説明

カメラ用ケース

【課題】カメラ付き携帯電話のカメラが本来撮像することのできる倍率よりも高い倍率で撮像し、かつ電源を補助するケースを提供する。
【解決手段】カメラ用ケース1は、携帯電話Aの前面を覆うケースである本体部2を備える。本体部2には、拡大レンズである拡大レンズ31aを内蔵のレンズ保持体3が取付けられている。レンズ保持体3は可動部材24を介して本体部1に対して上下動可能とされており、レンズ保持体3が上側の第1位置にある場合には、携帯電話AのレンズDの前に拡大レンズ31aが位置して拡大画像を撮像でき、下側の第2位置にある場合には携帯電話AのレンズDの前側が開放される。本体部2にはバッテリー4が内蔵され、これは携帯電話Aの電源として利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付きの携帯電話等のカメラに取付けて用いられるカメラ用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ、特にデジタルカメラはその利便性によりその普及の度合は極めて高い。このようなカメラは、CCD(charge coupled device)、或いはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)などの撮像手段により像光を捉えて撮像を行う。
市販の一般的なカメラはそのほとんどが、人物や風景を撮像の対象とするようになっており、顕微鏡などを用いて行うような、高倍率の撮像を行うことは、普通はできない。
【0003】
しかしながらそのような撮像を行えれば便利であり、また、一定の需要もあったことから、本願出願人は過去に、特開2006−251113の出願を行っている。この出願は、一般的なカメラの一例としてのカメラを備えたカメラ付き携帯電話に取付けるアタッチメントを開示する。アタッチメントは、カメラに取付ける本体部と、本体部に対して着脱自在であり拡大レンズを含んだレンズ部とを備えている。このアタッチメントは、携帯電話に取付けられた本体部にレンズ部を取付けた場合には、レンズ部に含まれた拡大レンズを用いた高倍率の画像の撮像が可能となり、本体部をカメラから取外すか又は本体部からレンズ部を取外した場合には、携帯電話のカメラが本来的に行える通常の撮像を行えるようになる。
【0004】
このアタッチメントは一般的なカメラに高倍率の撮像を行わせることができるようになるという作用効果を持つ。また、本体部を、携帯電話のケース乃至ジャケット状に形成した場合には、本体部を携帯電話に取付けたままにし、高倍率の撮像が必要になった場合のみ本体部に対してレンズ部を装着し、また通常の撮像を行う場合には本体部からレンズ部を取外すという使用態様を実現できるという点で、通常の撮像と高倍率の撮像とを簡単に切り替えられるという利点も持つ。
しかし、このアタッチメントにも改良すべき点がないわけではない。
このアタッチメントにおけるレンズ部は、上述したように、高倍率の撮像を行わない場合には本体部から取外されるが、取外されたレンズ部をどのように仕舞うかということが問題となりがちである。例えば、取外されたレンズ部を携帯電話のストラップに取付けるなどということも可能ではあるが若干不便であり、また美観という点で難があることは否めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、カメラが本来撮像することのできる倍率よりも高倍率で撮像できるようにするカメラ用ケースを、高い倍率での撮像を行わない場合におけるレンズ部の仕舞いに、便利さ、美観の面で難がないように改良することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、上述の課題を解決するために、以下のようなカメラ用ケースを提案する。
【0007】
本発明のカメラ用ケースは、以下のようなものである。
すなわち、本発明のカメラ用ケースは、その筐体の所定の面上に外部に露出するレンズ(レンズは常に露出しているを要しない。)であるカメラレンズを有するカメラに取付けるカメラ用ケースである。そしてこのカメラ用ケースは、前記カメラの前記筐体に対して着脱自在に固定される本体部と、像を拡大する拡大レンズを保持するレンズ保持体を備えており、前記本体部の所定の位置である第1位置と前記本体部の他の所定の位置である第2位置とで固定でき、且つその間で前記レンズ保持体を移動させるように移動可能である可動部材と、前記レンズ保持体が前記第1位置にあり、前記カメラが前記拡大レンズの倍率に応じた拡大画像としての画像を撮像する場合に、照明を補助できるようになっている光源と、前記光源に電力を供給するバッテリーと、を備え、前記拡大レンズは、前記レンズ保持体が前記第1位置にある場合には、前記カメラの前記カメラレンズの光路上に固定されることにより、前記カメラにより撮像される画像を前記拡大レンズの倍率に応じた画像とするように、前記レンズ保持体が前記第2位置にある場合には、前記カメラレンズの光路上から外れることにより、前記カメラにより撮像される画像をそのままにするようになっている。
このようなカメラ用ケースであれば、レンズ保持体が第1位置に位置する場合に、拡大レンズがカメラのカメラレンズの光路上に位置することになり、カメラで撮像するときの倍率を、本来撮像できる倍率以上の高倍率に上げられるようになる。逆に、レンズ保持体が第2位置にある場合には、カメラをカメラ用ケースの拡大レンズを通さずにそのまま使用することができる。この場合、カメラ用ケースを携帯電話から取り外す必要もないし、また、レンズ保持体及び可動部材をカメラ用ケースから取外す必要もないから、レンズ保持体及び可動部材の仕舞いについての問題が生じることもない。
なお、本願発明におけるカメラは、カメラの用途が主の機器である必要は必ずしもなく、例えば、カメラの付いたカメラ付き携帯電話等のカメラを含む機器であればよい。
また、拡大レンズは一枚のレンズであっても良いし、複数枚のレンズから構成されたレンズ群であっても構わない。
【0008】
バッテリーは、上述のように光源に電力を供給する。バッテリーは、また、カメラの予備電源としても用いることができるようになっていてもよい。
例えば、前記本体部は、前記本体部が前記カメラに固定されたときに前記バッテリーを前記カメラが持つ充電端子と接続する充電用端子を備えており、前記バッテリーを、前記カメラの予備電源としても用いることができるようになっていてもよい。
カメラの電源として用いることで、カメラの電池切れ時にカメラを利用できるようになり、或いはカメラの電池切れを遅らせることできるようになる。特に、カメラがカメラ付き携帯電話である場合などは、電池容量の問題がつきまといがちであるため、カメラ(カメラ付き携帯電話)の予備電源としてバッテリーを用いることの意味が大きい。
【0009】
本願発明の光源は、高倍率の画像の撮像をカメラで行うときに、照明を補助するものである。高倍率の画像の撮像を行う場合には、撮像範囲が非常に狭くなるので、単位面積辺りの照明光の不足が生じがちになる。光源は、その場合の照明を補助するものである。光源は、レンズ保持体が第2位置に来たときに照明光を自動的に照射するようになっていても良いし、例えば手動のスイッチにより必要に応じてユーザが光源に照明光を照射させるようになっていてもよい。
光源は、カメラ用ケースのどこに設けられていても構わないが、例えば可動部材に設けることができ、可動部材のレンズ保持体に設けることも可能である。
また、前記レンズ保持体は前記可動部材に対して固定されていても構わないが、可動部材に対して着脱自在に取付けられるようになっていてもよい。この場合、前記光源は、前記レンズ保持体に設けられ、且つ当該レンズ保持体に取付けられた拡大レンズを用いて前記カメラが撮像を行うに相応しい照明光を照射するようなものとなっていてもよい。
レンズ保持体が可動部材に対して着脱自在である場合には、拡大レンズの倍率の異なる幾つかのレンズ保持体を準備することにより、カメラで様々な倍率で撮像することが可能となる。ここで、撮像の倍率により必要な照明が変わってくるが、レンズ保持体に拡大レンズと光源を予めセットで設けておくことで、撮像の倍率を決定する拡大レンズと、それに相応しい照明を提供する光源とを一括で交換できるようになるため便利である。
【0010】
光源が、可動部材に対して着脱自在とされたレンズ保持体に設けられている場合であって、前記バッテリーが、前記本体部に設けられているとき、前記可動部材には、前記バッテリーと接続された可動部材端子が設けられているとともに、前記レンズ保持体には、前記光源と接続された保持体端子が設けられており、前記レンズ保持体を、前記可動部材に取付けたときに、前記可動部材端子と、前記保持体端子とが導通して、前記バッテリーと前記光源とが接続されることにより、前記バッテリーを前記光源の電源として用いることができるようになっていてもよい。このようにすることにより、一括での光源と拡大レンズの交換を行うことによって、バッテリーと光源の接続がなされることになり便利である。
より詳しくは、前記可動部材と、前記レンズ保持体の一方には凹部が、他方には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられているとともに、前記凹部と前記凸部のうちの前記可動部材に設けられている方の、前記凹部の内側又は前記凸部の外側には前記可動部材端子が、前記凹部と前記凸部のうちの前記レンズ保持体に設けられている方の、前記凹部の内側又は前記凸部の外側には前記保持体端子が、それぞれ設けられており、前記凸部を前記凹部に挿入することにより、前記レンズ保持体の前記可動部材に対する取付けと、前記可動部材端子と前記保持体端子の導通とが行われるようになっていてもよい。このようにすることで、簡単な構造でありながら、一括での光源と拡大レンズの交換を行った場合におけるバッテリーと光源の接続を確実に実現できるようになる。なお、本願の凹部は底のない環状である場合も含む。
【0011】
光源が、可動部材に対して着脱自在とされたレンズ保持体に設けられている場合前記バッテリーは、前記レンズ保持体に設けられており、レンズ保持体とともに前記可動部材に対して着脱自在とされていてもよい。
この場合、バッテリーは光源に接続されており、一括での光源と拡大レンズの交換を行った場合には、レンズ保持体に設けられたバッテリーも同時に交換されることになる。
【0012】
前記レンズ保持体は、それが前記第2位置にある場合には、前記本体部の内部に隠れるようになっていても構わない。そのようになっていれば、拡大レンズの不使用時においてはレンズ保持体を隠せるため、カメラ用ケースの美観を高められるようになるとともに、レンズ保持体の破損の可能性を小さくすることができる。
【0013】
本体部の形状、構造には特に制限がない。
本願におけるカメラは、略直方体形状の携帯電話である場合がある。この場合の携帯電話は、その前面にディスプレイと、当該携帯電話を操作するための操作手段とを、また、その背面に前記カメラレンズを備えている場合がある。なお、この場合、操作手段とディスプレイは、例えばタッチパネルを採用することで一体化することができる。このような形状、構造は例えば、ソフトバンクモバイル株式会社が販売するiPhone(登録商標)に代表される、近年急速に普及したタッチパネル式のスマートフォンに多く採用されている。
カメラがそのような携帯電話である場合、前記本体部は、当該携帯電話の前記筐体の前面を露出させた状態で前記携帯電話をその内部に収納できる凹部である収納凹部を備えた略直方体形状とすることができる。このような形状であれば、本体部に携帯電話を取付けた場合における全体形状がすっきりするだけでなく、本体部に収納したままの状態で携帯電話を使用することができるため、本体部に携帯電話を取付けたままカメラで拡大レンズを使用しないでそのままの画像も、拡大レンズを使用して拡大した画像も撮像出来ることと相俟って、本体部を携帯電話に取付けたままにしておくことができるようになるので便利である。本体部を携帯電話に取付けたままにすることができるのは、バッテリーで携帯電話の電源を賄えるようにした場合に、特にその利益が大きい。
この場合、本体部は更に以下のようなものとすることができる。例えば、前記本体部は、前記バッテリーを収納する、略直方体形状である所定厚さの収納室と、前記収納室の外面の一つであり、前記携帯電話の前記筐体の前記背面と当接することが予定された当接面の周の3辺に、そのいずれもが、前記収納室の厚さ方向を延長する方向に伸びるものとされ、その高さが前記筐体の厚さと略対応する高さとされた、前記筐体の底面と当接することが予定された底面板、及び前記筐体の側面と当接することが予定された2つの側面板と、を備えるとともに、前記側面板の先端には、前記当接面の中心方向に曲折された係止部が設けられており、前記当接面と、前記底面板の前記当接面に面した面と、2つの前記側面板の前記当接面に面した面とで囲まれた空間として形成された前記収納凹部に、2つの前記側面板の間から、前記携帯電話の前記筐体の背面を前記当接面に、前記筐体の両側面を2つの前記側面板の前記当接面に面した面に、前記筐体の前面を前記係止部の底面に、それぞれ当接させながら前記携帯電話をスライドさせ、前記携帯電話の前記筐体の底面を前記底面板の前記当接面に面した面に当接させることで、前記携帯電話の前記本体部に対する着脱自在な固定を行えるようになっていてもよい。こうすれば、携帯電話が略直方体形状である場合における本体部への固定を容易に達成できる。
更に、前記充電端子が前記携帯電話の前記筐体の底面に設けられている場合には、カメラ用ケースは以下のようにすることができる。即ち、前記充電用端子は、前記底面板の前記当接面に面した面に設けられており、前記携帯電話の前記筐体の底面を前記底面板の前記当接面に面した面に当接させると、前記充電端子と前記充電用端子とが接続されるようになっているものとすることができる。本願発明では、充電用端子の構成は、携帯電話の充電端子との接続を行えれば本来特に制限がないが、このような充電用端子を採用すれば、携帯電話のカメラ用ケースの本体部への取付けと同時に、充電端子と充電用端子の接続も行われるから便利である。この構成は、充電端子が携帯電話の前記筐体の底面に設けられている場合にのみ採用可能であるが、そのような構造を採用する携帯電話は多いので、汎用性はある程度高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラ用ケースと、それと組合わせて用いられる携帯電話の構成を説明するための斜視図。
【図2】図1に示したカメラ用ケースを携帯電話に取付けた状態を示す斜視図。
【図3】図1に示したカメラ用ケースのレンズ保持体周辺の構造を拡大して示す斜視図。
【図4】図1に示したカメラ用ケースのレンズ保持体周辺の構造を拡大して示す斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係るレンズ保持体を可動部材から外した状態を説明するための図。
【図6】本発明の実施形態に係るカメラ用ケースを使用した状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1、図2に、本実施形態におけるカメラ用ケース1の斜視図を示す。カメラ用ケース1は、本願のカメラの一例となるカメラ付き携帯電話A(以下、単に「携帯電話A」という場合がある。)と組み合わせて用いられるようになっている。
図1に示すのは、カメラ用ケース1にカメラ付き携帯電話Aが固定されていない状態、図2に示すのは両者が固定された状態である。
【0017】
携帯電話Aは、いわゆるタッチパネル式のスマートフォンであり、例えば、ソフトバンクモバイル株式会社が販売するiPhone4である。
携帯電話Aは、その底面に、携帯電話Aの充電端子Bを備える。もっとも、この充電端子Bは充電を行えれば、それ以外の用途があっても構わない。携帯電話Aは、筐体A1を備え、また、筐体A1の前面にディスプレイCを備える。ディスプレイCはタッチパネルであり、指等で触られた場合に入力を受付けることができる。このディスプレイCは、本発明でいう操作手段も兼ねる。携帯電話Aは、カメラを内蔵しており、筐体A1の背面にカメラのレンズDが露出している。カメラの画像撮影用の撮像部材(例えば、CCD、CMOS等)その他の部品は、携帯電話Aの筐体A1の内部に収納されている。
【0018】
カメラ用ケース1は、本体部2を備えている。本体部2には、レンズ保持体3が取付けられており、また、バッテリー4が内蔵されている。
本体部2は、収納室21、側面板22、底面板23、可動部材24から構成され、この実施形態では樹脂製となっている。
【0019】
収納室21は、この実施形態では携帯電話Aの厚さと略同程度の厚さとされた薄い略直方体とされた箱である。収納室21は、カメラ付き携帯電話Aを固定したときに、その外側の面が携帯電話Aの背面と当接するようになっている当接板21aを備える。カメラ付き携帯電話Aを固定したときに、携帯電話Aの筐体A1の背面が当接する側の当接板21aの面が、本発明で言う当接面である。
当接板21aは、カメラ付き携帯電話Aの背面に略相当するような大きさ、形状になっており、この実施形態では略平面である。この当接板21aは、その両側縁を本体部2に設けられた図示せぬ溝に挿入されており、その両側縁を上側の方向(図1の右下に向かう方向)にその溝の中でスライドさせることにより本体部2の残部から取り外すことが可能となっている。なお、本体部21から当接板21aを取り外した状態は、図3、図4に示されている。当接板21aの取り外しは、後述するバッテリー4の交換の際に必要となる。
収納室21は、その左上(図1における右下)端部に、収納室21の左上端部から直方体を切り落としたような形状として構成された切欠部21bを有している。その結果、切欠部21bの部分では、当接板21aの当接面に相当する面の裏面がむき出しの状態になっている。切欠部21bには、その空間を埋めるようにして、レンズ保持体3が配されるようになっている。また、レンズ保持体3は、切欠部21bを、この実施形態では携帯電話Aの上下方向に移動するようにもなっている。当接板21aには、また、必ずしも形状はこの限りではないが、矩形のカメラ孔21cが設けられている。カメラ孔21cは、携帯電話Aのレンズの視野確保のためのものであり、携帯電話Aがカメラ用ケース1に取付けられた場合におけるレンズDの正面の位置に穿たれている。
また、収納室21の側面には、後述する光源32bの電源にバッテリー4を使用するかしないかを切り替える光源スイッチ21d、およびカメラ付き携帯電話Aの電源にバッテリー4を使用するかしないかを切り替える電源スイッチ21eが設けられている。収納室21の側面には、また、後述する反射撮影と無反射撮影とを切り替える反射スイッチ等の他のスイッチが備えられていてもよい。
【0020】
側面板22は、カメラ用ケース1へカメラ付き携帯電話Aを着脱可能に固定した場合に、携帯電話Aを保持するためのものである。
側面板22は2つであり、収納室21の側面部分から、収納室21の厚さ方向に伸びるものとされた板である。側面板22の高さはいずれも、携帯電話Aの筐体の厚さと略対応する高さとされている。側面板22の対向する面から面までの距離は、携帯電話Aの筐体の幅に略対応する。側面板22の先端には、当接板21aの中心方向に曲折された係止部22aが設けられている。係止部22aは、図2のようにして、カメラ用ケース1に携帯電話Aが取付けられたときに、携帯電話Aの筐体1Aの前面に係止され、カメラ用ケース1からの携帯電話Aの脱落を防止するものである。係止部22aは、この実施形態では、側面板22の長さ方向の全長にわたって設けられているが、携帯電話Aの脱落防止の目的が達成される限り、必ずしもそうする必要はない。
底面板23は、収納室21の底面部分から、収納室21の厚さ方向を延長する方向に伸びる多少厚めの板である。底面板23の高さは、携帯電話Aの筐体の厚さと略対応する高さとされている。底面板23の、上側の面には、本体接続端子23aが設けられている。凸形状の本体接続端子23aは、図2のようにして、カメラ用ケース1に携帯電話Aが取付けられたときに、携帯電話Aの凹形状の充電端子Bに挿入され、充電端子Bと接続されるようになっている。
当接板21a、2つの側面板22、底面板23で囲まれた空間が、本発明でいう収納凹部であり、ここに携帯電話Aが取付けられることになる。
【0021】
可動部材24は、切欠部21bを携帯電話Aの上下方向に平行移動するようになっている部材である。可動部材24は、例えば、周知のプッシュプッシュ構造を採用することにより、その上端の位置と下端の2つの位置で任意に固定できるようになっている。可動部材24には、レンズ保持体3が着脱自在に取付けられるようになっており、レンズ保持体3は可動部材24の移動に伴い上下方向に移動するようになっている。図3における可動部材24は、上方向に最大に移動させた状態であり、図4における可動部材24は下方向に最大に移動させた状態である。この2つの位置で可動部材24は固定できるようになっており、結果としてレンズ保持体3も図3、図4に示した位置で固定されるようになっている。レンズ保持体3が最も上にある図3に示した場合が、本願発明でいう第1位置にある場合であり、レンズ保持体3が最も下にある図4に示した場合が、本願発明でいう第2位置にある場合である。
上述した、カメラ孔21cは、レンズ保持体3が第2位置にあるときにおけるレンズDの視野の確保を実現するものであり、携帯電話Aがカメラ用ケース1に取付けられ、且つレンズ保持体3が第2位置にあるときに、携帯電話Aに内蔵のカメラがレンズDのみを通しての通常の撮像を行えるようにする。
【0022】
可動部材24は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、略直方体とされた筒状体であり、その幅は上述の切欠部21bの幅に、その厚さは切欠部21bの厚さにそれぞれ略対応させられている。可動部材24の上面には、図示を省略の開口が設けられている。この開口は、レンズ保持体3と、可動部材24との接続に用いられるものであり、底が抜けた孔であっても、底がある穴であっても構わない。開口の内部には、図示を省略の導線によりバッテリー4と導通させられた端子である可動部材端子が設けられている。
レンズ保持体3の可動部材24への取付け方については後述する。
【0023】
レンズ保持体3は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、略直方体とされ、その幅は上述の切欠部21bの幅に、その厚さは切欠部21bの厚さにそれぞれ略対応させられている。
このレンズ保持体3は、図5および図6等で示すように、拡大レンズカバー31、回路基板32を備えている。なお、図6は、回路基板32の構成を示すために、図5の状態の回路基板32から拡大レンズカバー31を取り除いた状態を示す分解図である。
回路基板32の下方の矩形の部分の断面形状は、可動部材24に設けられた上述の開口の断面形状に対応させられており、必ずしもこの限りではないがこの実施形態では板状である。回路基板32の表面には、レンズ接続端子32cが設けられている。回路基板32の下方の部分を、可動部材24に設けられている上述の開口に挿入することで、レンズ保持体3の可動部材24への着脱自在な固定が実現される。レンズ保持体3の可動部材24への固定がなされると、レンズ接続端子32cと、開口内の可動部材端子とが導通させられる。
拡大レンズカバー31は、その前面と後面側が開口しており、略直方体とされた筒状体である。
拡大レンズカバー31と、回路基板32は本来的には図5に示されたように固定されているが、その固定方法はどのようなものでもよい。例えば、拡大レンズカバー31が係止用孔を備え、回路基板32がその係止用孔に対応して挿入することができる円柱状の部材を備えるのであれば、その円柱状の部材を係止用孔に挿入することで両者の固定を行えばよい。もちろん、ネジ、ビス、ボルト、ナット、などを用いての固定、接着剤を用いての固定などで、両者が固定されていてもよい。
回路基板32には、矩形状のレンズ孔32aが設けられている。このレンズ孔32aには、拡大レンズ31aが嵌めこまれている。拡大レンズ31aは像を拡大するレンズである。レンズ孔32aは、レンズ保持体3が第1位置にある場合に、カメラ孔21cと対応するような位置に来るようになっている。したがって、レンズ保持体3が第1位置にある場合、携帯電話Aに内蔵のカメラは、そのレンズDと、拡大レンズ31aとを用いての、拡大した倍率での撮像を行えるようになっている。
回路基板32は、拡大レンズ31aの周囲に光源32bを備える。この光源32bは、拡大レンズ31aを用いて撮像を行う場合に、撮像対象物に対して所定の照明光を照射するものであり、この実施形態ではレンズ孔32aを囲む9つのLEDによって構成されている。光源32bの構成は、拡大レンズ31aの特性に合わせて、例えば、その形状、数、位置等を選択することができる。この光源32bは、撮像される画像を表面反射のある反射像とするための照明光と、撮像される画像を表面反射のない無反射像とするための照明光とに切り替えられるようになっていてもよく、この実施形態では本体部2の反射スイッチ(図では省略)により照明光の選択ができるようになっている。光源32bは、図示を省略の導電によってレンズ接続端子32cに接続されている。レンズ保持体3の可動部材24への固定がなされた場合には、上述のように、レンズ接続端子32cと、開口内の可動部材端子とが導通するが、これにより可動部材端子と導通しているバッテリー4を電源として光源32bは点灯可能となる。
この実施形態では、光源32bはレンズ接続端子32cと一体とされているが、これに限られるわけではなく、例えば、拡大レンズカバー31に光源32bが備えられていてもよい。
【0024】
バッテリー4は、収納室21の内部に設けられている。バッテリー4は、カメラ付き携帯電話Aおよびレンズ保持体3が備える光源32bの電源として使用しうるものである。上述したように、バッテリー4は、それと接続された本体接続端子23aと接続された充電端子Bを介して携帯電話Aの電源として機能し、また、それと接続された可動部材端子と接続されたレンズ接続端子32cを介して、光源32bの電源として機能する。バッテリー4をカメラ付き携帯電話Aの電源として使用するかどうかは、本体部2の電源スイッチ21eにより制御することができるようになっている。バッテリー4を光源32bの電源として使用するかどうかは、本体部2の光源スイッチ21dにより制御することができるようになっている。
バッテリー4は汎用品でも専用品でもよく、一般的な一次電池でも良く、また再充電可能な二次電池でも構わない。
バッテリー4は、当接板21aを取り外すと収納室21から露出し、その状態で適宜交換可能となっている。
この実施形態では、バッテリー4は単四型乾電池であり、略直方体とされた筒状体を4つ並べたような形状の電池ボックスである、格納部41に格納されるようになっている。
【0025】
次に、このカメラ用ケース1の使用方法について説明する。
【0026】
まず、図5に示すように、レンズ保持体3を、可動部材24を介して本体部2に取付ける。レンズ保持体3が、倍率の異なる拡大レンズ31aについて、複数存在している場合には、所望の倍率の拡大レンズを持つレンズ保持体3を選択して、それを可動部材24に取り付ける。この取付は、回路基板32の下方の矩形の部分を、可動部材24に設けられている上述の開口に挿入することで行う。
次に、カメラ付き携帯電話Aを、図2に示すように、カメラ用ケース1に固定する。
かかる固定は、携帯電話Aの筐体A1の背面を当接板21aに当接させるとともに、2つの側面板22の対向する面に筐体A1の両側面を当接させた状態で、携帯電話Aをカメラ用ケース1の上側から、下に向けて平行移動させることにより行う。携帯電話Aの筐体A1の底面が、底面板23に当接し、また、底面板23に設けられた凸形状の本体接続端子23aが、携帯電話Aが備える凹形状の充電端子Bに挿入されることにより、カメラ付き携帯電話Aと、カメラ用ケース1の着脱自在な固定が完了する。両側面板22の係止部22aが、携帯電話Aの前面を係止するので、カメラ用ケース1からの携帯電話Aの脱落が防止される。
また、このとき、携帯電話Aの前面が露出しているので、ユーザは、カメラ用ケース1を取付けたまま、携帯電話Aを使用することができる。ユーザは、また、必要に応じて、バッテリー4をカメラ付き携帯電話Aの電源として使用するかどうかを、本体部2の電源スイッチ21eにより選択する。バッテリー4をカメラ付き携帯電話Aの電源として使用することが選択された場合には、バッテリー4から、本体接続端子23a、充電端子Bを介して携帯電話Aへ電力が供給される。
【0027】
この状態で、ユーザは、レンズ保持体3を、第1位置又は第2位置の任意の位置に移動させる。
レンズ保持体3が第1位置にある場合、レンズDと、拡大レンズ31aの光軸が一致する。それにより、携帯電話Aに内蔵のカメラは、そのレンズDと、拡大レンズ31aとを用いての、拡大した高倍率での撮像を行えるようになっている。このとき、必要に応じて携帯電話Aの筐体A1の光源スイッチ21dを操作して、光源32bを点灯させることができる。光源32bを点灯させることが選択された場合には、バッテリー4から光源32bへ、可動部材端子、レンズ接続端子32cを介して電力が供給される。光源32bが点灯すると、拡大レンズ31aを用いてカメラが撮像するに適切な照明光が照射される。
他方、レンズ保持体3が第2位置にある場合、レンズDの前方には拡大レンズ31aが存在せず、携帯電話Aのカメラは、カメラ孔21cを通して、レンズDのみを用いた通常の倍率での撮像を行うことになる。この撮像には通常、光源32bは使用しないので、光源32bの点灯をさせないように光源スイッチ21dを操作すればよい。なお、レンズ保持体3が第1位置から第2位置に移動した場合に光源32bが自動的に消灯されるようにするスイッチをカメラ用ケース1の任意の部分に設けておくことも可能である。そうすることにより、バッテリー4の浪費を防ぐことが可能となる。
【0028】
必要が生じれば、カメラ用ケース1に携帯電話Aが固定された状態でも、可動部材24に取付けられたレンズ保持体3を交換することができる。
また、カメラ用ケース1が不要になったら、取付けのときと逆の操作を行い、カメラ用ケース1から携帯電話Aを取り外す。
カメラ用ケース1が取付けられたままの状態であっても、携帯電話Aは使用可能であり、例えば電話をしたり、インターネットを利用したりすることができる。
【0029】
<変形例>
上述のカメラ用ケース1では、光源32bに電力を供給するのは、本体部2に収納されたバッテリー4であった。これに代えて、光源32bへの電力の供給を、バッテリー4とは異なる他のバッテリーから行うことも可能である。他のバッテリーは、例えばレンズ保持体3の内部に取付けることが可能である。他のバッテリーを小型のボタン電池等とした場合には、レンズ保持体3の中に他のバッテリーを収納することは十分に可能である。この場合、他のバッテリーは光源32bと常時接続した状態とすることができ、レンズ保持体3とともに可動部材24に対して着脱自在とすることができる。
なお、他のバッテリーを用いる場合には、バッテリー4から光源32bに電力を供給する必要がなくなるから、可動部材端子と、レンズ接続端子32cは不要となる。
また、他のバッテリーを用いる場合には、バッテリー4を無くしてしまっても構わない。その場合には、バッテリー4を収納する空間が不要になるので、その分本体部2を薄型化することも可能である。
なお、他のバッテリーを用いる場合には、光源32bと他のバッテリーを接続する導線上に、他のバッテリーから光源32bへの電源の供給をON、OFFするスイッチを設けておくことができる。例えば、このスイッチは、レンズ保持体3の表面に操作を行うための部分が露出しており、ユーザの操作を可能たらしめている。
【符号の説明】
【0030】
1 カメラ用ケース
2 本体部
3 レンズ保持体
4 バッテリー
21 収納室
21a 当接板
21b 切欠部
21c カメラ孔
21d 光源スイッチ
21e 電源スイッチ
22 側面板
22a 係止部
23a 底面板
23 本体接続端子
24 可動部材
31 拡大レンズカバー
31a 拡大レンズ
32 回路基板
32a レンズ孔
32b 光源
32c レンズ接続端子
41 格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その筐体の所定の面上に外部に露出するレンズであるカメラレンズを有するカメラに取付けるカメラ用ケースであって、
前記カメラの前記筐体に対して着脱自在に固定される本体部と、
像を拡大する拡大レンズを保持するレンズ保持体を備えており、前記本体部の所定の位置である第1位置と前記本体部の他の所定の位置である第2位置とで固定でき、且つその間で前記レンズ保持体を移動させるように移動可能である可動部材と、
前記レンズ保持体が前記第1位置にあり、前記カメラが前記拡大レンズの倍率に応じた拡大画像としての画像を撮像する場合に、照明を補助できるようになっている光源と、
前記光源に電力を供給するバッテリーと、
を備え、
前記拡大レンズは、前記レンズ保持体が前記第1位置にある場合には、前記カメラの前記カメラレンズの光路上に固定されることにより、前記カメラにより撮像される画像を前記拡大レンズの倍率に応じた画像とするように、前記レンズ保持体が前記第2位置にある場合には、前記カメラレンズの光路上から外れることにより、前記カメラにより撮像される画像をそのままにするようになっている、
カメラ用ケース。
【請求項2】
前記本体部は、前記本体部が前記カメラに固定されたときに前記バッテリーを前記カメラが持つ充電端子と接続する充電用端子を備えており、前記バッテリーを、前記カメラの予備電源としても用いることができるようになっている、
請求項1記載のカメラ用ケース。
【請求項3】
前記レンズ保持体は前記可動部材に対して着脱自在に取付けられるようになっており、
前記光源は、前記レンズ保持体に設けられ、且つ当該レンズ保持体に取付けられた拡大レンズを用いて前記カメラが撮像を行うに相応しい照明光を照射するようになっている、
請求項1記載のカメラ用ケース。
【請求項4】
前記バッテリーは、前記本体部に設けられており、
前記可動部材には、前記バッテリーと接続された可動部材端子が設けられているとともに、前記レンズ保持体には、前記光源と接続された保持体端子が設けられており、
前記レンズ保持体を、前記可動部材に取付けたときに、前記可動部材端子と、前記保持体端子とが導通して、前記バッテリーと前記光源とが接続されることにより、前記バッテリーを前記光源の電源として用いることができるようになっている、
請求項3記載のカメラ用ケース。
【請求項5】
前記可動部材と、前記レンズ保持体の一方には凹部が、他方には前記凹部に挿入可能な凸部が設けられているとともに、
前記凹部と前記凸部のうちの前記可動部材に設けられている方の、前記凹部の内側又は前記凸部の外側には前記可動部材端子が、前記凹部と前記凸部のうちの前記レンズ保持体に設けられている方の、前記凹部の内側又は前記凸部の外側には前記保持体端子が、それぞれ設けられており、
前記凸部を前記凹部に挿入することにより、前記レンズ保持体の前記可動部材に対する取付けと、前記可動部材端子と前記保持体端子の導通とが行われるようになっている、
請求項4記載のカメラ用ケース。
【請求項6】
前記バッテリーは、前記レンズ保持体に設けられており、レンズ保持体とともに前記可動部材に対して着脱自在とされている、
請求項3記載のカメラ用ケース。
【請求項7】
前記レンズ保持体は、それが前記第2位置にある場合には、前記本体部の内部に隠れるようになっている、
請求項1記載のカメラ用ケース。
【請求項8】
前記カメラが、略直方体形状の携帯電話であり、その前面にディスプレイと、当該携帯電話を操作するための操作手段とを、また、その背面に前記レンズを備えているものである場合に、
前記本体部は、当該携帯電話の前記筐体の前面を露出させた状態で前記携帯電話をその内部に収納できる凹部である収納凹部を備えた略直方体形状である、
請求項1〜7のいずれかに記載のカメラ用ケース。
【請求項9】
前記本体部は、
前記バッテリーを収納する、略直方体形状である所定厚さの収納室と、
前記収納室の外面の一つであり、前記携帯電話の前記筐体の前記背面と当接することが予定された当接面の周の3辺に、そのいずれもが、前記収納室の厚さ方向を延長する方向に伸びるものとされ、その高さが前記筐体の厚さと略対応する高さとされた、前記筐体の底面と当接することが予定された底面板、及び前記筐体の側面と当接することが予定された2つの側面板と、を備えるとともに、
前記側面板の先端には、前記当接面の中心方向に曲折された係止部が設けられており、
前記当接面と、前記底面板の前記当接面に面した面と、2つの前記側面板の前記当接面に面した面とで囲まれた空間として形成された前記収納凹部に、2つの前記側面板の間から、前記携帯電話の前記筐体の背面を前記当接面に、前記筐体の両側面を2つの前記側面板の前記当接面に面した面に、前記筐体の前面を前記係止部の底面に、それぞれ当接させながら前記携帯電話をスライドさせ、前記携帯電話の前記筐体の底面を前記底面板の前記当接面に面した面に当接させることで、前記携帯電話の前記本体部に対する着脱自在な固定を行えるようになっている、
請求項8に記載のカメラ用ケース。
【請求項10】
前記充電端子が前記携帯電話の前記筐体の底面に設けられている場合に、
前記充電用端子は、前記底面板の前記当接面に面した面に設けられており、
前記携帯電話の前記筐体の底面を前記底面板の前記当接面に面した面に当接させると、前記充電端子と前記充電用端子とが接続されるようになっている、
請求項9に記載のカメラ用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104986(P2013−104986A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248108(P2011−248108)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】