説明

カメラモジュール及びその製造方法

【課題】低コストで製造可能なカメラモジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】カメラ部と、前記カメラ部の駆動部が実装される基板と、前記カメラ部の端子と前記基板の一方の面の配線との間を接続する弾性を有するカメラ側接続部とを含む。前記カメラ側接続部は、前記基板の前記一方の面に直接接続されていてもよい。また、前記基板の他方の面側に接続されるケーブルと、前記基板の他方の面の配線と前記ケーブルの端子との間を接続する弾性を有するケーブル側接続部とをさらに含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両等に種々のカメラモジュールが搭載されている。CCD(Charge Coupled Divice)カメラ等の小型カメラを内蔵するカメラモジュールは、車両の後方や側方の確認用に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−004068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のカメラモジュールは、製造コストが高いという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、低コストで製造可能なカメラモジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の一観点のカメラモジュールは、カメラ部と、前記カメラ部の駆動部が実装される基板と、前記カメラ部の端子と前記基板の一方の面の配線との間を接続する弾性を有するカメラ側接続部とを含む。
【0007】
また、前記カメラ側接続部は、前記基板の前記一方の面に直接接続されていてもよい。
【0008】
また、前記基板の他方の面側に接続されるケーブルと、前記基板の他方の面の配線と前記ケーブルの端子との間を接続する弾性を有するケーブル側接続部とをさらに含んでもよい。
【0009】
また、前記ケーブル側接続部は、前記基板の前記他方の面に直接接続されていてもよい。
【0010】
また、前記カメラ部は、筐体に固定されてもよい。
【0011】
また、前記筐体は、前記基板が収納される基板側筐体に接合されるカメラ部側筐体であってもよい。
【0012】
本発明の実施の形態の他の観点のカメラモジュールは、金属板をプレス加工することによって形成される複数の端子と、前記複数の端子とともにインサート成形されることによって形成され、前記複数の端子を保持するとともに、前記複数の端子の延伸方向に貫通する貫通孔を有するホルダと、前記貫通孔内に収納されるレンズと、前記レンズの背面側で前記ホルダに取り付けられるカメラ部とを含む。
【0013】
また、前記金属板には、前記複数の端子のセットが複数セット形成され、前記ホルダは、前記複数セットの各々のセットに含まれる複数の端子に対して、1つずつ形成されてもよい。
【0014】
また、前記金属板はフープ材であってもよい。
【0015】
また、前記複数の端子は、個片化のためにキャリアから切断される切断部を有し、前記切断部は、前記ホルダの壁部を貫通しており、前記ホルダは、前記ホルダの外壁部の前記切断部の周囲に凹部を有してもよい。
【0016】
本発明の実施の形態の一観点のカメラモジュールの製造方法は、金属板にプレス加工を行うことにより、複数の端子を複数セット有するプレス基板を形成する工程と、前記複数セットの各セットに含まれる複数の端子に対して、インサート成形を行うことにより、前記複数の端子を保持するとともに、前記複数の端子の延伸方向に貫通する貫通孔を有するホルダを形成する工程と、前記貫通孔内にレンズを取り付ける工程と、前記レンズの背面側にカメラ部を取り付ける工程と、前記ホルダ毎に個片化を行う工程とを含む。
【0017】
また、前記金属板はフープ材であり、前記プレス基板を形成する工程は、前記フープ材に対してプレス加工を行うことにより、前記複数の端子を複数セット形成する工程であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、低コストで製造可能なカメラモジュール及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1のカメラモジュールを示す斜視図である。
【図2】実施の形態1のカメラモジュール1のカメラ側筐体10及びカメラ側筐体10に収納される構成要素を示す図である。
【図3】実施の形態1のCCDカメラ100を駆動するための駆動部であるIC102が実装される基板103について説明する。
【図4】基板103をカメラ側筐体10に固定する固定の仕方を示す図である。
【図5】実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20とその取り付け方を説明する図である。
【図6】実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20にケーブル30を接続する方法を示す図である。
【図7】実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20にケーブル30を取り付ける方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態2のカメラモジュール1に用いるばね端子を示す図である。
【図9】実施の形態2のカメラモジュール1に用いるばね端子の変形例を示す図である。
【図10】実施の形態3のカメラモジュール300を示す斜視図である。
【図11】図10に示すカメラモジュール300の斜視拡散分解図である。
【図12】実施の形態3のホルダ304と端子310を有するモジュール300Aを示す図である。
【図13】実施の形態3のカメラモジュール300を示す図である。
【図14】図13(A)におけるB−B'矢視断面を示す図である。
【図15】実施の形態3のカメラモジュール300のモジュール300Aの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のカメラモジュール及びその製造方法を適用した実施の形態について説明する。
【0021】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のカメラモジュールを示す斜視図である。
【0022】
実施の形態1のカメラモジュール1は、カメラ側筐体10、基板側筐体20、及びケーブル30を含む。カメラ側筐体10にはカメラ部としてのCCDカメラが収納され、被写体の画像が得られるようになっている。基板側筐体20にはCCDカメラの駆動部を実装する基板が収納されており、ケーブル30を通じて撮影用の信号の入力、電力の供給、及び画像信号の出力が行われる。
【0023】
図2は、実施の形態1のカメラモジュール1のカメラ側筐体10及びカメラ側筐体10に収納される構成要素を示す図である。
【0024】
図2(A)に示すように、カメラ側筐体10には、カメラ部としてのCCDカメラ100とレンズ101が収納される。
【0025】
CCDカメラ100は、図2(B)に示すように、カメラ筐体10の背面11に設けられた矩形状の開口部12に嵌着される。矩形状の開口部12の脇には、一対の爪部13が形成されている。一対の爪部13は、開口部12の対角線上に位置しており、CCDカメラ100は、開口部12に嵌着された状態で、爪部13によって保持されるようになっている。なお、爪部13は、カメラ筐体10にCCDカメラ100を固定できればよく、数及び形状は、ここに示すものに限られるものではない。
【0026】
また、図2(A)に示すように、レンズ101は、カメラ側筐体10の表側に形成された円形の開口部14内に収納され、スクリューねじ15によって固定される。開口部14には、スクリューねじ15を受けるためのねじ部14Aが形成されている。
【0027】
また、カメラ側筐体10の背面11の四隅には、後述する基板をねじ止めするためのねじ孔16と、基板側筐体20をねじ止めするためのねじ孔17が形成されている。
【0028】
なお、カメラ側筐体10は樹脂製であり、背面11、開口部12、爪部13、開口部14、ねじ部14A、及びねじ孔16を含めて、モールド成形される。
【0029】
このように、実施の形態1のカメラモジュール1のCCDカメラ100は、カメラ側筐体10の開口部12に嵌着されることによって固定される。また、レンズ101もカメラ側筐体10の開口部14に嵌着されることによって固定される。
【0030】
次に、図3を用いて、CCDカメラ100を駆動するための駆動部であるIC(Integrated Circuit)が実装される基板について説明する。
【0031】
図3は、実施の形態1のCCDカメラ100を駆動するための駆動部であるIC102が実装される基板103について説明する。
【0032】
基板103は、CCDカメラ100を駆動するための駆動部であるIC102を実装するための基板であり、例えば、PCB(Printed Circuit Board)で構成される。
【0033】
基板103の表面103A(CCDカメラ100に接続される側の面)には、複数のリード104が矩形状に配列されている。リード104は、矩形状に5本ずつ設けられており、合計で20本配列されている。リード104は、CCDカメラ100の端子と基板103の表面側の配線との間を接続する弾性を有する板ばね状のカメラ側接続部である。リード104は、例えば、銅又は銅合金で構成される。
【0034】
基板103の裏面103Bには、IC102が実装されるとともに、4つのばね端子105が接続されている。ばね端子105は、基板103の裏面側の配線とケーブル30の端子との間を接続する弾性を有する板ばね状のケーブル側接続部である。ばね端子105は、例えば、銅又は銅合金で構成される。
【0035】
IC102、リード104、及びばね端子105の間は、基板103の表面103A又は裏面103Bに形成される配線、又は、基板103の内層に形成される配線を通じて電気的に接続されている。なお、ここでは、説明の便宜上、配線の図示を省略する。
【0036】
また、基板103の四隅には、基板103をカメラ側筐体10に固定する際に用いるねじを挿通させるためのねじ孔106が開口されている。
【0037】
次に、基板103をカメラ側筐体10に固定する製造工程について説明する。
【0038】
図4は、基板103をカメラ側筐体10に固定する固定の仕方を示す図である。
【0039】
図4(A)に示すように、ねじ孔106にねじ107を挿通させて、カメラ側筐体10のねじ孔16にねじ込むことにより、図4(B)に示すように、基板103をカメラ側筐体10に固定することができる。
【0040】
なお、基板103は、ねじ107によってカメラ側筐体10に固定されても、カメラ側筐体10の内部には入っておらず、背面11から突出しているが、基板103がカメラ側筐体10の内部に収納されるようにしてもよい。
【0041】
次に、図5を用いて基板側筐体20について説明する。
【0042】
図5は、実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20とその取り付け方を説明する図である。
【0043】
図5(A)に示すように、基板側筐体20には、4本のピン108が表面20A側から開口部(図示せず)に挿通されるとともに、裏面20B側からパッキン21が嵌着される。ピン108は、頭部側の径が大きくなっており、基板側筐体20に係合するように構成されている。ピン108を挿通した状態を図5(B)に示す。
【0044】
基板側筐体20は、パッキン22を介して、ねじ23によってカメラ側筐体10に固定される。ねじ23は、カメラ側筐体10の背面に形成されたねじ孔17(図2参照)にねじ止めされる。
【0045】
なお、基板側筐体20の裏面20B側には、後述するケーブル30のジャック絶縁体を受けるための受け部20Cが形成されている。また、基板側筐体20の表面20A側の底部20Cには、基板103を保持するための突起部24が4本形成されている。
【0046】
次に、図6を用いて、ケーブル30の接続方法について説明する。
【0047】
図6は、実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20にケーブル30を接続する方法を示す図である。
【0048】
図6(A)に示すケーブル30は、図6(B)に示す円筒状のカバー31を含む。カバー31は、外周部にジャック絶縁体32が一体形成されており、ジャック絶縁体32の一端32A側には、円環状の溝部33が形成されている。溝部には、円環状のパッキン34が挿入される。なお、ジャック絶縁体32には、2つの開口部32B、32Cが形成されている。
【0049】
また、カバー31の一端31Aには、4つの開口部35が形成されている。開口部35は、カバー31の他端31B側まで貫通している。
【0050】
カバー31の他端31B側には、図示しない開口部が形成されており、ジャックコンタクト36が先端に接続された4本の配線37がパッキン38を介して圧入される。パッキン38がカバー31内に圧入されると、4つのジャックコンタクト36は、4つの開口部35の各々の内部に配設されるようになっている。ジャックコンタクト36は、ピン108(図5参照)と接続される。
【0051】
ジャックコンタクト36が開口部35内に配設され、パッキン38がカバー31に圧入されると、図6(C)に示すように、アウターカバー39が配線37を内部に収納した状態で、カバー31の外周に密着するようにインサート成型される。
【0052】
これにより、図6(A)に示すケーブル30が完成する。
【0053】
次に、図7を用いて、ケーブル30を基板側筐体20に取り付ける方法について説明する。
【0054】
図7は、実施の形態1のカメラモジュール1の基板側筐体20にケーブル30を取り付ける方法を説明するための図である。
【0055】
図7(A)に示すように、カメラ側筐体10と基板側筐体20を組み立て、さらに、2本のねじ109をジャック絶縁体32の開口部32B、32Cに挿通させて、図7(B)に示す基板側筐体20の受け部20Cの開口部20C2、20C3にねじ止めする。これにより、ケーブル30は、基板側筐体20にねじ止めされる。
【0056】
このとき、ケーブル30の開口部35内に配設されるジャックコンタクト36は、図7(B)に示す受け部20Cの開口部20C1内に突出するピン108と接続される。
【0057】
以上で、実施の形態1のカメラモジュール1(図1参照)が完成する。
【0058】
以上、実施の形態1によれば、CCDカメラ100は、カメラ側筐体10に嵌着されるため、CCDカメラ100の光軸は一体成形されるカメラ側筐体10の工作精度によって管理される。
【0059】
従来のように基板側にCCDカメラを実装したカメラモジュールでは、レンズ側の筐体にCCDカメラを実装した基板をねじ止め又は接着等によって固定していたため、光軸がずれる場合があった。例えば、基板を4つのねじでレンズ側の筐体に接続すると、4つのねじの締め具合によって、CCDカメラの光軸が大きくずれる可能性があった。これは、接着の場合も同様であった。
【0060】
これに対して、実施の形態1のカメラモジュール1は、CCDカメラ100は、カメラ側筐体10に嵌着され、CCDカメラ100の光軸の精度は、一体成形されるカメラ側筐体10の工作精度によって管理されるため、従来のカメラモジュールよりも設計値に近く、精度の高い光軸を有するカメラモジュール1を提供することができる。
【0061】
また、基板103とCCDカメラ100との間を弾性のあるリード104で接続するようにしたため、製造が大幅に容易になる。
【0062】
同様に、基板103とピン108との間を弾性のあるばね端子105で接続するようにしたため、製造が大幅に容易になる。
【0063】
従来は、リード104とばね端子105の代わりに、半田やろう付けで電気的な接続を確保していたため、製造工程が増えることにより製造コストが嵩むという課題があった。また、製造コストが嵩むことにより、カメラモジュールの低価格化が困難になっており、カメラモジュールのコスト上昇に繋がっていた。
【0064】
これに対して実施の形態1のカメラモジュール1によれば、リード104とばね端子105を用いることにより、半田やろう付けの工程が不要になるため、信頼性の高い電気的接続を確保しつつ、構造を簡略化してコストダウンを図ることができる。
【0065】
また、カメラ側筐体10、基板側筐体20、及びケーブル30の各々の接続箇所をパッキン21、22、34、38を用いてねじ止めすることにより、防水対策を行っているため、例えば、車両の後方視界や側方視界を確保するためのカメラモジュールとして好適である。
【0066】
なお、以上では、CCDカメラ100と基板103との間をリード104で接続し、基板103とピン108との間をばね端子105で接続する形態について説明した。リード104と板ばね105は、弾性を有する端子であれば、以上で説明した形状のものに限られない。
【0067】
<実施の形態2>
実施の形態2のカメラモジュール1は、ばね端子の構造が異なる。その他の構成は、実施の形態1のカメラモジュール1(図1参照)と同一であるため、同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、以下では、ばね端子について説明を行い、カメラモジュール1については図1を援用する。
【0068】
図8は、実施の形態2のカメラモジュール1に用いるばね端子を示す図である。
【0069】
実施の形態2のカメラモジュール1に用いるばね端子は、弾性を有するばね端子部が2本に分割されている。
【0070】
図8(A)に示すように、ばね端子205は、実施の形態1のばね端子105の接触側であるばね端子部205A、205Bを2本に分割した構成を有する。ばね端子205を基板103に実装した状態を図8(B)に示す。
【0071】
このように2本に分割したことにより、仮に一方が破損しても、他方で接続が確保されるため、特に、車両に搭載される場合のように、断続的な振動に晒される環境下で使用する場合に、信頼性向上のために有効である。
【0072】
図9は、実施の形態2のカメラモジュール1に用いるばね端子の変形例を示す図である。
【0073】
実施の形態2の変形例のばね端子305は、ばね端子部305Aとばね端子部305Bの長さが異なる。これは、2種類のばね定数による2種類の共振周波数を持たせるためである。
【0074】
例えば、車両に搭載される場合のように、断続的な振動に晒される環境下で使用する場合には、車種、走行条件、速度によって振動数が大きく異なる。
【0075】
このため、実施の形態2の変形例のばね端子305は、ばね端子部305Aとばね端子部305Bのいずれか一方に共振が生じるような環境下においても、他方のばね端子部には共振が生じないため、様々な環境下でも電気的接続を確保することができる。
【0076】
<実施の形態3>
実施の形態3のカメラモジュールは、フープ材をプレス加工によって打ち抜いて作製したプレス部品を利用し、プレス部品をインサート成形して複数個のカメラモジュールを作製した後に、プレス部品のキャリアの部分を切断して個片化を図ることによって製造する点が実施の形態1、2のカメラモジュールと異なる。
【0077】
図10は、実施の形態3のカメラモジュール300を示す斜視図であり、図11は、図10に示すカメラモジュール300の斜視拡散分解図である。
【0078】
図10及び図11に示すように、カメラモジュール300は、オートフォーカス部301、導電性接着剤302、レンズバレル303、ホルダ304、IR(Infrared)カットフィルム305、イメージセンサ306、及び端子310A〜310Dを含む。
【0079】
オートフォーカス部301としては、例えば、圧電素子の変形を利用して焦点を合わせる形式のものを用いることができる。
【0080】
導電性接着剤302は、オートフォーカス部301の図中下側の面にある端子と、端子310A〜310Dとを接続する。導電性接着剤302としては、例えば、熱硬化樹脂で構成されるバインダーに、導電性フィラーとして銀粒子や銅粒子を混合したものを用いることができる。バインダーを熱硬化させることにより、オートフォーカス部301の図中下側の面にある端子と、端子310A〜310Dとを接続すればよい。
【0081】
レンズバレル303は、内部にレンズ303Aが収納された樽状の部品である。
【0082】
ホルダ304は、端子310A〜310Dとともにインサート成形されており、例えば、熱硬化樹脂によって形成される。端子310A〜310Dは、ホルダ304内を図中下方向に延伸している。ホルダ304の外壁面304Aには、端子310A〜310Dの一部である切断部311が突出している。ホルダ304は、外壁面304Aに突出部304Bを有する。突出部304Bは、外壁面304Aから突出する切断部311よりも突出している。
【0083】
ホルダ304は、レンズバレル303を収納する貫通孔320を有する。ホルダ304、端子310A〜310D、切断部311、及び貫通孔320については、図12及び図15を用いて後述する。
【0084】
IR(Infrared)カットフィルム305は、レンズバレル303の裏側(図中下側)において、レンズバレル303とイメージセンサ306との間に設けられる。IRカットフィルム305は、例えば、イメージセンサ306の光入射面(図中上側の面)を覆うように、イメージセンサ306の上に配設される。
【0085】
イメージセンサ306は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いればよい。イメージセンサ306のピクセル数は、例えば、600万画素又は1000万画素等の所望の画素を得るためのピクセル数であればよい。
【0086】
端子310A〜310Dは、図10及び図11においてホルダ304から突出している部分が導電性接着剤302に接続される。端子310A〜310Dは、ホルダ304内を図中下方向に延伸し、その途中に、ホルダ304の外壁部304から突出する切断部311を有する。
【0087】
次に、図12を用いて端子310A〜310Dについて説明する。
【0088】
図12は、実施の形態3のホルダ304と端子310を有するモジュール300Aを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は斜視拡散分解図、(C)は端子310Aの図12(B)におけるA方向矢視側面図である。
【0089】
図12(A)に示すモジュール300Aは、図11の斜視拡散分解図に示すホルダ304と同一である。モジュール300Aは、ホルダ304及び端子310A〜310Dを有し、端子310A〜310Dに対してホルダ304がインサート成形された状態のものである。
【0090】
図12(B)には、説明の便宜上、端子310A〜310Dを除いた状態のホルダ304を示す。ただし、ホルダ304は、端子310A〜310Dとともに熱硬化樹脂を用いてインサート成形を行うことによって形成される。このため、図12(B)に示す形状でホルダ304が単体で存在することはない。
【0091】
なお、以下では、端子310A〜310Dを区別しない場合には、単に端子310と称す。
【0092】
図12(B)及び(C)に示すように、端子310A〜310Dは、一端312A、他端312B、及び切断部311を有する。
【0093】
一端312Aは、図10及び図11においてホルダ304から突出している側であり、導電性接着剤302に接続される。
【0094】
他端312Bは、一端312Aとは反対側であり、図示しない基板に接続される。この基板については図13を用いて後述する。
【0095】
ここで、X1、X2方向、Y1、Y2方向、Z1、Z2方向によって定義されるXYZ軸を図12(B)に示すようにとる。X1、X2方向、Y1、Y2方向、Z1、Z2方向は、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸方向において、互いに逆向きの方向である。
【0096】
ここで、端子310A〜310Dはすべて同一の構造を有するため、端子310A〜310Dの詳細な構成については、図12(B)及び図12(C)を用いて端子310Aについて説明する。
【0097】
端子310Aの一端312Aは、中間部312CからY1方向に延伸しており、他端312Bは、中間部312CからY2方向に延伸している。中間部312Cに対して、一端312Aと他端312Bは、ともにZ2方向にオフセットしている。これは、プレス加工によって折り曲げられたことによる変位である。
【0098】
端子310Aは、一端312Aと他端312Bとの間の中間部312CからX1、X2方向に延伸し、そこからY2方向に延伸し、さらにZ1方向に延伸する切断部311を有する。
【0099】
端子310Aは、フープ材をプレス加工することによって作製され、インサート成形でホルダ304を形成した後に、個片化を行うためにキャリアから各端子310A〜310Dが切断される。切断部311は、個片化の際にキャリアから切断された跡である。
【0100】
次に、図13を用いて、カメラモジュール300の平面及び底面の構造について説明する。
【0101】
図13は、実施の形態3のカメラモジュール300を示す図であり、(A)は平面図、(B)は底面図である。
【0102】
図13(A)に示すように、平面視では、カメラモジュール300のオートフォーカス部301、導電性接着剤302、レンズ部303A、ホルダ304、及び端子310A〜310Dが見える。
【0103】
図13(B)に示すように、底面視では、カメラモジュール300のホルダ304、イメージセンサ306、及び端子310A〜310Dが見える。イメージセンサ306は、実施の形態1のCCDカメラ100と同様の端子を有する。
【0104】
次に、図14を用いて、カメラモジュール300の断面構造について説明する。
【0105】
図14は、図13(A)におけるB−B'矢視断面を示す図である。
【0106】
図14に示すように、オートフォーカス部301、導電性接着剤302、レンズバレル303、IRカットフィルム305、及び端子310A〜310Dイメージセンサ306は、ホルダ304に取り付けられている。
【0107】
この状態で、端子310A、310Cの一端312Aは、導電性接着剤302に接続され、導電性接着剤302はオートフォーカス部301の端子に接続されている。
【0108】
また、カメラモジュール300は、図14に示すように、基板330の配線331、332に半田341、342を介して、端子310A、310Cの他端312Bを接続することにより、基板330に実装される。半田341、342は、例えば、リフロー型の半田を用いればよい。
【0109】
次に、図15を用いて、カメラモジュール300のモジュール300Aの製造方法について説明する。
【0110】
図15は、実施の形態3のカメラモジュール300のモジュール300Aの製造工程を示す図である。図15(B)は、図15(A)の一部を拡大して示す図である。
【0111】
図15(A)には、プレス板308を示す。プレス板308は、例えば、フープ材をプレス加工することによって形成される。図15(A)に矢印で示す送り方向は、フープ材の長手方向に対応する。
【0112】
図15(A)には、4セット分のカメラモジュール300(図10参照)用の端子310がプレス加工されたプレス板308を示す。
【0113】
ここで、図15(A)のプレス板308が有する4セット分の各セットに含まれる4つの端子310を含む領域を領域308A〜308Dと表すこととする。図15(A)には4つの領域308A〜308Dを示すが、領域の数は4つより多くてもよい。特に、プレス板308をフープ材から加工する場合は、多数の領域が並ぶことになる。
【0114】
図15(A)に示す領域308A〜308Dは、それぞれ、一つずつ工程がずれている。
【0115】
領域308Aでは、プレス加工によってプレス板308の一つの領域内に、4つの端子310が打ち抜かれ、かつ、一端312A及び他端312B(図12(B)参照)が中間部312C(図12(B)参照)に対してオフセットされている。
【0116】
領域308Bでは、領域308Aに示す端子310の中間部312B(図12(B)参照)を起立させるようにプレス加工を行うことにより、一端312A及び他端312Bが立てられた状態になっている。
【0117】
領域308Cでは、領域308Bに示す端子310に対してインサート成形を行うことにより、ホルダ304を形成している。
【0118】
この状態では、モジュール300Aがプレス板308のキャリア309によって保持されている。従って、領域308Cに示すモジュール300Aに対して、図15(B)に拡大して示すように個片化を行えば、図15(A)の領域308Dに示すように、プレス板308からモジュール300Aを得ることができる。個片化は、例えば、モジュール300Aを保持するキャリア309をホルダ304の近傍で裁断機で切断するか、又は、モジュール300Aを保持するキャリア309のホルダ304の近傍に切れ目を入れておいて、応力を付加することによって切断することによって行えばよい。
【0119】
切断部111は、図15(B)に示すようにモジュール300Aの個片化を行う際に、プレス板308のキャリア309を切断することにより、ホルダ304に残存する部分である。なお、切断部111は、研磨等によって除去してもよい。
【0120】
ここで、領域308A〜308Dには、それぞれ段階の異なる工程を示すが、領域308A〜308D内に形成される端子310は、すべて同時にプレス加工が行われた後に、プレス板308を図15(A)に矢印で示す送り方向に送りながら、領域308A〜308Dに示すように、一領域ずつ、プレス加工(領域308A、308B参照)、インサート成形(領域308C参照)、及び個片化(領域308D参照)を行えばよい。
【0121】
なお、ここでは、すべて同時にプレス加工が行われた後に、領域308A〜308Dに示すように、一領域ずつ、プレス加工(領域308A、308B参照)、インサート成形(領域308C参照)、及び個片化(領域308D参照)を行う形態について説明するが、送り方向において、複数の領域に対して、同一の工程(プレス加工、インサート成形、又は個片化)を行ってもよい。
【0122】
なお、図15(A)には、プレス板308に複数の領域308A〜308Dが一列に並んでいる状態を示すが、領域が複数列並ぶようにプレス加工が行われてもよい。領域が複数列並ぶ場合には、送り方向に対して直角な方向にある複数の領域について、同一の工程(プレス加工、インサート成形、又は個片化)を行ってもよい。
【0123】
以上、実施の形態3のカメラモジュール300によれば、フープ材にプレス加工を行うことによって複数の端子310が形成されたプレス板308に対して、インサート成形でホルダ304を形成することにより、モジュール300Aを製造できる。
【0124】
従来は、例えば、ホルダに端子用の孔部を形成し、孔部に端子を挿通することによって実施の形態のモジュール300Aに対応するモジュールを製造していた。このようなモジュールの製造方法では、ホルダと端子を組み立てるために製造工程が増えることにより製造コストが嵩むという課題があった。また、製造コストが嵩むことにより、カメラモジュールの低価格化が困難になっており、カメラモジュールのコスト上昇に繋がっていた。
【0125】
また、端子の位置決め精度が低下するという課題があった。
【0126】
これに対して実施の形態3のカメラモジュール300によれば、モジュール300Aは、フープ材にプレス加工を行うことによって複数の端子310が形成されたプレス板308に対して、インサート成形でホルダ304を形成することによって製造されるため、非常に簡単に製造できる。
【0127】
このため、モジュール300Aを用いれば、カメラモジュール300(図10参照)の製造コストを低下させることができ、カメラモジュール300の低コスト化を図ることができる。
【0128】
また、モジュール300Aは、フープ材にプレス加工を行うことによって複数の端子310が形成されたプレス板308に対して、インサート成形でホルダ304を形成することによって製造されるため、端子310の位置決め精度が高い。端子310は、導電性接着剤302を介してオートフォーカス部301に接続されるため、端子310の位置決め精度は、カメラモジュール300の信頼性や歩留まりに大きく影響する。
【0129】
このため、実施の形態3によれば、カメラモジュール300の信頼性や歩留まりを大きく改善することができる。
【0130】
以上、本発明の例示的な実施の形態1乃至3のカメラモジュールについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 カメラモジュール
10 カメラ側筐体
11 背面
12 開口部
13 爪部
14 開口部
14A ねじ部
15 スクリューねじ
16 ねじ孔
17 ねじ孔
20 基板側筐体
20A 表面
20B 裏面
20C 受け部
21 パッキン
22 パッキン
23 ねじ
30 ケーブル
31 カバー
31A 一端
31B 他端
32 ジャック絶縁体
32A 一端
32B、32C 開口部
33 溝部
34 パッキン
35 開口部
36 ジャックコンタクト
37 配線
38 パッキン
39 アウターカバー
100 CCDカメラ
101 レンズ
102 IC
103 基板
103A 表面
103B 裏面
104 リード
105 ばね端子
106 ねじ孔
107 ねじ
108 ピン
109 ねじ
300 カメラモジュール
300A モジュール
301 オートフォーカス部
302 導電性接着剤
303 レンズバレル
304 ホルダ
305 IRカットフィルム
306 イメージセンサ
310A〜310D 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部と、
前記カメラ部の駆動部が実装される基板と、
前記カメラ部の端子と前記基板の一方の面の配線との間を接続する弾性を有するカメラ側接続部と
を含む、カメラモジュール。
【請求項2】
前記カメラ側接続部は、前記基板の前記一方の面に直接接続されている、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記基板の他方の面側に接続されるケーブルと、
前記基板の他方の面の配線と前記ケーブルの端子との間を接続する弾性を有するケーブル側接続部と
をさらに含む、請求項1又は2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記ケーブル側接続部は、前記基板の前記他方の面に直接接続されている、請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記カメラ部は、筐体に固定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記筐体は、前記基板が収納される基板側筐体に接合されるカメラ部側筐体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
金属板をプレス加工することによって形成される複数の端子と、
前記複数の端子とともにインサート成形されることによって形成され、前記複数の端子を保持するとともに、前記複数の端子の延伸方向に貫通する貫通孔を有するホルダと、
前記貫通孔内に収納されるレンズと、
前記レンズの背面側で前記ホルダに取り付けられるカメラ部と
を含む、カメラモジュール。
【請求項8】
前記金属板には、前記複数の端子のセットが複数セット形成され、
前記ホルダは、前記複数セットの各々のセットに含まれる複数の端子に対して、1つずつ形成される、請求項7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記金属板はフープ材である、請求項7又は8記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記複数の端子は、個片化のためにキャリアから切断される切断部を有し、
前記切断部は、前記ホルダの壁部を貫通しており、
前記ホルダは、前記ホルダの外壁部の前記切断部の周囲に凹部を有する、請求項7乃至9のいずれか一項記載のカメラモジュール。
【請求項11】
金属板にプレス加工を行うことにより、複数の端子を複数セット有するプレス基板を形成する工程と、
前記複数セットの各セットに含まれる複数の端子に対して、インサート成形を行うことにより、前記複数の端子を保持するとともに、前記複数の端子の延伸方向に貫通する貫通孔を有するホルダを形成する工程と、
前記貫通孔内にレンズを取り付ける工程と、
前記レンズの背面側にカメラ部を取り付ける工程と、
前記ホルダ毎に個片化を行う工程と
を含む、カメラモジュールの製造方法。
【請求項12】
前記金属板はフープ材であり、
前記プレス基板を形成する工程は、前記フープ材に対してプレス加工を行うことにより、前記複数の端子を複数セット形成する工程である、請求項11記載のカメラモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−15995(P2012−15995A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94340(P2011−94340)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】