説明

カメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末

【課題】 オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んでも、小型で軽量に構成できるカメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末を提供することが課題である。
【解決手段】 光軸方向に移動可能な第2レンズ保持部と、光軸を中心に略対称的且つ平行に配置した第1軸部材および第2軸部材と、端部に第1及び第2の軸部材と当接する作動部を有すると共に、前記第2レンズ保持部に配置した第1、第2のピエゾ素子とでカメラモジュールを構成し、ピエゾ素子によって第1レンズ保持部と第2レンズ保持部を移動できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末に関し、特に、小型軽量に構成したカメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯電話などの携帯端末に使われるカメラモジュールは、撮像素子(CCD)の高画素化に伴ない、通常の電子カメラ(デジカメ)と同様な、高速、高精度なオートフォーカス(AF)機能や焦点距離の変化(ズーム)機能が要求され、さらに携帯端末そのものの小型化、軽量化によって、必然的にカメラモジュールも小型化、軽量化が望まれている。
【0003】
このようなカメラモジュールに於けるオートフォーカスや焦点距離の変化(ズーム)のためには、レンズ群を光軸方向に移動させることが必要であり、そのため従来では、例えば特許文献1に示されているように、光学系の側面に配置された一つの円筒カムをモータで駆動し、ズームレンズ枠とAFレンズ枠とを駆動するようにしたものや、同じくレンズ枠に隣接して配置した円筒カムをモータにより駆動し、それによってオートフォーカス用レンズ枠とズームレンズ枠とを移動させて、テレとマクロの2点切換をするようにした機構などが用いられている。
【0004】
又円筒カムだけでなく、オートフォーカス用レンズ枠やズーム用レンズ枠をそれぞれに対応したオートフォーカス用リードスクリューやズーム用リードスクリューで駆動するよう構成し、最も被写体側のレンズをケース前面に固定すると共に、これらのリードスクリューをケースにおける一辺の隅に設ける、ケースにレンズ枠のガイド支持部を設ける、さらに、光軸周りの第1象限にズーム用リードスクリューを、第2象限にフォーカス用リードスクリューを、第3象限にレンズ枠のガイドシャフトを配置する、などの構成としたカメラモジュールや、ヘリコイド機構を用いてレンズ群を光軸方向に移動させる機構を有したカメラモジュールなどが存在する。
【0005】
しかしながら、こういった円筒カム、リードスクリュー、ヘリコイドなどを用いた従来のカメラモジュールでは、その駆動源として一般的に回転子を有する電磁モータやパルスモータが用いられているが、こういった回転子を用いた電磁モータは、回転子とその周囲に電磁石や永久磁石が必要であって軸方向長さを短くしたとしても、円柱形状部分が不可欠であるからカメラモジュールを小型化する上でのネックとなり、さらに騒音なども発生する。
【0006】
そこで、こういった電磁モータに於ける欠点を解決するため従来から、レンズ枠を光軸方向へ移動させる駆動源として、電界や磁界の変化に応じて機械的歪みを発生するピエゾ素子(PZT)等の圧電素子で機械振動子を構成し、ロータやスライダをこの機械振動子に接触させて機械振動子の振動を出力として取り出せるようにした摩擦駆動型の駆動源が用いられている。このような摩擦駆動型の駆動源は、低速であるが高トルクで応答性・制御性に優れ、微小な位置決めが可能、無通電時に保持トルク(または保持力)を有する、静粛性に優れる、小型・軽量であるなどの利点を有している。
【0007】
例えば特許文献2及び特許文献3には、レンズ枠駆動の送りネジの端部に圧電素子を接触配置し、歩進的回転を与えるようにしたレンズ移動装置が示され、また特許文献4には、電気信号を印加することで振動する電気−機械エネルギー変換素子と接触し、前記変換素子の振動によって回転させられる送りネジによってレンズ枠を移動させたり、特許文献5に示されているように、リニア駆動式振動波アクチュエータ(圧電素子)を用い、圧電素子の当接により、レンズ枠を直接駆動するものなどが提案されている。
【0008】
さらに、レンズ枠又は鏡筒の何れかに圧電素子を配置し、圧電素子の楕円運動でレンズを駆動するようにしたり、リードスクリュー端部にロータを配置し、ロータの外周面に当接するように圧電素子を配置してロータを回転させ、レンズを移動するように構成したものも提案されており、こういったピエゾ素子(PZT)などを用いた摩擦駆動型の駆動源としては、例えば特許文献6乃至特許文献11などに詳細に示されている。
【0009】
【特許文献1】特開平7−63970号公報
【特許文献2】特開平4−212913号公報
【特許文献3】特開平4−212910号公報
【特許文献4】特開平8−47273号公報
【特許文献5】特開平7−104166号公報
【特許文献6】特開平7−184382号公報
【特許文献7】特許2980541号公報
【特許文献8】特開平9−37575号公報
【特許文献9】特開2000−40313号公報
【特許文献10】特表2002−529037号公報
【特許文献11】特開2003−501988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特許文献2乃至特許文献5に示された技術は、通常の大きさのカメラレンズを駆動する機構であり、携帯電話などの携帯端末に使われるカメラモジュールは常に小型化を要求されているので、こういった携帯端末に適用するには大きすぎる。
【0011】
そのため本発明は、オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んでも、小型で軽量に構成できるカメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明におけるカメラモジュールは、
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第1レンズ保持部と、
光軸を中心に略対称的かつ平行に配置した第1軸部材及び第2軸部材と、
端部に前記第1軸部材と当接する第1作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に配置した第1のピエゾ素子と、
端部に前記第2軸部材と当接する第2作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に前記第1のピエゾ素子に対して光軸を中心に略対称的に配置した第2のピエゾ素子と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
このように、光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第1レンズ保持部に第1と第2のピエゾ素子を配すると共に、それぞれのピエゾ素子が有する作動部を、光軸を中心に略対称的かつ平行に配置した第1軸部材及び第2軸部材に当接させることで、それぞれのピエゾ素子を駆動するとこれらピエゾ素子を保持した第1レンズ保持部が上下に移動し、ズーミングや焦点合わせを行うことができるから、オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んだカメラモジュールを、小型で軽量に構成することができる。
【0014】
そして、少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第2レンズ保持部と、前記第1レンズ保持部を移動可能にガイドすると共に、光軸と平行に配置した第1のガイド軸部材と、前記第1レンズ保持部を移動可能にガイドすると共に、前記第1のガイド軸に対し光軸を中心に略対称的に配置した第2のガイド軸部材と、を更に含み、前記第2レンズ保持部は、前記第1軸部材及び前記第2軸部材によって移動可能にガイドされるようにすることが、本発明の好適な実施形態である。
【0015】
また、前記第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子は略長方形の板状外形を有し、光軸に対し略直行する方向であって、前記第1レンズ保持部に保持する前記光学レンズの外周位置に配置することにより、カメラモジュールをより小型に構成することができる。
【0016】
さらに、前記第1レンズ保持部は、スリットにより、光学レンズを保持するレンズ保持部本体と、前記第1のピエゾ素子を保持する第1素子保持部と、前記第2のピエゾ素子を保持する第2素子保持部の3部分に分割されており、かつ、前記スリットは、光軸を中心に略対称的に形成されると共に、前記第1レンズ保持部は、前記スリットにより、前記第1のピエゾ素子の前記第1作動部を前記第1軸部材に付勢し、第2のピエゾ素子の前記第2作動部を前記第2軸部材に付勢することが本発明の好適な実施形態であり、このように第1のレンズ保持部にスリットを設けることで、保持したレンズの円周方向に自由度を、光軸方向に剛性を持たせることができ、それぞれのピエゾ素子は、第1と第2の軸部材に好適な当接圧力で当接させることができるから、第1レンズ保持部はスムーズに第1と第2の軸部材を上下することができる。
【0017】
そして、前記第1レンズ保持部の前記レンズ保持部本体は、前記第1のガイド軸部材と当接する第1ローラ部材と、前記第2のガイド軸部材と当接する第2ローラ部材とを光軸を中心に略対称的に配置することにより、第1レンズ保持部はよりスムーズに第1と第2の軸部材を上下することができる。
【0018】
また、前記第2レンズ保持部の被写体側に設けられた第1の被係止部と、前記第2レンズ保持部の結像側に設けられた第2の被係止部と、前記第1の被係止部又は前記第2の被係止部と選択的に係止可能な係止部と、を更に含み、
前記カメラモジュールは、更に前記第1レンズ保持部に設けられた係止解除部を含み、前記第1レンズ保持部の移動に伴い、前記係止解除部が前記第2レンズ保持部の前記第1の被係止部又は前記第2の被係止部の前記係止部への係止を選択的に解除し、さらに、
前記第2レンズ保持部に設けられた被係合部と、前記第1レンズ保持部に設けられた前記第2レンズ保持部の被係合部と係合可能な係合部と、を更に含み、前記第2レンズ保持部の前記第1の被係止部が前記係止部に係止している際、前記第1レンズ保持部の被写体側への移動により、前記係止解除部が前記第1の被係止部と前記係止部との係止を解除すると共に、前記第1レンズ保持部の前記係合部と前記第2レンズ保持部の被係合部とが係合することにより前記第1レンズ保持部と前記第2レンズ保持部とが一体的に被写体側へ移動し、前記第2レンズ保持部の第2の被係止部と前記係止部との係止が行われるように構成することにより、
第2レンズ保持部は、第1レンズ保持部の移動に伴って第1の係止部と第2の係止部で係止されるから、この第2レンズ保持部に保持されたレンズを焦点距離変化用のレンズとし、第1レンズ保持部に保持されたレンズを合焦用のレンズとすることで、簡単な機構で2つの焦点距離を有するカメラモジュールを構成することができる。
【0019】
さらに、少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に、前記第1軸部材、前記第2軸部材、前記第1のガイド軸部材、及び、前記第2のガイド軸部材を共に位置決め固定する第3レンズ保持部を更に含み、前記係止部を前記第3レンズ保持部に配置したことにより、第1、第2軸部材、第1、第2のガイド軸部材は強固に固定され、よりスムーズに第1レンズ保持部材、第2レンズ保持部材を上下動させることができる。
【0020】
そして、上記課題を解決するため本発明における携帯端末は、
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第1レンズ保持部と、
光軸を中心に略対称的且つ平行に配置した第1軸部材および第2軸部材と、
端部に前記第1軸部材と当接する作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に配置した第1のピエゾ素子と、
端部に前記第2軸部材と当接する作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に前記第1のピエゾ素子に対し光軸を中心に略対称的に配置した第2のピエゾ素子と、
を含むカメラモジュールと、
操作部材と、表示部材と、バッテリーと、通信部と、前記カメラモジュール、該操作部材、該表示部材、該バッテリー、及び、該通信部を収納する筐体と、を含み、
前記筐体の厚さ寸法を略前記カメラモジュールの高さに規制することが好適な実施形態である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んだ、小型で軽量に構成できるカメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施形態の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0023】
図1は実施形態のカメラモジュールの斜視図で、(A)は焦点距離変化用レンズが望遠(テレ)側にある状態を、(B)は同じく焦点距離変化用レンズが広角(ワイド)側に有る状態を示している。図2は、図1における被写体側となる第1のレンズ群を保持する第3レンズ保持部と第2のレンズ群を保持する第2レンズ保持部を取り除き、第3のレンズ群を保持する第1レンズ保持部と、該第1レンズ保持部を上下させるための軸部材とガイド軸部材、及び第2レンズ保持部を移動させる機構の一部を示した斜視図、図3は第1のレンズ保持部の平面図、図4は第1のレンズ保持部に於けるピエゾ素子の保持部をカメラモジュールの外側から見た図(A)と、レンズ側から見た図(B)、図5は実施形態のカメラモジュールにおける焦点距離を変化させるレンズ群の移動と固定のための機構を示した斜視図、図6は実施形態のカメラモジュールにおける焦点距離を変化させるメカニズムとオートフォーカス時のレンズ移動状態を説明するための図、図7は実施形態のカメラモジュールにおける光学系を構成するレンズが広角(ワイド)側にある状態(A)と望遠(テレ)側に有る状態(B)、及び望遠(テレ)側と広角(ワイド)側における合焦用レンズの移動範囲を説明するための図(C)、図8は実施形態になるカメラモジュールに用いるピエゾ素子の斜視図(A)と、動作原理を説明するための図(B)、(C)、図9は第1のレンズ保持部における変形例の平面図、図10は焦点距離変化用レンズ保持部を移動させる他の実施例を示した断面図、図11は実施形態のカメラモジュールが組み込まれた携帯電話機の一例を概略的に示す図である。図中、同一構成要素には同一番号が付してある。
【0024】
図1は実施形態のカメラモジュール1の斜視図で、(A)は焦点距離変化用レンズが望遠(テレ)側にある状態を、(B)は同じく焦点距離変化用レンズが広角(ワイド)側に有る状態を示しており、図2は、図1における被写体側となる第1のレンズ群2を保持する第3レンズ保持部20と第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21を取り除き、第3のレンズ群4を保持する第1レンズ保持部22と、該第1レンズ保持部22を上下させるための軸部材23とガイド軸部材24、及び第2レンズ保持部21を移動させる機構の一部を示した斜視図である。この実施形態におけるカメラモジュール1は、一例として焦点距離を望遠(テレ)側と広角(ワイド)側に切り替える2焦点型のカメラモジュールとして説明するが、本発明は2焦点型だけでなく、連続して焦点距離を変化させることができる通常のズームレンズにも適用可能である。
【0025】
図1に示した実施形態のカメラモジュール1は、図7に示して後記するように、被写体側となる第1のレンズ群2、その撮像素子5側に配された第2のレンズ群3、さらに図2に示したように、撮像素子5側に配された第3のレンズ群4(図1には図示せず)を有し、それぞれのレンズ群は、第1のレンズ群2を保持する第3レンズ保持部20、第2のレンズ群3を保持する円筒状の第2レンズ保持部21、図3、図4で詳細に後述する第3のレンズ群4を保持する第1レンズ保持部22に保持される。
【0026】
そして、第3レンズ保持部20と、図示していないCCDなどの撮像素子5を保持する基台26とにおける略隅部には、第2レンズ保持部21に設けられた支持腕211を挿通させてガイドすると共に、略長方形の板状外形を有し、光軸に対し略直行する方向であって第1レンズ保持部22に配され、図8で詳細を説明するピエゾ素子10における作動部であるスペーサ15を当接させて、これら第2レンズ保持部21と第1レンズ保持部22を上下に移動させるため、光軸を中心に略対称的かつ平行に配置した軸部材23、及びガイド軸部材24が設けられている。
【0027】
また、第3レンズ保持部20からは、第2レンズ保持部21が保持した第2レンズ群3を広角側と望遠側に位置固定するため、図5に示して後記するように、係止部たるラッチ用アーム25が垂下され、第2レンズ保持部21の外周における上下には、このラッチ用アーム25をラッチさせるための被係止部たる溝212、213が設けられている。さらに第1レンズ保持部22には、第2レンズ保持部21を焦点距離変化のために上下させる際、図2に示されているように、外周側に凸部が設けられ、第2レンズ保持部21に対するラッチ用アーム25のラッチを解除させる係止解除部と共に、第2レンズ保持部21を移動させる係合部を有した第2レンズ保持部移動部材226、及び、第1レンズ保持部22の上下動がスムーズに行われるよう、ローラ部材たるV型ローラ225が第1レンズ保持部22の図上右側には上下2個所に、左側にはバランスを取るため1つだけ設けられている。なお、この第2レンズ保持部21を焦点距離変化のために移動させる機構の詳細については、図5、図6に基づいて詳細に後述する。
【0028】
図7は、実施形態のカメラモジュールにおける光学系を構成するレンズが広角(ワイド)側にある状態(A)と望遠(テレ)側に有る状態(B)、及び望遠(テレ)側と広角(ワイド)側における合焦用レンズの移動範囲を説明するための図(C)であり、前記した被写体側となる第1のレンズ群2、その撮像素子5側に配された焦点距離変化用の第2のレンズ群3、さらに撮像素子5側に配された焦点距離を変化させると共に焦点合わせ(合焦)のための第3のレンズ群4は、図7(A)、(B)に示したように、それぞれ少なくとも1枚以上の光学レンズで構成され、位置が固定された第1のレンズ群2に対し、図7(A)のように第2のレンズ群3、第3のレンズ群4がCCDなどを用いた撮像素子5側に移動したときは望遠(テレ)となり、図7(B)のように第2のレンズ群3、第3のレンズ群4が第1のレンズ群2側に寄ったときは広角(ワイド)となる。
【0029】
そして、この図7(A)、図7(B)に示したレンズ群位置に対応させ、各レンズ群の位置と合焦のための移動範囲を示した図7(C)に示したように、第3のレンズ群4は、合焦のために例えば図7(A)の広角(ワイド)側の場合は図7(C)に6で示した範囲を、図7(B)の望遠(テレ)側の場合は図7(C)に7で示した範囲を移動してピント合わせ(合焦)をおこなう。
【0030】
図1に示した実施形態のカメラモジュール1は、収容したレンズ群のこの移動を図8に示したようなピエゾ素子10を用いて実現するものであり、この図8は、(A)が実施形態になるカメラモジュールに用いるピエゾ素子の斜視図、(B)がピエゾ素子の構成、(C)が動作原理を説明するための図である。ここで用いられるピエゾ素子10は、前記特許文献6乃至11に詳細に述べられているように、図8(A)における略長方形の板状外形に形成された圧電セラミック(ピエゾ素子)11の長手方向と短手方向で形成される第1面12に、図8(B)に示したように4つの電極121、122、及び123、124を、その反対側となる第2面13の全面に一つの電極を設けてある。そして、第1面12の電極121、122、123、124は、対角線方向に配置された電極121、122、及び123、124が、それぞれの電極の連結部分近傍に配置されたワイヤ125及び126によって電気的に接続され、第2面13上の電極は接地されていることが好ましい。
【0031】
また、短手方向の第3面14には、比較的堅いセラミックの作動部であるスペーサ15が例えば接合剤により、好ましくはその辺の中央付近に取り付けられて、相対的に移動させる物体16に係合するようになっている。さらにこの圧電セラミック(ピエゾ素子)11は、図8(B)に示したように、周囲に固定された一対の支持体171、172と、バネ付きの支持体173、174、175により、変形可能に支持される。
【0032】
このように構成された圧電セラミック(ピエゾ素子)11における、電極121、124に正の電圧を、電極122、123に負の電圧を印加すると、圧電セラミック(ピエゾ素子)11は、図8(C)に誇張して示したように図上左側が右側より長くなり、バネ付きの支持体173、174、175で支持されていることで変形が可能なため、スペーサ15が係合している物体16の右方向に移動する。そして、電圧が印加されなくなると圧電セラミック(ピエゾ素子)11は元に戻るが、このとき、例えば立ち下がり時間が立ち上がり時間より少なくとも4倍程度長い、非対称の電圧パルスを電極に印加すると、圧電セラミック(ピエゾ素子)11におけるスペーサ15と物体16の摩擦により、パルスの立ち下がり時にスペーサ15と物体16が係合したままスペーサ15が出発位置に戻り、そのため、パルスの立ち上がり時の変位分、スペーサ15と物体16が相対的に移動する。なお、上記電圧を逆に掛けると、この圧電セラミック(ピエゾ素子)11は逆の方に変形し、従って、スペーサ15と物体16とは相対的に逆の方向に移動する。
【0033】
このように圧電セラミック(ピエゾ素子)11は、連続的に図8(C)に示したような変形が生じるような信号電圧を与えることで、スペーサ15と物体16との間の摩擦によって物体16との相対的な位置を変位させていくため、低速ではあるが高トルクで応答性・制御性に優れ、微小な位置決めが可能で、無通電時に保持トルク(または保持力)を有する、静粛性に優れる、小型・軽量であるなどの利点を有する駆動源となる。
【0034】
図3は、第3のレンズ群4を保持した第1レンズ保持部22における平面図、図4は、第1のレンズ保持部に於けるピエゾ素子の保持部をカメラモジュールの外側から見た図(A)と、レンズ側から見た図(B)である。第3のレンズ群4を保持した第1レンズ保持部22は、第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21を上下させるため、図2に示したように、後記する図5に示したラッチ機構を構成する係止解除部と係合部を有する第2レンズ保持部移動部材226が光軸に対して対称に2つ設けられ、さらに図3の平面図に示したように、中心には前記した第3のレンズ群4が保持されている。また第1レンズ保持部22は、この第3のレンズ群4を配した中心部分221に光軸を中心に略対称的に形成されているスリット223を介して相対し、薄肉部224で接続されて、光軸に対し略直行する方向としたピエゾ素子10の保持部222が設けられて3部分に分割され、さらにレンズ群4の中心光軸に対して回転対称の位置に、図4に示したように、この第1レンズ保持部22を回転止めしながら上下させるローラ部材たるV型ローラ225が、それぞれ上下2個所に配されている。なお、前記したように、光軸をはさんで逆側のピエゾ素子10の保持部は22は、バランスを取るためこのV型ローラ225が1つだけとなっている。
【0035】
この第1レンズ保持部22におけるピエゾ素子10の保持部222は、図4に示したように図上左側が開かれてピエゾ素子10における要所を保持するための保持部228が設けられ、内部にピエゾ素子10を入れて保持するための空間が設けられていると共に、その内部でピエゾ素子10が前記図8(C)に示したような変形が可能なように、前記図8(B)に171、172で示した支持体や173、174で示したバネ付きの支持体(175のバネ付き支持体にはコイルバネ227が対応)に相当する部材が設けられている。
【0036】
また、この図4(B)に示したように、この保持部228における図上右側には、前記したようにこの保持部228がスムーズに上下できるよう、上下2個所にガイド軸部材24にV型部が当接するローラ部材たるV型ローラ225が設けられている。
【0037】
一方、このピエゾ素子10の保持部222と第2のレンズ群3を配した中心部分221との間には、保持部222に配したピエゾ素子10におけるスペーサ15を軸部材23に所定の押圧力で押しつけるため、V型ローラ225が設けられた位置と対応する位置にコイルバネ227が配されて、ピエゾ素子10の保持部222と第2のレンズ群3を配した中心部分221を互いに離間させる方向の力を加えている。
【0038】
このコイルバネ227は、例えば、第3のレンズ群4を配した中心部分221側にはコイルバネ227を受ける孔を、スリット223を介して相対したピエゾ素子10の保持部222側には、この保持部222の外壁まで通じて内部に雌ねじを切った孔を設け、この孔を通して中心部分221側の孔にコイルバネ227を挿入した後、雄ネジを挿入して穴をふさぐと共にコイルバネ227の圧接力を調節できるようにして設けたり、第3のレンズ群4を配した中心部分221とピエゾ素子10の保持部222側を別々に作成し、コイルバネ227を挿入する孔を両者に設けてコイルバネ227を挿入した後、薄肉部224近辺で互いを螺合、溶接などで接続するようにしたりして設ける。また、薄肉部224をバネ部材で構成し、そのバネ性を利用して第2のレンズ群3を配した中心部分221からピエゾ素子10の保持部222を開き、これらに設けた孔にコイルバネ227を装填するようにしても良い。
【0039】
このように第1レンズ保持部22に、スリット223、コイルバネ227を設けることにより、スリット223によって保持した第3のレンズ群4の円周方向には自由度を、光軸方向には剛性を持たせることができ、さらにコイルバネ227によって保持部222に配したピエゾ素子10におけるスペーサ15を、軸部材23に所定の押圧力で押しつけることができる。そしてその押圧力によって軸部材23に対し、光軸を中心に回転する力を加えられた第1レンズ保持部22は、ガイド軸部材24に当接しているV型ローラ225によって回転が止められ、ピエゾ素子10に前記図8(C)に示したような変形が連続的に生じる信号電圧を与えることで、スペーサ15と軸部材23との間の摩擦力によって、この第1レンズ保持部22が上下に移動することができる。
【0040】
一方、第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21は、図1に示したように、軸部材23方向に延びてこの軸部材23を挿通した支持腕211によって支持され、第1レンズ保持部22の上下に伴って、図1(A)の望遠(テレ)側と図1(B)の広角(ワイド)側の位置に図5、図6に示したラッチメカニズムでラッチされる。
【0041】
図5はこのラッチメカニズムを構成する部品を模式的に示したもので、図6は、この模式的に示したラッチメカニズムにより第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21が、第3のレンズ群4を保持する第1レンズ保持部22の動きによってどのように移動し、どのように固定されるかを示した模式図である。図中21は、図1に21で示した第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21の一部で、その第2レンズ保持部21の上下に設けられた被係止部たる溝212、213は、図1に25で示したラッチ用アームに設けられた係止部たるラッチ部251がラッチするためのラッチ用溝、214は前記図1、図2、図3に226で示した第2レンズ保持部移動部材における第1の係合部226fが係合し、第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部21を図上、下側に移動させるための被係合部、251で示したラッチ用アーム25に於けるレンズ保持部21側に山型に屈曲した部位は係止部たるラッチ部であり、252はラッチ用アーム25におけるラッチ部251のラッチを解除するためのラッチ解除用部位、226b、226c、226dはこのラッチ用アーム25におけるラッチ解除用部位252が乗り上げ、ラッチ部251のラッチを解除するための係止解除部たる傾斜部(226b、226d)と頂部(226c)であり、226a、226eはラッチが行われる平坦部、226fは前記したように第1の係合部、226gは被係合部214と係合する第2の係合部である。
【0042】
図6において(A)は、前記図7(A)に示した第2のレンズ群3と第3のレンズ群4が第1のレンズ群2から離れた広角の状態であり、図6(H)は第2のレンズ群3と第3のレンズ群4が第1のレンズ群2に近寄っている前記図7(B)に示した望遠の状態で、図6(B)から(G)はその中間の状態である。また同様に図6(P)は、第2のレンズ群3と第3のレンズ群4が第1のレンズ群2から離れた広角の状態であり、この間の図6(K)から(N)はその中間の状態である。また、図6(A)に6で示したのは、前記図7(C)に6で示した広角側に於ける第3のレンズ群4が焦点合わせのために動く範囲であり、同じく図6(H)の7は、望遠側に於ける第3のレンズ群4が焦点合わせのために動く範囲である。
【0043】
図6(A)の第2のレンズ群3と第3のレンズ群4が第1のレンズ群2から離れた広角の状態では、図1(B)にも示したように、第3レンズ保持部20から垂下されたラッチ用アーム25におけるラッチ部251が第2レンズ保持部21におけるラッチ用溝212をラッチしてこれを広角位置で固定し、第1レンズ保持部22に設けられた第2レンズ保持部移動部材226は、第1の係合部226fと第2の係合部226gとの間に第2レンズ保持部21における被係合部214が設けられているから、第1レンズ保持部22が焦点合わせ(合焦)のために前記ピエゾ素子10によって駆動されて符号6で示した範囲を移動しても、この被係合部214と接触することなく移動することができる。
【0044】
この状態から前記図7(B)に示した望遠の状態へ移行するときは、図6(B)に示したように、第1レンズ保持部22が前記ピエゾ素子10によって図上上方に駆動され、第2レンズ保持部移動部材226が上昇して、その傾斜部226dがラッチ用アーム25におけるラッチ解除用部位252を押し上げる。そして図6(C)に示したように、ラッチ解除用部位252が第2レンズ保持部移動部材226における頂部226cに達すると、第2レンズ保持部21におけるラッチ用溝212のラッチ部251によるラッチが外れ、更に上昇して図6(D)の状態になり、ラッチ解除用部位252が第2レンズ保持部移動部材226における頂部226cに乗り上げると、ラッチ部251は第2レンズ保持部21と接触しなくなると同時に、被係合部214と第2の係合部226gが接触し、第2レンズ保持部21を押し上げる。
【0045】
そして図6(E)、図6(F)、図6(G)のように第2レンズ保持部21が押し上げられ、図6(H)の状態に達すると、今度はラッチ用アーム25におけるラッチ部251が第2レンズ保持部21におけるラッチ用溝213をラッチし、これを望遠位置で固定する。そのため、前記図6(A)の場合と同様、第1レンズ保持部22に設けられた第2レンズ保持部移動部材226は、第1の係合部226fと第2の係合部226gとの間に第2レンズ保持部21における被係合部214が設けられているから、第1レンズ保持部22が焦点合わせ(合焦)のために前記ピエゾ素子10によって駆動されて符号7で示した範囲を移動しても、この被係合部214と接触することなく移動することができる。
【0046】
この状態から、前記図6(A)に示した状態に戻るには、図6(K)に示したように、第1レンズ保持部22が前記ピエゾ素子10によって図上、下方に駆動され、第2レンズ保持部移動部材226が下降して、その傾斜部226bがラッチ用アーム25におけるラッチ解除用部位252を押し上げる。そして図6(L)に示したように、ラッチ解除用部位252が第2レンズ保持部移動部材226における頂部226cに達すると、第2レンズ保持部21におけるラッチ用溝213のラッチ部251によるラッチが外れ、更に下降して図6(M)の状態になり、ラッチ解除用部位252が第2レンズ保持部移動部材226における頂部226cに乗り上げると、ラッチ部251は第2レンズ保持部21と接触しなくなると同時に、被係合部214と第1の係合部226fが接触し、第2レンズ保持部21を押し下げる。
【0047】
そして図6(N)のように第2レンズ保持部21が押し下げられ、図6(P)の状態に達すると、今度はラッチ用アーム25におけるラッチ部251が第2レンズ保持部21におけるラッチ用溝212をラッチし、これを広角位置で固定して、前記図6(A)の状態に戻る。
【0048】
このように構成した実施形態のカメラモジュール1は、図示していない制御回路によってピエゾ素子10に駆動信号からなる駆動電流を印加するすることで、前記したようにスペーサ15が振動して往復運動が励起され、このピエゾ素子10を保持した第1レンズ保持部22が、図1における上方または下方に移動する。そのため、例えば図1(A)のように第2レンズ保持部21が望遠の位置(図6においては(H)の状態)にあり、図示していない制御回路によってカメラモジュール1の合焦を行う場合は、第1レンズ保持部22を図7(C)における7で示した範囲を移動させることで、図7(B)における5で示した撮像素子へのピントを合わせることができる。
【0049】
そしてこの状態からカメラモジュール1を、図1(B)に示した広角側(図6における(P)または(A)の状態)にする場合は、図示していない制御回路によってピエゾ素子10に、第1レンズ保持部22を下方に移動させる駆動電流を印加させる。するとこの第1レンズ保持部22が下降し、それに伴って図5に示したラッチ用アーム25のラッチ解除用部位252が第2レンズ保持部移動部材226の傾斜部226bに乗り上げ、ラッチ部251が第2レンズ保持部21に設けられたラッチ用溝213から外れる。
【0050】
そして、そのまま第1レンズ保持部22を下方に移動させると、ラッチ用アーム25におけるラッチ部251がラッチ用溝212にかかって第2レンズ保持部21が図1(B)の状態で固定され、第1レンズ保持部22を、図7(C)における6で示した範囲を移動させることで、図7(A)における5で示した撮像素子へのピントを合わせることができる。従って、第1レンズ保持部22が合焦のために移動する図7(C)に6、7で示した移動範囲は、図5における第2レンズ保持部移動部材226の第1の係合部226fと第2の係合部226gとが、被係合部214と接触せずに動ける範囲となる。なお、広角側から望遠側に移動させるときは、前記図6に基づいて説明したとおりなので省略する。
【0051】
このようにカメラモジュール1を構成することにより、ピエゾ素子10に信号電流を印加するだけでオートフォーカス(AF)や焦点距離の変化を行うことができ、しかもピエゾ素子10は、前記したように低速ではあるが高トルクで応答性・制御性に優れ、微小な位置決めが可能で小型・軽量であるなどの利点を有するから、小型で軽量、焦点距離変化やピント合わせを短時間で行えるカメラモジュールを提供することができる。
【0052】
なお、第3のレンズ群4を保持する図3に示した第1レンズ保持部22の形態や、図5に示したラッチメカニズムの構成は、図示のものだけに限らず、例えば第1レンズ保持部22は図9に示したような形態や、ラッチ用アーム25も図1に示したように第1のレンズ群2を保持する第3レンズ保持部20から垂下したものでなく、図10に示したように基台26から立ち上がるようにしたアーム27のような形態のものでもよい。図9に示した第1レンズ保持部は、前記図3に示した第1レンズ保持部22に用いているのと同じ構成要素には、同一番号を付してある。
【0053】
まず、図9に示した第1レンズ保持部は、図3に示した第1レンズ保持部22における軸部材23にピエゾ素子10を当接させ、ガイド軸部材24にV型ローラ225を当接させる点は同じである。しかし、ピエゾ素子10を軸部材23に押圧させるのに、図3の実施形態ではスリット223によって第3のレンズ群4を配した中心部分221とピエゾ素子10の保持部222をわけ、その間にコイルバネ227を入れることで行っていたが、この図9の実施形態では、V型ローラ225の軸保持用部材18を屈曲させて付勢部材19を設けたもので、このようにすることにより、コイルバネ227を第3のレンズ群4を配した中心部分221とピエゾ素子10の保持部222との間に入れる必要がないから、それだけ組立が容易になる。この場合の動作や効果は前記図3に示した実施形態と同様である。
【0054】
また、図10に示したラッチ機構は、図1に示したラッチ用アーム25を第1のレンズ群2を保持する第3レンズ保持部20から垂下したものでなく、基台26から立ち上がったアーム27としたもので、他の動作は、前記図5、図6で説明したものと同じであるので、説明は割愛する。
【0055】
図11は、以上説明してきたカメラモジュール1を組み込んだ携帯端末の一例である。この図11に示した携帯端末は、一例として携帯電話機50の場合を示している。図中51は操作部(操作部材)、52はディスプレイ(表示部材)で、この図11はこれら操作部(操作部材)51、ディスプレイ(表示部材)52が見える状態(開状態)で示した平面図であり、図示の携帯電話機50は、操作部51が搭載された第1のケース部53とディスプレイ52が搭載された第2のケース部54とがヒンジ機構55によって連結され、第1及び第2のケース部53及び54は、ヒンジ機構55の回りに回動可能となっている。なお、第1及び第2のケース部53及び54はケース体を構成する。
【0056】
第2のケース54には、図中破線二重丸で示すように、前述したカメラモジュール1が組み込まれており、操作部51の所定のボタンを操作すると、カメラモジュール1によって撮像が行われ、撮像された画像は、例えば、ディスプレイ52上に表示される。なお、カメラモジュール1は、図1に示す上側が第2のケース部54の外側に向けられている。つまり、第2のケース部54には、カメラモジュール1における第3レンズ保持部20に保持された第1のレンズ群2を露出させる開口部が形成され、また、図示はしないが、第1のケース部53にはバッテリー及び通信部等が収納されており、さらに、第2のケース部54の厚さ寸法は、略カメラモジュール1の高さに規制されている。
【0057】
以上種々述べてきたように本実施形態によれば、オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んだ、小型で軽量に構成できるカメラモジュール及びこのカメラモジュールを備えた携帯端末を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
オートフォーカス(AF)機能やズーム機能を組み込んだカメラモジュールを、小型で軽量に構成することが可能となり、各種の小型携帯端末におけるカメラモジュールとして最適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態のカメラモジュールの斜視図で、(A)は焦点距離変化用レンズが望遠(テレ)側にある状態を、(B)は同じく焦点距離変化用レンズが広角(ワイド)側に有る状態を示している。
【図2】図1における被写体側となる第1のレンズ群を保持する第3レンズ保持部と第2のレンズ群を保持する第2レンズ保持部を取り除き、第3のレンズ群を保持する第1レンズ保持部と、該第1レンズ保持部を上下させるための軸部材とガイド軸部材、及び第2レンズ保持部を移動させる機構の一部を示した斜視図である。
【図3】第3のレンズ保持部の平面図である。
【図4】第3のレンズ保持部に於けるピエゾ素子の保持部をカメラモジュールの外側から見た図(A)と、レンズ側から見た図(B)である。
【図5】実施形態のカメラモジュールにおける焦点距離を変化させるレンズ群の移動と固定のためのラッチ機構を示した斜視図である。
【図6】実施形態のカメラモジュールにおける焦点距離を変化させるメカニズムとオートフォーカス時のレンズ移動状態を説明するための図である。
【図7】実施形態のカメラモジュールにおける光学系を構成するレンズが広角(ワイド)側にある状態(A)と望遠(テレ)側に有る状態(B)、及び望遠(テレ)側と広角(ワイド)側における合焦用レンズの移動範囲を説明するための図(C)である。
【図8】実施形態になるカメラモジュールに用いるピエゾ素子の斜視図(A)と、ピエゾ素子の構成を説明するための図(B)と、動作原理を説明するための図(C)である。
【図9】第1のレンズ保持部における変形例の平面図である。
【図10】焦点距離変化用レンズ保持部を移動させる他の実施例を示した断面図である。
【図11】実施形態のカメラモジュールが組み込まれた携帯電話機の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 カメラモジュール
2 第1のレンズ群
3 第2のレンズ群
4 第3のレンズ群
5 撮像素子
10 ピエゾ素子
20 第1のレンズ群2を保持する第3レンズ保持部
21 第2のレンズ群3を保持する第2レンズ保持部
211 支持腕
212、213 ラッチ用溝
22 第3のレンズ群4を保持する第1レンズ保持部
225 V型ローラ
226 第2レンズ保持部移動部材
23 軸部材
24 ガイド軸部材
25 ラッチ用アーム
26 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第1レンズ保持部と、
光軸を中心に略対称的かつ平行に配置した第1軸部材及び第2軸部材と、
端部に前記第1軸部材と当接する第1作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に配置した第1のピエゾ素子と、
端部に前記第2軸部材と当接する第2作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に前記第1のピエゾ素子に対して光軸を中心に略対称的に配置した第2のピエゾ素子と、
を含むことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第2レンズ保持部と、
前記第1レンズ保持部を移動可能にガイドすると共に、光軸と平行に配置した第1のガイド軸部材と、
前記第1レンズ保持部を移動可能にガイドすると共に、前記第1のガイド軸に対し光軸を中心に略対称的に配置した第2のガイド軸部材と、を更に含み、
前記第2レンズ保持部は、前記第1軸部材及び前記第2軸部材によって移動可能にガイドされることを特徴とする請求項1に記載したカメラモジュール。
【請求項3】
前記第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子は略長方形の板状外形を有し、光軸に対し略直行する方向であって、前記第1レンズ保持部に保持する前記光学レンズの外周位置に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載したカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1レンズ保持部は、スリットにより、光学レンズを保持するレンズ保持部本体と、前記第1のピエゾ素子を保持する第1素子保持部と、前記第2のピエゾ素子を保持する第2素子保持部の3部分に分割されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載したカメラモジュール。
【請求項5】
前記スリットは、光軸を中心に略対称的に形成されていることを特徴とする請求項4に記載したカメラモジュール。
【請求項6】
前記第1レンズ保持部は、前記スリットにより、前記第1のピエゾ素子の前記第1作動部を前記第1軸部材に付勢し、第2のピエゾ素子の前記第2作動部を前記第2軸部材に付勢することを特徴とする請求項4または5に記載したカメラモジュール。
【請求項7】
前記第1レンズ保持部の前記レンズ保持部本体は、前記第1のガイド軸部材と当接する第1ローラ部材と、前記第2のガイド軸部材と当接する第2ローラ部材とを光軸を中心に略対称的に配置したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載したカメラモジュール。
【請求項8】
前記第2レンズ保持部の被写体側に設けられた第1の被係止部と、
前記第2レンズ保持部の結像側に設けられた第2の被係止部と、
前記第1の被係止部又は前記第2の被係止部と選択的に係止可能な係止部と、を更に含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載したカメラモジュール。
【請求項9】
前記カメラモジュールは、更に前記第1レンズ保持部に設けられた係止解除部を含み、
前記第1レンズ保持部の移動に伴い、前記係止解除部が前記第2レンズ保持部の前記第1の被係止部又は前記第2の被係止部の前記係止部への係止を選択的に解除することを特徴とする請求項8に記載したカメラモジュール。
【請求項10】
前記第2レンズ保持部に設けられた被係合部と、
前記第1レンズ保持部に設けられた前記第2レンズ保持部の被係合部と係合可能な係合部と、を更に含み、
前記第2レンズ保持部の前記第1の被係止部が前記係止部に係止している際、前記第1レンズ保持部の被写体側への移動により、前記係止解除部が前記第1の被係止部と前記係止部との係止を解除すると共に、前記第1レンズ保持部の前記係合部と前記第2レンズ保持部の被係合部とが係合することにより前記第1レンズ保持部と前記第2レンズ保持部とが一体的に被写体側へ移動し、前記第2レンズ保持部の第2の被係止部と前記係止部との係止が行われることを特徴とする請求項9に記載したカメラモジュール。
【請求項11】
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に、前記第1軸部材、前記第2軸部材、前記第1のガイド軸部材、及び、前記第2のガイド軸部材を共に位置決め固定する第3レンズ保持部を更に含み、
前記係止部を前記第3レンズ保持部に配置したことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載したカメラモジュール。
【請求項12】
少なくとも1以上の光学レンズを保持すると共に光軸方向に移動可能な第1レンズ保持部と、
光軸を中心に略対称的且つ平行に配置した第1軸部材および第2軸部材と、
端部に前記第1軸部材と当接する作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に配置した第1のピエゾ素子と、
端部に前記第2軸部材と当接する作動部を有すると共に、前記第1レンズ保持部に前記第1のピエゾ素子に対し光軸を中心に略対称的に配置した第2のピエゾ素子と、
を含むカメラモジュールと、
操作部材と、表示部材と、バッテリーと、通信部と、
前記カメラモジュール、前記表示部材、前記バッテリー及び前記通信部を収納すると共に厚さ寸法を略前記カメラモジュールの高さに制限した筐体と、を含むことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−98600(P2006−98600A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283193(P2004−283193)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(301012483)ナノモーション リミテッド (5)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】