説明

カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、カラムスペーサ及び液晶表示素子

【課題】低温発泡を生ずることなく、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ及び液晶表示素子を提供する。
【解決手段】液晶表示素子のカラムスペーサを製造するために用いるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物であって、ビニル系重合体(A)、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)、及び、光反応性開始剤(C)を含有し、前記ビニル系重合体(A)は、ポリマー主鎖の少なくとも一方の末端に架橋性官能基を有するカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温発泡を生ずることなく、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子は、2枚のガラス基板の間隙を一定に維持するためのスペーサを具備し、これらの他に透明電極や偏光板及び液晶物質を配向させる配向層等から構成されている。現在スペーサとしては、主に粒子径が数μm程度の微粒子スペーサが用いられている。しかし、従来の液晶表示素子の製造方法では、ガラス基板上に微粒子スペーサをランダムに散布していたことから、画素部内に微粒子スペーサが配置されてしまうことがあった。画素部内に微粒子スペーサがあると、スペーサ周辺の液晶配向の乱れから光が漏れて画像のコントラストが低下したりする等、画像品質を低下させることがあるという問題がある。これに対して、微粒子スペーサが画素部に配置されないような微粒子スペーサの配置方法が種々検討されているが、いずれも操作が煩雑であり実用性に乏しいものであった。
【0003】
また、近年、液晶表示素子の生産性を上げるために、ワンドロップフィル法(One Drop Fill Technology:ODF法)が提案されている。この方法は、ガラス基板の液晶封入面上に、所定量の液晶を滴下し、もう一方の液晶パネル用基板を真空下で所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ、貼り合わせることにより液晶表示素子を製造する方法である。この方法によれば、従来の方法に比べて液晶表示素子が大面積化し、セルギャップが狭小化しても、液晶の封入が容易であることから、今後はODF法が液晶表示素子の製造方法の主流になると考えられる。
しかし、ODF法において微粒子スペーサを用いると、液晶の滴下時、又は、対向基板の貼り合わせ時に散布した微粒子スペーサが液晶の流動とともに流されて、基板上における微粒子スペーサの分布が不均一となる問題が生じる。微粒子スペーサの分布が不均一になると、液晶セルのセルギャップにバラツキが生じ、液晶表示に色ムラが発生してしまうという問題があった。
【0004】
これに対して、従来の微粒子スペーサに代って、液晶基板上にフォトリソグラフの手法によってセルギャップを均一保持するための凸型パターンを形成したカラムスペーサが提案され、実用化されるようになってきている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。図3にカラムスペーサを用いた液晶表示素子の一例の部分断面を示す模式図を示した。カラムスペーサを用いれば、画素部内にスペーサが配置されてしまう問題や、ODF法においてスペーサムラが生じてしまう問題を解決することができる。
【0005】
しかしながら、カラムスペーサを用いてODF法により製造した大型液晶表示素子においては、表示装置の使用中に液晶セル内の液晶が下方へ流動することにより、表示パネルの上半面と下半面において色ムラが生じる「重力不良」と呼ばれる欠陥が発生することがあり、大きな問題となっていた。この「重力不良」の現象は、バックライトより発生する熱によって液晶セル内の液晶が膨張してセルギャップを押し広げ、その際にカラムスペーサから基板が浮き上がってしまい、このスペーサによって保持されなくなった体積分の液晶が重力によって下方への流動することにより生じると考えられる。
【0006】
このような「重力不良」を解消するためには、バックライトより発生する熱によって液晶セル内の液晶が膨張してセルギャップを押し広げる際に、いったん圧縮されていたカラムスペーサを圧縮変形からの弾性回復によりセルギャップの変化に追随できるようにし、基板とカラムスペーサとの間に隙間が生じないようにすれば解決可能であると考えられる。
【0007】
しかし、従来の方法では、カラムスペーサに高い変形回復力を持たせるためには、カラムスペーサを形成する樹脂を高度に架橋し圧縮時に塑性変形を起こりにくくする必要があるところ、このような高度な架橋構造を有する樹脂は一般的に圧縮弾性率が高く、硬くなってしまう傾向にある。このような硬い樹脂によりカラムスペーサを形成した場合には、カラムスペーサを圧縮変形させる課程において、大きな圧力が必要であり、得られた液晶表示素子においては、圧縮されたカラムスペーサによる液晶セルを押し広げようとする大きな力を内包することになる。このようなカラムスペーサが液晶セルを押し広げようとする力が大きい場合、低温時に液晶セル内の液晶の体積収縮が起こると液晶セル内の内圧が急激に低下して気泡が発生する「低温発泡」という現象を生じてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2001−91954号公報
【特許文献2】特開2001−159707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑み、低温発泡を生ずることなく、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液晶表示素子のカラムスペーサを製造するために用いるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物であって、ビニル系重合体(A)、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)、及び、光反応性開始剤(C)を含有し、前記ビニル系重合体(A)は、ポリマー主鎖の少なくとも一方の末端に架橋性官能基を有するカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、カラムスペーサの製造に用いられる光硬化性樹脂組成物として、所定の構造を有するビニル系重合体を含有するものを用いることにより、優れた弾性を有し圧縮変形からの高い回復性を有するとともに、柔軟で低弾性率であるカラムスペーサが得られることを見出した。このようなカラムスペーサによれば、加熱時の液晶の膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いれば、加熱時の「重力不良」の発生と、低温時の「低温発泡」の発生の間の温度差、すなわち、液晶表示装置が正常に保たれる温度領域が極めて広いカラムスペーサを得ることができる。一般に、「重力不良」及び「低温発泡」の発生温度範囲は、液晶パネルの生産工程におけるカラムスペーサの高さや液晶注入量バラツキの影響により変動することから、液晶表示装置が正常に保たれる温度領域が極めて広いことにより、液晶表示装置の保証温度内における「重力不良」や「低温発泡」における製品不良の発生率が低減するという効果が得られる。
【0012】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、ビニル系重合体(A)を含有する。
上記ビニル系重合体(A)は、ポリマー主鎖の少なくとも一方の端末に架橋性官能基を有するものであり、好ましくは、ポリマー主鎖の両末端に架橋性官能を有するものである。このようなビニル系重合体(A)を含有することにより、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、例えば、架橋性官能基を有さないビニル系重合体や、ポリマー主鎖の側鎖にのみ架橋性官能基を有するビニル系重合体を含有する樹脂組成物と比較して、柔軟性と高い圧縮回復特性とを両立し得る硬化物を得ることができる。この理由は、以下の通りであると考えられる。
【0013】
すなわち、上記架橋性官能基を有さないビニル系重合体を含有する樹脂組成物を硬化させた場合、その硬化物は架橋構造を構成せず圧縮されると塑性変形してしまう。また、上記ポリマー主鎖の側鎖にのみ架橋性官能基を有するビニル系重合体を含有する樹脂組成物を硬化させた場合、その硬化物は、図2に示すように、架橋構造を構成し得るものの、ポリマー主鎖1’の末端部分が架橋構造中に髭状に存在しており、該髭状部分が硬化物の塑性を高め、圧縮に対して塑性変形しやすくなるものと考えられる。
これに対して、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、上記ビニル系重合体(A)がポリマー主鎖の少なくとも一方の末端に架橋性官能基を有するため、その硬化物は、上記ポリマー主鎖の少なくとも一方の末端部分で架橋された架橋構造をとり得る。特に、上記ポリマー主鎖の両末端に架橋性官能基を有する場合、図1に示すように、ポリマー主鎖1がその末端部分で架橋された架橋構造となるため、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の硬化物は、高い圧縮回復特性を有するものと考えられる。
【0014】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記ビニル系重合体(A)のポリマー主鎖の原料モノマーとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミドが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記ビニル系重合体(A)は、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体を原料モノマーとする(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0015】
上記架橋性官能基としては特に限定されないが、例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、シリル基、エポキシ基、及び、重合性不飽和結合を有する基からなる群より選択される少なくとも1種が好適であり、なかでも、反応性が高いことから重合性不飽和結合を有する基が特に好適である。上記重合性不飽和結合を有する基としては、例えば、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。このような架橋性官能基は、上記ポリマー主鎖の末端のみならず、側鎖に含有されていてもよい。
なお、上記ポリマー主鎖が2以上の架橋性官能基を有する場合、同一の架橋性官能基が含まれていてもよく、異なる種類の架橋性官能基が含まれていてもよい。
【0016】
上記ポリマー主鎖1分子中に含まれる上記架橋性官能基の数としては特に限定されないが、平均個数の好ましい下限は1.2である。1.2未満であると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を硬化させたときに、充分な架橋構造をとることができないことがあり、圧縮変形に対する回復性が不充分となることがある。より好ましい下限は1.5である。
【0017】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記ビニル系重合体(A)の重量平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は500、好ましい上限は5万である。500未満であると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いて製造したカラムスペーサの強度や耐薬品性が低下することがあり、5万を超えると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する際の解像度が低下することがある。より好ましい下限は1000、より好ましい上限は4万である。
【0018】
また、上記ビニル系重合体(A)は、(重量平均分子量)/(数平均分子量)で定義される分子量分布が1.8未満であることが好ましい。1.8未満であると、上記ビニル系重合体(A)の分子量分布が揃うことから、架橋により図1に示したような状態となったときに、架橋点の分布がより均一となり、より高い圧縮回復特性を発揮することができる。より好ましい上限は1.7であり、更に好ましい上限は1.5以下である。
なお、上記重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定を行い、ポリスチレン換算で求めることができる。
【0019】
上記ビニル系重合体(A)の製造方法としては特に限定されず、例えば、フリーラジカル重合法、UVラジカル重合法、連鎖移動剤を用いるラジカル重合、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法、カチオン重合法、リビングカチオン重合法等を用いた従来公知の方法が挙げられる。なかでも、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビグカチオン重合法を用いた場合、分子量や構造の制御されたポリマーが得られるため、好適である。特に、重合の容易性や重合可能な単量体の適用範囲の広さ等から、リビングラジカル重合法が好適である。
【0020】
ここで、「リビングラジカル重合法」とは、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することによりほぼ設計通りの分子量の重合体を得る方法であり、原料モノマーと開始剤との仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができる。また、停止反応や連鎖移動反応等の副反応が抑制されるため、原料モノマーと開始剤の選択によってポリマーの側鎖及び主鎖末端に定量的に官能基を導入することが可能である。
リビングラジカル重合法のなかでも、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化物等を開始剤とし、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等の遷移金属錯体を触媒として上記原料モノマーを重合する原子移動ラジカル重合法が好適である。
【0021】
上記ビニル系重合体(A)の製造方法の具体例としては、例えば、特開平1−247403号公報や特開平5−255415号公報に開示されているような、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用いた末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法;特開平5−262808号公報に開示されているような、ヒドロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、更に、ヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成方法;特開平6−211922号公報に開示されているような、ヒドロキシル基を有するポリスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、更に、ヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成方法;国際公開第01/059011号公報、特開2001−011319号公報、特表005−502737号公報に開示されているような、リビングラジカル重合法によりポリマー主鎖の末端に種々の架橋性官能基を導入する方法等が挙げられる。なかでも、リビングラジカル重合法を用いた場合、ポリマー主鎖の末端に確実に架橋性官能基を導入することができ、また、得られる重合体の分子量分布を狭くすることができるため、特に好ましい。
【0022】
また、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物に充分な現像性を発現させるために、上記ビニル系重合体(A)は、必要に応じて水酸基やカルボン酸基等のアルカリ可溶性の官能基が導入されていてもよい。
上記ビニル系重合体(A)にアルカリ可溶性基を導入する方法としては特に限定されず、例えば、ポリマー主鎖中に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等のアルカリ可溶性官能基を有するビニル系モノマーを共重合する方法が最も簡便である。ただし、上述したリビングラジカル重合法を用いて上記ポリマー主鎖にカルボン酸基を導入する場合、カルボン酸を有する単量体を直接重合して導入する場合には、カルボン酸基が重合触媒の失活を招くことがあるため、カルボン酸基を適当な保護基で保護した形、又は、カルボン酸基の前駆体となる官能基の形で重合を行い、その後に公知の化学反応で官能基を生成させることが好ましい。具体的には、例えば、特開2001−234147号公報、特開平10−298248号公報に開示されるように、メタアクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、メタアクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメチルシリル等のカルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体を含む共重合体を合成し、加水分解若しくは酸分解等公知の化学反応によってカルボン酸基を生成させる方法等が挙げられる。
【0023】
なお、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記ビニル系重合体(A)として、市販されているものを用いることもできる。市販されているものとしては、例えば、アクトフロー(綜研化学社製)、カネカXMAP(カネカ社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)を含有する。
上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)としては特に限定されないが、多官能(メタ)アクリレート化合物が好適である。
【0025】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物の2官能のモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物の3官能のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
また、上記多官能(メタ)アクリレート化合物の4官能以上のモノマーとしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
また、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)として、多官能のエポキシアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物も好適である。
【0029】
また、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)としては、カプロラクトン変性された(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。上記カプロラクトン変性された(メタ)アクリレート化合物を用いることで、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサは、圧縮変形からの高い回復性と、柔軟で低弾性率であることとを両立させることができる。
なお、カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体又は開環重合体が導入されることを指す。また、カプロラクトン変性体とは、このようなカプロラクトン変性が施された化合物を意味する。
【0030】
上記(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、触媒の存在下に高温でアルコールとカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性アルコールを合成した後に、このカプロラクトン変性アルコールと(メタ)アクリル酸とを酸性触媒の存在下脱水溶媒を使用してエステル化反応させる方法や、(メタ)アクリル酸とカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸を合成した後に、アルコールとエステル化反応させる方法等が挙げられる。
【0031】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。このような化合物を含有することにより、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を硬化してなるカラムスペーサは、より圧縮変形からの高い回復性と、柔軟で低弾性率であることとを両立させることができる。また、カプロラクトン変性を行った分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物は、一般にカプロラクトン変性を行わない化合物に比べて反応性が低下するため、分子内の官能基数が多いものが感度的に有利となる。
【0032】
上記カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されないが、3官能のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性体が好適である。
また、上記カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の4官能以上のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性体が好適である。
これらのカプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記カプロラクトン変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、上述の方法により(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性して用いてもよいし、日本化薬社製の「KAYARAD DPCA−30」、「KAYARAD DPCA−60」、「KAYARAD DPCA−120」(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、新中村化学工業社製の「NKエステル AD−TMP−4CL」(カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)等の市販品を用いてもよい。
【0034】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)として、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物も好適に用いることができる。
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(以下、重合性化合物(B1)ともいう)としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート(B1’)ともいう)であることが好適である。
なお、本明細書において、「エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性」とは、上記重合性化合物(B1)が上記多官能(メタ)アクリレート(B1’)である場合、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイル基との間に、エチレンオキサイドセグメント及び/又はプロピレンオキサイドセグメントが導入されることを意味する。
【0035】
上記多官能(メタ)アクリレート(B1’)としては特に限定されず、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの多官能(メタ)アクリレート(B1’)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記多官能(メタ)アクリレート(B1’)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は10nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、10nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は5nモルである。
【0037】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性して多官能(メタ)アクリレート(B1’)を合成する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0038】
また、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物であってもよい。このようなエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物(以下、重合性化合物(B2)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いた際にパターン形成時の現像性及び溶解性をより向上させることができ、現像残滓の発生をより抑制でき、シャープな解像性を得ることができる。
【0039】
上記重合性化合物(B2)としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート(B2’)ともいう)であることが好適である。
【0040】
上記多官能(メタ)アクリレート(B2’)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。これらの多官能(メタ)アクリレート化合物(B2’)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0041】
上記多官能(メタ)アクリレート(B2’)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は10nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、10nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は5nモルである。
【0042】
このような本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂において、上記重合性化合物(B2)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0043】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。
【0044】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0045】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて重合性化合物(B2)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合部分に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
【0046】
上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物と、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物とのマイケル付加反応においては、無溶媒若しくは溶媒で希釈した水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物中に攪拌しながらゆっくり滴下する方法が好適に用いられる。
【0047】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を希釈する溶媒としては特に限定されず、例えば、該水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物とは反応せず、かつ、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、及び、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物と相溶性があるものが適宜選択される。好ましくは、沸点が64〜200℃の水溶性の溶媒である。
また、上記上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物中に滴下する際の溶媒における上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物の濃度としては特に限定されないが、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が30重量%であり、より好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は20重量%である。
【0048】
上記マイケル付加反応は、常温、無触媒の条件下でも速やかに進行するが、必要に応じて触媒を用いて行ってもよく、常温から80℃程度の温度範囲で加熱して行ってもよい。
上記触媒としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属のアルコラート、スズやチタン等の有機金属化合物、金属水酸化物、三級アミン等が挙げられる。
【0049】
また、上記マイケル付加反応の反応時間としては特に限定されないが、好ましい下限は1時間、好ましい上限は10時間程度であり、より好ましい下限は3時間、より好ましい上限は7時間程度である。
【0050】
上記マイケル付加反応に用いる反応溶媒としては特に限定されないが、上記エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、並びに、水酸基と1級又は2級アミノ基と反応せず、これら原料を均一に溶解できる水溶性の溶媒であることが好ましい。
具体的は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンエーテル類、グリセリンモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、プロパギルアルコール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0051】
また、上記マイケル付加反応においては、重合禁止剤を用いることが好ましい。
上記重合禁止剤としては特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン等のキノン誘導体、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール誘導体等、従来公知のものが挙げられる。
【0052】
上記重合性化合物(B2)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明2のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0053】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物であってもよい。
このようなカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(以下、重合性化合物(B3)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサが圧縮変形からの回復性に優れたものとなり、このようなカラムスペーサを用いて製造した液晶表示素子に加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな解像性を得ることができる。
【0054】
上記重合性化合物(B3)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、本発明3に係る多官能(メタ)アクリレート(B3’)ともいう)であることが好適である。
【0055】
上記多官能(メタ)アクリレート(B3’)としては特に限定されず、例えば、上述した2官能(メタ)アクリレート化合物や、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
上記多官能(メタ)アクリレート(B3’)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
上記多官能(メタ)アクリレート(B3’)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0057】
また、上記多官能(メタ)アクリレート(B3’)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は4nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0058】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性して多官能(メタ)アクリレート(B3’)を合成する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとカプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とカプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、カプロラクトン、並びに、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0059】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、カプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物であってもよい。
このようなカプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物(以下、重合性化合物(B4)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いたときに、加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、シャープな解像性を得ることができる。
【0060】
上記重合性化合物(B4)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性された分子内に1以上の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート(B4’)ともいう)であることが好適である。
【0061】
上記多官能(メタ)アクリレート(B4’)としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性させた化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの多官能(メタ)アクリレート(B4’)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
上記多官能(メタ)アクリレート(B4’)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0063】
このような重合性化合物(B4)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0064】
上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をカプロラトン変性した化合物等が挙げられる。
【0065】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物は、上述した重合性化合物(B2)において説明したものと同様のものが挙げられる。
上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて重合性化合物(B4)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記カプロラクトン変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
上記マイケル付加反応の方法、条件等については、上記重合性化合物(B2)において説明したマイケル付加反応と同様の方法、条件が挙げられる。
【0066】
上記重合性化合物(B4)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0067】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物であってもよい。
このようなカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する化合物(以下、重合性化合物(B5)ともいう)を含有する本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサの製造に用いたときに、加熱時の液晶膨張による「重力不良」と、低温時の液晶の収縮による「低温発泡」とを同時により好適に抑制可能であり、また、フォトリソグラフの手法によりカラムスペーサとなるパターン形成する際に、現像残滓を生ずることなく、よりシャープな解像性を得ることができる。
【0068】
上記重合性化合物(B5)としては特に限定されないが、例えば、カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された分子内に1以上の水酸基と2以上の重合性不飽和結合とを有する多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート(B5’)ともいう)であることが好適である。
【0069】
上記多官能(メタ)アクリレート(B5’)としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性させた化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
これらの多官能(メタ)アクリレート(B5’)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記多官能(メタ)アクリレート(B5’)のカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0071】
また、上記多官能(メタ)アクリレート(B5’)のエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は4nモルである。0.5nモル未満であると、現像時の解像性、溶解性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0072】
このような重合性化合物(B5)は、例えば、(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物と多価アルコールとを反応させる方法;カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法等により好適に得ることができる。
【0073】
上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等をカプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。
【0074】
上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物は、上述した重合性化合物(B2)において説明したものと同様のものが挙げられる。
上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させて重合性化合物(B5)を製造する場合、いわゆるマイケル付加反応により、上記カプロラクトン変性、並びに、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物の不飽和2重結合に、上記水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物のアミノ基が付加する。
上記マイケル付加反応の方法、条件等については、上記重合性化合物(B2)において説明したマイケル付加反応と同様の方法、条件が挙げられる。
【0075】
上記重合性化合物(B5)の水酸基量としては特に限定されないが、好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は200mgKOH/gである。5mgKOH/g未満であると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の現像性等に充分な効果が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、ゲル化等の問題が発生しやすくなる。より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0076】
更に、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)は、分子内に1以上のカルボキシル基と2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(以下、カルボキシル基を有する重合性化合物ともいう)であってもよい。
上記カルボキシル基を有する重合性化合物としては特に限定されないが、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリル基の一部に、カルボキシル基を有する化合物を付加反応させることによりカルボン酸を導入した(メタ)アクリレート化合物(以下、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物ともいう)であることが好ましい。このようなカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することで、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、フォトリソグラフの手法によるパターン形成時の露光感度を得るために必要な速やかな重合反応性と、現像時の解像性を得るために必要なアルカリ現像液との親和性に優れたものとなる。
【0077】
上記カルボキシル基を有する重合性化合物へのカルボキシル基変性量としては、アルカリ現像液に速やかに溶解するものであれば特に限定されないが、酸価の好ましい下限は5mgKOH/g、好ましい上限は80mgKOH/gであり、より好ましい下限は10mgKOH/g、より好ましい上限は50mgKOH/gである。
【0078】
上記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、或いは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
また、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートも好適である。このようなウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−306H、UA−306T、UA−306I(以上、共栄社化学社製)、EB9260、EB8210、EB1290、EB1290K、EB5129、EB810、EB450、EB830、EB870、EB1870(以上ダイセル・サイテック社製)、M−1960、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
これらの3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0079】
上記カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから、分子内の(メタ)アクリル基の数の好ましい下限は3である。また、上記カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内のカルボキシル基の好ましい上限は2である。3以上であると、現像液への溶解性・膨潤性が高くなり、例えば、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造した際に現像パターンの剥離や、膨潤性による解像度の低下が起こりやすくなる。
【0080】
上記カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基とチオール基とを有する化合物が挙げられる。
【0081】
上記カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を得る方法としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリル基に、チオサリチル酸等のチオール基とカルボキシル基とを有する化合物を、エン−チオール反応により付加する方法等が挙げられる。
【0082】
また、上記カルボキシル基を有する重合性化合物は、カプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性されたカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の柔軟性が優れたものとなり、カラムスペーサ用途に用いた場合、優れた柔軟性と高い圧縮回復特性とを有するカラムスペーサを好適に得ることができるからである。
【0083】
上記カルボキシル基を有する重合性化合物がカプロラクトン変性されたカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
また、上記多官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとカプロラクトンを反応させ、カプロラクトン変性アルコールを合成した後、(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とカプロラクトンとを反応させ、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、カプロラクトン、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0084】
上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は5nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、5nモルを超えると、カラムスペーサを製造する際の露光時の反応性が低下し、製造するカラムスペーサのパターニングが困難となることがある。より好ましい下限は1nモル、より好ましい上限は3nモルである。
【0085】
上記カルボキシル基を有する重合性化合物がエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性されたカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
また、上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性する具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
【0086】
上記多官能(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性の変性度としては、ベースとなる多官能(メタ)アクリレート化合物の官能基数をnとした場合、多官能(メタ)アクリレート化合物1モルに対して好ましい下限は0.5nモル、好ましい上限は15nモルである。0.5nモル未満であると、製造するカラムスペーサの柔軟性が不充分となることがあり、15nモルを超えると、アルカリ現像液への親和性が高くなり、膨潤による解像性の低下が起こりやすくなる。より好ましい下限は3nモル、より好ましい上限は10nモルである。
【0087】
上述のカルボキシル基を有する重合性化合物は、更に分子内に1以上の水酸基を有してもよい。このようなカルボキシル基を有する重合性化合物を含有する本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、カラムスペーサ用途に用いた場合、パターン形成時の現像性及び溶解性をより向上させることができ、現像残滓の発生をより抑制でき、シャープな解像性を得ることができる。
【0088】
このような分子内に水酸基を有するカルボキシル基を有する重合性化合物は、例えば、上記(メタ)アクリレート化合物を製造する際に、多価アルコールと反応させる(メタ)アクリル酸の配合比率及び/又は反応比率を調整することにより得ることができる。
【0089】
また、上記分子内に水酸基を有するカルボキシル基を有する重合性化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物に、酸無水物が付加反応されてなるものであってもよい。
上記分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物としては特に限定されず、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、これらのカプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性体等が挙げられる。
【0090】
このような分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物を得る方法としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート化合物(又は(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド及び/若しくはプロピレンオキサイド変性した化合物)と多価アルコールとを反応させる方法;分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、又は、これらのカプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/若しくはプロピレンオキサイド変性体に、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物を反応させる方法;エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した多価アルコールと(メタ)アクリレート化合物とを反応させる方法が挙げられる。
【0091】
上記分子内に3以上の重合性不飽和結合を有する化合物、及び、水酸基と1級又は2級アミノ基とを有する化合物、並びに、これらの反応方法としては特に限定されず、例えば、上述した重合性化合物(B2)で説明したものと同様のもの、及び、方法が挙げられる。
【0092】
上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる反応は一般的なエステル化反応であり、反応温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は150℃であり、反応時間の好ましい下限は1時間、好ましい上限は12時間である。
また、上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる際には、触媒としてトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチルー4−メチルイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等を使用してもよい。
また、重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン等のキノン誘導体、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール誘導体等、従来公知のものを添加してもよい。
【0093】
更に、上記酸無水物を分子内に2以上の重合性不飽和結合と水酸基とを有する化合物の水酸基に付加反応させる反応は、無溶媒で行ってもよいが、必要に応じて溶媒中で行ってもよい。反応に使用できる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0094】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物において、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)の含有量としては特に限定されないが、上記ビニル系重合体(A)100重量部に対して、好ましい下限は25重量部、好ましい上限は900重量部である。25重量部未満であると、充分に光硬化せずにフォトリソグラフィーによりパターンを形成することができないことがあり、900重量部を超えると、硬化後の硬化物が硬くなりすぎることがある。より好ましい下限は100重量部、より好ましい上限は500重量部である。
【0095】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、光反応開始剤(C)を含有する。
上記光反応開始剤(C)としては特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンジル、チオキサントン及びこれらの誘導体等の従来公知の光反応開始剤を用いることができる。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ミヒラーケトン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェイルメタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらの光反応開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0096】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物における上記光重合開始剤(C)の配合量としては、上記分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が50重量部である。0.01重量部未満であると、光硬化しないことがあり、50重量部を超えると、フォトリソグラフィーにおいてアルカリ現像できないことがある。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は20重量部である。
【0097】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、酸素による反応障害を軽減するために反応助剤を含有してもよい。このような反応助剤と水素引き抜き型の光反応開始剤とを併用することにより光照射したときの硬化速度を向上させることができる。
上記反応助剤としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン系;トリ−n−ブチルホスフィン等のホスフィン系;s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等のスルホン酸のもの等を用いることができる。これらの反応助剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、更に、2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物を含有してもよい。上記2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物は熱架橋剤として働き、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物に熱硬化性を付与することができる。
【0099】
上記2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び、これらのオリゴマーからなる多官能イソシアネートを、活性メチレン系、オキシム系、ラクタム系、アルコ−ル系等のブロック剤化合物によりブロック化することにより得られるものが挙げられる。これらの2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0100】
このような2以上のブロックイソシアネート基を有する熱架橋剤のうち市販されているものとしては、例えば、デュラネート17B−60PX、デュラネートE−402−B80T(以上、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0101】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物における上記2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物の配合量としては、上記ビニル系重合体(A)100重量部に対して好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が50重量部である。0.01重量部未満であると、充分に熱硬化しないことがあり、50重量部を超えると、得られる硬化物の架橋度が高くなりすぎて上述の弾性特性を満たさないことがある。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は20重量部である。
【0102】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物を含有してもよい。
上記アルカリ可溶性高分子化合物としては特に限定されないが、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物であることが好ましい。
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物としては、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合やエポキシ基のような反応性の官能基を有する単官能化合物とを共重合した共重合体等が挙げられる。また、例えば、ダイセル化学社製「サイクロマーP」等の市販のものを用いてもよい。
【0103】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、粘度を調整するために希釈剤により希釈してもよい。上記希釈剤としては、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組との相溶性、塗工方法、乾燥時の膜均一性、乾燥効率等を考慮して選択すればよく特に限定されないが、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組をスピンコーター、スリットコーターを用いて塗工する場合には、例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、酢酸−3−メトキシ−1−ブチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチル−1−ブチル等の有機溶媒が好適である。これらの希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、基板との密着性を向上するためのシランカップリング剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0105】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記ビニル系重合体(A)、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)、光反応開始剤(C)、及び、必要に応じて使用する2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物、希釈剤等を従来公知の方法により混合する方法が挙げられる。
【0106】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いれば、光硬化(又は熱硬化)させることにより圧縮変形からの極めて高い回復性と、柔軟で低弾性率であることとを両立したカラムスペーサを製造することができる。このようなカラムスペーサを用いれば、低温発泡を生ずることなく、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制した液晶表示素子を得ることができる。
【0107】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱により硬化させたときの硬化物の25℃における15%圧縮時の弾性係数の好ましい下限が0.2GPa、好ましい上限が1.0GPaである。0.2GPa未満であると、軟らかすぎてセルギャップの保持が困難となることがあり、1.0GPaを超えると、硬すぎて基板貼り合わせ時にカラーフィルター層に突入してしまったり、回復に必要な充分な弾性変形が得られなかったりすることがある。より好ましい下限は0.3GPa、より好ましい上限は0.9GPaであり、更に好ましい下限は0.5GPa、更に好ましい上限は0.7GPaである。
【0108】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱により硬化させたときの硬化物の25℃において15%圧縮変形したときの回復率の好ましい下限が70%である。70%未満であると、得られた液晶表示素子の基板間におけるカラムスペーサが回復しようとする力が弱すぎて、充分な重力不良抑制効果が得られないことがある。より好ましい下限は80%である。回復率の上限については特に限定されない。
【0109】
なお、本明細書において硬化物とは、光照射(及び加熱)により本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物をほぼ完全に硬化させたときの硬化物(カラムスペーサ)を意味する。ほぼ完全に硬化させる条件としては、例えば、50〜300mJ/cmの紫外線を照射し、更に、200〜250℃の温度で20分程度の熱処理を加えることによりほぼ完全に硬化させることできる。
【0110】
また、本明細書において15%圧縮とは、カラムスペーサの高さの変形率が15%となるように圧縮することを意味する。また、弾性係数は、以下の方法により測定したものである。
すなわち、まず、基板上に形成したカラムスペーサを10mN/sの荷重印加速度で圧縮し、初期高さHの85%に相当する高さになるまで圧縮する。ここで1mNの荷重を印加した際のカラムスペーサ高さをH、Hの85%に相当するカラムスペーサ高さをH、Hに達した時点での荷重をFとする。次いで、この荷重Fを5秒間保持し、定荷重での変形を与えた後、10mN/秒の荷重印加速度で負荷を取り除き、下記式(1)により弾性係数Eを算出する。
【0111】
弾性係数E=F/(D×S) (1)
【0112】
なお、式(1)中、Fは荷重(N)を表し、Dはカラムスペーサの高さの変形率=(H−H)/Hを表し、Sはカラムスペーサの断面積(m)を表す。
【0113】
また、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物からなるカラムスペーサを用いて製造した液晶表示素子は、日常的な使用により応力が繰返し印加されることがあるが、このような場合であっても、上記カラムスペーサの圧縮特性(弾性係数)はほとんど変化しないことが好ましい。具体的には、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサは、25℃で15%圧縮する圧縮試験を繰り返し行ったときに、1回目の圧縮時における弾性係数に対する、5回目の圧縮時における弾性係数の変化率が5%以下であることが好ましい。5%を超えると、日常的な液晶表示素子の使用により、カラムスペーサに応力が繰り返し印加された場合に、その弾性係数が大きく変化し、重力不良による色ムラが生じてしまうことがある。より好ましくは4%以下である。
【0114】
なお、上記弾性係数の変化率は、以下の方法により測定したものである。
即ち、25℃で15%圧縮する圧縮試験を繰り返し行ったときに、1回目の圧縮時における弾性係数をEとし、5回目の圧縮時における弾性係数をEとしたときに、下記式(2)により算出される。
【0115】
変化率C={(E−E)/E}×100 (2)
【0116】
また、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の硬化物は、上記5回目の圧縮時の弾性係数Eの回復率の下限が70%であることが好ましい。70%未満であると、得られた液晶表示素子の基板間におけるカラムスペーサが回復しようとする力が弱すぎて、充分な重力不良抑制効果が得られないことがある。より好ましい下限は80%である。回復率の上限については特に限定されない。
なお、上記回復率は、以下の方法により測定することができる。
【0117】
即ち、5回目の上記圧縮試験において、基板上に形成したカラムスペーサを10mN/sの荷重印加速度で圧縮し、初期高さHの85%に相当する高さになるまで圧縮する。ここで10mNの荷重を印加した際のカラムスペーサ高さをH、Hの85%に相当するカラムスペーサ高さをH、Hに達した時点での荷重をFとする。次いで、この荷重Fを5秒間保持し、定荷重での変形を与えた後、10mN/秒の荷重印加速度で負荷を取り除き弾性回復によるカラムスペーサ高さの回復変形を測定する。この間の圧縮変形が最大となった時点のカラムスペーサ高さをHとし、カラムスペーサの変形を回復する過程における10mNの荷重印可時のカラムスペーサ高さをHとする。回復率Rは、下記式(3)により算出することができる。
【0118】
回復率R=(H−H)/(H−H)×100 (3)
【0119】
また、カラムスペーサは、通常の液晶表示素子の製造時において2枚のガラス基板の間に液晶を封入する際にシール剤を硬化させるために120℃程度の高温で熱圧着される。従って、製造する液晶表示素子に重力不良等を確実に防止するためには、このような高温での熱圧着によっても弾性特性の変化が小さいカラムスペーサを用いることが重要である。そのため、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、その硬化物を25℃で15%圧縮したときの初期圧縮弾性係数Eと、120℃で15%圧縮した後に25℃で15%圧縮したときの圧縮弾性係数Eとが下記式(4)を満たすことが好ましい。
なお、ここで「初期」とは、120℃程度の熱圧着履歴がない状態を意味する。
【0120】
{(E−E)/E}×100≦10 (4)
【0121】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の硬化物が上記式(4)を満たさない場合、即ち、上記式(4)の左辺の値が10を超える場合、液晶表示素子の製造時のシール剤を硬化させる熱圧着による加熱により、得られるカラムスペーサの弾性特性が大きく変化し、製造する液晶表示素子に重力不良等が生じることがある。
【0122】
また、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の硬化物の線膨張係数は、液晶表示素子に使用する液晶の線膨張係数に近い所定の範囲内となることが好ましい。液晶表示素子の「重力不良」という現象は、液晶が加熱された際の膨張にカラムスペーサが追従して膨張することができず、その結果、カラムスペーサから基板が浮き上がってしまうことで生じていたものと考えられる。これに対して、カラムスペーサの線膨張係数を液晶の線膨張係数に近い所定の範囲内とすることで、バックライトより発生する熱によって液晶が加熱されて膨張した場合に、カラムスペーサが液晶の膨張に追随して膨張するため、カラムスペーサから基板が浮き上がることがなく「重力不良」による色ムラが生じることがないものと考えられる。
【0123】
すなわち、従来、液晶表示素子に使用されていた液晶は、25〜100℃の温度範囲における線膨張係数が7×10−4/℃程度であるので、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の硬化物は、25〜100℃の温度範囲における線膨張係数の好ましい下限が1×10−4/℃であり、好ましい上限が5×10−4/℃である。1×10−4/℃未満であると、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサの線膨張係数と、液晶表示素子に使用する液晶の線膨張係数との差が大きくなり、カラムスペーサが、液晶が加熱又は冷却されることによる膨張又は収縮に対する追従性が不充分になり、重力不良による色ムラが生じてしまうことがある。5×10−4/℃を超えるのは、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサとしては、非現実的である。より好ましい下限は2×10−4/℃、より好ましい上限は4×10−4/℃である。
【0124】
次に、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する方法を説明する。
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてカラムスペーサを製造する場合には、まず、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を所定の厚さになるように基板上に塗工して被膜を形成させる。塗工の方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート等の従来公知の塗工法を用いることができる。
【0125】
次いで、形成した被膜上に、所定のパターンが形成されたマスクを介して、紫外線等の活性光線を照射する。これにより、光照射部においては、本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物中に含まれる分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)と光反応開始剤(C)とが反応して光硬化する。
上記活性光線の照射量としては特に限定されないが、紫外線の場合で100mJ/cm以上であることが好ましい。100mJ/cm未満であると、光硬化が不充分で続くアルカリ処理を行ったときに露光部まで溶解しパターンが形成されないことがある。
【0126】
次いで、光硬化後の光硬化物をアルカリ現像して基板上に本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の光硬化物からなる所定のパターンのカラムスペーサを形成する。
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物が2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物を含有する場合には、更に、現像処理後のパターン化された光硬化物を加熱することにより、含有されるアルカリ可溶性高分子化合物と2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物とが反応する。
上記加熱の条件としては、上記パターンの大きさや厚さ等を考慮して適宜決定すればよいが、少なくとも、200℃、20分間以上であることが好ましい。
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサもまた、本発明の1つである。
【0127】
本発明のカラムスペーサは、25℃における15%圧縮時の弾性係数の好ましい下限が0.2GPa、好ましい上限が1.0GPaである。0.2GPa未満であると、軟らかすぎてセルギャップの保持が困難となることがあり、1.0GPaを超えると、硬すぎて基板貼り合わせ時にカラーフィルター層に突入してしまったり、回復に必要な充分な弾性変形が得られなかったりすることがある。より好ましい下限は0.3GPa、より好ましい上限は0.9GPaであり、更に好ましい下限は0.5GPa、更に好ましい上限は0.7GPaである。
【0128】
本発明のカラムスペーサは、その高さをセルギャップより若干高くなるように設計して、ODF法等の従来公知の方法により製造することにより、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制することができる液晶表示素子を得ることができる。
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、又は、本発明のカラムスペーサを用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0129】
本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物は、ポリマー主鎖の少なくとも一方の端末に架橋性官能基を有するビニル系重合体(A)を含有するため、優れた弾性を有し圧縮変形からの高い回復性を有するとともに、柔軟で低弾性率であるカラムスペーサを得ることができる。
従って、本発明によれば、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ及び液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0130】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0131】
(実施例1)
(1)末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体の合成
還流管をつけた1Lのナス型フラスコに、臭化第一銅(5.04g、35.1mmol)、アセトニトリル(100mL)、及び、ペンタメチルジエチレントリアミン(0.20mL)を仕込み、窒素ガスで置換した。アクリル酸−n−ブチル(200g、1.56mol)、及び、ジエチル−2,5−ジブロモアジペート(7.20g、20.0mmol)を添加し、70℃で8時間加熱撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、活性アルミナで処理した。揮発分を減圧下留去し、末端にハロゲンを有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を得た。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により12300、分子量分布は1.20であった。
【0132】
得られた重合体100gに対して、吸着剤5g(キョーワード500SH 0.5重量部/キョーワード700SL 0.5重量部)、トルエン100gを加えて希釈し、100℃で1時間加熱攪拌した後、固形分を濾別し、重合体溶液を濃縮することにより、臭素末端ポリ(アクリル酸−n−ブチル)を得た。更に、得られた重合体100gをN,N−ジメチルアセトアミド100gに溶解し、アクリル酸カリウム2.20g(20.0mmol)、4−ヒドロキシー2,2,6,6―テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン0.01gを加え、70℃で8時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を、120℃にて8時間減圧乾燥し、N,N−ジメチルアセトアミドを留去した後、酢酸エチル100gで希釈し、2%塩酸、ブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発分を減圧下留去することにより、末端にアクリロイル基を有する重合体を単離した。重合体の数平均分子量は14200、分子量分布は1.56であった。また、重合体1分子あたりに導入された平均のアクリロイル基を1H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量により算出したところ、1.62個であった。
【0133】
(2)硬化性樹脂組成物の調製
ビニル系重合体(A)として、(1)で得られた架橋性官能基を有する重合体6.7重量部、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)として、DPCA−120(日本化薬社製)20重量部、光反応性開始剤(C)として、イルガキュアー907(チバスペシャルティケミカルズ社製)3.3重量部及びDETX−S(日本化薬社製)3.3重量部、アルカリ可溶性高分子化合物として、サイクロマーP(ACA)230AA溶液(ダイセル化学社製)50重量部(樹脂固形分40%)、並びに、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル16.7重量部を混合し、カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を調製した。
【0134】
(比較例1)
(1)ビニル系重合体の合成
還流管をつけた1Lのナス型フラスコに、アセトニトリル(100mL)を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、アクリル酸−n−ブチル(200g、1.56mol)、アゾビスバレロニトリル10.0gの混合物を3時間かけて連続的に滴下した。その後、90℃にて3時間重合を継続し、重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により11500、分子量分布は1.97であった。
【0135】
(2)硬化性樹脂組成物の調製
ビニル系重合体(A)として、(1)で得られた重合体を使用した以外は実施例1と同様にし、カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を調整した。
【0136】
(評価)
実施例1、比較例1で得られたカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物について以下の方法により評価を行った。それぞれの結果を表1に示した。
【0137】
(1)カラムスペーサの作製
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、実施例1及び比較例1で得られたカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物をスピンコートによりそれぞれ塗布し、100℃、2分間乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜に、20μm角のドットパターンマスクを介して100mJ/cmの紫外線を照射した後、0.04%KOH溶液により40秒間現像し、純水にて30秒間洗浄してカラムスペーサのパターンを形成した。
その後、220℃、30分のベーキング処理を行った。カラムスペーサの断面積は20μm×20μm(400μm)、高さは3.0μmであった。
【0138】
(カラムスペーサの評価)
温度25℃に調整した室内において、カラムスペーサを10mN/sの荷重印加速度で圧縮し、初期高さHの85%に相当する高さになるまで圧縮した。ここで1mNの荷重を印加した際のカラムスペーサ高さをH、Hの85%に相当するカラムスペーサ高さをH、Hに達した時点での荷重をFとした。
次いで、この荷重Fを5秒間保持し、定荷重での変形を与えた後、10mN/秒の荷重印加速度で負荷を取り除き弾性回復によるカラムスペーサ高さの回復変形を測定した。この間の圧縮変形が最大となった時点のカラムスペーサ高さをHとし、カラムスペーサの変形を回復する過程における1mNの荷重印可時のカラムスペーサ高さをHとした。得られた各値を用いて、下記式(1)及び下記式(2)により15%圧縮時の圧縮弾性係数E及び15%圧縮変形したときの回復率Rを算出した。なお、式(1)中、Eは圧縮弾性係数(Pa)を表し、Fは、荷重(N)を表し、Dは、カラムスペーサの高さ変形率=(H−H)/Hを表し、Sは、カラムスペーサの断面積(m)を表す。
【0139】
E=F/(D×S) (1)
R=(H−H)/(H−H)×100 (2)
【0140】
(2)液晶表示素子の製造
得られたカラムスペーサが形成されたガラス基板上に、シール剤(積水化学工業社製)を長方形の枠を描く様にディスペンサーで塗布した。
続いて、液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴をガラス基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方のガラス基板を重ねあわせてシール部に高圧水銀ランプを用い紫外線を50mW/cmで60秒照射した。
その後、液晶アニールを120℃にて1時間行い熱硬化させ、液晶表示素子を作製した。
【0141】
(液晶表示素子の評価)
液晶表示素子を点灯表示し、セルギャップの均一性を表示画面を目視にて観察して、以下の基準により評価した。
また、液晶表示素子を垂直に立てた状態で、60℃の条件下にて60時間放置した。放置後、クロスニコル間に液晶表示装置を設置し、目視により表示画像を観察し、重力不良の発生について以下の基準により評価した。
更に、液晶表示素子を−20℃の条件下にて24時間放置した。放置後、クロスニコル間に液晶表示装置を設置し、目視により観察し、低温発泡の発生について以下の基準により評価した。
セルギャップの評価
〇:均一
×:色ムラあり
重力不良の評価
〇:均一
×:色ムラあり
低温発泡の評価
〇:発泡なし
×:発泡あり
【0142】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明によれば、低温発泡を生ずることなく、重力不良による色ムラの発生を効果的に抑制できるカラムスペーサを製造することができるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、該カラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなるカラムスペーサ及び液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の架橋構造の一例を示す模式図である。
【図2】従来のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物の架橋構造の一例を示す模式図である。
【図3】カラムスペーサを用いた液晶表示素子の一例の部分断面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0145】
1、1’:ポリマー主鎖
2:液晶
10:カラーフィルター基板
12:ブラックマトリックス
14:カラーフィルター
16:透明導電膜
18:カラムスペーサ
20:アレイ基板
22:画素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示素子のカラムスペーサを製造するために用いるカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物であって、
ビニル系重合体(A)、分子内に2以上の重合性不飽和結合を有する化合物(B)、及び、光反応性開始剤(C)を含有し、
前記ビニル系重合体(A)は、ポリマー主鎖の少なくとも一方の末端に架橋性官能基を有する
ことを特徴とするカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
ビニル系重合体(A)は、(重量平均分子量)/(数平均分子量)で定義される分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項1記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
ビニル系重合体(A)は、ポリマー主鎖の両末端に架橋性官能基を有することを特徴とする請求項1又は2記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
ビニル系重合体(A)は、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
架橋性官能基は、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、シリル基、エポキシ基、及び、重合性不飽和結合を有する基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
架橋性官能基は、重合性不飽和結合を有する基であることを特徴とする請求項5記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とするカラムスペーサ。
【請求項8】
25℃における15%圧縮時の弾性係数が0.2〜1.0GPaであることを特徴とする請求項7記載のカラムスペーサ。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5若しくは6記載のカラムスペーサ用硬化性樹脂組成物、又は、請求項7若しくは8記載のカラムスペーサを用いてなることを特徴とする液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−187916(P2007−187916A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6529(P2006−6529)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】