説明

カラオケ装置

【課題】楽曲演奏時に歌唱者本人の振付けをより正確に採点する技術を提供すること。
【解決手段】マイクロフォンから音声信号が歌唱中に入力されているか否かを検出することで、歌唱者にマイクロフォンが利用されているか否かを特定し、さらに、マイクロフォンに取り付けられたマイク側アダプタによって歌唱者の動作をも検出し、その検出した動作を示す信号の波形と楽音情報を構成するパートの発声データの一致度合を算出し、その算出した一致度合いからカラオケ歌唱中の歌唱者の動作を振付けとして採点する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲演奏時に歌唱者本人の振付けをより正確に採点する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カラオケ装置の付帯機能として採点機能が良く知られている。
この採点機能は、マイクロフォンから入力された歌唱者の音声信号をサンプリングすることで歌唱者が発声した音高や声量あるいはテンポなどの歌唱状態を示す歌唱データを生成する。この歌唱データとカラオケデータ中の主旋律データなどの採点基準データとを比較し、その比較結果に基づいて所定の得点を付与して採点データを生成する。そして、歌唱パートが終了するとこの採点データ中の得点を集計して総合得点を算出する。総合得点はそのままの得点をスコアボードやディスプレイに表示したり、所定のメッセージや所定の表現内容を含む映像など総合得点を反映した映像をディスプレイに出力したりする。
【0003】
また、同様に、利用者による音声を採点する装置としては、2つの音素列を時間軸上で正規化して表示する音声認識装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような音声認識装置は、不特定話者の音声を入力する入力手段50と、その音声信号から音声認識を行い、言語シンボルを得る認識手段51と、前記音声信号の所定の音響的特徴量とそれに対応する前記言語シンボルとの対応付け内容を、少なくとも2種類の音声について、正規化して対応させ表示する表示手段54とを備えている。なお、この音声認識装置では、2つの音声データのうちの一方については、入力手段から入力された音声データであり、他方の音声データについては、予め記憶されているお手本の音声データであり、両者を比較して処理した後に正規化して表示するようになっている。
【0004】
ところで、カラオケ装置の中には、操作者の操作に応じて演出効果の付与対象の音楽再生内容によりマッチした演出効果音を発生させるカラオケ装置がある(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、カラオケ装置から演奏に伴って送信される音色データを受信した電子パーカッション装置では、パーカッション切替信号発生部及び音色切替スイッチによってシンセサイザに準備されたパーカッションの音色発生部を切替選択する。操作者が電子パーカッション装置の把持部を把持して上下左右に振るとその振られた方向に応じてX、Y方向加速度センサにおいて電圧が発生し、加速度方向検出部がこれらの電圧値に基づいて加速度の大きさを検出し、この加速度の大きさが所定の閾値を越えていれば、パーカッショントリガ信号発生部がトリガする信号を発生させる。
【特許文献1】特開平05−165494号公報
【特許文献2】特開2004−287020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような採点機能の一部として、歌唱者がカラオケ演奏に合わせて行う振付けを採点する機能がある。そこで、上述のような電子パーカッション装置の把持部を把持して上下左右に振る動作を振付けとして採点することが考えられる。
【0006】
しかしながら、必ずしも電子パーカッションを歌唱者が保持しているとは限らず、その場合には歌唱者の振付けを採点していることにはならないという問題があった。
なお、特許文献3には、キーボードとマイクロフォンとが接続され、キーボードからの入力信号とマイクロフォンからの入力信号とを分離してパソコン本体における入力端子に
入力するアダプタについて開示されており、この手法を用いてマイクロフォンとカラオケ装置本体との間に歌唱者の動作を検出する構成をアダプタとして取り付けることも考えられるが、そのアダプタが歌唱者の体から離れている場合には歌唱者の体の動きを検出できず、歌唱者の振付けを採点していることにはならない。
【特許文献3】特開平11−212758号公報 本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、楽曲演奏時に歌唱者本人の振付けをより正確に採点する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るカラオケ装置は、マイクロフォンから音声信号が歌唱中に入力されているか否かを検出することで、歌唱者にマイクロフォンが利用されているか否かを特定し、さらに、マイクロフォンに取り付けられた振付け信号検出手段によって歌唱者の動作をも検出し、その検出した動作を示す信号の波形と楽音情報を構成するパートの発声データの一致度合を算出し、その算出した一致度合いからカラオケ歌唱中の歌唱者の動作を振付けとして採点することを特徴とする。
【0008】
具体的には、上述のカラオケ装置は、複数の曲の中から所望の曲を選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された曲に対応した楽音情報を再生して楽音を出力する楽音出力手段と、歌唱者によるカラオケ歌唱の音声信号を入力するためのマイクロフォンと、一つ以上の振付け信号検出手段と、振付信号受信手段と、音声信号検出手段と、算出手段と、振付け採点手段と、を備える。このうち振付け信号検出手段が、マイクロフォンに取り付けられることでマイクロフォンを保持する当該歌唱者に直接的にまたは間接的に固定される固定手段を有し、楽音出力手段による楽音情報の再生に合わせた当該歌唱者の動作を示す動作信号を検出し、その検出した振付け信号を送出する。また、振付信号受信手段が、振付け信号検出手段によって送出された前記動作信号を受信する。そして、音声信号検出手段が、音声信号レベルが予め定められた閾値を越えたか否かを検出し、算出手段が、楽音出力手段によって再生中の前記楽音情報を構成するパートからその発音データを動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを選択し、前記振付信号受信手段が受信した前記動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出する。さらに、振付け採点手段が、音声信号検出手段が閾値を越えたレベルの音声信号を検出した場合に、算出手段が算出した一致度合に基づき、当該歌唱者の動作を楽音に合わせた振付けとして採点する。
【0009】
このように構成された本発明のカラオケ装置によれば、マイクロフォンから音声信号が歌唱中に入力されているか否かを検出することで、歌唱者にマイクロフォンが利用されているか否かを特定し、さらに、マイクロフォンに取り付けられた振付け信号検出手段によって歌唱者の動作をも検出し、その検出した動作を示す信号の波形と楽音情報を構成するパートの発声データの一致度合を算出し、その算出した一致度合いからカラオケ歌唱中の歌唱者の動作を振付けとして採点する。したがって、楽曲演奏時に歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0010】
この場合、上述の振付け信号検出手段がマイクロフォンに取り付け可能にアダプタ化されていることが考えられる。具体的には、請求項2のように、マイクロフォンが、音声信号を送出するためのマイク側端子を有し、振付け信号検出手段の少なくとも一つが、マイクロフォンのマイク端子に接続可能な受入れ端子と、受入れ端子と接続し、受入れ端子から受け入れた音声信号を送出可能な送出端子と、を有し、固定手段によってマイクロフォンに固定された際には、受入れ端子がマイクロフォンのマイク側端子に接続されるよう構成されていることが考えられる。
【0011】
このように構成すれば、マイクロフォンのマイク側端子とそのマイク側端子に接続され
る電線との間に振付け信号検出手段を取り付けることができ、したがって、従来構成を利用して振付け信号検出手段をマイクロフォンに取り付けることができる。また、振付け信号検出手段が歌唱者の手の動きを検出することができる。
【0012】
また、上述の振付け信号検出手段をネクタイピンなど歌唱者の体に取り付け可能に構成することが考えられる。具体的には、請求項3のように、振付け信号検出手段の少なくとも一つが、当該歌唱者に取り付け可能な取付手段を有することが考えられる。このように構成すれば、上述の振付け信号検出手段を歌唱者の体に直接取り付けることで、例えばテンポの速い曲に合わせた歌唱者の体の動きを検出することができる。
【0013】
ところで、上述のように、楽音出力手段によって再生中の楽音情報を構成するパートからその発声データを動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを選択する手法としては、次のような手法が考えられる。
【0014】
(イ)すなわち、楽音情報に含まれるジャンル情報およびテンポ値に基づいて、振付けアルゴリズムを選択することが考えられる。具体的には、請求項4のように、算出手段が、楽音出力手段によって楽音情報に予め対応付けられた「ジャンル情報」と再生時に使用される「テンポ値」とに基づき、振付アルゴリズムを選択し、楽音出力手段によって再生中の前記楽音情報を構成するパートからその発音データを前記動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを上述の振付アルゴリズムから選択し、振付信号受信手段が受信した動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出することが考えられる。このように構成すれば、演奏されている楽曲のテンポに合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0015】
(ロ)また、動作信号の発音データの隣接するピーク箇所同士の間隔とテンポ値との一致度合いを算出して、振付け採点値とすることが考えられる。具体的には、請求項5のように、算出手段が、振付信号受信手段が受信した動作信号における隣接するピーク箇所同士の間隔と再生時に使用されるテンポ値との一致度合を算出することが考えられる。このことにより、演奏されている楽曲の曲調に合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0016】
(ハ)また、請求項6のように、算出手段が、楽音出力手段によって再生中の楽音情報を構成するパートからその発音データを動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを任意に選択し、振付信号受信手段が受信した動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出することが考えられる。このことにより、演奏されている楽曲の曲調に合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0017】
ところで、上述の手法ではマイクフォンからの音声信号検出を音声信号レベルで行っているが、マイクフォンからの音声信号検出を採点で行うことが考えられる。具体的には、請求項7のように、楽曲情報には採点情報が含まれており、採点情報に基づき、歌唱中の音声信号の採点値化を行うカラオケ採点手段と、予め定められた採点閾値と歌唱中の音声信号の採点値とを比較する採点値比較手段と、を備え、採点値比較手段によって歌唱中の音声信号の採点値が採点閾値よりも高いと判断された場合には、振付け採点手段が、算出手段が算出した一致度合に基づき、当該歌唱者の動作を楽音に合わせた振付けとして採点することが考えられる。
【0018】
このように構成すれば、上述の手法ではマイクフォンからの音声信号検出を音声信号レベルで行うような単なる音声検出ではなく、歌唱中の採点値を用いるので、例えば採点値が及第点(採点閾値)であれば歌唱中であると特定できる。しがたって、歌唱中の歌唱者
のマイクロフォンであることをさらに正確に特定することができるので、歌唱者本人が振付採点を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1はカラオケ装置30およびマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略外観図である。また、図2(a)はマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略構成図であり、図2(b)はマイク側アダプタ10の概略構成図であり、図2(c)はマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略外観図である。また、図3は本体側アダプタ20の概略構成図である。また、図4は、カラオケ装置30の概略構成を示すブロック図である。また、図5はマイク側アダプタ10の構成ブロック図である。また、図6は本体側アダプタ20の構成ブロック図である。
【0020】
[カラオケ装置30の構成の説明]
図4に示すように、カラオケ装置30は、カラオケ店舗に設置されており、例えばカラオケ店舗の各部屋にそれぞれ1台ずつ設置される。なお、これら複数台のカラオケ装置30は店舗内ネットワーク50にて接続することによってネットワークシステムを構成している。そして、これら複数台のカラオケ装置30の内、何れか一つ(以上)のカラオケ装置30は、公衆回線を介して配信用ホスト装置70に接続できるようになっており、この公衆回線60を介して接続した配信用ホスト装置70からカラオケに関する配信データ(楽曲データ等)、あるいは例えばカラオケ演奏処理を実行するためのアプリケーションプログラム(カラオケ演奏プログラム)等)を取得して、記憶装置33へ記憶しておくことができる。なお、そして、カラオケ装置30は、記憶装置33に記憶されている配信データを、店舗内ネットワーク50によって接続された他のカラオケ装置30へ送信することができる。そのため、公衆回線60を介して配信用ホスト装置70と接続する機能を持つカラオケ装置30がマスタ(親機)となり、他のカラオケ装置30がスレーブ(子機)となっている。
【0021】
マスタまたはスレーブとして機能するカラオケ装置30の基本的な構成はいずれも同じであるが、上述のように、マスタのみが公衆回線60を介して配信用ホスト装置70に接続できるようになっている。それ以外の機能は基本的にいずれも同じである。したがって、以下の構成説明に関しては、図4に示す(マスタとして機能する)カラオケ装置30に関して行うこととする。
【0022】
カラオケ装置30は、図4に示すように、カラオケ装置30を制御するための中央処理装置31、ネットワークとしての店舗内ネットワーク50を介して他のカラオケ装置(この場合はスレーブ)と接続したり、公衆回線60を介して配信用ホスト装置70と接続し、各種の情報を送受信する通信制御装置32、各種データ等を記憶している記憶装置33、曲の予約や電源のON・OFFなどを行うための操作パネル34、操作パネル34と同様に曲の予約等を行うためのリモコン送信機35、リモコン送信機35からの信号を受信するためのリモコン受信機36、操作パネル34やリモコン受信機36からの信号を受け付けて処理する操作制御部37、MIDIデータに基づく楽曲再生を行うシンセサイザ38、音楽情報にかかる電気信号を増幅等するミキシングアンプ39、ミキシングアンプ39からの電気信号を入力して伴奏曲及び操作者の歌声等を流すスピーカ40、操作者の歌声等をミキシングアンプ39に入力するマイクロフォン41、中央処理装置31によって生成された歌詞情報を記憶するビデオRAM42、画像情報等を再生する映像再生装置43、ビデオRAM42からの歌詞情報と映像再生装置43からの映像信号とに基づき、歌詞及び歌詞の背景映像を出力する映像制御部44、映像制御部44から出力された歌詞及び歌詞の背景映像を表示する表示装置45を備えている。また、このうちの中央処理装置
31には、通信制御装置32、記憶装置33、操作制御部37、シンセサイザ38、ビデオRAM42、映像再生装置43及び映像制御部44が接続されており、中央処理装置31は、これらを介してカラオケ装置30を制御する。
【0023】
続いて各部の具体的な構成を説明する。
まず、中央処理装置31は、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)などを備える周知の構成である。一方、記憶装置33は、中央処理装置31がカラオケ装置30を制御するための各種プログラムや楽曲データを格納している。中央処理装置31の備えるCPUによって実行される複数のプログラムは記憶装置33に格納されている。
【0024】
通信制御装置32は、店舗内ネットワーク50を介してカラオケ店舗内の他の部屋に設置されたカラオケ装置(この場合はスレーブ)に接続されており、これら他のカラオケ装置(この場合はスレーブ)との間で各種の情報を送受信する。また、カラオケ装置30の通信制御装置32は、上述したように、公衆回線60を介して配信用ホスト装置70と接続し、この配信用ホスト装置70との間で各種の情報を送受信する。
【0025】
操作制御部37には、操作パネル34およびリモコン受信機36が接続されている。このうち、操作パネル34は、操作者がカラオケ曲の選択や演奏アレンジの切り替えを行ったりするためのものである。
【0026】
操作者がこの操作パネル34を操作すると、その入力操作の信号が操作制御部37および中央処理装置31に送られて処理される。一方、リモコン受信機36は、リモコン送信機35からの信号を受信するためのものである。また、このリモコン送信機35は、操作パネル34と同様に、操作者がカラオケ曲の選択や演奏アレンジの切り替えを行ったりするためのものである。操作者がこのリモコン送信機35を操作すると、その入力操作の信号がリモコン受信機36を介して操作制御部37および中央処理装置31に送られて処理される。
【0027】
また、シンセサイザ38には、ミキシングアンプ39が接続され、このミキシングアンプ39にはスピーカ40が接続されている。記憶装置33等から読み出され、中央処理装置31から供給される音楽情報(MIDI形式のカラオケ演奏データ)に基づいてシンセサイザ38から出力される楽音信号はミキシングアンプ39で増幅されてスピーカ40から出力される。また、ミキシングアンプ39には操作者の歌唱音声を入力するためのマイクロフォン41が接続されており、このマイクロフォン41によって入力された音声信号もシンセサイザ38からの楽音信号と共にスピーカ40から出力される。
【0028】
また、映像制御部44には、ビデオRAM42、映像再生装置43および表示装置45が接続されており、これらビデオRAM42や映像再生装置43から出力される映像信号と字幕情報に基づき、歌詞を歌詞の背景映像にスーパーインポーズして出力し、表示装置45に表示させる。
【0029】
なお、カラオケ装置30における中央処理装置31は、選択手段、音声信号検出手段、算出手段、振付け採点手段、カラオケ採点手段および採点値比較手段に相当する。また、カラオケ装置30におけるシンセサイザ38は楽音出力手段に相当する。
【0030】
[マイクロフォン41の構成の説明]
図2(a)に示すように、マイクロフォン41は、マイク本体41aと、アダプタ部41bと、その一端がアダプタ部41bの後端部に接続可能であり、その他端がカラオケ装置30と接続可能なマイクハーネス41cとを備えている。マイク本体41aは、その後
端部にXLRメス端子が設けられている。また、アダプタ部41bは、その前端部にXLRオス端子が設けられており、そのXLRオス端子をマイク本体41a後端部のXLRメス端子に接続することで、マイク本体41aに接続することができる。
【0031】
[マイク側アダプタ10の構成の説明]
図2および図5に示すように、マイク側アダプタ10は、筒状の筐体10aの内部に2つのバッテリ11と、回路基板12と、加速度センサ13と、赤外線発信素子14と、筐体10aの前端部に設けられたXLRオス端子15と、筐体10aの後端部に設けられたXLRメス端子16と、を内包した構成を有している。このうちバッテリ11は、マイク側アダプタ10の各構成に電気を供給する。また、加速度センサ13は、X軸方向の加速度を検出するX1軸加速度センサ13aとY軸方向の加速度を検出するY1軸加速度センサ13bとからなり、回路基板12に装着され、マイク側アダプタ10のX軸方向やY軸方向の動きを検出する機能を有する。
【0032】
回路基板12は、電源回路12aと、コネクタ12bと、コネクタ12cと、マイクプリアンプ12dと、ADコンバータ12eと、DSP12fと、DAコンバータ12gと、赤外線出力アンプ12hと、4つのセンサプリアンプ12i,12j,12k,12lと、4つのADコンバータ12m、12n、12o、12pと、を備えている。
【0033】
このうち電源回路12aは、バッテリ11に接続されており、バッテリ11に蓄積された電気を回路基板12の各構成に供給する。また、各プリアンプは、入力された信号を増幅する機能を有する。また、各ADコンバータは、アナログ信号をデジタル化する機能を有する。また、各DAコンバータは、デジタル信号をアナログ化する機能を有する。また、DSP12fは、水平駆動パルスおよび垂直駆動パルスを供給させる機能を有する。
【0034】
そして、加速度センサ13のX1軸加速度センサ13aは、センサプリアンプ12kおよびADコンバータ12oを介してDSP12fに接続されており、X1軸加速度センサ13aによって検出された信号がセンサプリアンプ12kによって増幅されたのちにADコンバータ12oによってデジタル化されてDSP12fに入力される。また、加速度センサ13のY1軸加速度センサ13bは、センサプリアンプ12lおよびADコンバータ12pを介してDSP12fに接続されており、Y1軸加速度センサ13bによって検出された信号がセンサプリアンプ12lによって増幅されたのちにADコンバータ12pによってデジタル化されてDSP12fに入力される。また、赤外線発信素子14は、赤外線出力アンプ12hおよびDAコンバータ12gを介してDSP12fに接続されており、DSP12fから出力されたデジタル信号がDAコンバータ12gによってアナログ化されたのちに赤外線出力アンプ12hによって増幅されて赤外線発信素子14に出力される。
【0035】
このことにより、回路基板12は、加速度センサ13によって検出されたマイク側アダプタ10のX軸方向やY軸方向の動きを示す信号を、赤外線発信素子14を制御して本体側アダプタ20へ送信する機能を有する。
【0036】
なお、外部のボイスコイルマイクがコネクタ12bに接続された場合には、そのボイスコイルマイクが、コネクタ12b、センサプリアンプ12kおよびADコンバータ12oを介してDSP12fに接続され、ボイスコイルマイクからの出力信号がマイクプリアンプ12dによって増幅されたのちにADコンバータ12eによってデジタル化されてDSP12fに入力されることとなる。また、外部の加速度センサがコネクタ12cに接続された場合には、その加速度センサのX2軸加速度センサがセンサプリアンプ12iおよびADコンバータ12mを介してDSP12fに接続され、加速度センサのY2軸加速度センサがセンサプリアンプ12jおよびADコンバータ12nを介してDSP12fに接続
される。そして、X1軸加速度センサ13aによって検出された信号については、センサプリアンプ12iによって増幅されたのちにADコンバータ12mによってデジタル化されてDSP12fに入力され、Y1軸加速度センサ13bによって検出された信号については、センサプリアンプ12jによって増幅されたのちにADコンバータ12nによってデジタル化されてDSP12fに入力されることとなる(図15参照)。
【0037】
このことにより、回路基板12は、外部のボイスコイルマイクからの出力信号を、赤外線発信素子14を制御して本体側アダプタ20へ送信したり、外部の加速度センサからの出力信号を、赤外線発信素子14を制御して本体側アダプタ20へ送信したりする機能を有する。
【0038】
また、マイク側アダプタ10は、その前端部のXLRオス端子15をマイク本体41a後端部のXLRメス端子に接続し、その後端部のXLRメス端子16をマイクロフォン41のアダプタ部41b後端部のXLRメス端子に接続することで、マイクロフォン41に取り付けることができる。また、マイク側アダプタ10の筐体10aには、マイクロフォン41の前方を示すためのモールド10bがその側部に形成されている。
【0039】
また、マイク側アダプタ10は、上述のようにマイクロフォン41に取り付けられた際に、マイクロフォン41のマイク本体41aのXLRメス端子から出力される音声信号を、XLRオス端子15とXLRメス端子16を介してマイクロフォン41のアダプタ部41b前端部のXLRオス端子へ伝達する機能を有する。
【0040】
以上のように構成されたマイク側アダプタ10は、上述のようにマイクロフォン41に取り付けられた際に、マイクロフォン41を手に持って歌唱する歌唱者のX軸方向やY軸方向の動きを検出し、その検出した歌唱者の動きを示す信号を本体側アダプタ20へ送信する機能を有する(図2(c)参照)。
【0041】
なお、マイク側アダプタ10は振付け信号検出手段に相当する。
[本体側アダプタ20の構成の説明]
図2および図6に示すように、本体側アダプタ20は、筐体21と、赤外線受信素子22と、回路基板23と、USBハーネス24と、ハーネス25と、を備え、略方形の筐体21の内部に赤外線受信素子22と、回路基板23と、を内包した構成を有している。
【0042】
回路基板23は、電源回路23aと、赤外線入力アンプ23bと、ADコンバータ23cと、DSP23dと、DAコンバータ23eと、USBコネクタ23fと、コネクタ23gと、を備えている。このうち電源回路23aは、USBコネクタ23fおよびUSBコネクタ23fに接続されたUSBハーネス24を介してカラオケ装置30から得た電気を回路基板23の各構成に供給する。また、赤外線入力アンプ23bは、入力された信号を増幅する機能を有する。また、ADコンバータ23cは、アナログ信号をデジタル化する機能を有する。また、DSP23dは、水平駆動パルスおよび垂直駆動パルスを供給し、入力されたデジタル信号から歌唱者の動作を示す信号を分離する機能を有する。また、DAコンバータ23eは、デジタル信号をアナログ化する機能を有する。
【0043】
そして、赤外線受信素子22は、赤外線入力アンプ23bおよびADコンバータ23cを介してDSP23dに接続されており、赤外線受信素子22によって受信された信号が赤外線入力アンプ23bによって増幅されたのちにADコンバータ23cによってデジタル化されてDSP23dに入力される。また、USBハーネス24は、USBコネクタ23fに接続されており、DSP23dから出力された信号が、USBコネクタ23fおよびUSBハーネス24を介して、カラオケ装置30に送出される。また、ハーネス25は
、コネクタ23gに接続されており、DSP23dから出力された信号が、DAコンバータ23eによってアナログ化され、コネクタ23gおよびハーネス25を介してカラオケ装置30に送出される。
【0044】
このことにより、回路基板23は、赤外線受信素子22が受信した信号を赤外線入力アンプ23bによって増幅したのちにADコンバータ23dによってデジタル化されてDSP23dに入力され、入力されたデジタル信号をDSP23dで処理し、その処理したデジタル信号から歌唱者の動作を示す信号を分離して、分離した歌唱者の動作を示す信号をUSBコネクタ23fおよびUSBコネクタ23fに接続されたハーネス24を介してカラオケ装置30へ送出するとともに、他方のデジタル信号をDAコンバータ23eによってアナログ化されたのちにコネクタ23gおよびコネクタ23gに接続されたハーネス25を介してカラオケ装置30へ送出する機能を有する。
【0045】
なお、本体側アダプタ20は振付信号受信手段に相当する。
[マイク側アダプタ10の入力信号処理の説明]
以下に、マイク側アダプタ10のDSP12fが実行する入力信号処理の処理手順を図7のフローチャートおよび図9に基づいて説明する。なお、図9(a)はマイク側アダプタ10と本体側アダプタ20との間における伝送帯域を示す説明図であり、図9(b)は加速度センサ波形サンプルを示す説明図である。
【0046】
この入力信号処理は、マイク側アダプタ10が起動している場合に他の処理からは独立して実行される。
まず、マイクロフォン41からのマイク入力をサンプリングし(S102)、ローパスフィルタ処理を実行する(S104)。具体的には、マイク入力された信号から10KHz以上の周波数帯の信号をカットする。
【0047】
また、先のS104およびS106の処理と同時に、加速度センサ13のX1軸加速度センサ13aからの入力信号をサンプリングし(S106)、ローパスフィルタ処理を実行する(S108)。具体的には、X1軸加速度センサ13aからの入力信号から1KHz以上の周波数帯の信号をカットする。そして、ローパスフィルタ処理後の信号に対してFM変調処理を実行する(S110)。具体的には、ローパスフィルタ処理後の信号を搬送波12KHzへ変換する。
【0048】
また、同時に、加速度センサ13のY1軸加速度センサ13bからの入力信号をサンプリングし(S112)、ローパスフィルタ処理を実行する(S114)。具体的には、Y1軸加速度センサ13bからの入力信号から1KHz以上の周波数帯の信号をカットする。そして、ローパスフィルタ処理後の信号に対してFM変調処理を実行する(S116)。具体的には、ローパスフィルタ処理後の信号を搬送波14KHzへ変換する。
【0049】
なお、外部の加速センサがマイク側アダプタ10のコネクタ12cに接続されている場合には、先のS104およびS106の処理と同時に、次の処理を実行する。すなわち、加速度センサのX2軸加速度センサからの入力信号をサンプリングし(S118)、ローパスフィルタ処理を実行する(S120)。具体的には、外部のX2軸加速度センサからの入力信号から1KHz以上の周波数帯の信号をカットする。そして、ローパスフィルタ処理後の信号に対してFM変調処理を実行する(S122)。具体的には、ローパスフィルタ処理後の信号を搬送波16KHzへ変換する。また、外部の加速度センサのY2軸加速度センサからの入力信号をサンプリングし(S124)、ローパスフィルタ処理を実行する(S126)。具体的には、Y2軸加速度センサからの入力信号から1KHz以上の
周波数帯の信号をカットする。そして、ローパスフィルタ処理後の信号に対してFM変調処理を実行する(S128)。具体的には、ローパスフィルタ処理後の信号を搬送波18KHzへ変換する。
【0050】
さらに、FM変調処理された各信号を加算し(S135)、その加算後の信号を本体側アダプタ20へ送出する(S140)。そして、本処理の最初に戻る。
[本体側アダプタ20の入力信号処理の説明]
以下に、本体側アダプタ20のDSP23Dが実行する入力信号処理の処理手順を図8のフローチャートおよび図9に基づいて説明する。
【0051】
この入力信号処理は、本体側アダプタ20が起動している場合に他の処理からは独立して実行される。
まず、赤外線受信素子22が受信したのちに増幅されてデジタル化された信号を周波数帯に応じて分岐する(S205)。具体的には、上述の信号を搬送波12KHzから同調するFM復調処理を実行し(S210)、加速度センサ13のX1軸加速度センサ13aからの入力信号を分離して取得する(S215)。また、上述の信号を搬送波14KHzから同調するFM復調処理を実行し(S220)、加速度センサ13のY1軸加速度センサ13bからの入力信号を分離して取得する(S225)。また、上述の信号を搬送波16KHzから同調するFM復調処理を実行し(S230)、外部の加速度センサのX2軸加速度センサからの入力信号を分離して取得する(S235)。また、上述の信号を搬送波18KHzから同調するFM復調処理を実行し(S240)、外部の加速度センサのY2軸加速度センサからの信号を分離して取得する(S245)。そして、各加速度センサからの入力信号を取得した値を集計し、USBコネクタ23fから送出するためのUSBパケットを生成し(S250)、その生成したUSBパケットを、カラオケ装置30のUSB入力端子へ向けて、USBコネクタ23fから送出する(S255)。また、同時に、上述の信号に対してローパスフィルタ処理を実行する(S260)。具体的には、上述の信号から10KHz以上の周波数帯の信号をカットする。さらに、ローパスフィルタ処理後の信号を、カラオケ装置30のマイク入力端子へ向けて、コネクタ23gから送出する(S265)。
【0052】
[メイン処理の説明]
以下に、カラオケ装置30が実行するメイン処理の処理手順を図10のフローチャートに基づいて説明する。このメイン処理は、カラオケ装置30が起動している場合に他の処理からは独立して実行される。
【0053】
まず、選曲操作があるまで待機し、選曲操作された曲番号を決定する(S305)。次に、曲番号に対応するカラオケ楽曲データを記憶装置33から取得し、カラオケ演奏の準備を行う(S310)。
【0054】
続いて、楽曲データをカラオケ演奏するカラオケ演奏処理を実行するとともに(S320)、マイクロフォン41からの音声信号を採点する(S315)。また、同時に、本体側アダプタ20がカラオケ装置30に接続されているか否かを判断する(S325)。本体側アダプタ20がカラオケ装置30に接続されていないと判断された場合には(S325:NO)、後述するS355に移行する。一方、本体側アダプタ20がカラオケ装置30に接続されていると判断された場合には(S325:YES)、先に取得した楽曲データに含まれるジャンル情報からカラオケ演奏曲のジャンルを選択する(S330)。カラオケ演奏曲のジャンルが演歌やバラードである場合においてテンポ値が数値「120」以上であるとき(S330:左、S335:YES)、またはカラオケ演奏曲のジャンルが
ロックやテクノである場合においてテンポ値が数値「90」以下ではないとき(S330:右、S335:NO)には、後述する「ビート」アルゴリズムを実行し(S350、図14(a)参照)、一方、カラオケ演奏曲のジャンルが演歌やバラードである場合においてテンポ値が数値「120」以上ではないとき(S330:左、S335:NO)、またはカラオケ演奏曲のジャンルがロックやテクノである場合においてテンポ値が数値「90」以下であるとき(S330:右、S335:YES)には、後述する「拍子」アルゴリズムを実行する(S345、図13(a)参照)。そして、S355に移行する。
【0055】
S355では、先の採点処理によって算出された採点結果である歌唱得点を表示装置45に表示させる(S355)。
次に、演奏曲に対応する歌唱者を特定するために、歌唱得点が1ポイント以上あるか否かを判断する(S357)。歌唱得点があれば(S357:YES)、演奏曲に対応した歌唱者であると判断する。一方、単にマイクロフォン41を所持しているだけで歌唱していない場合など採点の得点が出ないために歌唱得点が1ポイント以下である場合には(S357:NO)、歌唱者がマイクロフォン41を手で保持していないと判断する。なお、歌唱者であれば、当然、中央処理装置31の歌唱得点処理によって歌唱得点値が抽出され、単にマイクロフォン41を振っているだけであれば歌唱得点値は抽出されないので、上述のS357の処理は、カラオケ演奏曲の振付得点がカラオケ歌唱者によってカラオケ歌唱中に作用することに着目し、カラオケ歌唱の振り付け得点を行う者と、そうでない者(例えば、単にマイクを振っているだけの者)とに区別する振り付け者特定処理でもある。
【0056】
さらに、ゲーム性を強める効果を得るために、歌唱者が真面目に歌唱しているか否か、もしくは歌唱の難易度に応じて振り付け得点処理を行うのであれば、予め演奏曲データに歌唱得点の閾値を組み込み、演奏曲の演奏開始時に対応する閾値を抽出し、演奏曲毎に、S357の処理にて肯定判断となる歌唱得点のポイント値を決め(通称:足切り採点)、一定ポイント以上の歌唱者のみ振り付け得点を行わせるようにすることもできる。
【0057】
そして、演奏曲の歌唱者であると特定されれば、先に実行した「ビート」アルゴリズムまたは「拍子」アルゴリズムの何れかによる振付け採点において得点を得たか否かを判断する(S360)。振付け採点において得点を得ていないと判断された場合には(S360:NO)、次のカラオケ楽曲の演奏に移行することと決定し(S370)、S305に戻る。一方、振付け採点において得点を得たと判断された場合には(S360:YES)、その振付け採点による得点を表示装置45に表示させる(S365)。そして、次のカラオケ楽曲の演奏に移行することと決定し(S370)、S305に戻る。
【0058】
[拍子アルゴリズム処理の説明]
以下に、カラオケ装置30が実行する拍子アルゴリズムの処理手順を図11のフローチャートおよび図13に基づいて説明する。なお、図13(a)は拍子アルゴリズムを説明する説明図であり、図13(b)は拍子アルゴリズムを実行する際に加速度センサによって検出されるX軸波形を示す説明図であり、図13(c)は拍子アルゴリズムが選択された際のスローテンポな楽曲の一例を示す説明図である。
【0059】
この拍子アルゴリズムは、メイン処理においてS345に移行した際にサブルーチンとして実行される。
まず、加点値を初期化する(S405)。
【0060】
続いて、1拍単位で行う処理群(ループ)を開始する(S410)。まず、加速度センサ13から取得したサンプリングデータ値、テンポ値、X1軸用ピークカウンタ、および
X2軸用ピークカウンタを初期化する(S415)。次に、テンポ値を参照して、MIDIデータのシーケンス処理を実行する(S420)。この場合、テンポ値変更データを検索し、テンポ値データが存在すれば、そのテンポ値データに応じてテンポ値設定を更新する。そして、加速度センササンプリングデータを参照して、次の式(1)によって算出された時間TのMIDI演奏処理を実行するとともに(S424)、次の式(1)によって算出された時間Tの加速度センサ13からの入力値を記憶する(S425)。

時間T=(1分/テンポ値)×4…式(1)

続いて、MIDI演奏が終了したか否かを判断する(S430)。MIDI演奏が終了したと判断された場合には(S430:YES)、加点値を出力して本サブルーチン処理を終了する。
【0061】
一方、MIDI演奏が終了していないと判断された場合には(S430:NO)、X1ピークカウンタを参照して、加速度センサ13のX1軸加速度センサ13aからの入力信号からピークの有無を検出する(S435)。なお、ピークが検出された場合には、加算値に加算する。また、X2ピークカウンタを参照して、外部の加速度センサのX2軸加速度センサからの入力信号からピークの有無を検出する(S440、図13(b)および図13(c)参照)。なお、ピークが検出された場合には、加算値に加算する。そして、X1ピークカウンタの値が数値「2」であるか否かを判断する(S445)。X1ピークカウンタの値が数値「2」であると判断された場合には(S445:YES)、加算値に加算し(S455)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S460)、S410に戻る。一方、X1ピークカウンタの値が数値「2」ではないと判断された場合には(S445:NO)、X2ピークカウンタの値が数値「2」であるか否かを判断し(S450)、X1ピークカウンタの値が数値「2」であると判断された場合には(S445:YES)、加算値に加算し(S455)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S460)、S410に戻る。一方、X2ピークカウンタの値が数値「2」ではないと判断された場合には(S450:NO)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S460)、S410に戻る。
【0062】
[ビートアルゴリズム処理の説明]
以下に、カラオケ装置30が実行するビートアルゴリズムの処理手順を図12のフローチャートおよび図14に基づいて説明する。なお、図14(a)はビートアルゴリズムを説明する説明図であり、図14(b)はビートアルゴリズムを実行する際に加速度センサによって検出されるY軸波形を示す説明図であり、図14(c)はビートアルゴリズムが選択された際のアップテンポな楽曲の一例を示す説明図である。
【0063】
このビートアルゴリズムは、メイン処理においてS350に移行した際にサブルーチンとして実行される。
まず、加点値を初期化する(S505)。
【0064】
続いて、1拍単位で行う処理群(ループ)を開始する(S510)。まず、加速度センサ13から取得したサンプリングデータ値、テンポ値、Y1軸用ピークカウンタ、およびY2軸用ピークカウンタを初期化する(S515)。次に、テンポ値を参照して、MIDIデータのシーケンス処理を実行する(S520)。この場合、テンポ値変更データを検索し、テンポ値データが存在すれば、そのテンポ値データに応じてテンポ値設定を更新する。また、打音数値を参照して、MIDIデータのシーケンス処理を実行する(S522)。この場合、打楽器トラックを検索し、打音数をカウントして算出する。そして、加速度センササンプリングデータを参照して、上述の式(1)によって算出された時間TのM
IDI演奏処理を実行するとともに(S524)、上述の式(1)によって算出された時間Tの加速度センサ13からの入力値を記憶する(S525)。
【0065】
続いて、MIDI演奏が終了したか否かを判断する(S530)。MIDI演奏が終了したと判断された場合には(S530:YES)、加点値を出力して本サブルーチン処理を終了する。
【0066】
一方、MIDI演奏が終了していないと判断された場合には(S530:NO)、Y1ピークカウンタを参照して、加速度センサ13のY1軸加速度センサ13bからの入力信号からピークの有無を検出する(S535)。なお、ピークが検出された場合には、加算値に加算する。また、Y2ピークカウンタを参照して、外部の加速度センサのY2軸加速度センサからの入力信号からピークの有無を検出する(S540、図14(b)および図14(c)参照)。なお、ピークが検出された場合には、加算値に加算する。そして、Y1ピークカウンタの値が打音数を2倍した値であるか否かを判断する(S545)。Y1ピークカウンタの値が打音数を2倍した値であると判断された場合には(S545:YES)、加算値に加算し(S555)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S560)、S510に戻る。一方、Y1ピークカウンタの値が打音数を2倍した値ではないと判断された場合には(S545:NO)、Y2ピークカウンタの値が打音数を2倍した値であるか否かを判断し(S550)、Y1ピークカウンタの値が打音数を2倍した値であると判断された場合には(S545:YES)、加算値に加算し(S555)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S560)、S510に戻る。一方、Y2ピークカウンタの値が打音数を2倍した値ではないと判断された場合には(S550:NO)、1拍単位で行う処理群(ループ)を終了して(S560)、S510に戻る。
【0067】
[第一実施形態の効果]
(1)このように第一実施形態のマイク側アダプタ10、本体側アダプタ20およびカラオケ装置30によれば、マイクロフォン41から音声信号が歌唱中に入力されているか否かを検出することで、歌唱者にマイクロフォン41が利用されているか否かを特定し、さらに、マイクロフォン41に取り付けられたマイク側アダプタ10によって歌唱者の動作をも検出し、その検出した動作を示す信号の波形と楽音情報を構成するパートの発声データの一致度合を算出し、その算出した一致度合いからカラオケ歌唱中の歌唱者の動作を振付けとして採点する。したがって、楽曲演奏時に歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0068】
(2)また、第一実施形態のマイク側アダプタ10、本体側アダプタ20およびカラオケ装置30によれば、マイク側アダプタ10がマイクロフォン41に取り付け可能にアダプタ化されている。このことにより、従来構成を利用してマイク側アダプタ10をマイクロフォンに取り付けることができる。また、マイク側アダプタ10が歌唱者の手の動きを検出することができる。
【0069】
(3)また、第一実施形態のマイク側アダプタ10、本体側アダプタ20およびカラオケ装置30によれば、楽音情報に含まれるジャンル情報およびテンポ値に基づいて、振付けアルゴリズムを選択する。このことにより、演奏されている楽曲のテンポに合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0070】
(4)また、第一実施形態のマイク側アダプタ10、本体側アダプタ20およびカラオケ装置30によれば、歌唱者の動作を示す動作信号の発音データの隣接するピーク箇所同士の間隔とテンポ値との一致度合いを算出して振付け採点値とする。このことにより、演奏されている楽曲の曲調に合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0071】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0072】
(1)上記実施形態では、マイク側アダプタ10がマイクロフォン41に取り付け可能にアダプタ化されているが、これには限られず、マイク側アダプタ10をネクタイピンなど歌唱者の体に取り付け可能に構成してもよい。一例を挙げると、図15に例示するように、加速度センサ121を備えたネクタイピン120をハーネス122を介してマイク側アダプタ10と接続するといった具合である。この場合、加速度センサ121をマイク側アダプタ10のコネクタ12cに接続し、その加速度センサ121のX2軸加速度センサがセンサプリアンプ12iおよびADコンバータ12mを介してDSP12fに接続され、加速度センサのY2軸加速度センサがセンサプリアンプ12jおよびADコンバータ12nを介してDSP12fに接続される。そして、X1軸加速度センサ13aによって検出された信号については、センサプリアンプ12iによって増幅されたのちにADコンバータ12mによってデジタル化されてDSP12fに入力され、Y1軸加速度センサ13bによって検出された信号については、センサプリアンプ12jによって増幅されたのちにADコンバータ12nによってデジタル化されてDSP12fに入力されることとなる。
【0073】
このようにすれば、上述のネクタイピン120を歌唱者の体に直接取り付けることで、例えばテンポの速い曲に合わせた歌唱者の体の動きを検出することができる。
(2)上記実施形態では、歌唱者の動作を示す動作信号の発音データの隣接するピーク箇所同士の間隔とテンポ値との一致度合いを算出して振付け採点値としているが、これには限られず、再生中の楽音情報を構成するパートからその発音データを動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを任意に選択し、歌唱者の動作を示す動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出して振付け採点値としてもよい。このようにしても、演奏されている楽曲の曲調に合わせて、歌唱者本人の振付けをより正確に採点することができる。
【0074】
(3)また、上記実施形態では、マイクロフォン41からの音声信号検出を音声信号レベルで行っているが、マイクロフォンからの音声信号検出を採点で行うようにしてもよい。具体的には、楽曲情報には採点情報が含まれており、カラオケ装置30の中央処理装置31が、採点情報に基づき、歌唱中の音声信号の採点値化を行い、予め定められた採点閾値と歌唱中の音声信号の採点値とを比較する。そして、歌唱中の音声信号の採点値が採点閾値よりも高いと判断された場合には、算出した一致度合に基づき、当該歌唱者の動作を楽音に合わせた振付けとして採点する。
【0075】
このようにすれば、上述の手法ではマイクロフォンからの音声信号検出を音声信号レベルで行うような単なる音声検出ではなく、歌唱中の採点値を用いるので、例えば採点値が及第点(採点閾値)であれば歌唱中であると特定できる。しがたって、歌唱中の歌唱者のマイクロフォン41であることをさらに正確に特定することができるので、歌唱者本人が振付採点を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】カラオケ装置30およびマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略外観図である。
【図2】(a)はマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略構成図であり、(b)はマイク側アダプタ10の概略構成図であり、(c)はマイク側アダプタ10が装着されたマイクロフォン41の概略外観図である。
【図3】は本体側アダプタ20の概略構成図である。
【図4】カラオケ装置30の構成ブロック図である。
【図5】マイク側アダプタ10の構成ブロック図である。
【図6】本体側アダプタ20の構成ブロック図である。
【図7】マイク側アダプタ10のDSP12fが実行する入力信号処理を示すフローチャートである。
【図8】本体側アダプタ20のDSP23dが実行する入力信号処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)はマイク側アダプタ10と本体側アダプタ20との間における伝送帯域を示す説明図であり、(b)は加速度センサ波形サンプルを示す説明図である。
【図10】カラオケ装置30が実行するメイン処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】カラオケ装置30が実行する拍子アルゴリズムの手順を示すフローチャートである。
【図12】カラオケ装置30が実行するビートアルゴリズムの手順を示すフローチャートである。
【図13】(a)は拍子アルゴリズムを説明する説明図であり、(b)は拍子アルゴリズムを実行する際に加速度センサによって検出されるX軸波形を示す説明図であり、(c)は拍子アルゴリズムが選択された際のスローテンポな楽曲の一例を示す説明図である。
【図14】(a)はビートアルゴリズムを説明する説明図であり、(b)はビートアルゴリズムを実行する際に加速度センサによって検出されるY軸波形を示す説明図であり、(c)はビートアルゴリズムが選択された際のアップテンポな楽曲の一例を示す説明図である。
【図15】(a)は別実施形態のマイク側アダプタ10およびネクタイピン120の概略外観図であり、(b)はネクタイピン120の概略外観図である。
【符号の説明】
【0077】
10…マイク側アダプタ、10a…筐体、10b…モールド、11…バッテリ、12…回路基板、12a…電源回路、12b,12c…コネクタ、12d…マイクプリアンプ、12e,12m,12n,12o,12p…ADコンバータ、12g…DAコンバータ、
12h…赤外線出力アンプ、12i,12j,12k,12l…センサプリアンプ、13,121…加速度センサ、13a…X1軸加速度センサ、13b…Y1軸加速度センサ、14…赤外線発信素子、15…XLRオス端子、16…XLRメス端子、16KHz…搬送波、20…本体側アダプタ、21…筐体、22…赤外線受信素子、23…回路基板、23a…電源回路、23b…赤外線入力アンプ、23c,23d…ADコンバータ、23e…DAコンバータ、23f…USBコネクタ、23g…コネクタ、24…USBハーネス、24,25,122…ハーネス、30…カラオケ装置、31…中央処理装置、32…通信制御装置、33…記憶装置、34…操作パネル、35…リモコン送信機、36…リモコン受信機、37…操作制御部、38…シンセサイザ、39…ミキシングアンプ、40…スピーカ、41…マイクロフォン、41a…マイク本体、41b…アダプタ部、41c…マイクハーネス、43…映像再生装置、44…映像制御部、45…表示装置、50…店舗内ネットワーク、60…公衆回線、70…配信用ホスト装置、120…ネクタイピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の曲の中から所望の曲を選択するための選択手段と、
前記選択手段によって選択された曲に対応した楽音情報を再生して楽音を出力する楽音出力手段と、
歌唱者によるカラオケ歌唱の音声信号を入力するためのマイクロフォンと、
前記マイクロフォンに取り付けられることで前記マイクロフォンを保持する当該歌唱者に直接的にまたは間接的に固定される固定手段を有し、前記楽音出力手段による前記楽音情報の再生に合わせた当該歌唱者の動作を示す動作信号を検出し、その検出した振付け信号を送出する一つ以上の振付け信号検出手段と、
前記振付け信号検出手段によって送出された前記動作信号を受信する振付信号受信手段と、
前記音声信号レベルが予め定められた閾値を越えたか否かを検出する音声信号検出手段と、
前記楽音出力手段によって再生中の前記楽音情報を構成するパートからその発音データを前記動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを選択し、前記振付信号受信手段が受信した前記動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出する算出手段と、
前記音声検出手段が前記閾値を越えたレベルの音声信号を検出した場合に、前記算出手段が算出した一致度合に基づき、当該歌唱者の動作を前記楽音に合わせた振付けとして採点する振付け採点手段と、
を備えたことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケ装置において、
前記マイクロフォンは、前記音声信号を送出するためのマイク側端子を有し、
前記振付け信号検出手段の少なくとも一つは、前記マイクロフォンの前記マイク端子に接続可能な受入れ端子と、前記受入れ端子と接続し、前記受入れ端子から受け入れた前記音声信号を送出可能な送出端子と、を有し、前記固定手段によって前記マイクロフォンに固定された際には、前記受入れ端子が前記マイクロフォンの前記マイク側端子に接続されるよう構成されていること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカラオケ装置において、
前記振付け信号検出手段の少なくとも一つは、当該歌唱者に取り付け可能な取付手段を有することを特徴とするカラオケ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のカラオケ装置において、
前記算出手段は、前記楽音出力手段によって前記楽音情報に予め対応付けられたジャンル情報と再生時に使用されるテンポ値とに基づき、振付アルゴリズムを選択し、前記楽音出力手段によって再生中の前記楽音情報を構成するパートからその発音データを前記動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを前記振付アルゴリズムから選択し、前記振付信号受信手段が受信した前記動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のカラオケ装置において、
前記算出手段は、前記振付信号受信手段が受信した前記動作信号における隣接するピーク箇所同士の間隔と再生時に使用されるテンポ値との一致度合を算出すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のカラオケ装置において、
前記算出手段は、前記楽音出力手段によって再生中の前記楽音情報を構成するパートからその発音データを前記動作信号の波形と比較するための一つ以上のパートを任意に選択し、前記振付信号受信手段が受信した前記動作信号が示す波形とその選択されたパートが示す発音データとの一致度合を算出すること
を特徴とするカラオケ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のカラオケ装置において、
前記楽曲情報には採点情報が含まれており、
前記採点情報に基づき、歌唱中の音声信号の採点値化を行うカラオケ採点手段と、
予め定められた採点閾値と前記歌唱中の音声信号の採点値とを比較する採点値比較手段と、を備え、
前記振付け採点手段は、前記採点値比較手段によって前記歌唱中の音声信号の採点値が前記採点閾値よりも高いと判断された場合には、前記算出手段が算出した一致度合に基づき、当該歌唱者の動作を前記楽音に合わせた振付けとして採点すること
を備えたことを特徴とするカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−216335(P2008−216335A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50145(P2007−50145)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】