説明

カラオケ装置、歌唱力判定方法、ならびに、プログラム

【課題】ユーザの歌唱力を適切に判定することのできるカラオケ装置等を提供する。
【解決手段】楽曲記憶部201には、サビの箇所を特定するためのサビ区間情報が記憶されている。区間判別部501は、楽曲記憶部201からサビ区間情報を読み出し、現在再生されている楽曲がサビ区間であるか否かを判別する。そして、判別結果を歌唱力採点部207に供給する。歌唱力採点部207は、サビ区間における比較結果と、サビ区間以外における比較結果との関係に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する。つまり、サビの箇所に重きをおいて歌唱力を採点するため、人間が自然に判断する歌唱力と合致する採点を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、カラオケ装置、歌唱力判定方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用や家庭用のカラオケ装置が広く普及している。また、汎用のパーソナルコンピュータやゲーム装置等においても、所定のカラオケ演奏ソフトウェアを実行させることにより、カラオケ装置として機能させることが可能となっている。
ユーザは、これらのカラオケ装置を使うことにより、お店や家庭等でカラオケを楽しむことができる。
【0003】
このようなカラオケ装置は、一般に、主旋律となるメロディパート(メロディラインともいう)が含まれる楽曲(カラオケ楽曲)を演奏する。そして、ユーザ(歌唱者)は、演奏されるメロディパート(メロディ音)を頼りに、楽曲の主旋律を歌唱することになる。つまり、メロディ音は、ユーザが楽曲の主旋律を歌い易くガイドする役目を担っている。
そのため、歌い慣れていない楽曲やうろ覚えの楽曲等を歌唱する場合であっても、ユーザは、メロディ音の音程やリズム等に合わせて歌唱することで、何とか最後まで楽曲を歌いきることができる。
【0004】
また、カラオケ装置には、ユーザの歌唱力を採点できる機種も多い。このようなカラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏に伴って、ユーザの歌唱音声を入力すると、模範となる基準音声(音程、音量および、リズム等)との比較を行う。そして、比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点し、たとえば、演奏の終了時に、採点結果を数値等にて表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のカラオケ装置では、メロディパートが含まれるカラオケ楽曲を演奏し、そして、ユーザの歌唱力を採点している。
そのため、歌い慣れていない楽曲等を歌うユーザ(不得意なユーザ)であっても、演奏されるメロディ音に合わせて歌唱することで、模範となる基準音声に近づけることができる。その結果、従来のカラオケ装置では、ある程度の歌唱力が評価されることになる。
また、歌い慣れた楽曲を歌うユーザ(得意なユーザ)も、メロディ音に合わせて上手に歌唱することができるため、従来のカラオケ装置では、高い歌唱力が評価されることになる。それでも、そのユーザがカラオケ装置を使わずに、たとえば、ギターやピアノ等の生演奏(伴奏だけ演奏)で歌う場合には、ガイドとなるメロディ音がないため、あまり上手に歌えないことが多い。
すなわち、従来のカラオケ装置では、ユーザのありのままの歌唱力を採点することができなかった。
【0006】
また、従来のカラオケ装置では、楽曲全般に渡って、ユーザの歌唱音声と模範となる基準音声とを単純に比較して、歌唱力を採点している。つまり、歌い出しから始まって、その楽曲を特徴付けるサビ(たとえば、楽曲中において感銘を与え得る部分であったり、繰り返して演奏される部分)、そして、歌い終わりに至るまで、従来のカラオケ装置は、ユーザの歌唱音声を一律に採点している。なお、サビの箇所が楽曲の先頭等に配置される楽曲もある。
そのため、聴く側(若しくは、ユーザ自身)が実際に判断する歌唱力と、カラオケ装置が採点した歌唱力とが、食い違う場合も多い。
たとえば、楽曲全般を無難に歌ったユーザと、歌い出し等に難点がありつつサビの箇所を極めて上手に歌ったユーザとを比べた場合、聴く側は、一般に、後者の歌唱力が優位であると評価する。これに対して、従来のカラオケ装置は、楽曲全般に渡って一律に採点するため、前者の歌唱力が優位であると評価する場合が多い。
すなわち、従来のカラオケ装置では、人間が自然に判断する歌唱力と合致する採点を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、ユーザの歌唱力を適切に判定することのできるカラオケ装置、歌唱力判定方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係るカラオケ装置は、楽曲記憶部、楽曲再生部、区間判別部、音声入力受付部、比較部、および、歌唱力採点部を備え、以下のように構成する。
【0009】
まず、楽曲記憶部は、楽曲情報および模範とすべき基準音声を規定する基準情報を記憶する。また、楽曲再生部は、楽曲情報に基づいて、カラオケ楽曲を再生する。そして、区間判別部は、再生されるカラオケ楽曲中のサビ区間(その楽曲を特徴付ける箇所であり、楽曲中において感銘を与え得る部分や、繰り返して演奏される部分)を判別する。たとえば、区間判別部は、楽曲情報に含まれているサビ区間を規定する情報に基づいて、サビ区間を判別する。
【0010】
音声入力受付部は、ユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける。また、比較部は、受け付けられた歌唱音声と基準情報にて規定される基準音声とを比較する。そして、歌唱力採点部は、少なくともサビ区間における比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する。たとえば、サビ区間において、比較結果となる得点(基本得点)に応じて係数を定め、基本得点に掛け合わせることにより、補正得点を算出する。
【0011】
このように、サビの箇所に重きをおいて歌唱力を採点するため、人間が自然に判断する歌唱力と合致する採点を行うことができる。
【0012】
前記歌唱力採点部は、サビ区間における比較結果と、サビ区間以外における比較結果との関係に基づいて、歌唱力を採点してもよい。
【0013】
この場合、サビ区間における歌唱力の採点とサビ区間以外における歌唱力の採点を分けて行うことができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係る歌唱力判定方法は、楽曲情報および模範とすべき基準音声を規定する基準情報を記憶する楽曲記憶部を用いる歌唱力判定方法であって、楽曲再生ステップ、区間判別ステップ、音声入力受付ステップ、比較ステップ、および、歌唱力採点ステップを備え、以下のように構成する。
【0015】
まず、楽曲再生ステップでは、楽曲情報に基づいて、カラオケ楽曲を再生する。そして、区間判別ステップでは、再生されるカラオケ楽曲中のサビ区間を判別する。
【0016】
音声入力受付ステップでは、ユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける。また、比較ステップでは、受け付けられた歌唱音声と基準情報にて規定される基準音声とを比較する。そして、歌唱力採点ステップでは、少なくともサビ区間における比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する。たとえば、サビ区間において、比較結果となる得点(基本得点)に応じて係数を定め、基本得点に掛け合わせることにより、補正得点を算出する。
【0017】
このように、サビの箇所に重きをおいて歌唱力を採点するため、人間が自然に判断する歌唱力と合致する採点を行うことができる。
【0018】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータ(電子機器を含む。)を、上記のカラオケ装置として機能させるように構成する。
【0019】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0020】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザの歌唱力を適切に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム装置に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置、および専用のカラオケ装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係るカラオケ装置が実現される典型的なゲーム装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0024】
ゲーム装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、マイク105と、コントローラ106と、外部メモリ107と、DVD(Digital Versatile Disk)−ROMドライブ108と、画像処理部109と、音声処理部110と、NIC(Network Interface Card)111と、を備える。
【0025】
なお、ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、ゲーム装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のカラオケ装置が実現される。
【0026】
CPU 101は、ゲーム装置100全体の動作を制御し、接続された各構成要素と制御信号やデータをやりとりする。
【0027】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、ゲーム装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0028】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。
【0029】
インターフェース104を介して接続されたマイク105は、ユーザが発する音声(歌唱音声等)を受け付けて、音声信号に変換して入力する。
【0030】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ106は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0031】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ107には、ゲームの進行状態を示すデータ、チャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ106を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ107に記録することができる。
【0032】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0033】
画像処理部109は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部109が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部109が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部109に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0034】
なお、画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0035】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0036】
さらに、音声処理部110は、シンセサイザ等の音源を有しており、たとえば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データに基づいて、電子音を順次合成し、楽曲音をスピーカから出力させる。また、マイク105から入力された歌唱音声等の音声信号をサンプリングし、たとえば、音程、音量、およびリズムについて解析する。
【0037】
NIC 111は、ゲーム装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0038】
このほか、ゲーム装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
また、ユーザからの文字列の編集入力を受け付けるためのキーボードや、各種の位置の指定および選択入力を受け付けるためのマウスなどを接続する形態も採用することができる。
【0039】
また、本実施形態のゲーム装置100にかえて、一般的なコンピュータ(汎用のパーソナルコンピュータ等)を利用することもできる。たとえば、一般的なコンピュータは、上記ゲーム装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、マイク、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、ゲーム装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0040】
(カラオケ装置の概要構成)
図2は、本実施形態に係るカラオケ装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0041】
カラオケ装置200は、楽曲記憶部201と、画像再生部202と、楽曲再生部203と、出力調整部204と、音声入力受付部205と、比較部206と、歌唱力採点部207とを備える。
【0042】
まず、楽曲記憶部201は、複数の楽曲情報をあらかじめ記憶している。この楽曲情報は、例えば、カラオケ楽曲を規定するMIDIデータ等からなる。なお、楽曲情報には、主旋律となるメロディパートが含まれている。
また、楽曲記憶部201は、各楽曲に対応して、ユーザ(歌唱者)が模範とすべき歌唱音声を規定する模範音声情報を記憶している。この模範音声情報には、たとえば、音程、音量、および、リズム等の情報が含まれている。
【0043】
このような楽曲情報および模範音声情報の他に、楽曲記憶部201は、楽曲に応じた歌詞情報、および静止画情報等を記憶している。
そして、DVD−ROMドライブ108に装着されたDVD−ROM、外部メモリ107が、このような楽曲記憶部201として機能しうる。
【0044】
画像再生部202は、楽曲記憶部201から再生対象となる楽曲に応じた歌詞情報、および静止画情報を読み出し、楽曲の進行に対応させた表示画像を適宜生成してモニタに表示させる。
そして、DVD−ROMドライブ108、画像処理部109が、このような画像再生部202として機能しうる。
【0045】
楽曲再生部203は、楽曲記憶部201から再生対象となる楽曲情報(たとえば、MIDIデータ)を読み出し、カラオケ楽曲を再生する。たとえば、楽曲再生部203は、音源を有しており、読み出したMIDIデータに基づいて、電子音を順次合成し、楽曲音をスピーカから出力させる。つまり、楽曲再生部203は、メロディパートに沿ったメロディ音を含むカラオケ楽曲を再生する。
そして、DVD−ROMドライブ108、音声処理部110が、このような楽曲再生部203として機能しうる。
【0046】
出力調整部204は、ユーザからの調整指示に基づいて、楽曲再生部203にて再生される楽曲音の音量を調整して出力する。なお、調整指示は、コントローラ106から入力され、メロディパートに沿ったメロディ音、および、メロディ音を除いた伴奏音(BGM)のそれぞれについて音量の増減等が指示される。
つまり、出力調整部204は、入力された調整指示に応じて、メロディ音の音量(メロディパート音量)および、伴奏音の音量(BGM音量)をそれぞれ調整して出力する。
たとえば、ユーザがメロディパート音量の減少を指示した場合に、出力調整部204は、メロ音の音量だけを小さくして出力する。また、ユーザがBGM音量の増加を指示した場合に、出力調整部204は、伴奏音の音量だけを大きくして出力する。
なお、出力調整部204は、調整したメロディ音および伴奏音の音量値を示す音量値情報を歌唱力採点部207に供給する。
【0047】
さらに、出力調整部204は、音声入力受付部205から供給される音声信号を、音量を調整した楽曲(メロディ音および、伴奏音)に合成して出力する。
そして、CPU 101、音声処理部110がこのような出力調整部204として機能しうる。
【0048】
音声入力受付部205は、楽曲再生部203により再生される楽曲音に合わせてユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける。
たとえば、音声入力受付部205は、入力が受け付けられた歌唱音声(入力音声)をサンプリングし、サンプリングした音声信号を出力調整部204、および比較部206に供給する。
そして、マイク105、音声処理部110が、このような音声入力受付部205として機能しうる。
【0049】
比較部206は、音声入力受付部205から供給された音声信号と、楽曲記憶部201に記憶された模範音声情報とを比較する。
たとえば、比較部206は、供給された音声信号について、音程、音量、および、リズム等を解析し、模範音声情報の音程、音量、および、リズム等と比較する。なお、比較部206は、比較結果を得点に換算して歌唱力採点部207に供給する。
そして、CPU 101、音声処理部110がこのような比較部206として機能しうる。
【0050】
歌唱力採点部207は、出力調整部204から供給される音量値情報と、比較部206から供給される比較結果との関係に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する。
たとえば、歌唱力採点部207は、メロディ音の音量(メロディパート音量)と伴奏音の音量(BGM音量)との対比に応じて係数値を定め、比較結果の得点に掛け合わせることにより、歌唱力を採点する。
具体的には、メロディ音の音量と伴奏音の音量とが等しい(メロディパート音量=BGM音量)場合に、係数値を1として定め、比較結果の得点と乗算する。つまり、従来と同様に標準の楽曲音に合わせて歌唱することとなるため、比較結果の得点がそのまま維持される。
【0051】
また、メロディ音の音量が伴奏音の音量よりも大きい(メロディパート音量>BGM音量)場合に、係数値を0.8として定め、比較結果の得点と乗算する。つまり、ガイドとなるメロディ音の音量が標準よりも大きく出力されており、ユーザが歌い易い状況であるため、比較結果の得点が2割減される。
なお、係数値を0.8に固定するのではなく、メロディ音と伴奏音との音量差が大きくなるにつれて、計数値を小さな値に変動させてもよい。
【0052】
さらに、メロディ音の音量が伴奏音の音量よりも小さい(メロディパート音量<BGM音量)場合に、係数値を1.2として定め、比較結果の得点と乗算する。つまり、ガイドとなるメロディ音の音量が標準よりも小さく出力されており、ユーザが歌い難い状況であるため、比較結果の得点が2割増される。
なお、係数値を1.2に固定するのではなく、メロディ音と伴奏音との音量差が大きくなるにつれて、計数値を大きな値に変動させてもよい。
そして、CPU 101がこのような歌唱力採点部207として機能しうる。
【0053】
図3は、カラオケ装置200において実行される歌唱力採点処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。この歌唱力採点処理は、たとえば、楽曲記憶部201から、再生対象の任意の楽曲(MIDIデータおよび模範音声情報等)が選択された後に開始される。なお、出力調整部204には、ユーザによりメロディ音の音量および、伴奏音の音量の調整が任意に指示されているものとする。
【0054】
まず、楽曲再生部203は、楽曲記憶部201から楽曲情報を読み出して楽曲音を再生し、また、画像再生部202は、楽曲記憶部201から歌詞情報や静止画情報を読み出して表示画像を再生する(ステップS301)。
そして、楽曲再生部203により楽曲音が再生されると、出力調整部204は、調整指示に応じて、メロディ音の音量および、伴奏音の音量をそれぞれ調整して出力する。
【0055】
このようにメロディ音および伴奏音のそれぞれの音量が調整された楽曲音が出力された状態で、ユーザが歌を歌うと音声入力受付部205は、ユーザの歌唱音声の入力を受け付ける(ステップS302)。つまり、音声入力受付部205は、入力が受け付けられた歌唱音声(入力音声)をサンプリングし、サンプリングした音声信号を順次、出力調整部204、および比較部206にそれぞれ供給する。
【0056】
比較部206は、音声入力受付部205から供給された音声信号と、楽曲記憶部201に記憶される模範音声情報とを比較する(ステップS303)。そして、比較結果を得点に換算して歌唱力採点部207に供給する。
【0057】
歌唱力採点部207は、出力調整部204から音量値情報を取得する(ステップS304)。つまり、現在のメロディ音および伴奏音のそれぞれの音量を示す音量値情報を取得する。
なおこの場合、楽曲演奏中にユーザの操作指示があり、出力調整部204にてメロディ音および伴奏音のどちらか一方(若しくは両方)の音量が増減していることも考慮して、音量値情報を毎回取得している。
【0058】
そして、歌唱力採点部207は、音量値情報、および比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する(ステップS305)。たとえば、歌唱力採点部207は、メロディ音の音量と伴奏音の音量との対比に応じて係数値を定め、比較結果の得点に掛け合わせることにより、歌唱力を採点する。
【0059】
カラオケ装置200は、楽曲の再生が終了したか否かを判別し(ステップS306)、再生が終了していない場合(ステップS306;No)、ステップS301に処理を戻して、上述のステップS301〜S306の処理を繰り返し実行する。一方、再生が終了した場合(ステップS306;Yes)、カラオケ装置200は、歌唱力採点処理を終了する。
【0060】
このように、カラオケ装置200は、ユーザによる任意の調整指示に応じて、メロディ音の音量と伴奏音の音量とをそれぞれ調整した楽曲音を出力でき、そして、これらの音量の対比を考慮してユーザの歌唱力を採点する。
たとえば、メロディ音の音量が伴奏音の音量よりも大きく出力されている状態では、ユーザにとって、ガイドとなるメロディ音に合わせて歌唱するのが容易であるため、ある程度上手に歌っても、歌唱力が低く採点される。一方、メロディ音の音量が伴奏音の音量よりも小さく出力されている状態では、ユーザにとって、メロディ音に合わせて歌唱するのが困難であるため、ある程度上手に歌えば、歌唱力が高く採点される。
【0061】
すなわち、本実施形態では、メロディ音の音量を考慮して歌唱力を採点するため、ユーザのありのままの歌唱力を採点することができる。
【0062】
上記の実施の形態では、メロディ音の音量と伴奏音の音量との対比に応じて係数値を定め、比較結果の得点に掛け合わせることにより、歌唱力を採点する場合について説明したが、メロディ音の音量だけから係数値を定め、比較結果の得点に掛け合わせて歌唱力を採点してもよい。
この場合、伴奏音の音量の増減に影響されることなく、メロディ音の音量の増減および、比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点できる。
【0063】
上記の実施の形態では、ユーザの調整指示に基づいて、出力調整部204がメロディ音の音量および、伴奏音の音量の増減を行う場合について説明した。しかしながら、ユーザの歌唱力に応じて、自動的にメロディ音の音量等の増減を制御してもよい。
以下、カラオケ装置200の変形例(カラオケ装置400)について図4を参照して説明する。
【0064】
図4は、本発明の他の実施の形態に係るカラオケ装置400の概要構成を示す模式図である。
このカラオケ装置400は、上述した図2のカラオケ装置200の構成に加えて、音量制御部401をさらに備えている。
【0065】
音量制御部401は、比較部206の比較結果に基づいて、出力調整部204に制御信号を供給し、メロディ音の音量を制御する。
たとえば、出力調整部204は、楽曲の演奏が開始されると、メロディ音の音量と伴奏音の音量とを一致させる。具体的には、設定されている伴奏音の音量にメロディ音の音量を一致させる。
そして、音量制御部401は、比較部206から供給される比較結果(得点)が、規定値よりも高い場合に、メロディ音の音量を減少させ、逆に、規定値よりも低い場合に、メロディ音の音量を増加させる。
この場合、上手なユーザには、メロディ音の音量を減少させるため、より困難な状況で歌わせることができ、逆に、不得意なユーザには、メロディ音の音量を増加させるため、より容易な状況で歌わせることができる。
【0066】
(その他の実施形態)
上記の実施の形態では、ユーザの歌唱音声を一律に採点する場合について説明したが、楽曲を特徴付けるサビ(たとえば、楽曲中において感銘を与え得る部分であったり、繰り返して演奏される部分)の箇所に重きをおいて、ユーザの歌唱力を採点してもよい。
以下、本発明の他の実施の形態に係るカラオケ装置500について図5を参照して説明する。
【0067】
図5は、本発明の他の実施の形態に係るカラオケ装置500の概要構成を示す模式図である。
このカラオケ装置500は、上述した図2のカラオケ装置200の構成に加えて、区間判別部501をさらに備えている。なお、楽曲記憶部201には、予めサビの箇所を特定するためのサビ区間情報が記憶されているものとする。
【0068】
区間判別部501は、楽曲記憶部201からサビ区間情報を読み出し、現在再生されている楽曲がサビ区間であるか否かを判別する。そして、判別結果を歌唱力採点部207に供給する。
そして、歌唱力採点部207は、サビ区間における比較結果と、サビ区間以外における比較結果との関係に基づいて、歌唱力を採点する。
たとえば、歌唱力採点部207は、サビ区間において、比較結果となる得点(基本得点)に応じて係数を定め、基本得点に掛け合わせることにより、補正得点を算出する。なお、基本得点が規定得点以上の高得点の場合には、一律に満点に補正する。
【0069】
具体的には、サビ区間において、基本得点が80点以上の高得点である場合に、補正得点として100点に補正する。
また、基本得点が50点以上80点未満の場合に、係数値を0.75として定め、基本得点と乗算して補正得点を算出する。
さらに、基本得点が50点未満の場合に、計数値を0.5として定め、基本得点と乗算して補正得点を算出する。
なお、歌唱力採点部207は、サビ区間以外の区間において、基本得点をそのまま維持する。
【0070】
図6は、カラオケ装置500において実行される歌唱力採点処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。この歌唱力採点処理は、たとえば、楽曲記憶部201から、再生対象の任意の楽曲(MIDIデータおよび模範音声情報等)が選択された後に開始される。
【0071】
まず、楽曲再生部203は、楽曲音を再生し、また、画像再生部202は、表示画像を再生する(ステップS601)。
そして、ユーザが歌を歌うと音声入力受付部205は、ユーザの歌唱音声の入力を受け付ける(ステップS602)。
比較部206は、音声入力受付部205から供給された音声信号と、楽曲記憶部201に記憶される模範音声情報とを比較し、そして、比較結果を得点に換算して歌唱力採点部207に供給する(ステップS603)。
【0072】
また、区間判別部501は、楽曲記憶部201からサビ区間情報を読み出し、現在再生されている楽曲がサビ区間であるか否かを判別する(ステップS604)。そして、判別結果を歌唱力採点部207に供給する。
歌唱力採点部207は、サビ区間でないと判別した場合(ステップS604;No)、後述するステップS606に処理を進める。
【0073】
一方、サビ区間であると判別した場合(ステップS604;Yes)、歌唱力採点部207は、修正得点を算出する(ステップS605)。
たとえば、歌唱力採点部207は、基本得点に応じて係数を定め、基本得点に掛け合わせることにより、補正得点を算出する。なお、基本得点が80点以上の高得点の場合には、一律に100点(満点)に補正する。
【0074】
カラオケ装置500は、楽曲の再生が終了したか否かを判別し(ステップS606)、再生が終了していない場合(ステップS606;No)、ステップS601に処理を戻して、上述のステップS601〜S606の処理を繰り返し実行する。
一方、再生が終了した場合(ステップS606;Yes)、歌唱力採点部207は、得点を集計する(ステップS607)。
たとえば、図7(a)に示すように、サビ区間がそれぞれ100点に補正されている場合、歌唱力採点部207は、サビ以外の基本得点とサビ区間の補正得点とを合計して、最終得点(310点)を算出する。
また、図7(b)に示すように、サビ区間がそれぞれ45点に補正されている場合、歌唱力採点部207は、サビ以外の基本得点とサビ区間の補正得点とを合計して、最終得点(270点)を算出する。
歌唱力採点部207により最終得点が算出されると、カラオケ装置500は、歌唱力採点処理を終了する。
【0075】
このように、カラオケ装置500は、楽曲のサビの箇所(サビ区間)に重きをおいて、ユーザの歌唱力を採点している。そのため、人間が自然に判断する歌唱力と近い採点を行うことができる。
たとえば、上述の図7(b)は、楽曲全般を無難に歌った場合の一例であり、また、上述の図7(a)は、歌い出しに難点がありつつサビの箇所を極めて上手に歌った場合の一例である。
両者を一律に採点した従来のカラオケ装置では、図7(b)が300点(全基本得点の合計)となり、図7(a)が270点(全基本得点の合計)となって、楽曲全般を無難に歌った場合の方が優位となる。
これに対し、サビの箇所に重きをおいたカラオケ装置500では、図7(b)が270点(サビ区間で補正得点を採用)となり、図7(a)が310点(サビ区間で補正得点を採用)となって、歌い出しに難点がありつつサビの箇所を極めて上手に歌った場合が優位となる。
【0076】
すなわち、本実施形態では、サビの箇所に重きをおいて歌唱力を採点するため、人間が自然に判断する歌唱力と合致する採点を行うことができる。
【0077】
上記の実施の形態では、音量情報および比較結果に基づいて、歌唱力を採点する実施例と、サビ区間情報および比較結果に基づいて、歌唱力を採点する実施例とを、分けて説明したが、両者を統合して、メロディ音の音量および、サビ区間の両方を考慮して歌唱力を採点してもよい。
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザの歌唱力を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラオケ装置が実現される典型的なゲーム装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係るカラオケ装置の概要構成の一例を示す模式図である。
【図3】カラオケ装置にて実行される歌唱力採点処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】カラオケ装置の変形例を示す模式図である。
【図5】他の実施形態に係るカラオケ装置の概要構成の一例を示す模式図である。
【図6】他の実施形態に係るカラオケ装置にて実行される歌唱力採点処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】(a),(b)共に、得点計算を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0080】
100 ゲーム装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 マイク
106 コントローラ
107 外部メモリ
108 DVD−ROMドライブ
109 画像処理部
110 音声処理部
111 NIC
200,400,500 カラオケ装置
201 楽曲記憶部
202 画像再生部
203 楽曲再生部
204 出力調整部
205 音声入力受付部
206 比較部
207 歌唱力採点部
401 音量制御部
501 区間判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲情報および模範とすべき基準音声を規定する基準情報を記憶する楽曲記憶部と、
当該楽曲情報に基づいて、カラオケ楽曲を再生する楽曲再生部と、
再生される当該カラオケ楽曲中のサビ区間を判別する区間判別部と、
ユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける音声入力受付部と、
受け付けられた当該歌唱音声と当該基準情報にて規定される基準音声とを比較する比較部と、
少なくとも当該サビ区間における当該比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する歌唱力採点部とを備える、
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケ装置であって、
前記歌唱力採点部は、当該サビ区間における当該比較結果と、サビ区間以外における当該比較結果との関係に基づいて、歌唱力を採点する、
ことを特徴とするもの。
【請求項3】
楽曲記憶部を用いる歌唱力判定方法であって、前記楽曲記憶部は、楽曲情報および模範とすべき基準音声を規定する基準情報を記憶し、
当該楽曲情報に基づいて、カラオケ楽曲を再生する楽曲再生ステップと、
再生される当該カラオケ楽曲中のサビ区間を判別する区間判別ステップと、
ユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける音声入力受付ステップと、
受け付けられた当該歌唱音声と当該基準情報にて規定される基準音声とを比較する比較ステップと、
少なくとも当該サビ区間における当該比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する歌唱力採点ステップとを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
コンピュータを、
楽曲情報および模範とすべき基準音声を規定する基準音声情報を記憶する楽曲記憶部、
当該楽曲情報に基づいて、カラオケ楽曲を再生する楽曲再生部、
再生される当該カラオケ楽曲中のサビ区間を判別する区間判別部、
ユーザが歌う歌唱音声の入力を受け付ける音声入力受付部、
受け付けられた当該歌唱音声と当該基準情報にて規定される基準音声とを比較する比較部、
少なくとも当該サビ区間における当該比較結果に基づいて、ユーザの歌唱力を採点する歌唱力採点部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−108779(P2007−108779A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338213(P2006−338213)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【分割の表示】特願2003−379464(P2003−379464)の分割
【原出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】