説明

カメラ旋回装置の熱冷却構造

【課題】筐体内部における熱を攪拌でき、風の対流による冷却効率を向上させ、筐体外部への熱伝導効率を向上させて、筐体内部の温度上昇を低減することができるカメラ旋回装置の熱冷却構造を提供すること。
【解決手段】ファン23は、筐体10の背面側において、ファン23から送られる風Aがパンモータ21から筐体10の下部を介して電源34に向かって流れるように、パンモータ21に向かって送風し、ファン33は、筐体10の前面側において、ファン33から送られる風Bが電源35から筐体10の下部を介して筐体10の上方へ流れるように、電源35に向かって送風し、チルトモータ31は、ファン23による送風とファン33による送風とによって形成される2つの対流が筐体10内部における熱を攪拌することで、冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外仕様により密閉され、発熱する発熱部材にファンによって風を直接送り、送風により筐体内部の熱を効率よく攪拌させ、筐体の熱伝導を用いて外部に放熱させるように構成したカメラ旋回装置の熱冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、雲台に固定されるカメラ旋回装置の筐体は、屋外環境に設置されることを前提としており、そのために防水構造となっている。この筐体の内部には、例えばカメラのための電源と、カメラをパン方向に回動させるパン旋回用のパンモータと、カメラをチルト方向に回動させるチルト旋回用のチルトモータとが配設されている。電源とパンモータとチルトモータとは、熱を発生する発熱部材である。また筐体の内部には、この発熱部材から発生する熱を筐体内で攪拌するファンが配設されている。ファンが送風によって熱を攪拌することで、発熱部材以外の部品(例えば電子部品と電気部品と制御基板)への熱による影響が低減する。
【0003】
例えば図6は、ファン101によって発熱部材である電源102を冷却し、発熱部材から発生する熱を筐体103内で攪拌する従来のカメラ旋回装置100における熱冷却構造を示す図である。この熱冷却構造は、筐体103上部に配設されたファン101によって、発熱部材である電源102と、電源102によって発熱し筐体103に蓄積した熱とに直接送風し、蓄積した熱を筐体103内にて攪拌し、電源102を冷却している。
【0004】
また例えば特許文献1には、開口を有する外壁を有するハウジングと、開口をおおって配置される観察用半球状体と、ハウジングに支持されるビデオカメラと、囲い内部に実質的な停滞区域のない単一指向性空気流パターンを設定すると共に囲い内から外へ連続的に消散させるために熱エネルギーを有効に伝える、第1及び第2ファンとを含むビデオ監視システム用屋外囲いが開示されている。
【0005】
また例えば特許文献2には、撮像装置のジンバルの二重化を可能にできるとともに、大きな消費電力に対応可能な放熱量を確保でき、かつ、航空機への搭載という特有の条件をも満足し得る撮像装置の放熱構造が開示されている。
【特許文献1】特表2003−527758号公報
【特許文献2】特開2007−6394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した図6に示す熱冷却構造は、ファン101によって電源102へ直接送風し、蓄積した熱を攪拌し、電源102を冷却している。しかしながらファン101によって送られる風は、筐体103下部へ流れにくく、筐体103内部にて熱を攪拌しにくい。そのため、風によって生じる対流による冷却効率が低下してしまい、筐体103外部への熱伝導効率が低くなり、筐体103の上部と下部とでは温度差が生じてしまう。
【0007】
よって電源102よりも筐体103の下方に配設された発熱部材であるパンモータ104とチルトモータ105と、筐体103下部に配設された電気部品と電子部品と基板とからなる構成部品106とは、冷却されず、自身が発生する熱や電源102によって発生する熱により高温となり、寿命の低下といった影響が生じる。
【0008】
また上述したように冷却が行われず、また筐体103外部への熱伝導効率が低いと、例えば電源102とパンモータ104とチルトモータと105とのように熱を発生する発熱部材には、自身が発生させる熱により、寿命の低下といった影響が生じる。
【0009】
そのため本発明は、上記事情に鑑み、筐体内部における熱を攪拌でき、風の対流による冷却効率を向上させ、筐体外部への熱伝導効率を向上させて、筐体内部の温度上昇を低減することができるカメラ旋回装置の熱冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、防水のための密閉構造の筐体と、前記筐体と一体で、前記筐体を固定するための雲台と、前記筐体の背面に搭載されている撮影装置とを有し、屋外、または屋外に準ずる環境に設置されるカメラ旋回装置の熱冷却構造であって、前記筐体は、前記筐体の上部側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の中央側に配設され、前記撮影装置をチルト方向に回動させるチルトモータと、前記筐体の前面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の左側に配設され、前記撮影装置のための撮影用電源と、前記筐体の前面側且つ前記筐体の高さ方向において前記撮影用電源に対向して前記撮影用電源の上方に配設され、前記撮影用電源に向かって送風する第1のファンと、前記筐体の背面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の右側に配設され、前記撮影装置をパン方向に回動させるパンモータと、前記筐体の背面側且つ前記筐体の高さ方向において前記パンモータに対向して前記パンモータの上方に配設され、前記パンモータに向かって送風する第2のファンと、前記筐体の背面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の左側に配設され、前記第1のファンと前記第2のファンと前記チルトモータと前記パンモータとのための筐体用電源と、を具備し、前記第2のファンは、前記筐体の背面側において、前記第2のファンから送られる風が前記パンモータから前記筐体の下部を介して前記筐体用電源に向かって前記筐体の上方へと時計回りに流れるように、前記パンモータに向かって前記筐体の下方に向けて送風し、前記第1のファンは、前記筐体の前面側において、前記第1のファンから送られる風が前記撮影用電源から前記筐体の下部を介して前記筐体の上方へと反時計回りに流れるように、前記撮影用電源に向かって前記筐体の下方に向けて送風し、前記チルトモータは、前記第1のファンによる送風と前記第2のファンによる送風とによって形成される逆向きの2つの対流が前記筐体内部における熱を攪拌することで、冷却されることを特徴とするカメラ旋回装置の熱冷却構造を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体内部における熱を攪拌でき、風の対流による冷却効率を向上させ、筐体外部への熱伝導効率を向上させて、筐体内部の温度上昇を低減することができるカメラ旋回装置の熱冷却構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態におけるカメラ旋回装置の熱冷却構造の斜視図である。図2は、カメラ旋回装置の熱冷却構造の分解斜視図である。図3は、本実施形態におけるカメラ旋回装置の熱冷却構造の正面図である。図4Aは、図3に示すA−A線における矢印α側から見たカメラ旋回装置の熱冷却構造の側面図である。図4Bは、図3に示すA−A線における矢印β側から見たカメラ旋回装置の熱冷却構造の側面図である。図5Aは、カメラ旋回装置の熱冷却構造を斜めから見た状態における風A,Bの流れを示す概略斜視図である。図5Bは、カメラ旋回装置を前面側から見た際に、前面側連通部を通じてファン33から電源35と筐体の下部とを介して筐体の上方へと流れる風Bの流通状態を示す図である。図5Cは、カメラ旋回装置を背面側から見た際に、背面側連通部を通じてファン23からパンモータとから筐体10の下部とを介して電源34に向って筐体10の上方へと流れる風Aの流通状態を示す図である。図5Dは、カメラ旋回装置の熱冷却構造を上面から見た状態における風A,Bの流れを示す図である。なお図5A乃至図5Dにおいて、他の図に示す構成部材の一部の図示を省略し、または簡略に記載している。
【0013】
カメラ旋回装置1は、屋外、または屋外に準ずる環境に設置される。図1に示すようにカメラ旋回装置1は、防水のための密閉構造の筐体10と、例えばカメラ旋回装置1を例えば三脚等に固定するための雲台50と、筐体10の背面に搭載されているカメラ等の撮影装置70とを有している。筐体10と雲台50とは、一体である。
【0014】
図1と図2とに示すように筐体10は、撮影装置70をパン(左右)方向に回動させるパンモータ21と、撮影装置70をチルト(上下)方向に回動させるチルトモータ31とを有している。パンモータ21とチルトモータ31とが回動することで、撮影装置70は所望の方向に向けて回動する。パンモータ21とチルトモータ31とは、撮影装置70を所望の方向に向けて回動させる駆動源である。
【0015】
図2に示すようにパンモータ21は、筐体10の高さ方向における筐体10の中央側且つ筐体10の幅方向における筐体10の右側に配設されている。またパンモータ21は、筐体10の長さ方向において、筐体10の背面側(撮影装置70側)に配設されている。このパンモータ21の下方には、筐体10の背面側から筐体10の前面側(図1において、図の奥側から手前側)に向けて電子部品と電気部品とからなる筐体10の構成部品11が配設されている。
【0016】
図1と図2とに示すようにチルトモータ31は、筐体10の高さ方向における筐体10の上側部且つ筐体10の幅方向における筐体10の中央側に配設されている。チルトモータ31の下方には、例えばカメラを回動させるケーブルをガイドするケーブルガイドと、ロータリーエンコーダと、電子部品と、電気部品と、からなる筐体10の構成部品12が配設されている。構成部品12は、筐体10の高さ方向に沿って、筐体10の中央側に配設されている。
【0017】
図2に示すようにパンモータ21の上側と、パンモータ21の前面側と、構成部品11の前面側とには、L字形状のスペース22が配設されている。スペース22には、ファン23と、ファン23が配設されているL字形状の基板24とが配設されている。ファン23は、筐体10の背面側に配設されている。またファン23は、筐体10の高さ方向においてパンモータ21に対向して、パンモータ21の上方に配設されている。ファン23は、パンモータ21に向って直接送風する、つまり筐体10の下方に向けて送風する。また基板24の大部分は、筐体10の前面側に配設されている。
【0018】
図2に示すように筐体10の幅方向におけるチルトモータ31と構成部品12との左側には、スペース32が配設されている。スペース32には、筐体10における構成部品11,12とパンモータ21とチルトモータ31とファン23,33とのための筐体用電源である電源34と、撮影装置70のための撮影用電源である電源35と、ファン33とが基板36に配設された状態で配設されている。
【0019】
ファン33は、筐体10の前面側に配設されている。またファン33は、筐体10の高さ方向において電源35に対向して、電源35の上方に配設されている。ファン33は、電源35に向って直接送風する、つまり筐体10の下方に向けて送風する。
【0020】
電源34は、筐体10の背面側且つ筐体10の幅方向における筐体10の左側に配設されている。
【0021】
電源35は、筐体10の幅方向において構成部品12に対向して配設され、筐体10の前面側且つ筐体10の幅方向における筐体10の左側に配設されている。電源35は、防水のためにカバー37によって保護されている。電源35は、筐体10の高さ方向においてファン33に対向して、ファン33の下方に配設されている。
【0022】
筐体10内部の配設位置関係をまとめると、筐体10の背面側にはファン23とパンモータ21と電源34とが配設され、筐体10の前面側にはファン33と電源35と基板24とが配設されている。またファン23は、パンモータ21の上方に配設されている。またファン33は、電源35の上方に配設されている。
【0023】
また図1乃至図5Dに示すように筐体10は、ファン23から送られた風Aが図5Cに示すようにパンモータ21と電源34とチルトモータ31とに流れるように、ファン23からパンモータ21と電源34とを介してチルトモータ31までに連通している背面側連通部14と、ファン33から送られた風Bが図5Bに示すように電源35と基板24とチルトモータ31とに流れるように、ファン33から電源35とを介してチルトモータ31までに連通している前面側連通部15とを有している。
【0024】
背面側連通部14は、筐体10の背面側に配設されており、またファン23からパンモータ21を介して筐体10の下部(構成部品11)に向って筐体10の下方へと配設され、筐体10の下部から構成部品12の下方を介して電源34へと筐体10の上方へと配設され、さらにチルトモータ31にまで配設されている。
【0025】
また前面側連通部15は、筐体10の前面側に配設されており、ファン33から電源35を介して筐体10の下部に向って筐体10の下方へと配設され、筐体10の下部から構成部品12の下方を介して基板24へと筐体10の上方へと配設され、さらにチルトモータ31にまで配設されている。
【0026】
背面側連通部14は筐体10の背面側に配設され、前面側連通部15は筐体10の前面側に配設されているために、背面側連通部14と前面側連通部15とは、ぶつかり合うことはない。
【0027】
パンモータ21と電源34とは、駆動した際に熱を発生する筐体10の背面側の発熱部材である。また電源35は、駆動した際に熱を発生する筐体10の前面側の発熱部材である。またチルトモータ31は、駆動した際に熱を発生する筐体10の上部側の発熱部材である。
【0028】
次に図4Aと図4Bと図5Aと図5Bと図5Cと図5Dとを参照してファン23,33によるカメラ旋回装置1の熱冷却構造について説明する。
ファン23は、パンモータ21と電源34とを冷却するためにパンモータ21に向って送風する。ファン23から送られた風Aは、筐体10の背面側において、背面側連通部14を通じて、パンモータ21から筐体10の下部に向って筐体10の下方へと流れ、筐体10の下部から電源34へと筐体10の上方に流れる。
【0029】
このようにファン23は、筐体10の背面側において、ファン23から送られる風Aが図5Aに示すようにパンモータ21から筐体10の下部を介して電源34に向って筐体10の上方へと時計回りに流れるように、パンモータ21に向って筐体10の下方に向けて送風する。時計回りとは、前面側から見た状態を示す。
【0030】
これにより熱を発生するパンモータ21と電源34とは、ファン23から送られた風Aによって冷却される。
【0031】
またファン33は、電源35と基板24とを冷却するために電源35に向って送風する。ファン33における風Bは、筐体10の前面側において、電源35から筐体10の下部に向って筐体10の下方へと流れ、筐体10の下部から基板24へと筐体10の上方へと流れる。
【0032】
このようにファン33は、筐体10の前面側において、ファン33から送られる風Bが電源35から筐体10の下部を介して基板24と筐体10の上方とに反時計回りに流れるように、前記撮影用電源に向かって筐体10の下方に向けて送風する。反時計回りとは、前面側から見た状態を示す。
【0033】
これにより熱を発生する電源35と基板24とは、ファン33から送られた風Bによって冷却される。
【0034】
このようにファン23における風Aの流れとファン33における風Bの流れとは、逆向きである。また背面側連通部14と前面側連通部15との配設位置関係によって、ファン23における風Aは筐体10の背面側に流れ、ファン33における風Bは筐体10の前面側に流れる。そのため、ファン23における風Aとファン33における風Bとは、ぶつかり合うことはない。これにより筐体10内部には、2つの向きの異なる(逆向きの)風が流れる。結果として、筐体10内部には、筐体10の前面側と背面側とにおいて、逆向きの対流が形成される。
【0035】
筐体10の上部側の発熱部材であるチルトモータ31によって発生した熱は、筐体10の上部に蓄積される。上述したように対流が形成されると、筐体10の上部を含む筐体10内部における熱は対流によって筐体10内部にて攪拌される。よって筐体10の上部に蓄積された熱は筐体10の下部に移動し、筐体10内部の温度が均一化する。これによりチルトモータ31は冷却される。このように発熱部材への冷却効率は、風A,Bの対流によって向上する。
【0036】
このようにチルトモータ31は、ファン23による送風とファン33による送風とによって形成される逆向きの2つの対流が筐体10内部における熱を攪拌することで、冷却される。またカメラ旋回装置1は、ファン23における風Aとファン33における風Bとによって形成される逆向きの2つの対流によって筐体10内部における熱を攪拌し、筐体10内部の温度を均一化する。
【0037】
次に本実施形態におけるカメラ旋回装置1における冷却方法(発熱部材への冷却方法)について説明する。
カメラ旋回装置1が起動し、パン方向またはチルト方向との少なくとも一方に向けて回動し、撮影装置70が起動すると、発熱部材であるパンモータ21とチルトモータ31と電源34,35とは、駆動し、熱を発生する。発生した熱は、筐体10の内部に蓄積される。
【0038】
このときファン23は、パンモータ21に向って直接送風し、パンモータ21を冷却する。ファン23から送られた風Aは、筐体10の背面側において、背面側連通部14を通じて、パンモータ21から筐体10の下部に向って筐体10の下方へと流れ、筐体10の下部から電源34へと筐体10の上方へと流れる。これにより電源34は、冷却される。このようにファン33における風Bは、筐体10の背面側において筐体10内部を時計回りに流れる。
【0039】
またファン33は、電源35に向って直接送風し、電源35を冷却する。ファン33から送られた風Bは、筐体10の前面側において、前面側連通部15を通じて、電源35から筐体10の下部に向って筐体10の下方へと流れ、筐体10の下部から基板24へと筐体10の上方へと流れる。これにより基板24は、冷却される。またファン33における風Bは、ファン23における風Aとぶつかり合うことなく、筐体10内部を反時計回りに流れる。
【0040】
ファン23,33が送風すると、筐体10内部には、筐体10の前面側と背面側とにおいて、逆向きの対流が形成される。対流が形成されると、筐体10の内部における熱は対流によって攪拌される。これによりチルトモータ31によって発生し、筐体10の上部に蓄積された熱は筐体10の下部に移動し、筐体10内部の温度が均一化する。つまり筐体10の上部と筐体10の下部とでは、対流によって、発熱部材から発生する熱による温度差が生じることが防止され、温度が均一化する。これによりチルトモータ31は、冷却される。
【0041】
また筐体10の内部の温度は一定となり、温度上昇は低減される。また対流が発生することで熱冷却効率が向上し、筐体10の外部への熱伝導効率が向上する。
【0042】
このように本実施形態では、筐体10の背面側の発熱部材であるパンモータ21と電源34とをファン23によって直接送風して冷却し、また筐体10の前面側の発熱部材である電源35をファン33によって直接送風して冷却する。また本実施形態では、ファン23,33によって筐体10の前面側と背面側とにおいて逆向きの対流を形成し、筐体10に蓄積された熱を攪拌する。これにより本実施形態では、筐体10の上部側の発熱部材であるチルトモータ31を冷却する。
【0043】
このように本実施形態では、対流によって筐体10内部における熱を攪拌でき、対流によって冷却効率を向上させ、筐体10外部への熱伝導効率を向上させて、筐体10内部の温度上昇を低減することができる。
【0044】
また本実施形態では、ファン23,33の風A,Bの向きを筐体10の下方に向け、パンモータ21とスペース22,32と基板24と電源34,35と基板36と背面側連通部14と前面側連通部15との配設位置関係から、筐体10下部に容易に送風することができる。また本実施形態では、逆向きの対流によって容易に筐体10内部にて熱を攪拌することができ、筐体10内部の熱を筐体10全体に行き届くようにすることができる。これらにより本実施形態では、冷却効率を向上でき、筐体10外部への熱伝導効率が高くできる(外部に効率よく放熱できる)。また本実施形態では、筐体10の上部と下部とにおいて温度差が生じることを防止することができ、筐体10内部の温度上昇を低減することができ、筐体10内部の温度を一定にすることができる。
【0045】
また本実施形態では、上述したように筐体10内部の温度を一定にすることができるために、電子部品と電気部品と発熱部材との寿命を延ばすことができ、製品の信頼性を向上させることができる。
【0046】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、カメラ旋回装置の熱冷却構造の斜視図である。
【図2】図2は、カメラ旋回装置の熱冷却構造の分解斜視図である。
【図3】図3は、カメラ旋回装置の熱冷却構造の正面図である。
【図4A】図4Aは、図3に示すA−A線における矢印α側から見たカメラ旋回装置の熱冷却構造の側面図である。
【図4B】図4Bは、図3に示すA−A線における矢印β側から見たカメラ旋回装置の熱冷却構造の側面図である。
【図5A】図5Aは、カメラ旋回装置の熱冷却構造を斜めから見た状態における風A,Bの流れを示す概略斜視図である。
【図5B】図5Bは、カメラ旋回装置を前面側から見た際に、前面側連通部を通じてファン33から電源35と筐体の下部とを介して筐体の上方へと流れる風Bの流通状態を示す図である。
【図5C】図5Cは、カメラ旋回装置を背面側から見た際に、背面側連通部を通じてファン23からパンモータとから筐体10の下部とを介して電源34に向って筐体10の上方へと流れる風Aの流通状態を示す図である。
【図5D】図5Dは、カメラ旋回装置の熱冷却構造を上面から見た状態における風A,Bの流れを示す図である。
【図6】図6は、従来のカメラ旋回装置における熱冷却構造を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1…カメラ旋回装置、10…筐体、11,12…構成部品、14…背面側連通部、15…前面側連通部、21…パンモータ、22…スペース、23…ファン、24…基板、31…チルトモータ、32…スペース、33…ファン、34,35…電源、36…基板、37…カバー、50…雲台、70…撮影装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水のための密閉構造の筐体と、前記筐体と一体で、前記筐体を固定するための雲台と、前記筐体の背面に搭載されている撮影装置とを有し、屋外、または屋外に準ずる環境に設置されるカメラ旋回装置の熱冷却構造であって、
前記筐体は、
前記筐体の上部側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の中央側に配設され、前記撮影装置をチルト方向に回動させるチルトモータと、
前記筐体の前面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の左側に配設され、前記撮影装置のための撮影用電源と、
前記筐体の前面側且つ前記筐体の高さ方向において前記撮影用電源に対向して前記撮影用電源の上方に配設され、前記撮影用電源に向かって送風する第1のファンと、
前記筐体の背面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の右側に配設され、前記撮影装置をパン方向に回動させるパンモータと、
前記筐体の背面側且つ前記筐体の高さ方向において前記パンモータに対向して前記パンモータの上方に配設され、前記パンモータに向かって送風する第2のファンと、
前記筐体の背面側且つ前記筐体の幅方向における前記筐体の左側に配設され、前記第1のファンと前記第2のファンと前記チルトモータと前記パンモータとのための筐体用電源と、
を具備し、
前記第2のファンは、前記筐体の背面側において、前記第2のファンから送られる風が前記パンモータから前記筐体の下部を介して前記筐体用電源に向かって前記筐体の上方へと時計回りに流れるように、前記パンモータに向かって前記筐体の下方に向けて送風し、
前記第1のファンは、前記筐体の前面側において、前記第1のファンから送られる風が前記撮影用電源から前記筐体の下部を介して前記筐体の上方へと反時計回りに流れるように、前記撮影用電源に向かって前記筐体の下方に向けて送風し、
前記チルトモータは、前記第1のファンによる送風と前記第2のファンによる送風とによって形成される逆向きの2つの対流が前記筐体内部における熱を攪拌することで、冷却されることを特徴とするカメラ旋回装置の熱冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−136209(P2010−136209A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311491(P2008−311491)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】