説明

カメラモジュール、製造装置、及び製造方法

【課題】カメラのレンズを駆動するためのアクチュエータとプリント基板との接続を省スペースで実現する。
【解決手段】撮像センサは、レンズとレンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有し、導電性部材は、駆動部と接続され、駆動部に電力を供給し、プリント基板には、撮像センサ及び導電性部材が配置され、封止樹脂は、導電性部材のうち、駆動部と接続される接続部分、及び受光面が露出された状態で、撮像センサ及び導電性部材を封止することにより形成される。本開示は、例えば、撮像センサを有するカメラモジュール等に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラモジュール、製造装置、及び製造方法に関し、特に、例えば、カメラのレンズを駆動するためのアクチュエータとプリント基板との接続を省スペースで実現するようにしたカメラモジュール、製造装置、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリント基板上に接着されたイメージセンサの受光面のみが露出するように、プリント基板とイメージセンサとを樹脂で封止(密封)した固定焦点型のカメラモジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−296453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定焦点型のカメラモジュールでは、受光面で受光される光を集光するレンズが固定されているため、レンズを駆動させる必要がない。
【0005】
これに対して、例えば、カメラモジュールにおいて、レンズを駆動させるようにして合焦を行うオートフォーカスや、手振れに合わせてレンズを駆動させるようにして、手振れの影響を低減する手振れ補正を実現する場合、レンズを駆動させるためのアクチュエータとプリント基板との電気的な接続を考えなければならない。
【0006】
しかしながら、上述の固定焦点型のカメラモジュールでは、レンズを駆動させる必要がないため、アクチュエータとプリント基板との電気的な接続については開示されていない。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カメラのレンズを駆動するためのアクチュエータとプリント基板との接続を省スペースで実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の側面のカメラモジュールは、レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサと、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材と、前記撮像センサ及び前記導電性部材が配置された板状部材と、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成される封止部材とを含むカメラモジュールである。
【0009】
前記板状部材には、前記撮像センサを覆うようにして前記レンズユニットが配置され、前記接続部分及び前記受光面では、前記レンズユニットと対向する、前記封止部材の面で露出されるようにすることができる。
【0010】
前記撮像センサの前記受光面を覆い、前記レンズユニットからの光を透過させる透光性部材をさらに設けることができ、前記封止部材は、前記接続部分、及び前記透光性部材で覆われた前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成することができる。
【0011】
前記撮像センサでは、前記撮像センサを貫通して形成される貫通電極、又は前記撮像センサに密着して形成される密着電極の少なくとも一方により、前記板状部材と電気的に接続されるようにすることができる。
【0012】
本開示の第1の側面によれば、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材が封止されることにより封止部材が形成される。
【0013】
本開示の第2の側面の製造装置は、レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置部と、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止部とを含む製造装置である。
【0014】
本開示の第2の側面の製造方法は、カメラモジュールを製造する製造装置の製造方法であって、前記製造装置による、レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置ステップと、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止ステップとを含む製造方法である。
【0015】
本開示の第2の側面によれば、レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材が配置され、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材が封止される。
【発明の効果】
【0016】
本開示における第1の側面によれば、カメラのレンズを駆動するための駆動部と導電性部材との接続を省スペースで実現できるので、カメラモジュールを小型化することが可能となる。
【0017】
また、本開示における第2の側面によれば、カメラのレンズを駆動するための駆動部と導電性部材との接続を省スペースで実現することにより小型化されたカメラモジュールを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】カメラモジュール製造処理の概要を説明するための第1の図である。
【図2】カメラモジュール製造処理の概要を説明するための第2の図である。
【図3】カメラモジュール製造処理により製造されるカメラモジュールの一例を示す図である。
【図4】カメラモジュールを製造する製造装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】製造装置が行うカメラモジュール製造処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示における実施の形態(以下、本実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本実施の形態
2.変形例
【0020】
<1.本実施の形態>
図1及び図2は、カメラモジュールを製造する製造方法の概要を示している。
【0021】
この製造方法は、1枚の板状部材を形成する複数のプリント基板211乃至21Nを対象として行われる。以下、複数のプリント基板211乃至21Nをそれぞれ区別する必要がない場合、複数のプリント基板211乃至21Nを、単に、プリント基板21n(n=1,2,…,N)という。
【0022】
最初に、図1Aに示されるように、プリント基板21n上に、図示せぬ表面実装部品とともに、導電性部材41n及び42nを配置する。なお、導電性部材41n及び42nは、例えば、プリント基板21n上に設けられた、電力を供給する電力線と接続されるように配置される。
【0023】
そして、図1Bに示されるように、プリント基板21n上の中央に撮像センサ61を配置して接着するダイボンドを行う。なお、撮像センサ61は、撮像素子の受光面を有し、その受光面は、透光性部材61aで覆われている。
【0024】
ダイボンドが行われた後、図1Cに示されるように、プリント基板21n上のインナーリード(図示せず)と、撮像センサ61上の電極パッド(図示せず)とを、金属線811乃至818及び金属線821乃至828で接続するワイヤボンディングを行う。
【0025】
ワイヤボンディングが行われた後、図2Dに示されるように、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面が露出するように、封止樹脂101でプリント基板21n上の各部品(例えば、撮像センサ61や、図示せぬ表面実装部品、導電性部材41n、導電性部材42n等)を封止する。
【0026】
なお、封止樹脂101でプリント基板21n上の各部品を封止する方法としては、例えば、モールド成型(金型等の鋳型を用いた成型)された封止樹脂101を、図2Dに示されるように、プリント基板21n上に配置する方法を採用することができる。
【0027】
その他、例えば、液状の封止樹脂101を、プリント基板21n上に流し込み、熱を加える等の処理を施すことにより固体化させるようにして、プリント基板21n上に配置する方法を採用してもよい。
【0028】
ここで、封止樹脂101としては、例えば、黒色の樹脂が使用され、遮光性を有する。このため、例えば、金属線811乃至818及び金属線821乃至828に入射される光が反射して、撮像センサ61の受光面で受光されることにより、撮像センサ61で生成される撮像画像にゴースト等が生じる事態を防止できる。なお、封止樹脂101ではなく、樹脂以外の材質を用いて、プリント基板21n上の各部品を封止するようにしてもよい。
【0029】
プリント基板21nの表面が封止樹脂101で覆われた後、1枚の板状部材を、複数のプリント基板211乃至21Nに分割(切断)する個片化(シンギュレーション)を行う。
【0030】
なお、個片化を行うタイミングは、プリント基板21nの表面を封止樹脂101で覆った後に限定されず、任意のタイミングで行うことができる。すなわち、例えば、プリント基板21n上に、導電性部材41n及び42nを配置した後などに、個片化を行うようにしてもよい。
【0031】
個片化が行われた後、図2Eに示されるように、レンズユニット121を、接着剤等を用いて、封止樹脂101上に接着する。また、レンズユニット121の接続端子141及び142の一端を、それぞれ、プリント基板21n上の導電性部材41n及び42nと接続する。これにより、カメラモジュール161が製造される。
【0032】
なお、レンズユニット121は、図2Eに示されるように、図中上側に、光線の入射口となる開口部121aを有する筐体の形状とされる。また、レンズユニット121の筐体内には、オートフォーカスや手振れ補正時に駆動される複数のレンズ、及び複数のレンズを駆動するアクチュエータが設けられている。このアクチュエータは、接続端子141及び142の他端と接続されている。
【0033】
[カメラモジュール161の構成例]
次に、図3は、上述の製造方法により製造されるカメラモジュール161の断面図を示している。
【0034】
このカメラモジュール161は、主に、プリント基板21n、導電性部材41n及び42n、撮像センサ61、透光性部材61a、封止樹脂101、及びレンズユニット121から構成される。
【0035】
なお、図1及び図2において、プリント基板21n、導電性部材41n及び42n、撮像センサ61、透光性部材61a、並びに封止樹脂101を説明しているため、それらの説明は、以下、適宜、省略する。
【0036】
すなわち、図3では、レンズユニット121の内部構造について説明する。
【0037】
レンズユニット121は、図3に示されるような筐体であり、その筐体内に、複数のレンズ181乃至183、及び複数のレンズ181乃至183を駆動させるためのアクチュエータ184が設けられている。なお、レンズユニット121により集光された光は、透光性部材61aを透過して撮像センサ61上の受光面で受光される。
【0038】
レンズ181乃至183は、それぞれ、オートフォーカスや手振れ補正時に、アクチュエータ184により駆動される。なお、レンズユニット121の底面(開口部121aが設けられている面とは反対側の面)には、赤外線カットフィルタ185が設けられている。
【0039】
アクチュエータ184には、導電性部材41n及び42nそれぞれと接続される接続端子141及び142が接続されている。
【0040】
アクチュエータ184は、プリント基板21nから導電性部材42n(41n)、及び接続端子142(141)を介して供給される電力により、レンズ181乃至183を駆動する。
【0041】
なお、接続端子141及び142は、例えば、図3に示されるように、導電性部材41n及び42nそれぞれと、はんだ186により電気的に接続される。なお、はんだ186に代えて、導電性接着剤を用いるようにしてもよい。
【0042】
ところで、接続端子141は、例えば、レンズユニット121の側面(図中左側の面)からではなく、レンズユニット121の筐体の底面(図中下側の面)から引き出されるようにしている。
【0043】
これにより、例えば、レンズユニット121の側面(図中左側の面)から、図中左側に接続端子141が引き出されている場合と比較して、接続端子141の分だけ、カメラモジュール161を小型化することが可能となる。
【0044】
また、導電性部材42n(41n)の接続面は、例えば、プリント基板21nの側面(図中左側の面)ではなく、撮像センサ61を覆うようにして配置されたレンズユニット121と対向するプリント基板21n(封止樹脂101)上の面(図中上側の面)で露出されるようにしている。
【0045】
これにより、例えば、導電性部材42n(41n)の接続面を、プリント基板21nの側面(図中左側の面)で露出したために、プリント基板21nの側面に接続端子141が接続されている場合と比較して、プリント基板21nの側面で配線される接続端子141の分だけ、カメラモジュール161を小型化することが可能となる。
【0046】
ところで、プリント基板21nにおいて、撮像センサ61及び透光性部材61aの厚さ(図中上下方向の高さ)と、導電性部材42n(41n)の厚さ(高さ)とが一致するようにしている。そして、図3に示したように、封止樹脂101を、プリント基板21nの表面から、導電性部材42n(41n)の高さまで設けるようにしている。
【0047】
しかしながら、封止樹脂101の形状は、図3に示したような形状に限定されず、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面が露出するような形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0048】
また、例えば、導電性部材42n(41n)の厚さが、撮像センサ61及び透光性部材61aの厚さと異なる場合等にも、同様にして、封止樹脂101は、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面が露出するような形状とされる。
【0049】
したがって、カメラモジュール161の製造時において、封止樹脂101により、導電性部材41n等が埋もれることがない。
【0050】
なお、封止樹脂101から、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面を露出させるようにするためには、以下の方法も考えられる。
【0051】
すなわち、例えば、導電性部材42n(41n)の厚さに拘わらず、封止樹脂101を、撮像センサ61及び透光性部材61aの厚さまで設けるようにする。そして、封止樹脂101により導電性部材42n(41n)が埋もれる場合には、封止樹脂101に埋もれた導電性部材42n(41n)を露出させるために、ダイシングブレードを用いて、封止樹脂101を切断するという露出方法が考えられる。
【0052】
しかしながら、この露出方法では、封止樹脂101に埋もれた導電性部材42n(41n)を露出させるために、ダイシングブレードを用いて、封止樹脂101を切断する工程が新たに必要となり、カメラモジュール161の生産性が低下する。
【0053】
また、この露出方法では、ダイシングブレードを用いて、封止樹脂101の他、導電性部材42n(41n)も切断されるために発生するダスト(埃)を除去する工程も必要となってしまう。
【0054】
さらに、発生したダストの付着により、カメラモジュール161の性能が低下する事態が生じ得る。
【0055】
したがって、本開示におけるカメラモジュール161では、封止樹脂101の形状を、導電性部材41nが封止樹脂101に埋もれないような形状とするようにして、新たな工程が生じる事態を防止するようにしている。
【0056】
このため、封止樹脂101に埋もれた導電性部材42n(41n)を露出させるために、ダイシングブレードを用いて切断する等の新たな工程が発生しないので、カメラモジュール161の生産性が低下することがない。
【0057】
また、カメラモジュール161では、封止樹脂101に埋もれた導電性部材42n(41n)を露出させるために、ダイシングブレードを用いて切断する新たな工程が発生しないので、歩留の低下や、ダストの付着を抑制することができる。なお、歩留とは、製造過程において、原材料等の投入量に対して製品として実際に活用される分量を表す。
【0058】
さらに、カメラモジュール161では、ダストの付着を抑制できるようになるので、ダストの付着による性能の低下を抑止することが可能となる。
【0059】
[カメラモジュール161を製造する製造装置201の一例]
次に、図4は、カメラモジュール161を製造する製造装置201の構成例を示している。
【0060】
この製造装置201は、部品配置部221、ワイヤボンド部222、封止部223、レンズユニット配置部224、制御部225、記憶部226、及び操作部227から構成される。なお、図4において、実線で示される矢印は、信号線を表しており、点線で示される矢印は、制御線を表している。
【0061】
部品配置部221は、制御部225からの制御にしたがって、プリント基板21n上に、表面実装部品とともに、導電性部材41n及び42nを配置し、受光面が透光性部材61aで覆われた撮像センサ61のダイボンドを行う。
【0062】
ワイヤボンド部222は、例えば、加熱ヒータ、超音波発振子、及びサンプルステージ等により構成されており、制御部225からの制御にしたがって、プリント基板21nと撮像センサ61とのワイヤボンディングを行う。
【0063】
封止部223は、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面が露出するように、封止樹脂101でプリント基板21n上の各部品を封止する。
【0064】
レンズユニット配置部224は、プリント基板21nの表面が封止樹脂101で覆われた後のプリント基板21nに、レンズユニット121を配置して接着する。そして、レンズユニット配置部224は、レンズユニット121の接続端子141及び142の一端を、それぞれ、プリント基板21n上の導電性部材41n及び42nと接続する。
【0065】
制御部225は、例えば、CPU(central processing unit)等により構成されており、操作部227からの操作信号にしたがって、部品配置部221、ワイヤボンド部222、封止部223、及びレンズユニット配置部224を制御する。
【0066】
記憶部226は、例えばハードディスク等であり、制御部225により実行される制御用プログラムを予め記憶している。また、記憶部226は、制御部225により書き込みが指示されたデータを書き込み(記憶し)、読み出しが指示されたデータを読み出す。なお、制御用プログラムは、例えば、インターネット等のネットワークを介して更新したり、新たな制御用プログラムを記録した記録媒体を用いて更新することができる。
【0067】
操作部227は、操作者により操作されるボタン等により構成されており、操作者により操作され、その操作に対応した操作信号を、制御部225に供給する。例えば、操作者が、操作部227を用いて、カメラモジュール161の製造を指示するユーザ操作等を行ったことに対応して、製造装置201においてカメラモジュール161の製造が開始される。
【0068】
[製造装置201の動作説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、製造装置201が行うカメラモジュール製造処理の一例について説明する。
【0069】
このカメラモジュール製造処理は、例えば、操作者が、製造装置201の操作部227を用いて、カメラモジュール161の製造を指示する指示操作を行ったときに開始される。このとき、操作部227は、操作者からの指示操作に対応する操作信号を、制御部225に供給する。制御部225は、操作部227からの操作信号に基づいて、部品配置部221、ワイヤボンド部222、封止部223、及びレンズユニット配置部224を制御して、カメラモジュール161を製造させる。
【0070】
すなわち、ステップS21において、部品配置部221は、図1Aに示されるように、プリント基板21n上に、図示せぬ表面実装部品とともに、導電性部材41n及び42nを配置する。
【0071】
ステップS22において、部品配置部221は、撮像センサ61の受光面上に透光性部材61aを配置して、撮像センサ61の受光面を、透光性部材61aで覆う。
【0072】
ステップS23において、部品配置部221は、図1Bに示されるように、撮像センサ61のダイボンドを行う。
【0073】
ステップS24において、ワイヤボンド部222は、図1Cに示されるように、プリント基板21n上のインナーリード(図示せず)と、撮像センサ61上の電極パッド(図示せず)とを、金属線811乃至818及び金属線821乃至828で接続するワイヤボンディングを行う。これにより、プリント基板21nと撮像センサ61とが、電気的に接続される。
【0074】
ステップS25において、封止部223は、図2Dに示されるように、プリント基板21n上の導電性部材41n、導電性部材42n及び透光性部材61aの表面が露出するように、封止樹脂101でプリント基板21nの表面を覆う。
【0075】
ステップS26において、レンズユニット配置部224は、図2Eに示されるように、封止樹脂101が配置されたプリント基板21nに、レンズユニット121を配置して接着する。
【0076】
そして、レンズユニット配置部224は、レンズユニット121の接続端子141及び142の一端を、それぞれ、プリント基板21n上の導電性部材41n及び42nと電気的に接続する。これにより、カメラモジュール161が製造され、カメラモジュール製造処理は終了される。
【0077】
以上説明したように、カメラモジュール製造処理によれば、例えば、図3に示したようなカメラモジュール161を製造することが可能となる。
【0078】
また、カメラモジュール製造処理によれば、表面実装部品と同時に、導電性部材41n及び42nも配置するようにした。
【0079】
このため、表面実装部品を配置する工程(ステップ)に加えて、新たに、導電性部材41n及び42nを配置する工程を追加する必要がないので、コストを増加させることなく、比較的、小型のカメラモジュール161を製造することが可能となる。
【0080】
また、カメラモジュール製造処理では、封止樹脂101に埋もれた導電性部材41nを露出させるために、ダイシングブレードを用いて切断する等の新たな工程を追加する必要がないので、歩留の低下や、ダストの付着を抑制することができる。また、ダストの付着を抑制できるようになるので、ダストの付着によるカメモジュール161の性能の低下を抑止することが可能となる。
【0081】
<2.変形例>
カメラモジュール製造処理では、ステップS21において、プリント基板21nに導電性部材41n及び42nを配置した後、ステップS25において、導電性部材41n及び42nの表面が露出するように、封止樹脂101を配置するようにしている。
【0082】
しかしながら、その他、例えば、カメラモジュール製造処理において、ステップS21の処理を、ステップS25の処理の終了後に行うようにしてもよい。
【0083】
すなわち、例えば、ステップS25の処理の終了後、封止樹脂101にレーザ等を照射して封止樹脂101の一部分を貫通させる(一部分に穴を開ける)ようにして、プリント基板21n上の、導電性部材41n及び42nを配置すべき部分を露出させる。
【0084】
そして、ステップS21の処理として、プリント基板21n上の、導電性部材41n及び42nを配置すべき部分に、導電性部材41n及び42nを配置する処理を行なうようにし、その後、ステップS26の処理を行うようにすることができる。
【0085】
また、例えば、カメラモジュール161では、撮像センサ61を、ワイヤボンディングにより、プリント基板21n上のインナーリードと電気的に接続させるようにした。しかしながら、撮像センサ61とプリント基板21n上のインナーリードとの接続方法は、これに限定されない。
【0086】
すなわち、例えば、撮像センサ61を貫通するように形成された貫通電極(例えば、TSV(through-silicon via)等)を、プリント基板21n上のインナーリードと電気的に接続するようにしてもよい。
【0087】
この場合、ワイヤボンディングにより接続する場合のように、金属線が撮像センサ61を中心として放射状に配線されることがないので、プリント基板21nに撮像センサ61等を配置するための面積を小とすることができる。
【0088】
したがって、例えば、貫通電極を用いる場合には、金属線を用いてワイヤボンディングを行う場合と比較して、プリント基板21nのサイズを小さくできるので、カメラモジュール161のサイズ(大きさ)を小型化することができる。
【0089】
その他、例えば、撮像センサ61の側面(図3の水平方向に存在する面)等に、金属線を電極として密着させ、密着させた電極により、撮像センサ61とプリント基板21nとを電気的に接続するようにしてもよい。
【0090】
この場合、図1Cに示されるようにしてワイヤボンディングにより接続する場合と比較して、プリント基板21n上のインナーリードを、撮像センサ61の近くに設けることができるようになるので、プリント基板21nのサイズを小さくできる。よって、例えば、金属線としての電極を密着させるようにした場合には、ワイヤボンディングを行う場合と比較して、カメラモジュール161のサイズを小型化できる。
【0091】
また、例えば、貫通電極と、撮像センサ61の側面等に密着させる電極とを併用して用いるようにして、カメラモジュール161のサイズを小型化することも可能である。
【0092】
なお、本実施の形態では、図3に示されるようなカメラモジュール161について説明したが、その他、例えば、カメラモジュール161において、透光性部材61aを省くように構成することができる。この場合、封止樹脂101の形状は、導電性部材41n及び42nの接続面(接続端子141及び142と接続される面)と撮像センサ61の表面とが露出する形状とされる。
【0093】
また、本実施の形態では、電気的な接続(例えば、撮像センサ61とプリント基板21nとの接続)に、金属線を用いるようにしたが、電気的な接続に用いる部材は、金属線に限定されず、導電性の材質であれば、どのようなものであってもよい。また、必ずしも線である必要もない。
【0094】
さらに、本実施の形態では、導電性部材41n及び42nが、それぞれ、プリント基板21nの表面から同じ高さとなるようにしたが、導電性部材41nと導電性部材42nとは、異なる高さとされていてもよい。この場合、封止樹脂101の形状は、異なる高さとされた導電性部材41n及び42nの接続面と、透光性部材61aの表面が露出する形状とされる。
【0095】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサと、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材と、前記撮像センサ及び前記導電性部材が配置された板状部材と、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成される封止部材とを含むカメラモジュール。
(2)前記板状部材には、前記撮像センサを覆うようにして前記レンズユニットが配置され、前記接続部分及び前記受光面は、前記レンズユニットと対向する、前記封止部材の面で露出される前記(1)に記載のカメラモジュール。
(3)前記撮像センサの前記受光面を覆い、前記レンズユニットからの光を透過させる透光性部材をさらに含み、前記封止部材は、前記接続部分、及び前記透光性部材で覆われた前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成される前記(1)又は(2)に記載のカメラモジュール。
(4)前記撮像センサは、前記撮像センサを貫通して形成される貫通電極、又は前記撮像センサに密着して形成される密着電極の少なくとも一方により、前記板状部材と電気的に接続される前記(1)乃至(3)に記載のカメラモジュール。
(5)レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置部と、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止部とを含む製造装置。
(6)カメラモジュールを製造する製造装置の製造方法において、前記製造装置による、レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置ステップと、前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止ステップとを含む製造方法。
【0096】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0097】
また、本開示の実施の形態は、上述した本実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
21n プリント基板, 41n,42n 導電性部材, 61 撮像センサ, 61a 透光性部材, 811乃至818,821乃至828 金属線, 101 封止樹脂, 121 レンズユニット, 121a 開口部, 141,142 接続端子, 161 カメラモジュール, 181乃至183 レンズ, 184 アクチュエータ, 185 赤外線カットフィルタ, 201 製造装置, 221 部品配置部, 222 ワイヤボンド部, 223 樹脂封止部, 224 レンズユニット配置部, 225 制御部, 226 記憶部, 227 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサと、
前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材と、
前記撮像センサ及び前記導電性部材が配置された板状部材と、
前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成される封止部材と
を含むカメラモジュール。
【請求項2】
前記板状部材には、前記撮像センサを覆うようにして前記レンズユニットが配置され、
前記接続部分及び前記受光面は、前記レンズユニットと対向する、前記封止部材の面で露出される
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記撮像センサの前記受光面を覆い、前記レンズユニットからの光を透過させる透光性部材をさらに含み、
前記封止部材は、前記接続部分、及び前記透光性部材で覆われた前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止することにより形成される
請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記撮像センサは、前記撮像センサを貫通して形成される貫通電極、又は前記撮像センサに密着して形成される密着電極の少なくとも一方により、前記板状部材と電気的に接続される
請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置部と、
前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止部と
を含む製造装置。
【請求項6】
カメラモジュールを製造する製造装置の製造方法において、
前記製造装置による、
レンズと前記レンズを駆動する駆動部とからなるレンズユニットにより集光された光を受光する受光面を有する撮像センサが配置される板状部材に、前記駆動部と接続され、前記駆動部に電力を供給する導電性部材を配置する配置ステップと、
前記導電性部材のうち、前記駆動部と接続される接続部分、及び前記受光面が露出された状態で、前記撮像センサ及び前記導電性部材を封止する封止ステップと
を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38628(P2013−38628A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173694(P2011−173694)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】