説明

カメラ及び顔検出装置

【課題】安定した顔検出結果をもとに撮影制御が可能なカメラを提供する。
【解決手段】本発明のカメラ100は、被写界を撮像する撮像部112と、撮像部112で撮像された画像から顔を検出する顔検出部131と、顔検出部で顔が検出された場合に、顔の画像を記憶する記憶部120と、記憶部に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部132と、一致度演算部の一致度の演算結果より、今回検出された顔が記憶部120に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部133と、一致判定部により今回検出された顔と、記憶部に記憶されている顔とが一致していると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行い、一致判定部により今回検出された顔と、記憶部に記憶されている顔とが不一致であると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行う撮影制御部134と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ及び顔検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像素子や、AE(自動露出)センサを用いて顔検出を行い、その結果を利用して被写体を最適な明るさや適正な焦点位置で撮影する技術が多く存在している。また、顔検出において、重要度を演算し、多くの人物がいる際に、最も重視したい顔を選ぶことも可能となってきている。
しかしながら、顔検出の結果が安定しない場合、その結果を用いた自動焦点調節(AF)やAEの結果が安定せず、結果として撮影画像が撮影するたびに変化してしまうことになる。
このため、顔検出結果を元に、目標値の測光値に収束させていく時間をかけることで、安定化を図るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−147817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、急な構図変更などに対応できず、また、自動露出の安定しか行うことが出来ない。
本発明の課題は、安定した顔検出結果をもとに撮影制御が可能なカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1に記載の発明は、被写界を撮像する撮像部(112)と、該撮像部(112)で撮像された画像から顔を検出する顔検出部(131)と、前記顔検出部(131)で顔が検出された場合に、該顔の画像を記憶する記憶部(120)と、前記記憶部(120)に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部(132)と、前記一致度演算部(132)の一致度の演算結果より、今回検出された顔が前記記憶部(120)に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部(133)と、前記一致判定部(133)により今回検出された顔と、前記記憶部(120)に記憶されている顔とが一致していると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行い、前記一致判定部(133)により今回検出された顔と、前記記憶部(120)に記憶されている顔とが不一致であると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行う撮影制御部(134)と、を備えること、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ(100)であって、前記記憶部(120)には、前記今回検出された顔の、今までの一致回数が記憶されており、前記撮影制御部(134)は、該一致回数が閾値以上の場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行い、該一致回数が閾値より小さい場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のカメラ(100)であって、前記一致度演算部(132)は、顔の大きさ、及び該顔の位置変化の少なくとも1つを用いて前記一致度の演算を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のカメラ(100)であって、前記一致度演算部(132)は、顔の大きさ、該顔の位置変化、及び該顔の輝度とを用いて前記一致度の演算を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラ(100)であって、前記撮影制御部(134)が行う撮影制御は、自動焦点制御、自動露出制御、及び自動ホワイトバランス制御の少なくとも1つの制御であること、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか1項に記載のカメラ(100)であって、前記一致度演算部(132)は、前記顔の位置変化を、検出された顔の大きさで規格化した値を用いて、前記一致度の演算を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載のカメラ(100)であって、前記撮影制御部(134)は、今回顔が検出されなかった場合であっても、今までの顔の一致回数が閾値以上の場合、前記記憶部(120)に記憶されている顔の画像を用いて撮影制御を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載のカメラ(100)であって、前記撮影制御部(134)は、前記記憶部(120)に記憶されている顔を検出した時間と今回顔を検出した時間との時間差が閾値以上の場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行うこと、を特徴とするカメラ(100)である。
請求項9に記載の発明は、被写界を撮像する撮像部(112)で撮像された画像から顔を検出する顔検出部(131)と、前記顔検出部(131)で顔が検出された場合に、該顔の画像を記憶する記憶部(120)と、前記記憶部(120)に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部(132)と、前記一致度演算部(132)の一致度の演算結果より、今回検出された顔が前記記憶部(120)に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部(133)と、を備える顔検出装置(130)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安定した顔検出結果をもとに撮影制御が可能なカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一眼レフタイプのカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】カメラ使用時におけるカメラフロー図である。
【図3】顔の一致度の演算を示すフローチャートである。
【図4】顔の大きさ変化による一致度係数の算出を示す図である。
【図5】顔の位置変化による一致度係数の算出を示す図である。
【図6】顔の輝度変化による一致度係数を算出する
【図7】前回と今回の顔の大きさを説明する図である。
【図8】第2実施形態のフローチャートを示す図である。
【図9】第3実施形態のフローチャートを示す図である。
【図10】第4実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は一眼レフタイプのカメラ100の一実施形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、操作部101と、レンズ102と、表示部103と、第1撮像部104と、制御部105と、メモリカードスロット106と、モニタ107と、プリズム108と、接眼部109と、ミラー110と、シャッター111、第2撮像部112と、測光レンズ113とを備えている。
【0010】
操作部101は、使用者によって操作される入力部材、たとえば電源スイッチ、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。ここでHDRを行うか否かの選択や、その適応量の選択などが出来る。
【0011】
レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。
表示部103は、例えば高分子分散型液晶で、この表示はレンズ102を通り、ミラー110によって導かれた光に重ね合わせられる。この表示が重畳された光は、プリズム108を通り、接眼部109と第2撮像部112に導かれる。
【0012】
第2撮像部112は例えばCMOSやCCDなどの複数画素からなるイメージセンサーである。第2撮像部112により撮像された画像は制御部105へと送られ、この画像を元に、制御部105は公知のシーン認識を行い(例えば顔検出など)、それに基づき自動露出を行い、露出を決定する。
【0013】
第1撮像部104は、例えばCMOSやCCDなどのイメージセンサーであり、撮像時にはミラー110が上がり、シャッター111が開いて、レンズ102によって結像した被写体像が、制御部105により決定された露出で撮像される。そして撮像により得られた画像信号を制御部105へ出力する。
制御部105は、第1撮像部104から入力された画像信号に基づいて所定の画像形式、たとえばJPEG形式の画像データ(以下、本画像データ)を生成する。
【0014】
また、制御部105は生成した画像データに基づいて、表示用画像データ、たとえばサムネイル画像データを作成する。
制御部105は、生成した本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成してメモリカードスロット106へ出力する。
本実施の形態では、本画像データとサムネイル画像データとは、いずれも例えばRGB表色系で表された画像データであるものとする。
【0015】
メモリカードスロット106は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットであり、制御部105から出力された画像ファイルをメモリカードに書き込んで記録する。
また、メモリカードスロット106は、制御部105からの指示に基づいて、メモリカード内に記憶されている画像ファイルを読み込む。
【0016】
モニタ107は、カメラ100の背面などに搭載された液晶モニタであり、当該モニタ107には、メモリカードに記憶されている画像やカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。
【0017】
制御部105は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路により構成され、カメラ100を制御する。
なお、制御部105を構成するメモリ120には、SDRAMやフラッシュメモリが含まれる。SDRAMは揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御部105が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
【0018】
また、制御部105は、メモリ120も含めた顔検出装置130を備える。顔検出装置130は、第2撮像部112で撮像された画像から顔を検出する顔検出部131を備える。顔検出部131で顔が検出された場合に、メモリ120には、その顔の画像が記憶される。そして顔検出装置130は、更に、メモリ120に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部132と、一致度演算部132の一致度の演算結果より、今回検出された顔がメモリ120に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部133と、を備える。
【0019】
さらに、制御部105は、一致判定部133により今回検出された顔と、メモリ120に記憶されている顔とが一致していると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行う。そして、制御部105は、一致判定部133により今回検出された顔と、メモリ120に記憶されている顔とが不一致であると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行う撮影制御部134も備えている。ここで、撮影制御とは、これに限定されるものではないが、自動焦点制御、自動露出制御、及び自動ホワイトバランス制御等である。
【0020】
次に、カメラ100の使用時の流れについて説明する。
図2は、カメラ使用時におけるカメラ100のフロー図である。以下の説明中、カメラの制御部105が行う動作のうち、特定部分である顔検出部131、一致度演算部132、一致判定部133、撮影制御部134が行う動作は、それぞれの部分が行う動作として説明する。
また、それらの特定部分の上位概念である制御部105が行う動作として示す部分は、上記特定部分の動作に含まれても良く、または特定部分以外の別の部分の動作であっても良い。
【0021】
ステップS101で、第2撮像部112は、画像の取得を行う。
ステップS102で、制御部100の顔検出部131は、第2撮像部112の出力を元に、公知の顔検出を行い、被写界にある顔を検出する。
制御部105は、さらに、ステップS103では今回のフレームで顔が検出されたかを判断する。今回のフレームで顔が検出された場合(S103,YES)、S104に進む。今回のフレームで顔が検出されなかった場合(S103,NO)、S113に進む。
【0022】
ステップS104で制御部105は、メモリ120を参照して前回のフレームで顔が検出されたかを判断する。
前回のフレームで顔があった場合(S104,YES)、S105に進む。前回のフレームで顔がなかった場合(S104,NO)にはS106に進む。
【0023】
(前回フレームに顔があった場合)
ステップS105(前回フレームに顔があった場合)で、一致度演算部132は、顔の一致度演算を行う。
顔の一致度は、メモリ120に記憶されている前フレームとの顔の大きさ、顔の位置、顔の輝度の差分や比で算出する。詳細は図3のフロー図を用いて説明する。
【0024】
(顔の大きさ)
図3は、一致度演算部132による顔の一致度の演算を示すフローチャートである。
ステップS201で一致度演算部132は、顔の大きさ変化による一致度係数(以降dFaceSize)を算出する。
前回の顔の大きさFaceSize_Pastと、今回の顔の大きさFaceSize_Nowの比をDelta_FaceSizeとする。図7は、前回と今回の顔の大きさを説明する図である。図7の符号700は第2撮像部112の画面を示し、符号701で示す画像が前回検出された顔で、符号702で示す画像が今回検出された顔である。
Delta_FaceSize = FaceSize_Now / FaceSize_Past
【0025】
このDelta_FaceSizeが1よりも大きなとき、または1よりも小さなときは、前回顔と今回顔のサイズ変化が大きなとき場合である。またこれが1に近ければ近いほど、前回と今回の差が小さいということになる。このDelta_FaceSizeより、図4に従って、顔の大きさ変化による一致度係数dFaceSizeを算出する。
【0026】
そして、
Delta_FaceSize ≦ ThSize1 のとき
dFaceSize = 0
ThSize1 < Delta_FaceSize < ThSize2 のとき
dFaceSize = (Delta_FaceSize−ThSize1) / (ThSize2−ThSize1)
ThSize2 ≦ Delta_FaceSize ≦ ThSize3 のとき
FaceSize = 1
ThSize3 < Delta_FaceSize < ThSize4 のとき
dFaceSize = 1 - (Delta_FaceSize−ThSize3) / (ThSize4−ThSize3)
ThSize4 ≦Delta_FaceSize のとき
dFaceSize = 0
とする。
これらの閾値は、実験により求められ、最適化されている。
【0027】
(顔の位置)
ステップS202で、一致度演算部132は、顔の位置変化による一致度係数(以降dFaceDist)を算出する。
前回の顔の座標(FaceX_Past,FaceY_Past)と、今回の顔の座標(FaceX_Now,FaceY_Now)の距離を今回の顔の大きさで規格化したものをDelta_FaceDistとする(図7参照。)
顔の大きさで規格化することにより、同じ移動距離でも、顔が大きなときには本係数の効果が小さくなり、顔が小さなときには本係数の効果が高くなる。
ΔX = FaceX_Past - FaceX_Now
ΔY = FaceY_Past - FaceY_Now
【数1】

【0028】
このDelta_FaceDistが大きなときは、顔の大きさに対する顔の移動距離が大きく、同一顔である可能性が低くなる。また、Delta_FaceDistが小さなときは、顔の大きさに対する顔の移動距離が小さく、同一顔である可能性が高くなる。Delta_FaceDistより、図5に従って、顔の位置変化による一致度係数dFaceDistを算出する。
【0029】
Delta_FaceDist ≦ ThDist1 のとき
dFaceDist = 1
ThDist1 < Delta_FaceDist < ThDist2 のとき
dFaceDist = (Delta_FaceSize−ThSize1) / (ThSize2−ThSize1)
ThDist2 ≦ Delta_FaceDist のとき
dFaceDist = 0
これらの閾値は、実験により求められ、最適化されている。
【0030】
(顔の輝度)
ステップS203で、一致度演算部132は、顔の輝度変化による一致度係数(以降dFaceBv)を算出する。
前回の顔の輝度FaceBv_Pastと、今回の顔の輝度FaceBv_Nowの差の絶対値をDelta_FaceBvとする。
Delta_FaceBv = | FaceBv_Now - FaceBv_Past |
【0031】
このDelta_FaceBvが大きなときは、顔の明るさの変化が大きく、同一顔である可能性が低くなる。また、Delta_FaceBvが小さなときは、顔の明るさの変化が小さく、同一顔である可能性が高くなる。Delta_FaceBvより、図6に従って、顔の輝度による一致度係数dFaceBvを算出する。
【0032】
Delta_FaceBv ≦ ThBv1 のとき
dFaceBv = 1
ThBv1 < Delta_FaceBv < ThBv2 のとき
dFaceBv = (Delta_FaceBv−ThBv1) / (ThBv2−ThBv1)
ThBv2 ≦ Delta_FaceBv のとき
dFaceBv = 0
【0033】
なお、上述した閾値ThSize1, ThSize2, ThSize3, ThSize4, ThDist1, ThDist2, ThBv1, ThBv2は、実験によって最適化された値を用いる。
【0034】
以上により求まった、dFaceSize,dFaceDist,dFaceBvをWtSize,WtDist,WtBvという重みをかけて足し合わせ、顔の一致度dFaceMatchを計算する。
dFaceMatch = (dFaceSize×WtSize+ dFaceDist×WtDist + dFaceBv×WtBv)
/ (WtSize + WtDist + WtBv)
これらの重みは、基本的には1で構わないが、大きさ変化、位置変化、輝度変化の重要度を変えたい場合には、適宜調整してもよい。
これらの閾値は、実験により求められ、最適化されている。
以上のように、顔の一致度dFaceMatchを求める。
【0035】
(前回フレームに顔がなかった場合)
ステップS106は、ステップS104において前回フレームに顔がなかった場合である。その場合、制御部105は、新しい顔の情報をメモリ120に記録する。
【0036】
ステップS107で、一致判定部133は、ステップS104おいて前回フレームに顔があった場合であり、S105で算出された顔の一致度dFaceMatchが閾値ThFaceMatch以上かどうかを判断する。
【0037】
ステップS108で、制御部105は、ステップS107において、顔の一致度dFaceMatchが閾値以上の場合(S107,YES)には、履歴一致回数FaceCountに1を足す。
ステップS109で、制御部105は、ステップS107において、顔の一致度dFaceMatchが閾値以下の場合(S107,NO)には、履歴一致回数FaceCountをゼロとする。
また、この閾値ThFaceMatchは実験により求めた値で、顔の一致度に関して最適化されている。
【0038】
ステップS110で、制御部105は、履歴一致回数FaceCountが履歴回数閾値ThTotalCountよりも高いかどうかを判断する。
ステップS111で、撮影制御部134は、ステップS110において履歴一致回数FaceCountが履歴回数閾値ThTotalCountよりも高いと判断された場合には(S110,YES)、S111に示すように、顔の検出結果を自動露出や、自動焦点に利用する。
ステップS112で、撮影制御部134は、ステップS110において履歴一致回数FaceCountが履歴回数閾値ThTotalCountよりも低いと判断された場合には(S110,NO)、顔情報を利用しない自動露出や自動焦点などを行う。
すなわち、撮影者が選択しているAFポイントなどを参照し、自動露出や自動焦点が行われる。
【0039】
つまり、同一顔が閾値回数よりも多くカウントされなければ、顔が採用されず、結果として、通り過ぎる人などの顔を余分に検出することがなくなり、AEやAFの不安定さを取り除くことが可能である。
【0040】
ステップS113で、制御部105は、レリーズ動作の検出を行う。
ステップS114で、制御部105は、ステップS113でレリーズ動作が検出された場合(S113,YES)に、カメラの撮像動作を行い、画像を記録する。
【0041】
前後したが、ステップS103で、今回顔が検出されなかった場合、ステップS115に示すようにメモリ120に記録されている履歴の情報は削除される。
【0042】
本実施形態では、顔が前回・今回共に1人検出されたときを例に説明をしたが、実際には何個あっても構わない。その場合には、今回顔と前回顔の全てを走査して一致度を計算し、最も一致度が高い顔を同一顔と考えることもできる。
【0043】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態とカメラ100の構成は同様であるので、その説明は省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、カメラ使用時のフロー図である。図8に第2実施形態のフローチャートを示す。図8において、図2と同様のステップは、同一の符号を付し、その説明は省略する。
図8が第1実施形態の図2と異なるのは、以下の点である。
第2実施形態では、ステップS103において制御部105は、今回顔が検出されかった場合(S103,NO)、ステップS801において、顔の履歴不一致回数NoFaceCountに1を足してステップS802へ進む。
そして、ステップS802において、制御部105は、顔の履歴不一致回数NoFaceCountが閾値ThTotalCount2より大きい場合(S802,YES)は、履歴を削除する。
一方、ステップS802において制御部105は、顔の履歴不一致回数NoFaceCountが閾値ThTotalCount2以下の場合(S802,NO)、履歴は削除せずにS112へ進む。
すなわち、今回顔は検出されなかったが、顔が検出されなかった回数は所定以下である場合、顔の履歴は削除されない。また、今回顔は検出されなかったが、顔が検出されなかった回数は所定値より大きい、顔の履歴は削除される。
【0044】
例えば、顔は存在しているが、一瞬、何らかの原因(誤検出や、何かが横切った場合など)で、顔が検出されない場合もある。このような場合、第2実施形態によると顔がフレーム内で検出されない回数が一定値より大きくないと顔の履歴は削除されない。すなわち、確実に顔が存在しない場合だけ、顔の履歴が削除されるので、より安定した顔検出が可能となる。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態とカメラ100の構成は同様であるので、その説明は省略する。第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、カメラ使用時のフロー図である。図9に第3実施形態のフローチャートを示す。図9において、図2と同様のステップは、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0046】
図9が第1実施形態の図2と異なるのは、以下の点である。
第3実施形態では、ステップS103において、今回顔が検出されかった場合(S103,NO)、ステップS901において制御部105は、顔の履歴不一致回数NoFaceCountに1を足してステップS902へ進む。
【0047】
そして、ステップS902において制御部105は、顔の履歴不一致回数NoFaceCountが閾値ThTotalCount3より大きい場合(S902,YES)は、ステップS115において履歴が削除され、ステップS112に進む。
また、ステップS902において制御部105は、顔の不履歴一致回数NoFaceCountが閾値ThTotalCount3以下の場合(S902,No)は、履歴は削除せずにステップS112に進む。
【0048】
ステップS903において、顔の履歴一致回数FaceCountが閾値ThTotalCount4より大きい場合(S903,YES)は、ステップS111に進む。
すなわち、顔が検出されなかった回数が所定以下のとき(S902,No)、かつ、顔が検出された回数が所定より多いとき(S903,YES)、前回の顔の検出結果がAEやAFに用いられる。
【0049】
第3実施形態によると、第2実施形態と同様に、例えば、顔は存在しているが、一瞬、何らかの原因(誤検出や、何かが横切った場合など)で、顔が検出されない場合もある。このような場合であっても、確実に顔が存在しない場合だけ、顔の履歴が削除されるので、より安定した顔検出が可能となる。
【0050】
(第4実施形態)
第4実施形態は、第1実施形態とカメラ100の構成は同様であるので、その説明は省略する。第4実施形態が第1実施形態と異なるのは、カメラ使用時のフロー図である。図10に第4実施形態のフローチャートを示す。図10において、図2と同様のステップは、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0051】
第4実施形態が、第1実施形態の図2と異なるのは、図10に示すようにステップS104とステップS105との間にステップS120を含む点である。
ステップS120では、前回顔があっても(S104,YES)、前回顔と今回顔の検出に時間差が大きくあった場合(S120,NO)は、S115に進み履歴を削除し、通常のAEやAFを行う。
【0052】
具体的には、前回顔検出時のタイムスタンプをtFaceDetect_pastとし、今回顔検出時のタイムスタンプをtFaceDetect_nowとし、今回顔と前回顔の時間差(tFaceDetect_now−tFaceDetect_past)をFaceTimeLagとしたとき、
FaceTimeLag<ThFaceTimeLagのときは、S105へ進み、
FaceTimeLag≧ThFaceTimeLagのときは、S115へ進み、履歴を削除(リセット)する。なお、ここでThFaceTimeLagはカメラに最適化された値となっている。
【0053】
本実施形態によると、例えば、前回顔検出されたあとに、何らかのカメラ操作(絞り込みによるプレビューや、ミラーアップ撮影など)によって顔検出が中断されるが、メモリがクリアされない場合に、絞込み前の顔の情報や、ミラーアップ前の顔の情報を使わないようにすることができる。
【0054】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態では、第二撮像部112の撮像結果を用いたが、これに限らず、第一撮像部104により撮像された画像に基づいて顔を検出する場合にも適用可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0055】
100:カメラ、112:第2撮像部、120:記憶部、130:顔検出装置、131:顔検出部、132:一致度演算部、133:一致判定部、134:撮影制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像された画像から顔を検出する顔検出部と、
前記顔検出部で顔が検出された場合に、該顔の画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部と、
前記一致度演算部の一致度の演算結果より、今回検出された顔が前記記憶部に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部と、
前記一致判定部により今回検出された顔と、前記記憶部に記憶されている顔とが一致していると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行い、
前記一致判定部により今回検出された顔と、前記記憶部に記憶されている顔とが不一致であると判定された場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行う撮影制御部と、
を備えること、を特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記記憶部には、前記今回検出された顔の、今までの一致回数が記憶されており、
前記撮影制御部は、該一致回数が閾値以上の場合、今回検出された顔の画像を利用して撮影制御を行い、該一致回数が閾値より小さい場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカメラであって、
前記一致度演算部は、顔の大きさ、及び該顔の位置変化の少なくとも1つを用いて前記一致度の演算を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラであって、
前記一致度演算部は、顔の大きさ、該顔の位置変化、及び該顔の輝度とを用いて前記一致度の演算を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラであって、
前記撮影制御部が行う撮影制御は、自動焦点制御、自動露出制御、及び自動ホワイトバランス制御の少なくとも1つの制御であること、
を特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載のカメラであって、
前記一致度演算部は、前記顔の位置変化を、検出された顔の大きさで規格化した値を用いて、前記一致度の演算を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項2に記載のカメラであって、
前記撮影制御部は、今回顔が検出されなかった場合であっても、今までの顔の一致回数が閾値以上の場合、前記記憶部に記憶されている顔の画像を用いて撮影制御を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のカメラであって、
前記撮影制御部は、前記記憶部に記憶されている顔を検出した時間と今回顔を検出した時間との時間差が閾値以上の場合、今回検出された顔の画像を利用せずに撮影制御を行うこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項9】
被写界を撮像する撮像部で撮像された画像から顔を検出する顔検出部と、
前記顔検出部で顔が検出された場合に、該顔の画像を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている顔の画像と、今回検出された顔の画像とを比較して一致度を演算する一致度演算部と、
前記一致度演算部の一致度の演算結果より、今回検出された顔が前記記憶部に記憶されている顔と一致しているかを判定する一致判定部と、
を備える顔検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−46247(P2013−46247A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182917(P2011−182917)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】