上記隣接部を先に得られた共通部画像と重ねて合成するための糊代部とすることを特徴とする。
【0008】
第3の発明に係わるカメラは、上記第1の発明において、上記カメラは、上記連続して撮影される画像コマを記録する連続画像記録部と、上記背景合成部で合成された画像を記録する背景画像記録部と、上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して合成した画像を順次表示する表示制御部と、をさらに具備することを特徴とする。
【0009】
第4の発明に係わるカメラは、連続して取得される画像コマを記録する連続画像記録部と、上記連続撮影時で得られた共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、上記背景合成結果を記録する背景画像記録部と、上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次類似画像部分を置き換えて合成した画像を順次表示する表示制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
第5の発明に係わる画像再生装置は、視野を移動させながら連続して撮影された画像コマの先に撮影された画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記視野移動の後ろ方向の共通部画像を判定する共通部画像判定部と、上記先に取得した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
第6の発明に係わる画像再生装置は、連続して取得される画像コマを記録する連続画像記録部と、上記連続撮影時で得られた共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、上記背景合成結果を記録する背景画像記録部と、上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次類似画像部分を置き換えて合成した画像を順次表示する表示制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
第7の発明に係わる画像合成方法は、連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかの方向を判定し、先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定し、上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像とを合成した画像を背景合成することを特徴とする。
【0013】
第8の発明に係わる画像合成方法は、連続して取得される画像コマを記録し、上記連続撮影時に得られた共通部画像を合成して記録し、上記記録された合成画像と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次置き換えて合成した画像を順次表示することを特徴とする。
【0014】
第9の発明に係わるプログラムは、連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかの方向を判定するステップと、先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定するステップと、上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像を合成した画像を背景合成するステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
第10の発明に係わるプログラムは、連続して取得される画像コマを記録するステップと、上記連続撮影時に得られた共通部画像を合成して記録するステップと、上記記録された合成画像と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次置き換えて合成した画像を順次表示する表示ステップと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特別な広角レンズなどを用意せずとも、パノラマのような広がり感を表現すると共に、雄大な背景画像の中で、被写体の動きを表現できるカメラ、画像合成方法、およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の構成を示すブロック図である。カメラ10はデジタルカメラであり、静止画や動画を撮影可能である。カメラ10の内部には、制御部1、操作部1a、レンズ2、撮像部3、動き判定部4、第1バッファ5a、第2バッファ5b、類似抽出部5c、第3バッファ5d、余白部5e、画像処理部6、合成部7a、動画合成部7b、表示部8、動画記録部9a、背景記録部9bが設けられている。
【0018】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、このカメラ10の各部と接続され、内蔵されたプログラムに従って全体制御を行う。操作部1aは、レリーズ釦や、メニュー釦、再生釦等の操作部材を含み、ユーザーが操作部1aを操作すると、制御部1は操作に応じて各部に制御信号を出力する。
【0019】
レンズ2は、被写体像を形成するための光学レンズである。撮像部3は撮像素子やその読出回路等を含み、レンズ2によって形成された被写体像を画像データに変換する。動き判定部4は、撮像部3からの画像データを入力し、カメラ10の動き方向を検出する。すなわち、連続して得られる画像を比較し、いずれの方向にカメラ10の撮影画面が動いているかを判定する。
【0020】
第1バッファ5aは、撮像部3からの画像データを一時的に記憶するための記憶部である。第2バッファ5bは、第1バッファ5aに画像データが一時記憶される際に、その直前に第1バッファ5aに一時記憶された画像データが転送され、一時記憶するための記憶部である。
【0021】
類似抽出部5cは、第1バッファ5aと第2バッファ5bにそれぞれ一時記憶されている画像データの端部側を比較し、類似している部分のみを抽出する(以下、類似している部分を部分背景画像と称す、(後述する図4における25a、25b参照))。ここで、端部側は、動き判定部4によって検出されたカメラ10の動き方向に対して後ろ側の端部側である。
【0022】
余白部5eは、第1バッファ5aに一時記憶されている画像データのうち端部側のみを、余白部(糊代部とも称する)として抽出する。なお、余白部の位置は、動き判定部4によって検出されたカメラ10の動き方向と反対側に生成する。第3バッファ5dは、類似抽出部5cによって抽出された部分背景画像と、余白部5eによって抽出された余白部を、一時的に記憶する記憶部である。
【0023】
合成部7aは、第3バッファ5dに一時記憶された部分背景画像を、順次合成する。すなわち、撮像部3から動画を構成する各コマの画像データが第1バッファ5aに出力されるたびに、第3バッファ5dには、部分背景画像と余白部が一時記憶され、合成部7aに出力される。合成部7aは、部分背景画像が出力されるたびに、部分背景画像の一部が余白部と重複するように、部分背景画像を貼り合わせ、背景画像を生成していく。すなわち、部分背景画像は、各コマの画像データが出力されるたびに、余白部と反対方向に次第に延び、パノラマ画像のような背景画像となる。
【0024】
画像処理部6は、記憶容量を少なくするための画像圧縮等の画像処理を行う。合成部7aによって生成された背景画像の画像データと、撮像部3から出力される動画を構成する各コマの画像データは、JPEG形式やモーションJPEG形式等で画像処理部6によって圧縮等の画像処理がなされる。
【0025】
背景記録部9bは、合成部7aによって生成され、画像処理部6で圧縮処理された背景画像の画像データを記録する。動画記録部9aは、撮像部3から出力された背景分離処理前の動画を記録する。動画記録部9aおよび背景記録部9bは、別々に設けても良いが、同一の記録媒体において、異なるエリアを割り当てるようにしても良い。
【0026】
動画合成部7bは、背景記録部9bに記録された背景画像に、動画記録部9aに記録された動画を合成する。すなわち、動画合成部7bは、動画を構成する各コマごとに、背景画像と一致する部分を検出し、この検出された部分を動画に置き換えて、画像を合成する。これによって広大な風景の中を駆けていくような画像を合成できる。
【0027】
表示部8は、液晶モニタ等の表示装置を含み、動画合成部7bによって合成された動画、または動画記録部9aに記録された動画を再生表示する。なお、動画合成部7bによって合成された画像データを、表示部8に表示するだけではなく、この画像データを動画記録部9a等に記録するようにしても良い。
【0028】
次に、本実施形態における合成された動画について、図2および図3を用いて説明する。図2は、山並み22や木23を背景に、疾走していく人物24を動画で撮影した場合において、動画を構成する各コマ21a〜21dを示す。各コマ21a〜21dを順次、再生することにより動画として楽しむことができる。
【0029】
図2のように、広い風景の中で人が走っていく様子や、鳥が飛んでいく様子や、乗り物などが走っていく様子を、追いかけながら撮影すると、一駒の中に、背景の広がりの全てを写しこむことはできない。複数のコマを撮影して、初めて広がりを描写することができる。
【0030】
そこで、本実施形態においては、図3に示すように、動画を構成する複数のコマから広い背景画像27を生成し、この背景画像27の中で、被写体である人物24が動いていく様子を表現するようにしている。すなわち、図3(a)は、人物24が右側から左側に向かって走っている様子を示し、図3(b)は、図3(a)の時点より後の時点で、人物24が左側で走っている様子を示す。
【0031】
このように、本実施形態においては、画面内を被写体が動いて行くものの、その動きの様子と共に、背景の広がりを再現できる。これまでのカメラでは、静止したパノラマや図2に示した各コマを同じ位置で順次再生することはできたが、動きも広がりをも表現することはできなかった。これに対し、本実施形態のカメラ10では、動きと広がりも表現することができる。
【0032】
次に、図4および図5を用いて背景画像27の生成方法について説明する。図4(a)(b)は連続して得られた撮影コマを示す。各撮影コマの被写体である人物24の背面側には、背景として共通した領域が存在する。すなわち、撮影者は人物24の動きを追っているので、人物24の動き方向とは反対側に少しずれるが、背景は共通している。図4(a)(b)における共通部分(部分背景画像)25aに斜線を施して示す。
【0033】
この共通部分(部分背景画像)25aより中央よりは、人物24の部分24a(図では足の部分)が変化していることから、背景と人物24が両画像(図4(a)と図4(b))で異なり、類似抽出部5cはこの部分24aを類似検出しない。したがって、両画像が類似しているとして抽出されるのは、斜線を施した共通部分(部分背景画像)25aの部分であり、類似抽出部5cは、この短冊形状の共通部分(部分背景画像)25aのみを抽出する。なお、本実施形態においては、類似部分を抽出するにあたって、画面を横方向に8等分した短冊状の範囲について行っている。この分割数やその形状については、適宜、変更しても良い。
【0034】
図4(c)は、共通部分(部分背景画像)25aを取り出し、また図4(a)から余白部(糊代部)26aも取り出し、両方を合成した図である。余白部26aは、部分背景画像25aに隣接する部分であり、この部分は、次の部分背景画像25bと合成する際の余白部(糊代)として利用する。
【0035】
図4(a)と図4(b)のコマを比較することにより、部分背景画像25aを抽出すると、次に、図4(d)と図4(e)のコマを比較することにより、部分背景画像25bを抽出する。すなわち、図4(d)は、図4(b)と同じ画像であるが、次のコマと比較していることから、その抽出される共通部分(部分背景画像)の位置が図4(b)の場合とは異なっている。部分背景画像25bが部分背景画像25aと同様にして抽出され、また余白部(糊代部)26bも抽出される。
【0036】
このように、短冊状の余白部26a、26b付きの部分背景画像25a、25bが抽出されると、次に、余白部26bが、部分背景画像25aに重なるように、合成部7aによって画像合成を行い、図4(g)に示すような背景画像が得られる。以後、撮影部3から動画を構成する撮影コマの画像データが出力されるたびに、順次、撮影コマを比較し、部分背景画像等を生成し、合成することにより、図5(a)に示すような背景画像27が合成される。この背景画像の合成の手順については、図7に示すフローチャートを用いて後述する。
【0037】
次に、図5および図6を用いて、背景画像27に動画の撮影コマを嵌め込み、動画を生成方法について説明する。前述したように背景画像27が生成されると、次に、この背景画像27の中で動画の各コマと類似する部分を、順次、検出し、この類似する部分の画像を背景画像27に、順次、置き換えることにより、図3で示したようなパノラマ風景の中を人物24が走っていくような動画を得る。
【0038】
まず、図6に示す背景画像27の中から、動画を構成する各コマ21eの部分背景画像25eと、一致する部分背景画像25e’を検出する。一致部分を検出すると、背景画像27から嵌め込み画像の相当部分(部分背景画像21eの幅Y)27eを消去し、この部分にコマ21eを嵌め込む。動画を構成する各コマを、図5(b)、(c)に示すように、順次、ずらしていくことにより、人物24が走っていくような動画を得ることができる。この動画の合成は、動画合成部7bによって行われる。また、動画の合成の手順については、図8に示すフローチャートを用いて後述する。
【0039】
次に、図4および図5を用いて説明した背景画像合成について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。この背景画像合成のフローは制御部1によって各部を制御することにより実行される。
【0040】
背景画像合成のフローに入ると、まず、動き判定を行う(S1)。このステップでは、撮像部3によって取得された画像の周辺部の画像データに基づいて、動き判定部が動きベクトルを検出し、撮影視野がどちらに移動しているかを検出する。前述したように、本実施形態においては、カメラ10の移動方向の後ろ方向に背景画像を合成しており、この動き方向に基づいて背景画像を合成する方向を決定する。
【0041】
次に、第1バッファに画像を取得する(S2)。このステップでは、撮像部3からの画像データを第1バッファ5aに一時記憶する。続いて、次画像を取得したかの判定を行う(S3)。撮像部3は所定時間間隔で画像データを取得しており、このステップでは、所定時間が経過し、動画像を構成する次の撮影コマの画像データの読出しを行って画像を取得したかの判定を行う。
【0042】
ステップS3における判定の結果、次画像を取得した場合には、第2バッファに転送を行う(S4)。このステップでは、第1バッファ5aに一時記憶されている画像データを第2バッファ5bに転送し、新たに取得した画像データを第1バッファ5aに一時記憶する。一方、ステップS3における判定の結果、次画像を取得していなかった場合には、第1バッファ5aと第2バッファ5bに一時記憶されている2つの画像を比較可能か否かの判定を行う(S11)。このステップでは、両バッファに画像データが一時記憶されており、未だ比較を行っていないか否かの判定を行う。
【0043】
ステップS11における判定の結果、比較可能でなかった場合には、ステップS18に進む。一方、判定の結果、比較可能であった場合には、第1バッファの後ろの部分と第2バッファの共通部分を抽出し、これを記録する(S12)。このステップでは、図4を用いて説明したように、後から取得した画像(図4(a)に示す画像に対応し、第1バッファ5aに一時記憶されている)の動き方向の後ろ側の部分(図4では横方向に8分割したうちの右端の短冊部)、から、先に取得した画像(図4(b)に示す画像に対応し、第2バッファ5bに転送されている)と比較し、一致する部分背景画像25aを抽出し、これを第3バッファ5dに一時記憶する。
【0044】
続いて、第2バッファから共通部の後ろを糊代として記憶する(S13)。図4(c)(f)において説明したように、糊代部としての余白部26a、26bを、先に取得し第2バッファ5bに一時記憶されている画像データからコピーし、これを部分背景画像25a、25bと共に一時記憶する。
【0045】
次に、合成可能か否かの判定を行う(S14)。すなわち、ステップS12、S13において、背景画像合成用の部分背景画像25a、25bや糊代部26a、26bを一時記憶したので、これらのデータを用いて画像合成が可能か否かの判定である。この判定の結果、合成可能でなかった場合には、ステップS18に進む。
【0046】
一方、ステップS14における判定の結果、合成可能であれば、次に、前の共通部(部分背景画像)と糊代部を重ねて画像合成を行う(S15)。すなわち、図4(g)に示すように、短冊状の部分背景画像25a、25bを糊代部26a、26bを用いて、背景画像27を合成する。この合成は合成部7aによって行われる。
【0047】
次に、ステップS15で合成した各コマと共通部(部分背景画像)を記録する(S16)。各コマは動画を構成する画像データであり、これは動画記録部9aに記録され、共通部(部分背景画像)が合成された背景画像27は、背景記録部9bに記録される。
【0048】
続いて、背景画像合成が終了か否かの判定を行う(S18)。動画撮影を行いながら背景画像合成を行っている場合、この動画撮影が終了した場合に、背景画像合成の終了と判定する。なお、予め動画を撮影し、これを記録しておき、この記録された動画画像について、背景画像合成を行ってもよく、その場合には、予め記録されている動画のコマについて全て用いて背景画像合成が行われた場合に終了と判定される。
【0049】
ステップS18における判定の結果、終了でなかった場合には、ステップS3に戻り、次の画像を取得し、前述の動作を実行する。一方、判定の結果、終了であった場合には、カメラ10の全体制御を行う元のフローに戻る。
【0050】
次に、前述した背景画像に動画の画像を重ねて合成し、図3において示したような動画を生成するための動画表示のフローについて、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0051】
動画表示のフローに入ると、まず、合成した背景画像27を表示する(S21)。このステップでは、合成部7aによって合成された図5(a)に示すような背景画像27を表示部8に表示する。続いて、所定のタイミングであるか否かの判定を行う(S22)。このステップでは、動画記録部9aから読み出される動画の1コマごとのタイミングか否かを判定し、所定のタイミングでない場合には、所定のタイミングになるのを待つ。
【0052】
ステップS22における判定の結果、所定のタイミングになると、次に未合成があるか否かの判定を行う(S23)。このステップでは、動画記録部9aから動画を構成する撮影コマが全て読み出されたか否かの判定を行う。この判定の結果、未合成の画像がなかった場合には、リターンし、カメラ10の全体制御を行うフローに戻る。
【0053】
一方、ステップS23における判定の結果、未合成の画像があった場合には、2画像の共通部を検出する(S24)。このステップでは、図6において説明したように、動画の1コマ分に当たるコマ画像21eの部分背景画像25eに対応する背景画像27の部分25e’を検出する。
【0054】
続いて、図6で説明したように、部分背景画像(共通部)25eの反対端までの幅Yを決め(S25)、この幅Yの部分にあたる画像を背景画像27から消去する(S26)。そして、この消去された部分に動画のコマ画像21eを嵌め込み、画像を合成する(S27)。すなわち、これらのステップでは、部分背景画像(共通部)から嵌め込み画像の幅に相当する幅Yの部分を背景画像27から消去し、その部分に撮影したままの画像(コマ画像21e)を嵌め込んで表示する。この合成された画像は所定時間の間、表示する。
【0055】
次に、ステップS27において合成された画像から、背景画像27に背景を戻す(S28)。背景を戻すと、ステップS22に戻り、前述の動作を実行する。このように、ステップS22〜S28を繰り返し実行することにより、背景画像27と動画のコマ画像とを順次、比較し、共通部を含む幅Yの背景画像27について、画像を置き換えて順次、画像を得ることにより動画を合成している。
【0056】
以上説明したように、本実施形態においては、1回の静止画の撮影では撮影できないようなパノラマ背景の中を、移動体が移動していく様子を動画で再現できる(図3参照)。
【0057】
特に、大画面テレビなどは、広大な風景を表示するのに向いていることから、本実施形態に係わるカメラによって撮影された画像を記録しておき、大画面テレビに接続して再生表示するようにしても良い。また、一般的な動画撮影カメラで撮影した画像を、再生機器によって画像解析して、本実施形態と同様な再生表示を行っても良い。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態について、図9および図10を用いて説明する。第1実施形態は、図3に示したように、予めパノラマ状の背景画像27を生成し、その中で移動体が移動する様子を表示していた。第2実施形態では、移動体の動きに合わせて、図9に示すように、背景画像が延びていくようにしている。
【0059】
すなわち、人物24の移動に合わせ、図9(a)〜(c)に示すように、背景画像27a〜27cを順次延ばしていく。このような表示方法は、移動体が移動した道程を表示するときに有効であり、移動した先に何があるか、最初は分からないというスリリングな効果を味わうことができる。
【0060】
この第2実施形態の構成は、図1に示したものと同様であり、図7に示したフローチャートの代わりに、図10に示す背景画像合成のフローチャートを実行する。
【0061】
この背景画像合成のフローは、図7に示したフローと殆ど同じであり、ステップS16における各コマ、共通部域記録に代えて、ステップS17の第1バッファ画像合成を行っている。第1実施形態においては、全ての部分背景画像25a、25bを生成した後、これらを合成して、背景画像27を生成した。しかし、第2実施形態においては、部分背景画像が生成される都度、そのときまでに生成された部分背景画像で合成するようにしている。
【0062】
なお、ステップS18における終了か否かの判定は、第1実施形態においては、全ての部分背景画像によって背景画像27が生成されたかを判定していたが、第2実施形態においては、部分背景画像が生成されると一旦終了し、動画表示を行う。1コマ分の動画表示を行うと、背景画像合成に戻り、以後、動画表示と背景画像合成を繰り返す。
【0063】
以上、説明したように、本発明の各実施形態によれば、連続して撮影される画像コマに基づいて背景画像を生成し、画像コマと背景画像が共通する部分を検出し、この共通部分に連続撮影された画像コマを、順次、置き換えて動画を合成している。このため、特別な広角レンズなどを用意せずとも、パノラマのような広がり感を表現すると共に、雄大な背景画像の中で、被写体の動きを表現することができる。すなわち、風景の広がりと、移動体の動きの様子を同時に表現した画像表示を可能とすることができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、カメラで撮影し、この撮影した画像を再生表示するようにしていた。しかし、これに限らず、カメラは撮影と動画記録だけとし、再生機器において、本実施形態のようにパラノラマ風の背景画像の中で、移動体が移動するように再生表示するようにしても良い。この場合には、記録された動画の画像データを順次読出し、第1バッファ5a、第2バッファ5bに一時記憶および転送を行い、この一時記憶した画像データを用いて本発明の実施形態と同様に処理すればよい。
【0065】
また、動画としては、テレビや映画のような自然の動きのある画像のみならず、コマ撮り撮影や連写などの連続的に撮影される画像でも、勿論、本発明を適用することができる。
【0066】
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、動画等の連続撮影機能を有するデジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画専用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、連続して画像を取得することのできる撮影機器であれば、本発明を適用することができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るカメラにおいて、動画撮影された画像の各コマの画像を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおいて、背景画像の中で被写体が動いていく様子を示す動画であり、(a)は初期の段階での画像であり、(b)は(a)より後の画像である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおいて、背景画像の生成を説明する 図であり、(a)は最初のコマの画像であり、(b)は次のコマの画像であり、(c)は両画像の共通部(部分背景画像)を抽出した図であり、(d)は、(b)と同じ次のコマの画像であり、(e)は更に次の画像であり、(f)は次のコマと更に次のコマの2つの画像の共通部(部分背景画像)を抽出した図であり、(g)は共通部(部分背景画像)を合成した図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるカメラにおいて、動画の生成方法を説明する図であり、(a)は背景画像の図であり、(b)(c)は背景画像の一部を、動画を構成するコマ画像に置き換えて動画を生成することを説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるカメラにおいて、動画の生成方法を説明する図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおける背景画像合成のフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係わるカメラにおける動画表示のフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態におけるカメラにおいて、背景画像を示す図であり、(a)〜(c)は順次背景画像が延びていく様を示す。
【図10】本発明の第2実施形態に係わるカメラにおける背景画像合成のフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1・・・制御部、2・・・レンズ、3・・・撮像部、4・・・動き判定部、5a・・・第1バッファ、5b・・・第2バッファ、5c・・・類似抽出部、5d・・・第3バッファ、5e・・・余白部、6・・・画像処理部、7a・・・合成部、7b・・・動画合成部、8・・・表示部、9a・・・動画記録部、9b・・・背景記録部、10・・・カメラ、21a〜21e・・・コマ画像、22・・・山並み、23・・・木、24・・・人物、24a・・・人物の部分、25a〜25b・・・部分背景画像(共通部分)、26a〜26b・・・余白部(糊代部)、27・・・背景画像、27a〜27c・・・背景画像、27e・・・背景画像の一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかを検出する動き判定部と、
先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定する共通部画像判定部と、
上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像とを合成した画像を得るための背景合成部と、
を具備したことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記カメラは、上記隣接部を先に得られた共通部画像と重ねて合成するための糊代部とすることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記カメラは、
上記連続して撮影される画像コマを記録する連続画像記録部と、
上記背景合成部で合成された画像を記録する背景画像記録部と、
上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次類似画像部分を置き換えて合成した画像を順次表示する表示制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
連続して取得される画像コマを記録する連続画像記録部と、
上記連続撮影時で得られた共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、
上記背景合成結果を記録する背景画像記録部と、
上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次類似画像部分を置き換えて合成した画像を順次表示する表示制御部と、
を具備したことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
視野を移動させながら連続して撮影された画像コマの先に撮影された画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記視野移動の後ろ方向の共通部画像を判定する共通部画像判定部と、
上記先に取得した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像とを合成した画像を得るための背景合成部と、
を具備したことを特徴とする画像再生装置。
【請求項6】
連続して取得される画像コマを記録する連続画像記録部と、
上記連続撮影時で得られた共通部画像を合成した画像を得るための背景合成部と、
上記背景合成結果を記録する背景画像記録部と、
上記背景記録部と、上記連続画像記録部の画像を比較して、逐次類似画像部分を置き換えて合成した画像を順次表示する表示制御部と、
を具備したことを特徴とする画像再生装置。
【請求項7】
連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかの方向を判定し、
先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定し、
上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像とを合成した画像を背景合成することを特徴とする画像合成方法。
【請求項8】
連続して取得される画像コマを記録し、
上記連続撮影時に得られた共通部画像を合成して記録し、
上記記録された合成画像と、上記連続画像記録部の画像を比較して、類似画像部分を逐次置き換えて合成した画像を順次表示することを特徴とする画像合成方法。
【請求項9】
連続撮影時に、撮影視野がどちらに移動しているかの方向を判定するステップと、
先に撮影した画像コマと、後から撮影された画像コマを比較して、類似でない部分は抽出せず、上記類似でない部分の上記移動方向の後ろ方向の共通部画像を判定するステップと、
上記先に撮影した画像コマの上記後ろ方向の隣接部と、上記共通部画像とを合成した画像を背景合成するステップと、
を有することを特徴とする画像合成プログラム。
【請求項10】
連続して取得される画像コマを記録するステップと、
上記連続撮影時に得られた共通部画像を合成して記録するステップと、
上記記録された合成画像と、上記連続画像記録部の画像を比較して、類似画像部分を逐次置き換えて合成した画像を順次表示する表示ステップと、
を具備したことを特徴とする画像合成プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−62850(P2013−62850A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245677(P2012−245677)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2008−213816(P2008−213816)の分割
【原出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】