説明

カラオケ装置主電源オフ制御システム

【課題】
カラオケボックスの各ルームの使用実態を考慮して、カラオケ装置の終了時刻を仮想設定することができると共に、各ルームに設置されたカラオケ装置の主電源オフを自動制御することにより、合理的にカラオケ装置をオフできるようにし、カラオケボックスの従業員に無駄な労力を要することのないシステムの提供を課題とする。
【解決手段】
カラオケ装置の稼働終了時刻の収集データし、収集した稼働終了時刻データに基づき、終了時刻を時刻範囲区分に統計処理を行い、時刻範囲区分毎に偏差値を算出し、算出した偏差値より仮想稼働終了時刻を設定することにより、設定した仮想終了時刻にカラオケ装置の主電源を自動的にオフ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ管理装置に接続された各カラオケ装置の稼働終了時刻の統計に基づき、当該カラオケ装置の主電源をオフ制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケボックスとは、一般的に、カラオケ装置が設置された個室カラオケルームを複数備えた店舗である。このカラオケボックスにおいて、カラオケ装置の電源を切る作業は、基本的に従業員が店舗の閉店後に各ルームを回り、一台づつ主電源をオフしている。よって、ルーム数が多い店舗や、ビルの各階にまたがってカラオケルームを備えた店舗では、従業員はその都度苦労しながらオフ作業を行っていた。このような問題に対して、特許文献1では、カラオケ装置に対して、予め設定された終了時刻に基づき、カラオケリモコン装置付帯の選曲用インターフェースを利用してオフタイマー設定を行い、設定された終了時刻になると、カラオケ装置の主電源を自動的にオフする技術が開示されている。また、特許文献2では、カラオケボックスのフロントに設置されたPCに、各ルームの予定開始時刻や予定終了時刻が管理されており、それぞれの時刻を入力すると、PCのタイマー機構を利用して、各ルームに設置されたカラオケ装置を自動的にオン・オフする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−99288号公報
【0004】
【特許文献2】特開平4−7690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1は、予め設定された終了時刻に従い自動的にカラオケ装置の電源をオフするものであるが、この終了時刻とは例えば閉店時刻を指し、カラオケボックス内の各ルームのカラオケ装置に対し、閉店時刻を迎えると、自動的にそれらの主電源をオフするものである。しかしながら、それぞれの終了時刻の設定はあくまでマニュアル操作であるため、各カラオケ装置への設定操作自体が従業員に労力を要するだけでなく、その設定値に確たる根拠もない状態では合理的な終了処理はできないことになる。次に、特許文献2でも、カラオケボックスのフロントにて、ルーム毎のカラオケ装置のオン・オフを集中制御できるように構成されていることから、従業員が店舗の開店前や閉店後に各ルームを回り、一台づつ主電源をオンまたはオフする手間はないものの、結局、各ルームを1部屋づつ訪れる手間に比べれば軽減されるかもしれないが、この技術であっても、ルーム毎に予定開始時刻や予定終了時刻を入力するマニュアル操作が必要であり、ルーム数が多い場合には、やはり、それぞれのタイマー値の設定を考えなければならず、また、入力操作自体にも労力を要するものである。
【0006】
上記のような技術を利用する際、各ルームの様式には関係なく一律に終了処理を行うこと、すなわち、タイマー値を一律に設定すれば、タイマー値入力操作の手間が掛らず好ましいとも言えるが、ここで重要なのは、カラオケボックスの各ルームには、それぞれ異なる様式があるということである。すなわち、比較的広く多人数(7人以上)を収容可能なパーティー用の部屋や、比較的狭く少人数(1から3人)用の部屋あるいはこれらの中庸の広さで中規模グループ(4から7人)用の部屋、あるいは、子供用のキッズルームや一人カラオケ用の極小部屋、あるいは録音専用の部屋などが設置されている店舗、さらには、同じような広さの部屋が複数ある店舗でも、内装が異なる雰囲気を醸し出すことで様式を異にしていることもあり、それぞれのルームは、その様式の個性から終了時刻も異なるものとなっているのが現状である。それにも拘わらず、一律に終了処理をしてしまうと、閉店時間にかけて使用が活発になる部屋もあれば、早期に使用されなくなる部屋もあり、各ルームの様式による使用実態に対して不合理な処理が行われてしまうことになる。また、例え、一律に設定せず、ルーム毎に終了時刻を設定できたとしても、その終了時刻の設定はあくまでマニュアル操作であるため、各カラオケ装置への設定操作自体が従業員に労力を要するだけでなく、その設定値に確たる根拠もない状態では合理的な終了処理はできないことになる。
【0007】
そこで、本発明者らは、各カラオケルーム様式に由来するそれぞれの部屋の使用実態を考慮して、カラオケ装置の終了時刻を好適に仮想設定できるようにすると共に、各ルームに設置されたカラオケ装置の主電源を自動制御して合理的にオフできるようにし、カラオケボックスの従業員に無駄な労力を要することのないカラオケ装置主電源オフ制御システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を鑑み、本発明者らは、カラオケ管理装置と各カラオケ装置とを接続し、当該各カラオケ装置の電源を制御するシステムであって、カラオケ管理装置内には、カラオケ装置毎に所定の期間における複数の稼働終了時刻データを管理する稼働終了時刻管理手段と、カラオケ装置毎の稼働終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分して、その区分内における稼働終了回数を統計処理し、当該時刻範囲区分毎の稼働終了回数の標準偏差を算出し、予め設定された偏差値以上を示す時刻範囲区分がある場合に、その最大値を示す時刻範囲区分の終点時刻を仮想稼働終了時刻として設定する仮想稼働終了時刻設定手段と、設定された終了時刻が到達した時点において、その該当するカラオケ装置に対して主電源オフ信号を送信する主電源オフ信号送信手段とを有し、一方、各カラオケ装置内には、送信されてきた主電源オフ信号を受信する主電源オフ信号受信手段と、主電源オフ信号を受信した際には、カラオケ装置の楽曲演奏状態も鑑みながら、主電源を自動的にオフさせるように制御する主電源オフ制御手段とを有するシステムを想到した。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1記載のカラオケ装置主電源オフ制御システムとは、カラオケ管理装置と各カラオケ装置とが接続されてなり、当該各カラオケ装置の電源を制御するシステムであって、前記カラオケ管理装置内には、稼働終了時刻管理手段と、仮想稼働終了時刻設定手段と、主電源オフ信号送信手段とを有してなり、前記各カラオケ装置内には、主電源オフ信号受信手段と、主電源オフ制御手段とを有してなるものであって、
前記カラオケ管理装置において、稼働終了時刻管理手段とは、任意の前記カラオケ装置の主電源オフを取得し、当該主電源オフの時刻を稼働終了時刻と見立て、当該カラオケ装置毎に所定の期間における複数の稼働終了時刻データを稼働終了時刻管理テーブルにて管理するものであり、仮想稼働終了時刻設定手段とは、任意の前記カラオケ装置毎に、前記稼働終了時刻管理テーブルにて管理されている稼働終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分して、その区分内における稼働終了回数を統計処理し、当該時刻範囲区分毎の稼働終了回数の標準偏差を算出し、予め設定された偏差値以上を示す時刻範囲区分がある場合に、その最大値を示す時刻範囲区分の終点時刻を仮想稼働終了時刻として設定し、主電源オフ信号送信手段とは、所定の時計機構を備え、任意の前記カラオケ装置毎に、前記仮想稼働終了時刻が設定されている場合、当該終了時刻が到達した時点において、その該当するカラオケ装置に対して主電源オフ信号を送信するものであり、
前記各カラオケ装置において、主電源オフ信号受信手段とは、前記送信されてきた主電源オフ信号を受信するものであり、主電源オフ制御手段とは、前記主電源オフ信号を受信した際には、現に演奏されておらず、かつ、演奏予約待ち行列に予約曲がない場合に、主電源を自動的にオフさせるように制御するものであることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の請求項2記載のカラオケ装置主電源オフ制御システムとは、請求項1のシステムにおいて、前記稼働終了時刻管理手段は、所定のカレンダー機構を備え、所定期間における複数の稼働終了時刻データを稼働終了時刻管理テーブルにて、予め設定された曜日毎に管理し、かつ、前記仮想稼働終了時刻設定手段は、当該曜日毎の稼働終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分して、その区分内における稼働終了回数を統計処理し、当該時刻範囲区分毎の稼働終了回数の標準偏差値を算出し、予め設定された偏差値に相当する時刻を仮想稼働終了時刻として曜日毎に設定し、さらに、主電源オフ制御信号送信手段は、前記曜日毎に当該終了時刻が到達して時点において、その該当するカラオケ装置に対して主電源オフ信号を送信することを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載のカラオケ装置主電源オフ制御システムとは、カラオケ装置の稼動終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分した統計処理に基づき、使用実態を反映した仮想稼動終了時刻が自動設定され、カラオケ装置の電源がオフ制御される。よって、従来のように、従業員が各ルームを1部屋づつ訪れ、設置されているカラオケ装置の主電源をオフにしたり、比較的広いパーティールームやキッズルームあるいは極小部屋等、異なる様式によって、通常に終了時刻が異なる部屋のそれぞれに対して、従業員が終了時刻入力のマニュアル操作を行う必要なく、すなわち無駄な労力を必要とせずに、各部屋の様式を考慮しつつ、カラオケ装置の電源オフ制御を効率的に行えるといった効果を奏する。そして、各ルームの様式に対応したカラオケ装置の主電源を自動的にオフにすることにより、ルーム毎に使用可能性の低い時間帯(閉店時間近傍)のカラオケ装置の無駄な電力消費を防ぐといった効果も奏する。
【0012】
さらに、本発明の請求項2記載のカラオケ装置主電源オフ制御システムとは、稼働終了時刻管理手段が所定のカレンダー機構を備え、カラオケ装置の稼動終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分した曜日毎の統計処理に基づき、仮想稼働終了時刻を曜日毎に設定することができる。よって、曜日により使用状況(例えば、平日と休日あるいは休日の前日などにおける使用状況)が大きく異なるカラオケ店舗では、さらに曜日毎の使用変動の実態に即した制御を行うことができるため、より効率的にカラオケ装置の電源オフ制御を行え、また、より効果的に無駄な電力消費を防げるといった効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のシステムを組み込んだカラオケシステムのブロック構成図である。
【図2】時刻区分範囲設定データの例である。
【図3】稼動終了時刻管理テーブル及び区分偏差値管理テーブルの概略図である。
【図4】所定期間を6ケ月とした場合の区分偏差値の算出例である。
【図5】時刻範囲区分毎の偏差値及び仮想終了時刻を示したグラフである。
【図6】主電源オフの時間計測から自動電源制御までの処理を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明のカラオケ装置主電源オフ制御システムについて適切な実施例を挙げ、先ずは、図1に示す「本発明のシステムを組み込んだカラオケシステムのブロック構成図」に基づき、本システムの全体構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明のシステムに関する主要構成部のブロック構成図である。本発明のカラオケ装置主電源オフ制御システムを組み込んだカラオケシステム(1)は、カラオケ管理装置(S)及び、これに接続された各カラオケ装置(Pn/n=1,2,3・・・)に内蔵された各種機能手段を用いて、稼働終了時刻データを収集した後に統計処理を行い、当該カラオケ装置(Pn)の主電源オフを制御するシステムである。
【0016】
ここで、各種機能手段について説明する。先ず、カラオケ管理装置(S)には、管理装置内の各種機能手段を制御するための中央制御手段(2)が備えられ、本システムに関する稼働終了時刻管理テーブル(T1)や区分偏差値管理テーブル(T2)、時刻範囲区分設定データ(DA)、及び仮想稼働終了時刻データ(ET)を記録するハードディスク(3)(以下HDD)と、当該各種の管理データなどを一時的に記憶する場合のRAM(4)が設けられている。
【0017】
そして、カラオケ管理装置(S)の中央制御手段(2)が制御する機能手段としては、カレンダー機構(C)を備え、任意のカラオケ装置(Pn)において、その主電源をオフにすると、そのオフ時刻を稼動終了時刻データとして一時的にRAM(4)に記憶し、その一時記憶された稼動終了時刻データは、速やかに時刻データ送信手段(10)からカラオケ管理装置(S)の時刻データ受信手段(11)に送信される。なお、本実施例では、カラオケ装置の主電源がオフされても、本システムに必要な予備電力がカラオケ装置内に通常に確保されるか、あるいは、主電源のオフ後、システム処理に必要な僅かな時間だけ内部電力が留保されるように構成されており、RAM(4)および時刻データ送信手段(10)には、処理に必要な電力が供給できるようにされている。このカラオケ管理装置(S)には、このように取得した稼働終了時刻データを曜日毎に稼働終了時刻管理テーブル(T1)に記憶するための、カレンダー機構(C)を備えた稼働終了時刻管理手段(5)が設けられている。そして、カラオケ事業者等が予め区分し記録している時刻範囲区分設定データ(DA)に従い、当該稼動終了時刻管理テーブル(T1)に記録されている稼動終了時刻データを区分毎に統計処理し、稼動終了時刻を設定する仮想稼動終了時刻設定手段(6)を備えている。さらに、主電源オフ信号送信手段(7)とは、時計機構(W)を備え、これを用いて、任意のカラオケ装置(Pn)毎に、仮想稼動終了時刻に到達したことが確認されたならば、該当するカラオケ装置、例えばカラオケ装置(P1)に対して主電源オフ信号を発信するものである。このカラオケ装置(P1)を含め各カラオケ装置(Pn)には、主電源オフ信号受信手段(8)と、主電源オフ制御手段(9)が設けられている。主電源オフ信号受信手段(8)とは、カラオケ管理装置(S)から送信された主電源オフ信号を受信するものであり、一方、主電源オフ制御手段(9)とは、当該オフ制御信号を受信した後に、カラオケ装置の楽曲演奏状態を鑑みながら、主電源を自動的にオフ制御するものである。なお、本実施例では、稼働終了時刻管理手段(5)はカレンダー機構(C)を備えているが、これは、曜日毎にカラオケ装置の利用状況の変動の大きいカラオケルームに対応させたものであるが、本発明はこれに限定されず、曜日毎に利用状況に変動が小さいカラオケルームでは、このようなカレンダー機構は必ずしも必要としない。
【0018】
次に、図2に示す「時刻区分範囲設定データの例」を用いて、本発明における稼動終了時刻データの時間区分とその範囲の設定について説明する。
【0019】
図2は、カラオケ事業者又はカラオケボックスの従業員が予め店舗の閉店時刻等を考慮し、当該閉店時刻より所定時刻を範囲指定し、範囲指定した時刻を所定時間区分し設定したときの設定例である。この設定された時刻範囲区分に従い、稼動終了時刻データの区分を行い、区分毎の統計処理を行う。本実施例では、開店時間を12時、閉店時間を0時とし、閉店時間の0時から6時間前の18時間までを範囲として指定、1時間毎に区分の設定を行った。よって、範囲区分としては、A,B,C,D,E,Fの6区分が設定されている。なお、この時刻範囲区分は、カラオケ事業者がデフォルト設定させても良いが、従業員が設定変更するための範囲区分入力手段(図示省略)を設け、店舗毎あるいは各カラオケルームにつき、自在に設定できるように構成しても構わない。
【0020】
次に、図3に示す「稼動終了時刻管理テーブル及び区分偏差値管理テーブルの概略図」を用いて、上記設定された時刻範囲区分と、実際にカラオケ装置の主電源オフを取得し、当該主電源オフの時刻を稼動終了時刻と見立て、所定期間における複数の稼動終了時刻データに基づく、仮想終了時刻の設定ついて説明する。
なお、本実施例では、本システムのオフ制御を行うための所定期間を過去6ヶ月としているが、本発明はこれに限定されず、稼動終了時刻データのサンプリング期間は、データ収集期間入力手段(図示省略)にて自在に設定できるものとしても構わない。また、本実施例では、所定のサンプリング期間後は稼動終了時刻データの収集を行わず、一旦、仮想終了時刻が設定された場合、これは変更されないが、本発明はこれに限定されず、自動的にオフ制御が行われている最中でも日々サンプリングを行っても構わない。すなわち、本システムを利用した場合、仮想終了時刻が設定されれば自動的にオフ制御されるため、通常は、その仮想終了時刻が収集されることになるが、上述したように、演奏中であったり、予約待ち行列に予約楽曲があったりすると終了時刻が伸びたり、さらに、システムに頼らずマニュアル操作で主電源をオフする場合もあるため、そのような終了時刻データも加味しながら、日々、その日から遡った所定期間のデータに基づき、仮想終了時刻を日々変化させるように構成しても構わない。
【0021】
図3の(a)稼動終了時刻管理テーブル(T1)とは、カラオケボックスのルームAに設置されたカラオケ装置の6ヶ月間の稼動終了時刻データを時刻範囲別に区分し、稼動終了時刻管理テーブルに記録したものである。この稼動終了時刻管理テーブルの構成要件として、カラオケ装置が設置されているカラオケボックスのルーム名やルーム番号を示す「ルーム名」フィールド(f1)と、管理番号を示す「番号」フィールド(f2)と、主電源がオフされた日付を示す「日付」フィールド(f3)と、曜日を示す「曜日」フィールド(f4)と、主電源がオフされた時刻を示す「終了時刻」フィールド(f5)と、予め設定された時間区分範囲に従い、当該終了時刻を区分し示す「時刻範囲区分」フィールド(f6)から構成されている。
【0022】
そして、(b)区分偏差値管理テーブル(T2)とは、稼動終了時刻管理テーブル(T1)にて、区分された稼動終了時刻データに基づき、時刻区分毎に偏差値を算出し、算出された偏差値が所定以上の区分に対して仮想稼動終了時刻を設定したものである。この区分偏差値管理テーブル(T2)の構成要件として、ルーム名やルーム番号を示す「ルーム名」フィールド(f1)と、管理番号を示す「番号」フィールド(f2)と、時刻範囲区分を示す「時刻範囲区分」フィールド(f3)と、稼動終了時刻データを統計処理し、区分毎に算出した偏差値を示す「区分偏差値」フィールド(f4)と、予め設定された偏差値移以上の区分を示す「仮想終了時刻」フィールド(f5)から構成されている。なお、本実施例では、カラオケ事業者やカラオケボックスの従業員等が、予め区分偏差値を60と設定し、よって、偏差値60以上の区分であるE区分の終点時刻が仮想終了時刻として設定されている。そして、本発明では、偏差値60以上の時刻区分が複数あった場合には、その最大値を示す時刻区分の終点時刻を仮想稼動終了時刻として設定するように構成される。ここで、万一、全く同一の最大値を示す時刻区分が複数あった場合には、最も後の時刻に位置する時刻区分の終点時刻が設定対象となる。なお、時刻範囲区分毎の偏差値の算出に関しては、以下にて改めて説明する。
【0023】
次に図4に示す「所定期間を6ケ月とした場合の区分偏差値の算出例」を用いて、時刻区分毎の稼動終了回数及び、稼動終了回数に基づく区分毎の偏差値の算出に関して説明する。
【0024】
図4の(a)6ヶ月間の区分偏差値を示す図とは、稼動終了時刻管理データ基づき、当該データにより、過去6ヶ月の区分Aから区分Fまでの時刻範囲区分の主電源のオフ回数、すなわち、稼動終了回数の統計処理を行い、区分別の偏差値を算出した図である。そして、(b)区分偏差値の算出例の算出手順としては、図中に表示したように、数学では一般的な公式を利用するものである。詳しくは、先ず、区分毎に稼動終了回数(Xi:i=1から6)を合計し、その稼動終了回数の総合計回数(Xg:ΣXi
i=1から6/210)を求め、その総合計回数(Xg)と区分数(i=6)から区分平均回数(μ/35.0)を算出する。そして、この区分毎の稼動終了回数(Xi)と算出された平均回数(μ)より、分散値(σ2)と標準偏差(σ)が得られ、最終的に区分毎の偏差値(Si:i=1から6)が求められる。
【0025】
そして、図5に示す「時刻範囲区分毎の偏差値及び仮想終了時刻を示したグラフ」とは、上述の如く算出された区分偏差値(Si:i=1から6)より、予め定められた偏差値60以上の区分に対して設定される仮想終了時刻を示したものである。すなわち、グラフに示すように、区分E(22時から23時)の区分範囲の偏差値が63.3であり、予め定められた偏差値60以上であるために仮想終了時刻(ET)は、区分Eの時刻範囲区分の終点時刻である23時に設定されることになる。なお、各時刻範囲区分の始点時刻と終点時刻とは厳密には一致するものではないが、本発明では、○○時59分59秒…は、○○+1時と同義(例えば、9時59分59秒は10時として捉える)として設定される。
【0026】
次に、図6に示す「主電源オフの時間計測から自動電源制御までの処理を示すフロー」について説明し、稼動終了時刻データの管理及び仮想終了時刻の設定と主電源のオフ制御までの流れについて説明する。
【0027】
先ず、図6の(a)主電源オフから稼動終了時刻の管理までのフローとは、カラオケ装置の主電源オフより取得した稼動終了時刻データを稼動終了時刻管理テーブルにて管理するまでの処理を示すものである。カラオケ装置の主電源がオンされると(S1)、如何なるタイミングでも当該カラオケ装置の主電源のオフがされたか否かが判断され(S2)、主電源オフの判断がなされた場合には、その稼動終了時刻データを取得し(S3)、この取得したデータの時刻が何れかの範囲区分なのか判別され(S4)、予め設定された時刻範囲区分に従い、当該稼動終了時刻データと1回分の稼動終了回数をカウントし、稼動終了時刻管理テーブルにて記録し管理する(S5)。なお、このフローでは示していないが、本実施例では、主電源がオンされると前回の主電源オフ時に起動されたタイマーが、その前回のオフ時刻から今回のオン時刻までの時間を計測し、所定の時間(例えば、5時間)以上であるならば、管理されているデータはそのまま残し、以下であればデータを消去する。すなわち、本実施例のシステムでは、一時的なオフと区別するため、所定時間(休業時間)以上のオフした時刻を適切な稼動終了時刻と判断する機能を有している。
【0028】
次に、(b)仮想終了時刻の設定から主電源オフ制御の処理までのフローとは、上述した稼動終了時刻管理テーブルにて管理されている稼動終了回数に基づき、所定の時刻範囲区分毎の偏差値を算出し、算出した偏差値より仮想終了時刻の設定を行い、設定された仮想終了時刻に主電源をオフ制御する処理を示したものである。先ず、時刻範囲区分毎に管理されている稼動終了回数から得られた平均値及び標準偏差に基づき、時刻範囲区分毎の偏差値を算出し(S6)、算出された偏差値が予め設定された設定値以上を示す時刻範囲区分があるか否かが判別され(S7)、設定値以上を示す時刻範囲区分がない場合には、時刻範囲区分の終点時刻(すなわち「閉店時刻」)になったら、カラオケ管理装置が、カラオケ装置に主電源オフ信号を送信し(S8)、カラオケ装置は主電源オフ信号を受すると、主電源のオフ制御を行う(S9)。一方、算出された偏差値に予め設定された偏差値以上の時刻区分がある場合には、当該時刻範囲区分の終点時刻を仮想稼動終了時刻として設定し(S10)、時計機構の時刻に基づき、仮想稼動終了時刻に到達(S11)した場合には、主電源オフ信号発信手段をもって、カラオケ管理装置は主電源オフ信号をカラオケ装置に送信し(S12)、カラオケ装置は主電源オフ信号を受信後(S13)に、楽曲が演奏されておらず、予約待ち行列にも予約楽曲が無いと確認した(S14)場合には、速やかに主電源をオフ制御する(S15)が、あると確認した場合には、何れもが無くなったタイミングにて主電源をオフ制御する(S15)。
【0029】
以上のように、本発明のカラオケ装置主電源オフ制御システムとは、各ルーム様式に由来するそれぞれの部屋の使用実態を考慮し、カラオケ装置の終了時刻を仮想想定できるようにすると共に、各ルームに設置されたカラオケ装置の主電源を合理的にオフできることにより、カラオケボックスの従業員に無駄な労力を要することをなくすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 カラオケシステム
2 中央制御手段
3 HDD
4 RAM
5 稼働終了時刻管理手段
6 仮想稼働終了時刻設定手段
7 主電源オフ信号発信手段
8 主電源オフ信号受信手段
9 主電源オフ制御手段
10 時刻データ送信手段
11 時刻データ受信手段
S カラオケ管理装置
Pn カラオケ装置
T1
稼働終了時刻管理テーブル
T2 区分偏差値管理テーブル
DA 時刻範囲区分データ
ET 仮想稼働終了時刻データ
W 時計機構
C カレンダー機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ管理装置と各カラオケ装置とが接続されてなり、当該各カラオケ装置の電源を制御するシステムであって、前記カラオケ管理装置内には、稼働終了時刻管理手段と、仮想稼働終了時刻設定手段と、主電源オフ信号送信手段とを有してなり、前記各カラオケ装置内には、主電源オフ信号受信手段と、主電源オフ制御手段とを有してなるものであって、
前記カラオケ管理装置において、
(ア)稼働終了時刻管理手段とは、任意の前記カラオケ装置の主電源オフを取得し、当該主電源オフの時刻を稼働終了時刻と見立て、当該カラオケ装置毎に所定の期間における複数の稼働終了時刻データを稼働終了時刻管理テーブルにて管理するものであり、
(イ)仮想稼働終了時刻設定手段とは、任意の前記カラオケ装置毎に、前記稼働終了時刻管理テーブルにて管理されている稼働終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分して、その区分内における稼働終了回数を統計処理し、当該時刻範囲区分毎の稼働終了回数の標準偏差を算出し、予め設定された偏差値以上を示す時刻範囲区分がある場合に、その最大値を示す時刻範囲区分の終点時刻を仮想稼働終了時刻として設定し、
(ウ)主電源オフ信号送信手段とは、所定の時計機構を備え、任意の前記カラオケ装置毎に、前記仮想稼働終了時刻が設定されている場合、当該終了時刻が到達した時点において、その該当するカラオケ装置に対して主電源オフ信号を送信するものであり、
前記各カラオケ装置において、
(エ)主電源オフ信号受信手段とは、前記送信されてきた主電源オフ信号を受信するものであり、
(オ)主電源オフ制御手段とは、前記主電源オフ信号を受信した際には、現に演奏されておらず、かつ、演奏予約待ち行列に予約曲がない場合に、主電源を自動的にオフさせるように制御するものであり、
ことを特徴とするカラオケ装置主電源オフ制御システム。
【請求項2】
前記稼働終了時刻管理手段は、所定のカレンダー機構を備え、所定期間における複数の稼働終了時刻データを稼働終了時刻管理テーブルにて、予め設定された曜日毎に管理し、かつ、前記仮想稼働終了時刻設定手段は、当該曜日毎の稼働終了時刻データを予め設定された時刻範囲に区分して、その区分内における稼働終了回数を統計処理し、当該時刻範囲区分毎の稼働終了回数の標準偏差値を算出し、予め設定された偏差値に相当する時刻を仮想稼働終了時刻として曜日毎に設定し、さらに、主電源オフ信号送信手段は、前記曜日毎に当該終了時刻が到達した時点において、その該当するカラオケ装置に対して主電源オフ信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置主電源オフ制御システム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−277002(P2010−277002A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131642(P2009−131642)
【出願日】平成21年5月30日(2009.5.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】