説明

カラオケ装置

【課題】評価対象である利用者に個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置を提供する。
【解決手段】マイクロフォン40と、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66を特定するための情報とを関連づけて記憶する予約曲テーブル98と、演奏曲の出力に際して、予め定められた関係からマイクロフォン40により入力される音声に関する情報に基づいて演奏の評価を行う演奏評価制御手段104と、その演奏評価制御手段104による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66に送信する演奏評価結果送信手段106とを、備えたものであることから、カラオケ演奏の評価結果を演奏者だけに通知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させるカラオケ装置に関し、特に、その演奏評価機能の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置が知られている。例えば、カラオケボックス等で使用されるカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、予め記憶装置に記憶された多数のカラオケ演奏曲から選択された所定のカラオケ演奏曲の音楽情報を出力させると共に、そのカラオケ演奏曲の歌詞情報を含む映像をその出力に併行して画面に表示させることで、所望の歌のカラオケ演奏を楽しむことができる。
【0003】
ところで、近年普及しているカラオケ装置には、上述のような音楽再生装置としての機能のみならず、マイクから入力される音声情報に基づいて歌唱力等を評価(採点)する演奏評価機能を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載されたカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、音程、テンポ、音量等を基準としてマイクロフォンから入力される音声情報とカラオケ演奏曲の演奏情報とを比較することで、その入力される音声情報に応じて歌唱の評価を採点することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−109264号公報
【0005】
しかし、前述したような従来のカラオケ装置では、前記演奏評価の結果をカラオケ装置の映像表示装置にテロップとして表示させる態様が一般的であるが、特に評価が低かった場合等において、その評価結果がカラオケ演奏者全員の面前に晒されることで、評価の対象となった利用者が恥ずかしい思いをするおそれがあった。また、前記演奏評価の結果を、単に点数としてでなく詳細な分析結果として評価の対象となった利用者に通知することを考えた場合、従来のように前記カラオケ装置の映像表示装置に表示させる態様では、場の雰囲気を壊すおそれがあった。すなわち、評価対象である利用者に個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置は、未だ開発されていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、評価対象である利用者に個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させるカラオケ装置であって、音声を入力するための音声入力装置と、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機を特定するための情報とを関連づけて記憶する記憶装置と、前記演奏曲の出力に際して、予め定められた関係から前記音声入力装置により入力される音声に関する情報に基づいて演奏の評価を行う演奏評価制御手段と、その演奏評価制御手段による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機に送信する演奏評価結果送信手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、音声を入力するための音声入力装置と、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機を特定するための情報とを関連づけて記憶する記憶装置と、前記演奏曲の出力に際して、予め定められた関係から前記音声入力装置により入力される音声に関する情報に基づいて演奏の評価を行う演奏評価制御手段と、その演奏評価制御手段による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機に送信する演奏評価結果送信手段とを、備えたものであることから、カラオケ演奏の評価結果を演奏者だけに通知することができる。すなわち、評価対象である利用者に個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置を提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記記憶装置は、前記携帯電話機による選曲入力に際して、その選曲入力信号と共に送信されるその携帯電話機の識別情報と選曲に係る演奏曲の選曲番号とを関連づけて記憶するものである。このようにすれば、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機を特定するための情報とを実用的な態様で関連づけて記憶することができる。
【0010】
また、好適には、前記演奏評価制御手段は、前記演奏曲の出力に際して、その演奏曲の音程及び/又はテンポに対する前記音声入力装置により入力される音声の音程及び/又はテンポの相対的なずれを算出するものであり、前記演奏評価送信手段は、予め定められた関係から、前記演奏評価制御手段により算出される音程及び/又はテンポの相対的なずれに基づいて所定のコメントを、前記評価結果として評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機に送信するものである。このようにすれば、具体的で分かり易い演奏評価結果を評価対象である利用者に通知することができる。
【0011】
また、好適には、前記演奏評価送信手段は、前記演奏評価制御手段による評価結果を電子メールとしてインターネット回線を介して前記携帯電話機に送信するものである。このようにすれば、評価対象である利用者の携帯電話機に実用的な態様で評価結果を送信することができる。
【0012】
また、好適には、前記演奏評価送信手段は、前記演奏評価制御手段による評価結果を近距離無線通信により前記携帯電話機に送信するものである。このようにすれば、評価対象である利用者の携帯電話機に実用的な態様で評価結果を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明が好適に適用されるカラオケシステム10を説明する概略図である。この図1に示すように、上記カラオケシステム10では、カラオケボックス、スナック、旅館等の店舗12における複数の個室14a、14b、14c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に個室14と称する)にそれぞれ1台乃至は複数台ずつ(図1では1台ずつ)の本発明の一実施例であるカラオケ装置16a、16b、16c、・・・(以下、特に区別しない場合には単にカラオケ装置16と称する)が設置されている。これら複数のカラオケ装置16は、ルータ28を介して公衆電話回線等による通信回線18に接続されており、同じくその通信回線18に接続されたカラオケサービス提供会社のサーバ装置(センタ装置)20との相互間でその通信回線18を介して情報の通信が可能とされている。このサーバ装置20は、カラオケ情報(楽曲データ)、背景映像情報、曲間情報等のデジタルコンテンツ(Digital Contents)の保管や入出力管理の基本的な制御を行うサーバであり、上記通信回線18を介して上記カラオケ装置16に定期的にコンテンツの配信を行うと共に、そのカラオケ装置16からの要求に応じて所定の機能制御プログラムを送信するものである。また、上記カラオケシステム10は、複数の電子早見本装置22a、22b、22c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に電子早見本装置22と称する)を備えており、上記カラオケ装置16の利用に際して、各利用者(グループ)毎に1台乃至数台ずつの電子早見本装置22が貸与され、各個室14において後述するように上記カラオケ装置16の遠隔操作装置として用いられるようになっている。上記店舗12内には上記複数のカラオケ装置16を相互に接続するLAN24が敷設されており、上記電子早見本装置22からのカラオケ装置16への入力は、所定のアクセスポイント26及びLAN24を介したLAN通信等により行われる。
【0015】
図2は、上記カラオケ装置16の構成を例示するブロック線図である。この図2に示すように、上記カラオケ装置16は、CRT(Cathode-ray Tube)やTFT(Thin Film Transistor Liquid Crystal)等の映像表示装置30と、CRTコントローラ等の映像出力制御部32と、映像情報デコーダ34と、ビデオミキサ36と、音源であるシンセサイザ38と、音声入力装置であるマイクロフォン40と、A/Dコンバータ41と、アンプミキサ42と、スピーカ44と、操作パネル46と、その操作パネル46等からの入力信号を処理する入出力インターフェイス48と、中央演算処理装置であるCPU50と、読出専用メモリであるROM52と、随時書込読出メモリであるRAM54と、記憶装置であるハードディスク56と、モデム58と、LANポート60と、上記電子早見本装置22やリモコン装置64等の入力装置からのリモコン信号を受信するためのリモコン受信部62と、ブルートゥースモジュール63とを、備えて構成されている。
【0016】
前記映像出力制御部32は、前記CPU50において生成された歌詞文字映像等の文字映像(テロップ)を出力する文字映像出力装置として機能する他、前記映像表示装置30による種々の映像表示を制御する表示制御装置である。また、前記映像情報デコーダ34は、利用者が歌詞を参照しながら歌を歌う際に前記ハードディスク56に記憶された背景映像情報に基づいて所定の背景映像を再生(デコード)する背景映像再生装置である。この背景映像情報は、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のデータであり、そのMPEGデータに基づいて前記映像情報デコーダ34により再生された背景映像は、前記ビデオミキサ36へ送られる。また、そのビデオミキサ36は、前記CPU50において生成され且つ前記映像出力制御部32から出力される文字映像と、前記映像情報デコーダ34により再生される背景映像とを合成して前記映像表示装置30に表示させる映像合成装置である。
【0017】
前記シンセサイザ38は、前記ハードディスク56から読み出されて送られて来るカラオケ演奏曲の演奏情報に基づいて楽器の演奏信号等の音楽信号を生成する音源である。この演奏情報は、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式のデータであり、そのMIDIデータに基づいて前記シンセサイザ38により生成された音楽信号は、アナログ信号に変換されて前記アンプミキサ42へ送られる。そのアンプミキサ42では、送られてきた音楽信号と前記マイクロフォン40を介して入力される利用者の歌声とがミキシングされ、それらの信号が電気的に増幅されて前記スピーカ44から出力される。また、前記A/Dコンバータ41は、音声入力装置である前記マイクロフォン40から入力されるアナログ信号としての音声情報をディジタル信号に変換して前記CPU50等へ供給する。
【0018】
前記操作パネル46は、前記カラオケ装置16の利用者が歌いたいカラオケ演奏曲を選択したり、演奏曲の音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための操作ボタン(スイッチ)或いはつまみを備えた入力装置である。また、前記カラオケ装置16には、前記操作パネル46の一部機能を遠隔で実行するための入力装置として機能するリモコン装置64が備えられており、前記リモコン受信部62は、そのリモコン装置64から送信されるリモコン信号を受信して前記CPU50へ供給する。また、前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との対応付け(くくりつけ)処理も前記リモコン受信部62を介して行われ、そのようにして前記カラオケ装置16に対応付けられた電子早見本装置22も同様に入力装置として機能する。また、後述するようにリモコン信号送信機能が備えられた携帯電話機66も同様に前記カラオケ装置16の入力装置として機能し、その携帯電話機66から送信される信号が上記リモコン受信部62を介して前記CPU50等に供給される。
【0019】
前記CPU50は、前記RAM54の一時記憶機能を利用しつつ前記ROM52に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂マイクロコンピュータであり、前記電子早見本装置22やリモコン装置64等により所定のカラオケ演奏曲が選曲された場合、その選曲されたカラオケ演奏曲を前記RAM54に設けられた予約曲テーブル98(図4を参照)に登録したり、その予約曲テーブル98の演奏順に従って前記ハードディスク56から前記RAM54に選曲されたカラオケ演奏曲の演奏情報及び歌詞情報等を読み出したり、カラオケ演奏曲の演奏が進行するのに応じてそのRAM54から前記シンセサイザ38へ演奏情報を送信したり、歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成して前記映像出力制御部32へ送ったり、選曲時には曲名文字映像を生成して前記映像出力制御部32へ送ったり、前記映像情報デコーダ34を制御して所定の背景映像を再生させたり、カラオケ演奏が行われていない間すなわち曲間において、新譜情報、選曲ランキング、店舗広告等の曲間情報を出力させたり、前記通信回線18を介した前記サーバ装置20との間の情報通信制御等の基本的な制御に加えて、後述する演奏評価制御乃至演奏評価結果送信制御等を実行する。
【0020】
前記モデム58は、前記カラオケ装置16を公衆電話回線等による通信回線18に接続するための装置であり、前記CPU50から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換して前記通信回線18に送り出すと共に、その通信回線18を介して伝送されるアナログ信号をディジタル信号に変換して前記CPU50に供給する処理を行う。なお、前記店舗12に備えられた複数のカラオケ装置16のうち何れかのカラオケ装置16が前記ルータ28の機能を備えてマスターコマンダとして前記通信回線18に接続される態様も考えられ、その場合、前記モデム58はそのマスターコマンダとして機能するカラオケ装置16には必要とされるが、そのマスターコマンダを介して前記サーバ装置20との間で情報の通信を行う他のカラオケ装置16には必ずしも設けられなくともよい。
【0021】
前記LANポート60は、前記カラオケ装置16をLAN24を介して他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器に接続するための接続器であり、前記カラオケ装置16は、そのようにLAN24を介して接続されることで、他のカラオケ装置16や電子早見本装置22等の他の機器との間で情報の送受信が可能とされる。例えば、前記アクセスポイント26を介して受信される前記電子早見本装置22からの選曲入力を受け付けて前記RAM54に設けられた予約曲テーブルに記憶したり、そのアクセスポイント26を介して前記カラオケ装置16から電子早見本装置22へ所定の情報を送信したりというように、電波を介して前記カラオケ装置16と電子早見本装置22との間における相互の情報のやりとりが実行される。また、斯かるLAN24及びアクセスポイント26を介して、前記複数の電子早見本装置22相互間でも情報の通信が行われる。
【0022】
前記ブルートゥースモジュール63は、同様にブルートゥース通信部を有する通信式情報端末である携帯電話機66等から送信されたブルートゥース信号を受信して前記CPU50へ供給すると共に、そのCPU50から出力されたブルートゥース信号を送信する近距離無線通信装置であり、無線信号としてのブルートゥース信号を介して情報の送受信を行う。後述する演奏評価結果送信制御における前記カラオケ装置16から携帯電話機66への演奏評価結果の送信は、好適にはこのブルートゥースモジュール63を介しての近距離無線通信により行われる。
【0023】
前記ハードディスク56には、カラオケ演奏曲を出力させるための多数のカラオケデータ(楽曲データ)を記憶するカラオケデータベース100(図4を参照)をはじめとする各種データベースが設けられている。カラオケボックス等の店舗にそれぞれ備えられた複数のカラオケ装置16のうち所定のカラオケ装置16例えば前記カラオケ装置16aは、前記モデム58を介して前記通信回線18に接続されており、前記複数のカラオケ装置16によって常に新しい曲が演奏可能とされるように、随時新たなカラオケデータ等が前記サーバ装置20から前記通信回線18を介して配信され、前記ハードディスク56のカラオケデータベース100等に記憶される。また、そのようにして前記サーバ装置20から情報を取得したカラオケ装置16aとその他のカラオケ装置16との間で前記LAN24を介した通信が行われることにより、各カラオケ装置16のハードディスク56に記憶される情報が共有され、上記カラオケデータベース100等の内容が等価なものとされる。
【0024】
図3は、前記携帯電話機66の構成を例示する図である。この図3に示すように、前記携帯電話機66は、中央演算処理装置であるCPU68と、読出専用メモリであるROM70と、随時書込読出メモリであるRAM72と、フラッシュROM等の記憶部74と、表示部76と、操作部78と、ブルートゥースモジュール80と、アンテナ82と、送受信部84と、モデム部86と、音声コーディック部88と、アナログフロントエンド90と、スピーカ92と、音声入力装置であるマイクロフォン94と、前記カラオケ装置16にリモコン信号(赤外線信号)を送信するための情報送信部としてのリモコン送信部96とを、備えて構成されている。
【0025】
上記CPU68は、随時書込読出メモリであるRAM72の一時記憶機能を利用しつつ読出専用メモリであるROM70に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、所定の文字ボタン等を備えた操作部78からの入力に従って文字入力が実行されるように制御したり、その操作部78から入力された電話番号に従って通信或いは通話チャンネルを成立させると共に相互の通信或いは通話が可能となるように制御したり、その操作部78から入力されたURLに従って所定のウェブサイトにアクセスしたり、メールの作成及び送受信を制御する等の基本的な制御に加えて、後述する選曲入力信号送信制御乃至演奏評価結果表示制御等を実行する。
【0026】
前記携帯電話機66において、例えばその通話状態においては、前記アンテナ82を介して送受信部84に受けた通話信号等がモデム部86を介して音声コーディック部88においてデジタルコード信号から音声信号に変換され、アナログフロントエンド90によりスピーカ92が駆動されて音声が出力される。同時に、前記マイクロフォン94により音声から変換された音声信号が前記アナログフロントエンド90を介して前記音声コーディック部88に送られてそこでディジタル信号に変換され、前記モデム部86、送受信部84、及びアンテナ82を介して送信される。また、通信状態において、前記CPU68は、前記操作部78から入力された信号を通信先へ送信すると同時に、通信先から受信された信号を表示部76に表示させる制御を行う。また、他の通信端末からの着信があったと判定される場合には、前記記憶部74に予め記憶された着信メロディ情報を読み出し、その着信メロディ情報に基づいて図示しない音源部により所定のメロディ(呼出音)を発生させて前記スピーカ92から出力させたり、呼出音非出力モードにおいては図示しないバイブレータを駆動させて振動を発生させたりする。
【0027】
前記ブルートゥースモジュール80は、同様にブルートゥース通信部を有する前記カラオケ装置16等から送信されたブルートゥース信号を受信して前記CPU68へ供給すると共に、そのCPU68から出力されたブルートゥース信号を送信する近距離無線通信装置であり、無線信号としてのブルートゥース信号を介して情報の送受信を行う。後述する演奏評価結果表示制御における前記カラオケ装置16から送信される演奏評価結果の受信は、好適にはこのブルートゥースモジュール80を介しての近距離無線通信により行われる。
【0028】
図4は、前記カラオケ装置16のCPU50及び携帯電話機66のCPU68に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示す選曲入力信号送信手段102及び演奏評価結果表示手段108は、前記携帯電話機66のCPU68に機能的に備えられたものであり、演奏評価制御手段104及び演奏評価結果送信手段106は、前記カラオケ装置16のCPU50に機能的に備えられたものである。以下、これらの制御について詳述する。
【0029】
上記選曲入力信号送信手段102は、前記操作部78による入力操作に応じて所定の演奏曲の選曲入力を行うための選曲入力信号を前記カラオケ装置16へ送信する。前記携帯電話機66において、好適には、前記RAM72乃至記憶部74には、前記カラオケ装置16のカラオケデータベース100に記憶された多数のカラオケ情報それぞれに対応して曲名、アーティスト名、属性情報、歌詞の歌い出し部分等の選曲案内情報、及び備考等を選曲番号毎に記憶する演奏曲データベースが設けられており、上記選曲入力信号送信手段102は、その演奏曲データベースに記憶された情報に基づいて前記表示部76に所定の選曲入力画面を表示させると共に、その選曲入力画面の表示に基づく前記操作部78による入力操作に応じて所定の演奏曲の選曲入力信号(好適にはその演奏曲の選曲番号)を、前記リモコン送信部96を介してリモコン信号として前記カラオケ装置へ送信する。ここで、この選曲入力信号は、前記ブルートゥースモジュール80を介してブルートゥース信号として送信されるものであってもよい。また、上記選曲入力信号送信手段102は、好適には、上記選曲入力信号と共にその送信元である携帯電話機66を識別するための識別情報(例えばuid等)を前記カラオケ装置16へ送信する。
【0030】
上述のようにして上記選曲入力送信手段102により送信された選曲入力信号は、前記カラオケ装置16においてリモコン受信部62により受け付けられ、前記RAM54に設けられた予約曲テーブル98に予約順に記憶される。ここで、好適には、斯かる選曲入力信号と共に受信された携帯電話機66の識別情報がその選曲入力信号に対応する選曲番号と対応付けられてその予約曲テーブル98に記憶される。すなわち、上記RAM54は、前記携帯電話機66による選曲入力に際して、その選曲入力信号と共に送信されるその携帯電話機66の識別情報と選曲に係る演奏曲の選曲番号とを関連づけて記憶する記憶装置に相当する。なお、この携帯電話機66を特定するための識別情報は、その携帯電話機66の選曲入力に際して別途入力させる等、他の方法で前記カラオケ装置16に入力(送信)されるものであってもよく、更には、前記ブルートゥースモジュール80を介して名刺の交換を行うといった態様も考えられる。
【0031】
前記演奏評価制御手段104は、前記カラオケ装置16による演奏曲の出力に際して、予め定められた関係から音声入力装置である前記マイクロフォン40により入力される音声(A/Dコンバータ41によりディジタル信号に変換された音声信号)に関する情報に基づいて演奏の評価を行う。好適には、前記演奏曲のカラオケデータに含まれる演奏情報(MIDIデータ)における音程及び/又はテンポを評価基準として、前記マイクロフォン40からA/Dコンバータ41を介して入力される音声情報の音程及び/又はテンポの相対的なずれを算出する。また、ここで、前記マイクロフォン40からA/Dコンバータ41を介して入力される音声情報の音量(絶対的な声量)を評価の対象に含めてもよい。この評価の態様としては、例えば、千点満点中何点というように数値的に採点を行うものであってもよいし、20段階評定の何れに当てはまるかを判定するというように簡易なものであってもよい。また、好適には、対象となる演奏曲が出力される間すなわち演奏開始から演奏終了までの間に所定のタイミングで複数回、例えばその演奏曲における所定のフレーズ(楽句)毎に上記評価を行い、演奏終了時に最終的な評価を算出する。
【0032】
また、前記演奏評価制御手段104は、好適には、予め定められた関係から上記評価結果に基づいて所定のコメントを作成する。前記カラオケ装置16において、好適には、上述のようにして算出される音程及び/又はテンポの相対的なずれ或いは音量に対応して所定のコメントを作成するための情報が前記ハードディスク56等の記憶装置に記憶されている。例えば、音程の評価を±10の範囲内(0が基準)、テンポの評価を±10の範囲内(0が基準)、音量の評価を0〜10の範囲内(10が最高点)で行う演奏評価制御において、音程の評価結果が−1、テンポの評価結果が−3、音量の評価結果が8であった場合、前記ハードディスク56等に記憶された関係に基づいて「音程少し低かったです」、「テンポかなり遅れてます」、「声の大きさはいい感じ!」等のコメントを作成する。また、音程及びテンポの少なくとも一方が予め定められた閾値の範囲外(例えば+5以上、乃至−5以下)であった場合、「全然ダメです! はっきり言ってヘタ過ぎ!」等、演奏停止を促す定型のコメントを作成する。なお、このコメントは以下に詳述する演奏評価結果送信手段106によって作成されるものであってもよい。
【0033】
前記演奏評価結果送信手段106は、前記演奏評価制御手段104による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66に送信する。具体的には、前記演奏評価制御手段104による評価に係る演奏曲と関連づけられて前記予約曲テーブル98に記憶された識別情報に対応する携帯電話機66に対して、その評価結果を前記ブルートゥースモジュール63を介して近距離無線通信により送信する。また、好適には、前記演奏評価制御手段104により作成された演奏評価結果に応じたコメントに対応するテロップを所定の画像に合成し、例えば図5乃至図6に示すように前記携帯電話機66の表示部76に表示可能な情報(例えばテキスト及び画像を含むxmlデータ)として前記携帯電話機66に送信する。或いは、前記演奏評価制御手段104により作成された演奏評価結果に応じたコメントをテキスト情報として対象となる携帯電話機66に送信するものであってもよい。更に、前記演奏評価結果送信手段106は、前記演奏評価制御手段104による評価(中途評価)が行われる毎にすなわち演奏開始から演奏終了までの間に所定のタイミングで複数回斯かる評価結果を送信するものであってもよいし、対象となる演奏曲の演奏終了後に初めてその評価結果を送信するものであってもよい。
【0034】
前記演奏評価結果表示手段108は、前記演奏評価結果送信手段106から送信されて前記ブルートゥースモジュール80を介して受信された前記評価結果に相当する評価結果映像を前記表示部76に表示させる。図5及び図6は、この演奏評価結果表示手段108により前記表示部76に表示される評価結果映像を例示する図であり、図5は前記演奏評価制御手段104の制御において説明した音程の評価結果が−1、テンポの評価結果が−3、音量の評価結果が8であった場合、図6は音程及びテンポの少なくとも一方が予め定められた閾値の範囲外(例えば+5以上、乃至−5以下)であった場合にそれぞれ対応するものである。この演奏評価結果表示手段108は、前記演奏評価結果送信手段106から送信される情報(例えばxmlデータ等)をそのまま表示させるものであってもよいが、その演奏評価結果送信手段106から送信されるテキスト情報に基づいて図5乃至図6に示すような画像を含む評価結果映像を表示させるというように、前記演奏評価結果送信手段106から送信される情報に予め定められた他の情報を合成して斯かる評価結果映像を作成し、表示させるものであってもよい。
【0035】
図7は、前記カラオケ装置16のCPU50による演奏評価送信制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。なお、この図7に示す制御においては、演奏曲の出力と併行して実行される歌詞文字映像表示制御乃至歌詞文字映像色替制御については、その説明を省略している。
【0036】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、先に演奏されていた演奏曲のカラオケ演奏が終了する等して、前記予約曲テーブル98において最上位に記憶された演奏曲のカラオケ演奏が開始されるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、前記予約曲テーブル98において最上位に記憶された演奏曲のカラオケデータが前記カラオケデータベース100から読み出されて前記RAM54に展開されると共に、その演奏曲と関連づけられて前記予約曲テーブル98に記憶された携帯電話機66の識別情報が読み出される。次に、S3において、前記RAM54に展開されたカラオケデータにおける演奏情報(MIDIデータ)に基づき前記シンセサイザ38を介してカラオケ演奏制御が実行される。次に、S4において、予め定められた関係から前記マイクロフォン40により入力される音声に関する情報に基づいて演奏評価制御が実行される。次に、S5において、演奏評価結果の送信タイミングであるか否かが判断される。このS5の判断が否定される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S5の判断が肯定される場合には、S6において、S4による演奏評価結果(演奏中途評価)が前記ブルートゥースモジュール63を介して対象となる携帯電話機66へ送信された後、S7において、カラオケ演奏終了であるか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、S3以下の処理が実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、S8において、S4による演奏評価結果が集計されて演奏全体を通しての総合評価結果が算出されると共に、その評価結果が前記ブルートゥースモジュール63を介して対象となる携帯電話機66へ送信された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S4及びS8が前記演奏評価制御手段104の動作に、S6及びS8が前記演奏評価結果送信手段106の動作にそれぞれ対応する。
【0037】
このように、本実施例によれば、音声を入力するための音声入力装置としてのマイクロフォン40と、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66を特定するための情報とを関連づけて記憶する記憶装置としてのRAM54(予約曲テーブル98)と、前記演奏曲の出力に際して、予め定められた関係から前記マイクロフォン40により入力される音声に関する情報に基づいて演奏の評価を行う演奏評価制御手段104(S4及びS8)と、その演奏評価制御手段104による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66に送信する演奏評価結果送信手段106(S6及びS8)とを、備えたものであることから、カラオケ演奏の評価結果を演奏者だけに通知することができる。すなわち、評価対象である利用者に個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置16を提供することができる。
【0038】
また、前記予約曲テーブル98は、前記携帯電話機66による選曲入力に際して、その選曲入力信号と共に送信されるその携帯電話機66の識別情報と選曲に係る演奏曲の選曲番号とを関連づけて記憶するものであるため、選曲された演奏曲とその演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66を特定するための情報とを実用的な態様で関連づけて記憶することができる。
【0039】
また、前記演奏評価制御手段104は、前記演奏曲の出力に際して、その演奏曲の音程及び/又はテンポに対する前記マイクロフォン40により入力される音声の音程及び/又はテンポの相対的なずれを算出するものであり、前記演奏評価送信手段106は、予め定められた関係から、前記演奏評価制御手段104により算出される音程及び/又はテンポの相対的なずれに基づいて所定のコメントを、前記評価結果として評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機66に送信するものであるため、具体的で分かり易い演奏評価結果を評価対象である利用者に通知することができる。
【0040】
また、前記演奏評価送信手段106は、前記演奏評価制御手段104による評価結果を前記ブルートゥースモジュール63を介して近距離無線通信により前記携帯電話機66に送信するものであるため、評価対象である利用者の携帯電話機66に実用的な態様で評価結果を送信することができる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0042】
例えば、前述の実施例において、前記演奏評価送信手段106は、前記演奏評価制御手段104による評価結果を前記ブルートゥースモジュール63を介して近距離無線通信により前記携帯電話機66に送信するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記演奏評価制御手段104による評価結果を電子メールとしてインターネット回線(通信回線18)を介して前記携帯電話機66に送信するものであってもよい。斯かる態様によっても評価対象である利用者の携帯電話機66に実用的な態様で評価結果を送信することができる。
【0043】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記演奏評価送信手段106は、前記演奏評価制御手段104による評価結果に加えて、前記予約曲テーブル98に記憶された予約曲の曲数に対応する「閉店が間もなくなのに曲が10曲も予約されてるから2コーラスくらいでやめておいた方がいいよ」といったコメントや、前記携帯電話機66に記憶された公共交通機関の定期券に相当する情報等に対応する「いつもは帰ってる時間だけど終電大丈夫?」といったコメントを対象となる携帯電話機66に送信するものであってもよい。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明が好適に適用されるカラオケシステムを説明する概略図である。
【図2】本発明の一実施例であるカラオケ装置の構成を例示するブロック線図である。
【図3】図2のカラオケ装置の入力装置として用いられる携帯電話機の構成を例示する図である。
【図4】図2のカラオケ装置のCPU及び図3の携帯電話機のCPUに備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図5】図2のカラオケ装置による演奏評価結果に対応して図3の携帯電話機の表示部に表示される評価結果映像の一例を示す図である。
【図6】図2のカラオケ装置による演奏評価結果に対応して図3の携帯電話機の表示部に表示される評価結果映像の他の一例を示す図である。
【図7】図2のカラオケ装置のCPUによる演奏評価送信制御の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
16:カラオケ装置
40:マイクロフォン(音声入力装置)
54:RAM(記憶装置)
66:携帯電話機
104:演奏評価制御手段
106:演奏評価結果送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させるカラオケ装置であって、
音声を入力するための音声入力装置と、
選曲された演奏曲と該演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機を特定するための情報とを関連づけて記憶する記憶装置と、
前記演奏曲の出力に際して、予め定められた関係から前記音声入力装置により入力される音声に関する情報に基づいて演奏の評価を行う演奏評価制御手段と、
該演奏評価制御手段による評価結果を、評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機に送信する演奏評価結果送信手段と
を、備えたものであることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記携帯電話機による選曲入力に際して、該選曲入力信号と共に送信される該携帯電話機の識別情報と選曲に係る演奏曲の選曲番号とを関連づけて記憶するものである請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記演奏評価制御手段は、前記演奏曲の出力に際して、該演奏曲の音程及び/又はテンポに対する前記音声入力装置により入力される音声の音程及び/又はテンポの相対的なずれを算出するものであり、
前記演奏評価送信手段は、予め定められた関係から、前記演奏評価制御手段により算出される音程及び/又はテンポの相対的なずれに基づいて所定のコメントを、前記評価結果として評価の対象である演奏曲の選曲主体である利用者の携帯電話機に送信するものである請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記演奏評価送信手段は、前記演奏評価制御手段による評価結果を電子メールとしてインターネット回線を介して前記携帯電話機に送信するものである請求項1から3の何れか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
前記演奏評価送信手段は、前記演奏評価制御手段による評価結果を近距離無線通信により前記携帯電話機に送信するものである請求項1から3の何れか1項に記載のカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85481(P2010−85481A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251792(P2008−251792)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】