説明

カメラユニットおよびこのカメラユニットを用いたドライブレコーダ

【課題】車両への取付けを容易にしつつ、フロントガラスとGPSアンテナとの距離を確保してGPSアンテナの受信特性を維持したカメラユニットおよびドライブレコーダを提供する。
【解決手段】ドライブレコーダの本体部1と分離してこの本体部1に撮像情報を送信するカメラユニット2であって、筐体5と、この筐体5内部に配置したGPSアンテナ7と、筐体5の上面から突出して先端部8aを車両のフロントガラス8に取付ける突出部9とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車に搭載されて車両室外との情報通信を行うためのアンテナを有するドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドライブレコーダは、本体からカメラユニットを分離した分離型が知られている(特許文献1参照)。この分離型のドライブレコーダでは、GPSアンテナは、本体やカメラユニットとさらに分離して別体に設けられ、ダッシュボードなどフロントガラスから距離が確保された場所に設置されている。これは、GPSアンテナをフロントガラス等の車内の誘電体板に近接して設置すると、当該誘電体板の影響を受けてアンテナ特性が劣化してしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−33846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のドライブレコーダのように、本体とカメラユニットとGPSアンテナとをそれぞれ分離した構成にすると、本体と、カメラユニットおよびGPSアンテナとを結ぶ配線が複数になる。このため配線を車両に目立たせずに引き回して取付けることが困難であった。また、近年ではナビゲーション装置等別な用途のために既に車両のダッシュボード上にGPSアンテナが設けられていることが多い。一般にGPSアンテナ同士を近接させるとアンテナ特性が劣化するため、従来のドライブレコーダのようにGPSアンテナをダッシュボード上に設けようとすると、配置可能な位置が制限されて、GPSアンテナの取付けには、相当な工夫が必要であった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、車両への取付けを容易かつGPSアンテナのアンテナ特性の維持を両立することができるカメラユニットおよびドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カメラユニットが筐体と、この筐体内部に配置したGPSアンテナと、筐体の面から突出して先端部を車両のフロントガラスに取付ける突出部とを備え、この突出部は筐体と一体成型されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両への取付けを容易にしつつ、フロントガラスとGPSアンテナとの距離を確保してGPSアンテナの受信特性を維持したカメラユニットおよびドライブレコーダを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態におけるドライブレコーダのブロック図
【図2】同図1の要部であるカメラユニットを一部透過し、フロントガラスに取付けた状態を説明する図
【図3】同図1の要部であるカメラ部と突出部の配置関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態であるドライブレコーダについて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態のドライブレコーダのブロック図である。図1において、1はドライブレコーダの本体部である。本体部1は、この本体部1と分離してハーネス4を介して事故などの車内外の様子を撮像するカメラユニット2と電気的に接続している。また、本体部1は、カメラユニット2で撮像した画像を記憶するメモリカード3と電気的に接続している。本体部1の内部には演算部1aがある。この演算部1aは、カメラユニット2からのデータをメモリカード3に記憶できるように演算処理を行なう。
【0011】
以上のように構成されたドライブレコーダについて、以下にその要部であるカメラユニット2を詳細に説明する。
【0012】
図2は、本発明の一実施の形態におけるカメラユニット2の一部分をフロントガラスに取り付けた状態を説明する図である。
【0013】
図2において、5は筐体である。この筐体5の両端部には、撮像方向が対向するように第1、第2のカメラ61、62を設けている。筐体5の上端に配置されている第1のカメラ61は、フロントガラス8と反対側を向いており、車内の様子を撮像するものである。筐体5の下端に配置されている第2のカメラ62は、フロントガラス8側を向いており、車外の様子を撮像するものである。2つのカメラを有することで、1つのカメラユニットで車内外の様子を同時に撮像できる。第1のカメラ61および第2のカメラ62は、図2の紙面に垂直な軸を中心に回動可能に構成されている。これにより、図2の紙面に垂直な軸を中心とするフロントガラス8の角度が車両ごとに異なっていても、第1のカメラ61および第2のカメラ62の回動角度を調整することで車内外の様子を常に撮像することができる。カメラ部6が撮像した画像は、ハーネス4を介して本体部1に送信され、本体部1からメモリカード3に保存される。
【0014】
さらに、筐体5の内部の略中央にGPSアンテナ7を設けている。このGPSアンテナ7は、筐体5の内部に設けられた基板10上に配置されている。GPSアンテナ7は、中央に配置することにより、アンテナ特性が最もよくなる。カメラユニット2がGPSアンテナ7で受信した位置情報は、ハーネス4を介して本体部1に送信され、本体部1からメモリカード3に保存される。
【0015】
このような構成を有しているので、GPSアンテナ7で受信した位置情報と、カメラ5で撮像された画像とは、関連づけてメモリカード3に保存されるので、カメラ5で撮像した画像がどこの場所で撮像されたかが確認できる。
【0016】
そして、カメラ5で撮像された画像とGPSアンテナ7で受信した位置情報とを一本のハーネス4によって本体部1の演算装置1aに送信することができる。このように、GPSアンテナ7をカメラユニット2内部に設け、ハーネス4を一本にすることができるので、ハーネス4の車両内での引き回しが容易になり、カメラユニット2、ひいてはこのカメラユニット2を用いたドライブレコーダを車両のフロントガラス8へ容易に取付けることができる。
【0017】
また、カメラユニット2の筐体5の周端に、筐体5と一体成型された突出部9を設けている。本実施の形態では、筐体5の周端のうち、フロントガラス8側の面が上面であり、突出部9は、カメラユニット2の筐体5の上面に設けられている。突出部9は、先端部がフロントガラス8に取付けられて、カメラユニット2とフロントガラス8とを固定する固
定部としての役割を有する。この突出部9の内部は空洞であり、カメラユニット2の筐体5を利用してフロントガラス8とGPSアンテナ7との距離を一定値以上確保できるように構成されている。このことにより、パッチアンテナであるGPSアンテナ7の周波数ズレを引き起こしにくくし、GPSアンテナ7による位置情報の受信特性の悪化を防止され、より正確な位置情報を取得することができる。
【0018】
以上のように構成されたカメラユニット2について、要部である突出部9の配置をより具体的に示すために、図3を用いて説明する。
【0019】
図3は、カメラユニット2のカメラ部と突出部の配置関係を説明する図である。
【0020】
図3において、突出部9は、フロントガラス8に取付ける先端部9aから筐体5の上面との境界までの長さLを有する。この長さLは、フロントガラス8とGPSアンテナ7との距離が10mm以上確保できる長さで構成される。フロントガラス8とGPSアンテナ7との距離が10mm以上確保することにより、誘電体板としてのフロントガラス8の影響を受けてGPSアンテナ7の受信特性が劣化することを防ぐことができる。なお、GPSアンテナ7は筐体5の内部に配置されているので、突出部の長さLを10mm以上にすれば、確実にフロントガラス8とGPSアンテナ7との距離が10mm以上確保することができる。
【0021】
以上より、本実施形態の突出部9によれば、カメラユニット2とこのカメラユニット2を用いたドライブレコーダの車両への取付けを容易にすることとGPSアンテナ7のアンテナ特性の維持を両立することができる。
【0022】
さらに、突出部9は、第2のカメラ62に突出部9が写り込まないように、カメラ部6と突出部9との配置関係が調節されている。第2のカメラ62は、画角2αを有する。換言すると、第2のカメラ62の撮像可能範囲は、図3に示すように、撮像面中心から垂直に伸ばした線Aを、紙面に垂直な軸を中心に時計回り方向に角α回転させた線B、および反時計回り方向に角α回転させた線Cで囲まれた範囲である。筐体5は、突出部9の第2のカメラ62側の端部8bからカメラユニット2の筐体5の端部に配置されている第2のカメラ62までの距離Yを有する。
【0023】
このとき、突出部9と第2のカメラ62とは、Y<L/tan(α)の関係が成り立つように配置される。
【0024】
このような本発明の一実施の形態のカメラユニット2およびこのカメラユニット2を用いたドライブレコーダによれば、カメラユニット2の筐体5に突出部9を設けることにより、GPSアンテナの受信特性を劣化させずにより正確な位置情報を取得することができる。さらに、突出部9が有する構造によって第2のカメラ62による突出部9の写り込みを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかるカメラユニットおよびこのカメラユニットを用いたドライブレコーダは、GPS機能を搭載したカメラユニット分離型のドライブレコーダとして有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 本体部
2 カメラユニット
4 ハーネス
5 筐体
6 カメラ部
61 第1のカメラ
62 第2のカメラ
7 GPSアンテナ
8 フロントガラス
9 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダの本体部と分離してこの本体部に撮像情報を送信するカメラユニットであって、
筐体と、
この筐体内部に配置したGPSアンテナと、
前記筐体の両端に配置したカメラ部と、
前記筐体の上面から突出して先端部を車両のフロントガラスに取付ける突出部とを備え、この突出部は前記筐体と一体成型されていることを特徴とするカメラユニット。
【請求項2】
前記カメラユニットは、
前記筐体の前記カメラ部側側面から延出して前記GPSアンテナが受信したGPS情報と前記カメラ部の撮像情報とを送信するハーネスをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項3】
前記突出部は、前記カメラ部の画角に入らないように配置していることを特徴とする請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項4】
前記カメラユニットは、
前記筐体の端部に配置して所定の画角で車外を撮像するカメラ部をさらに備え、
前記突出部は、
前記フロントガラスに取付ける先端部から前記筐体面までの長さが前記カメラ部側の端部から前記カメラ部までの長さを前記カメラ部の画角の半角の正接関数で除した値未満であることを特徴とする請求項3に記載のカメラユニット。
【請求項5】
車両に取付けて車両の周囲を撮像するカメラユニットと、このカメラユニットから得た撮像情報を記憶媒体に記憶する本体部とを備え、前記カメラユニットが前記本体部と分離したドライブレコーダであって、
前記カメラユニットは、
筐体と、
この筐体内部に配置したGPSアンテナと、
前記筐体の両端に配置したカメラ部と、
前記筐体の上面から突出して先端部を車両のフロントガラスに取付ける突出部とを備え、この突出部は前記筐体と一体成型されていることを特徴とするドライブレコーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−177951(P2012−177951A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154973(P2009−154973)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】