説明

カラオケ代替曲抽出システム

【課題】楽曲の楽曲IDを代替して抽出できるようにしたカラオケ代替曲抽出システムを提供する。
【解決手段】カラオケ装置は、当該機種に搭載された楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブル、所定の他機種に搭載された楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブル、楽曲有無判定手段、楽曲ID抽出手段、とを有している。前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていると判定した場合は、前記楽曲ID抽出手段は、その楽曲IDを抽出する。これに対して、前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていないと判定した場合は、前記包括楽曲管理テーブルの所定項目の楽曲属性データと前記固有楽曲管理テーブルにおける前記共通する所定項目の楽曲属性データとに基づいて、その楽曲IDを代わりに抽出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意のカラオケ装置において、利用者が所望するバージョンのカラオケ楽曲の楽曲IDがない場合、別バージョンではあるが当該楽曲と同一楽曲の楽曲IDを代替して抽出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のカラオケ装置では、利用者の選曲指示により抽出された楽曲IDに基づき、当該楽曲の演奏処理を行う。具体的には、利用者が装置本体に設けられた操作パネルや装置付帯のリモコン装置を利用して所望の楽曲を選曲し、所定の選曲指示の操作を行うと、当該楽曲の楽曲IDが抽出され、この楽曲IDは装置本体の中央制御部に転送される。中央制御部は、この楽曲IDに基づき、演奏データと、歌詞テロップや背景映像からなる映像データなどから構成された楽曲データをハードディスクから取り出して演奏処理する。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許3503999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、現在のカラオケシステムでは、カラオケホスト装置から、ネットワーク通信網(VPN)により、所定のタイミングにて、楽曲データを各カラオケ装置に配信することにより、新譜などの楽曲データを随時追加させ、その管理データを更新できるため、最新の楽曲が予約できる。そして、各カラオケ装置には、搭載楽曲を管理するため、装置本体に内蔵されたハードディスクや、装置付帯のリモコン装置に内蔵されたフラッシュメモリに、搭載楽曲のインデックスデータとして、楽曲ID(通常「選曲番号」)を紐付けして、「曲名」/「歌手名」/「バージョン」/「作曲者」/「作詞者」/「発売日」といった属性項目にて楽曲属性データを管理した楽曲管理テーブルが備えられている。
【0004】
この楽曲管理テーブルにおいて、楽曲IDに紐付けされたレコード数が「搭載楽曲数」となるのであるが、一般に、各カラオケ製造者が設定している楽曲IDは、必ずしも、互いに異なる各楽曲に一対一対応している訳ではなく、楽曲IDが異なる楽曲同士でも同一楽曲である場合が多々ある。換言すれば、同一楽曲でも複数の楽曲IDが付されている。これは、同一楽曲であっても、生オーケストラ演奏を収録した「生音演奏」や、MIDIシンセサイザ音源を利用した「MIDI」、あるいは、当該MIDI音源の種類を増やした「良音」などといった「異なるバージョン」が存在するため、バージョン毎に異なる楽曲IDを付しているからである。
【0005】
そして、カラオケ製造業者が提供しているカラオケ装置には、通常、複数の機種があって、機種毎に搭載楽曲数が異なる。すなわち、機種によっては、所定の楽曲について、全てのバージョンが一の機種にて搭載されている訳でなく、同一楽曲であっても機種毎に搭載するバージョンの種類が異なることがある。例えば、「A」という機種のカラオケ装置にて演奏できた楽曲の、例えば「MIDI」バージョンを、「B」という別の機種のカラオケ装置で選曲指示した場合、当該楽曲については、例えば「生音演奏」バージョンは存在しても当該「MIDI」バージョンが存在しない場合には、同一楽曲であってもバージョンが違うために互いの楽曲IDが異なり、同一楽曲があるにも拘わらず「楽曲が見当たりません」というように、所望の楽曲が不在であるとのメッセージが出て、演奏は不可となってしまう。
【0006】
なお、前述の特許文献1記載の発明でも、データベースを更新して最新の楽曲を予約することはできるが、利用者の所望する楽曲の楽曲IDが存在しない場合には、バージョン違いの同一楽曲があっても演奏することができない。
【0007】
そこで、本発明は、利用者が、一の機種のカラオケ装置にて選曲指示し、演奏させていた楽曲を、別の機種のカラオケ装置にて選曲指示した際、当該別の機種にて、その楽曲IDがない場合でも、別バージョンの「同一楽曲」があるか否かを判断し、ある場合には、当該楽曲の楽曲IDを代替して抽出できるようにして、所望の楽曲が不在であるとの状態を回避することができ、利用者に満足感を与えることができるカラオケ代替曲抽出システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題に鑑み、本発明の発明者らは、一の機種のカラオケ装置には、当該機種の搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブルと共に、所定の他の機種のカラオケ装置の搭載楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブルとを備え、当該固有楽曲管理テーブルおよび包括楽曲管理テーブルには、互いに共通する所定項目を含め、各項目に対応した楽曲属性データが楽曲ID毎に紐付けされて記録されており、利用者が所望の楽曲を選曲指示した際、その楽曲IDに基づき、当該楽曲がその固有楽曲管理テーブルに管理されているか否かを判定し、固有楽曲管理テーブルにて管理されている場合、その楽曲IDを抽出し、管理されていない場合、その楽曲IDに紐付けされた包括楽曲管理テーブルの所定項目の楽曲属性データと、固有楽曲管理テーブルにおいて、共通する所定項目の楽曲属性データとを比較し、その楽曲属性データが一致する楽曲が当該固有楽曲管理テーブルにある場合、その楽曲IDを代わりに抽出することにより、さらに好ましくは、当該共通する所定項目を、少なくとも「曲名」と「歌手名」とを含ませて設定することで、上記課題を好適に解決できることを見出し、本発明を想到した。
【0009】
すなわち、請求項1記載のカラオケ代替曲抽出システムは、利用者の選曲指示により抽出された楽曲IDに基づき、当該楽曲の演奏処理を行うカラオケ装置において、一の機種のカラオケ装置には、当該機種の搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブルと共に、所定の他の機種のカラオケ装置の搭載楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブルとが備えられ、当該固有楽曲管理テーブルおよび包括楽曲管理テーブルには、互いに共通する所定項目を含め、各項目に対応した楽曲属性データが楽曲ID毎に紐付けされて記録され、さらに、楽曲有無判定手段と、楽曲ID抽出手段と、を有してなるシステムであって、
(ア)楽曲有無判定手段は、任意のカラオケ装置にて、利用者が所望の楽曲を選曲指示した際、その楽曲IDに基づき、当該楽曲がその固有楽曲管理テーブルに管理されているか否かを判定し、
(イ)楽曲ID抽出手段は、以下の処理1または処理2を行い、
処理1:前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていると判定した場合、その楽曲IDを抽出し、
処理2:前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていないと判定した場合、その楽曲IDに紐付けされた前記包括楽曲管理テーブルの所定項目の楽曲属性データと、前記固有楽曲管理テーブルにおける前記共通する所定項目の楽曲属性データとを比較し、その楽曲属性データが一致する楽曲が当該固有楽曲管理テーブルにある場合、その楽曲IDを代わりに抽出する、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項2記載のカラオケ代替曲抽出システムは、前記請求項1記載のカラオケ代替曲抽出システムにおいて、前記共通する所定項目が、少なくとも「曲名」と「歌手名」とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、カラオケ装置には、当該機種の搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブルと、所定の他機種の搭載楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブルとが備えられており、利用者が所望の楽曲を選曲指示した楽曲IDに基づき、楽曲有無判定手段が、当該楽曲が当該機種の固有楽曲管理テーブルに管理されているか否かを判定する。当該楽曲が固有楽曲管理テーブルに管理されていると判定した場合は、楽曲ID抽出手段がその楽曲IDを抽出する。これに対して、当該楽曲が固有楽曲管理テーブルに管理されていないと判定した場合は、その楽曲IDに紐付けされた包括楽曲管理テーブルの楽曲属性データの所定項目と共通する所定項目が一致している楽曲属性データの楽曲IDを代替曲として抽出する。
【0012】
この構成により、利用者が他の機種では歌唱できた楽曲が当該機種に搭載されていない場合であっても、他機種に対応する包括楽曲管理テーブルの楽曲属性データと、当該機種の固有楽曲管理テーブルとを比較して、所定項目が一致している楽曲属性データが存在する場合に「同一楽曲」と見なし、その楽曲IDを利用者の選曲指示した楽曲IDに代替して抽出するので、所望の楽曲が不在であるとの状態を回避することができ、利用者に満足感を与えることができるという効果を奏する。
【0013】
さらに、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加えて、楽曲属性データの所定項目に、少なくとも「曲名」と「歌手名」とを含むので、すなわち、カラオケ楽曲を特定するため、カラオケでは最も一般的で不可欠な楽曲属性データである「曲名」と「歌手名」を利用するため、略全ての楽曲に対して、高い信頼性で効率的に「楽曲の同一性」を判断することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るカラオケ楽曲予約システムについて、好適な実施例をあげて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明に関する通信カラオケシステムを示し、主に、サーバであるカラオケホスト装置(H)と通信ネットワークを介して接続された多数の端末装置であるカラオケ演奏装置(以下、単にカラオケ装置という)(G,G,G・・・)からなる。具体的には、先ず、カラオケホスト装置(H)は、一般公衆電話回線やADSLあるいは光通信回線などを利用した通信ネットワークを介して各カラオケ装置(G,G,G・・・)に接続される。例えば、インターネット(Ni)を利用したカラオケ事業者が管理するVPN(Virtual Private Network)を用い、カラオケホスト装置(H)と各カラオケ装置(G,G,G・・・)がルータ(図示省略)を介して接続され、各ルータは、その内蔵するDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能によって、各カラオケ装置(G,G,G・・・)にIPアドレスを割り当て、それらのMAC(Media Access Control)アドレスと、このIPアドレスを対応付けしたテーブルを作成して通信処理をしている。
【0016】
前記各カラオケ装置(G,G,G・・・)には、当該機種の搭載楽曲情報を管理するために、「曲名」や「歌手名」などの楽曲属性データを楽曲ID毎に紐付けして記録された固有楽曲管理テーブル(T1)が具備されている。各カラオケ装置(G,G,G・・・)が同一機種であれば、搭載楽曲が同じであるので前記固有楽曲管理テーブル(T1)は同一内容のテーブルとなる。しかし、機種が異なれば搭載楽曲が異なる場合もあり、それぞれ自機種の搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブル(T1)が具備され、異なる機種ではそれぞれが異なる内容のテーブルとなる。また、詳細は後述するが、各カラオケ装置(G,G,G・・・)には、所定の他機種の搭載楽曲情報を包括して管理するための包括楽曲管理テーブル(T2)が具備されている。
【0017】
図2は、図1に示した複数のカラオケ装置(G,G,G・・・)の中で、機種を問わず任意のカラオケ装置(G)のブロック構成図である。当該カラオケ装置(G)は、主に中央制御手段(2)と、これに接続される各種機能手段およびハードディスク(HDD)(4)などから構成される。ここで当該カラオケ装置(G)における各構成要素について説明する。先ず、通信制御手段(12)は、ADSL回線、ISDN回線、一般回線などのネットワーク通信回線を介して、図1にて説明したカラオケホスト装置(H)との通信を制御するためのものである。
【0018】
次に、音声生成プロセスについて説明する。音源(6)は中央制御手段(2)が実行するシーケンサ(14)の処理によって入力され、デジタルミキサ(7)は音源(6)が発生した複数の楽音信号やカラオケマイク(M)とA/Dコンバータ(9)を介して入力された歌唱者の歌唱音声信号を適当なバランスでミキシングする。ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(SS)(8)に入力される。このサウンドシステム(8)はパワーアンプを備えており、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ(SP)から楽音と歌唱音声信号を放音する。
【0019】
ハードディスク(4)に記録されている楽曲データ(19)には、それぞれの楽曲毎に個別の楽曲IDが付されており、各楽曲IDに対応づけられた映像データ(20)は、MPEG形式にエンコードされており、中央制御手段(2)が実行する背景映像再生手段(図示省略)により再生処理を行い、これを読み出してMPEGデコーダ(10)に入力する。このMPEGデコーダ(10)は入力されたMPEGデータをNTSCの映像に変換して合成回路(11)に入力し、この合成回路(11)は、背景映像の映像信号上にテロップや採点OSDを合成し、合成された映像信号は表示手段(メインモニタ)(D1)に表示される。
【0020】
リモコン装置(R)は、楽曲検索機能あるいは、楽曲予約機能を備えた多機能カラオケリモコンであり、一般的にGUI操作パネル(21)が備えられている。またフラッシュメモリ(図示せず)を内蔵しており、選曲用の目次データをはじめ所定データをカラオケ装置(G)から有線や無線によって書き込む。また、利用者がGUI操作パネル(21)にて所望の楽曲を選曲し、所定の選曲指示操作を行うことにより、選曲された楽曲の楽曲IDが装置の中央制御部(2)に転送される。
【0021】
中央制御部(2)はこの楽曲IDを受け取ると、演奏予約手段(13)が当該楽曲IDを予約待ち行列に登録し、登録された順番にそれぞれの楽曲IDに対応する楽曲データ(19)と映像データ(20)をハードディスク(4)から取り出して、前述した演奏処理を行う。
【0022】
上記した以外に、中央制御手段(2)には、楽曲有無判定手段(15)と楽曲ID抽出手段(16)が設けられ、ハードディスク(4)には、固有楽曲管理テーブル(T1)と包括楽曲管理テーブル(T2)が記録されている。前述したように、固有楽曲管理テーブル(T1)は、当該機種の搭載楽曲情報を管理するために、「曲名」や「歌手名」などの楽曲属性データを楽曲ID毎に紐付けして記録されたテーブルであり、包括楽曲管理テーブル(T2)は、所定の他の機種の搭載楽曲情報を包括して管理するためのテーブルである。前記固有楽曲管理テーブル(T1)と包括楽曲管理テーブル(T2)のデータは、新曲の追加などにより、カラオケホスト装置(H)から随時新しいデータがダウンロードされて、ハードディスク(4)の内容が更新される。
【0023】
前記楽曲有無判定手段(15)は、当該カラオケ装置(G)にて利用者が所望の楽曲を選曲指示した際、その楽曲IDに基づき、当該楽曲が前記固有楽曲管理テーブル(T1)に管理されているか否かを判定する。
【0024】
前記楽曲ID抽出手段(16)は、前記楽曲有無判定手段(15)が、当該カラオケ装置(G)にて利用者に選曲指示された楽曲について、前記固有楽曲管理テーブル(T1)に管理されていると判定した場合は、その楽曲IDを抽出する。
【0025】
これに対して、前記楽曲有無判定手段(15)が、当該カラオケ装置(G)にて利用者に選曲指示された楽曲について、前記固有楽曲管理テーブル(T1)に管理されていないと判定した場合は、その楽曲IDに紐付けされた前記包括楽曲管理テーブル(T2)の所定項目の楽曲属性データと、前記固有楽曲管理テーブル(T1)における前記共通する所定項目の楽曲属性データとを比較し、その楽曲属性データが一致する楽曲が当該固有楽曲管理テーブル(T1)にある場合、その楽曲IDを代わりに抽出する。
【0026】
図3は、任意のカラオケ装置(G)に具備されている楽曲管理テーブルを示し、当該カラオケ装置が仮に機種Aであるとすれば、同図(ア)は、当該機種Aの搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブル(T1)、同図(イ)は他の機種Bおよび機種Cの搭載楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブル(T2)を示している。
【0027】
固有楽曲管理テーブル(T1)および包括楽曲管理テーブル(T2)には、「曲名」「歌手名」「バージョン」「ジャンル」などの項目をはじめ、「作詞者」「作曲者」「発売年月」などの項目の楽曲属性データが、個別の選曲コード(楽曲ID)に紐付けして記録されている。また、包括楽曲管理テーブル(T2)には、対応する各機種名も紐付けされ、どの機種に搭載されている楽曲IDであるかが分かる。
【0028】
なお、説明の都合上、機種A,機種B,機種Cの三機種について説明したが、もっと多数の機種が存在する場合は、それぞれのカラオケ装置(G,G,G・・・)には、当該機種に対応する固有楽曲管理テーブル(T1)と、もっと多数の他機種に対応する包括楽曲管理テーブル(T2)を具備することになる。
【0029】
図4は、本発明のカラオケ代替曲抽出システムにおける抽出手順を示すフローチャートである。具体例として、任意の利用者が、図5に示す機種Aのカラオケ装置で歌唱した楽曲の選曲コード(楽曲ID)を、図6に示す機種Bのカラオケ装置で歌唱すべく選曲指示したときについて説明する。
【0030】
任意の利用者が、図5に示す機種Aで、例えば楽曲「牛丼のうた」を選曲しようとしたとき、当該機種Aの固有楽曲管理テーブルには楽曲「牛丼のうた」歌手名「金井肇」の項目をはじめとして、「ジャンル」「作詞者」「作曲者」などの項目の楽曲属性データが同一で、「バージョン」が「MIDI」と「生音演奏」の異なる楽曲が少なくとも2以上存在し、「MIDI」バージョンには楽曲IDとして選曲コード(以下、単に楽曲IDという)「1234-01」が付され、「生音演奏」バージョンには楽曲ID「1234-02」が付されている。当該利用者は、機種Aで楽曲ID「1234-01」を選曲指示して歌唱したものとする。
【0031】
この利用者が、図6に示す機種Bで、前記楽曲ID「1234-01」を入力して選曲指示すると(ステップ1)、先ず、当該機種Bに設けられている楽曲有無判定手段(15)が、この入力された楽曲IDに基づき、当該機種Bの固有楽曲管理テーブル(T1)にその楽曲IDが管理されているか否かを判定する(ステップ2)。もし、前記楽曲有無判定手段(15)が、機種Bの固有楽曲管理テーブル(T1)にその楽曲ID「1234-01」が管理されていると判定した場合は、当該機種Bの楽曲ID抽出手段(16)が、次の「処理1」を行う(ステップ2→ステップ5)。
【0032】
「処理1」:前記楽曲有無判定手段(15)が、当該機種(この例では機種B)にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブル(T1)にて管理されていると判定した場合は、前記楽曲ID抽出手段(16)がその楽曲ID(この例では「1234-01」)を抽出する。
【0033】
しかし、この例では、機種Bの固有楽曲管理テーブル(T1)には、バージョン違いの楽曲ID「1234-02」は管理されているが、楽曲ID「1234-01」は管理されていない。したがって、当該機種Bの楽曲ID抽出手段(16)が、次の「処理2」を行う(ステップ2→ステップ3)。
【0034】
「処理2」:前記楽曲有無判定手段(15)が、当該機種(この例では機種B)にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブル(T1)にて管理されていないと判定した場合は、その楽曲ID(この例では「1234-01」)に紐付けされた前記包括楽曲管理テーブル(T2)の所定項目(この例では、「曲名」と「歌手名」とする)の楽曲属性データと、前記固有楽曲管理テーブル(T1)における前記共通する所定項目(「曲名」と「歌手名」)の楽曲属性データとを比較し、その楽曲属性データが一致する楽曲が当該固有楽曲管理テーブル(T1)にある場合、その楽曲ID(この例では「1234-02」)を代わりに抽出する。
【0035】
すなわち、前記包括楽曲管理テーブル(T2)におけるデータの中で、当該利用者が入力した楽曲ID「1234-01」の予め設定した所定項目である「曲名」と「歌手名」の楽曲属性データと、前記固有楽曲管理テーブル(T1)におけるデータの中で、共通する所定項目である「曲名」と「歌手名」の楽曲属性データとを比較する(ステップ3)。
【0036】
この例では、包括楽曲管理テーブル(T2)の楽曲ID「1234-01」における所定項目である曲名「牛丼のうた」と歌手名「金井肇」の楽曲属性データと、固有楽曲管理テーブル(T1)の楽曲ID「1234-02」における所定項目である曲名「牛丼のうた」と歌手名「金井肇」の楽曲属性データが一致しているので、楽曲ID「1234-02」を代替して抽出する(ステップ4→ステップ6)。
【0037】
もし、固有楽曲管理テーブル(T1)に所定項目の楽曲属性データが一致する楽曲IDがない場合は、楽曲IDの抽出不可となる(ステップ4→ステップ7)。
【0038】
このように、利用者が機種Aで歌唱できた楽曲ID「1234-01」の楽曲が、機種Bに搭載されていない場合であっても、他機種(A,C)に対応する包括楽曲管理テーブル(T2)の楽曲属性データと、当該機種Bの固有楽曲管理テーブル(T1)とを比較して、所定項目(曲名と歌手名)が一致している楽曲属性データ(牛丼のうた、金井肇)が存在する場合には、「同一楽曲」と見なし、その楽曲ID「1234-02」を利用者の選曲指示した楽曲ID「1234-01」に代替して抽出するので、所望の楽曲が不在であるとの状態を回避することができ、利用者に満足感を与えることができる。
【0039】
また、前記楽曲属性データで共通する所定項目に、少なくとも「曲名」と「歌手名」とを含むように規定したので、カラオケ楽曲を特定するため、カラオケでは最も一般的で不可欠な楽曲属性データである「曲名」と「歌手名」を利用するため、略全ての楽曲に対して、高い信頼性で効率的に「楽曲の同一性」を判断することができる。
【0040】
さらに、抽出した楽曲IDに基づき、図7に示すように、GUI操作パネル(21)には、予約登録の確認画面が表示される。この画面は、通常のシステムにおいても、利用者が楽曲の最終確認をするもので、画面内の「転送」ボタンを押すことで予約登録される。本実施例では、代替の選曲コード(楽曲ID)が抽出されているので、選曲コード表示部には「代替バージョン」なる断り書きが表示されている。なお、本実施例の他、例えば、該当する同一の楽曲IDが複数ある場合には、何れかものを抽出するかを予め設定しておいたり、所定のアルゴリズムで抽出させたり、あるいは、複数の代替楽曲を「おすすめ曲」として画面に表示し、その中から利用者に選択させたりすれば、より一層利用者の便宜を図ることができる。
【0041】
そして、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に関する通信カラオケシステム概念図。
【図2】任意のカラオケ装置のブロック構成図。
【図3】任意のカラオケ装置に具備されている楽曲管理テーブルで、(ア)固有楽曲管理テーブル、(イ)包括楽曲管理テーブルの説明図。
【図4】カラオケ代替曲抽出システムにおける抽出手順を示すフローチャート。
【図5】機種Aのカラオケ装置に具備されている固有楽曲管理テーブルと包括楽曲管理テーブルの説明図。
【図6】機種Bのカラオケ装置に具備されている固有楽曲管理テーブルと包括楽曲管理テーブルの説明図。
【図7】代替抽出選曲コード(楽曲ID)の表示例図。
【符号の説明】
【0043】
G カラオケ装置
2 中央制御手段
4 ハードディスク(HDD)
5 RAM
R リモコン装置
15 楽曲有無判定手段
16 楽曲ID抽出手段
T1 固有楽曲管理テーブル
T2 包括楽曲管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の選曲指示により抽出された楽曲IDに基づき、当該楽曲の演奏処理を行うカラオケ装置において、一の機種のカラオケ装置には、当該機種の搭載楽曲情報を管理する固有楽曲管理テーブルと共に、所定の他の機種のカラオケ装置の搭載楽曲情報を包括して管理する包括楽曲管理テーブルとが備えられ、当該固有楽曲管理テーブルおよび包括楽曲管理テーブルには、互いに共通する所定項目を含め、各項目に対応した楽曲属性データが楽曲ID毎に紐付けされて記録され、さらに、楽曲有無判定手段と、楽曲ID抽出手段と、を有してなるシステムであって、
(ア)楽曲有無判定手段は、任意のカラオケ装置にて、利用者が所望の楽曲を選曲指示した際、その楽曲IDに基づき、当該楽曲がその固有楽曲管理テーブルに管理されているか否かを判定し、
(イ)楽曲ID抽出手段は、以下の処理1または処理2を行い、
処理1:前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていると判定した場合、その楽曲IDを抽出し、
処理2:前記楽曲有無判定手段が、当該カラオケ装置にて選曲指示された楽曲が、前記固有楽曲管理テーブルにて管理されていないと判定した場合、その楽曲IDに紐付けされた前記包括楽曲管理テーブルの所定項目の楽曲属性データと、前記固有楽曲管理テーブルにおける前記共通する所定項目の楽曲属性データとを比較し、その楽曲属性データが一致する楽曲が当該固有楽曲管理テーブルにある場合、その楽曲IDを代わりに抽出する、
ことを特徴とするカラオケ代替曲抽出システム。
【請求項2】
前記共通する所定項目が、少なくとも「曲名」と「歌手名」とを含むことを特徴とする請求項1記載のカラオケ代替曲抽出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−8994(P2008−8994A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177211(P2006−177211)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】