説明

カメラモジュールソケット

【課題】コンタクト間の配置ピッチを小さくすることができ、一つの工程で完成させることが可能である接触圧の設定が容易なカメラモジュールソケットの提供。
【解決手段】カメラモジュール収容部50の底板40をコンタクト20と連結部材30で構成し、コンタクト20は略帯状薄板を折り返して形成し、折り返された一方の外部接続端子24を有する固定側コンタクト片22を連結部材で保持し、他方の可動側コンタクト片23にはカメラモジュールの出力端子パッドに接触する弾性接触部27を形成し、隣り合ったコンタクト20の間にはコンタクト20を保持する連結部材30の一部のみが介在する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の電子機器に用いるカメラモジュールを電子機器に取り付ける際に用いるカメラモジュールソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子機器に使用される撮像素子を有するカメラモジュールは、電子機器の電気回路基板に実装されたカメラモジュールソケットに組み込まれて使用されるのが一般的である。そして近年、携帯電話等の高機能化に伴いカメラモジュールに高い撮像機能が求められると同時に、小型化およびコストの削減も求められており、これに対応するカメラモジュールソケットの開発が要求されている。
【0003】
これらの要求を満たすものとして開発された従来例の一つとして図7および図8に示すカメラモジュールソケット010がある。カメラモジュールソケット010は略角筒状に形成された外周フレーム020と、その筒状部の一方を塞ぐ底板部030からなり、外周フレーム020と底板部030とによってカメラモジュールを組み入れる開口部040が形成され、開口部040には外周フレーム020から弾性変形可能でありカメラモジュールが組み込まれた際に保持を行うラッチ部021が設けられ、底板部030には開口部方向に折曲されカメラモジュールが組み入れられた際にカメラモジュールの出力端子パッドに弾性接触することとなる接触片部031、および接触片部031から連続しモジュールソケットがプリント配線基板に実装される際に半田による接続が行われる出力端子部032とからなる複数のコンタクト033が備えられ、それらコンタクト033を整列し一体に形成するための連結部材034によって底板部030が形成されるものである。
【0004】
そして、この開口部040に組み入れられたカメラモジュールはラッチ部021によって保持され、カメラモジュールの底面に配置された出力端子パッドに接触片部031が接触し、出力端子部032と電気回路基板との接続を介してカメラモジュールと電子機器の間の電気信号のやり取りが可能となるものである。
【0005】
また、その他の従来例として特開2000−276624号公報に示すカメラモジュールソケットがある。コンタクトを、モジュールソケットの外形を形成するソケットハウジングに挿入し、コンタクト配置を工夫することにより小型化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−276624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7および図8に示す従来例では、底板部030を構成するコンタクト033は接触片部031が出力端子部032を含む枠状部035から切り起こされているため、連結部材034によって複数のコンタクト033が整列した際には、隣り合ったコンタクト033の間には枠状部035を形成する2本の梁036が存在することとなり、これによってコンタクト間の間隔は大きなものとなっていた。
【0008】
また、接触片部031は枠状部035の一端から切り起こされているため、接触片部031の長さはコンタクトの長さよりも小さなものとなり、故に接触片部031の弾性力を一定に設定するためには一定のコンタクト033の長さが必要となり、これによってカメラモジュールソケット010の外形が制限されるという問題点を有していた。
【0009】
そこで本発明は、上述の問題を鑑み、カメラモジュールの小型化に対応でき、且つカメラモジュールの高機能化に伴う出力端子パッド数の増加に対しても対応可能である部品点数の少ない低コストなカメラモジュールソケットの提供を目的としたのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この従来の問題を解決するために、請求項1記載のカメラモジュールソケットは、略角筒状のシールド周壁部材と底板からなるカメラモジュール収容部を有し、前記底板は複数のコンタクトと該コンタクトを保持する連結部材からなるカメラモジュールソケットにおいて、前記コンタクトは、折り返し部と、該折り返し部にて折り返された一方側である固定側コンタクト片と、他方側である可動側コンタクト片とからなり、前記固定側コンタクト片は、前記連結部材に前記固定側コンタクト片の左右両側辺が保持され、前記折り返し部の反対側に位置する端部には電気回路基板に接続される外部接続端子が形成され、前記可動側コンタクト片には、カメラモジュール収容部にカメラモジュールが組み入れられた状態において弾性変形しカメラモジュールの出力端子パッドに弾性接触する弾性接触部が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載のカメラモジュールソケットは、請求項1の構成に加え、前記連結部材の形成、および前記固定側コンタクト片の左右両側辺の保持は一体成形によるものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載のカメラモジュールソケットは、請求項1又は請求項2の構成に加え、前記固定側コンタクト片は、前記外部接続端子側に寄った前記左右両側片の一部が前記連結部材によって保持されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載のカメラモジュールソケットは、請求項1、請求項2又は請求項3の構成に加え、前記コンタクトの前記外部接続端子と前記弾性接触部の位置関係は、カメラモジュールが組み入れられる方向において、前記外部接続端子が前記弾性接触部のほぼ真下に位置する関係にあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によると、コンタクトの保持が、連結部材による固定側コンタクト片の左右両側辺の保持によってなされる構造であるため、隣り合ったコンタクトの間には連結部材の一部のみが介在するだけとなり、これによって隣り合うコンタクト間の距離、すなわちコンタクトの配置ピッチを小さく設定でき、カメラモジュールソケットの小型化、および多くのコンタクトの設置が可能となる。またコンタクトは、折り返し部を有した形状であるため弾性変形可能な範囲を大きくとることができ、これによってカメラモジュールの出力端子パッドに接触する弾性接触部の接触圧力の設定に大きな自由度を持たせることが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によると、連結部材の形成、および前記固定側コンタクト片の左右両側辺の保持は一体成形によるものであるため、隣り合ったコンタクトの間には連結部材の一部のみが介在するだけとなり、また連結部材は一体成形により成形されることから保持機能を有する最小の大きさに形成することが可能となり、これによって隣り合うコンタクト間の距離をより小さく設定でき、カメラモジュールソケットの小型化および、より多くのコンタクトの設置が可能となる。
【0016】
請求項3の発明によると、固定側コンタクト片は前記外部接続端子側に寄った前記左右両側片の一部が前記連結部材によって保持されているのみであるため、コンタクトの弾性変形可能な範囲はより大きくなり、これによって弾性接触部のカメラモジュールの出力端子パッドへの接触圧力の設定により大きな自由度をもたせることが可能となる。
【0017】
請求項4の発明によると、前記コンタクトの前記外部接続端子と前記弾性接触部の位置関係が、カメラモジュールが組み入れられる方向において、前記外部接続端子が前記弾性接触部のほぼ真下に位置する関係にあることにより、カメラモジュールが組み入れられた際、カメラモジュールの出力端子パッドから弾性接触部に及ぶ接触圧力の作用点と、電気回路基板と接続する外部接続端子の位置とが、底板に平行な平面方向においてほぼ一致することとなり、これによってカメラモジュールの組み込みによって生じる接触圧力が、外部接続端子と電気回路基板との接続強度に荷担することとなり、外部接続端子と電気回路基板との接続がより安定したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るカメラモジュールソケットの正面側斜視図
【図2】本発明に係るカメラモジュールソケットの底面側斜視図
【図3】図1のA−A線における断面図
【図4】図1の一部拡大図
【図5】本発明に係るカメラモジュールに組み込まれるコンタクトの斜視図
【図6】本発明に係るカメラモジュールに形成される連結部材の斜視図
【図7】従来のカメラモジュールソケットの斜視図
【図8】従来のカメラモジュールソケットに組み込まれるコンタクトの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1乃至図6は本発明の実施の形態を示したものであり、図1は本発明に係るカメラモジュールソケットの正面側斜視図、図2は本発明に係るカメラモジュールソケットの底面側斜視図、図3は図1のA−A線における断面図、図4は図1の一部拡大図、図5は本発明に係るカメラモジュールに組み込まれるコンタクトの斜視図、図6は本発明に係るカメラモジュールに形成される連結部材の斜視図である。カメラモジュールソケット01はシールド周壁部材10、コンタクト20、および底板40を形成する連結部材30とからなる。
【0020】
シールド周壁部材10は導電性金属からなる略角筒形状であり、全ての側面15には各々二箇所にカメラモジュールの平面方向のがたつきを抑えるために深さ方向に内側に切り起こされた弾性舌片11が形成され、一組の対向した側面15には弾性舌片11と同様に切り起こされ、組み入れられるカメラモジュールの高さに応じて自由端が外側方向に折り返された弾性変形可能なラッチ形状のストッパー12が形成される。また、各々の側面15の下部の両端には、カメラモジュール(図示せず)が電気回路基板(図示せず)に実装される際に電気回路基板の接地回路パターンに半田付けにて接続される接地端子13が形成されている。さらに一組の対向した側面15の下部の両端には側面15に対してほぼ直角に内側方向に曲げられた底板連結部14が設けられている。
【0021】
コンタクト20は導電性金属からなる略帯状の薄板(例えば厚み0.1mm)を折り返し部21にて断面が略U字状または略V字状となる様に折り返して形成したものであり、折り返し部21にて折り返された一方の略帯状片を固定側コンタクト片22とし、他方の略帯状片を可動側コンタクト片23とするものである。固定側コンタクト片22は、折り返し部21から一定距離の範囲が折り返し部21の幅で形成され、その先連続して折り返し部21の幅よりも大きな幅を有する保持部25が形成される。そして保持部25の先端には折り返し部21における幅よりも小さな幅で形成される外部接続端子24が形成される。また、保持部25の長手両辺には内側方向に広がる形状の保持用切り欠き部26が形成されている。そして可動側コンタクト片23の先端部には断面形状において湾曲状の弾性接触部27が形成されている。
【0022】
連結部材30は絶縁材料からなり、略正方形の平板状に形成され、各辺には各々の辺にほぼ直角方向に形成された複数のスリット31が櫛歯状に形成される。そして、この連結部材30はシールド周壁部材10およびコンタクト20と共に一体成形によって形成され、これによってコンタクト20が連結部材30によって保持されて底板40が形成され、底板40が連結部材30によってシールド周壁部材10の底板連結部14に固定され、これによってカメラモジュール01が完成する。以下にこの一体成形の工程について詳しく説明する。
【0023】
まずシールド周壁部材10の内側に複数のコンタクト20を配置する。この際、組み入れられるカメラモジュールの外形および出力端子パッドの位置に対応してシールド周壁部材10の位置とコンタクト20の弾性接触部27の位置が決定される。さらに各々のコンタクト20は折り返し部21をシールド周壁部材10の側面15に最も接近させ、コンタクト20の長手方向が側面15に対してほぼ直角となるように複数個のコンタクト20が平行に配置される。
【0024】
次に、この状態において連結部材30を成形する金型によって連結部材が形成されると共に、シールド周壁部材10とコンタクト20との一体成形が行われ、コンタクト20が連結部材30に保持され、シールド周壁部材10が底板連結部14において連結部材30に固定されることとなる。
【0025】
なお、一体成形による連結部材30によるコンタクト20の保持は、コンタクト20の保持部25の長手方向の両側辺28が連結部材30の櫛歯状に形成された各々のスリット31の両側にある凸部33によって覆われ密着されることにより行われる。ここで両側辺28が連結部材30によって保持される範囲は適時定められるため、この保持範囲を調整することによりコンタクト20の弾性変形可能な範囲の調整が可能となり、これによりコンタクト20の弾性接触部27と、組み入れられるカメラモジュールの出力端子パッドとの接触圧の設定が容易に行えることとなる。
【0026】
また、このような保持方法により隣り合うコンタクト20の間には、例えれば、接着剤の役目を果たすこととなる連結部材30の凸部33のみが介在するだけとなり、しかも一体成形によって成形される凸部33は保持しろを確保するだけの幅があれば十分であることから、隣り合うコンタクト20の間隔を小さくできるというカメラモジュールソケット01の小型化にとって大きな効果をもたらすこととなる。そして本実施例におけるコンタクト20は、長手方向において折り返し部21から一定距離離れた箇所から外部接続端子の付け根までである保持部25の一部が連結部材30によって保持されているため、コンタクトの弾性変形可能な部分は、可動側コンタクト片23、折り返し部21、および折り返し部21から連結部材30による保持がなされていない一定距離範囲を加えたものとなり、これによって組み込まれるカメラモジュールの出力端子パッドに対する接触圧を大きな自由度をもって設定することが可能となる。
【0027】
次にカメラモジュール01が電気回路基板に実装され、カメラモジュールが組み込まれる状態について説明する。カメラモジュールソケット01は、コンタクト20の外部接続端子24が電気回路基板に載置され半田によって固定される。この際、シールド周壁部材10の接地端子13も電気回路基板の接地パターンに接地することとなり、この箇所でも半田による接続が行われ、カメラモジュールソケット01の電気回路基板への実装が完了する。
【0028】
そして、この状態でカメラモジュールが組み込まれる。カメラモジュールは、カメラモジュールの底面に設けられた各々の出力端子パッドが各々のコンタクト20の弾性接触部27に対応するように開口部50に挿入され、シールド周壁部材10に設けられた弾性舌片11によってカメラモジュールの各側面が押圧されることによりカメラモジュールの平面方向の位置が規制され、ストッパー12の折り曲げ片がカメラモジュールの上面に配置されることによってカメラモジュールが完全に組み入れられることとなる。そして、この状態でカメラモジュールの出力端子パッドはコンタクト20を押圧し弾性変形させ、弾性接触部27が適切な接触圧で出力端子パッドと接触し、これによってカメラモジュールと電気回路基板とがカメラモジュール01を介して導通状態となる。
【0029】
以上、述べたように、本発明はシールド周壁部材10とコンタクト20とを一体成形することのみでカメラモジュールソケット01を完成させるものであり、これにより部品コスト、組み立てコストの削減が可能となる。またコンタクト20を略帯状の薄板を折り曲げにより形成したシンプルな形状とし、各々のコンタクト間には一体成形で形成される連結部材30の一部が介在するだけとしたため、各コンタクトの配置ピッチをより小さくでき、これによってカメラモジュールソケット01の小型化が可能になるものである。
【0030】
なお、本実施例はカメラモジュールを対象としたカメラモジュールソケット01であるが、本発明の構成はカメラモジュール以外の各種モジュールを対象としたソケットにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
01 カメラモジュールソケット
10 シールド周壁部材
11 弾性舌片
12 ストッパー
13 接地端子
14 底面連結部
15 側面
20 コンタクト
21 折り返し部
22 固定側コンタクト片
23 可動側コンタクト片
24 外部接続端子
25 保持部
26 保持用切り欠き部
27 弾性接触部
28 両側片
30 連結部材
31 スリット
32 側片
33 凸部
40 底板
50 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略角筒状のシールド周壁部材と底板からなるカメラモジュール収容部を有し、前記底板は複数のコンタクトと該コンタクトを保持する連結部材からなるカメラモジュールソケットにおいて、前記コンタクトは、折り返し部と、該折り返し部にて折り返された一方側である固定側コンタクト片と、他方側である可動側コンタクト片とからなり、前記固定側コンタクト片は、前記連結部材に前記固定側コンタクト片の左右両側辺が保持され、前記折り返し部の反対側に位置する端部には電気回路基板に接続される外部接続端子が形成され、前記可動側コンタクト片には、カメラモジュール収容部にカメラモジュールが組み入れられた状態において弾性変形しカメラモジュールの出力端子パッドに弾性接触する弾性接触部が形成されていることを特徴とするカメラモジュールソケット。
【請求項2】
前記連結部材の形成、および前記固定側コンタクト片の左右両側辺の保持は一体成形によるものであることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュールソケット。
【請求項3】
前記固定側コンタクト片は、前記外部接続端子側に寄った前記左右両側片の一部が前記連結部材によって保持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカメラモジュールソケット。
【請求項4】
前記コンタクトの前記外部接続端子と前記弾性接触部の位置関係は、カメラモジュールが組み入れられる方向において、前記外部接続端子が前記弾性接触部のほぼ真下に位置する関係にあることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のカメラモジュールソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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