説明

カラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システム

【課題】 撮影カメラの位置を視聴者の位置と仮定し、視聴者が自然環境にいる場合と同様に歌唱音声が聞こえるようにして、臨場感を高める。
【解決手段】 歌唱者の歌唱姿態を撮影する撮影カメラ56と、撮影カメラ56から歌唱者までの距離を測定する歌唱者距離計測手段57と、撮影カメラ56から歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブル34c又は相関関数に基づき、歌唱者位置に対応した録音音量となるように歌唱音声の増幅率を制御する録音音量制御手段40と、音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、撮影カメラ56により撮影した歌唱者映像とを同期させて録音録画記録部(HDD34)に書き込む録音録画データ書込手段44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ歌唱者の映像と共に、歌唱音声及びカラオケ演奏音を記録するためのカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ演奏中の歌唱者の映像と歌唱音声とを歌唱映像として録画・録音し、ネットワークPCや携帯電話で歌唱映像を視聴できるようにするといった、カラオケ利用者を楽しませるサービスが実施されるようになった。このようなカラオケ歌唱者の姿態を撮影するための撮影カメラでは、被撮影者の顔を認識して被撮影者の位置を検出し、撮影方向やピント(焦点距離)を合わせる等の技術が開発されている。
【0003】
ところで、カラオケ歌唱者を撮影する際に、歌唱者は振り付けや自らのパフォーマンスによって前後・左右に動き回ることがある。ここで、撮影カメラの位置を視聴者の位置と仮定した場合、歌唱者がカメラに近づいたり、カメラから遠ざかったりすると、視聴者にとっては、歌唱者が近づいたり、遠ざかったりするように見える。自然環境の中では、近づいてくる人物の声は徐々に大きく聞こえ、反対に遠ざかってゆく人物の声は徐々に小さく聞こえるものである。
【0004】
従来、電子会議システムにおいて、相手の顔が表示されるウィンドウの大きさに応じて音量を変化させることにより、電子会議に臨場感を持たせる技術が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術は、相手の電子会議端末装置から送信された、ウィンドウに表示するための動画像データを、マウスから入力された当該ウィンドウの拡大指示の比率に応じて、拡大する旨をディスプレイドライバに対して指示し、さらに相手の電子会議端末装置から送信されたスピーカに出力するための音声データの音量を、当該拡大比率に応じて大きくする旨をサウンドデバイスドライバに対して指示するようにしたものである。
【0005】
また、映像中の話者の位置に応じた位置から音声が聞こえるようにして、臨場感を持たせるようにした技術が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献2に記載された技術は、映像データから画面内の話者の位置を検出し、検出された位置に基づいてボリューム制御部を制御し、音量の制御された音声を複数のスピーカへ出力することで、音声の定位を移動するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−163527号公報
【特許文献2】特開平11−313272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、カラオケ演奏装置において歌唱を行う際には、歌唱者がカラオケマイクを持って歌唱するのが一般的であり、この場合には、歌唱者が移動しても、歌唱者の位置とカラオケマイクの位置との関係は常に同じである。したがって、歌唱者が声の大きさを自ら調整した場合は別として、歌唱者がカメラに近づいたり、カメラから遠ざかったりしても、歌唱音声の音量は変化しないため、視聴者にとっては、歌唱音声の聞こえ方が自然環境とは異なることになり、不自然さを感じる場合がある。このような場合に、従来のカラオケ歌唱者の映像及び歌唱音声を録画・録音するためのシステムでは、歌唱者の接近あるいは離隔に伴って音量を調整するための仕組みはなかった。
【0008】
また、上述した特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、被撮影者の位置に対応させて、音声が聞こえる方向を制御するものであり、被撮影者が撮影カメラに近づいたり、遠ざかったりした場合に対応させて、音量を調整するものではない、
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、撮影カメラの位置を視聴者の位置と仮定し、視聴者が自然環境にいる場合と同様に歌唱音声が聞こえるようにして、臨場感を高めることが可能なカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、カラオケ歌唱者の歌唱姿態と共に歌唱音声及びカラオケ演奏音を記録するためのカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムであって、撮影カメラと、歌唱者距離計測手段と、録音音量制御手段と、録音録画データ書込手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、撮影カメラは、歌唱者の歌唱姿態を撮影するための装置である。歌唱者距離計測手段は、撮影カメラから歌唱者までの距離を測定するための手段である。録音音量制御手段は、撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブル又は相関関数に基づき、歌唱者距離計測手段による測定値に対応した録音音量となるように、カラオケマイクから入力される歌唱音声音量の増幅率を制御するための手段である。録音録画データ書込手段は、音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、撮影カメラにより撮影した歌唱者映像とを同期させて録音録画記録部に書き込むための手段である。
【0012】
このような構成からなるカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムでは、撮影カメラにより歌唱者の歌唱姿態を撮影する。そして、録音録画の際、歌唱者距離計測手段の機能により、撮影カメラから歌唱者までの距離を測定する。歌唱者距離計測手段は、例えば、撮影カメラから歌唱者までの距離を実測するレーザ計測器により構成してもよいし、画像解析により、フレーム中に占める顔の大きさやカラオケマイクの風防の大きさ等により撮影カメラから歌唱者までの距離を推定する手段であってもよい。
【0013】
本発明では、撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブルや相関関数を有している。ここで、録音音量制御手段の機能により、相関テーブル又は相関関数に基づき、測定された距離に対応した録音音量となるように、マイク用プリアンプ等における音声信号の増幅率を制御して、カラオケマイクから入力される歌唱音声を増幅する。
【0014】
そして、録音録画データ書込手段の機能により、音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、撮影カメラにより撮影した歌唱者映像とを同期させてHDDやバッファメモリ等からなる録音録画記録部に書き込む。
【0015】
また、上述した構成に加えて、録音音量制御手段は、歌唱者距離計測手段による測定値に対応した録音音量となるように、歌唱音声音量に加えてカラオケ演奏音量の増幅率を制御する構成としてもよい。
【0016】
このような構成からなるカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムでは、録音音量制御手段の機能により、歌唱音声音量だけではなくカラオケ演奏音量の増幅も、歌唱者距離計測手段による測定値に対応した録音音量となるように制御される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムでは、カラオケ歌唱者の映像と共に、歌唱音声及びカラオケ演奏音を記録する際に、撮影カメラから歌唱者までの距離に対応した適切な音量となるように、歌唱音声音量の増幅率が制御される。したがって、歌唱者がカメラに近づいた場合には、歌唱音声の音量が大きくなり、歌唱者がカメラから遠ざかった場合には、歌唱音声の音量が小さくなる。このため、視聴者にとっては、歌唱音声の聞こえ方が自然環境と同様となり、違和感なく自然な臨場感ある歌唱者映像を視聴することが可能となる。
【0018】
また、歌唱音声だけではなく、カラオケ演奏音量の増幅率も、撮影カメラから歌唱者までの距離に対応した適切な音量となるように制御した場合には、さらに一層、違和感なく自然な臨場感ある歌唱者映像を視聴することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの概略構成を示すブロック図。
【図4】撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブルの説明図。
【図5】撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関関数の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<カラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システム>
以下、図面を参照して、本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの実施形態について説明する。図1〜図3は、本発明の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムを示すもので、図1は、本発明の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図、図2は、第1の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの概略構成を示すブロック図、図3は、第2の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの概略構成を示すブロック図である。また、図4は、撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブルの説明図、図5は、撮影カメラから歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関関数の説明図である。
【0021】
本発明の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、カラオケ歌唱者の歌唱映像と共に歌唱音声及びカラオケ演奏音を記録するためのシステムであり、図1に示すように、カラオケシステム10に組み込まれている。すなわち、撮影カメラ56により歌唱者の歌唱姿態を撮影すると共に、カラオケマイク53により歌唱音声を取得し、さらに、歌唱者距離計測手段57により撮影カメラ56と歌唱者との距離を計測する。そして、録音録画データ書込手段44の機能により、撮影カメラ56と歌唱者との距離に対応した録音音量となるように増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、歌唱者映像とを同期させて録音録画データ34dを作成するようになっている。
【0022】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、カラオケマイク53から入力される歌唱音声を録音する際に、撮影カメラ56から歌唱者までの距離に対応した録音音量となるように増幅率を制御するようになっている。
【0023】
第1の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、図2に示すように、主要な構成要素として、撮影カメラ56(例えば、ビデオカメラ)、歌唱者距離計測手段57、録音音量制御手段40、録音録画データ書込手段44を備えている。また、これらの主要な構成要素と共に動作する手段及び装置として、映像データ取得手段38、距離データ取得手段39、音声データ取得手段41、歌唱音声用ゲイン調整器58、マイク用プリアンプ59、音楽再生制御手段42、演奏音用プリアンプ62、ミキシングアンプ61、カラオケマイク53、スピーカ54、録音録画記録部として機能するHDD34、録音音量制御手段40が参照する相関テーブル34c(又は相関関数)を備えている。なお、上述した各手段及び機器は、録音録画を行わない場合にも、カラオケシステム10の構成要素として機能するものがある。
【0024】
<撮影カメラ>
撮影カメラ56は、歌唱者の歌唱姿態を撮影するための装置で、ビデオカメラ等を使用することができる。この撮影カメラ56は、例えば、ステージ上に立つ歌唱者に向けられており、歌唱者の動きに追従して焦点合わせを行うオートフォーカス機能や、パン・チルト機構を有していてもよい。
【0025】
オートフォーカス機構としては、例えば、適宜な間隔を隔てて設置した2つのセパレートレンズを用いて被写体を撮影し、被写体像を撮像素子上に結像させ、両画像の位相差に基づいて物体距離を検知する方式や、被写体上に赤外光を照射して、被写体からの拡散反射光をレンズで集光し、その結像位置に基づいて物体距離を検知する方式や、撮像素子から被写体のコントラスト情報を抽出し、結像状態を直接判定する方式等が知られている。なお、被写界深度の深いレンズからなる固定焦点の撮像レンズを用いることによりフォーカシング機構を省略してもよい。
【0026】
パン・チルト機構は、撮影カメラをパン及びチルトさせるための機構であり、互いに直交する2軸方向にそれぞれ回転するパンテーブル及びチルトテーブルと、このパンテーブル及びチルトテーブルを互いに直交する2軸方向にそれぞれ回転駆動するステッピングモータと、ステッピングモータの駆動制御装置とを備えて構成される。
【0027】
<歌唱者距離計測手段>
歌唱者距離計測手段57は、撮影カメラ56から歌唱者までの距離を測定するための装置であり、レーザ計測器等を使用することができる。レーザ計測器は、レーザ光を歌唱者に照射し、歌唱者によりレーザ光を反射させて、歌唱者までの距離を時間や周波数、位相などのデータに基づいて求める装置である。レーザ光を用いて距離を計測する方式として、時間領域方式、周波数領域方式、位相領域方式がある。時間領域方式は、レーザ光が目標物までの間を往復した反射光の遅延時間に基づいて距離を求める方式である。周波数領域方式は、光の周波数を三角波状や鋸波状に変化させ、反射光と参照光を干渉させて生じたビート信号の周波数に基づいて距離を求める方式である。位相領域方式は、反射光の強度信号と参照信号との位相差に基づいて距離を求める方式である。
【0028】
<録音音量制御手段>
録音音量制御手段40は、撮影カメラ56から歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブル34c又は相関関数に基づき、歌唱者距離計測手段57による測定値に対応した録音音量となるように、カラオケマイク53から入力される歌唱音声音量の増幅率を制御するためのプログラムからなる。この録音音量制御手段40により、撮影カメラ56から歌唱者までの距離に対応した録音音量となるように、歌唱音声用ゲイン調整器58を構成する録音用歌唱音声増幅率設定部58aにおける増幅率を設定する。そして、マイク用プリアンプ59を構成する録音用歌唱音声の増幅器59aにおいて、録音用歌唱音声増幅率設定部58aで設定された増幅率により録音用歌唱音声を増幅する。
【0029】
なお、本実施形態におけるプログラムとは、ROM32等に記憶されており、CPUにおいて実行されることにより、その機能を発揮するソフトウエア資源のことを言い、プログラムと同等の機能を発揮することが可能な論理回路を含む概念である(他の手段においても同様)。
【0030】
<相関テーブル/相関関数>
録音音量制御手段40が参照する相関テーブル34cは、HDD34に格納されており(図1参照)、図4に示すように、撮影カメラ56から歌唱者までの距離と録音音量レベルとを紐付けて構成されている。また、録音音量制御手段40が相関関数を参照して録音音量を制御する構成とすることもできる。この相関関数は、撮影カメラ56から歌唱者までの距離と録音音量とを規定した関数であり、相関関係は図5に示すようになっている。この相関関数は、相関テーブル34cと同様に、HDD34に格納しておけばよい。
【0031】
<音声データ取得手段/映像データ取得手段>
音声データ取得手段41は、カラオケマイク53から入力され、マイク用プリアンプ59の増幅器59aにより増幅された歌唱音声信号を受信して、録音録画データ書込手段44へ出力するためのプログラム及び信号送受信のためのインターフェースからなる。映像データ取得手段38は、撮影カメラ56により撮影した歌唱者映像信号を受信して録音録画データ書込手段44へ出力するためのプログラム及び信号送受信のためのインターフェースからなる。
【0032】
<距離データ取得手段>
距離データ取得手段39は、歌唱者距離計測手段57により計測した距離データを取得するためのプログラム及び信号送受信のためのインターフェースからなる。すなわち、歌唱者距離計測手段57では計測した距離データをカラオケシステム10へ送信するが、この際、距離データ取得手段39により距離データの受信が行われる。
【0033】
<歌唱音声用ゲイン調整器>
歌唱音声用ゲイン調整器58は、マイク用プリアンプ59における歌唱音声のゲインを調整するための機器であり、録音用歌唱音声増幅率設定部58aと、再生用歌唱音声増幅率設定部58bとを備えている。録音用歌唱音声増幅率設定部58aは、録音音量制御手段40の制御により動作し、撮影カメラ56から歌唱者までの距離に対応した録音音量となるように、録音用歌唱音声信号の増幅率を設定する。再生用歌唱音声増幅率設定部58bは、予め定めたデフォルト値、あるいは店員、サービスマン、利用者等がボリュームを操作することにより設定される設定値となるように、再生用歌唱音声信号の増幅率を設定する。
【0034】
<マイク用プリアンプ>
マイク用プリアンプ59は、カラオケマイク53から入力される歌唱音声入力信号を、所定の音域毎に出力バランスを調整したり、ボリュームを調整したりするための機器であり、録音用歌唱音声の増幅器59aと、再生用歌唱音声の増幅器59bとを備えている。録音用歌唱音声の増幅器59aは、録音用歌唱音声増幅率設定部58aで設定された増幅率により録音用歌唱音声信号を増幅して、増幅後の録音用歌唱音声信号を音声データ取得手段41に出力する。再生用歌唱音声の増幅器59bは、再生用歌唱音声増幅率設定部58bで設定された増幅率により再生用歌唱音声信号を増幅して、増幅後の再生用歌唱音声信号をミキシングアンプ61に出力する。
【0035】
<録音録画データ書込手段>
録音録画データ書込手段44は、音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、撮影カメラ56により撮影した歌唱者映像とを同期させて、録音録画記録部として機能するHDD34に書き込むためのプログラムからなる。すなわち、録音録画データ書込手段44の機能により録音録画データ34dが生成される。この録音録画データ34dは、DVD等の記録メディアに記録することにより利用者に配布することができ、また、インターネット等の通信回線を介してストリーミング配信することができる。
【0036】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段42は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換して演奏音用プリアンプ62へ出力するための電子回路である。なお、後に詳述するが、楽曲データベース34aは、HDD34に格納されている。
【0037】
<演奏音用プリアンプ>
演奏音用プリアンプ62は、音楽再生制御手段42からの演奏音信号を、所定の音域毎に出力バランスを調整したり、ボリュームを調整したりするための機器であり、調整後の演奏音信号をミキシングアンプ61及び音声データ取得手段41へ出力する。
【0038】
<ミキシングアンプ>
ミキシングアンプ61は、カラオケマイク53から入力され、再生用歌唱音声の増幅器59bで増幅された再生用歌唱音声信号と、音楽再生制御手段42から送出され、演奏音用プリアンプ62で調整された演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ54より出力させるための装置である。
【0039】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能する装置であり、本実施形態では録音録画部としても機能する。さらに、HDD34には、楽曲データベース34a、映像データベース34b、相関テーブル34c、録音録画データ34dが格納されている。楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0040】
録音録画データ34dは、上述したように、カラオケマイク53から入力され、録音用歌唱音声の増幅器59aで増幅された録音用歌唱音声信号、及び音楽再生制御手段42から送出され、演奏音用プリアンプ62で調整された演奏音声信号とからなる音声データと、撮影カメラ56から入力される映像データとを同期させたデータであり、利用者を特定するために利用者IDが付帯されている。
【0041】
なお、本実施形態では、HDD34が録音録画部として機能し、HDD34に録音録画データ34dが記録されるが、バッファメモリを録音録画部として機能させることにより、録音録画データ34dのストリーミング配信に対応することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、第1の実施形態の構成に加えて、音楽再生制御手段42から入力される演奏音を録音する際に、撮影カメラ56から歌唱者までの距離に対応した録音音量となるように増幅率を制御するようになっている。以下、第1の実施形態と異なる構成要素についてのみ説明し、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
本発明の第2の実施形態に係るカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムは、図3に示すように、第1の実施形態の構成に加えて演奏音用ゲイン調整器63を備えており、さらに演奏音用プリアンプ62は、録音用演奏音の増幅器62aと、再生用演奏音の増幅器62bとを備えている。
【0044】
<演奏音用ゲイン調整器>
演奏音用ゲイン調整器63は、演奏音用プリアンプ62における演奏音のゲインを調整するための機器であり、録音用演奏音増幅率設定部63aと、再生用演奏音増幅率設定部63bとを備えている。録音用演奏音増幅率設定部63aは、録音音量制御手段40の制御により動作し、撮影カメラ56から歌唱者までの距離に対応した録音音量となるように、再生用演奏音信号の増幅率を設定する。再生用演奏音増幅率設定部63bは、予め定めたデフォルト値、あるいは店員、サービスマン、利用者等がボリュームを操作することにより設定される設定値となるように、再生用演奏音信号の増幅率を設定する。
【0045】
<演奏音用プリアンプ>
演奏音用プリアンプ62は、上述したように、録音用演奏音の増幅器62aと、再生用演奏音の増幅器62bとを備えている。録音用演奏音の増幅器62aは、録音用演奏音増幅率設定部63aで設定された増幅率により録音用演奏音声信号を増幅して、増幅後の録音用演奏音を音声データ取得手段41に出力する。再生用演奏音の増幅器62bは、再生用演奏音増幅率設定部63bで設定された増幅率により再生用演奏音信号を増幅して、増幅後の再生用演奏音をミキシングアンプ61に出力する。
【0046】
<カラオケシステム>
本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムを利用するカラオケシステム10は、図1に示すように、カラオケ本体51、カラオケリモコン装置52、カラオケマイク53、スピーカ54、表示装置55、撮影カメラ56、歌唱者距離計測手段57、歌唱音声用ゲイン調整器58、マイク用プリアンプ59、A/Dコンバータ60、ミキシングアンプ61、演奏音用プリアンプ62を備えており、さらに、演奏音用ゲイン調整器63を備えることが可能である。以下、カラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムの構成要素として説明しなかった装置及び手段についてのみ説明を行う。
【0047】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置52は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体51の送受信手段35に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置52は、楽曲検索手段52aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース52b、カードリーダ52c、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置52に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0048】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段52aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース52bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース52bは、カラオケシステム10で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0049】
<カードリーダ>
カードリーダ52cは、任意の利用者がカラオケシステム10を利用する際に、当該利用者の利用者IDを取得するための装置であり、本実施形態では、利用者がカラオケシステム10を利用する際に、利用者が所持するID媒体64から利用者IDを読み取るようになっている。カードリーダ52cで読み取った利用者IDは、カラオケ本体51のRAM33において利用者管理テーブル33bとして記憶され、利用者管理手段36で管理される。ID媒体64は、例えば非接触型の、IDカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、カードリーダ52cとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0050】
<カラオケ本体>
カラオケ本体51は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、利用者管理手段36、予約管理手段37、映像データ取得手段38、距離データ取得手段39、録音音量制御手段40、音声データ取得手段41、音楽再生制御手段42、映像再生制御手段43、録音録画データ書込手段44を備えている。
【0051】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体51を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0052】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体51を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a及び利用者管理テーブル33bが記憶されるようになっている。
【0053】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体51とカラオケリモコン装置52との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体51とカラオケリモコン装置52との間でデータの送受信が行われる。
【0054】
<予約管理手段>
予約管理手段37は、利用者により楽曲検索手段52aの機能を用いて選曲され、送受信手段35を介して受信した楽曲IDを、選曲順に演奏予約待ち行列33aとしてRAM33に格納し、管理するためのプログラムからなる。
【0055】
<利用者管理手段>
利用者管理手段36は、取得された利用者IDに基づき利用者を特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、利用者管理手段36では、カードリーダ52cがID媒体64から利用者IDを読み取った場合に、この利用者IDに基づいて利用者を特定し、利用者管理テーブル33bにて管理する。取得した利用者IDは、選曲予約や視聴者映像を録音録画する際に利用される。
【0056】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段43は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置55に出力するための電子回路である。
【0057】
<表示装置>
表示装置55は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0058】
<歌唱者映像の撮影及び歌唱音声の録音>
本実施形態のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムでは、撮影カメラ56により歌唱者の歌唱姿態を撮影する。撮影された歌唱者映像データは、映像データ取得手段38の機能によりカラオケ本体51に取り込まれる。また、歌唱者距離計測手段57の機能により、撮影カメラ56から歌唱者までの距離を測定する。
【0059】
そして、録音音量制御手段40の機能により、相関テーブル34cや相関関数を参照し、測定された距離に対応した録音音量となるように、歌唱音声用ゲイン調整器58の設定値を制御して、カラオケマイク53から入力される歌唱音声信号を歌唱音声マイク用プリアンプ59で増幅する。増幅された録音用の歌唱音声信号は、A/Dコンバータ60を介して、音声データ取得手段41の機能によりカラオケ本体51に取り込まれる。
【0060】
そして、録音録画データ書込手段44の機能により、音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、撮影カメラ56により撮影した歌唱者映像とを同期させて、録音録画データ34dとしてHDD34に記憶する。
【0061】
また、歌唱者距離計測手段57による測定値に対応した録音音量となるように演奏音用プリアンプ62を制御して、カラオケ演奏音量の増幅率を制御する構成とした場合には、録音音量制御手段40の機能により、相関テーブル34cや相関関数を参照し、測定された距離に対応した録音音量となるように、演奏音用ゲイン調整器63の設定値を制御して、カラオケ演奏音信号を演奏音用プリアンプ62で増幅する。そして、録音録画データ書込手段44の機能により、音量が増幅された歌唱音声と、音量が増幅されたカラオケ演奏音と、撮影カメラ56により撮影した歌唱者映像とを同期させて、録音録画データ34dとしてHDD34に記憶する。
【0062】
<他の実施形態>
本発明のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 カラオケシステム
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 利用者管理テーブル
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
34c 相関テーブル
34d 録音録画データ
35 送受信手段
36 利用者管理手段
37 予約管理手段
38 映像データ取得手段
39 距離データ取得手段
40 録音音量制御手段
41 音声データ取得手段
42 音楽再生制御手段
43 映像再生制御手段
44 録音録画データ書込手段
51 カラオケ本体
52 カラオケリモコン装置
52a 楽曲検索手段
52b 楽曲索引データベース
52c カードリーダ
53 カラオケマイク
54 スピーカ
55 表示装置
56 撮影カメラ
57 歌唱者距離計測手段
58 歌唱音声用ゲイン調整器
58a 録音用歌唱音声増幅率設定部
58b 再生用歌唱音声増幅率設定部
59 マイク用プリアンプ
59a 録音用歌唱音声の増幅器
59b 再生用歌唱音声の増幅器
60 A/Dコンバータ
61 ミキシングアンプ
62 演奏音用プリアンプ
62a 録音用演奏音の増幅器
62b 再生用演奏音の増幅器
63 演奏音用ゲイン調整器
63a 録音用演奏音増幅率設定部
63b 再生用演奏音増幅率設定部
64 ID媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ歌唱者の歌唱姿態と共に歌唱音声及びカラオケ演奏音を記録するためのカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システムであって、
撮影カメラと、歌唱者距離計測手段と、録音音量制御手段と、録音録画データ書込手段と、を備え、
前記撮影カメラは、歌唱者の歌唱姿態を撮影し、
前記歌唱者距離計測手段は、前記撮影カメラから前記歌唱者までの距離を測定し、
前記録音音量制御手段は、前記撮影カメラから前記歌唱者までの距離と録音音量とを対応付けた相関テーブル又は相関関数に基づき、前記歌唱者距離計測手段による測定値に対応した録音音量となるように、カラオケマイクから入力される歌唱音声音量の増幅率を制御し、
録音録画データ書込手段は、前記音量が増幅された歌唱音声と、カラオケ演奏音と、前記撮影カメラにより撮影した歌唱者映像とを同期させて録音録画記録部に書き込む、
ことを特徴とするカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システム。
【請求項2】
前記録音音量制御手段は、前記歌唱者距離計測手段による測定値に対応した録音音量となるように、前記歌唱音声音量に加えて前記カラオケ演奏音量の増幅率を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケ歌唱者映像及び歌唱音声記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−215221(P2011−215221A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81094(P2010−81094)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】