説明

カメラ機能付き機器

【課題】簡易な構成にて、静電による画像障害を解消させることができるカメラ機能付き機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、撮像素子23aで捉えた撮像画面に基づく画像データを垂直同期信号および水平同期信号とともに出力するカメラモジュール23と、前記画像データをメモリ103に書き込むための信号処理回路101およびメモリ制御回路102と、前記メモリ制御回路102によって一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したタイミングと前記垂直同期信号の状態とに基づいて、前記信号処理回路101およびメモリ制御回路102による前記データ書込みをリセットする静電検出回路106とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ機能付き携帯電話機やカメラ機能付きPDA(Personal Digital Assistant)等のカメラ機能付き機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機やPDA等にカメラ機能が付加された、いわゆるカメラ機能付き携帯電話機やカメラ機能付きPDAが知られている。たとえば、カメラ付付き携帯電話機の一例が、特許文献1に記載されている。
【0003】
カメラ機能付き携帯電話機等では、カメラ機能を起動させると、液晶表示器等の表示画面上にプレビュー画面としてカメラが捉えている画像(動画像)が表示される。この状態で、撮影ボタンを押せば、静止画あるいは動画が撮影される。
【0004】
カメラ機能付き携帯電話機等に適用されるカメラ機能に係る回路構成の一例を図7に示す。
【0005】
カメラモジュール201は、撮像素子201a(CCDイメージセンサ、CMOSセンサ等)とタイミングジェネレータ201bとを有している。撮像素子201aが捉えた撮像画面に基づく画像データは、タイミングジェネレータ201bで生成された同期クロック、垂直同期信号および水平同期信号とともに、カメラモジュール201から出力される。
【0006】
図8(a)は、水平同期信号、同期クロック、画像データの出力タイミングを示す図であり、同図(b)は、垂直同期信号、水平同期信号の出力タイミングを示す図である。
【0007】
同図(a)に示すように、画面を構成する水平方向の各画素の画像データは、水平同期信号がアクティブな期間において、同期クロックに同期して順次出力される。そして、同図(b)に示すように、垂直同期信号がアクティブな期間に、垂直方向のライン数に相当する回数の水平同期信号が出力されることにより、垂直同期信号がアクティブな期間内に、撮像素子201aが捉えた一つの撮像画面に基づく画像データが出力される。
【0008】
図7に戻り、カメラモジュール201から出力された、同期クロック、垂直同期信号、水平同期信号および画像データは、信号処理回路202に入力される。
【0009】
信号処理回路202は、垂直同期信号と水平同期信号の双方がアクティブな期間の画像データ(有効データ)を取り込み、これをメモリ制御回路203に出力する。こうして、垂直同期信号がアクティブになっている期間に、一つの撮像画面に基づく画像データが、メモリ制御回路203に入力される。
【0010】
さらに、信号処理回路202は、水平カウンタ202aおよび垂直カウンタ202bを備えている。水平カウンタ203aは、水平同期信号がアクティブになると、同期クロックのカウントを開始し、水平方向の全画素の数だけカウントするとリセットされ、次に水平同期信号がアクティブになると再びカウントを開始する。垂直カウンタ203bは、垂直同期信号がアクティブになるとカウントを開始し、水平カウンタ203aが1ライン分のカウントを完了する度にカウントを行う。そして、垂直方向の全ライン数のカウントが完了するとリセットされ、次に垂直同期信号がアクティブになると再びカウントを開始する。信号処理回路202は、水平カウンタ202aと垂直カウンタ202bのカウント値を検出することにより、現在、どの位置の画素の画像データを取り込んでいるのかを把握する。
【0011】
なお、水平カウンタ202aは、水平同期信号が変化する(例えば、立ち下がる)とリセットされる構成とされる場合もあり、垂直カウンタ202bは、垂直同期信号が変化する(例えば、立ち下がる)とリセットされる構成とされる場合もある。
【0012】
メモリ制御回路203は、信号処理回路202から画像データを受け取ると、これをメモリ204の書込エリアに書き込む。メモリ制御回路203は、アドレスカウンタ203aを備えており、このアドレスカウンタ203aによって、メモリ204上の書き込みアドレスを特定する。そして、アドレスカウンタ203aに基づき一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したことを検出すると、その撮像画面に関するメモリ204への書込みを終了し、メモリ制御回路205に対して書込み完了信号を出力する。
【0013】
メモリ制御回路205は、書込み完了信号を受け取ると、メモリ205の書込エリアから画像データを読み出して、液晶表示回路206へ出力する。液晶表示回路206は、受け取った画像データに対して液晶表示器207で表示するための信号処理を行い、その画像データに対応する画像を液晶表示器207に表示させる。
【特許文献1】特開2003−143261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記のような構成では、たとえば、カメラモジュール201で撮像された画像を液晶表示器207に表示させている途中に静電が発生すると、メモリ204に対する画像データの書き込みを正常に行えなくなり、結果、液晶表示器207に表示される画像に異常が生じる惧れがある。たとえば、静電によるノイズが重畳されて垂直同期信号に大きな乱れが生じると、信号処理回路202の構成によっては、次の垂直同期信号が到来するまで画像データの出力が停止される場合がある。ところが、その一方で、静電発生後も、メモリ制御回路203内のアドレスカウンタ203aがリセットされないような場合には、次の垂直同期信号の到来後に信号処理回路202から出力された画像データが、静電発生時のアドレスに続いて、メモリ204に書き込まれることとなる。こうなると、信号処理回路202からの画像データの出力タイミングと、メモリ制御回路203における画像データの書込みタイミングとの間で同期が取れなくなり、結果、液晶表示器207には、たとえば、ある画面の一部と次の画面の一部が重なり合ったような画像が表示されてしまう。
【0015】
そこで、このような静電の影響によって発生する画像障害を解消するため、たとえば、図9に示すような回路構成を取ることが考えられる。
【0016】
この構成では、図7の構成に加え、出力信号カウンタ208とカウンタ比較器209が備えられている。出力信号カウンタ208には、カメラモジュール201から同期クロック、垂直同期信号および水平同期信号が入力される。出力信号カウンタ208は、水平カウンタ208aおよび垂直カウンタ208bを備えている。これら水平カウンタ208aおよび垂直カウンタ208bの機能は、信号処理回路202の水平カウンタ202aおよび垂直カウンタ202bと同様である。ただし、出力信号カウンタ208には強固な静電対策が施されており、これにより、出力信号カウンタ208は、信号処理回路202に比べて、静電に対する耐性が高くなっている。
【0017】
カウンタ比較回路209には、信号処理回路202の2つのカウンタ202a、202bからのカウント値と、出力信号カウンタ208の2つのカウンタ208a、208bからのカウント値がそれぞれ入力される。カウンタ比較回路209は、入力された2つのカウント値を比較し、カウント値が異なる場合に信号処理回路202およびメモリ制御回路203にリセット信号を出力する。
【0018】
静電が発生し、画像に障害が起こるような状態になったときには、信号処理回路202のカウンタ値に狂いが生じる。一方、出力信号カウンタ208は、静電に対する耐性が高いため、静電の影響を受けず、そのカウント値は正常なままとなる。これにより、2つのカウンタ値が異なるものとなるため、カウンタ比較器209からリセット信号が出力され、信号処理回路202およびメモリ制御回路203の動作が初期化される。
【0019】
こうして、信号処理回路202とメモリ制御回路203との間の同期が回復し、メモリ204に対する画像データの書込みが正常化され、液晶表示器207において画像が正常な状態で表示されるようになる。
【0020】
しかしながら、図9のような構成とした場合には、信号処理回路202に、カウンタ値を外部に取り出せるような構成を付加する必要が生じる。また、別途、出力信号カウンタ208のような高速カウント処理を行う回路が必要となる。結果、これらの構成を実現するために、コストの増加を招く惧れがある。また、新たな回路の配置のために既存の回路の配置が大きく制限される惧れもある。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成にて、メモリ書き込み動作の異常に基づく画像障害を解消させることができるカメラ機能付き機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のカメラ機能付き機器は、撮像素子で捉えた撮像画面に基づく画像データを垂直同期信号および水平同期信号とともに出力するカメラ部と、前記画像データをメモリに書き込むデータ書込部と、前記データ書込部によって一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したタイミングと前記垂直同期信号の状態とに基づいて、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットするリセット部と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
たとえば、前記リセット部は、前記データ書込みが完了したときに前記垂直同期信号がアクティブな場合に、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットする。
【0024】
本発明によれば、データ書込部によって一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したタイミングと前記垂直同期信号の状態とに基づいて、データ書込部によるデータ書込みに異常が生じたかが判別される。そして、この判別結果に基づいて、データ書込部によるデータ書込みがリセットされる。
【0025】
本発明によれば、データ書込み完了時の垂直同期信号の状態を監視する構成が付加されるのみであるため、図9の構成例のように大がかりな回路構成は必要なく、大幅なコスト上昇を招くこともない。また、通常の回路構成において適宜取得可能な書き込み完了を示す信号を用いて異常判別を行うことができるため、図9の構成例のように、別途、カウンタ値を取得するような構成を付加する必要もない。このように、本発明によれば、簡素な構成にて、円滑かつ適正に、データ書込部の動作を正常化することができる。
【0026】
さらに、本発明のカメラ機能付き機器において、前記リセット部は、前記画像データに対するズーム処理が行われた場合、前記データ書込みが完了してから前記ズーム処理に応じたディレイ時間が経過したときの前記垂直同期信号の状態に基づいて、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットするような構成とすることができる。こうすると、ズーム動作の実行時にも、メモリに対するデータ書き込みの異常を判定することができる。
【0027】
さらに、本発明のカメラ機能付き機器において、前記データ書込部は、前記垂直同期信号および水平同期信号がアクティブな期間に出力された前記画像データを取り込む信号処理部と、前記信号処理部から出力された前記画像データを前記メモリに書き込むメモリ制御部とを含むような構成とすることができる。
【0028】
この構成では、信号処理部からの画像データの出力タイミングとメモリ制御部によるデータ書込みタイミングとの間で同期が取れなくなることにより、異常なデータ書込みが生じても、これを解消して正常な状態に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおり、本発明によれば、簡易な構成にて、メモリ書き込み動作の異常に基づく画像障害を解消させることができるカメラ機能付き機器を提供できる。
【0030】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図1は携帯電話機の外観構成を示す図であり、同図(a)は、第1キャビネット1に対して第2キャビネット2をほぼ鉛直に立てた状態を示す側面図、同図(b)は同じ状態での背面図である。
【0032】
携帯電話機は、第1キャビネット1と第2キャビネット2を備えている。第1キャビネット1の正面側には、キー操作部11が設けられている。キー操作部11には、各種の機能モード(カメラ撮影モード、メール送受信モード、インターネットモード)への切替えキー、通話開始キー、通話終了キー、番号・文字入力キーなどの各種キーが配されている。
【0033】
キー操作部11の背後には、キー操作部11に光を供給するバックライト装置12が配されている。キー操作部11の主要なキーは、キーに付された表示の部分が透光性を有するよう構成されており、バックライト装置12で照らされることにより表示が光る。これにより、ユーザは、周囲が暗くてもキーに付された表示を見ることができる。
【0034】
第2キャビネット2の正面側には、縦長の矩形状を有するメイン液晶表示器21が配されている。メイン液晶表示器21は、液晶パネル21aと、液晶パネル21aの光源となるバックライト装置21bで構成されている。液晶パネル21aの表示画面が第2キャビネット2の正面に臨んでいる。
【0035】
第2キャビネット2の背面側には、サブ液晶表示器22が配されている。サブ液晶表示器22は、液晶パネル22aと、液晶パネル22aの光源となるバックライト装置22bで構成されている。液晶パネル22aの表示画面が第2キャビネット2の背面に臨んでいる。サブ液晶表示器22は、メイン液晶表示器21よりも小さなサイズであり、横長の矩形状を有している。
【0036】
また、第2キャビネット2の内部には、カメラモジュール23が配されており、第2キャビネット2の背面には、カメラモジュール23に対応するレンズ窓24が設けられている。このレンズ窓24から被写体の像がカメラモジュール23に取り込まれる。
【0037】
第2キャビネット2は、ヒンジ部3によって、第1キャビネット1に対し回動可能に連結されている。ヒンジ部3は、第2キャビネット2の連結側端部から左右に延びる一対の回転軸31と、第1キャビネット1の連結側端部に形成され、回転軸31を受ける一対の軸受部32によって構成されている。
【0038】
第1キャビネット1と第2キャビネット2は、メイン液晶表示器21とキー操作部11が向かい合った状態となるように折り畳まれる。よって、折り畳まれた状態(閉じた状態)では、メイン液晶表示器21とキー操作部11が外部から隠れた状態となる。
【0039】
第2キャビネット2は、閉じた状態(図1(a)に一点鎖線で示す)から開き方向に回転されることにより、180度近くまで開くことができる。ヒンジ部3には、第2キャビネット2が最後まで開いた位置と、第1キャビネット1と第2キャビネット2とが略90度となる位置(90度よりやや大きい角度位置)にクリック感を持たせるよう、図示しないクリック機構が備えられている。第2キャビネット2が開くと、メイン液晶表示器21とキー操作部11が外部に露出する。
【0040】
第1キャビネット1と第2キャビネット2には、第2キャビネット2の開閉を検出するための開閉検出部4が配されている。開閉検出部4は、第1キャビネット1側に設けられた閉センサ41と、第2キャビネット2側に設けられた磁石42によって構成されている。磁石42は、第2キャビネット2のヒンジ部3近傍に配されており、閉センサ41は、第2キャビネット2が完全に閉じたときに、磁石42に近接する位置に配されている。
【0041】
閉センサ41は、たとえば、MRセンサ(磁気抵抗素子)で構成され、磁石42の磁力に反応して検出信号を出力する。第2キャビネット2が閉じた状態から開いた状態となると、閉センサ41からオフ信号が出力される。反対に、第2キャビネット2が開いた状態から閉じた状態になると、閉センサ41からオン信号が出力される。
【0042】
図2は、携帯電話機に適用されたカメラ機能に係る回路構成を示す図である。
【0043】
カメラ機能に係る回路構成として、上記カメラモジュール23、信号処理回路101、メモリ制御回路102、メモリ103、メモリ制御回路104、液晶表示回路105、上記メイン液晶表示器21および静電検出回路106が備えられている。
【0044】
カメラモジュール23、信号処理回路101、メモリ制御回路102、メモリ103、メモリ制御回路104、液晶表示回路105、メイン液晶表示器21の構成は、それぞれ、図7で説明したカメラモジュール201、信号処理回路202、メモリ制御回路203、メモリ204、メモリ制御回路205、液晶表示回路206、液晶表示器207と同様である。
【0045】
即ち、撮像素子23aからの画像データは、タイミングジェネレータ23bで生成された同期クロック、垂直同期信号および水平同期信号とともに、カメラモジュール23から出力され、信号処理回路101は、この画像データを取り込んで、メモリ制御回路102に出力する。メモリ制御回路102は、入力された画像データを、メモリ103の書込エリアに書き込む。そして、アドレスカウンタ102aによって一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したことを検出すると書込みを終了し、メモリ制御回路104へ書込み完了信号を出力する。メモリ制御回路104は、書込み完了信号を受け取ると、メモリ103から画像データを読み出して、液晶表示回路105へ出力する。液晶表示回路105は、画像データに従ってメイン液晶表示器21を駆動し、その画像データに対応する画像をメイン液晶表示器21に表示させる。
【0046】
さらに、本実施の形態では、カメラモジュール23で捉えた画像に対するズーム操作を行うことができる。
【0047】
ユーザによって、所定のズーム操作がなされると、ズーム処理として、図3(a)に示すように、カメラモジュール23から出力された画像データの一部が、ズーム用の画像データとしてメモリ103に書き込まれる。
【0048】
メモリ103には、同図(b)に示すようなズーム用テーブルが記憶されている。ズーム用テーブルには、ズーム操作のステップ(ズームの度合い)に応じて、書込み開始点のまでの水平方向の画素数a、水平方向の書込み画素数x、書込み開始点までの垂直方向のライン数b、垂直方向の書込みライン数yが設定されている。
【0049】
ズーム操作が行われると、信号処理回路101は、垂直カウンタ101bのカウンタ値がライン数bとなり、水平カウンタ101aのカウンタ値が画素数aなった時点Pから画像データの取り込みを開始し、その後、垂直カウンタ101bのカウンタ値がライン数bにライン数yを加えた値となり、水平カウンタ101aのカウンタ値が画素数aに画素数xを加えた値になった時点Qで画像データの取り込みを完了する。こうして、取り込まれたズーム用の画像データが、メモリ制御回路102によってメモリ103に書き込まれる。
【0050】
このズーム用の画像データが、メモリ制御回路104によってメモリ103から読み出され、この画像データに対する画像が液晶表示回路105によって、ズームがないときの画像と同じサイズでメイン液晶表示器21に表示されることにより、メイン液晶表示器21にズームアップされた画像が表示される。
【0051】
静電検出回路106には、カメラモジュール23から垂直同期信号が入力されるとともに、メモリ制御回路102から書込み完了信号が入力される。また、静電検出回路106は、これら垂直同期信号および書込み完了信号に基づいて、信号処理回路101およびメモリ制御回路102に対してリセット信号を出力する。
【0052】
図4は、静電検出回路の構成を示す図である。同図(a)は、ズーム機能に対応した静電検出回路の構成を示し、同図(b)は、ズーム機能がない場合に適用できる静電回路の変更例を示す。
【0053】
同図(a)に示すように、静電検出回路106は、アンド回路106aと、ディレイタイマー106bと、ディレイ時間演算回路106cで構成されている。
【0054】
アンド回路106aには、カメラモジュール23からの垂直同期信号とディレイタイマー10bからのディレイ信号が入力される。ディレイタイマー106bには、書込み完了信号が入力される。書込み完了信号が入力されると、ディレイタイマー106bは、ディレイ時間演算回路106cによって設定されたディレイ時間DTが経過した後にディレイ信号を出力する。
【0055】
ディレイ時間演算回路106cには、ズーム操作に応じた上記画素数a、xおよびライン数b、yの値が入力される。ディレイ時間演算回路106cは、これらの値からディレイ時間DTを算出してディレイタイマー106bにセットする。
【0056】
ディレイ時間DTは、図3(c)に示すように、ズーム処理を行ったときの画像データの書込み完了時点Qからズーム処理がないときの画像データの書込み完了時点Rまでの時間であり、以下の式から算出される。
【0057】
DT=[{X−(a+x)}*Tp+B]+[{Y−(b+y)}*Tv]
X:水平方向の全画素数
Y:垂直方向の全ライン数
Tp:同期クロックの周期
Tv:水平同期信号の周期
B:水平同期信号のブランク期間
【0058】
なお、ズーム機能を有しない携帯電話機に適用する場合には、ディレイ時間を生じさせる必要がないため、図4(b)に示すように、ディレイタイマー106bとディレイ時間演算回路106cとが不要となり、アンド回路106aのみで静電検出回路106を構成することができる。
【0059】
図5および図6は、静電検出回路106による異常検出動作について説明するための図である。図5(a)、(b)は、それぞれ、ズーム操作がない場合における、正常な画像データの書込みが行われた時と異常な画像データの書込みが行われた時の各信号の出力状態を示す図であり、図5(c)は、異常な画像データの書込みが行われた時のメモリへの画像データの書込み状態を示す図である。また、図6(a)、(b)は、それぞれ、ズーム操作があった場合における、正常な画像データの書込みが行われた時と異常な画像データの書込みが行われた時の各信号の出力状態を示す図である。
【0060】
図5(a)に示すように、正常時には、垂直同期信号がアクティブな期間に、信号処理回路101から一つの撮像画面に基づく全画像データが出力されるため、垂直同期信号のアクティブ期間に画像データが順次メモリ103に書き込まれる。そして、この垂直同期信号が非アクティブになると、その後まもなくデータ書込みが完了して、メモリ制御回路102から書込み完了信号が出力される。
【0061】
ズーム操作がなされてない場合には、ディレイタイマー106bのディレイ時間DTはゼロにセットされるため、ディレイタイマー106bからは、書込み完了信号の入力に応じて直ちにディレイ信号が出力される。図示の如く、データ書き込み動作が正常である場合には、ディレイ信号が出力されたときに、垂直同期信号は非アクティブであるため、アンド回路106aからはリセット信号が出力されない。
【0062】
さて、カメラ機能の起動中に静電が発生すると、たとえば、静電によるノイズが垂直同期信号に載り、これによって垂直同期信号の出力が大きく乱れる場合がある。たとえば、図5(b)に示すように、静電によるノイズの影響で、垂直同期信号が立下り、一時的に非アクティブになると、信号処理回路101は、その時に出力していた画像データAの出力を中止する。これにより、その時点から垂直同期信号が正常に非アクティブになるまでに本来出力されるべきであった画像データが出力されなくなる。一方、図5(c)に示すように、メモリ制御回路102は、画像データAが来なくなると、メモリ103の書込エリアへの書込みを一時中断し、次の画像データを待つ状態となる。
【0063】
こうして、次に、垂直同期信号がアクティブになり、信号処理回路101から新たな画像データBが出力されると、メモリ制御回路102は、メモリ103の書込エリアにおいて、画像データAの続きのアドレス位置から画像データBを書き込み始める。そして、メモリ制御回路102は、残りの書込エリアに画像データBを書き込むと、一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したとして、書込み完了信号を出力する。
【0064】
こうして、メモリ103への異常なデータ書込みがなされると、書込み完了信号が、垂直同期信号のアクティブな期間に出力されることになる。この場合、ディレイタイマー106bからディレイ信号が出力されたとき、垂直同期信号がアクティブとなっているので、アンド回路106aからは、信号処理回路101およびメモリ制御回路102に対し、リセット信号が出力される。
【0065】
信号制御回路101およびメモリ制御回路102にリセット信号が入力されると、両者の動作がリセット、即ち、初期化される。こうして、信号処理回路101は、画像データBの出力を中止し、メモリ制御回路102も、画像データBの書込みを中止する。そして、次に垂直同期信号がアクティブになると、信号処理回路101は新たな画像データを出力し、メモリ制御回路102は、この新たな画像データをメモリ103の書込エリアの最初のアドレス位置から書き込み始める。
【0066】
このようにして、静電によるノイズによって、異常なデータ書込みが生じても、静電検出回路106がこれを検出し、信号処理回路101およびメモリ制御回路102に対しリセット信号を出力することにより、直ちに正常なデータ書込み状態に復帰させることができる。
【0067】
次に、ズーム操作がなされている場合には、全画像データの一部(ズーム用の画像データ)が信号処理回路101から出力され、これがメモリ103に書き込まれるため、図6(a)に示すように、正常な場合にも、垂直同期信号がアクティブな期間に、一つの撮像画面に対する書込みが完了してメモリ制御回路102から書込み完了信号が出力される。しかしこの場合、ディレイタイマー106bには、ズーム操作に応じたディレイ時間DTが設定さているため、ディレイタイマー106bからは、このディレイ時間DTが経過した後にディレイ信号が出力される。そして、ディレイ信号が出力されたときには、垂直同期信号が非アクティブとなっているので、アンド回路106aからはリセット信号が出力されない。
【0068】
一方、静電によるノイズの影響を受け、異常なデータ書込みが発生した場合には、図6(b)に示すように、ディレイ時間DTが経過してディレイ信号が出力されたとき、垂直同期信号はアクティブとなっているので、アンド回路106aからリセット信号が出力される。これにより、信号処理回路101およびメモリ制御回路102の動作がリセットされる。
【0069】
なお、静電発生によるノイズが、水平同期信号や同期クロックに載り、これらの信号に乱れが生じても、上記と同様に、信号処理回路101による画像データの出力タイミングとメモリ制御回路102によるデータ書込みタイミングとの同期が取れなくなり、異常なデータ書込みが発生する惧れがある。この場合にも、書込み完了信号に基づくディレイ信号が垂直同期信号のアクティブ期間に出力されることになり、静電検出回路106からのリセット信号によって、信号処理回路101およびメモリ制御回路102の動作がリセットされる。
【0070】
以上、本実施の形態によれば、静電の発生によって異常なデータ書込みが生じても、直ちに正常なデータ書込み状態に復帰させることができる。よって、静電の発生により画像に障害が発生しても、直ちにこれを解消し、正常な状態に戻すことができる。
【0071】
しかも、本実施の形態によれば、データ書込みが完了した情報と垂直同期信号の状態とに基づいて、信号処理回路101およびメモリ制御回路102にリセットを掛けるだけであり、簡易な構成にて、画像障害を解消させることができる。
【0072】
さらに、本実施の形態によれば、ズーム操作が行われた場合には、データ書込みが完了してから、その時のズーム操作に応じたディレイ時間だけ待った後に、垂直同期信号の状態を見るようにしているので、ズーム操作に左右されることなく、静電によって生じる異常なデータの書込みを検出することができる。
【0073】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、上記実施の形態も種々の変更が可能である。
【0074】
たとえば、静電検出回路106を、携帯電話機の種々の機能を制御するCPU内部の演算回路やタイマーを用いて、ソフトウエアにより実現することもできる。この場合は、CPUに垂直同期信号と書込み完了信号とが入力され、これら2つの入力信号に基づいて、CPUが信号処理回路101およびメモリ制御回路102へリセット信号を出力するような構成となる。このようにすれば、新たな回路を一切追加する必要がなくなる。
【0075】
また、上記では、静電による影響によってメモリ書き込みに異常が生じる場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これ以外の要因によってメモリ書き込みに異常が生じた場合にも、適宜適用可能なものである。
【0076】
さらに、上記実施の形態では、書込み完了信号がメモリ制御回路104に出力される構成とされているが、これに限らず、たとえば、書込み完了信号が、携帯電話機全体の制御を司る制御シーケンサ(マイコン等によるソフト制御を含む)に出力される構成とされても良い。この場合、書込み完了信号をトリガとして制御シーケンサから出力される制御信号によってメモリ制御回路104が起動することとなる。
【0077】
さらに、上記実施の形態では、データ書込みの完了直後に出力される書込み完了信号と垂直同期信号の状態とに基づいて静電検出回路106からリセット信号が出力される構成とされているが、データ書込みの完了を示す完了信号が必ずしも書込み完了直後に出力される必要はない。要は、データ書込み完了に起因した完了信号が出力され、この信号と垂直同期信号とに基づいてリセット信号が出力される構成であればよい。なお、データ書込み完了から遅れて完了信号が出力される構成とされた場合には、それに応じて垂直同期信号を遅延して両者を比較する必要がある。
【0078】
さらに、本発明のカメラ機能付き機器は、上記実施の形態のようなカメラ機能付きの携帯電話機に限られず、カメラ機能付きのPDA(Personal Digital Assistant)等であっても良い。
【0079】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機の外観構成を示す図
【図2】実施の形態に係る携帯電話機に適用されたカメラ機能に係る回路構成を示す図
【図3】実施の形態に係るズーム操作時の画像データの書込み動作およびズーム操作に応じて設定されるディレイ時間について説明するための図
【図4】実施の形態に係る静電検出回路の構成を示す図
【図5】実施の形態に係る静電検出回路による異常検出動作について説明するための図(ズーム操作なし)
【図6】実施の形態に係る静電検出回路による異常検出動作について説明するための図(ズーム操作あり)
【図7】従来のカメラ機能に係る回路構成の一例を示す図
【図8】カメラモジュールから出力信号について説明するための図
【図9】静電による画像障害を解消するためのカメラ機能に係る回路構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0081】
23 カメラモジュール(カメラ部)
101 信号処理回路(信号処理部)
102 メモリ制御回路(メモリ制御部)
103 メモリ
106 静電検出回路(リセット部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子で捉えた撮像画面に基づく画像データを垂直同期信号および水平同期信号とともに出力するカメラ部と、
前記画像データをメモリに書き込むデータ書込部と、
前記データ書込部によって一つの撮像画面に対するデータ書込みが完了したタイミングと前記垂直同期信号の状態とに基づいて、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットするリセット部と、
を備えたことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記リセット部は、前記データ書込みが完了したときに前記垂直同期信号がアクティブな場合に、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットする、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記リセット部は、前記画像データに対するズーム処理が行われた場合、前記データ書込みが完了してから前記ズーム処理に応じたディレイ時間が経過したときの前記垂直同期信号の状態に基づいて、前記データ書込部による前記データ書込みをリセットする、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項において、
前記データ書込部は、
前記垂直同期信号および水平同期信号がアクティブな期間に出力された前記画像データを取り込む信号処理部と、
前記信号処理部から出力された前記画像データを前記メモリに書き込むメモリ制御部と、
を含むことを特徴とするカメラ機能付き機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−45460(P2010−45460A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206404(P2008−206404)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】