説明

カラーフィルタに用いられる青色印刷インク

【課題】ディスプレイのための青色インクが提供される。
【解決手段】一形態において、青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。他の形態において、青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上の紫色色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。また、インクジェットにより基板上に青色インクを分配することを含むディスプレイの形成方法、及び青色インクを含むディスプレイが提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の形態は一般にフラットパネルディスプレイに係り、特にフラットパネルディスプレイに用いられるカラーフィルタを形成するための組成物及び方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(FPD)は、コンピュータ、テレビ、携帯電話や個人情報端末のようなパーソナル電子デバイスに有利なディスプレイ技術になっている。液晶ディスプレイ(LCD)は商業的に入手可能なFPDの好ましいタイプである。LCDの基板上に配置されたカラーフィルタに光を透過させることにより、液晶ディスプレイに異なる色が得られる。カラーフィルタはピクセルを含み、各々のピクセルは3色、典型的には青色、緑色及び青色を含む。ピクセルの各々の色はサブピクセルであると考えられる。典型的には、各々のサブピクセルはサブピクセル間に不透明領域を形成するブラックマトリクス材料により包囲され、これによってLCDの薄膜トランジスタ(TFT)における光漏れを防止する。図1は、カラーフィルタ10の2つの隣接するピクセル1、2の上面図である。ピクセル1はサブピクセル3、4、5を含み、ピクセル2はサブピクセル6、7、8を含む。ブラックマトリクス材料9は各々のサブピクセル3、4、5、6、7、8を包囲し、これらを分離する。図2は、ブラックマトリクス材料9及びピクセル1、2(図1に図示)が形成された基板12を示すカラーフィルタ10の側面断面図である。サブピクセル3、4、5には、各々、3つの異なる色のインク14、16、18が充填されている。
【0003】
染色、リソグラフィー及び電気堆積のような従来のカラーフィルタ製造方法は、3色を順番に導入する必要がある。即ち、1色を有するピクセルの第1セットが一連の工程により製造され、その後このプロセスが2回繰返され、3色が塗布される。このプロセスに含まれる一連の工程には、塗布された液体色素が固体の恒久的な形態に変換される少なくとも1の硬化段階を含む。従って、このような伝統的なカラーフィルタの製造方法はかなりの時間を必要とすることがある。また、伝統的なカラーフィルタ製造方法は高価な材料を必要とし、生産性が低く、これによってカラーフィルタの製造コストを更に増大させる。また、各々の色素は、分離された装置のラインにより処理されるので、このような伝統的方法の装置のコストは高い。実際、LDCのカラーフィルタの製造コストは、LDCの総製造コストの20%になることがある。
【0004】
3色を同時に塗布することが可能で、カラーフィルタの製造コストを低減するインクジェットシステムを用いた方法が開発されている。インクジェットシステムは、異なる色を異なるノズルを介して基板上のパターン化されたブラックマトリクスにより形成されるサブピクセルに注入するために用いることができる。
【0005】
LCDのカラーフィルタを製造するためのインクジェットシステムの開発は、インクジェットを阻害することなくインクジェットにより分配可能であり、即ち良好なジェット適合性を有し、インクジェットの間に劣化することがないインクの需要を作り出した。特に、インクジェット法の前、間及び後に物理的及び化学的に安定であり、コンピュータ、テレビモニター及びディスプレイを含む他のデバイスのカラーフィルタ仕様に合致する色度を有するインクの需要が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、フラットパネルデバイスのディスプレイを形成するための組成物及び方法を提供する。一実施形態において、インクジェット法によりディスプレイを形成するための青色インクは、1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。更に、青色インクは1又はそれ以上の紫色色素を含むことができる。
【0007】
更なる実施態様において、青色インクは、1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上の紫色色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒と、浸潤剤、接着促進剤、消泡剤、皮張り防止剤及びこれらの組合せから成る群から選択される1又はそれ以上の添加剤を含み、1又はそれ以上の紫色有機色素の総wt%に対する1又はそれ以上の青色有機色素の総wt%の比は、約30:1〜約10:1である。更に、青色インクは1又はそれ以上のオリゴマーを含むことができる。
【0008】
他の実施形態において、ディスプレイを形成する方法が提供され、この方法はインクジェット印刷装置により基板上に青色インクを分配することを含み、青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。また、青色インクは1又はそれ以上の紫色色素を含むことができる。
【0009】
更なる実施形態において、ディスプレイが提供され、ディスプレイはインクジェット印刷装置により基板上に青色インクを分配することにより形成され、青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。また、青色インクは1又はそれ以上の紫色色素を含むことができる。
【詳細な説明】
【0010】
本発明は、一般に、フラットパネルディスプレイのための青色インクを提供する。例えば、青色インクは、LCDのカラーフィルタの一部として、又は有機発光ダイオードディスプレイの色をフィルターリングするために用いることができる。また、基板上に青色インクを分配することを含むカラーフィルタの形成方法が提供される。青色インクはインクジェット印刷装置により分配される。
【0011】
一実施形態において、インクが分配される基板、即ちカラーフィルタのための基板は、ガラスのように高い光学的透明性を有する材料で形成されることができる。図1及び図2に示されるように、基板は、その上にパターン化されたブラックマトリクスを有している。ブラックマトリクス材料は、例えば、フォトレジストを含むブラックマトリクス樹脂、又は酸化クロムベースのブラックマトリクス材料であってもよい。追加的に、基板はインクの堆積前に表面活性物質等により前処理してもよく、これによって基板上でのインクの広がりを強化し、基板上のインクの好ましい表面プロファイルを強化することができる。
【0012】
一実施形態において、青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、1又はそれ以上のモノマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の有機溶媒を含む。青色インクは、約30wt%より少ない、例えば、約5wt%〜約30wt%の1又はそれ以上の青色有機色素と、約30wt%より少ない、例えば、約5wt%〜約30wt%の1又はそれ以上のモノマーと、約5wt%〜約15wt%の1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、約40wt%〜約70wt%の1又はそれ以上の有機溶媒を含む。追加的に、青色インクは、約15%より少ない1又はそれ以上のオリゴマー、例えば約1wt%〜約15wt%のオリゴマーを含むことができる。また、青色インクは1又はそれ以上の添加剤を含む。1又はそれ以上の添加剤は、浸潤剤、接着促進剤、消泡剤、皮張り防止剤、又はこれらの組合せを含むことができる。青色インク及び追加的な添加剤は以下に詳細に説明される。1又はそれ以上の青色色素と、追加的な1又はそれ以上のオリゴマーと、1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、1又はそれ以上の溶媒は混合され、ホックマイヤー・イクイップメント社(Hockmeyer Equipment
Corporation)から入手可能なミリング装置(例えば、H−2ディスパーザー(H-2 Disperser)、HVRディスパーザー(HVR
Disperser)、HV−HVIディスパーザー(HV-HVI
Disperser))のようなミリング装置を用い、約3000rpm〜約7000rpmのような高速でミリングされ、安定した青色ナノ粒子色素分散剤を形成することができる。その後、青色色素分散剤と、1又はそれ以上のモノマーと、追加的な添加剤は混合され、例えば120Wで40s/100mlで超音波処理され、高い色素ローディングを有する青色インクを形成する。
【0013】
1又はそれ以上の青色有機色素は、ファーストゲン・ブルーEP7S(Fastogen Blue EP7S)及びファーストゲン・ブルーAE−8(Fastogen Blue AE-8)のようなPB15:6(カラーインデクスにおける色素青色番号15:6)色素であってもよい。青色有機色素は200nmより小さな、例えば約30nm〜約200nmの平均粒子サイズを有することができる。1又はそれ以上の青色有機色素の総色素ローティング(色素により提供されるインクの重量パーセント)は30wt%より小さく、例えば約5wt%〜約30wt%である。
【0014】
好ましくは、インクは1又はそれ以上の青色有機色素に加え、1又はそれ以上の紫色色素を含み、1又はそれ以上の青色有機色素と1又はそれ以上の紫色色素の総色素ローディングは30wt%より小さく、例えば約5wt%〜約30wt%である。1又はそれ以上の紫色色素の色素ローディングは約10wt%より小さく、例えば約0.5wt%〜約10wt%であってもよい。PV23は使用することができる紫色色素の例である。PV23色素の例は、ホスタパーム・バイオレットP−RL(Hostaperm Violet
P-RL)、ホスタパーム・バイオレットRL02(Hostaperm Violet RL02)、ホスタパーム・バイオレットRL−NF(Hostaperm Violet RL-NF)、ホスタパーム・バイオレットBL(Hostaperm Violet
BL)、ホスタパーム・バイオレットGT(Hostaperm Violet GT)、ホスタパーム・バイオレットGM(Hostaperm Violet GM)、ホスタパーム・バイオレットGL(Hostaperm Violet
GL)、ファーストゲン・スーパー・バイオレットRNS(Fastogen Super
Violet RNS)、ファーストゲン・スーパー・バイオレットRKVS(Fastogen Super
Violet RKVS)である。一態様において、インクにおける紫色色素に対する青色色素の量の比は約30:1〜約10:1である。
【0015】
本明細書で説明される青色及び紫色色素の組合せにより、テレビ及びコンピュータLCDのカラーフィルタに好ましい色度を有する青色インクが形成されると考えられる。本明細書で記載される青色及び紫色色素の組合せを用いた本発明の実施形態によれば、x=0.130、y=0.070及びY=6.00からx=0.148、y=0.100及びY=9.80(x及びyはCIE色度図の色座標であり、Yは輝度測定値である。)の色度を有するインクが得られた。
【0016】
1又はそれ以上のモノマーは、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンタールグリコールジアクリレート(2 PO
NPGDA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)のようなジアクリレートエステル又はアクリル酸エステルであってもよい。1,6−ヘキサジオールジアクリレートはサートマー・ケミカル(Sartomer Chemical)社よりSR238の商品名で入手可能であり、DPHAは日本化薬株式会社より入手可能である。1又はそれ以上のモノマーは、SR399LVのようなジペンタエリスリトールペンタアクリレートであってもよい。モノマーはモノ、バイ又はマルチファンクショナルであってもよい。
【0017】
1又はそれ以上のオリゴマーは、芳香族モノアクリレートオリゴマー、脂肪族ジアクリレートオリゴマー、脂肪族トリアクリレートオリゴマー、又はポリエステルアクリレートオリゴマーであってもよい。使用することができるポリエステルアクリレートオリゴマーの一例は、サートマー・ケミカル社より入手可能なCN2279である。1又はそれ以上のモノマーと追加的な1又はそれ以上のオリゴマーは、特定種類のエネルギーを適用することにより重合し、色素が分散されたマトリクスを提供する。
【0018】
ポリマー性分散剤は、色素アンカリング基が連結されたポリマー性骨格を含み、これによってインク内で色素を安定化し、色素の凝集と沈降を最小化する。ポリマー性分散剤はポリマー性アミド、ポリエステル、ポリアクリル酸ポリマー、アクリル酸/マレイン酸共重合体又はこれらの組合せであってもよい。ポリマー性分散剤は、インク内で色素の均一な分散を強化することにより、カラーフィルタの色の均一性と物理的均一性を向上すると考えられている。1又はそれ以上のポリマー性分散剤は、ソルスパース34750(Solsperse 34750)、ソルスパース5000(Solsperse 5000)、ソルスパース22000(Solsperse 22000)を含み、これらはルーブリゾール(Lubrizol)社より入手可能である。また、1又はそれ以上のポリマー性分散剤はグリセロールモノオレートを含むことができ、これはアビテック社(Abitec Corporation)よりキャプムル(商標名)GMO−50(Capmul GMO-50)として入手可能である。EFKA(商標名)7496はポリマー性分散剤として用いることができるブロック共重合体である。
【0019】
1又はそれ以上の有機溶媒は、インクの他の成分を溶解し、例えばインクジェットノズルを介してインクジェット印刷装置により分配されることができる流動可能なインクを提供する。また、1又はそれ以上の有機溶媒は、インクの粘度及び表面張力を調整する。本発明の実施形態の青色インクは、低い粘度、例えば、ブルックフィールドDV−III+プロ・ビスコメータ(Brookfield DV-III+ Pro Viscometer)で測定すると、100rpm、20.0℃において、約5cPs(センチポアズ)〜約25cPs、好ましくは約8cPs(センチポアズ)〜約20cPsの粘度を有する。本発明の実施例に係る青色インクは、キブロン社(Kibron, Inc.)から入手可能な表面張力測定ツールであるアクア・ピー・テンションメーター(AquaPi tensiometer)により測定したところ、20℃で約22mN/m〜約35mN/m、好ましくは約25mN/m〜約30mN/mの表面張力を有することができる。1又はそれ以上の有機溶媒は、メチルプロキシトールアセテート(MPA)、プロピレングリコールジアセテート、ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシプロパノールアセテート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなアセテート、n−アミルプロピオネート又はエチオキシエチルプロピオネートのようなプロピオネート、ブタノールのようなアルコール、n−アミルケトン(2−ヘプタノン)又はこれらの組合せであってもよい。
【0020】
追加的な浸潤剤は基板上でインクの広がりを強化する。使用することができる浸潤剤のタイプの例は、シリコンポリエーテルアクリレート、ポリアミンアミド及びポリエステルを含む。使用できる浸潤剤の一例は、テゴ(商標名)・ラド2200N(TEGO Rad 2200N)である。インクは、約0wt%〜約0.5wt%の浸潤剤を含むことができる。
【0021】
追加的な接着促進剤は基板に対するインクの接着を強化する。接着促進剤は、サートマー(Sartomer)社から入手可能なSR9012のようなトリファンクショナルアクリレートエステル、又はサートマー社から入手可能なSR9008のようなトリファンクショナルメタクリレートエステルであってもよい。使用できる他の接着促進剤は、有機チタン酸塩及びジルコン酸塩を含む。インクは、約1wt%〜約5wt%の接着促進剤を含むことができる。
【0022】
追加的な消泡剤はインク中の泡の存在又は形成を最小化する。消泡剤はアンチフォーミング剤としても作用することができる。消泡剤は泡破壊ポリマー及びポリシロキサンを含む消泡剤のようなシリコン消泡剤であってもよい。使用することができるシリコン消泡剤の一例は、ビックケミー(BYK-Chemie)社から入手可能なBYK(商標名)−088である。インクは、約0.1wt%〜約4.0wt%、好ましくは約0.3wt%〜約1.5wt%の消泡剤を含むことができる。
【0023】
追加的な皮張り防止剤は貯蔵又は使用の際に皮の形成を防止する。皮張り防止剤は、アスシニン(商標名)・アンチ・スキンVP0443(Ascinin Anti Skin
VP 0443)のようなフェノール性又はオキシム性のアンチオキシダント、又はフェノール又はオキシムを含まないアンチオキシダントのようなアンチオキシダントであってもよい。インクは、約0.3wt%〜約8wt%の皮張り防止剤を含むことができる。
【0024】
上述の成分に加え、インクは熱開始剤又は光開始剤のような1又はそれ以上の硬化剤を含むことができる。熱開始剤は熱で硬化されるインクに含まれることができ、光開始剤は例えば紫外光によって光化学的に硬化されるインクに含まれることができる。硬化剤は、インクの硬化を用いる方法によっては、必要とされない場合がある。例えば、電子ビームにより硬化されるインクは別の開始剤を必要としない。
【0025】
インクは1又はそれ以上の熱開始剤を約0.1wt%〜約10wt%含むことができる。用いることができる熱開始剤の例は、アーケマ(Arkema)社より入手可能なルパロックス101(Luperox 101)及びルパロックスDI(Luperox DI)のような有機過酸化物を含む。用いることができる熱開始剤の他の例は、過硫酸化合物、パーエステル、パーカーボネート及びアゾ開始剤を含む。
【0026】
インクは1又はそれ以上の光開始剤を約0.1wt%〜約10wt%含むことができる。使用することができる光開始剤の例は、例えば、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物のようなプロパノン又はフェニルビス開始剤を含む。使用することができるプロパノン又はフェニルビス開始剤の例は、イルガキュア(商標名)1171(Irgacure 1171)、イルガキュア(商標名)1173(Irgacure 1173)、イルガキュア(商標名)379(Irgacure 379)、イルガキュア(商標名)879(Irgacure 879)を含み、これらはチバ(Ciba)社より入手可能である。
【0027】
本発明の実施形態により提供される青色インクを配送するために用いることができるインクジェット印刷装置の一例を図3を参照して以下に説明する。
図3は本発明のフラットパネルディスプレイのカラーフィルタを形成するためのインクジェット印刷装置201の例示的実施形態の斜視図である。図3はステージ310を含むステージ位置決めシステム320の要素を示す。図3に示される実施形態において、ステージ310はY方向に移動し、インクジェット印刷モジュール210のインクジェットヘッド222、224、226はX方向に移動する。他の実施形態において、ステージ310はXとYの両方向に移動することができる。1又はそれ以上のモータを備えたステージ移動装置(図示せず)はステージ310をY軸方向に移動するために用いることができる。また、例示的実施形態において、基板ステージ310は適切なステージ回転装置(図示せず)を用いることにより回転されることができる。ステージ310は回転することができ、これによって、基板330とその上のディスプレイ対象物をインクジェット印刷システム200のインクジェット印刷モジュール210に配置するために基板330を回転及び/又は配向することが可能となり、これらは以下で説明される。
【0028】
ステージ310は処理される基板を支持するために適切なサイズであってよい。例示的実施形態において、装置201及びその構成要素は、例えば、5500cm及びそれ以上の寸法を有する基板を処理することができる。装置201及びその構成要素はいかなるサイズの基板を処理するために設計され、使用されることができる。
【0029】
また、基板210はステージ位置決めシステム320を含み、これは例示的実施形態においては、上部322と複数の脚部325を含むことができる。各々の脚部は空気シリンダ又は他のクッション機構(図示せず)を有し、ステージ310を振動(例えば、装置201が置かれている床)から分離する。また、ステージ位置決めシステム320は、ステージ移動措置(図示せず)の操作を制御するためのコントローラ(図示せず)を含むことができる。図3に示される基板330はいかなる数のディスプレイ対象物335を含むことができる。
【0030】
図3はインクジェット印刷システム200のインクジェット印刷モジュール210及びインクジェット印刷モジュール210が装着されたインクジェット印刷モジュール支持部220を示す。例示的実施形態において、インクジェット印刷モジュール210は、インクジェット位置決め装置(図示せず)によりインクジェット印刷モジュール支持部220に沿って移動可能である。図3の実施態様において、インクジェット印刷モジュール210は3個のインクジェット装置222、224、226を含む。例示的実施形態において、各々のインクジェット装置222、224、226は、用いるカラーシステムに応じて、例えば、赤、緑、青、及び追加的にはクリアインクを分配することができる。例えば、第1インクジェット装置は青色インクを分配することができ、第2インクジェット装置は緑色インクを分配することができ、第3インクジェット装置は青色インクを分配することができる。他の例示的実施形態において、1又はそれ以上のインクジェット装置は同一色のインク又はクリアインクを分配することができる。3個のインクジェット装置を備えるものとして説明されているが、本発明のインクジェット印刷モジュール210及び装置201は、装置201の応用又は使用に応じて、いかなる数のインクジェット装置を用いることもできる。
【0031】
本発明の一実施形態において、インクジェット装置222、224、226の各々は、印刷の間、互いに独立して移動することができる。これは、基板上で1つより多いパネルを印刷する場合に有利である。インクジェット装置222、224、226はインクジェットヘッド(図示せず)と、分離ヘッドインターフェイスボード(図示せず)、高さ調整装置(図示せず)、ヘッド回転アクチュエータ装置(図示せず)及びインク貯蔵器(図示せず)を含むことができる。例えば、インクジェットヘッドは、各々のヘッド回転アクチュエータ装置により回転されることができる。この方法において、基板上のディスプレイ対象物に対しインクジェットヘッドが配向されるピッチ又は角度は、印刷の適用に応じて変更されることができる。各々のインクジェットヘッドは多数のノズルを有することができる。
【0032】
図3を参照して上述されたインクジェット印刷装置は、本発明の実施形態で用いることができるインクジェット印刷装置の一実施形態である。用いることができるインクジェット印刷装置の他の例は、2004年12月22日に出願され、共通して譲渡される米国特許出願第11/019,967号(APPM9521)、発明の名称「独立した横方向の動きが可能であるインクジェットヘッドを有するインクジェットヘッド支持部のための装置及び方法」に記載されており、これは引用により本明細書に一体化される。
【0033】
青色インクがインクジェット装置により基板上に配送された後、青色インクは典型的には硬化される。一実施形態において、青色インクは更に熱イニシエータを含み、基板をベーキングチャンバ内で約120℃〜250℃で約5分〜約20分間加熱することにより、硬化される。他の実施形態において、青色インクは更に光イニシエータを含み、基板を約254nm〜360nmの波長を有するUV照射で約5フィート/分〜約25フィート/分の走査スピードで露光することにより硬化される。インクジェットによりディスプレイを製造するための本発明の実施形態に係る青色インクは、インクジェットの間、物理的及び化学的に安定であり、周囲の条件で蓄えることができる。青色インクは、コンピュータ及びテレビディスプレイに望ましい色度及び高いカラー透明性を有する。
【0034】
本明細書において、青色インクは主としてカラーフィルタとの関係で説明されたが、本明細書の青色インクは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに用いることもできる。例えば、青色インクは、白色発光ダイオードを含むOLEDディスプレイのカラーをフィルタするために用いることができる。
【0035】
本発明の実施形態を更に説明するため、以下の非限定的実施例が提供される。しかしながら、これらの実施例は全て包括的あることを意図するものではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0036】
実施例
フラットパネルディスプレイのカラーフィルタのための青色インクが以下の成分を混合することにより形成され、以下のwt%の成分を有するインクが形成された。5.8wt%のイルガキュア(商標名)1171(光開始剤)、0.7wt%のイルガキュア(商標名)379(光開始剤)、7.6wt%のSR238(モノマー)、7.6wt%のDPHA(モノマー)、2.4%のキャプミュル(商標名)GMO−50(ポリマー性分散剤)、12.2wt%のファーストゲン・ブルーEP7S、2.3wt%のホスタパーム・バイオレットP−RL、0.4wt%のテゴ(商標名)ラド2200N(浸潤剤)、0.48wt%のBYK−088(消泡剤)、2.9wt%のSR9008(接着促進剤)、36.6wt%のMPA(溶媒)、12.2wt%のプロピレングリコールジアセテート(溶媒)、8.4wt%のソルスパース34750(ポリマー性分散剤)、1.05wt%のソルスパース5000(ポリマー性分散剤)。青色インクは、インクジェット印刷装置を用いてフラットパネルディスプレイの基板に配送された。その後、青色インクはUV照射システムにより硬化された。分光光度計により計測したところ、青色インクはx=0.1427、y=0.0897及びY=8.415の色度を有していた。
【0037】
以上は本発明の形態に基づいて説明されてきたが、本発明の他の形態及び更なる形態は本発明の基本範囲から逸脱することなく想起され、その範囲は請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の上述された構成がより詳細に理解されるように、上記に要約された本発明のより具体的な説明が実施形態を参照して行われ、実施形態のいくつかは添付図面に示される。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを説明するものであり、従って、その範囲を制限すると解釈されるべきではなく、本発明は同等に効果的な他の実施形態を含むことができる。
【0039】
【図1】従来技術に係る3個のサブピクセルを含む2個のピクセルの上面図である。
【図2】従来技術に係る図1のピクセルの側方断面図である。
【図3】本発明の実施形態を用いることができるインクジェット印刷装置の一例の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又はそれ以上の青色有機色素と、
1又はそれ以上のモノマーと、
1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、
1又はそれ以上の有機溶媒を含む青色インク。
【請求項2】
1又はそれ以上の紫色色素を含む請求項1記載の青色インク。
【請求項3】
青色インクは20℃で約5cPs〜約25cPsの粘度を有し、20℃で約22mN/m〜約35mN/mの表面張力を有する請求項2記載の青色インク。
【請求項4】
1又はそれ以上のオリゴマーを含む請求項1記載の青色インク。
【請求項5】
1又はそれ以上のオリゴマーは、芳香族モノアクリレートオリゴマー、脂肪族ジアクリレートオリゴマー、脂肪族トリアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項4記載の青色インク。
【請求項6】
浸潤剤、接着促進剤、消泡剤又は皮張り防止剤を含む請求項1記載の青色インク。
【請求項7】
青色インクはx=0.130、y=0.070、Y=6.00〜x=0.148、y=0.100、Y=9.80の色度を有する請求項1記載の青色インク。
【請求項8】
1又はそれ以上の青色有機色素はPR15:6色素からなる群から選択され、1又はそれ以上のモノマーはジアクリレートエステル、アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びこれらの組合せからなる群から選択され、1又はそれ以上のポリマー性分散剤はポリマー性アミド、ポリエステル、ポリアクリル酸ポリマー、アクリル酸/マレイン酸共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択され、1又はそれ以上の有機溶媒はアセテート、アルコール、プロピオネート、ケトン及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項1記載の青色インク。
【請求項9】
シリコンポリエーテルアクリレート、ポリアミンアミド及びポリエステルからなる群から選択される浸潤剤と、トリファンクショナルアクリレートエステル、トリファンクショナルメタクリレートエステル、有機チタン酸塩及びジルコネートからなる群から選択される接着促進剤と、泡破壊ポリマーとポリシロキサンからなる群から選択される消泡剤と、フェノール性アンチオキシダント、オキシム性アンチオキシダント、フェノール及びオキシムを含まないアンチオキシダント及びこれらの組合せからなる群から選択される皮張り防止剤を含む請求項8記載の青色インク。
【請求項10】
1又はそれ以上の青色有機色素と、
1又はそれ以上の紫色色素を含み、1又はそれ以上の紫色有機色素の総wt%に対する1又はそれ以上の青色有機色素の総wt%の比は約30:1〜約10:1であり、
1又はそれ以上のモノマーと、
1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、
1又はそれ以上の有機溶媒と、
浸潤剤、接着促進剤、消泡剤、皮張り防止剤及びこれらの組合せから成る群から選択される1又はそれ以上の添加剤を含む青色インク。
【請求項11】
1又はそれ以上の青色有機色素と1又はそれ以上の紫色色素の総wt%は約5wt%〜約30wt%であり、青色インクは約5wt%〜約30wt%の1又はそれ以上のモノマーと、約5wt%〜約15wt%の1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、約40wt%〜約70wt%の1又はそれ以上の有機溶媒を含む請求項10記載の青色インク。
【請求項12】
約1wt%〜約15wt%の1又はそれ以上のオリゴマーを含む請求項11記載の青色インク。
【請求項13】
約12wt%の青色有機色素と、約0.9wt%の紫色色素と、約18wt%のモノマーと、約9.5wt%のポリマー性分散剤と、約49wt%の有機溶媒と、約0.4wt%の浸潤剤と、約3wt%の接着促進剤と、約0.5wt%の消泡剤と、約6.5wt%の光開始剤を含む請求項10記載の青色インク。
【請求項14】
インクジェット印刷装置により基板上に青色インクを分配することを含むディスプレイの製造方法であって、
青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、
1又はそれ以上のモノマーと、
1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、
1又はそれ以上の有機溶媒を含む方法。
【請求項15】
青色インクは1又はそれ以上の紫色色素を含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
1又はそれ以上の紫色有機色素の総wt%に対する1又はそれ以上の青色有機色素の総wt%の比は約30:1〜約10:1であり、青色インクは浸潤剤、接着促進剤、消泡剤、アンチスクラッチ剤及びこれらの組合せから成る群から選択される1又はそれ以上の添加剤を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
1又はそれ以上の青色有機色素はPR15:6色素からなる群から選択され、1又はそれ以上のモノマーはジアクリレートエステル、アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びこれらの組合せからなる群から選択され、1又はそれ以上のポリマー性分散剤はポリマー性アミド、ポリエステル、ポリアクリル酸ポリマー、アクリル酸/マレイン酸共重合体及びこれらの組合せからなる群から選択され、1又はそれ以上の有機溶媒はアセテート、プロピオネート、アルコール、ケトン及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項14記載の方法。
【請求項18】
青色インクは、芳香族モノアクリレートオリゴマー、脂肪族ジアクリレートオリゴマー、脂肪族トリアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート及びこれらの組合せからなる群から選択される1又はそれ以上のオリゴマーと、シリコンポリエーテルアクリレート、ポリアミンアミド及びポリエステルからなる群から選択される浸潤剤と、トリファンクショナルアクリレートエステル、トリファンクショナルメタクリレートエステル、有機チタン酸塩及びジルコネートからなる群から選択される接着促進剤と、泡破壊ポリマーとポリシロキサンからなる群から選択される消泡剤と、フェノール性アンチオキシダント、オキシム性アンチオキシダント、フェノール及びオキシムを含まないアンチオキシダント及びこれらの組合せからなる群から選択される皮張り防止剤を含む請求項17記載の方法。
【請求項19】
青色インクは、約12wt%の青色有機色素と、約0.9wt%の紫色色素と、約18wt%のモノマーと、約9.5wt%のポリマー性分散剤と、約49wt%の有機溶媒と、約0.4wt%の浸潤剤と、約3wt%の接着促進剤と、約0.5wt%の消泡剤と、6.5wt%の光開始剤を含む請求項14記載の方法。
【請求項20】
青色インクを基板上に分配した後、青色インクを硬化させることを含む請求項14記載の方法。
【請求項21】
インクジェット印刷装置により基板上に青色インクを分配することを含むプロセスにより製造されるディスプレイであって、
青色インクは1又はそれ以上の青色有機色素と、
1又はそれ以上のモノマーと、
1又はそれ以上のポリマー性分散剤と、
1又はそれ以上の有機溶媒を含むディスプレイ。
【請求項22】
青色インクは1又はそれ以上の紫色色素を含む請求項21記載のディスプレイ。
【請求項23】
1又はそれ以上の紫色有機色素の総wt%に対する1又はそれ以上の青色有機色素の総wt%の比は約30:1〜約10:1であり、青色インクは1又はそれ以上のオリゴマーと、浸潤剤、接着促進剤、消泡剤、皮張り防止剤及びこれらの組合せから成る群から選択される1又はそれ以上の添加剤を含む請求項22記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−51278(P2007−51278A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−190501(P2006−190501)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】