カラオケ装置
【課題】リクエスト曲の演奏待ち行列および任意に設定したイベント期間が自動的に時系列上で整合して配列されるようにし、店舗運営者などがカラオケ装置を操作管理する煩わしい作業を一掃する。
【解決手段】楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開示時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにする。
【解決手段】楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開示時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケの歌唱者の要求にもとづいてリクエスト曲の演奏を予約し、登録された演奏待ち行列の順序に従ってカラオケ演奏が行われるようにするとともに、前記演奏待ち行列における特定の時間帯にイベント期間が介在できるようにしたカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にカラオケ装置によるカラオケ演奏では、カラオケ歌唱者が希望する楽曲をリモコン送信機により指定して登録し、この登録順序に従って時系列に配列された演奏待ち行列にもとづいてカラオケ演奏が実行される。このような機能を備えたカラオケ装置は、予約設定部、予約登録部、予約実行部などからなる演奏制御部を備え、利用者インターフェイスによって受け付けたリクエスト曲の予約登録を行う。そして、予約登録部にはその演奏待ち行列が登録され、予約実行部は、その演奏待ち行列の形でスタックされているリクエスト曲を予約順に取り出し、演奏が可能となるようにしている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3515061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来のカラオケ装置による場合は、リクエスト曲の予約登録順に演奏待ち行列が構成されるが、この予約登録は、例えば、カラオケ装置設置店舗の閉店時間を超える予約を拒否したり、また、演奏待ち行列内の特定のリクエスト曲の予約がキャンセルされた場合、次順位のリクエスト曲が繰り上げて登録されるなどの機能を備えている。したがって、予約登録されたリクエスト曲は自動的に連続して演奏されるため、カラオケ装置の利用者および店舗運営者は装置の煩わしい操作から解放されることになる。
【0004】
ところで、近年、カラオケ装置を設置した店舗の運営形態の変化が著しくなり、前述したように、単にリクエスト曲を連続して演奏するのみでなく、特定の時間帯に店舗が主催するイベントなどを来店者に提供するような試みがある。このような運営形態では、例えば、図11に示すようにリクエスト曲S1〜S6が配列されて演奏待ち行列が構成され、予約登録されている場合において、イベント開始時刻te1が午後8時であり、イベント終了時刻te2が午後9時であるとする。
【0005】
そして、リクエスト曲S3の演奏終了時刻ta4が午後8時であるとすると、この演奏終了時刻ta4に継続してイベントが開始されるようにし、イベント終了時刻te2に継続してリクエスト曲S4の演奏が再開されるようにしなければならない。即ち、かかる状態は図12に示すように、演奏待ち行列の時系列上で午後8時に達したリクエスト曲の直後にイベント期間が割り込みを行うことになり、イベント期間の終了後に演奏待ち行列の未演奏のリクエスト曲S4からカラオケ演奏が再び開始されることになる。
【0006】
かかる設定、即ち、図12に示すように演奏制御されるようにするには、その前提条件として実時間上の現在時刻からイベント開始時刻te1までの時間幅がどの程度であり、この時間内にリクエスト曲を何曲登録できるかを判断しなければならない。そこで、一般的に実施されている手段は、店舗運営者がイベント開始時刻te1を監視し、その時刻の到来に合わせてカラオケ装置を操作して演奏待ち行列の進行を一時停止する。そして、イベント終了時刻te2に達した時刻で再びカラオケ装置を操作し、演奏待ち行列の未演奏のリクエスト曲を演奏するようにしている。
【0007】
また、他の手段による場合は、カラオケ装置のいわゆる「単曲入力モード」のマニュアル操作によりリクエスト曲を予約設定し、設定されたリクエスト曲の演奏時間の積算値から判断してイベント開始時刻te1までの時間内で演奏可能のリクエスト曲の予約登録を受け付け、カラオケ演奏を行う。なお、イベント期間中においてもリクエスト曲の予約登録は可能であるが、この予約登録はイベント期間終了後の演奏待ち行列に配列される。そして、イベント終了時刻te2に至ると、再度マニュアル操作により残る演奏待ち行列のリクエスト曲の演奏を再開するようにしている。
【0008】
このように、前記各手段によりイベント期間を設けるには、店舗運営者などがカラオケ装置を直接操作して管理する必要があるため煩瑣な作業となり、店舗運営の合理性を向上することができない。また、前記のようなマニュアル操作による強制的なイベント期間の設定は時刻制御に影響を及ぼすため、予約リストのモニタ表示においてリクエスト曲の歌唱開始時刻を正確に表示できなくなるなどの不具合の要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたものであり、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開始時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにする。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻に達したとき演奏を終了しているリクエスト曲の次順位のリクエスト曲がイベント終了時刻に達した時点から演奏されるようにする。
【0011】
請求項3記載の発明では、イベント開始時刻に達した時点において演奏が継続されているリクエスト曲を強制的に中断するとともに、イベント終了時刻に達した時点から前記により中断された当該リクエスト曲の演奏を開始するようにする。
【0012】
請求項4記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、リクエスト曲がイベント開始時刻を超えて終了するとき、その超過相当の時間を遅延させた時点をイベント開始時刻となるようにする。
【0013】
請求項5記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻前にリクエスト曲が終了するとき、その終了時点をイベント開始時刻となるようにする。
【0014】
請求項6記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されているリクエスト曲の何れかがキャンセルされたとき、イベント終了時刻後の演奏待ち行列に配列されている先頭のリクエスト曲からイベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されるようにする。
【0015】
請求項7記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲に関する情報と、イベントに関する情報を時系列に配列して可視的に表示するようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにしたことから、イベント期間の前および/または後に演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を時系列上で一致するように配列できるようにしたので、リクエスト曲の演奏とイベント期間の整合を自動的に行うことができ、これにより、演奏待ち行列内にイベント期間を設けるためのカラオケ装置に対する人為的作業を一掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の全体の構成の概略を示すもので、本発明の理解を容易とするため、まず、同図に示す各部の構成を具体的に説明する。
【0018】
図1における符号1はカラオケ装置の各部を制御する中央演算処理装置(以下、CPUという)であり、このCPU1には、システムBUSを介してROM2、RAM3、通信制御部4、ハードディスク装置(以下、HDDという)5、リモコン受信部6、音源装置7、文字表示部8、表示制御部9、音声データ処理部10、楽曲予約設定部11、イベント予約設定部12、演奏制御部13が接続されている。
【0019】
前記ROM2には、本発明のカラオケ装置の電源投入時に初期設定を行う起動プログラムが記憶されており、装置の電源が投入されると、この起動プログラムによりHDD5に記憶されているシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムがRAM3にロードされる。また、前記HDD5には、前記システムプログラムおよびアプリケーションプログラムのほか、カラオケ演奏時に再生される楽曲データが記憶されている。
【0020】
図2は、HDD5に記憶されている数万曲の楽曲データの1曲分の楽曲データのフォーマットを示すもので、ヘッダ、楽音トラック、ガイドメロディトラック、歌詞トラック、音声トラック、効果トラック、音声データ部により構成されている。ヘッダには、楽曲データに関する種々の情報が書き込まれており、例えば、曲番号、曲名、ジャンル、発売日、演奏に関する情報が書き込まれている。この演奏情報は、図3に示すように当該楽曲の総演奏時間d1、前奏時間d2、区間演奏時間d3、間奏時間d4、後奏時間d5などの各時間データで構成される。
【0021】
CPU1は、カラオケ演奏時にシーケンスプログラムに基づき、楽音トラックから効果トラックまでの全トラックのデータを並行して読み出す。楽曲トラックには、メロディトラック、リズムトラックをはじめとして各種のパートのトラックが形成されており、ガイドメロディトラックには、そのカラオケ曲の旋律、即ち、歌唱者が歌うべき旋律のシーケンスデータが書き込まれている。なお、CPU1は、このデータに基づいてリファレンスの音高データ、音量データを生成し、歌唱音声と比較する。
【0022】
歌唱トラックは、メインモニター14の画面に歌詞を表示するためのシーケンスデータを記憶したトラックであり、このシーケンスデータは楽音データではないが、インプリメンテーションの統一をとって作業工程を容易にするため、MIDIデータで記述され、データの種類は、システムエクスクルーシブメッセージである。この歌詞トラックは、通常、メインモニター14の画面上に表示される1行分の歌詞を1つの歌詞表示データとして扱う。歌詞表示データは、1行の歌詞の文字データ(文字コードおよびその文字の表示座標)、表示時間およびワイプシーケンスデータからなる。このワイプシーケンスデータは、楽曲の進行に合わせて歌詞の表示色を変更してゆくためのシーケンスデータであり、表示色を変更するタイミング(歌詞が表示されてからの時間)と変更位置(座標)が1行分の長さにわたって順次記録されているデータである。
【0023】
音声トラックは、音声データ部に記憶されている音声データn(n=1,2,3,・・・・)の発生タイミングなどを指定するシーケンストラックである。音声トラックには、音声指定データと、音声指定データの読出間隔、即ち、音声データを音声データ処理分10に出力して音声信号を形成するタイミングを指定するデュレーションデータが書き込まれている。音声指定データは、音声データ番号、音程データおよび音量データからなり、前記音声データ番号は、音声データ部に記録されている各音声データの識別番号nである。
【0024】
つぎに、通信制御部4は、情報通信ネットワークを介してホストステーションから楽曲データなどをダウンロードし、内蔵しているDMAコントローラにより受信した楽曲データをCPUを介さずに直接HDD5に書き込む。リモコン受信部6は、リモコン送信機15から送られてくる赤外線コード信号を受信して入力データを復元する。リモコン送信機15は、選曲スイッチなどのコマンドスイッチやテンキースイッチなどを備えており、利用者がこれらのスイッチを操作すると、その操作に応じたコードで変調された赤外線コード信号を送信する。
【0025】
音源装置7は、楽曲データの楽音トラックデータに基づいて形成された楽音信号をD/A変換器16へ送出する。音声データ処理部10は、楽音データに含まれる音声データに基づき、指定された長さ、指定された音高の音声信号を形成する。この音声データ処理部10および前記音源装置7の各々が形成した音声信号がカラオケ演奏音となる。そして、このカラオケ演奏音は、D/A変換器16によりアナログ信号に変換された後、音響装置17へ出力され、スピーカシステム18から発音される。一方、歌唱用のカラオケマイク19a・19bから入力した歌唱音声信号は、プリアンプ20a・20bで増幅された後、前記音響装置17へ入力して増幅され、スピーカシステム18から発音される。
【0026】
文字表示部8は、入力される文字コードに基づいてフォントデータを読み出し、曲名や歌詞などの文字パターンを生成して表示制御部9へ出力する。また、HDD5は、入力された映像選択データに基づき、対応する背景映像を再生し、表示制御部9へ出力する。映像選択データは、選択されたカラオケ曲のジャンルデータに基づいて決定されるもので、このジャンルデータは、楽曲データのヘッダに書き込まれており、カラオケ演奏の開始時にCPU1により読み出される。
【0027】
CPU1は、ジャンルデータに基づいて再生する背景映像を選択し、その背景映像を指定する映像選択データによりHDD5から背景映像が選択され、映像データとして出力される。この映像データと文字表示部8から出力される歌詞などのフォントデータは、表示制御部9においてスーパーインポーズされ、その合成画像がメインモニター14の画面に表示される。
【0028】
つぎに、楽曲予約設定部11は、RAM構成の記憶装置を主体に構成されるもので、図4(A)に示す演奏データレジスタおよび図4(B)に示す予約テーブルが設定される。演奏データレジスタには、現在演奏中の楽曲の曲名コード、全演奏時間およびどの程度演奏が進行しているかを示す演奏経過時間を示すデータが記憶される。また、予約テーブルには、現在演奏されているリクエスト曲S0およびその楽曲以降に予約されているリクエスト曲(S1〜S6)の曲名コードおよび全演奏時間が予約順に、図5に示すように記憶され、これが演奏待ち行列となる。
【0029】
図6は、前記演奏待ち行列に基づく予約リストの表示例を示すもので、リモコン送信機15からのコマンド指示により同図に示すようなイベント予約のない状態の予約リストがサブモニター14aに表示される。この予約リストは、リクエスト曲の演奏順とその曲名および演奏が開始されるまでの待ち時間が表示される。
【0030】
イベント予約部12は、やはりRAM構成の記憶装置を主体に構成されるもので、リモコン送信機15あるいはカラオケ装置に設けたスイッチ機能による利用者インタフェイスからイベント期間(例えば、午後8時〜9時)を指定して設定される。このイベント期間は、その予約の解除およびイベント期間の時間帯の変更が可能となるようにしておく。
【0031】
演奏制御部13は、前記楽曲予約設定部11で構成された演奏待ち行列とイベント予約部12で設定されたイベント期間を実時間に対応する時系列上で配列される状態とし、これに基づく演奏制御信号をCPU1へ送出して演奏制御を行う。即ち、演奏制御部13に時系列上の特定の時間帯をイベント期間として設定し、現在時刻からこのイベント期間の開始時刻までの時間帯に演奏可能の数のリクエスト曲を演奏待ち行列の先順位から割り振って配列し、残るリクエスト曲をイベント期間の終了時刻後に割り振るようにしている。
【0032】
つぎに、かかる処理の一例を図7に示すフローチャートおよび時間軸上に演奏待ち行列とイベント期間が配列された状態を模式的に表現した図8を参照して以下に説明する。なお、カラオケ装置を稼動するにあたり、予め店舗運営者によりイベント設定(開始時刻:午後8時、終了時刻:午後9時とする)がイベント予約設定部12になされているものとする。したがって、イベント設定がなされ、カラオケ装置にリクエスト曲が入力されていない状態は図8(A)に示すようにイベント開始時刻te1(午後8時)およびイベント終了時刻te2(午後9時)のみが設定された状態となる。
【0033】
かかる状態において歌唱希望者によるリモコン送信機15の操作によりリクエスト曲を予約する信号が送信されると、リモコン受信部6がこれを受信する(ステップSa1)。リクエスト曲を受信すると、イベントの予約設定の有無が判断され(ステップSa2)、イベントが設定されていない場合(当初からイベントを設定しない場合またはイベントが終了した場合)は、通常の演奏待ち行列を構成すべく、ステップSa9へ移行する。
【0034】
ステップSa2においてイベントの設定が有ると判断された場合は、「(イベント時刻−現在時刻)≧ 演奏時刻」なる判断処理が演算制御部13でなされる(ステップSa3)。即ち、現在時刻からイベント開始時刻である午後8時までにどの程度の時間幅があり、この時間幅内にリクエスト曲の全演奏時間を収めることが可能であるかをリクエスト曲の受信毎に判断され、この判断処理によりイベント開始前の演奏待ち行列に登録可能とされたリクエスト曲は、リクエストの先順位から演奏待ち行列に登録される。
【0035】
図8(B)は、上記判断処理に基づいてリクエスト曲S1が演奏待ち行列の時刻ta1に配列された状態を示すもので、この演奏待ち行列への配列がなされるとリクエスト曲S1の演奏開始の指示が演奏制御部13から送出されリクエスト曲S1の演奏が開始される。そして、リクエスト曲S1の演奏中にも2曲目のリクエスト曲S2がリクエストされると、図8(C)に示すように1曲目のリクエスト曲S1の終了時刻ta2に連続して配列される。
【0036】
このようにしてリクエスト曲が演奏待ち行列に順次配列されることにより、イベント開始時刻te1前に残された時間幅が次第に減少し、更に追加されるリクエスト曲がイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に収容できないとステップSa3で判断されたとき、以後のリクエスト曲は図8(D)に示すようにイベント終了時刻te2後の演奏待ち行列に配列される。したがって、同図ではイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列にリクエスト曲S1〜S5が配列され、イベント終了時刻te2後の待ち行列にリクエスト曲S6〜S9が配列された状態を示す。図9は、このようにして構成された演奏待ち行列に基づく予約リストの表示例を示すもので、リモコン送信機15からのコマンド指示により同図に示すようなイベント予約のある状態の予約リストがメインモニター14またはサブモニター14aに表示される。
【0037】
かかる演奏待ち行列が構成された状態において、図8(E)に示すようにリクエスト曲S1の演奏が終了してリクエスト曲S2の演奏が進行している過程でリクエスト曲S4の予約登録がキャンセルされると、演奏制御装置13は図4(B)に示す予約テーブルを書き換え、以降のリクエスト曲S5〜S9を図8(F)に示すように繰り上げて演奏待ち行列に空白の期間が生じないようにする。
【0038】
このようにしてリクエスト曲の演奏が順次進行し、図8(G)に示すようにイベント開始時刻te1に達すると(ステップSa6)、イベント終了時刻te2までの間がカラオケ演奏を一時休止している期間、即ち、イベント期間となり、店舗運営者は予め企画したイベントを開催するなどこの期間を利用することが可能となる。そして、イベント終了時刻te2に達すると(ステップSa7)、イベント終了時刻te2後に配列された図8(H)に示すリクエスト曲S7〜S9が順次演奏されることになる(ステップSa8)。なお、前記イベント期間においてもリクエスト曲の予約登録は可能であり、リクエスト曲S9が最後の予約登録である場合、以後のリクエスト曲の予約登録はこれに継続されることになる。
【0039】
以上に説明した処理態様は、イベント開始時刻te1とイベント終了時刻te2を確定して定めた状態に基づくもので、イベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に残る時間幅にリクエスト曲の収容可否の判断をステップSa3で行う。したがって、例えば、演奏待ち行列に残る時間幅が3分58秒であり、このとき受け付けたリクエスト曲の全演奏時間が4分2秒である場合は、このリクエスト曲はイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に収容できないとステップSa3で判断され、イベント終了時刻te2後の演奏待ち行列に配列されることになる。
【0040】
したがって、イベント開始時刻te1前の演奏待ち時間に残る時間幅3分58秒は空白の期間として残ることになる。かかる不具合を解消するためには、ステップSa3による判断を省略し、イベント開始時刻te1前に残る時間幅が受け付けたリクエスト曲を収容できない場合でも、これを演奏待ち行列に配列することも可能とすることができる。この場合、イベント開始時刻te1に達したとき、演奏中のリクエスト曲をフェーズダウンなどで中断することにより、イベント開始時刻te1を正確に確保することができる。なお、中断されたリクエスト曲は、イベント終了時刻te2後に最優先で再び演奏されるように演奏制御部13で演奏待ち行列を再構成するようにすればよい。
【0041】
一方、イベント開始時刻te1が厳密に実時間と一致しなくてもよい場合、即ち、リクエスト曲の全演奏時間が通常4分前後であり、この程度の時間の差を容認できるとする場合は、イベント開始時刻te1をシフトし、リクエスト曲の演奏終了時刻に整合させることにより空白の時間帯が生じるのを防止することができる。
【0042】
図10(A)は、イベント開始時刻te1の直前のリクエスト曲S5がイベント開始時刻te1を超えて終了する状態、即ち、リクエスト曲S5の演奏終了時刻がイベント開始時刻te1を+Δtだけ超えた状態であり、この場合は、イベント開始時刻をte1+Δtとし、イベント終了時刻をte2+Δtとしてこの時刻をリクエスト曲S6の演奏開始時刻tb1+Δtとする。
【0043】
一方、図10(B)は、イベント開始時刻te1の直前のリクエスト曲S5がイベント開始時刻te1以前に終了する状態、即ち、リクエスト曲S5の演奏終了時刻がイベント開始時刻te1より−Δtだけ早く終了する状態であり、この場合は、イベント開始時刻をte1−Δtとし、イベント終了時刻をte2−Δtとしてこの時刻をリクエスト曲S6の演奏開始時刻tb1−Δtとする。
【0044】
以上の説明は、イベント期間の前後に演奏待ち行列を配列するようにしたものであるが、イベント期間の終了後に演奏待ち行列を配列しない場合がある。これは、例えば、イベントの内容が店舗の営業の終了を伝達するためのセレモニーである場合、イベント開始時刻te1を営業終了時刻の直前に設定し、イベント終了時刻te2以降に演奏待ち行列が配列されないようする。かかる処理は、ステップSa3の否定判断の直後にイベント期間の終了後に演奏待ち行列の配列の要否を判断する処理ステップを設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】楽曲データのフォーマットを示す図である。
【図3】楽曲データの構成を示す図である。
【図4】楽曲予約設定部の構成を示す図である。
【図5】演奏待ち行列の構成を示す図である。
【図6】予約リストのモニター表示の例を示す図である。
【図7】本発明のカラオケ装置の処理の流れを示す図である。
【図8】本発明による演奏待ち行列の例を示す図である。
【図9】予約リストのモニター表示の例を示す図である。
【図10】イベント期間のシフトの状態を示す図である。
【図11】従来のシステムにおける演奏待ち行列の例を示す図である。
【図12】イベント期間を設定した演奏待ち行列の例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・・・・中央演算処理装置(CPU)
2・・・・・・ROM
3・・・・・・RAM
4・・・・・・通信制御部
5・・・・・・ハードディスク装置(HDD)
6・・・・・・リモコン受信部
7・・・・・・音源装置
8・・・・・・文字表示部
9・・・・・・表示制御部
10・・・・・音声データ処理分
11・・・・・楽曲予約設定部
12・・・・・イベント予約設定部
13・・・・・演奏制御部
14・・・・・メインモニター
14a・・・・サブモニター
15・・・・・リモコン送信機
16・・・・・D/A変換器
17・・・・・音響装置
18・・・・・スピーカシステム
19・・・・・カラオケマイク
20a・・・・プリアンプ
20b・・・・プリアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケの歌唱者の要求にもとづいてリクエスト曲の演奏を予約し、登録された演奏待ち行列の順序に従ってカラオケ演奏が行われるようにするとともに、前記演奏待ち行列における特定の時間帯にイベント期間が介在できるようにしたカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にカラオケ装置によるカラオケ演奏では、カラオケ歌唱者が希望する楽曲をリモコン送信機により指定して登録し、この登録順序に従って時系列に配列された演奏待ち行列にもとづいてカラオケ演奏が実行される。このような機能を備えたカラオケ装置は、予約設定部、予約登録部、予約実行部などからなる演奏制御部を備え、利用者インターフェイスによって受け付けたリクエスト曲の予約登録を行う。そして、予約登録部にはその演奏待ち行列が登録され、予約実行部は、その演奏待ち行列の形でスタックされているリクエスト曲を予約順に取り出し、演奏が可能となるようにしている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3515061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来のカラオケ装置による場合は、リクエスト曲の予約登録順に演奏待ち行列が構成されるが、この予約登録は、例えば、カラオケ装置設置店舗の閉店時間を超える予約を拒否したり、また、演奏待ち行列内の特定のリクエスト曲の予約がキャンセルされた場合、次順位のリクエスト曲が繰り上げて登録されるなどの機能を備えている。したがって、予約登録されたリクエスト曲は自動的に連続して演奏されるため、カラオケ装置の利用者および店舗運営者は装置の煩わしい操作から解放されることになる。
【0004】
ところで、近年、カラオケ装置を設置した店舗の運営形態の変化が著しくなり、前述したように、単にリクエスト曲を連続して演奏するのみでなく、特定の時間帯に店舗が主催するイベントなどを来店者に提供するような試みがある。このような運営形態では、例えば、図11に示すようにリクエスト曲S1〜S6が配列されて演奏待ち行列が構成され、予約登録されている場合において、イベント開始時刻te1が午後8時であり、イベント終了時刻te2が午後9時であるとする。
【0005】
そして、リクエスト曲S3の演奏終了時刻ta4が午後8時であるとすると、この演奏終了時刻ta4に継続してイベントが開始されるようにし、イベント終了時刻te2に継続してリクエスト曲S4の演奏が再開されるようにしなければならない。即ち、かかる状態は図12に示すように、演奏待ち行列の時系列上で午後8時に達したリクエスト曲の直後にイベント期間が割り込みを行うことになり、イベント期間の終了後に演奏待ち行列の未演奏のリクエスト曲S4からカラオケ演奏が再び開始されることになる。
【0006】
かかる設定、即ち、図12に示すように演奏制御されるようにするには、その前提条件として実時間上の現在時刻からイベント開始時刻te1までの時間幅がどの程度であり、この時間内にリクエスト曲を何曲登録できるかを判断しなければならない。そこで、一般的に実施されている手段は、店舗運営者がイベント開始時刻te1を監視し、その時刻の到来に合わせてカラオケ装置を操作して演奏待ち行列の進行を一時停止する。そして、イベント終了時刻te2に達した時刻で再びカラオケ装置を操作し、演奏待ち行列の未演奏のリクエスト曲を演奏するようにしている。
【0007】
また、他の手段による場合は、カラオケ装置のいわゆる「単曲入力モード」のマニュアル操作によりリクエスト曲を予約設定し、設定されたリクエスト曲の演奏時間の積算値から判断してイベント開始時刻te1までの時間内で演奏可能のリクエスト曲の予約登録を受け付け、カラオケ演奏を行う。なお、イベント期間中においてもリクエスト曲の予約登録は可能であるが、この予約登録はイベント期間終了後の演奏待ち行列に配列される。そして、イベント終了時刻te2に至ると、再度マニュアル操作により残る演奏待ち行列のリクエスト曲の演奏を再開するようにしている。
【0008】
このように、前記各手段によりイベント期間を設けるには、店舗運営者などがカラオケ装置を直接操作して管理する必要があるため煩瑣な作業となり、店舗運営の合理性を向上することができない。また、前記のようなマニュアル操作による強制的なイベント期間の設定は時刻制御に影響を及ぼすため、予約リストのモニタ表示においてリクエスト曲の歌唱開始時刻を正確に表示できなくなるなどの不具合の要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたものであり、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開始時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにする。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻に達したとき演奏を終了しているリクエスト曲の次順位のリクエスト曲がイベント終了時刻に達した時点から演奏されるようにする。
【0011】
請求項3記載の発明では、イベント開始時刻に達した時点において演奏が継続されているリクエスト曲を強制的に中断するとともに、イベント終了時刻に達した時点から前記により中断された当該リクエスト曲の演奏を開始するようにする。
【0012】
請求項4記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、リクエスト曲がイベント開始時刻を超えて終了するとき、その超過相当の時間を遅延させた時点をイベント開始時刻となるようにする。
【0013】
請求項5記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻前にリクエスト曲が終了するとき、その終了時点をイベント開始時刻となるようにする。
【0014】
請求項6記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、イベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されているリクエスト曲の何れかがキャンセルされたとき、イベント終了時刻後の演奏待ち行列に配列されている先頭のリクエスト曲からイベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されるようにする。
【0015】
請求項7記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲に関する情報と、イベントに関する情報を時系列に配列して可視的に表示するようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにしたことから、イベント期間の前および/または後に演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を時系列上で一致するように配列できるようにしたので、リクエスト曲の演奏とイベント期間の整合を自動的に行うことができ、これにより、演奏待ち行列内にイベント期間を設けるためのカラオケ装置に対する人為的作業を一掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の全体の構成の概略を示すもので、本発明の理解を容易とするため、まず、同図に示す各部の構成を具体的に説明する。
【0018】
図1における符号1はカラオケ装置の各部を制御する中央演算処理装置(以下、CPUという)であり、このCPU1には、システムBUSを介してROM2、RAM3、通信制御部4、ハードディスク装置(以下、HDDという)5、リモコン受信部6、音源装置7、文字表示部8、表示制御部9、音声データ処理部10、楽曲予約設定部11、イベント予約設定部12、演奏制御部13が接続されている。
【0019】
前記ROM2には、本発明のカラオケ装置の電源投入時に初期設定を行う起動プログラムが記憶されており、装置の電源が投入されると、この起動プログラムによりHDD5に記憶されているシステムプログラムおよびアプリケーションプログラムがRAM3にロードされる。また、前記HDD5には、前記システムプログラムおよびアプリケーションプログラムのほか、カラオケ演奏時に再生される楽曲データが記憶されている。
【0020】
図2は、HDD5に記憶されている数万曲の楽曲データの1曲分の楽曲データのフォーマットを示すもので、ヘッダ、楽音トラック、ガイドメロディトラック、歌詞トラック、音声トラック、効果トラック、音声データ部により構成されている。ヘッダには、楽曲データに関する種々の情報が書き込まれており、例えば、曲番号、曲名、ジャンル、発売日、演奏に関する情報が書き込まれている。この演奏情報は、図3に示すように当該楽曲の総演奏時間d1、前奏時間d2、区間演奏時間d3、間奏時間d4、後奏時間d5などの各時間データで構成される。
【0021】
CPU1は、カラオケ演奏時にシーケンスプログラムに基づき、楽音トラックから効果トラックまでの全トラックのデータを並行して読み出す。楽曲トラックには、メロディトラック、リズムトラックをはじめとして各種のパートのトラックが形成されており、ガイドメロディトラックには、そのカラオケ曲の旋律、即ち、歌唱者が歌うべき旋律のシーケンスデータが書き込まれている。なお、CPU1は、このデータに基づいてリファレンスの音高データ、音量データを生成し、歌唱音声と比較する。
【0022】
歌唱トラックは、メインモニター14の画面に歌詞を表示するためのシーケンスデータを記憶したトラックであり、このシーケンスデータは楽音データではないが、インプリメンテーションの統一をとって作業工程を容易にするため、MIDIデータで記述され、データの種類は、システムエクスクルーシブメッセージである。この歌詞トラックは、通常、メインモニター14の画面上に表示される1行分の歌詞を1つの歌詞表示データとして扱う。歌詞表示データは、1行の歌詞の文字データ(文字コードおよびその文字の表示座標)、表示時間およびワイプシーケンスデータからなる。このワイプシーケンスデータは、楽曲の進行に合わせて歌詞の表示色を変更してゆくためのシーケンスデータであり、表示色を変更するタイミング(歌詞が表示されてからの時間)と変更位置(座標)が1行分の長さにわたって順次記録されているデータである。
【0023】
音声トラックは、音声データ部に記憶されている音声データn(n=1,2,3,・・・・)の発生タイミングなどを指定するシーケンストラックである。音声トラックには、音声指定データと、音声指定データの読出間隔、即ち、音声データを音声データ処理分10に出力して音声信号を形成するタイミングを指定するデュレーションデータが書き込まれている。音声指定データは、音声データ番号、音程データおよび音量データからなり、前記音声データ番号は、音声データ部に記録されている各音声データの識別番号nである。
【0024】
つぎに、通信制御部4は、情報通信ネットワークを介してホストステーションから楽曲データなどをダウンロードし、内蔵しているDMAコントローラにより受信した楽曲データをCPUを介さずに直接HDD5に書き込む。リモコン受信部6は、リモコン送信機15から送られてくる赤外線コード信号を受信して入力データを復元する。リモコン送信機15は、選曲スイッチなどのコマンドスイッチやテンキースイッチなどを備えており、利用者がこれらのスイッチを操作すると、その操作に応じたコードで変調された赤外線コード信号を送信する。
【0025】
音源装置7は、楽曲データの楽音トラックデータに基づいて形成された楽音信号をD/A変換器16へ送出する。音声データ処理部10は、楽音データに含まれる音声データに基づき、指定された長さ、指定された音高の音声信号を形成する。この音声データ処理部10および前記音源装置7の各々が形成した音声信号がカラオケ演奏音となる。そして、このカラオケ演奏音は、D/A変換器16によりアナログ信号に変換された後、音響装置17へ出力され、スピーカシステム18から発音される。一方、歌唱用のカラオケマイク19a・19bから入力した歌唱音声信号は、プリアンプ20a・20bで増幅された後、前記音響装置17へ入力して増幅され、スピーカシステム18から発音される。
【0026】
文字表示部8は、入力される文字コードに基づいてフォントデータを読み出し、曲名や歌詞などの文字パターンを生成して表示制御部9へ出力する。また、HDD5は、入力された映像選択データに基づき、対応する背景映像を再生し、表示制御部9へ出力する。映像選択データは、選択されたカラオケ曲のジャンルデータに基づいて決定されるもので、このジャンルデータは、楽曲データのヘッダに書き込まれており、カラオケ演奏の開始時にCPU1により読み出される。
【0027】
CPU1は、ジャンルデータに基づいて再生する背景映像を選択し、その背景映像を指定する映像選択データによりHDD5から背景映像が選択され、映像データとして出力される。この映像データと文字表示部8から出力される歌詞などのフォントデータは、表示制御部9においてスーパーインポーズされ、その合成画像がメインモニター14の画面に表示される。
【0028】
つぎに、楽曲予約設定部11は、RAM構成の記憶装置を主体に構成されるもので、図4(A)に示す演奏データレジスタおよび図4(B)に示す予約テーブルが設定される。演奏データレジスタには、現在演奏中の楽曲の曲名コード、全演奏時間およびどの程度演奏が進行しているかを示す演奏経過時間を示すデータが記憶される。また、予約テーブルには、現在演奏されているリクエスト曲S0およびその楽曲以降に予約されているリクエスト曲(S1〜S6)の曲名コードおよび全演奏時間が予約順に、図5に示すように記憶され、これが演奏待ち行列となる。
【0029】
図6は、前記演奏待ち行列に基づく予約リストの表示例を示すもので、リモコン送信機15からのコマンド指示により同図に示すようなイベント予約のない状態の予約リストがサブモニター14aに表示される。この予約リストは、リクエスト曲の演奏順とその曲名および演奏が開始されるまでの待ち時間が表示される。
【0030】
イベント予約部12は、やはりRAM構成の記憶装置を主体に構成されるもので、リモコン送信機15あるいはカラオケ装置に設けたスイッチ機能による利用者インタフェイスからイベント期間(例えば、午後8時〜9時)を指定して設定される。このイベント期間は、その予約の解除およびイベント期間の時間帯の変更が可能となるようにしておく。
【0031】
演奏制御部13は、前記楽曲予約設定部11で構成された演奏待ち行列とイベント予約部12で設定されたイベント期間を実時間に対応する時系列上で配列される状態とし、これに基づく演奏制御信号をCPU1へ送出して演奏制御を行う。即ち、演奏制御部13に時系列上の特定の時間帯をイベント期間として設定し、現在時刻からこのイベント期間の開始時刻までの時間帯に演奏可能の数のリクエスト曲を演奏待ち行列の先順位から割り振って配列し、残るリクエスト曲をイベント期間の終了時刻後に割り振るようにしている。
【0032】
つぎに、かかる処理の一例を図7に示すフローチャートおよび時間軸上に演奏待ち行列とイベント期間が配列された状態を模式的に表現した図8を参照して以下に説明する。なお、カラオケ装置を稼動するにあたり、予め店舗運営者によりイベント設定(開始時刻:午後8時、終了時刻:午後9時とする)がイベント予約設定部12になされているものとする。したがって、イベント設定がなされ、カラオケ装置にリクエスト曲が入力されていない状態は図8(A)に示すようにイベント開始時刻te1(午後8時)およびイベント終了時刻te2(午後9時)のみが設定された状態となる。
【0033】
かかる状態において歌唱希望者によるリモコン送信機15の操作によりリクエスト曲を予約する信号が送信されると、リモコン受信部6がこれを受信する(ステップSa1)。リクエスト曲を受信すると、イベントの予約設定の有無が判断され(ステップSa2)、イベントが設定されていない場合(当初からイベントを設定しない場合またはイベントが終了した場合)は、通常の演奏待ち行列を構成すべく、ステップSa9へ移行する。
【0034】
ステップSa2においてイベントの設定が有ると判断された場合は、「(イベント時刻−現在時刻)≧ 演奏時刻」なる判断処理が演算制御部13でなされる(ステップSa3)。即ち、現在時刻からイベント開始時刻である午後8時までにどの程度の時間幅があり、この時間幅内にリクエスト曲の全演奏時間を収めることが可能であるかをリクエスト曲の受信毎に判断され、この判断処理によりイベント開始前の演奏待ち行列に登録可能とされたリクエスト曲は、リクエストの先順位から演奏待ち行列に登録される。
【0035】
図8(B)は、上記判断処理に基づいてリクエスト曲S1が演奏待ち行列の時刻ta1に配列された状態を示すもので、この演奏待ち行列への配列がなされるとリクエスト曲S1の演奏開始の指示が演奏制御部13から送出されリクエスト曲S1の演奏が開始される。そして、リクエスト曲S1の演奏中にも2曲目のリクエスト曲S2がリクエストされると、図8(C)に示すように1曲目のリクエスト曲S1の終了時刻ta2に連続して配列される。
【0036】
このようにしてリクエスト曲が演奏待ち行列に順次配列されることにより、イベント開始時刻te1前に残された時間幅が次第に減少し、更に追加されるリクエスト曲がイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に収容できないとステップSa3で判断されたとき、以後のリクエスト曲は図8(D)に示すようにイベント終了時刻te2後の演奏待ち行列に配列される。したがって、同図ではイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列にリクエスト曲S1〜S5が配列され、イベント終了時刻te2後の待ち行列にリクエスト曲S6〜S9が配列された状態を示す。図9は、このようにして構成された演奏待ち行列に基づく予約リストの表示例を示すもので、リモコン送信機15からのコマンド指示により同図に示すようなイベント予約のある状態の予約リストがメインモニター14またはサブモニター14aに表示される。
【0037】
かかる演奏待ち行列が構成された状態において、図8(E)に示すようにリクエスト曲S1の演奏が終了してリクエスト曲S2の演奏が進行している過程でリクエスト曲S4の予約登録がキャンセルされると、演奏制御装置13は図4(B)に示す予約テーブルを書き換え、以降のリクエスト曲S5〜S9を図8(F)に示すように繰り上げて演奏待ち行列に空白の期間が生じないようにする。
【0038】
このようにしてリクエスト曲の演奏が順次進行し、図8(G)に示すようにイベント開始時刻te1に達すると(ステップSa6)、イベント終了時刻te2までの間がカラオケ演奏を一時休止している期間、即ち、イベント期間となり、店舗運営者は予め企画したイベントを開催するなどこの期間を利用することが可能となる。そして、イベント終了時刻te2に達すると(ステップSa7)、イベント終了時刻te2後に配列された図8(H)に示すリクエスト曲S7〜S9が順次演奏されることになる(ステップSa8)。なお、前記イベント期間においてもリクエスト曲の予約登録は可能であり、リクエスト曲S9が最後の予約登録である場合、以後のリクエスト曲の予約登録はこれに継続されることになる。
【0039】
以上に説明した処理態様は、イベント開始時刻te1とイベント終了時刻te2を確定して定めた状態に基づくもので、イベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に残る時間幅にリクエスト曲の収容可否の判断をステップSa3で行う。したがって、例えば、演奏待ち行列に残る時間幅が3分58秒であり、このとき受け付けたリクエスト曲の全演奏時間が4分2秒である場合は、このリクエスト曲はイベント開始時刻te1前の演奏待ち行列に収容できないとステップSa3で判断され、イベント終了時刻te2後の演奏待ち行列に配列されることになる。
【0040】
したがって、イベント開始時刻te1前の演奏待ち時間に残る時間幅3分58秒は空白の期間として残ることになる。かかる不具合を解消するためには、ステップSa3による判断を省略し、イベント開始時刻te1前に残る時間幅が受け付けたリクエスト曲を収容できない場合でも、これを演奏待ち行列に配列することも可能とすることができる。この場合、イベント開始時刻te1に達したとき、演奏中のリクエスト曲をフェーズダウンなどで中断することにより、イベント開始時刻te1を正確に確保することができる。なお、中断されたリクエスト曲は、イベント終了時刻te2後に最優先で再び演奏されるように演奏制御部13で演奏待ち行列を再構成するようにすればよい。
【0041】
一方、イベント開始時刻te1が厳密に実時間と一致しなくてもよい場合、即ち、リクエスト曲の全演奏時間が通常4分前後であり、この程度の時間の差を容認できるとする場合は、イベント開始時刻te1をシフトし、リクエスト曲の演奏終了時刻に整合させることにより空白の時間帯が生じるのを防止することができる。
【0042】
図10(A)は、イベント開始時刻te1の直前のリクエスト曲S5がイベント開始時刻te1を超えて終了する状態、即ち、リクエスト曲S5の演奏終了時刻がイベント開始時刻te1を+Δtだけ超えた状態であり、この場合は、イベント開始時刻をte1+Δtとし、イベント終了時刻をte2+Δtとしてこの時刻をリクエスト曲S6の演奏開始時刻tb1+Δtとする。
【0043】
一方、図10(B)は、イベント開始時刻te1の直前のリクエスト曲S5がイベント開始時刻te1以前に終了する状態、即ち、リクエスト曲S5の演奏終了時刻がイベント開始時刻te1より−Δtだけ早く終了する状態であり、この場合は、イベント開始時刻をte1−Δtとし、イベント終了時刻をte2−Δtとしてこの時刻をリクエスト曲S6の演奏開始時刻tb1−Δtとする。
【0044】
以上の説明は、イベント期間の前後に演奏待ち行列を配列するようにしたものであるが、イベント期間の終了後に演奏待ち行列を配列しない場合がある。これは、例えば、イベントの内容が店舗の営業の終了を伝達するためのセレモニーである場合、イベント開始時刻te1を営業終了時刻の直前に設定し、イベント終了時刻te2以降に演奏待ち行列が配列されないようする。かかる処理は、ステップSa3の否定判断の直後にイベント期間の終了後に演奏待ち行列の配列の要否を判断する処理ステップを設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のカラオケ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】楽曲データのフォーマットを示す図である。
【図3】楽曲データの構成を示す図である。
【図4】楽曲予約設定部の構成を示す図である。
【図5】演奏待ち行列の構成を示す図である。
【図6】予約リストのモニター表示の例を示す図である。
【図7】本発明のカラオケ装置の処理の流れを示す図である。
【図8】本発明による演奏待ち行列の例を示す図である。
【図9】予約リストのモニター表示の例を示す図である。
【図10】イベント期間のシフトの状態を示す図である。
【図11】従来のシステムにおける演奏待ち行列の例を示す図である。
【図12】イベント期間を設定した演奏待ち行列の例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・・・・中央演算処理装置(CPU)
2・・・・・・ROM
3・・・・・・RAM
4・・・・・・通信制御部
5・・・・・・ハードディスク装置(HDD)
6・・・・・・リモコン受信部
7・・・・・・音源装置
8・・・・・・文字表示部
9・・・・・・表示制御部
10・・・・・音声データ処理分
11・・・・・楽曲予約設定部
12・・・・・イベント予約設定部
13・・・・・演奏制御部
14・・・・・メインモニター
14a・・・・サブモニター
15・・・・・リモコン送信機
16・・・・・D/A変換器
17・・・・・音響装置
18・・・・・スピーカシステム
19・・・・・カラオケマイク
20a・・・・プリアンプ
20b・・・・プリアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、
(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、
(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、
(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、
前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開始時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにしたことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
イベント開始時刻に達したとき演奏を終了しているリクエスト曲の次順位のリクエスト曲がイベント終了時刻に達した時点から演奏されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
イベント開始時刻に達した時点において演奏が継続されているリクエスト曲を強制的に中断するとともに、イベント終了時刻に達した時点から前記により中断された当該リクエスト曲の演奏を開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項4】
リクエスト曲がイベント開始時刻を超えて終了するとき、その超過相当の時間を遅延させた時点をイベント開始時刻となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項5】
イベント開始時刻前にリクエスト曲が終了するとき、その終了時点をイベント開始時刻となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項6】
イベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されているリクエスト曲の何れかがキャンセルされたとき、イベント終了時刻後の演奏待ち行列に配列されている先頭のリクエスト曲からイベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項7】
演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲に関する情報と、イベントに関する情報を時系列に配列して可視的に表示するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項1】
楽曲予約設定手段と、イベント予約設定手段と、演奏制御手段とを備えたカラオケ装置であって、
(ア)楽曲予約設定手段は、利用者インタフェイスより受け付けたリクエスト曲を順次登録して演奏待ち行列を構成し、
(イ)イベント予約設定手段は、利用者インタフェイスから指定されたイベント開始時刻およびイベント終了時刻を指定するイベント設定が可能となるようにし、
(ウ)演奏制御手段は、前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲を登録順に演奏制御されるようになし、
前記イベント予約設定手段によりイベント設定がなされたとき、イベント開始時刻とイベント終了時刻で確定されるイベント期間の前および/または後に前記演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲が配列されるようにしたことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
イベント開始時刻に達したとき演奏を終了しているリクエスト曲の次順位のリクエスト曲がイベント終了時刻に達した時点から演奏されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
イベント開始時刻に達した時点において演奏が継続されているリクエスト曲を強制的に中断するとともに、イベント終了時刻に達した時点から前記により中断された当該リクエスト曲の演奏を開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項4】
リクエスト曲がイベント開始時刻を超えて終了するとき、その超過相当の時間を遅延させた時点をイベント開始時刻となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項5】
イベント開始時刻前にリクエスト曲が終了するとき、その終了時点をイベント開始時刻となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項6】
イベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されているリクエスト曲の何れかがキャンセルされたとき、イベント終了時刻後の演奏待ち行列に配列されている先頭のリクエスト曲からイベント開始時刻前の演奏待ち行列に配列されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項7】
演奏待ち行列に登録されたリクエスト曲に関する情報と、イベントに関する情報を時系列に配列して可視的に表示するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−65045(P2007−65045A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247723(P2005−247723)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】
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