説明

カメラ用付属品の取付機構

【課題】着脱時の操作性を損なうことなく、カメラ本体あるいは付属品の脱落を防止可能なカメラ用付属品の取付機構を提案すること。
【解決手段】アングルファインダ1の側の取付部2に形成した左右一対の差込レール8、9を、カメラ本体30の側の取付部34に形成した左右一対の差込溝39、40に上側から差し込むことにより、アングルファインダ1をカメラ本体30に取り付け可能である。取り付け状態では、アングルファインダ1の側のロック板14の係合爪16a、16bが、下側からカメラ本体側の水平な係合面42、43に係合しており、アングルファインダ1が抜け出ることがない。取り外す際には、ロック板14を後側に回転すると係合が外れ、クリックばね18によってその状態に保持されるので、上方にアングルファインダ1を引き抜くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アングルファインダ、マグニファイヤなどのカメラ用付属品をカメラ本体に形成されている取付部に着脱可能な状態で取り付けるための取付機構に関するものである。さらに詳しくは、カメラ本体あるいは付属品に形成した差込溝の一端から他方の側に形成した差込部材を差し込むことにより付属品がカメラ本体に取り付けられるスライド係合方式の取付機構の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ用付属品をカメラ本体に取り付けるための取付機構としては、ねじ係合方式によるものと、スライド係合方式によるものが知られている。ねじ係合方式の取付機構では、カメラ本体および付属品の一方の側に雌ねじ部を形成しておき、ここに、他方の側に形成されている雄ねじ部をねじ込み固定することにより、付属品がカメラ本体に取り付けられる。ねじ込み式の機構では、付属品着脱の際に、付属品自身を回転させる必要があり、着脱操作を迅速に行うことができない。
【0003】
これに対して、スライド係合方式の機構では、付属品を差込溝に沿って所定量だけスライドさせるという簡単な操作により取り付けることができるので、操作性に優れている。このようなスライド係合方式の機構は例えば特許文献1に開示されている。この文献に開示の機構では、ファインダ(付属品)およびカメラ本体の間の係合部分をばねによって押し付けることにより、取り付け状態でのがたつきを無くすと共に、ばねの押し付け抵抗によって取り付けたファンダを抜けにくくしている。
【特許文献1】実開昭57−025324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスライド係合方式の取付機構では、取り付けられている付属品の抜けが、ばねによる押し付け抵抗によって防止されているのみである。したがって、この抵抗力より大きな力が作用すると外れてしまう。このため、付属品をカメラ本体に取り付けた状態において、誤って、付属品自身を持ち上げてしまうと、カメラ本体が外れる危険性がある。最も危険な場合は、付属品をカメラ本体に取り付けたまま、付属品のみを持ち上げたときに、一旦はカメラ本体も一緒に持ち上がり、宙に浮いた状態においてカメラ本体が脱落して床面などに衝突することである。かかる事態が発生すると、カメラ本体が損傷してしまう。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、着脱時の操作性を損なうことなく、カメラ本体あるいは付属品の脱落を防止可能なカメラ用付属品の取付機構を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、カメラ本体に付属品を着脱可能な状態で取り付けるために、これらカメラ本体および付属品の一方の側の差込溝に他方の側の差込部を差し込むように構成されているスライド係合方式のカメラ付属品の取付機構であって、
前記差込溝から前記差込部が抜け出ることを防止するための抜け防止部を有し、
当該抜け防止部は、係合面と、前記差込部の差込方向とは反対側から当該係合面に係合する係合位置および当該係合面から外れる退避位置に移動可能な係合部材と、この係合部材を前記係合位置に保持している弾性部材とを備えており、
前記カメラ本体および前記付属品の一方の側に前記係合面が配置され、他方の側に前記係合部材が配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明のスライド係合方式の取付機構は、取り付けられている付属品が抜け出ることを防止するための抜け防止部を備えている。付属品が抜け出る方向(差込方向とは反対方向)に移動しようとすると、カメラ本体および付属品の一方の側に配置されている係合部材と、他方の側に配置されている係合面との係合によって、そのような移動が阻止される。よって、カメラ本体に取り付けられている付属品のみを持ち上げた場合においても、カメラ本体が脱落することがない。また、係合部材は弾性部材によって係合位置に保持されているので、弾性力に逆らって係合部材を移動させることにより、付属品の着脱操作も簡単に行うことができる。よって、着脱時の操作性も良好に維持できる。
【0008】
ここで、着脱時の操作性を良好に維持するためには、前記弾性部材を、前記係合部材を前記係合位置および前記退避位置のそれぞれに保持可能な板ばねとし、当該板ばねの弾性変形により前記係合部材を移動できるようにすればよい。
【0009】
例えば、前記付属品に、前記係合部材と、前記板ばねと、当該板ばねが係合可能な板ばね係合部とを配置し、前記係合部材を、一方の端部を中心として前方側の係合位置および後方側の退避位置の間を回転可能な状態で支持されていると共に、他方の端部に前方に突出している係合爪を備えた構成とし、前記板ばねを、前記係合部材に取り付けられていると共に、前方に突出している波状の先端部分を備えた構成とし、前記板ばね係合部を、前記板ばねの波状の先端部分が面外方向に弾性変形することにより乗り越えることのできる係合縁とすることができる。
【0010】
この場合には、前記係合位置にある前記係合部材を後方の前記退避位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して再び当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記退避位置に保持される。また、前記退避位置にある前記係合部材をカメラ前方の係合位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して再び当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記係合位置に保持される。
【0011】
したがって、付属品の着脱時に、係合部材を指などによって退避位置に保持しておく必要がない。よって、付属品着脱時の操作性を良好な状態に維持できる。
【0012】
ここで、前記係合部材に、当該係合部材を前記退避位置に向けて回転させるための手動操作部を形成しておくことができる。
【0013】
また、付属品差込方向としては、カメラ上下方向における上方から下方に向かう方向とすることができる。付属品を上側から差し込むようにすれば、差込溝に対する差込部の位置決めなどが容易になるなどの利点がある。
【0014】
この場合、前記付属品を、付属品本体部分と、この付属品本体部分を支持している支持板とを有した構成とし、前記支持板に、前記係合部材、前記板ばね、および前記板ばね係合部を配置し、前記付属品を前記カメラ本体に取り付けた状態において、前記支持板によって、そのカメラ幅方向の一方の端部においてカメラ上下方向に延びる回転中心線を中心として、前記付属品本体部分を旋回可能な状態で支持する構成を採用できる。
【0015】
付属品本体部分を左右に開く構成は次のような場合に有効である。例えば、カメラ本体の上面にストロボユニットなどの別の付属品取付部が形成されている場合には、カメラ本体の背面に形成されている付属品取付部に取り付けた付属品を上方に開くと、上面に取り付けられている付属品と干渉するおそれがある。左右に開くようにすれば、このような危険性を回避できる。
【0016】
また、前記支持板は、前記付属品本体部分を、前記カメラ本体に対峙している対峙位置から所定の角度だけ旋回した退避位置に止まるように保持するための旋回拘束部を備えていることが望ましい。マグニファイヤなどの付属品を用いる場合には、マグニファイヤを外した状態でファインダを覗き、しかる後にマグニファイヤを通してファインダを覗く操作を行う場合がある。このような場合に、付属品が旋回自在な不安定状態にあると、カメラ本体に当たるなどの弊害が発生するので、所定の旋回位置に拘束しておくことが望ましい。
【0017】
次に、本発明は、カメラ本体に形成されている付属品取付部に対してスライド係合方式により取り付け可能なカメラ用付属品であって、
前記付属品取付部からの抜けを防止するための抜け防止部を有し、
この抜け防止部は係合部材および弾性部材を備えており、
前記係合部材は、付属品差込方向とは反対側から前記付属品取付部に形成されている係合面に係合可能な係合位置および、当該係合面から外れる退避位置に移動可能であり、
前記弾性部材は、前記係合部材を前記係合位置に保持していることを特徴としている。
【0018】
また、本発明においては、前記弾性部材は、前記係合部材を前記係合位置および前記退避位置のそれぞれに保持可能な板ばねであり、当該板ばねの弾性変形により前記係合部材の移動が可能であることを特徴としている。
【0019】
さらに、前記板ばねが係合可能な板ばね係合部を有しており、前記カメラ本体に取り付けられた状態において、前記係合部材は、一方の端部がカメラ前方側の係合位置およびカメラ後側の退避位置の間を前後方向に回転可能な状態で支持されていると共に、他方の端部にカメラ前方に突出している係合爪を備えており、前記板ばねは、前記係合部材に取り付けられていると共に、カメラ前方に突出している波状の先端部分を備えており、前記板ばね係合部は、前記板ばねの波状の先端部分が面外方向に弾性変形することにより乗り越えることのできる係合端部を備えており、前記係合位置にある前記係合部材を前記退避位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合端部を乗り越えた後に弾性復帰して、前記係合部材が前記退避位置に保持され、前記退避位置にある前記係合部材を前記係合位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合端面を乗り越えた後に弾性復帰して、前記係合部材が前記係合位置に保持されることを特徴している。
【0020】
さらには、前記係合部材には、当該係合部材を前記退避位置に向けて回転させるための手動操作部が形成されていることを特徴としている。
【0021】
また、前記付属品差し込み方向は、カメラ上下方向における上方から下方に向かう方向とされていることを特徴としている。
【0022】
さらに、付属品本体部分と、この付属品本体部分を支持している支持板とを有しており、前記支持板は、前記係合部材、前記板ばね、および前記板ばね係合部を備えており、前記付属品を前記カメラ本体に取り付けた状態において、前記支持板は、そのカメラ幅方向の一方の端部においてカメラ上下方向に延びる回転中心線を中心として、前記付属品本体部分を旋回可能な状態で支持していることを特徴としている。
【0023】
さらにまた、前記支持板は、前記付属品本体部分を、前記カメラ本体に対峙している対峙位置から所定の角度だけ旋回した退避位置に止まるように保持するための旋回拘束部を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、カメラ付属品をカメラ本体に対してスライド係合方式により取り付けるための取付機構に、取り付けられている付属品が抜け出ることを防止するための抜け防止部を配置してある。したがって、カメラ本体に取り付けられた付属品のみを誤って持ち上げた場合であっても、カメラ本体が脱落して床面などに衝突して破損するという弊害を確実に防止できる。また、抜け防止部の係合部材はその係合位置、好ましくは、その係合位置および退避位置に、弾性部材によって保持可能となっている。したがって、付属品の着脱操作時に係合部材を指などによってその退避位置に止めておく操作が不要である。よって、着脱時の操作性も良好に保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したカメラ用付属品の取付機構を説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明を適用した取付機構によってカメラ本体に取付可能なアングルファインダを示す側面図であり、図2はアングルファインダ側の取付部を示す正面図、断面図および背面図であり、図3はアングルファインダを取付可能なカメラ本体側の取付部を斜め後側から示す斜視図である。
【0027】
まず、図1および図2を参照して、アングルファインダ側の取付部の構成を説明する。アングルファインダ1の側の取付部2は、L形の本体部分3の前端部に配置されている。本体部分3は一般的に用いられているアングルファインダと同様な構造であるので、その説明は省略する。
【0028】
取付部2はプラスチック射出成形品からなる取付板4を備えており、この取付板4は全体として門形形状をしており、下方に開いたほぼ矩形の開口部5が形成されている。この開口部5の左右の内側端面6、7における取付板前面4a側の縁には、上下方向に延びる差込レール8、9(差込部)が一体形成されている。これらの差込レール8、9は一定の幅および厚さで上下方向に延びており、それらの下端部は先細りのテーパ状とされている。これらの差込レール8、9が後述のカメラ本体側の取付部に形成されている差込溝に上側から差し込み可能となっている。
【0029】
取付板4の背面4bには開口部5を覆い隠す大きさのほぼ矩形の金属製の支持板11が積層され、固定用の4本のビス10によって固定されている。この支持板11には円形開口12が形成されており、この円形開口12と同軸状態で、当該支持板11の背面にL形の本体部分3の前端3aが固定されている。
【0030】
また、取付板4の背面4bにおける上端部分には支軸13が水平に配置されており、この支軸13の両端部分は、当該背面4bに形成した左右の軸受溝4c、4dに装着固定されている。支軸13によって金属製のロック板14(係合部材)が支持されている。すなわち、ロック板14は全体として矩形形状をしており、その上端部分に形成した軸受孔15に支軸13が回転自在の状態で貫通しており、ロック板14は当該支軸13を中心として前後方向に回転可能である。ロック板14の下端両側部分には、前方に向けて直角に折り曲げられた左右一対の係合爪16a、16bが形成されている。これらの係合爪16a、16bは、支持板11に形成されている左右の矩形の開口部17a、17bを通って前方に突出している。
【0031】
ここで、ロック板14の前面14aにおいて、左右の係合爪16a、16bの間の部位には、水平にクリックばね18が固定されている。クリックばね18は前方に突出している波形の先端部分18aを備えている。このクリックばね18の先端部分18aは、支持板11の左右の開口部17a、17bの間において一段高い位置に形成されている開口部17cを通って前方に突出している。この開口部17cの下縁17d(係合縁)は、クリックばね18の先端部分18aよりも僅かに高い位置にあり、この下縁17dを乗り越えた状態で先端部分18aが前方に突出しており、当該先端部分18aがその弾性復帰力によって下縁17aに押し付けられた状態となっている。したがって、クリックばね18によって、ロック板14は図1、2に示す位置(係合位置14A)に保持されている。
【0032】
本例のロック板14においては、軸受孔15よりも上方に突出している突出板部分20(手動操作部)が形成されている。この突出板部分20を指などによって前方に所定の力で押すと、クリックばね18の先端部分18aが上方に弾性変位しながら支持板11の開口部下縁17dを乗り越えて後方側に移動し、当該下縁17dから外れる。クリックばね18の先端部分18aは下縁17dを乗り越えると、弾性復帰して、下縁17dよりも僅かに下側の位置に戻る。この結果、クリックばね18の先端部分18aが下縁17dの背面側の部分に当接した状態になり、ロック板14が後側に回転した位置(退避位置14B)に保持される。
【0033】
次に、図3を参照して、カメラ本体側の取付部を説明する。カメラ本体30は、その筐体31の上端部分にファインダ32が組み込まれており、ファインダ32が組み込まれている筐体部分の後端面33に、アングルファインダ1を取り付け可能な取付部34が配置されている。この取付部34の中心にはファインダ接眼窓35が形成されている。
【0034】
取付部34は、ファインダ接眼窓35を取り囲む状態に取り付けられている一定厚さの取付板36を備えている。この取付板36の左右の側端面37、38は、その表面側の縁が一定幅で左右に突出しており、これによって、上下方向に延びる差込溝39、40が形成されている。これらの差込溝39、40の上端は開口しており、下端は封鎖されている。
【0035】
これら左右一対の差込溝39、40の溝幅(前後方向の間隔)は、アングルファインダ1の側の取付部2の差込レール8、9を上方から差し込み可能な寸法に設定されている。
【0036】
ここで、取付板36における接眼窓35の上方の部位には、その背面側から所定深さの横長の凹部41が形成されている。この凹部41の左右の上端面部分は下向きの水平な係合面42、43となっている。これらの係合面42、43には、アングルファインダ1の側のロック板14の左右の係合爪16a、16bが下側から係合可能である。
【0037】
なお、カメラ本体30の側の取付部34の側方位置には、位置決め突起44が突出している。この位置決め突起44のスライド溝21が、アングルファインダ1の側の取付部2における取付板4の前面4bに形成されている(図2(a)参照)。また、本例のカメラ本体30におけるファインダ32が組み込まれている筐体部分の上端面にはストロボユニット(図示せず)を取り付けるための付属品取付部45が配置されている。この付属品取付部45は前後方向に水平に延びる差込溝46を備えており、後側からストロボユニット(図示せず)を差込固定可能となっている。
【0038】
次に、図4および図5も参照して、アングルファイダ1をカメラ本体30に対して着脱する操作を説明する。
【0039】
まず、アングルファインダ1をカメラ本体30に取り付ける場合には、図1、図4の矢印A1で示すように、アングルファインダ1の側の取付部2におけるロック板14の手動操作部20を前方に押して、当該ロック板14をその係合位置14Aから退避位置14Bに後退させる。前述のように、ロック板14を後側に回転させると、そこに取り付けられているクリックばねの先端部分18aが支持板開口部17cの下縁17dを乗り越えて後ろ側に移動し、当該下縁17dの背面側の部位に当たった状態になる。この結果、ロック板14がその退避位置14Bに保持される。ロック板14が退避位置14Bに退避すると、その左右の係合爪16a、16bも後退する。
【0040】
次に、図4の矢印A2で示すように、カメラ本体30の上方から、その取付部34の左右の差込溝39、40に対して、アングルファインダ1側の差込レール8、9を位置決めし、これらの差込レール8、9を差込溝39、40に対してその下端に突き当たるまで差し込む。
【0041】
アングルファインダ1の差込レール8、9を完全に差込溝39、40に差し込んだ後は、図5において矢印A3で示すように、ロック板14の背面部分を指などによって、前方に押し込む。この結果、ロック板14のクリックばね18の先端部分18aが弾性変形して支持板開口部17cの下縁17dを乗り越えて、その前側に移動し、しかる後に弾性復帰する。この結果、ロック板14が係合位置14Aに保持され、その下端部の左右の係合爪16a、16bが下側から、カメラ本体30の側の取付部34における左右の係合面42、43に係合した状態が形成される。
【0042】
このようにして、スライド係合方式によりアングルファインダ1がカメラ本体30に取り付けられる。また、ロック板14および係合面42、43からなる抜け防止部によって、アングルファインダ1がカメラ本体30の側から抜け出ることが防止される。したがって、誤って、アングルファインダ1のみを持ち上げたとしても、カメラ本体30がアングルファインダ1から脱落して床面などに衝突して破損することがない。
【0043】
次に、アングルファインダ1の取り外しは次のように行われる。まず、ロック板14を後方に回転させて、その係合爪16a、16bをカメラ本体側の取付部34における係合面42、43から外す。ロック板14を後方に回転させると、そこに取り付けられているクリックばね18の先端部分18aが支持板開口部17cの下縁17dを乗り越えて、その後側の部位に当たり、ロック板14が退避位置14Bに保持される。この後は、アングルファインダ1を上方に引上げると、その差込レール8、9がカメラ本体側の差込溝39、40から上方に引き抜かれ、アングルファインダ1がカメラ本体30から取り外される。
【0044】
このように、ロック板14はクリックばね18によって、その係合位置14Aおよび退避位置14Bに保持されるようになっているので、着脱操作時に、ロック板14を指などで押えて着脱操作の邪魔にならないようにする必要がない。よって、従来のスライド係合方式の取付機構の場合と同様に着脱時の操作が簡単である。
【0045】
(実施の形態2)
図6は、本発明を適用したスライド係合方式の取付機構によってカメラ本体に取り付け可能なマグニファイヤの一例を示す正面図および断面図である。図7は、その正面側および背面側から見た場合の斜視図であり、図8は、それを開いた状態における正面側および背面側から見た場合の斜視図である。本例のマグニファイヤ50は、上記の例におけるアンルグファインダ1の取付部2と同一構造の取付部を備えており、上記の例におけるカメラ本体30の取付部34に取り付け可能となっている。したがって、上記の例の各部分に対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0046】
本例のマグニファイヤ50は本体部分51と取付部2を有しており、本体部分51は取付部2に対して、開閉可能な状態で取り付けられている。すなわち、取付部2の支持板11における一方の側部は上下一対の軸穴部61、62が同軸状態に形成されている。これらの軸穴部61、62にはフレーム軸63が貫通した状態で固定されている。また、これら軸穴部61、62の間には、L形に折り曲げられた折り曲げ部63が形成されており、このL形の折り曲げ部63にフレーム軸64が内接している。
【0047】
一方、マグニファイヤ50の本体部分51は、接眼フレーム70に取り付けられている。接眼フレーム70は、マグニファイヤ50の本体部分51が取り付けられている取付部分71と、この取付部分71の一方の側端から段状に折り曲げられた後に、上下に三又に分離して側方に延びている側板部分72、73、74とを備えている。上下の側板部分72、74の側端には、フレーム軸64の上下の端部が回転可能な状態で貫通している上下一対の軸穴部75、76が形成されている。したがって、接眼フレーム70は、フレーム軸64を中心として回転可能となっている。
【0048】
また、中央の側板部分73は側方に延びる平板状の部分である。この側板部分73は、取付部2の側の支持板11の側部中央に形成されている折り曲げ部63における先端面63a、これに直交する当接面63b、および当該当接面63bに直交する当接面63cにそれぞれ当接可能となっている。
【0049】
すなわち、図7に示すように、接眼フレーム70を閉じた状態(取付部2に重ねた状態)においては、側板部分73が、折り曲げ部63の先端面63aに当接した状態になる。また、図8に示すように、接眼フレーム70を90度開いた退避状態においては、側板部分73が折り曲げ部63の当接面63bに面接触状態になり、当該側板部分73のばね力によって、90度開いた位置に所定の拘束力で保持される。同様に、接眼フレーム70を180度開いた状態においては、側板部分73が当接面63cに面接触状態となり、当該側板部分73のばね力によってその位置に保持される。このように、側板部分73および折り曲げ部63によって、接眼フレーム70の回転拘束部が構成されている。
【0050】
なお、マグニファイヤ50の本体部分51は、図6に示すように、固定側鏡筒52と、この固定側鏡筒52に対して光軸50aの方向に移動可能な状態で取り付けられている可動側鏡筒53と、可動側鏡筒53の先端に取り付けられたゴム製のカップ状のフード54とを備えている。固定側鏡筒52の端には、接眼フレーム70の取付部分71を挟み、接眼カラー55が止めねじ56によって固定されている。固定側鏡筒52の内部には固定側のレンズ群57が保持されており、可動側鏡筒53の内部には可動側のレンズ群58が保持されている。可動側鏡筒53を回すと、固定側鏡筒52との間に構成されているカム機構によって当該可動側鏡筒53が光軸50aの方向に移動する。可動側鏡筒53は固定用摘み59をねじ込むことにより固定されるようになっている。
【0051】
本例のマグニファイヤ50も、先に述べたアングルファインダ1の場合と同様に、図3に示すカメラ本体30の取付部34に対して上側から差込固定することができ、上方に引上げることにより取り外すことができる。取り付けた状態においては、ロック板14と係合面42、43との係合によって抜けが防止される。
【0052】
また、取り付けた状態においては、フレーム軸64を中心としてマグニファイヤ50を側方に開閉できる。マグニファイヤ50を使用する場合には図7に示すように閉じた状態とされ、使用しない場合には、図8に示すように開いて、直接、カメラ本体30の接眼窓35を覗くことができるようにする。この場合、前述したように、マグニファイヤ本体部分51が取り付けられている接眼フレーム70の側板部分73が、カメラ本体側に取り付けられている取付部2の折り曲げ部63の当接面63bに面接触状態になり、当該側板部分73のばね力によって、90度開いた位置に保持される。よって、マグニファイヤ本体部分51が左右に振れて、カメラ本体30の筐体などに当たってしまうことを防止できる。
【0053】
また、本例のカメラ本体30では、図3に示すように、その上端にストロボユニットを取り付けるための付属品取付部45が配置されている。マグニファイヤ50を従来のように上下に開閉できるようにしておくと、ストロボユニットが取り付けられている場合には、上方に開いたマグニファイヤ50がストロボユニットに干渉するおそれがある。本例では、カメラ本体30に取り付けた状態において、フレーム軸64を中心として左右にマグニファイヤ50を開閉できるようにしてあるので、このような干渉のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した取付機構によってカメラ本体に取付可能なアングルファインダを示す側面図である。
【図2】図1のアングルファインダの側の取付部を示す正面図、断面図および背面図である。
【図3】図1のアングルファインダを取付可能なカメラ本体側の取付部を斜め後側から示す斜視図である。
【図4】図1のアングルファインダを図3のカメラ本体に取り付ける操作を示す説明図である。
【図5】図1のアングルファインダが図3のカメラ本体に取り付けられた状態を示す説明図である。
【図6】本発明を適用したスライド係合方式の取付機構によってカメラ本体に取り付け可能なマグニファイヤの一例を示す正面図および断面図である。
【図7】図6のマグニファイヤの正面側および背面側から見た場合の斜視図である。
【図8】図6のマグニファイヤを開いた状態における正面側および背面側から見た場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 アングルファインダ、2 取付部、3 本体部分、4 取付板、8,9 差込レール、11 支持板、13 支軸、14 ロック板、14A 係合位置、14B 退避位置、16a,16b 係合爪、17d 下縁、18 クリックばね、18a 先端部分、20 突出板部分、30 カメラ本体、34 カメラ本体側の取付部、39,40 差込溝、42,43 係合面、45 付属品取付部、50 マグニファイヤ、51 本体部分、61,62 軸穴部、63 折り曲げ部、63a 先端面、63b,63c 当接面、64 フレーム軸、70 接眼フレーム、73 側板部分、75,76 軸穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に付属品を着脱可能な状態で取り付けるために、これらカメラ本体および付属品の一方の側の差込溝に他方の側の差込部を差し込むように構成されているスライド係合方式のカメラ付属品の取付機構であって、
前記差込溝から前記差込部が抜け出ることを防止するための抜け防止部を有し、
当該抜け防止部は、係合面と、前記差込部の差込方向とは反対側から当該係合面に係合する係合位置および当該係合面から外れる退避位置に移動可能な係合部材と、この係合部材を前記係合位置に保持している弾性部材とを備えており、
前記カメラ本体および前記付属品の一方の側に前記係合面が配置され、他方の側に前記係合部材が配置されていることを特徴とするカメラ用付属品の取付機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記弾性部材は、前記係合部材を前記係合位置および前記退避位置のそれぞれに保持可能な板ばねであり、
当該板ばねの弾性変形により前記係合部材の移動が可能であることを特徴とするカメラ用付属品の取付機構。
【請求項3】
請求項2において、
前記付属品は、前記係合部材と、前記板ばねと、当該板ばねが係合可能な板ばね係合部とを有しており、
前記係合部材は、一方の端部を中心として前方側の係合位置および後方側の退避位置の間を回転可能な状態で支持されていると共に、他方の端部に前方に突出している係合爪を備えており、
前記板ばねは、前記係合部材に取り付けられていると共に、前方に突出している波状の先端部分を備えており、
前記板ばね係合部は、前記板ばねの先端部分が面外方向に弾性変形することにより乗り越えることのできる係合縁であり、
前記係合位置にある前記係合部材を後方の前記退避位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して再び当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記退避位置に保持され、
前記退避位置にある前記係合部材を前方の係合位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して再び当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記係合位置に保持されることを特徴とするカメラ用付属品の取り付け機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記係合部材には、当該係合部材を前記退避位置に向けて回転させるための手動操作部が形成されていることを特徴とするカメラ用付属品の取り付け機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記差込部の差込方向は、カメラ上下方向における上方から下方に向かう方向とされていることを特徴とするカメラ用付属品の取り付け機構。
【請求項6】
請求項5において、
前記付属品は前記カメラ本体の背面に取り付けられるようになっていることを特徴とするカメラ用付属品の取付機構。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記付属品は、付属品本体部分と、この付属品本体部分を支持している支持板とを有しており、
前記支持板は、前記係合部材、前記板ばね、および前記板ばね係合部を備えており、
前記付属品を前記カメラ本体に取り付けた状態において、前記支持板は、そのカメラ幅方向の一方の端部においてカメラ上下方向に延びる回転中心線を中心として、前記付属品本体部分を旋回可能な状態で支持していることを特徴とするカメラ用付属品の取り付け機構。
【請求項8】
請求項7において、
前記支持板は、前記付属品本体部分を、前記カメラ本体に対峙している対峙位置から所定の角度だけ旋回した退避位置に止めるための旋回拘束部を備えていることを特徴とするカメラ用付属品の取り付け機構。
【請求項9】
カメラ本体に形成されている付属品取付部に対してスライド係合方式により取り付け可能なカメラ用付属品であって、
前記付属品取付部からの抜けを防止するための抜け防止部を有し、
この抜け防止部は係合部材および弾性部材を備えており、
前記係合部材は、付属品差込方向とは反対側から前記付属品取付部に形成されている係合面に係合可能な係合位置および、当該係合面から外れる退避位置に移動可能であり、
前記弾性部材は、前記係合部材を前記係合位置に保持していることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項10】
請求項9において、
前記弾性部材は、前記係合部材を前記係合位置および前記退避位置のそれぞれに保持可能な板ばねであり、
当該板ばねの弾性変形により前記係合部材の移動が可能であることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項11】
請求項10において、
前記板ばねが係合可能な板ばね係合部を有しており、
前記係合部材は、一方の端部を中心として前側の係合位置および後側の退避位置に回転可能な状態で支持されていると共に、他方の端部に前方に突出している係合爪を備えており、
前記板ばねは、前記係合部材に取り付けられていると共に、前方に突出している波状の先端部分を備えており、
前記板ばね係合部は、前記板ばねの波状の先端部分が面外方向に弾性変形することにより乗り越えることのできる係合縁であり、
前記係合位置にある前記係合部材を前記退避位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して再び当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記退避位置に保持され、
前記退避位置にある前記係合部材を前記係合位置に向けて押すと、前記板ばねの先端部分が弾性変形して前記係合縁を乗り越えた後に弾性復帰して当該係合縁に係合して、前記係合部材が前記係合位置に保持されることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項12】
請求項11において、
前記係合部材には、当該係合部材を前記退避位置に向けて回転させるための手動操作部が形成されていることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項13】
請求項12において、
前記付属品差込方向は、カメラ上下方向における上方から下方に向かう方向とされていることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項14】
請求項13において、
付属品本体部分と、この付属品本体部分を支持している支持板とを有しており、
前記支持板は、前記係合部材、前記板ばね、および前記板ばね係合部を備えており、
前記付属品を前記カメラ本体に取り付けた状態において、前記支持板は、そのカメラ幅方向の一方の端部においてカメラ上下方向に延びる回転中心線を中心として、前記付属品本体部分を旋回可能な状態で支持していることを特徴とするカメラ用付属品。
【請求項15】
請求項14において、
前記支持板は、前記付属品本体部分を、前記カメラ本体に対峙している対峙位置から所定の角度だけ旋回した退避位置に止まるように保持するための旋回拘束部を備えていることを特徴とするカメラ用付属品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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