説明

カラオケ装置

【課題】楽器演奏者が利用者である場合であっても、当該利用者が所望する程度に確実に再生速度を大きく変化させる。
【解決手段】カラオケ装置10は、楽曲データの再生を、楽器による演奏を可能とする楽器演奏モード、又は、楽器による演奏に対応しない歌唱モードのいずれかに切り替え可能であり、また楽曲データを再生させる再生速度を所定の制御幅において可変に設定可能である。そして、楽器演奏モードに切り替えられている場合には、歌唱モードに切り替えられているときよりも大きな制御幅で再生速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ楽曲データを再生するカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ楽曲データを再生する際に、再生速度を可変に制御する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば利用者が高速再生側への適宜の速度コントロール操作を行うと、その操作に対応してカラオケ楽曲データの再生速度が速くなる。逆に利用者が低速再生側への適宜の速度コントロール操作を行うと、その操作に対応して、カラオケ楽曲データの再生速度が遅くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のようなカラオケ装置において、カラオケ楽曲データの再生サービスを楽器演奏者に提供することが考えられている。楽器演奏者である利用者は、当該再生されるカラオケ楽曲に合わせて楽器を演奏することで、楽器の練習を行ったり、カラオケ楽曲全体のアンサンブルを楽しむことができる。
【0005】
ここで、利用者が楽曲の再生に合わせて歌唱を行う通常の利用態様の場合、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作では、自分が歌いやすくなる程度に速度を微調整すれば足りることが多い。このため、それほど極端に大きな速度変更は必要としない。これに対し、上記のように楽器演奏者としての利用者が、楽曲の再生に合わせて楽器を演奏する場合には、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作において、楽器演奏者の習熟度が低い場合には極端に遅くしたい等、微調整でなく大きな速度変更を行いたいという要望が利用者にある。
【0006】
上記従来技術では、上記のような、楽器演奏者が利用者である場合について特に配慮されていなかった。このため、楽器演奏者が所望する程度に大きく再生速度を変化させることができない可能性があり、利便性が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、楽器演奏者が利用者である場合であっても、当該利用者が所望する程度に確実に再生速度を大きく変化させることができ、利便性を向上できるカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、楽曲データを再生する再生手段と、前記再生手段による前記楽曲データの再生を、楽器による演奏を可能とする楽器演奏モード、又は、楽器による演奏に対応しない歌唱モード、のいずれかに切り替える切替手段と、前記楽曲データを再生させる再生速度を所定の制御幅において可変に設定する設定手段と、前記楽器演奏モードに切り替えられている場合には、前記歌唱モードに切り替えられているときよりも大きな前記制御幅で前記再生速度を制御する、第1制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明のカラオケ装置においては、カラオケ楽曲データを再生する再生手段を備えている。この再生手段におけるカラオケ楽曲データの再生速度は、設定手段の設定に基づき、第1制御手段によって可変に制御される。例えば利用者が高速再生側への適宜の速度コントロール操作を行うと、その操作に対応した速度コントロール指示信号に応じて、カラオケ楽曲データの再生速度が速くなる。逆に利用者が低速再生側への適宜の速度コントロール操作を行うと、その操作に対応した速度コントロール指示信号に応じて、カラオケ楽曲データの再生速度が遅くなる。
【0010】
一方、本願第1発明のカラオケ装置は、動作モードとして、利用者としての楽器演奏者が楽器による演奏が可能な楽器演奏モードと、楽器による演奏に対応しない歌唱モードと、の2つが備えられている。いずれのモードの場合であっても、上記速度コントロール指示信号による再生速度の変化が可能である。
【0011】
ここで、利用者が当該楽曲の再生に合わせて歌唱を行う場合、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作では、自分が歌いやすくなる程度に速度を調整、すなわち微調整すれば足りるのでそれほど極端に大きな速度変更は必要としない。これに対し、利用者としての楽器演奏者が当該楽曲の再生に合わせて楽器を演奏する場合には、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作において、例えば利用者の習熟度が低い場合には極端に遅くしたい等、微調整でなく大きな速度変更を必要とする場合がある。
【0012】
そこで本願第1発明においては、設定手段の設定に基づき、第1制御手段が、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも再生速度の制御幅を大きくする。これにより、利用者としての楽器演奏者が楽器を演奏する場合に、必要に応じて再生速度を確実に大きく変化させることができる。この結果、利用者の利便性を向上することができる。
【0013】
第2発明は、上記第1発明において、前記設定手段は、前記再生速度を所定の制御幅において、複数段階的に可変に設定し、前記第1制御手段は、前記楽器演奏モードに切り替えられている場合には、前記歌唱モードに切り替えられている場合よりも、大きな変化割合で前記再生速度を可変に制御することを特徴とする。
【0014】
これにより、利用者としての楽器演奏者が楽器を演奏する場合には、比較的少ない速度コントロール操作で再生速度を確実に大きく変化させることができる。この結果、利用者の利便性をさらに向上することができる。
【0015】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記楽曲データとして、生音音源を用いた再生に対応した生音データと、MIDI音源を用いたMIDI楽曲データとを記憶する記憶手段と、前記楽器演奏モードに切り替えられていた場合には、前記再生手段により再生される楽曲の前記生音データに代え、前記記憶手段に記憶された楽曲の前記MIDI楽曲データを、前記再生手段に再生させる制御を行う第2制御手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0016】
生音音源を用いて楽曲を再生するための生音データは、再生速度をあまり大きく変化させると音質が著しく劣化する場合がある。そこで本願第3発明においては、これに対応して、上述のように再生速度が大きく変化する可能性がある楽器演奏モードのときには、生音データを使用しないようにする。これにより、利用者が楽器演奏を行う場合の楽曲再生の音質劣化を確実に防止することができる。
【0017】
第4発明は、上記第1から第3発明のいずれかにおいて、前記楽曲データは、前記楽曲データの演奏に沿って演奏される楽譜データが対応付けられており、かつ、前記カラオケ装置は、前記再生手段により前記楽曲データが再生される場合、当該楽曲データに対応づけられた前記楽譜データの難易度を判定する判定手段をさらに有し、前記第1制御手段は、前記楽器演奏モードに切り替えられている場合であって、前記判定手段により前記楽譜データの難易度が所定のしきい値よりも高いと判定された場合には、当該楽譜データの難易度が所定のしきい値以下である判定された場合に比べて、前記再生速度を遅くするように、前記再生手段を制御することを特徴とする。
【0018】
本願第4発明においては、カラオケ楽曲データに対し楽器演奏パートの楽譜データが対応づけられている。これにより、カラオケ楽曲データが再生されるとき、当該楽曲に対応した楽譜を例えば表示手段が表示することにより、利用者としての楽器演奏者が当該楽譜を見ながら演奏を行うことができる。その際、楽譜データの内容が複雑である場合など、演奏の難易度が比較的高い場合には、他の楽曲を再生する場合と同じ再生速度では利用者としての楽器演奏者の演奏が困難となる可能性がある。そこで本願第4発明では、判定手段の判定により楽譜データの難易度が所定のしきい値よりも高かった場合には、第1制御手段が、それ以外の場合に比べて再生速度を遅くする。これにより、演奏するのが比較的難しい楽曲であっても、利用者としての楽器演奏者がより演奏しやすくなり、利便性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、楽器演奏者が利用者である場合であっても、当該利用者が所望する程度に確実に再生速度を大きく変化させることができ、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態のカラオケ装置の主要構成を示す説明図である。
【図2】楽器接続ボードの前面パネルの説明図である。
【図3】カラオケ装置に備えられた制御装置の前面パネルの説明図である。
【図4】制御装置の制御系の主要構成を示す機能ブロック図である。
【図5】サーバーから制御装置へ送信される曲データの主要構成を示す説明図である。
【図6】スピードコントロールテーブルの説明図である。
【図7】カラオケ装置による楽曲再生時にCPUにより実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS100のモード設定処理でCPUにより実行される処理内容を示すフローチャートである。
【図9】図7のステップS200の演奏速度設定処理でCPUにより実行される処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態のカラオケ装置10は、楽曲データ(後述)を再生するときの動作モードとして、楽器演奏モードと、歌唱モードとの2つが備えられている。楽器演奏モードは、利用者の楽器による演奏を可能とするモードである。歌唱モードは、楽器演奏は行われず、利用者により歌唱に対応した歌唱モードである。この例では、楽器演奏モードの場合、利用者がカラオケ装置の演奏と共に自らエレキギターを演奏するために、エレキギターの楽曲パートを除いたマイナスワン状態でのカラオケ楽曲データの再生を意図する例をとって説明する。
【0023】
<主要構成>
図1は、本実施形態のカラオケ装置の主要構成を示す説明図である。図1に示すように、カラオケ装置10には、モニタテレビ(以下、モニタと略称する)13(表示手段)と、歌唱者用のモニタ14(表示手段)と、楽器接続ボード8と、制御装置(コマンダ)20とが備えられている。モニタ13は、歌詞を示す歌詞テロップ、歌詞テロップの背景に表示する背景映像、選曲番号を示す映像などをCRTに表示する。楽器接続ボード8は、エレキギター4やエレキベースギターなどの電子楽器を接続するためのものである。制御装置20は、複数の楽器の楽音により構成されるカラオケ用の楽曲(カラオケ楽曲。以下、適宜「曲」と略称する)の選曲、及び曲の再生の予約などの選曲制御、選曲された曲の送信要求を示すリクエスト信号のサーバーへの送信、及びリクエスト信号により示される曲に対応する曲データ(楽曲データ)の受信などの通信制御、受信された曲データに含まれる楽音種類指定情報たるMIDIデータのうち楽器接続ボード8に接続された楽器と同じ種類の楽器の音源を指定するMIDIデータの削除、等を行う。
【0024】
さらに、カラオケ装置10には、この例では、アンプ16と、フロアータイプの1組のスピーカ11,11と、天井吊下げ用の1組のスピーカ12,12と、制御装置20を遠隔操作するリモコン60とが備えられている。アンプ16は、楽器接続ボード8から入力される楽器の演奏信号、マイクロフォン17,18から入力される音声信号及び曲の再生信号のミキシング、音声と曲との音量バランス、エコー調整、ディレイ調整、ミキシング信号の増幅、再生される曲の音程制御、すなわちキーコントロール、高音、低音の制御、すなわちトーンコントロールなどを行う。フロアータイプの1組のスピーカ11,11、及び、天井吊下げ用の1組のスピーカ12,12は、アンプ16から出力される増幅信号を音として再生する。
【0025】
<楽器接続ボード>
楽器接続ボード8の構成について図2を参照して説明する。図2は、楽器接続ボード8の前面パネルの説明図である。図2に示すように、楽器接続ボード8の前面パネルの左上には、楽器接続ボード8の電源を立ち上げるための電源ボタン81が設けられている。電源ボタン81の右方には、ホーンジャック82、ホーンジャック83、ホーンジャック84、ホーンジャック85、及びジャック86が設けられている。ホーンジャック82は、電子ドラムの出力端子であるホーンプラグを接続する接続端子である。ホーンジャック83は、キーボードのホーンプラグを接続する接続端子である。ホーンジャック84は、エレキベースギターのホーンプラグを接続する接続端子である。ホーンジャック85は、エレキギター4のホーンプラグを接続する接続端子である。ジャック86は、楽器の音程をLEDで表示する音程表示手段たるチューニングメーターのプラグを接続する接続端子である。
【0026】
<ホーンジャックの接続関係>
楽器接続ボード8の内部に設けられた拡張I/Oポート(図示せず)と各ホーンジャック82〜85との接続関係を説明する。なお、各ホーンジャック82〜85への楽器の接続は、それぞれ同一であるため、ここでは、エレキギター4をホーンジャック85に接続する場合を代表に説明する。ホーンジャック85には、エレキギター4のホーンプラグの挿入によりONし、離脱によりOFFするスイッチが設けられている。スイッチは、拡張I/Oポートのエレキギター用の検知ポートに接続されている。スイッチには、例えば、5Vの直流電圧が印加されている。
【0027】
そして、エレキギター4のプラグがホーンジャック85に挿入されると、スイッチがONし、拡張I/Oポートのエレキギター用の検知ポートに現れる電圧は、0V(ローレベル)から5V(ハイレベル)に変化する。この変化は、楽器接続ボード8の背面の出力端子を介し上記制御装置20に備えられたCPU45(後述)により検出される。これにより、CPU45の制御により、楽曲データの再生が、エレキギターの楽曲パートを除いたマイナスワン状態で行われる(詳細は後述)。一方、エレキギター4から出力される演奏信号は、ホーンプラグを介して楽器接続ボード8の背面の出力端子へ出力され、この出力された演奏信号は、後述するアンプ16に内蔵されたミキシング回路9に入力される。
【0028】
同様に、電子ドラムの演奏信号は、ホーンジャック82を介して、拡張I/Oポートの対応する検知ポートに入力される。キーボードの演奏信号は、ホーンジャック83を介して、拡張I/Oポートの対応する検知ポートに入力される。エレキベースギターの演奏信号は、ホーンジャック84を介して、拡張I/Oポートの対応する検知ポートに入力される。さらに、ホーンジャック84,85は、チューニングメーターを接続するジャック86に接続されており、エレキベースギター及びエレキギターの音程をチューニングできるようになっている。
【0029】
以上のように、楽器接続ボード8は、各楽器のホーンプラグが接続されたことを検出するとともに、接続された楽器の演奏信号をミキシング回路9へ出力する役割をする。
【0030】
<制御装置の概略>
上記制御装置20の装備について図3を参照して説明する。図3は、制御装置20の前面パネルの説明図である。図3に示すように、制御装置20の前面パネルには、選曲する曲の選曲番号の入力などを行うための0〜9のボタンからなるテンキー21と、選曲を確定するための選曲ボタン22とが設けられている。テンキー21の上には、選曲された曲の選曲番号を6桁の数字でLED表示する選曲番号表示体23が設けられている。
【0031】
また、選曲番号表示体23の左には、再生が予約されている曲の数をLED表示する予約曲数表示体24が設けられている。その下には、予約の取り消を行うための取り消しボタン25と、演奏を停止させる演奏停止ボタン26とが設けられている。また、歌っている途中で最初から歌い直すための歌い直しボタン27と、予約曲の間に割り込んで予約するための割り込みボタン28とが設けられている。さらに、前面パネルの左上には、リモコン60から送信される光信号を受光する受光部38が設けられている。前面パネルの左下には、制御装置20の電源を立ち上げる電源ボタン39が設けられている。
【0032】
また、テンキー21の右には、再生する曲の速度を遅くコントロールするためのマイナスキー29と、再生する曲の速度を標準にコントロールするための標準キー30と、再生する曲の速度を速くコントロールするためのプラスキー31とが設けられている。それらキーの下には、ボーカルのメロディーラインの音量を設定するボーカルボタン32と、2コーラス目までを再生する2コーラスカットボタン33と、曲の後奏部分をカットする後奏カットボタン34とが設けられている。さらに、それらボタンの下には、カラオケとBGM用とを切り替えるカラオケ切替ボタン35と、LAN回線15(図1参照)を介して入力されるデータを曲データから有線放送、テレビ放送などに切り替える入力切替ボタン36とが設けられている。また、モニタ13,14の表示をカラオケボックスなどが提供しているサービス情報の表示に切り替えるサービスボタン37が設けられている。
【0033】
<電気的構成>
上記制御装置20の電気的構成について図4を参照して説明する。図4は、制御装置20の制御系の主要な電気的構成を示す機能ブロック図である。制御装置20には、上記各種制御をプログラムにしたがって実行するCPU45が備えられている。CPU45には、RAM46と、ROM47とが接続されている。RAM46は、リモコン60から送信されるデータ、選曲された曲の選曲番号を示す選曲番号データ、予約された曲の選曲番号データなどを一時保存するためのものである。ROM47は、CPU45により実行されるプログラムや実行に使用するデータテーブルなどが記憶される。
【0034】
また、CPU45には、ビデオRAM48と、LANボード50と、RAM49(記憶手段)とが接続されている。ビデオRAM48は、モニタ13,14に歌詞テロップや各種メッセージ映像を表示するための文字映像データが記憶される。LANボード50は、サーバー58から送信される曲データを受信するためのものである。RAM49は、LANボード50により受信された曲データ100(後述の図5参照)を一時保存する。なお、本実施形態では、曲データ100には、通常のMIDI音源による発音用の曲データ100Aと、録音した生演奏がデータ化されて生成された高音質再生を行うための曲データ100Bと、の2種類が含まれている(詳細は後述)。
【0035】
さらに、CPU45には、MIDI音源ボード51と、生音音源ボード80とが接続されている。MIDI音源ボード51は、RAM49から読み出された上記曲データ100Aに含まれるMIDIデータ120(後述の図5参照)を入力するとともに、その入力されたMIDIデータ120により指定される音源から音源信号を出力する。生音音源ボード80は、RAM49から読み出された上記曲データ100Bに含まれる生音データ122(後述の図5参照)を入力するとともに、その入力された生音データ122により指定される音源から音源信号を出力する。また、CPU45には、音声制御回路52と、CD−ROMプレーヤ53とが接続されている。音声制御回路52は、上記出力された音源信号を入力してアンプ16により増幅可能な信号に変換する。CD−ROMプレーヤ53は、曲データ100に含まれる背景映像情報114やタイトル画像情報116(後述の図5参照)を読み出す。
【0036】
また、CPU45には、映像制御回路54が接続されている。映像制御回路54は、CD−ROMプレーヤ53から読み出された背景映像データ、及びRAM49から読み出された曲データ100に含まれる歌詞情報118(後述の図5参照)を入力する。そして、映像制御回路54は、モニタ13の表示画面に表示される背景映像中に歌詞テロップがスーパーインポーズされた映像を作成したり、曲の進行にしたがって歌詞テロップの色を変えたりする映像制御を行う。
【0037】
さらに、CPU45には、変換回路55と、前述の選曲番号表示体23、予約曲数表示体24等であるLEDと、表示回路56と、入力回路57とが接続されている。変換回路55は、受光部38により受光された光信号をデジタル信号に変換する。LEDは、制御装置20の前面パネルに設けられた前述のテンキー21、選曲ボタン22等の各種ボタン及びキーを押したときに点灯する。表示回路56は、上記LEDへ表示信号を出力する。入力回路57は、上記各種ボタン及びキーを押したときに発生するスイッチング信号を入力する。なお、以上のスピーカ11,12、アンプ16、音声出力端子41、及び音声制御回路52は、各請求項記載の再生手段として機能する。
【0038】
<曲データ>
サーバー58から制御装置20へ送信される曲データ100(100A,100B)の主要構成について図5を参照して説明する。図5(a)は、上記曲データ100Aの主要構成を示す説明図である。この曲データ100Aは、上記生音データ122を含まない通常音質の曲データである。曲データ100Aは、ヘッダ112と、背景映像情報114と、タイトル画像情報116と、歌詞情報118と、MIDIデータ120a、すなわちバックアップ用ではない通常データ(詳細は後述)とを含んでいる。図5(b)は、上記曲データ100Bの主要構成を示す説明図である。この曲データ100Bは、生音データを含む高音質の曲データである。曲データ100Bは、上記同様のヘッダ112、背景映像情報114、タイトル画像情報116、及び歌詞情報118と、録音した生演奏がデータ化されて生成された生音データ122、すなわち通常データと、生音データのバックアップ用としてのMIDIデータ120bとを含んでいる。すなわち、曲データ100Bにおいては、通常は生音データ122が楽曲再生用に用いられるが、何らかの事情で生音データ122が再生困難となった場合であって、当該楽曲の再生自体は音質が落ちても可能となるように、代替再生用に上記バックアップ用のMIDIデータ120bが設けられている。このバックアップ用として機能するMIDIデータ120bと対比する意味で、この明細書中では上記MIDIデータ120a及び生音データ122を適宜「通常データ」と総称している。なお、曲データ100Bのヘッダ112に曲データ100Aの選曲番号を記憶してき、楽器演奏モードの際は、曲データ100Bのヘッダに記憶されている曲データ100Aの選曲番号を読み出すようにしてもよい。
【0039】
<リモコン>
リモコン60には、選曲番号表示部や、カラオケ切替ボタン、外部映像ボタン、ゲームボタンが設けられている。選曲番号表示部は、選曲番号をバックライト付きの液晶で表示する。カラオケ切替ボタンは、上記制御装置20のカラオケ切替ボタン35と同じ作用をし、外部映像ボタンは、制御装置20の入力切替ボタン36と同じ作用をする。ゲームボタンは、サーバー58が用意しているテレビゲームを行う状態に切り替えるためのものである。
【0040】
また、リモコン60には、拍手ボタンや、マイナスキー及びプラスキー、テンキー、選曲ボタン、演奏停止ボタン、歌い直しボタン、取り消しボタン、割り込みボタンが設けられている。拍手ボタンは、曲間や曲の再生終了後に拍手や歓声の音を再生するように設定するためのものである。マイナスキー及びプラスキーは、再生する曲の速度をコントロールするための制御装置20の上記マイナスキー29及びプラスキー31とそれぞれ同じ機能を有する。さらに、リモコン60には、歌唱ボタンと楽器ボタンとが設けられている。歌唱ボタンは、曲再生の動作モードを歌唱モードに切り替えるのに使用し、楽器ボタンは、曲再生の動作モードを楽器演奏モードに切り替えるのに使用する。そして、上記各ボタンを押すと、どのボタンが押されたかを示す光信号が、リモコン60に設けられた送信窓から発信される。
【0041】
<本実施形態の特徴>
以上の基本構成において、本実施形態の特徴は、上記カラオケ装置10での曲の演奏時に、楽曲再生の動作モードが楽器演奏モードの場合には、歌唱モードの場合よりも再生速度の制御幅を大きくすることにある。すなわち、利用者がカラオケ楽曲の再生に合わせて歌唱を行う場合、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作では、自分が歌いやすくなる程度に速度を調整すれば足りるのでそれほど極端に大きな速度変更は必要としない。これに対し、楽器演奏者が楽曲の再生に合わせて楽器を演奏する場合には、カラオケ楽曲データの速度コントロール操作において、例えば利用者の習熟度が低い場合には極端に遅くしたい等、歌唱モードの調整よりも大きな速度変更を、利用者が要望することがある。そこで、本実施形態のカラオケ装置10では、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも再生速度の制御幅を大きくしている。以下、その詳細を説明する。
【0042】
<スピードコントロールテーブル>
前述したように、本実施形態では、利用者は、制御装置20のマイナスキー29及びプラスキー31若しくは、リモコン60のマイナスキー及びプラスキー、を用いて、楽曲データの再生速度をプラス側に「+1」,「+2」,「+3」,「+4」,「+5」の5段階で操作指示して可変に増加させる、すなわち速くすることができ、同様にマイナス側にも「−1」,「−2」,「−3」,「−4」,「−5」の5段階で操作指示して可変に減少させる、すなわち遅くすることができる。
【0043】
そして、この各段階の操作指示による速度指示値に対し、実際の再生速度の変化割合をどのように対応づけるかを定めたのが、図6に示すスピードコントロールテーブル180である。以下、上記速度指示値をスピードコントロール値と呼ぶ。このスピードコントロールテーブル180は、「スピコン値」で略称したスピードコントロール値に対し、標準速度を100%として楽曲再生速度をパーセント表示した対照表であり、予め作成してROM47に記憶されている。
【0044】
<歌唱モードでのスピードコントロール>
図6に示すように、スピードコントロールテーブル180においては、まず、歌唱モードでは、スピードコントロール値が「+1」に操作指示されると、再生速度が103%の速度となり、すなわち3%だけ速い速度で再生が行われるようになる。以下同様に、「+2」,「+3」,「+4」の順で順次3%ずつ再生速度が速くなってそれぞれ106%、109%、112%の速度となっている。そして、加速側の最大指示値であるスピードコントロール値「+5」となると、再生速度は115%の速度、すなわち15%だけ速い速度となっている。一方、減速側も同様の変化率となっており、スピードコントロール値が「−1」に操作指示されると、再生速度が97%の速度となり、すなわち3%だけ遅い速度で再生が行われる。以下同様に、「−2」,「−3」,「−4」の順で順次3%ずつ再生速度が遅くなってそれぞれ94%、91%、88%の速度となっている。そして、減速側の最大指示値、言い換えれば最小速度指示値であるスピードコントロール値「−5」となると、再生速度は85%の速度、すなわち15%だけ遅い速度となっている。以上のように、歌唱モードにおいては、利用者は最大±15%のスピードコントロールを実行することができる。
【0045】
一方、楽器演奏モードでは、スピードコントロール値が「+1」に操作指示されると、再生速度が上記歌唱モードのときよりも大きな110%の速度となり、すなわち10%だけ速い速度で再生が行われるようになる。以下同様に、「+2」,「+3」,「+4」の順で順次10%ずつ再生速度が速くなってそれぞれ120%、130%、140%の速度となっている。そして、加速側の最大指示値であるスピードコントロール値「+5」となると、再生速度は150%の速度、すなわち50%だけ速い速度となっている。一方、減速側も同様の変化率となっており、スピードコントロール値が「−1」に操作指示されると、再生速度が90%の速度となり、すなわち10%だけ遅い速度で再生が行われる。以下同様に、「−2」,「−3」,「−4」の順で順次10%ずつ再生速度が遅くなってそれぞれ80%、70%、60%の速度となっている。そして、減速側の最大指示値、言い換えれば最小速度指示値であるスピードコントロール値「−5」となると、再生速度は50%の速度、すなわち50%だけ遅い速度となっている。以上のように、楽器演奏モードにおいては、利用者は最大±50%のスピードコントロールを実行することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、スピードコントロールテーブル180において、歌唱モードではスピードコントロール値の±1増減に対し再生速度の変化割合は±3%であるのに対し、楽器演奏モードではスピードコントロール値の±1増減に対し再生速度の変化割合は±10%となっている。すなわち、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも大きな変化割合で変化するように設定されている。また、歌唱モードではスピードコントロール値「−5」〜「+5」までの範囲で再生速度85%〜115%の30%分の制御幅となっているのに対し、楽器演奏モードではスピードコントロール値「−5」〜「+5」までの範囲で再生速度50%〜150%の100%分の制御幅となっている。すなわち、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも大きな制御幅で再生速度が変化するように設定されている。なお、本実施形態では、制御装置20により、スピードコントロール値が変更されたが、これに限定されるものではない。例えば、リモコン60により、スピードコントロール値が変更されても良い。
【0047】
<制御手順>
上記カラオケ装置10の楽曲再生時にCPU45により実行される処理内容を、図7に示す。図7において、このフローは、カラオケ装置10の利用者が、制御装置20の電源ボタン39を押して制御装置20の電源を立ち上げると、開始される。制御装置20の電源の立ち上がりに連動して、アンプ16、楽器接続ボード8及びモニタ13,14の電源が立ち上がる。なお、前述したように、この例では、カラオケ装置10の利用者は、楽器接続ボード8にエレキギター4を接続して演奏する場合を例にとって説明する。すなわち、利用者がエレキギター4のホーンプラグを楽器接続ボード8のホーンジャック85に接続することで、楽器接続ボード8の拡張I/Oポートのエレキギター検知用の検知ポートに現れる電圧がローレベルからハイレベルに変化する。
【0048】
図7において、まず、ステップS100において、CPU45は、カラオケ装置10による曲演奏の動作モードを、利用者の楽器による演奏を可能とする楽器演奏モードに設定するか、利用者が歌うための楽器による演奏に対応しない歌唱モードに設定するかのモード設定処理を行う。
【0049】
上記ステップS100のモード設定処理を図8により説明する。図8において、まず、ステップS110において、CPU45は、利用者による曲再生の動作モードの入力があるか否かを判定する。例えば利用者が、リモコン60の歌唱ボタンを押せば歌唱モードの選択が入力され、楽器ボタンを押せば楽器演奏モードの選択が入力される。これらいずれかの選択入力があるまではステップS110の判定が満たされず(ステップS110:NO)、ループ待機する。いずれかの選択入力があった場合はステップS110の判定が満たされ(ステップS110:YES)、ステップS115に移る。なお、上記に代えて、電圧がハイレベルに変化した場合に、楽器が接続されたとみなして楽器演奏モードが選択されるようにしてもよい。
【0050】
ステップS115では、CPU45は、利用者による上記動作モードの選択入力が、楽器演奏モードであるか否かを判定する。楽器演奏モードであった場合は判定が満たされ(ステップS115:YES)、ステップS120に移る。楽器演奏モードでなかった場合は判定が満たされず(ステップS115:NO)、ステップS130に移る。
【0051】
ステップS120では、CPU45は、ROM47内に予め設けられた所定のモード記録エリアに「楽器演奏モード」を設定する。その後、このルーチンを終了する。
【0052】
ステップS130では、CPU45は、ROM47内に設けられた上記モード記録エリアに「歌唱モード」を設定する。その後、このルーチンを終了する。
【0053】
なお、上記ステップS110、ステップS115、ステップS120、ステップS130の手順が各請求項記載の切替手段として機能する。
【0054】
図7に戻り、以上のようにしてステップS100が終了したら、ステップS10に移る。
【0055】
ステップS10では、CPU45は、上記ステップS100において設定された動作モードが、楽器演奏モードであるか否かを判定する。ステップS100において楽器演奏モードが設定されていれば上記ステップS10の判定が満たされ(ステップS10:YES)、ステップS15に移る。ステップS100において歌唱モードが設定されれば、上記ステップS10の判定が満たされず(ステップS10:NO)、後述のステップS30に移る。
【0056】
ステップS15では、CPU45は、図示しないCPU45のリードタイミングに従い、楽器接続ボード8の前述した拡張I/Oポートを選択するチップセレクト信号(CS)を読み込み、リード信号(RD)が読み込タイミングになると、楽器検知用の各検知ポートに対応する入力ポートからデータを読み込む。その後、ステップS20に移る。
【0057】
ステップS20では、CPU45は、上記ステップS10で読み込んだデータに基づいて、MIDIデータの削除または減音する音源を指定する指定データを検索する。この例では、前述のように拡張I/Oポートのエレキギター検知用の検知ポートに現れる電圧がローレベルからハイレベルに変化していることから、これを検知したCPU45によって検索される指定データは、エレキギター4のMIDI音源を削除するデータである。ステップS20が終了したら、ステップS25に移る。
【0058】
ステップS25では、CPU45は、上記ステップS15で検索された指定データ、すなわちこの例ではエレキギター4のMIDI音源を削除するデータをRAM46に一時保存する。なお、エレキギター4などの楽器が特に接続されておらずステップS20での指定データが存在しなかった場合には保存するデータがないことから、このステップS25は実質的に省略される。その後、ステップS30に移る。
【0059】
ステップS30では、CPU45は、利用者による選曲が終了したか否かを判定する。例えば、利用者が歌いたい曲の選曲番号をリモコン60のテンキーにより入力すると、その押す毎にテンキーに対応する数字がリモコン60の選曲番号表示部及び制御装置20の選曲番号表示体23に順次表示される。続いて、最後の数字のテンキーを押してから選曲ボタンを押すと、選曲が終了する。なお、この選曲の際、生音音源を用いて再生する曲(以下適宜、「生音楽曲」という。上記曲データ100Bに対応)と、MIDI音源を用いて再生する曲(以下適宜、「通常楽曲」という。上記曲データ100Aに対応)とがある場合、利用者は、例えばテンキーによっていずれかを選択することもできる。選曲が終了するまではステップS30の判定が満たされず(ステップS30:NO)、ループ待機する。選曲が終了した場合はステップS30の判定が満たされ(ステップS30:YES)、ステップS35に移る。
【0060】
ステップS35では、CPU45は、ステップS30での選曲結果に対応し、上記選曲番号を示す選曲番号データをRAM46に一時保存するとともに、LANボード50を介し、上記選曲番号に対応する曲データ100、すなわち曲データ100A又は曲データ100Bの送信を要求するリクエスト信号を、LAN回線15を介してサーバー58へ送信する。これにより、サーバー58は、図示しない記憶装置から上記リクエスト信号に示される選曲番号に対応する曲データ100を検索して読み出し、その読み出された曲データ100を、LAN回線15を介して制御装置20に送信する。ステップS35が終了したら、ステップS40に移る。
【0061】
ステップS40では、CPU45は、LANボード50を介し、サーバー58からLAN回線15を介して送信された曲データ100を受信する。その後、ステップS200に移る。
【0062】
ステップS200では、CPU45は、ステップS40で受信された曲データ100の再生速度すなわち演奏速度の設定処理を行う。このステップS200の演奏処理の詳細を図9により説明する。
【0063】
図9において、まず、ステップS210で、CPU45は、上記ステップS30での選曲で予約された曲は生音楽曲であるか否か、言い換えればステップS40で受信されて処理中のデータが曲データ100Aであるか曲データ100Bであるか、を判定する。上記ステップS30で生音楽曲が選曲されていればステップS210の判定が満たされ(ステップS210:YES)、ステップS215に移る。上記ステップS30で通常楽曲が選曲されていればステップS210の判定が満たされず(ステップS210:NO)、後述のステップS220に移る。
【0064】
ステップS215では、CPU45は、上記ステップS100でセットされた動作モードが歌唱モードであるか否かを判定する。上記ステップS100のモード設定処理でROM47のモード記録エリアに歌唱モードがセットされている場合(上記ステップS130参照)はステップS215の判定が満たされ(ステップS215:YES)、ステップS220に移る。ROM47のモード記録エリアに楽器演奏モードがセットされている場合(上記ステップS120参照)はステップS215の判定が満たされず(ステップS215:NO)、後述のステップS225に移る。
【0065】
ステップS220では、CPU45は、上記通常データ、すなわち曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100Bの生音データ122を、演奏に使用する曲データとして設定する。これにより、後述のステップS73での再生時において、曲データ100AのMIDIデータ120a、又は、曲データ100Bの生音データ122が再生されることとなる。その後、後述のステップS230に移る。
【0066】
ステップS225では、CPU45は、曲データ100Bのバックアップ用のMIDIデータ120bを、演奏に使用する曲データとして設定する。これにより、後述のステップS73での再生時において、曲データ100Bのバックアップ用のMIDIデータ120bが再生に使用される。ステップS225が終了すると、ステップS230に移る。
【0067】
ステップS230では、CPU45は、前述した利用者によるスピードコントロール指示が入力されたか否かを判定する。上述したように、使用者が、リモコン60のマイナスキー又はプラスキー若しくは制御装置20のマイナスキー29又はプラスキー31を押して、再生する曲の速度変更の操作をした場合は、その操作に対応したスピードコントロール指示信号が入力される。スピードコントロール指示信号が入力されていない場合はステップS230の判定が満たされず(ステップS230:NO)、ステップS235に移る。スピードコントロール指示信号が入力した場合はステップS230の判定が満たされ(ステップS230:YES)、後述のステップS240に移る。
【0068】
ステップS235では、CPU45は、曲データの再生速度を通常速度、すなわちスピードコントロール値「0」に相当に設定する。これにより、後述のステップS73において、歌唱モードの場合は曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100Bの生音データ122が通常速度で再生され、楽器演奏モードの場合は曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100BのMIDIデータ120bが通常速度で再生される。その後、このルーチンを終了する。
【0069】
ステップS240では、CPU45は、ステップS230で入力されたスピードコントール指示信号に応じて、ROM47に記憶されたスピードコントロールテーブル180を参照して、前述した手法により曲の再生速度を決定する。前述したように、楽曲の再生速度は、楽器演奏モードの場合に、歌唱モードの場合よりも大きな変化割合で、かつ、大きな制御幅となるよう、スピードコントロール指示値に対し決定される。その後、ステップS245に移る。
【0070】
ステップS245では、CPU45は、曲データの再生速度を、上記ステップS240でスピードコントロールテーブル180を参照し決定された速度に、設定される。これにより、後述のステップS73において、歌唱モードの場合は曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100Bの生音データ122が、上記決定された速度で再生され、楽器演奏モードの場合は、曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100BのMIDIデータ120bが、上記決定された速度で再生される。その後、このルーチンを終了する。
【0071】
なお、以上は曲データの再生が開始される前にスピードコントロールテーブル180が読み出された場合を説明しているが、曲データの再生中にスピードコントロール指示がなされた場合であっても、改めてスピードコントロールテーブル180を読み出すことで対応できるようにしてもよい。
【0072】
以上のフローにおいて、上記ステップS225の手順が各請求項記載の第2制御手段を構成し、上記ステップS240の手順が各請求項記載の設定手段を構成し、上記ステップS245の手順が各請求項記載の第1制御手段を構成する。
【0073】
図7に戻り、以上のようにして、ステップS200が終了すると、ステップS45に移る。
【0074】
ステップS45では、CPU45は、上記ステップS40で受信されステップS200で速度設定された曲データ100、詳細には曲データ100A又は曲データ100Bである、以下同様、をRAM49に一時保存させる。その後、ステップS50に移る。
【0075】
ステップS50では、CPU45は、前述のステップS25でRAM46に記憶されている指定データ、前述の例ではエレキギター4のMIDI音源を削除する指定データ、を読み出す。なお、前述のようなエレキギター4などの楽器が接続されておらずステップS20での指定データが存在しなかった場合には読み出すデータがないことから、このステップS50は実質的に省略される。その後、ステップS55に移る。
【0076】
ステップS55では、CPU45は、前述のステップS45でRAM49に記憶されているMIDIデータ120、すなわち曲データ100AのMIDIデータ120a又は曲データ100BのMIDIデータ120bの読み出しを開始する。その後、ステップS60に移る。
【0077】
ステップS60では、CPU45は、ステップS50で読み出した指定データに基づき、上記ステップS55で読み出されこの時点で処理対象としているMIDIデータが上記指定データで指定されたMIDIデータ、すなわちこの例では、エレキギター4のMIDI音源を削除する指定データであるか否かを判定する。上記指定されたMIDIデータであれば判定が満たされ(ステップS60:YES)、ステップS65に移る。上記指定されたMIDIデータでなければ判定が満たされず(ステップS60:NO)、後述のステップS70に移る。なお、前述のように指定データが存在しなかった場合も、ステップS60の判定が満たされず、後述のステップS70に移る。
【0078】
ステップS65では、CPU45は、この時点での処理対象のMIDIデータの削除を行う。これにより、後述のようにステップS55〜ステップS200が繰り返されるとき、ステップS55でエレキギター4のMIDI音源を指定するMIDIデータを含むデータが読み出されたときに限り、当該MIDIデータが削除される。なお、削除に代えて、ミュートまたは減音するためのデータの付加を行ってもよい。この結果、エレキギターの楽曲パートを除いたマイナスワン状態でのカラオケ楽曲データの再生を実現することができる。ステップS65が終了したら、ステップS70に移る。
【0079】
ステップS70では、CPU45は、ステップS55で読み出された後にステップS60及びステップS65の処理を経たMIDIデータ120を、図示しないシーケンサを介して、CPU45に内蔵されたタイマのカウントにしたがってMIDI音源ボード51に書き込む。
【0080】
ステップS73では、CPU45は、MIDI音源ボード51に制御信号を出力し、上記ステップS70で書き込んだMIDIデータに対応した音源信号を、MIDI音源ボード51から出力させる。MIDI音源ボード51から出力される音源信号は、音声制御回路52へ出力されるとともに、アンプ16により増幅可能な音楽信号に変換され、この変換された音楽信号は、音声出力端子41からアンプ16のミキシング回路9へ出力される。また、マイクロフォン17,18から入力された音声信号は、アンプ16に内蔵されたミキシング回路9において上記音楽信号とミキシングされる。このとき、エレキギター4から出力された演奏信号は、楽器接続ボード8及び出力端子85dを介してミキシング回路9に入力され、上記音声信号及び音楽信号とミキシングされる。そして、そのミキシングされたミキシング信号は、アンプ16に内蔵された図示しない増幅回路により増幅された後にスピーカ11及びスピーカ12へ出力され、両スピーカによって再生される。ステップS73が終了すると、ステップS75に移る。
【0081】
ステップS75では、CPU45は、曲データ100の再生が終了したか否かを判定する。曲データ100の再生が終了していれば判定が満たされ(ステップS75:YES)、このフローを終了する。曲データ100の再生が終了するまでは判定が満たされず(ステップS75:NO)、上記ステップS55に戻り、上記ステップS55〜ステップS200の手順を繰り返す。その繰り返しの際、ステップS55で読み出されたMIDIデータに含まれるエレキギターのMIDI音源を指定するMIDIデータは、MIDI音源ボード51に書き込まれないため、エレキギターの音を示す音源信号は、MIDI音源ボード51から出力されない。この結果、カラオケ楽曲データは所望の1つの楽器演奏パート、すなわちこの例ではエレキギター4の演奏パートを除いたマイナスワン状態で再生される。これにより、エレキギター4の演奏者である利用者は、マイナスワン状態で再生されるカラオケ楽曲に合わせて、上記除かれたエレキギター演奏パートを自ら演奏して楽しむことができる。つまり、利用者は、カラオケ装置10に通常のカラオケ楽曲データの再生、すなわちカラオケ演奏を実行させながら、エレキギター4を演奏することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のカラオケ装置10では、カラオケ楽曲データの再生速度を可変に制御可能である。例えば利用者が制御装置20のマイナスキー29やプラスキー31又はリモコン60のマイナスキー及びプラスキーで高速再生側への速度コントロール操作を行うと曲データ100A,100Bの再生速度が速くなる。逆に利用者が低速再生側への速度コントロール操作を行うと、曲データ100A,100Bの再生速度が遅くなる。このとき、カラオケ装置10は、曲データ100A,100Bの再生動作モードとして、利用者の楽器、すなわち上記の例ではエレキギター4による演奏を可能とする楽器演奏モードと、楽器による演奏に対応していない歌唱モードと、の2つが備えられている。いずれのモードの場合であっても、上記の再生速度の変化が可能であるが、本実施形態では、前述したように、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも再生速度の制御幅を大きくする(上記図7参照)。これにより、利用者である楽器演奏者がエレキギター4等の楽器を演奏する場合に、必要に応じて再生速度を確実に大きく変化させることができる。この結果、利用者の利便性を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、前述したように、楽器演奏モードの場合には歌唱モードの場合よりも、大きな変化割合で再生速度を可変に制御する(上記図6参照)。これにより、利用者である楽器演奏者が楽器を演奏する場合に、比較的少ない速度コントロール操作で再生速度を確実に大きく変化させることができる。この結果、利用者の利便性をさらに向上することができる。
【0084】
また、生音音源ボード80を用いて楽曲を再生する上記曲データ100Bの生音データ122は、再生速度をあまり大きく変化させると音質が著しく劣化する場合がある。そこで本実施形態においては、これに対応して、再生速度が大きく変化する可能性がある楽器演奏モードのときには、曲データ100Bの生音データ122を使用せず、代わりにバックアップ用のMIDIデータ120bを使用する(図9のステップS225参照)。これにより、利用者が楽器演奏を行う場合の楽曲再生の音質劣化を確実に防止することができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば曲データ100A,100Bに対し、楽器演奏パートの楽譜データを対応づけ、例えばデータ100A,100Bに一体的に組み込んでおき、曲データ100A,100Bが再生されるとき、当該曲に対応した楽譜を例えばモニタ13,14に表示してもよい。この場合、利用者である楽器演奏者は、当該楽譜を見ながら楽器、すなわちエレキギター4等の演奏を行うことができる。さらにその際、各曲データ100A,100Bの楽譜データの内容が複雑であるかどうかの難易度を適宜の基準、例えば16分音符や32分音符等の細かい音符が多数あるか、コード進行に出てくるコードが平易なものでなくあまり使用されないコードであるか、等で判定する機能を設けてもよい(=判定手段としての機能)。例えば、判定手段は、楽譜データが示す楽譜を楽器演奏者がギターにより演奏する際の難易度が所定のしきい値よりも高いかを判定する。そして、演奏の難易度が比較的高い、例えば所定のしきい値よりも高いと判定された場合には、他の楽曲を再生する場合と同じ再生速度では楽器演奏者の演奏が困難となる可能性があることから、所定のしきい値よりも難易度が低い楽譜データよりも、所定の閾値よりも難易度が高い楽譜データの再生速度を遅くするように制御してもよい。この場合には、演奏するのが比較的難しい楽曲であっても、楽器演奏者がより演奏しやすくなり、利便性をさらに向上することができる。
【0086】
なお、以上において、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0087】
また、図7、図8、図9に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0089】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0090】
4 エレキギター(楽器)
10 カラオケ装置
13,14 モニタ(表示手段)
20 制御装置
29 マイナスキー
31 プラスキー
45 CPU
47 ROM(記憶手段)
82 スピードコントロールテーブル
100 楽曲データ
100A 楽曲データ
100B 楽曲データ
120a MIDIデータ
120b MIDIデータ
122 生音データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データを再生する再生手段と、
前記再生手段による前記楽曲データの再生を、楽器による演奏を可能とする楽器演奏モード、又は、楽器による演奏に対応しない歌唱モード、のいずれかに切り替える切替手段と、
前記楽曲データを再生させる再生速度を所定の制御幅において可変に設定する設定手段と、
前記楽器演奏モードに切り替えられている場合には、前記歌唱モードに切り替えられているときよりも大きな前記制御幅で前記再生速度を制御する、第1制御手段と、
を有することを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケ装置において、
前記設定手段は、
前記再生速度を所定の制御幅において、複数段階的に可変に設定し、
前記第1制御手段は、
前記楽器演奏モードに切り替えられている場合には、前記歌唱モードに切り替えられている場合よりも、大きな変化割合で前記再生速度を可変に制御する
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカラオケ装置は、
前記楽曲データとして、生音音源を用いた再生に対応した生音データと、MIDI音源を用いたMIDI楽曲データとを記憶する記憶手段と、
前記楽器演奏モードに切り替えられていた場合には、前記再生手段により再生される楽曲の前記生音データに代え、前記記憶手段に記憶された楽曲の前記MIDI楽曲データを、前記再生手段に再生させる制御を行う第2制御手段と、をさらに有する
ことを特徴とするカラオケ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカラオケ装置において、
前記楽曲データは、前記楽曲データの演奏に沿って演奏される楽譜データが対応付けられており、
かつ、
前記カラオケ装置は、
前記再生手段により前記楽曲データが再生される場合、当該楽曲データに対応づけられた前記楽譜データの難易度を判定する判定手段をさらに有し、
前記第1制御手段は、
前記楽器演奏モードに切り替えられている場合であって、前記判定手段により前記楽譜データの難易度が所定のしきい値よりも高いと判定された場合には、当該楽譜データの難易度が所定のしきい値以下である判定された場合に比べて、前記再生速度を遅くするように、前記再生手段を制御する
ことを特徴とするカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57741(P2013−57741A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195065(P2011−195065)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【Fターム(参考)】