説明

カメラモジュール

【課題】内部に混入した異物の影響が抑制された高品質なカメラモジュールを提供する。
【解決手段】カメラモジュール51は、レンズ1と、撮像素子12と、該レンズ1に向けて開口する開口部14aを備え、該撮像素子12を格納する格納部と、格納部上に固定され、該開口部を塞ぐ透光部材15と、該レンズ1を保持する可動部と、該格納部上の、該透光部材15とは異なる位置に固定され、該可動部を駆動する固定部と、を備えており、該透光部材15は、該格納部から該レンズ1側に向けて突出しており、該固定部は、該透光部材の一部を覆うように迫り出している迫り出し部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像または映像を撮像する機能を有する電子機器に搭載されるカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器に搭載されるカメラモジュールとして、特許文献1には、レンズの焦点位置を調整できる光学構造体と、前記レンズに対応させて固体撮像素子を実装した素子基板とを備え、前記光学構造体と素子基板との間に配置される中間構造体が設けられ、前記光学構造体及び中間構造体のうち少なくとも一方は、他方の構造体を係止するための係止部を備えるカメラモジュールが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のカメラモジュールでは、中間構造体において固体撮像素子に対応する位置に窓部が形成してあり、窓部の撮像素子側に光学フィルタが貼付してある。
【0004】
また、特許文献2には、撮像レンズと撮像レンズを保持するレンズバレルとを有する光学部と、無限遠端からマクロ端まで撮像レンズを光軸方向に駆動するレンズ駆動部と、上記撮像レンズを通して入射された光を電気信号に変換する撮像素子を有する撮像部とを備え、上記レンズ駆動部は、上記光学部を内部に保持し、光軸方向に移動できる可動部と、撮像レンズの駆動時に位置が変動しない固定部とを備えており、上記レンズ駆動部が、上記撮像レンズを無限遠端に駆動させたとき、上記光学部の基準面と、上記固定部に形成されたレンズ駆動部の基準面または撮像部の基準面とが互いに当接するカメラモジュールが提案されている。
【0005】
特許文献2に記載のカメラモジュールでは、上記撮像部は、上記撮像素子の少なくとも一部を覆うと共に、表面にレンズ駆動部が搭載されるセンサーカバーを備えている。当該センサーカバーには、光路を確保するための開口が設けられており、当該開口には、ガラス基板が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−175971号公報(2005年6月30日公開)
【特許文献2】特開2010−134409号公報(2010年6月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、カメラモジュールの組み立て工程において発生した異物および外部からカメラモジュールに侵入した異物が、特許文献1に記載のカメラモジュールの光学フィルタ、または、特許文献2に記載のカメラモジュールのガラス基板上に載った場合、撮像素子に到達する光を遮る場合がある。特許文献1に記載の技術は、この問題について何ら考慮されていない。
【0008】
一方、特許文献2には、ガラス基板の上面がセンサーカバーから撮像レンズ側(上方)に突出していてもよいこと、および、ガラス基板を撮像素子に対して距離を離して配置した方が異物に対して強くなることが記載されている。しかしながら、このようにガラス基板を設置した場合、カメラモジュールの他の構造物の形状、配置等が制限され、高品質なカメラモジュールを提供し得ないおそれがある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、内部に混入した異物の影響が抑制された高品質なカメラモジュールを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカメラモジュールは、上記課題を解決するために、レンズと、撮像素子と、該レンズに向けて開口する開口部を備え、該撮像素子を格納する格納部と、該格納部上に固定され、該開口部を塞ぐ透光部材と、該レンズを保持する可動部と、該格納部上の、該透光部材とは異なる位置に固定され、該可動部を駆動する固定部と、を備えており、該透光部材は、該格納部から該レンズ側に向けて突出しており、該固定部は、該透光部材の一部を覆うように迫り出している迫り出し部を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、透光部材が、格納部からレンズ側に向かって突出しているため、例え、透光部材上に異物が載ったとしても、異物と撮像素子との間隔を離すことができるため、撮像素子に到達する光に与える影響を、異物のサイズに対して低減させ、異物の影響を抑制することができる。
【0012】
また、異物は、一旦、格納部の表面に落ち、その後、透光部材上に移動するという複雑な経路をたどる必要があり、透光部材が突出しており、さらに、透光部材の一部が迫り出し部によって覆われているために、当該経路が複雑化され、異物が透光部材上に載ることを好適に避けることができる。それゆえ、異物の影響を抑制することができる。
【0013】
また、上記の構成によれば、固定部が、格納部上の、透光部材とは異なる位置に固定されているため、透光部材を、首尾よく、格納部からレンズ側に向かって突出させることができる。
【0014】
また、上記の構成によれば、固定部が有する、可動部を駆動するための駆動機構の少なくとも一部を、迫り出し部上に設けることができる。これにより、透光部材が格納部からレンズ側に向かって突出していることによって、固定部の固定位置が光軸から見て外側にずれたとしても、当該駆動機構を、より光軸近くに配置することができる。それゆえ、カメラモジュールの構造物の形状、配置等について、透光部材が格納部からレンズ側に向かって突出していない場合と同等以上の構成を実現することができる。また、透光部材よりも格納部の方が引込むようになっているため、駆動機構を配置するスペースを確保し、必要に応じて駆動の推力を増大することもできる。
【0015】
以上のように、上記の構成によれば、内部に混入した異物の影響が抑制された高品質なカメラモジュールを提供することができる。
【0016】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記迫り出し部上に、上記可動部を受ける可動部受け部が設けられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、可動部を受ける可動部受け部を、迫り出し部上に設けることができる。これにより、透光部材が格納部からレンズ側に向かって突出していることによって、固定部の固定位置が光軸から見て外側にずれたとしても、可動部受け部を、より光軸近くに配置することができる。それゆえ、カメラモジュールの構造物の形状、配置等について、透光部材が格納部からレンズ側に向かって突出していない場合と同等以上の構成をより好適に実現することができる。
【0018】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記透光部材は、矩形板状であり、上記迫り出し部は、少なくとも上記透光部材の隅部を覆うものであってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、迫り出し部が、矩形板状の透光部材の隅部を覆うようになっているので、撮像素子に入射する光を、透光部材の中央部に通すことができる。すなわち、撮像素子に入射する光の経路を好適に設定することができる。
【0020】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記迫り出し部と、上記透光部材との間に空隙が設けられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、カメラモジュールの組み立て工程時に、透光部材と迫り出し部とが接触することを首尾よく避けることができる。これにより、透光部材が固定された格納部を含む撮像構造体の中心と、迫り出し部を備える固定部を含む光学構造体との中心とが、透光部材と迫り出し部との接触によってずれることを首尾よく避けることができる。
【0022】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記固定部は、上記可動部を上記レンズの光軸方向に駆動するものであってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、レンズを光軸方向に駆動することができるので、例えば、オートフォーカス機能等を容易に実現することができる。そして、本発明によれば、固定部に設けられている迫り出し部の存在によって、可動部を駆動するための駆動機構を好適に配置することができる。
【0024】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記固定部は、上記可動部を上記レンズの光軸に垂直な方向に駆動し、上記可動部は、上記レンズを上記レンズの光軸方向に駆動するものであってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、レンズを光軸方向および光軸に垂直な方向に駆動することができるので、例えば、オートフォーカス機能、手ぶれ補正機能等を容易に実現することができる。そして、本発明によれば、固定部に設けられている迫り出し部の存在によって、可動部を駆動するための駆動機構を好適に配置することができる。
【0026】
本発明に係るカメラモジュールでは、上記格納部に、上記開口部を囲うように凹部が設けられており、該凹部は、上記透光部材の大きさよりも広く、上記透光部材の厚さよりも浅いものであってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、凹部の広さは、透光部材の大きさよりも広いため、透光部材を首尾よくはめ込むことができる。また、凹部の深さは、透光部材の厚さよりも浅いため、透光部材を、首尾よく、格納部からレンズ側に向かって突出させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るカメラモジュールは、レンズと、撮像素子と、該レンズに向けて開口する開口部を備え、該撮像素子を格納する格納部と、該格納部上に固定され、該開口部を塞ぐ透光部材と、該レンズを保持する可動部と、該格納部上の、該透光部材とは異なる位置に固定され、該可動部を駆動する固定部と、を備えており、該透光部材は、該格納部から該レンズ側に向けて突出しており、該固定部は、該透光部材の一部を覆うように迫り出している迫り出し部を備えているため、内部に混入した異物の影響を抑制するとともに、構造物同士の調和をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における格納部の構造を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における透光部材を固定した格納部の構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態における光学構造体の構造を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態における光学構造体の構造を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態における光学構造体の構造を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における光学構造体の構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るカメラモジュール51の概略構成を示す断面図である。図1(a)は、後述するリッドガラス15の対角線に沿った(図4および5のA−A’における)断面図を示し、図1(b)は、リッドガラス15の辺に平行な中心線に沿った(図4および5のB−B’における)断面図を示す。図1に示すように、カメラモジュール51は、光学構造体11と撮像構造体16とが積層されてなる。
【0031】
(光学構造体)
本実施形態において、光学構造体11は、撮像レンズ(レンズ)1、レンズバレル2、スリーブ3、コイル4、ヨーク5、磁石6、板バネ7および8、ベース部9、ならびに、トップカバー10を備えている。
【0032】
ベース部9は、撮像構造体16に固定され、光学構造体11の他の構造物を支持する。ヨーク5は、光学構造体11の外周部に配置されており、ベース部9に固定されている。ヨーク5の上部にはトップカバー10が設けられている。
【0033】
ヨーク5に囲まれた部分に、スリーブ3が配置されている。スリーブ3は、内部にレンズバレル2を固定している。レンズバレル2は、撮像レンズ1を保持している。図1中、O−O’に撮像レンズ1の光軸を示す。以下、撮像レンズ1の光軸を、単に、光軸と称する。
【0034】
スリーブ3の上部および下部には、それぞれ板バネ7および8の一端が固定されており、板バネ7および8の他端は、それぞれヨーク5およびベース部9に固定されている。すなわち、スリーブ3は、板バネ7および8を介してベース部9およびヨーク5に接続しており、板バネ7および8が変形することにより、光軸方向に移動できるようになっている。
【0035】
また、スリーブ3の外周には、コイル4が巻回されている。また、ヨーク5の内側には、コイル4に対向した磁石6が設けられている。そして、コイル4に電流を与えることにより、スリーブ3を光軸方向に駆動できるようになっている。すなわち、カメラモジュール51では、撮像レンズ1を光軸方向に駆動することができ、例えば、オートフォーカス機能を実現することができる。
【0036】
本実施形態では、光学構造体11のうち、光軸方向に駆動されるようになっている部分、すなわち、撮像レンズ1、レンズバレル2、スリーブ3およびコイル4を、可動部21と称し、光学構造体11のうち、撮像構造体16に固定されており、可動部21を駆動する部分、すなわち、ベース部9、ヨーク5、磁石6、トップカバー10、ならびに、板バネ7および8を、固定部22と称する。
【0037】
(撮像構造体)
本実施形態において、撮像構造体16は、撮像素子12、基板13、センサーカバー(格納部)14およびリッドガラス(透光部材)15を備えている。
【0038】
撮像素子12は基板13上に設けられている。また、センサーカバー14は、基板13上に固定され、撮像素子12を格納している。センサーカバー14には、撮像レンズ1から入射した光を通すための開口部14aが設けられている。そして、開口部14aを塞ぐように、センサーカバー14上にリッドガラス15が固定されている。また、センサーカバー14上の、リッドガラス15が固定されている領域とは異なる領域である搭載面14bに、光学構造体11のベース部9(の下面9a)が固定される。
【0039】
図3は、センサーカバー14の構造を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、センサーカバー14の中央部には、開口部14aが設けられている。また、センサーカバーの外周部には、搭載面14bが設けられている。そして、搭載面14bと開口部14aとの間には、開口部14aを囲うように凹部14cが設けられている。凹部14cは、リッドガラス15を固定するための領域であり、搭載面14bよりも撮像素子12側に凹んでいる。
【0040】
図4は、リッドガラス15を固定したセンサーカバー14の構造を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、凹部14c内に、矩形板状のリッドガラス15がはまり込んで固定される。すなわち、凹部14cの広さは、リッドガラス15の大きさよりも広くなっている。また、凹部14cの深さは、リッドガラス15の厚さよりも浅くなっている。これにより、リッドガラス15は、センサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出する。
【0041】
言い換えれば、撮像素子12から撮像レンズ1に向かう方向を上方としたときに、リッドガラス15の上面の方が、センサーカバー14の上面(搭載面14b)よりも、高い位置にある。
【0042】
このように構成することにより、例え、カメラモジュール51内に異物が混入し、リッドガラス15上に異物が載ったとしても、異物と撮像素子12との間隔を離すことができるため、撮像素子12に到達する光に与える影響を、異物のサイズに対して低減させ、異物の影響を抑制することができる。すなわち、リッドガラス15上に載る異物の許容サイズを大きくすることが可能となり、より高品質なカメラモジュールの提供が可能となる。
【0043】
また、カメラモジュール51内に混入した異物は、例えば、一旦、センサーカバー14の上面に落ち、その後、リッドガラス15上に移動するという複雑な経路をたどる必要があり、さらに、リッドガラス15がセンサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出しているため、センサーカバー14の上面と、リッドガラス15との間に障壁が存在するため、このような経路から異物が透光部材上に載ることを好適に避けることができる。それゆえ、異物の影響を抑制することができる。
【0044】
また、このように、リッドガラス15よりもセンサーカバー14の搭載面14bの方が引込むようになっている(撮像素子12から撮像レンズ1に向かう方向を上方としたときに、リッドガラス15の上面よりもセンサーカバー14の搭載面14bの方が低い位置にある)ため、駆動機構を配置するスペースを確保し、必要に応じて駆動の推力を増大することもできる。すなわち、リッドガラス15の上面よりセンサーカバー14の搭載面14bを下げることにより、その下げた分、光学構造体11の高さ寸法を取ることが可能となり、レンズバレル2の外周に配置される、磁石6およびコイル4の高さ方向のサイズを大きく取ることができるため、スリーブ3の駆動のための推力に余裕を持つことができ、より高品質なカメラモジュールを提供することが可能となる。
【0045】
また、センサーカバー14上に、リッドガラス15を固定するための領域として、リッドガラス15の大きさよりも広く、リッドガラス15の厚さよりも浅い凹部14cを設けることにより、リッドガラス15を、首尾よく、センサーカバー14に固定した上で、センサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出させることができる。
【0046】
なお、リッドガラス15は、センサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出するようになっていればよく、必ずしも、図4に示すように凹部14cに固定されている必要はない。リッドガラス15は、センサーカバー14上の、搭載面14bと同じか、搭載面14bよりも撮像レンズ1側に隆起した領域に固定されていてもよい。
【0047】
また、ベース部9(の下面9a)は、センサーカバー14上の、リッドガラス15が固定される位置(凹部14c)とは異なる位置(搭載面14b)に固定されるため、リッドガラス15がセンサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出することを妨げない。
【0048】
(迫り出し部)
ここで、図1(a)に示すように、ベース部9は、リッドガラス15の一部を覆うように迫り出している迫り出し部9bを備えている。すなわち、撮像素子12から撮像レンズ1に向かう方向を上方としたとき、ベース部9は、リッドガラス15の上面よりも高い位置から、内側(リッドガラス15側)に向かって延伸している。
【0049】
これにより、可動部21を駆動するための駆動機構の少なくとも一部を、迫り出し部9b上に設けることができる。特に、図1(a)に示すように、可動部21の底面を受ける受け部(可動部受け部)9cを迫り出し部9b上に設けることが好ましい。これにより、リッドガラス15がセンサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出していることによって、固定部22の固定位置(搭載面14bの位置)が光軸から見て外側にずれたとしても、より光軸近くに駆動機構(例えば、受け部9c)を配置することができる。それゆえ、カメラモジュール51の構造物の形状、配置等について、透光部材が格納部からレンズ側に向かって突出していない場合と同等の構成を実現することができる。例えば、可動部21を受けるための受け部9cを光軸近くに設けることができるため、可動部21を光軸近くの好適な位置に配置することができる。
【0050】
なお、受け部9cは、可動部21の可動域を限定し、可動部21が正常な範囲を超えて駆動されることを防ぐための受け部である。
【0051】
また、迫り出し部9bを設けることにより、一旦、センサーカバー14の上面に落ち、その後、リッドガラス15上に移動するという異物の経路がさらに複雑となり、異物がリッドガラス15上に載ることをより好適に避けることができる。
【0052】
なお、図1(b)に示すように、特定の断面においては、迫り出し部9bは、リッドガラス15を覆わないようになっていてもよい。
【0053】
また、図1(a)に示すように、リッドガラス15と、迫り出し部9bとの間には、空隙が存在するようになっていることが好ましい。このように構成することにより、カメラモジュール51の組み立て工程時に、リッドガラス15と迫り出し部9bとが接触することを首尾よく避けることができる。これにより、リッドガラス15が固定されたセンサーカバー14を含む撮像構造体16の中心と、迫り出し部9bを備える固定部22を含む光学構造体11との中心とが、リッドガラス15と迫り出し部9bとの接触によってずれることを首尾よく避けることができる。
【0054】
さらに、図面を参照して、迫り出し部9bの形状について詳細に説明する。図5は、固定部22を、撮像素子12側から観察した斜視図である。図5に示すように、ベース部9の外周は、搭載面14bと接合する下面9aとなっている。また、ベース部9の中央部には、撮像素子12に光を入射させるための開口部9dが設けられている。そして、リッドガラス15の隅部に対応する位置に、迫り出し部9bが設けられている。
【0055】
このように、迫り出し部9bは、リッドガラス15の隅部のみを覆う物であってもよい。このように構成することにより、撮像素子12に入射する光を、リッドガラス15の中央部に通すことができる。すなわち、撮像素子12に入射する光の経路を好適に設定することができる。
【0056】
なお、開口部9dの大きさと、リッドガラス15の大きさとの関係によっては、図7に示すように、迫り出し部9bが、リッドガラス15の外周部全体(すなわち、隅部および辺部)を覆うようになっていてもよい。
【0057】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係るカメラモジュール61の概略構成を示す断面図である。図2(a)は、リッドガラス15の対角線に沿った(図4および6のA−A’における)る断面図を示し、図2(b)は、リッドガラス15の辺に平行な中心線に沿った(図4および6のB−B’における)断面図を示す。図2に示すように、カメラモジュール61は、光学構造体11と撮像構造体16とが積層されてなる。
【0058】
(光学構造体)
本実施形態において、光学構造体11は、撮像レンズ1、レンズバレル2、スリーブ3、AFコイル4’、磁石6、板バネ7および8、ベース部9、中間部材17、ワイヤー18、カバー19、ならびに、OISコイル20を備えている。
【0059】
ベース部9は、撮像構造体16に固定され、光学構造体11の他の構造物を支持する。カバー19は、光学構造体11の外周部に配置されており、ベース部9に固定されている。
【0060】
カバー19に囲まれた部分に、中間部材17が配置されている。中間部材17の内部には、スリーブ3が配置されている。スリーブ3は内側にレンズバレル2を固定している。レンズバレル2は、撮像レンズ1を保持している。図2中、O−O’に撮像レンズ1の光軸を示す。以下、撮像レンズ1の光軸を、単に、光軸と称する。
【0061】
スリーブ3は、板バネ7および8を介して、光軸方向に移動可能なように中間部材17に接続している。また、スリーブ3の外周にはAFコイル4’が巻回されている。また、中間部材17に、AFコイル4’に対向するように磁石6が設けられている。そして、AFコイル4’に電流を与えることにより、スリーブ3を光軸方向に駆動できるようになっている。すなわち、カメラモジュール61では、撮像レンズ1を光軸方向に駆動することができ、例えば、オートフォーカス機能を実現することができる。
【0062】
また、中間部材17は、ベース部9に対して、光軸方向に延びるワイヤー18を介して支持されている。ワイヤー18は、一端がベース部9に固定され、他端が中間部材17に固定されている。ワイヤー18は、サスペンションワイヤーとも称され、ワイヤー18が僅かに曲がることにより、中間部材17は、光軸方向に垂直な方向に移動できるようになっている。
【0063】
ここで、カバー19の内側には、中間部材17が備える磁石6に対向するようにOISコイル20が設けられている。そして、OISコイル20に電流を与えることにより、中間部材17を、撮像レンズ1の光軸に垂直な方向に駆動できるようになっている。すなわち、カメラモジュール61では、撮像レンズ1をさらに光軸に垂直な方向に駆動することができ、例えば、手ぶれ補正機能を実現することができる。
【0064】
本実施形態では、光学構造体11のうち、光軸に垂直な方向に駆動されるようになっている部分、すなわち、撮像レンズ1、レンズバレル2、スリーブ3、AFコイル4’、板バネ7および8、磁石6、ならびに、中間部材17を、可動部21と称し、光学構造体11のうち、撮像構造体16に固定されており、可動部21を駆動する部分、すなわち、ベース部9、カバー19、ワイヤー18、および、OISコイル20を、固定部22と称する。
【0065】
(撮像構造体)
本実施形態において、撮像構造体16は、撮像素子12、基板13、センサーカバー14およびリッドガラス15を備えている。
【0066】
撮像素子12は基板13上に設けられている。また、センサーカバー14は、基板13上に固定され、撮像素子12を格納している。センサーカバー14には、撮像レンズ1から入射した光を通すための開口部14aが設けられている。そして、開口部14aを塞ぐように、センサーカバー14上にリッドガラス15が固定されている。また、センサーカバー14上の、リッドガラス15が固定されている領域とは異なる領域である搭載面14bに、光学構造体11のベース部9(の下面9a)が固定される。
【0067】
本実施形態においても、センサーカバー14は、第1実施形態と同様、図3および図4に示されるような凹部14cを備え、凹部14cにリッドガラス15を固定してもよい。または、凹部14cを設けずに、センサーカバー14上の所定の領域にリッドガラス15を固定してもよい。
【0068】
いずれにせよ、本実施形態においても、第1実施形態と同様、リッドガラス15は、センサーカバー14から撮像レンズ1側に向かって突出するようになっている。これにより、本実施形態においても、第1実施形態において説明したような、異物の影響の抑制等の効果を好適に得ることができる。
【0069】
(迫り出し部)
ここで、図2(a)に示すように、第1実施形態と同様に、ベース部9は、リッドガラス15の一部を覆うように迫り出している迫り出し部9bを備えている。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、可動部21は、光軸に対して垂直な方向に駆動される。ただし、カメラモジュール61に対して衝撃等が加わったときに、可動部21が光軸方向に動くことがあり、その際に、ワイヤー18等を損傷するおそれがある。ここで、可動部21の底面を受ける受け部9cを迫り出し部9b上に設けることによって、図2(a)に示すような可動部21の光軸方向への移動範囲を限定し、上述したようなワイヤー18等の損傷を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態でも、図2(b)に示すように、特定の断面においては、迫り出し部9bは、リッドガラス15を覆わないようになっていてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、撮像レンズ1を光軸に垂直な方向にも駆動するため、より内部の隙間が大きくなる。そのため、カメラモジュール61の上部から侵入する異物が多くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、第1実施形態と同様、異物の影響を抑制することができるため、問題の発生を好適に抑制することができる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、画像または映像を撮像する機能を有する電子機器(例えば、携帯電話)または当該電子機器を構成する部品の製造分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
51、61 カメラモジュール
1 撮像レンズ(レンズ)
2 レンズバレル
3 スリーブ
4 コイル
4’ AFコイル
5 ヨーク
6 磁石
7、8 板バネ
9 ベース部
9a 下面
9b 迫り出し部
9c 受け部(可動部受け部)
9d 開口部
10 トップカバー
11 光学構造体
12 撮像素子
13 基板
14 センサーカバー(格納部)
14a 開口部
14b 搭載面
14c 凹部
15 リッドガラス(透光部材)
16 撮像構造体
17 中間部材
18 ワイヤー
19 カバー
20 OISコイル
21 可動部
22 固定部
O−O’ 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
撮像素子と、
該レンズに向けて開口する開口部を備え、該撮像素子を格納する格納部と、
該格納部上に固定され、該開口部を塞ぐ透光部材と、
該レンズを保持する可動部と、
該格納部上の、該透光部材とは異なる位置に固定され、該可動部を駆動する固定部と、を備えており、
該透光部材は、該格納部から該レンズ側に向けて突出しており、
該固定部は、該透光部材の一部を覆うように迫り出している迫り出し部を備えていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
上記迫り出し部上に、上記可動部を受ける可動部受け部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
上記透光部材は、矩形板状であり、
上記迫り出し部は、少なくとも上記透光部材の隅部を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
上記迫り出し部と、上記透光部材との間に空隙が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
上記固定部は、上記可動部を上記レンズの光軸方向に駆動することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
上記固定部は、上記可動部を上記レンズの光軸に垂直な方向に駆動し、
上記可動部は、上記レンズを上記レンズの光軸方向に駆動することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
上記格納部に、上記開口部を囲うように凹部が設けられており、
該凹部は、上記透光部材の大きさよりも広く、上記透光部材の厚さよりも浅いものであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31136(P2013−31136A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167730(P2011−167730)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】