説明

カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置

【課題】カラーフィルタの平坦性を向上させるための保護膜を設けずとも良好な平坦性を有し、品質、生産性、コスト面で優れたカラーフィルタ、ならびに該カラーフィルタを用いたカラーフィルタ基板、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に設けられたブラックマトリックスと、該ブラックマトリックスの開口部に設けられた着色画素を有するカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dと、着色画素の平坦部の膜厚Dと、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1と、ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2が、 0.5<d/D<0.8かつ0.2<w2/w1<0.8 を満たすことを特徴とするカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ受像機、コンピュータおよび携帯電話端末等に用いられるカラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、近年様々な分野に応用が進んでいる液晶表示装置のカラー化に必要不可欠な部品である。カラーフィルタは、ガラスなどの透明基板上に、赤(R)、緑(G)、青(B)などの着色画素を設けたものである。各着色画素の間には、コントラストを向上させるため、また、液晶表示装置において対向基板上に設けられるTFT素子(薄膜トランジスター)の光による誤動作を防ぐために遮光部(ブラックマトリックス)が設けられるのが一般的である。
【0003】
従来ブラックマトリックスの形成は、蒸着によりクロム等の金属薄膜を形成し、エッチング処理を施すことでパターニングする方式が用いられてきた。しかしながら環境面に及ぼす影響からクロムの使用は好ましくなく、また真空プロセスであることから高コストであり、基板サイズの大型化への対応が困難であるという問題があった。そこで、カーボンブラック等の黒色顔料を分散した感光性樹脂組成物を用い、塗布、露光、現像処理を施すことでブラックマトリックスを形成する方式、すなわち樹脂ブラックマトリックスの採用が一般的になってきている。
【0004】
黒色顔料を用いた樹脂ブラックマトリックスの場合、金属クロムと同様の遮光性を得るためには一般に1.3〜2.0μm程度の膜厚が必要になる。カラーフィルタの製造工程においてブラックマトリックスの開口部に着色画素を形成する際、ブラックマトリックスと着色画素の間に隙間が生じること(いわゆる白抜け)によるコントラストの低下を防ぐため、着色画素は端部においてブラックマトリックスの端部に重なるように配置される。その際にブラックマトリックスが厚膜であると、着色画素と着色画素がブラックマトリックスに重なる部分とで段差が発生し平坦性が損なわれる。こうした場合、液晶表示装置において当該段差近傍の液晶分子の配向に乱れが生じ、光漏れによるコントラスト低下を招く。また、段差が顕著な場合カラーフィルタの表面に設けられるITO(酸化インジウムスズ)などの透明電極層のクラック、さらには液晶表示装置製造のラビング工程における配向膜剥がれといった問題が生じる。
【0005】
カラーフィルタの平坦性を向上させるための施策としては、表面に透明保護膜(オーバーコート層)を設ける方法がある。しかしながら通常のカラーフィルタ製造工程に加えてオーバーコート層を設ける工程が必要になるため、コストアップは避けられない。近年、液晶表示装置に対するコストダウン要求は高まるばかりであり、構成部材もまた同様である。そこで、コストアップ要因となるオーバーコート層を用いずとも、カラーフィルタの平坦性を向上させる必要がある。
【0006】
樹脂ブラックマトリックスを用いたカラーフィルタにおける平坦性の問題は、樹脂ブラックマトリックスの膜厚がクロムなどの金属薄膜を用いたブラックマトリックス(数100nm程度)と比して顕著に厚く、着色画素とほぼ同程度であることに起因する。よって、平坦性を向上させるには着色画素に対してブラックマトリックスを薄膜化することが有効であると考えられる。例えば、特許文献1には着色画素の膜厚をブラックマトリックスの膜厚の2〜5倍にすることにより、透明保護膜を用いることなくカラーフィルタの平坦性を向上させる提案がなされている。
【0007】
上記提案においては、実用上、着色画素の膜厚を2.0μm以上にするか、ブラックマトリックスの膜厚を1.0μm以下にする必要が生じる。しかしながら、着色画素が2.0μm以上であると、該着色画素を形成する際にコート性が問題となり、ムラが発生し液晶表示装置の表示品位低下を招いてしまう。一方、ブラックマトリックスの膜厚を1.0μm以下にすると遮光性不足が問題となる。近年バックライトの高輝度化に伴い、ブラックマトリックスの遮光性は光学濃度(OD値)4.0以上が必要となってきている。ブラックマトリックスを薄膜にしてなおかつ十分な遮光性を保つためには、感光性樹脂組成物中の黒色顔料濃度を上げる必要がある。顔料濃度を上げると感光性樹脂組成物の感度低下、現像溶解性悪化といった生産面での問題が生じ、さらには材料に占める顔料の割合が大きくなるためコストアップにも繋がる。こうした理由から、十分な平坦性を有し、かつ品質、生産性、コスト面いずれも良好なカラーフィルタは得られていないのが現状であった。
【特許文献1】特開2006−98943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる状況を鑑みてなされたものであり、カラーフィルタの平坦性を向上させるための保護膜を設けずとも良好な平坦性を有し、品質、生産性、コスト面で優れたカラーフィルタ、ならびに該カラーフィルタを用いたカラーフィルタ基板、液晶表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、ブラックマトリックスと着色画素の膜厚の相対比ならびにブラックマトリックス端部の傾斜部の幅とブラックマトリックスと着色画素の重なり幅の相対比を最適化することにより、カラーフィルタの平坦性を向上させるための保護膜を用いずとも十分な平坦性を有し、品質、生産性、コスト面で優れたカラーフィルタが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、基板と、基板上に設けられたブラックマトリックスと、該ブラックマトリックスの開口部に設けられた着色画素を有するカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dと、着色画素の平坦部の膜厚Dと、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1と、ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2が、 0.5<d/D<0.8かつ0.2<w2/w1<0.8 を満たすことを特徴とするカラーフィルタである。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dが1.2μm〜2.0μmの範囲であり、前記ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1が3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記ブラックマトリックスの平坦部のOD値(光学濃度)が4.0以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタである。
【0013】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、該カラーフィルタの表面に設けられた透明電極層と、該透明電極層の表面に設けられた配向膜とを具備することを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、該カラーフィルタの表面に設けられた配向膜とを具備することを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0015】
また、本発明の請求項6に係る発明は、請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカラーフィルタは、ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dと、着色画素の平坦部の膜厚Dが0.5<d/D<0.8の関係を満たし、かつブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1と、ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2が0.2<w2/w1<0.8の関係を満たすことを特徴とする。本発明においてはブラックマトリックスを薄膜にする必要がないため、生産性、コスト面で優れた一般的な顔料濃度の感光性樹脂組成物を用いても十分な遮光性が得られる。また、着色画素を厚膜にする必要もないため、製造時にコートムラが発生することもない。また、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅とブラックマトリックスと着色画素の重なり幅を上記の範囲に調整することにより、ブラックマトリックスと着色画素の膜厚比が小さくともブラックマトリックスと着色画素が重なることにより生じる段差を小さくでき、平坦性良好なカラーフィルタを得ることができる。
【0017】
本発明によれば、カラーフィルタの平坦性を向上させるための保護膜を設けずとも良好な平坦性を有し、品質、生産性、コスト面に優れたカラーフィルタを得ることができる。カラーフィルタの平坦性が良好であることから、カラーフィルタ表面に設けられる透明電極層のクラック、液晶表示装置製造のラビング工程における配向膜剥がれといった不具合を防止することができ、液晶の配向不良に起因する光漏れのない、表示特性良好な液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のカラーフィルタの実施の一形態について、以下に詳細に説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一実施形態での構成を断面で説明する模式図である。また図2は、図1のブラックマトリックスと着色画素の重なり部分の断面を拡大した模式図である。
【0019】
図1に示すように、本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、基板1上に設けられたブラックマトリックス2と、該ブラックマトリックスの開口部に設けられた複数の着色画素、例えば赤色層3R、緑色層3G、および青色層3Bを含む。
【0020】
図2に示すように、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1は、ブラックマトリックスの端部が基板と接する点aと、ブラックマトリックスの膜厚が平坦部の膜厚dより小さくなる境界点を含む基板の法線と基板の接点b間の距離で現される。また、ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2は、点aと、着色画素の端部がブラックマトリックスと接する点を含む基板の法線と基板の接点c間の距離で現される。
【0021】
本発明に用いる基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものが好ましい。例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどの各種ガラス基板、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの各種プラスチック基板が挙げられる。
【0022】
本発明のカラーフィルタにおけるブラックマトリックスは、黒色顔料を分散した感光性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法により形成することができる。黒色顔料としてはカーボンブラック、黒鉛、アニリンブラックおよびシアニンブラックなどの有機顔料、酸化チタン、酸化鉄などの無機顔料が挙げられるが、遮光性に優れたカーボンブラックが特に好ましい。
【0023】
ブラックマトリックスの形成に用いる黒色感光性樹脂組成物中の固形分中の顔料濃度としては、35〜50%の範囲が好ましく、より好ましくは40〜45%の範囲である。顔料濃度がこの範囲であれば、感度、現像溶解性良好で、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅が広い感光性樹脂組成物を容易に調整することができる。顔料濃度が低い場合遮光性が不足する。一方、顔料濃度が高い場合は感度低下、現像溶解性の悪化といった不具合が生じ、さらにはブラックマトリックス端部の形状が垂直もしくは逆テーパー形状になりやすくなる。
【0024】
ブラックマトリックスの平坦部の膜厚としては、1.2〜2.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.3〜1.6μmの範囲である。ブラックマトリックスの膜厚がこの範囲であれば、上記黒色感光性樹脂組成物を用い、OD値が4.0〜5.0と金属クロムに匹敵する十分な遮光性を有するブラックマトリックスを形成することができる。膜厚が薄い場合は遮光性が不足する。また、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅が狭くなる。一方、膜厚が厚い場合は着色画素を2.0μm以上の厚膜にする必要が生じ、着色感光性樹脂組成物のコート性が悪化してしまう。
【0025】
ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅としては、3μm以上が好ましく、より好ましくは4μm以上である。上記黒色感光性樹脂組成物を上記膜厚で塗布し、露光工程においてプロキシミティギャップを適宜調整することによりこの条件を満たすことが可能である。傾斜部の幅が狭い場合はブラックマトリックスと着色画素の重なり幅を狭くする必要が生じ、白抜けが発生しやすくなり生産性が低下してしまう。
【0026】
本発明のカラーフィルタにおける着色画素は例えば赤色、緑色、あるいは青色の顔料を分散した感光性樹脂組成物を用い、ブラックマトリックスの場合と同様にフォトリソグラフィー法により形成することができる。各着色顔料としては、従来のカラーフィルタ製造に使用されている公知のものをいずれも用いることが出来る。また、カラーフィルタの分光調整のために、複数の顔料を組み合わせて用いることもできる。
【0027】
着色画素の平坦部の膜厚としては、1.5〜2.5μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.6〜2.0μmの範囲である。着色画素の膜厚がこの範囲であれば、ブラックマトリックスの膜厚が上記の範囲であるとき、ブラックマトリックスの膜厚dと着色画素の平坦部の膜厚Dの間に十分な平坦性を得るために必要な0.5<d/D<0.8の関係が成り立つ。膜厚が薄い場合はブラックマトリックスの薄膜化が必要となり遮光性が不足する。一方、膜厚が厚い場合は着色感光性樹脂組成物のコート性が悪化してしまう。
【0028】
ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅としては、1.0〜5.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0μmの範囲である。重なり幅がこの範囲であれば、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅が上記の範囲であるとき、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1とブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2の間に十分な平坦性を得るために必要な0.2<w2/w1<0.8の関係が成り立つ。重なり幅が狭い場合、白抜けが発生する可能性が高まり生産性が低下する。重なり幅が広い場合、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅に対する要求を満たすのが困難になる。
【0029】
図3は、本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態を断面で表す模式図である。
【0030】
図3に示すように、このカラーフィルタ基板20は、基板1、基板1上に設けられたブラックマトリックス2、ブラックマトリックスの開口部に設けられた着色層3R、3G、3Bとを有するカラーフィルタ10と、このカラーフィルタ10表面に設けられた透明電
極層4と、この透明電極層4表面に設けられた配向膜5とを有する。
【0031】
図4は、本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態の別の一例を断面で表す模式図である。
【0032】
図4に示すように、このカラーフィルタ基板30は、カラーフィルタ10と配向膜5との間に透明電極層を設けないこと以外は、図3に示すカラーフィルタ基板と同様の構成を有する。
【0033】
次に、本発明の液晶表示装置は、上記いずれかのカラーフィルタ基板と、カラーフィルタ基板に対向して設けられた対向基板と、カラーフィルタ基板および対向基板間に充填された液晶とを具備する。
【0034】
図5は、本発明の液晶表示装置の一実施形態として、図3に示すカラーフィルタ基板と同様の構成を有するカラーフィルタ基板を用いたTN(ツイステッドネマチック)方式の液晶表示装置の構成を断面で表す模式図である。
【0035】
この液晶表示装置60は、カラーフィルタ基板20と、カラーフィルタ基板20に対向して設けられ、透明電極4に対向して、基板に垂直な向きに電界をかける電極を備えた対向基板40と、カラーフィルタ基板20および対向基板40間に充填された液晶11とを具備する。カラーフィルタ基板20および対向基板40の液晶セルと反対側の主面には、例えばポリビニルアルコールにヨウ素錯体を延伸したTAC(トリアセチルセルロース)フィルム等からなる偏光板6が設けられている。
【0036】
また、この対向基板40は、基板7と、基板7上に設けられた画素電極12と、対向電極12を覆って設けられた配向膜15とを有する。液晶11は、対向基板40の配向膜15と、カラーフィルタ基板20の配向膜5の間に充填される。
【0037】
この液晶表示装置は、カラーフィルタの平坦性が良好であるため、ラビング工程における配向膜剥がれがなく、液晶の配向不良に起因する光漏れが発生することもないため良好な表示特性を示す。
【0038】
図6は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の別の一例として、図4に示すカラーフィルタ基板と同様の構成を有するカラーフィルタ基板を用いた横電界方式の液晶表示装置の構成を断面で表す模式図である。
【0039】
この液晶表示装置70は、カラーフィルタ基板30と、カラーフィルタ基板30に対向して設けられ、基板に平行な向きに電界をかける電極を備えた対向基板50、カラーフィルタ基板30と対向基板50の間に充填された液晶21とを具備する。カラーフィルタ基板30および対向基板50の液晶セルと反対側の主面には、例えばポリビニルアルコールにヨウ素錯体を延伸したTAC(トリアセチルセルロース)フィルム等からなる偏光板6が設けられている。
【0040】
また、この対向基板50は、基板8と、基板8上に設けられた共通電極13と、共通電極13を覆って設けられた絶縁層14と、絶縁層14上に設けられた画素電極22とを有する。液晶21は、画素電極22が設けられた絶縁層14とカラーフィルタ基板30の配向膜5との間に配置される。
【0041】
この液晶表示装置は、カラーフィルタの平坦性が良好であるため、ラビング工程における配向膜剥がれがなく、液晶の配向不良に起因する光漏れが発生することもないため良好
な表示特性を示す。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0043】
<実施例1>
(黒色感光性樹脂組成物BM1の調製)
下記の材料を混合攪拌して黒色感光性樹脂組成物BM1(固形分中の顔料濃度:41.0%)を得た。
黒色顔料分散液:ABK−2016(御国色素社製) 28.75重量部
樹脂:V259−ME(固形分56.1重量%、新日鐵化学社製) 9.35重量部
モノマー:M450(東亞合成社製) 1.36重量部
開始剤:OXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.33重量部
開始剤:Irgacure369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.33重量部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 53.00重量部
溶剤:エチル−3−エトキシプロピオネート 5.88重量部
レベリング剤:BYK−330(ビックケミー社製) 1.00重量部
(ブラックマトリックスの形成)
上記黒色感光性樹脂組成物BM1を、焼成後の膜厚が1.3μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、所定のパターンを有するフォトマスク(開口20μm)を介し、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量100mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した。
【0044】
(赤色顔料分散液の調製)
C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッドB−CF」)18重量部、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)2重量部、アクリルワニス(固形分20重量%)108重量部を混合し、均一に攪拌した後、ガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散し、5.0μmフィルターでろ過して赤色顔料分散液を調製した。
【0045】
(緑色顔料分散液の調製)
C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK6」)16重量部、C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエローY−5688」)8重量部、アクリルワニス(固形分20重量%)102重量部を混合し、赤色顔料分散液と同様にして緑色顔料分散液を調製した。
【0046】
(青色顔料分散液の調製)
C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造社製「リアノールブルーES」)50重量部、C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「バリオゲンバイオレット5890」)2重量部、分散剤(ゼネカ社製「ソルスバース20000」)6重量部、アクリルワニス(固形分20重量%)200重量部を混合し、赤色顔料分散液と同様にして青色顔料分散液を調製した。
【0047】
(赤色感光性樹脂組成物の調製)
下記の材料を均一になるように混合攪拌した後、5μmのフィルターでろ過して赤色感光
性樹脂組成物を得た。
赤色顔料分散液: 150重量部
モノマー:TMP3A(大阪有機化学工業社製) 13重量部
開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
4重量部
増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 2重量部
溶剤:シクロヘキサノン 257重量部
緑色感光性樹脂組成物の調製)
下記の材料を均一になるように混合攪拌した後、5μmのフィルターでろ過して緑色感光性樹脂組成物を得た。
緑色顔料分散液 126重量部
モノマー:TMP3A(大阪有機化学工業社製) 14重量部
開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
4重量部
増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 2重量部
溶剤:シクロヘキサノン 257重量部
(青色感光性樹脂組成物の調製)
下記の材料を均一になるように混合攪拌した後、5μmのフィルターでろ過して青色感光性樹脂組成物を得た。
青色顔料分散液 258重量部
モノマー:TMP3A(大阪有機化学工業社製) 19重量部
開始剤:Irgacure907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
4重量部
増感剤:EAB−F(保土ヶ谷化学社製) 2重量部
溶剤:シクロヘキサノン 214重量部
(着色画素の形成)
ブラックマトリックスを形成したガラス基板に、赤色感光性樹脂組成物を焼成後の膜厚が1.7μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、画素部形成用のマスクを用い、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量200mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で30分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した基板上に赤色画素を形成した。同様にして、前途の赤色画素と隣接した位置に緑色画素を形成した。さらに同様にしてストライプ状の青色画素を形成し、ブラックマトリックスと赤色、緑色、青色の画素部を有するカラーフィルタを作製した。
【0048】
(透明電極層、配向膜の形成)
得られたカラーフィルタの表面にスパッタリング法によりITO膜を形成した。ITOの膜厚は140nm、表面抵抗は15Ω/□であった。続いて、ITO膜を形成したカラーフィルタ基板上に、配向膜材料(日産化学社製「SE−1410」)を焼成後の膜厚が70nmとなるように塗布し、220℃、30分の焼成を行い、カラーフィルタ上にITO膜ならびに配向膜を有するカラーフィルタ基板を作製した。
【0049】
(ラビング処理/配向膜剥がれ評価)
配向膜を塗布、焼成した後のカラーフィルタ基板を、ラビング装置にて押し込み量0.3mm、ロール回転数1800rpm、ステージ移動速度22.5mm/sの条件にて2回のラビングを行い、ラビング後の配向膜表面状態を観察し、配向膜剥がれについて評価を行った。配向膜剥がれが全く観察されなかったものを○、配向膜剥がれが観察されたものを×とした。
【0050】
(液晶表示装置の作製)
上記カラーフィルタ基板の外周にスペーサー粒子(直径3.5μm)を混入したアクリルエポキシ系接着剤をシール塗布装置にて塗布し、基板中央にフッ素系のネマティック液晶を滴下した。このカラーフィルタ基板とTFTアレイ、画素電極、配向膜を形成してラビング処理を施した対向基板をそれぞれのラビング方向が90°になるように真空貼合せ装置に入れ、カラーフィルタ基板と対向基板を貼り合せた。貼り合せ後、UV照射し、さらに120℃1時間で焼成して、シール剤の硬化ならびに液晶の再配向処理を行った。さらに、カラーフィルタ基板、対向基板の表面に偏光軸が直交するよう偏光板を貼り合わせ、液晶セルを作製した。この液晶セルとバックライトユニットを組合せ、液晶表示装置を作製した。
【0051】
(光漏れ評価)
得られた液晶表示装置を黒表示させ、カラーフィルタの着色画素外周から漏れてくる光の量を目視観察した。光り漏れが全く観察されなかったものを○、光り漏れが観察されたものを×とした。
【0052】
<実施例2>
着色画素の膜厚を2.0μmにすること以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
【0053】
<実施例3>
着色画素の形成条件(露光・現像)以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
(着色画素部の形成(2))
ブラックマトリックスを形成したガラス基板に、赤色感光性樹脂組成物を焼成後の膜厚が1.7μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、画素部形成用のマスクを用い、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量180mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で70秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で30分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した基板上に赤色画素を形成した。同様にして、前途の赤色画素と隣接した位置に緑色画素を形成した。さらに同様にしてストライプ状の青色画素を形成し、ブラックマトリックスと赤色、緑色、青色の画素部を有するカラーフィルタを作製した。
【0054】
<実施例4>
ブラックマトリックスの膜厚を1.6μmにすること以外は実施例2と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
【0055】
<実施例5>
黒色感光性樹脂組成物の配合と、ブラックマトリックスの形成条件(露光・現像)以外は実施例2と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
(黒色感光性樹脂組成物BM2の調製)
下記の材料を混合攪拌して黒色感光性樹脂組成物BM2(固形分中の顔料濃度:45.0%)を得た。
黒色顔料分散液:ABK−2016(御国色素社製) 31.55重量部
樹脂:V259−ME(固形分56.1重量%、新日鐵化学社製) 8.63重量部
モノマー:M450(東亞合成社製) 1.26重量部
開始剤:OXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.31重量部
開始剤:Irgacure369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.31重量部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 51.25重量部
溶剤:エチル−3−エトキシプロピオネート 5.69重量部
レベリング剤:BYK−330(ビックケミー社製) 1.00重量部
(ブラックマトリックスの形成(2))
上記黒色感光性樹脂組成物BM2を、焼成後の膜厚が1.45μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、所定のパターンを有するフォトマスク(開口20μm)を介し、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量120mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した。
【0056】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0057】
<比較例1>
着色画素の焼成後の膜厚を1.3μmにすること以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
【0058】
<比較例2>
着色画素の形成条件(露光・現像)以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。(着色画素部の形成(3))
ブラックマトリックスを形成したガラス基板に赤色感光性樹脂組成物を焼成後の膜厚が1.7μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、画素部形成用のマスクを用い、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量250mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で45秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で30分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した基板上に赤色画素を形成した。同様にして、前途の赤色画素と隣接した位置に緑色画素を形成した。さらに同様にしてストライプ状の青色画素を形成し、ブラックマトリックスと赤色、緑色、青色の画素部を有するカラーフィルタを作製した。
【0059】
<比較例3>
黒色感光性樹脂組成物の配合とブラックマトリックスの形成条件(露光・現像)以外は実施例1と同様にして、カラーフィルタ、カラーフィルタ基板ならびに液晶表示装置を作製し、配向膜剥がれ評価、光漏れ評価を行った。
(黒色感光性樹脂組成物BM3の調製)
下記の材料を混合攪拌して黒色感光性樹脂組成物BM3(固形分中の顔料濃度:53.0%)を得た。
黒色顔料分散液:ABK−2016(御国色素社製) 37.15重量部
樹脂:V259−ME(固形分56.1重量%、新日鐵化学社製) 7.19重量部
モノマー:M450(東亞合成社製) 1.05重量部
開始剤:OXE−02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.26重量部
開始剤:Irgacure369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.26重量部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 47.79重量部
溶剤:エチル−3−エトキシプロピオネート 5.31重量部
レベリング剤BYK−330(ビックケミー社製) 1.00重量部
(ブラックマトリックスの形成(3))
上記黒色感光性樹脂組成物を焼成後の膜厚が1.26μmになるように塗布して乾燥させた。この塗膜を90℃で5分間加熱した後、所定のパターンを有するフォトマスク(開口20μm)を介し、光源に超高圧水銀光灯ランプを用いて露光した(露光量120mJ/cm2)。次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した。
【0060】
表1に、実施例1〜5ならびに比較例1〜3のそれぞれについて、ブラックマトリックスの平坦部の膜厚d、着色画素の平坦部の膜厚D、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1、ブラックマトリックスと着色層の重なり幅w2ならびにブラックマトリックスのOD値を示し、その配向膜剥がれならびに光漏れ評価の結果を示す。
【0061】
【表1】

<比較結果>
表1に示すとおり、0.5<d/D<0.8かつ0.2<w2/w1<0.8の関係を満たす実施例1〜5はいずれも配向膜剥がれ、光漏れは認められなかった。一方、上記条件を満たしていない比較例1〜3は配向膜剥がれ、光漏れのいずれかあるいは双方が認められた。
【0062】
本発明のカラーフィルタを用いることにより、ラビング工程における配向膜剥がれがなく、液晶の配向不良に起因する光漏れの発生することのない表示特性良好な液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のカラーフィルタの一実施形態での構成を断面で説明する模式図。
【図2】図1のブラックマトリックスと着色画素の重なり部分の断面を拡大した模式図。
【図3】本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態を断面で表す模式図。
【図4】本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態の別の一例を断面で表す模式図。
【図5】本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成を断面で表す模式図。
【図6】本発明の液晶表示装置の一実施形態の別の一例の構成を断面で表す模式図。
【符号の説明】
【0064】
1、7、8・・・基板 2・・・ブラックマトリックス
3、3R、3G、3B・・・着色層 4・・・透明電極 5、15・・・配向膜6・・・偏光板 10・・・カラーフィルタ 11、21・・・液晶
12、22・・・画素電極 13・・・共通電極 14・・・絶縁層
20、30・・・カラーフィルタ基板 40、50・・・対向基板
60、70・・・液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に設けられたブラックマトリックスと、該ブラックマトリックスの開口部に設けられた着色画素を有するカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dと、着色画素の平坦部の膜厚Dと、ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1と、ブラックマトリックスと着色画素の重なり幅w2が、
0.5<d/D<0.8かつ0.2<w2/w1<0.8
を満たすことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記ブラックマトリックスの平坦部の膜厚dが1.2μm〜2.0μmの範囲であり、前記ブラックマトリックス端部の傾斜部の幅w1が3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記ブラックマトリックスの平坦部のOD値(光学濃度)が4.0以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、該カラーフィルタの表面に設けられた透明電極層と、該透明電極層の表面に設けられた配向膜とを具備することを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、該カラーフィルタの表面に設けられた配向膜とを具備することを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項6】
請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−169058(P2009−169058A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6627(P2008−6627)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】