説明

カメラ

【課題】 液晶表示パネル表面に帯電した電荷を、カメラ本体のグランドレベルに確実に接続しつつ、液晶表示部に部分的に応力が集中してしまい静圧による液晶ガラスの破損や表示不良を起さないカメラの液晶表示部を提供すること。
【解決手段】 液晶表示部の偏光板を導電性部材で画面表示範囲より外周まで形成し、該偏光板に対し、カメラ本体とグランド接続された該画像表示範囲外を覆う金属板をカメラの外観部品の裏側に配置された弾性部材で圧接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラと、カメラの液晶表示パネルとカメラ本体の金属部とを電気的に接続して電気的シールドを確実に取る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の液晶表示モジュールは、ダイナミックレンジ拡大のために、無通電時に表示が黒い状態のものが使用されることが多くなってきた。このような所謂ノーマリブラック液晶表示パネルでは、パネル表面に電荷(静電気)が帯電した場合、液晶分子が動いてしまい、全白の斑が出てしまうなどの表示不良が発生するものがあった。帯電した電荷を、カメラ本体のグランドレベルに逃がすルートを確保しないと、表示不良が長時間戻らないというものがあった。帯電した電荷を逃がすルートとしては、カメラの中央処理装置であるCPUの搭載された基板のグランドパターンを突出せしめ、ビス等で圧接固定された金属製のシャーシに対して、液晶液晶の表示部とビス等で接触させることが望ましい。然しながら、液晶表示部と金属製のシャーシとをビスで固着させるためには、偏光板に穴を開けることになり、ビス締めの際、割れてしまうという課題があり現実的ではない。
【0003】
従来、この種の電荷を逃がす技術としては、特許文献1記載の技術のように金属フレームの一部から舌片を突出せしめ、液晶表示部の外周部または基板部と当接させ、カメラ本体のグランドレベルと電気的に接触させる技術が開示されている。
【0004】
また、前記舌片の代わりに導電性を有するテープを、液晶表示部と金属フレームとの間に挟みこんで、カメラ本体のグランドレベルと電気的に接触させる技術が開示されている。
【0005】
更に、金属フレームとは別体の金属板バネを、該金属フレームと液晶表示部との間に挟み込んで電気的導通を取るものが知られている。
【特許文献1】特開2003-185995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来例では、特許文献1記載の技術の場合、カメラの外観から強い圧力をかけられたとき、例えば、カメラを鞄にしまった状態で満員電車に乗ったときや、尻のポケットにカメラをしまったまま椅子に腰掛けてしまったときに、表示窓やカバーの部品の変形により金属フレームがたわみ、グランド接続のため常に液晶ガラス面に接触している前記舌片部付近が最も大きく変形し、前記舌片部の液晶ガラスに対する点当たりや線当たりによりガラス面に応力が集中してしまい、液晶表示部のガラスを破損しやすいことがあった。
【0007】
また、前記舌片の代わりに導電性を有するテープを、液晶表示部周囲の偏光板と金属フレームとの間に挟みこんで、カメラ本体のグランドレベルと電気的に接触させる技術では、テープを狭い面積の所に貼ろうとすると、団子状に貼られてしまったりめくれたりするため、確実な電気的導通をとることができなくなることがある。また、テープの接着剤自体も熱や紫外線の影響により粘着力が落ちる可能性があり信頼性に欠ける。更に、カメラ完成状態で液晶表示部周囲を斜めから覗き込むと、前記テープの端面が見えてしまい、デザイン上の見栄えが良くなくなることがあった。また、微小なテープを挟み込むことにより液晶表示面に局地的なたわみを発生させるため、表示部に色にじみや変色を発生させてしまう恐れがある。
【0008】
更に、別体の金属板バネを挟み込む方式では、部品点数が増え、組み立てが煩雑になりコストが増えることがあった。
【0009】
本発明は、液晶表示パネル表面に帯電した電荷を、カメラ本体のグランドレベルに確実に接続しつつ、カメラの外観から強い圧力をかけられたとき、例えば、カメラを鞄にしまった状態で満員電車に乗ったときや、尻のポケットにカメラをしまったまま椅子に腰掛けてしまったときに、液晶ガラスの破損や表示不良を起さないカメラの液晶表示部を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液晶表示部の偏光板を導電性部材で画面表示範囲より外周まで形成し、該偏光板に対し、カメラ本体とグランド接続された該画像表示範囲外を覆う金属板をカメラの外観部品の裏側に配置された弾性部材で圧接させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、カメラ本体に圧力が加わっても、液晶表示部を破損することなく、かつ見栄えのよいデザインのまま、液晶表示部とカメラ本体のグランドレベルと接触している金属フレームとを電気的に確実に接触させることができることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の特徴を最もよく表す液晶表示部周りの横断面図であり、図2は、図1で表された液晶表示部周りの分解斜視図である。図3は本発明を実施したカメラの外観斜視図である。図1から図3において同一番号を付記したものは、同一部材を表す。
【0014】
両図において、1はカメラ背面の外観部を構成するリアカバーである。2は前記リアカバー1と色を変えるため別部材とされている化粧板である。3は両面テープであり、前記リアカバー1と化粧板2とを貼り付けている。4はカメラ内部にゴミが入るのを防止し、また、後述の液晶表示部に対する外部の圧力による破壊を防止するための保護窓であり、例えばアクリル等の透明な部材で形成されている。保護窓4と前記リアカバー1とは両面テープ4aでカメラ裏面より貼り付けられている。9はスポンジ状の枠体である弾性部材である。該弾性部材は両面テープ9aで保護窓4に貼り付けられている。前記リアカバー1、化粧板2、両面テープ3、保護窓4及び弾性部材9とでリアカバーユニットを構成している。ロの字形の弾性部材9を加えてリアカバーユニットを構成することで、液晶表示範囲と保護窓4の内側とも半密閉状態にでき、液晶表示部への異物の進入を少なくしている。6は、種々の情報を表示する公知のノーマリブラックの液晶表示パネルである。ノーマリブラック液晶は、電圧をかけない状態で非透過となるもので、電圧を加えて液晶を並べ偏光させて非透過にするものより、非透過が造りやすく、また。非透過付近での偏光を制御するのが容易なため、階調も得やすくなっている。しかし、このため静電気が加わっただけで少し白くなる等、扱い難い特徴を有している。そこで、液晶表面の偏光板に導電性の加工を行い、静電気が帯電しないよう構成する必要がある。該液晶表示部には、偏光板6aが一体に形成されている。該液晶表示パネルには裏面側からLEDを照射し表示を見えるように構成された、公知のバックライトユニットが配置されている。5は前記液晶表示パネル6の表示面より外側に枠部を有する表示枠である上ベゼルである。7は、前記液晶表示装置のバックライトユニットを保持し、かつ前記液晶の保持も兼ねる樹脂フレームである。8は前記液晶表示パネル6と樹脂フレームおよびバックライトユニットとを包括する下ベゼルである。上ベゼル5と下ベゼル8とは上ベゼルの爪部5aおよび下ベゼルの爪部8aのお互いの爪部ではまり合う。前記上ベゼル5、液晶表示パネル6、樹脂フレーム7と下ベゼル8とで液晶ユニットを構成し、該液晶ユニットはカメラの骨格を形成するメインシャーシ10に位置決めされ、舌部5bでビスで固着されている。これによって、導通が取れるが、より確実にグランドに落とす為、スポンジ状の枠体である弾性部材9で導通を取る。前記弾性部材9は、前記リアカバーユニットをカメラ本体に組み付けると、弾性部材9は圧縮されるため、その反発力によりメインシャーシ10の方向へ上ベゼル5と液晶表示パネル6の偏光板6aが押し付けられるため、電気的に確実に接触するようになる。
【0015】
本実施例では、外観側から表示窓4(リアカバー1)、弾性部材9、上ベゼル5、偏光板6a、下ベゼル8、メインシャーシ10の順に並べてあるが、リアカバー側に偏光板を押し付けるため、リアカバー1、上ベゼル5、偏光板6a、下ベゼル8、弾性部材9、メインシャーシ10の順に配置しても、本発明の実施態様に変更はない。
【0016】
上記構成とすることにより、一枚の金属板から形成された平面精度の高い上ベゼル5と、偏光板6aとを弾性部材9により表示部の周囲を覆って均等に圧接しているため、電気的に確実に接続されつつ、高階調の表示を得られると共に、外観側から圧力が加わっても、その圧力が分散されガラスが割れる心配が少ない液晶表示部を備えたカメラを構成することが可能となる。更に、ノーマリブラック液晶を使用しても、カメラに採用できるようになった。
【0017】
また、前記弾性部材9を液晶表示部全周を加工“ロ”の字型にすることにより、部分的に弾性部材9を貼るより、上ベゼル5が多少変形していても、確実な導通を図ることができる。しかも、カメラの外装部品に異物を押し当てられた場合等の、外部からの部分的な制圧を受けても、弾性部材9の全域で圧力を吸収、分散できるためその下のガラスが割れてしまうのを防ぐことができる。
【0018】
更に、ノーマリブラックの液晶を使用していても、柔らかい弾性部材9を使用して液晶周囲を押圧ることから、非導通状態でも白斑が生じ難いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の特徴を最もよく表す液晶表示部周りの横断面図
【図2】図1で表された液晶表示部周りの分解斜視図
【図3】本発明を実施したカメラの外観斜視図
【符号の説明】
【0020】
1 リアカバー
2 化粧板
3 両面テープ
4 保護窓
5 表示枠(上ベゼル)
6 液晶表示パネル
7 樹脂フレーム
8 下ベゼル
9 弾性部材
10 メインシャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示部(6)の偏光板(6a)を導電性部材で画面表示範囲より外周まで形成し、該偏光板(6a)に対し、カメラ本体とグランド接続された該画像表示範囲外を覆う導電部材(5)をカメラの外観部品(1または4)または構造部品の間に配置された弾性部材(9)で圧接させた液晶表示装置を有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
金属板(5)および弾性部材(9)は、前記液晶表示部(6)の周囲を全周覆っていることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のカメラにおいて、液晶表示部(6)は高階調のノーマリブラックの液晶を用いた液晶表示部であることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−156909(P2009−156909A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331827(P2007−331827)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】