説明

カメラ用ソフトカバー

【課題】不使用時に外形サイズがフラット(平坦)でコンパクトになるのみならず、カメラに大きな凹凸部があっても、ぴったりフィットし、しかも、カバーを付けたままで撮影を迅速に行うことができるカメラ用のソフトカバーを提供すること。
【解決手段】レンズ21を覆うレンズカバー部11と、該レンズを装着しているボディ22を覆うボディカバー部12とを伸縮性を有する布地などの素材によって両端が開口した筒状体に形成し、この筒状体は、カメラを収容していないときは扁平な筒状をなし、カメラを収容したときにはレンズの前面側をレンズカバー部の開口13から外部へ露出させることができると共に、ボディカバー部12の開口15からボディの後面側を外部へ露出させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用ソフトカバーに係わり、特に、標準レンズやズームレンズなどを交換できる、いわゆる一眼レフ形式のカメラに好適なソフトカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ保護用のソフトケースとしては、一眼レフカメラ用を始め、レンズがボディ内部に収納されるコンパクトカメラ用まで様々な形態をもつソフトケースが提案されている。
【0003】
このうち、伸縮性を有する布地などの素材で構成され、不使用時には単なる袋状であるが、カメラを収容すると、伸張し、下部の開口部を平面ファスナーなどによって閉じ、カメラを密閉するようにしたケースがある。このケースは、カメラを擦り傷などから保護でき、カメラに対するゴミや埃の付着を防止することができ、不使用時に、サイズが小さく、撮影の邪魔にならず便利である(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、このソフトケースは、レンズをボディ内に収容して外観形状が弁当箱スタイルになるコンパクトカメラ(二眼レフカメラ)に対するものであるため、各種のレンズを交換可能にボディに装着した一眼レフ形式カメラ、すなわち、レンズ交換できる一眼レフ形式のカメラのように凹凸が大きいと、カメラにぴったりフィットしない。また、撮影に際しては、平面ファスナーを剥がし、ケースをたくり上げてケース内のカメラを外部に露出させなければならないため、記念撮影などのように被写体が動かない場合にはともかく、街頭などのように常時被写体が動くものを対象とする写真を迅速に撮影する場合などのカメラケースとしては適切ではない。
【特許文献1】実用新案出願公開 昭61−102127号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、不使用時に外形サイズがフラット(平坦)でコンパクトになるのみならず、カメラに大きな凹凸部があっても、ぴったりフィットし、しかも、カバーを付けたままで撮影を迅速に行うことができるカメラ用のソフトカバーを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明ソフトカバーの構成は、レンズを覆うレンズカバー部と、該レンズを装着しているボディを覆うボディカバー部とを伸縮性を有する布地などの素材によって両端が開口した筒状体に形成し、この筒状体はカメラを収容していないときは、扁平な筒状をなし、カメラを収容したときには、レンズの前面側をレンズカバー部の開口から外部へ露出させることができると共に、ボディカバー部の開口からボディの後面側を外部へ露出させることができるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明ソフトカバーに用いる伸縮性素材は、例えばメリヤスのように伸縮可能に織成された素材、或いは、毛糸キャップのように伸縮可能な編成素材を用いることができる。また、伸縮する糸や毛糸を織成又は編成した素材であってもよい。また、本発明では、上記構成において、レンズカバー部を円周方向に伸縮する布地などの素材によって、ボディカバー部を前記円周方向とその方向にクロスする方向に伸縮する布地などの素材によって構成することもできる。
【0008】
さらに、本発明では、上記構成において、レンズカバー部側の開口とボディカバー部側の開口が、レンズカバー部及びボディカバー部よりも大きな伸縮性を付与された構成であってもよい。伸縮性を大きくしたい部位に、レンズカバー部及びボディカバー部よりも伸縮性の大きな別の素材によって、又は、ゴムバンドなどを用いることができる。
【0009】
加えて本発明では、これらの構成において、ボディカバー部とレンズカバー部とが異なる色彩や模様などを有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明カメラ用ソフトカバーは、レンズを覆うレンズカバー部と、該レンズを装着しているボディを覆うボディカバー部とを伸縮性を有する布地などの素材によって両端が開口した筒状体に形成し、この筒状体は、カメラを収容していないときは扁平な筒状をなし、カメラを収容したときにはレンズの前面側をレンズカバー部の開口から外部へ露出させることができると共に、ボディカバー部の開口からボディの後面側を外部へ露出させることができるようにしたことを特徴としているので、不使用時にサイズが小さいばかりか扁平になって収納や持歩くのに便利であり、また、使用時には、伸縮性素材による簡状態であるから、機種の違いによって凹凸の位置や大きさが異なっていても、ぴったりフィットしたカバー状態を実現でき、しかも、撮影時には、レンズ面とファインダー部、シャッター部のカバーをずらすだけで撮影可能になるから、迅速な撮影を行うことできる。
【0011】
また、本発明ソフトカバーは、レンズカバー部を少なくとも円周方向に伸縮する布地によって、ボディカバー部を少なくとも2軸方向に伸縮する布地によって構成すると、カメラに対する装着がより容易になり、また、カメラに装着したときのフィット感を向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明ソフトカバーは、レンズカバー部側の開口及びボディカバー部側の開口を、レンズカバー部及びボディカバー部よりも大きな伸縮性を有する弾性部に形成することにによって、このソフトカバーをカメラによりしっかりフィットさせ、かつ、弾性部によってソフトカバーからカメラが抜け出すのを阻止することができる。
【0013】
そして、本発明ソフトカバーでは、ボディカバー部とレンズカバー部とを異なる色彩や模様などを有するように構成すると、当該カメラの所有者の嗜好や、服装などに合わせたソフトカバーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図にしたがって、本発明ソフトカバーの実施の形態例について説明する。
【0015】
添付図において、図1は未使用状態の本発明ソフトカバーを標準的一眼レフに対比させて示した平面図、図2は図1の2−2線に沿う断面図、図3は図1及び図2に示したソフトカバーに一眼レフカメラを組み込んだ状態を示す平面図、図4は図1及び図2に示すソフトカバーにカメラを組み込んだ状態を示す斜視図、図5はカバーを付けた状態でのカメラの使用状態を示すレンズ側から見た斜視図、図6は図5の使用状態の背面側から見た斜視図である。
【0016】
図に示した本発明ソフトカバーは、銀塩フィルムを使用する、或は、CCD受像面を備えたレンズ交換式の35mm一眼レフカメラ(以降、単にカメラと称する)で、50mmの焦点距離を含む標準ズームレンズを装着したカメラ用のソフトカバーの一例である。
【0017】
図1及び図2は、カメラ20を収容していないときの本発明ソフトカバー、つまり不使用時の本発明ソフトカバーを示しており、両端が開口した扁平な筒状をなしている。このソフトカバー10は、カメラ20のレンズ21を収容するレンズカバー部11と当該カメラ20のカメラボディ22を収容するボディカバー部12からなる。
【0018】
レンズカバー部11は、少なくとも円周方向に伸縮する織り地からなり、両端を開口した中空円筒形状のもので、図1の上方に位置したこのカバー部11の開口がボディカバー部12の前方の開口につながっている。図1の下方に位置したレンズカバー部11の開口13の周囲は、レンズカバー部11及びボディカバー部12よりも大きい伸縮性(強い弾力性)をもつ織り地やゴムバンドなどからなるレンズカバー側の弾性部14として形成されている。
【0019】
ボディカバー部12は、レンズカバー部11と同様の模様、色彩、或いは、異なる模様、色彩をもつ二軸伸縮性織り地からなり、図の例では台錘形状に形成されており、図1の下方に位置したこのカバー部12の開口がレンズカバー部11の開口(図1の上方)につながり、図1の上方に位置した部位がボディカバー側の開口15に形成されている。ボディカバー側の開口15の周囲も、ボディカバー部12やレンズカバー部11よりも大きい伸縮性(強い弾力性)をもつ布地やゴムバンドなどのボディ側の弾性部16に形成されている。
【0020】
上記のレンズカバー部11とボディカバー部12は、伸縮性を有する織成地や編成地、例えば、メリヤスやゴム編みの織物地、或いは、糸自体が伸縮性をもつ織物地や編み物地などにより形成している。両カバー部11、12とも同じ色彩や模様にするか、又は、それぞれ異なる色彩や模様を施したものとするかは、任意である。また、レンズカバー側の弾性部14及びボディ側の弾性部16も、色彩や模様については、レンズカバー部11及びボディカバー部12と同様である。
なお、本発明ソフトカバーでは、レンズカバー部11とボディカバー部12を一本の筒状体で形成し、両端の開口部を弾性部14、同16に形成することもある。また、弾性部14、16を形成しない場合もある。
【0021】
本発明ソフトカバーへのカメラ20の収納は、例えば、ボディカバー側の開口15からレンズ21を前にして当該カメラ20を筒状のカバー内に挿入し、レンズカバー側の開口13からレンズ21の前面21aを外部に露出させ、カメラボディ22をカバー内に押し込むことによってなされる。
【0022】
上記のような態様でカメラ20を本発明ソフトカバー内に収めてから、レンズカバー側の弾性部14をレンズキャップ23の前面に、ボディカバー側の弾性部16をカメラボディ22の背面に密着させて、カメラ20から本発明ソフトカバー10が外れるのを阻止する。図3は本発明ソフトカバー10をカメラ20に装着した状態を示している。なお、図示していないが、カメラボディ22は、当該ボディ背面の中央部分がボディカバー側の開口15から外部に露出しているので、肩掛けなどのストラップがある場合には、当該ストラップもこの開口15から外部に引き出される。
【0023】
携行に際して、レンズ21は、鏡胴全体がレンズカバー部11によって覆われ、唯一外部に露出しているレンズ前面もレンズキャップ23によって覆われ、そして、カメラボディ22は背面中央付近のみが外部に露出し、アイカップ24もボディカバー部12によって覆われる。
【0024】
撮影時には、図5に示すようにレンズキャップ23を外し、レンズカバー側の弾性部14を鏡胴最大径部に当て、必要に応じて、外部に露出されたレンズ前面にレンズフード又はレンズシェードを取り付ける一方、図6に示すように、ボディカバー側の開口15又はボディカバー側の弾性部16をまくり上げ、当該カメラ20におけるシャッターボタン又はレリーズボタン25のある側を外部に露出させてカメラ20を構え、アイカップ24からファインダーをのぞき適当なタイミングでシャッターを押すといった態様でなされる。なお、カメラ20に装着されているレンズ21がズームレンズであっても、レンズカバー部11の伸縮によって、ズームレンズの伸縮に応じることができるので、撮影に支障はない。
【0025】
撮影後は、レンズキャップ23を嵌め、まくり上げた弾性部14,16をもとの位置に戻すことによって前述したフルカバーの携行状態に復することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明ソフトカバーは、以上の通りであって、1本の伸縮性ある筒状体で形成されているから、不使用時にコンパクトな扁平にすることができ、包装コスト、荷扱いコスト、保管コストなどを著しく低減することができる。また、伸縮性をもつ一本の筒状体によって、レンズカバー部とそれに連続したボディカバー部とを形成したから、カメラのサイズに多少の大小差や凹凸差などがあっても、それらのカメラに良くフィットしてカバーすることができる。さらに、カメラ全体がソフトカバーによって覆われるため、携行時や撮影時に擦り傷などがカメラにつかず、軽くぶつけたり、軽度な衝撃を受けても、カメラに伝達されるショックを緩和する作用もある。なお、レンズキャップやアイカップは、本発明ソフトカバーの両端開口に弾性部を形成したものでは、これらによって覆われるので、カメラから外れず、従って、携行中にこれらの小物の紛失を確実に防止することができる。
【0027】
本発明ソフトカバーに収納したカメラは、そのカバーが織成地や編成地で形成されているため、撮影者の服装の一部にまぎれて目立ち難いので、自然なスナップ写真を撮る上で有用である。さらに、レンズカバー部とボディカバー部に異なる模様を織り込んだり、異なる色彩を付与することによって、カメラ所有者、特に女性カメラ愛好家の嗜好や服装などに良くマッチしたソフトカバーを容易に得ることができる。特に、本発明ソフトカバーは、伸縮性の筒状体で形成されるから、メリヤス地の靴下やポロシャツの袖などを利用したり、或は、これらの製造工程を利用することにより、低コストで容易に製造することができる。なお、本発明ソフトカバーは、使用生地や使用する糸に防水加工や撥水加工を施すことにより、カバー全体に撥水性をもたせることができるので、カバーしたカメラに対する簡易防水機能を得ることもできる。
【0028】
本発明ソフトカバーは、レンズキャップを外すと、レンズカバー部の開口周囲にあるレンズカバー側の弾性部がレンズからずれてレンズ前面を外部に露出させ、残りの部分がカメラに良く密着するので、ソフトカバーの写り込みはない。
【0029】
なお、以上説明した実施の形態は、標準レンズを装着したカメラに対するものであるが、本発明ではレンズカバー部の長さを変えて、例えば全長の長い望遠レンズや全長の短い広角レンズに対応できるものを別に用意して、ユーザーに提供するようにしてもよい。
【0030】
また、カメラが、CCDなどの撮像素子を使用したデジタルカメラの場合、本発明ソフトカバーは、ボディカバー側の開口を通じて、又は、ボディカバー側の開口からボディカバー部をまくり上げた撮影体勢にすることによって、カメラボディ背面にある液晶ディスプレイ又は液晶モニターを見ることができる。従って、構図や露光、撮影可能枚数、ホワイトバランス、ドライブモードなどのデータ確認に何ら支障はない。
【0031】
本発明ソフトカバーは、上述したカメラのみだけではなく、大きな凹凸をもつカメラ、例えばレンズがボディから突出した形態をもつレンジファインダー形式のカメラでも、カバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明カメラ用ソフトカバーの実施形態の一例を示す平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】図1及び図2に示すソフトカバーにカメラを組み込んだ状態を示す平面図。
【図4】図1及び図2に示すソフトカバーにカメラを収納した状態を示す斜視図。
【図5】図1及び図2に示すソフトカバーの使用状態を示すレンズ側から見た斜視図。
【図6】図1及び図2に示すソフトカバーの使用状態を示す背面側から見た斜視図。
【符号の説明】
【0033】
10 ソフトカバー
11 レンズカバー部
12 ボディカバー部
13 レンズカバー側の開口
14 レンズカバー側の弾性部
15 ボディカバー側の開口
16 ボディカバー側の弾性部
20 カメラ
21 レンズ
21a レンズ前面
22 ボディ
23 レンズキャップ
24 アイカップ
25 レリーズボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを覆うレンズカバー部と、該レンズを装着しているボディを覆うボディカバー部とを伸縮性を有する布地などの素材によって両端が開口した筒状体に形成し、この筒状体は、カメラを収容していないときは扁平な筒状をなし、カメラを収容したときにはレンズの前面側をレンズカバー部の開口から外部へ露出させることができると共に、ボディカバー部の開口からボディの後面側を外部へ露出させることができるようにしたことを特徴とするカメラ用ソフトカバー。
【請求項2】
伸縮性を有する布地などの素材は、伸縮可能に織成又は編成した素材である請求項1のカメラ用ソフトカバー。
【請求項3】
レンズカバー部が円周方向に伸縮する布地からなり、ボディカバー部が2軸方向に伸縮する布地等の素材からなる請求項1又は2のカメラ用ソフトカバー。
【請求項4】
レンズカバー側の開口及びボディカバー側の開口に、レンズカバー部及びボディカバー部よりも伸縮性の大きな弾性部を備え、カメラを収容したとき、弾性部によってカメラが抜け出すのを阻止するようにした請求項1〜3のいずれかのカメラ用ソフトカバー。
【請求項5】
弾性部をレンズカバー部、及び/又は、ボディカバー部よりも伸縮性の大きな別素材によって形成した請求項4のカメラ用ソフトカバー。
【請求項6】
弾性部がゴムバンドを備えた請求項4又は5のカメラ用ソフトカバー。
【請求項7】
ボディカバー部がレンズカバー部と異なる色彩や模様を有する請求項1〜6のいずれかのカメラ用ソフトカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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