説明

カメラ一体型VTR

【課題】録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動の伝播を軽減除去できるカメラ一体型VTRを提供する。
【解決手段】上扉9は、常時、録画再生機構部7と非接触になるように構成し、下扉10は、開閉時は録画再生機構部7と接触して連動させるが、扉閉完了時には本体部2に接触して閉り状態になり、録画再生機構部7はさらに中に入ったところで動作を終了するように構成しているため、扉閉完了時には録画再生機構部7と非接触の状態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズ群とファインダ等を有する光学機構部と、カセットを水平方向に挿入、配置して録画、再生する録画再生機構部と、該録画再生機構部を保護すると共に、カセットの脱着の際に開閉する略水平方向に2分割されたカセット扉を備えたカメラ一体型VTRに関するものである。
【0002】
本発明は、カメラ一体型VTRに関し、より詳細には、カセット扉が扉閉完了時には録画再生機構部と非接触の状態になることにより、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動の伝播を軽減除去する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のカメラ一体型VTRは、撮影レンズ群、CCD撮像素子及びファインダ等を有する光学機構部と、カセコン本体及び開閉動作するカセコン蓋を有する録画再生機構部とを備え、本体部のカセコン本体に録画再生機構部を配置させ、可動部のカセコン蓋に光学機構部を配置させ、カセコン本体の底面に回路基板を配して、小型化を達成している。(例えば、特許文献1参照。)
図7において、1はカメラ一体型VTR、2は本体部、3はカセコン本体、4は可動部、5はカセコン蓋、6は回路基板、7は録画再生機構部、8は光学機構部である。
【特許文献1】特開平6−290577号公報(第1−4頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、録画再生機構部がカセコン蓋により可動部と常時接触している状態にあるので、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動がカセコン蓋から可動部に伝わり、操作者に不快感を与え、さらにはマイク部に伝わり、雑音として記録されてしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動の伝播を軽減除去したカメラ一体型VTRを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のカメラ一体型VTRは、カセットを水平方向に挿入、配置して録画、再生する録画再生機構部と、前記録画再生機構部を保護すると共に、カセットの脱着の際に開閉する略水平方向に2分割されたカセット扉を備え、前記カセット扉は、上方に位置する第1の扉と下方に位置する第2の扉からなり、前記第2の扉は、開閉時には録画再生機構部に接触した状態で前記録画再生機構部と共に可動し、扉閉完了時には前記第2の扉は前記録画再生機構部とは非接触になることを特徴としたものである。
さらに、前記第2の扉は、閉じ方向に復帰力を持つことを特徴としたものである。
さらに、前記第2の扉は、可逆的に直線移動可能であるスライド扉であることを特徴としたものである。
【0007】
さらに、前記第2の扉は、可逆的に回動可能である回転扉であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカメラ一体型VTRによれば、回転中心軸を持ち定められた所定の位置から可逆的に回転移動可能である回転扉から成る上方に位置する扉が、録画再生機構部と常時非接触に構成され、前記回転扉の回転中心軸とは直角方向且つ前記所定の位置に隣接する位置から可逆的に直線移動可能であるスライド扉から成る下方に位置する扉、もしくは、前記上方に位置する扉とは異なる回転中心軸を持ち、前記所定の位置に隣接する位置から前記上方に位置する扉とは逆方向に可逆的に回転移動可能である回転扉から成る下方に位置する扉が、録画再生機構部と常時接触しているのではなく、扉開閉時には録画再生機構部と接触したまま連動して動作するが、扉閉完了時には録画再生機構部と非接触の状態になるように構成されているので、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動の伝播を軽減除去でき、操作者に対する不快感を解消し、さらには雑音として記録されてしまうという課題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明のカメラ一体型VTRの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1におけるカメラ一体型VTRのカセット扉の閉じ状態における要部斜視図を示し、図2ないし図3は、それぞれ同カセット扉の開,閉状態における要部断面図を示す。図4は、下扉の要部斜視図を示す。
【0011】
本実施の形態において、前述の従来構成と異なる点は、図2に示すように、上扉9と下扉10を扉閉完了時には録画再生機構部と非接触の状態になるように構成することにより、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部7の振動が伝わることを軽減除去することができる。
【0012】
より詳細には、上扉9は、回転中心軸を持ち定められた所定の位置から可逆的に回転移動可能である回転扉であり、その開閉動作については、バネにより常時開き方向に復帰力を有し、図示しないロックにて閉じた状態を保持しているのだが、開く時は操作者がロックをはずすとバネの復帰力にて開き、閉める時は操作者がロックして閉める構成になっていて、常時、録画再生機構部7と非接触になるように構成されている。
下扉10の取り付け構造に関して図4を用いて説明する。下扉10は、コ字状であり、サイド側の面の内側にリブ10aと、フロント、リア側の面にスリット15と、引っ掛け17を設けている。フレーム14は、フロント、リア側の面にボス16を設け、スリット15を掛合する。フレーム14に下扉10を取り付けた後、ガイドプレート17を被せ、ネジ止めする。コイルスプリング12を、下扉10とガイドプレート17それぞれに設けられた引っ掛け17に取り付けることで、下扉10は常に閉じ方向に復帰力を持つようになる。この構成により、下扉10は、前記回転扉の回転中心軸とは直角方向且つ前記所定の位置に隣接する位置から可逆的に直線移動可能であるスライド扉であり、その開閉動作については、コイルスプリング12により常時閉じ方向に復帰力を有し、図3に示すように、開く時は録画再生機構部7のスライドシャーシ11が水平方向に飛び出すことにより、下扉10のリブ10aがスライドシャーシ11に接触し、押出されて水平方向に移動して開く。閉る時は、録画再生機構部7のスライドシャーシ11が閉る方向に移動するに従って、下扉10もコイルスプリング12の復帰力によって閉るが、図1に示すように、扉閉完了時には、下扉10はボス16に接触して閉り状態になり、スライドシャーシ11はさらに中に入ったところで動作を終了するため、下扉10のリブ10aがスライドシャーシ11と非接触になるように構成されている。
【0013】
ゆえに、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部7の振動が上扉9と下扉10へ伝わることを軽減除去できる。
【0014】
また、上扉9と下扉10の2分割する位置については、図3に示すように、録画再生機構部7は開いた時に上方向に移動して開口するのだが、録画再生機構部7が上方向に移動した時の開口部の下端より上にすると、スライド扉10が開口部を塞いでしまい、カセットの抜き差しができなくなるため、カメラ一体型VTR1の機能上、不可能であり、開口部の下端より下にする必要がある。しかし下にするにつれて、回転扉9の回転角度が大きくなり、カメラ一体型VTR1の構成上、あるいはデザイン上、不利となってしまうため、録画再生機構部7が上方向に移動した時の開口部の下端に合せることがより好ましい。
【実施例2】
【0015】
図5ないし図6は、それぞれ本発明の実施例2におけるカメラ一体型VTRのカセット扉の開,閉状態における要部正面図を示す。
【0016】
本実施の形態において、前述の従来構成と異なる点は、図5に示すように、上扉9と下扉10を扉閉完了時には録画再生機構部と非接触の状態になるように構成することにより、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部7の振動が伝わることを軽減除去することができる。
【0017】
より詳細には、上扉9は、回転中心軸を持ち定められた所定の位置から可逆的に回転移動可能である回転扉であり、その開閉動作については、バネにより常時開き方向に復帰力を有し、図示しないロックにて閉じた状態を保持しているのだが、開く時は操作者がロックをはずすとバネの復帰力にて開き、閉める時は操作者がロックして閉める構成になっていて、常時、録画再生機構部7と非接触になるように構成されている。
【0018】
下扉10は、前記回転扉とは異なる回転中心軸を持ち、前記所定の位置に隣接する位置から前記回転扉とは逆方向に可逆的に回転移動可能である回転扉であり、その開閉動作については、バネにより常時閉じ方向に復帰力を有し、図6に示すように、開く時は録画再生機構部7により下扉10のリブ10aが押されて回転して開き、閉る時はバネの復帰力により録画再生機構部7が閉るに従って下扉10も閉るが、図5に示すように、扉閉完了時には、下扉10は本体部2にあるボス2aに接触して閉り状態になり、録画再生機構部7はさらに中に入ったところで動作を終了するため、下扉10のリブ10aが録画再生機構部7と非接触になるように構成されている。
【0019】
ゆえに、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部7の振動が上扉9と下扉10へ伝わることを軽減除去できる。
【0020】
また、上扉9と下扉10の2分割する位置については、下扉10の形状によっては録画再生機構部7の開口部を塞ぐ可能性もあるが、録画再生機構部7が上方向に移動した時の開口部の上端より上にすると、上扉9を構成することなく、下扉10の1枚扉構成でカセットの脱着を可能にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかるカメラ一体型VTRは、カセットを水平方向に挿入,配置して録画,再生する機構部を備えたカメラ一体型VTRにおいて、カセット扉が扉閉完了時には録画再生機構部と非接触の状態になり、録画,再生動作時に発生する録画再生機構部の振動の伝播を軽減除去する構成、機構等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1におけるカセット扉の閉状態における要部斜視(透視)図
【図2】同カセット扉の閉状態における断面図
【図3】同カセット扉の開状態における断面図
【図4】下扉の要部斜視図
【図5】本発明の実施例2におけるカセット扉の閉状態における正面図
【図6】同カセット扉の開状態における正面図
【図7】従来のカメラ一体型VTRのカセット扉の開状態における平面図
【符号の説明】
【0023】
1 カメラ一体型VTR
2 本体部
2a ボス
3 カセコン本体
4 可動部
5 カセコン蓋
6 回路基板
7 録画再生機構部
8 光学機構部
9 上扉
10 下扉
10a リブ
11 スライドシャーシ
12 コイルスプリング
13 ガイドプレート
14 フレーム
15 スリット
16 ボス
17 引っ掛け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット扉を開閉してカセット本体を脱着するカメラ一体型VTRにおいて、
カセットを水平方向に挿入、配置して録画、再生する録画再生機構部と、
前記録画再生機構部を保護すると共に、カセットの脱着の際に開閉する略水平方向に2分割されたカセット扉を備え、
前記カセット扉は、上方に位置する第1の扉と下方に位置する第2の扉からなり、開閉時には、前記第2の扉は録画再生機構部に接触した状態で前記録画再生機構部と共に可動し、扉閉完了時には前記第2の扉は前記録画再生機構部とは非接触になることを特徴としたカメラ一体型VTR。
【請求項2】
前記第2の扉は、閉じ方向に復帰力を持つことを特徴とした請求項1記載のカメラ一体型VTR。
【請求項3】
前記第2の扉は、可逆的に直線移動可能であるスライド扉であることを特徴とした請求項1記載のカメラ一体型VTR。
【請求項4】
前記第2の扉は、可逆的に回動可能である回転扉であることを特徴とした請求項1記載のカメラ一体型VTR。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−4220(P2008−4220A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174838(P2006−174838)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】