説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】異なる4色以上のストライプ状配列の着色層をブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置した着色画素と、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した固定スペーサと、を有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、前記固定スペーサの高さを安定して形成する製造方法を提供する。
【解決手段】固定スペーサ50を配置するブラックマトリクス2上にオーバーラップする特定の着色層を積層PS下地色61とし、積層PS下地色とは異なる色で積層PS下地色の着色画素パターン上に積層配置して固定スペーサを構成する他の複数色を積層PS構成色63、64とし、積層PS下地色と積層PS構成色とを除く着色画素パターンの残余の色を積層PS外部色62とする場合に、積層PS外部色を積層PS構成色の形成より以前に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関するものであり、特に液晶セル形成に積層タイプの固定スペーサを使用する場合の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面型ディスプレイ装置が多く使われるようになってきており、中でもLCD(液晶表示装置)は、特にカラーフィルタによって色表示を行う多色カラータイプがテレビ、モニタ、携帯端末等の表示パネルに利用が進んでいる。多色カラー化のために一般にマイクロセル構造のカラーフィルタが多用され、カラーフィルタは液晶表示パネルの表示品質を決める上で重要な役割を担っている。
【0003】
LCD(液晶表示装置)は少なくとも一枚を光透過性とする一対の基板間に液晶を封入してなるセル構造を有し、前述の多色カラー表示の場合には、光透過性の基板のセル内面にカラーフィルタが形成される。カラーフィルタ10の一般的構成は、図2に示すように、透明基板1の片側(液晶セルの内面となる側)に遮光性のブラックマトリックス2と、ブラックマトリックス2の隙間を規則的に満たすとともにブラックマトリックス2にオーバーラップするカラーフィルタ画素毎の着色画素パターン31、32、33の繰り返し配列が正確な位置合わせで形成される。上記の着色画素パターンは、フォトリソグラフィー法等により、異なる3色で塗り分けられることが多い。一般に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色を基本として、各色の着色層のストライプ状配列がブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置される着色画素を有するカラーフィルタが最も一般的である。
【0004】
また、液晶表示方式により、例えばTN(ねじれネマティック)タイプのアクティブマトリクス駆動の場合は、ブラックマトリックス2と着色画素パターン31、32、33の繰り返し配列を覆うように透明電極層4を形成する。従来は、カラーフィルタとして、ここまでの構成物を指していたが、さらに近年は特に液晶セルの大型化、狭ギャップ化に伴って、セルギャップ制御用に従来はセル化工程で散布していたビーズスペーサに代わり、フォトスペーサ、ポストスペーサなどとも呼ばれる、感光性樹脂により選択的に形成される複数の固定スペーサ(PS部と略称する。以下同様)5を規則的に配することが多い。
【0005】
PS部5は、着色画素パターン上に封入される液晶の配向表示に大きな影響を与えないように、ブラックマトリックス2に重なる位置に、通常は微小な同形状の離散的パターンを選択的に決めた規則的な配置で形成し、液晶セルギャップを保持する機能を有するものである。セルギャップの保持をセル内外の圧力差の元でも弾力的に行うために、PS部のサイズや配置間隔と構成する材料の弾性特性を適宜設計している。また、PS部5は上述のようにカラーフィルタ側に設けることが一般的であるが、カラーフィルタ側にはPS部を設けずに、液晶を封入して液晶セル構造を構成する一方の基板のカラーフィルタとは対向側の他方の基板であるTFT等の画素電極基板のセル内面にPS部を設けることもできる。
【0006】
前記PS部5を形成するにあたり、着色画素パターン形成後に、固定スペーサ用の専用の材料で複数の孤立パターンを別個の工程で作製することは一般に行われており、上記のように材料の弾性特性を最適化する上で優れた面もあるが、フォトリソグラフィー法を繰り返す回数を増すために製造工程が長くなり、製品を高品質に低コストで供給する上で不利になることもある。そのため、材料特性上許容できる範囲内であれば、着色層の形成工程と同時に、着色画素以外に設ける各色の積層パターンをPS部として形成することによ
り、全体の製造工程を短縮する方法も試みられている。即ち、着色画素パターンとPS部とを一括して同時に実現することができる(特許文献1、特許文献2を参照)。この場合は当然、PS部をTFT等の画素電極基板上に設けるのではなく、カラーフィルタ上に設けることになる。なお、カラーフィルタ上にPS部を着色層の積層パターンで形成する場合に、前記透明電極層4が積層PS部の上を覆って液晶セルの対向基板側と電気的な短絡状態を生じることを避けるために、部分的に透明電極層を形成しないための工夫を適宜行うが、詳細な説明は省略し、以後の説明では、透明電極層の工程については除外して説明する。
【0007】
従来のような3色の着色パターンを有するカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックス上に色層を重ねてPS部を形成する積層タイプの固定スペーサを形成する場合には、ブラックマトリックス上のPS部を形成する位置に予めオーバーラップすることを予定していた特定の色を1色目に形成することは当然である。前記オーバーラップ領域に固定スペーサを積層して構成する他の2色の入色順については、2通りの順序の中から品質保持や製造工程の都合等を考慮して選択し、着色画素パターンを形成すると同時にPS部の積層パターンとなる微小パターンを順次形成すれば良いので、2色目、3色目の入色順を特に規定すべき一般的な理由はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−43592号公報
【特許文献2】特開平11−344700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カラーフィルタの着色画素パターンは、上述のように3色の繰り返し配列で形成されることが多かったが、カラーフィルタのさらなる色再現領域の拡大と明度向上を図り、美しく明るいLCDの画像を提供する目的で、近年、4色またはそれ以上の色数を用いる試みも多い。具体的には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に加えて、黄色(Y)を用いる4色の着色画素パターンの例は実用性が高い。
【0010】
前記4色の着色画素パターンを繰り返すカラーフィルタにおいて、ブラックマトリックス上に色層を重ねてPS部を形成する積層タイプの固定スペーサの場合には、ブラックマトリックス上のPS部を形成する位置に予めオーバーラップすることを予定していた特定の色を1色目に形成することがまず考えられる。他の3色の内、2色を、ブラックマトリックスと上記特定の色の1色目とのオーバーラップ領域上に積層するとすれば、上記2色が前記特定の色より後であることは言うまでもないが、上記2色間の入色順について、特に規定すべき一般的な理由はない。しかし、積層PS部の構成に関わらないその他の1色の入色順によって、前記積層形成するPS部の高さに影響を与えることがある。即ち、積層PS部の構成に関わらないその他の1色を最後に形成するような入色順の場合に、積層形成するPS部の高さが低い方向にばらつき易いことが判明した。
【0011】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、透明基板上に、ブラックマトリクスと、異なる4色以上のストライプ状配列の着色層をブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置した着色画素と、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した液晶セル形成用の固定スペーサと、を有するフォトリソグラフィー法による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、前記固定スペーサの高さを安定して形成するためのカラーフィルタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基板上に、ブラックマトリクスと、異なる4色以上のストライプ状配列の着色層をブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置した着色画素と、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した液晶セル形成用の固定スペーサと、を有するフォトリソグラフィー法による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、固定スペーサを配置するブラックマトリクス上にオーバーラップする特定の着色層を積層PS下地色とし、積層PS下地色とは異なる色で積層PS下地色の着色画素パターン上に積層配置して固定スペーサを構成する他の複数色を積層PS構成色とし、積層PS下地色と積層PS構成色とを除く着色画素パターンの残余の色を積層PS外部色とする場合に、積層PS外部色を積層PS構成色の形成より以前に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、着色画素が前記積層PS下地色と隣り合う2色の内に、前記積層PS外部色が含まれることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記異なる色のストライプ状配列が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色からなり、前記積層PS構成色が前記4色中の2色からなることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異なる4色以上のストライプ状配列の着色層を繰り返し平面配置した着色画素と、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した固定スペーサと、を有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、製造工程を長くしないで、前記着色画素と前記固定スペーサとを一括して形成でき、しかも固定スペーサの高さを安定して形成でき、製品を高品質に低コストで供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明により形成したカラーフィルタの一例を説明するための断面模式図である。
【図2】従来のカラーフィルタの代表例を説明するための断面模式図である。
【図3】本発明の製造工程を(a)〜(f)の工程順に説明するための断面模式図である。
【図4】本発明の製造工程とは異なる工程順で製造する場合の断面模式図である。
【図5】底部と凸部の境界段差を有する下地にフォトリソグラフィ法で樹脂パターンを形成する場合の膜厚の傾向を2つのモデルで説明するための断面模式図であって、(1a)、(2a)は樹脂を塗布した工程、(1b)、(2b)は樹脂パターンを形成した工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明により形成したカラーフィルタの一例を説明するための断面模式図である。カラーフィルタ11は、透明基板1の片面にブラックマトリクス2がパターン形成され、異なる4色のストライプ状配列の着色層をブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置した着色画素パターン61、62、63、64がブラックマトリクスの線幅方向のパターン端部をオーバーラップするように形成される。
【0019】
さらに、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した液晶セル形成用の固定スペーサ50が、ブラックマトリクスとその上にオーバーラップした積層PS下地色と名付ける特定の色の着色画素パターン61の辺縁部に乗り上げる形に形成される。積層タイプの固定スペーサ50を構成する色を積層PS構成色と名付けると、積層PS構成色は積層PS下地色とは異なる2色からなり、一つの色で積層PS構成色(1)の着色画素パターン63と積層PS構成パターン(下層)53との2種類のパターンを形成しており、他の一つの色で積層PS構成色(2)の着色画素パターン64と積層PS構成パターン(上層)54との2種類のパターンを形成している。また、異なる4色の内、積層PS下地色と積層PS構成色とを除く着色画素パターンの残余の色を積層PS外部色と名付けると、積層PS外部色は積層PS外部色の着色画素パターン62を形成している。
【0020】
本発明は、上述の例に限定されず、異なる4色以上の着色画素を有するカラーフィルタが、前記4色以上の中の異なる複数色の積層タイプの固定スペーサを有する構造を形成する方法を提案するものであるが、実用的に特に有効な上述の例で説明するために、前記異なる色のストライプ状配列が4色からなり、前記積層PS構成色が前記4色中の2色からなる例について示す。
【0021】
具体的な製造方法として、一般的に利用されているフォトリソグラフィー法による製造方法を用いることができる。即ち、ブラックマトリクスおよび着色画素パターン、ならびに積層PS構成パターンのいずれも、感光性着色樹脂の塗布、パターン露光、現像、ベイクの基本的プロセスの繰り返しにより製造できる。一般に感光性着色樹脂として、アクリル等の透明樹脂に各種着色顔料成分を適度に微細化して混ぜ、光重合開始剤を加えて光硬化性を与えると共に、溶剤成分によりプロセス適性を調整して用いることができる。
【0022】
図3は、本発明の製造工程を(a)〜(f)の工程順に説明するための断面模式図である。(a)透明基板1の片面に黒色顔料を用いてフォトリソグラフィー法で形成したブラックマトリクス2のパターン間隙を埋めるように繰り返し平面配置する着色画素3の1色目として、後に積層タイプの固定スペーサを載せることになるブラックマトリクスとのオーバーラップにかかる位置に、積層PS下地色の着色画素パターン61をフォトリソグラフィー法で形成する。この場合、ブラックマトリクス2との位置合わせを高精度で行うことが重要であり、他の入色工程でも同様であるが、ブラックマトリクス上への着色画素のオーバーラップ量は、ブラックマトリクス線幅の半分以下とする。また、後に形成する積層PS構成パターン(下層)53のサイズ以上のオーバーラップ部分が必要であるが、固定スペーサを形成する領域はブラックマトリクスの通常の線幅部分とは限定されず、液晶セル構造形成時に対向基板の遮光部に対応させる予定のブラックマトリクス上の拡幅部分も採用できるので、本図面では示せない大きなサイズのオーバーラップ部分を局部的に設けることも可能である。
【0023】
具体的に、異なる色のストライプ状配列が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色からなる例においては、黄色顔料を用いて、積層PS下地色の着色画素パターン61を形成することができる。感光性樹脂としてアクリル系樹脂に光重合開始剤を加えて用いることは、他の色と同様に可能である。
【0024】
次に、(b)前記積層PS外部色の着色画素パターン62として、前記積層PS下地色の着色画素パターン61と隣接する位置に、例えば赤色顔料を用いて、着色画素3の2色目のフォトリソグラフィー工程を行う。この場合、ブラックマトリクス上への着色画素のオーバーラップ量は、1色目と同様とすることが望ましい。従って、図示していないが、ブラックマトリクス上で線幅の両側から着色画素パターンのオーバーラップ部分が被さり、線幅の中央に沿ってブラックマトリクスが露出する部分がある程度生じることもある。
【0025】
次に、(c)積層PS構成色(1)の塗布層633を塗布し、(d)積層PS構成色(1)の着色画素パターン63と積層PS構成パターン(下層)53との2種類のパターンを一括して形成する。積層PS構成色(1)の着色画素パターン63と積層PS構成パターン(下層)53として、例えば緑色顔料を用いて、着色画素3の3色目のフォトリソグラフィー工程を行う。
【0026】
さらに、(e)積層PS構成色(2)の塗布層644を塗布し、(f)積層PS構成色(2)の着色画素パターン64と積層PS構成パターン(上層)54との2種類のパターンを一括して形成する。積層PS構成色(2)の着色画素パターン64と積層PS構成パターン(上層)54として、例えば青色顔料を用いて、着色画素3の4色目のフォトリソグラフィー工程を行う。
【0027】
本発明は、上述のように、積層PS外部色を積層PS構成色の形成より以前に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。また、特に、積層PS外部色の着色画素が、前記積層PS下地色と隣り合う2色の内に含まれることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0028】
一方、図4には、本発明の製造工程とは異なる入色順の(a)〜(f)の工程順に製造する場合の断面模式図を比較のために示す。図3の例に示した工程と大きく異なる点は、積層PS外部色の着色画素パターン62の形成を、積層PS構成色の着色画素パターン63、64と積層PS構成パターン53、54をそれぞれ一括形成した後に行うことである。積層PS外部色を積層PS構成色の形成より後の工程で行う入色順とする図4に示す例の場合には、積層PS外部色を積層PS構成色の形成より以前に形成することを特徴とする本発明の図3に示した例の場合と較べて、後述のように、積層形成する固定スペーサの高さが低い方向にばらつき易く、安定した高さに形成できない。
【0029】
(a)透明基板1の片面に黒色顔料を用いてフォトリソグラフィー法で形成したブラックマトリクス2のパターン間隙を埋めるように繰り返し平面配置する着色画素3の1色目として、後に積層タイプの固定スペーサを載せることになるブラックマトリクスとのオーバーラップにかかる位置に、積層PS下地色の着色画素パターン61をフォトリソグラフィー法で形成する。この場合、ブラックマトリクス2との位置合わせを高精度で行うことが重要であり、他の入色工程でも同様であるが、ブラックマトリクス上への着色画素のオーバーラップ量は、ブラックマトリクス線幅の半分以下とする。また、後に形成する積層PS構成パターン(下層)53のサイズ以上のオーバーラップ部分が必要であるが、固定スペーサを形成する領域はブラックマトリクスの通常の線幅部分とは限定されず、液晶セル構造形成時に対向基板の遮光部に対応させる予定のブラックマトリクス上の拡幅部分も採用できるので、本図面では示せない大きなサイズのオーバーラップ部分を局部的に設けることも可能である。
【0030】
具体的に、異なる色のストライプ状配列が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色からなる例においては、黄色顔料を用いて、積層PS下地色の着色画素パターン61を形成することができる。感光性樹脂としてアクリル系樹脂に光重合開始剤を加えて用いることは、他の色と同様に可能である。
【0031】
次に、(b)積層PS構成色(1)の塗布層633を塗布し、(c)積層PS構成色(1)の着色画素パターン63と積層PS構成パターン(下層)53との2種類のパターンを一括して形成する。積層PS構成色(1)の着色画素パターン63と積層PS構成パターン(下層)53として、例えば緑色顔料を用いて、着色画素3の2色目のフォトリソグラフィー工程を行う。
【0032】
次に、(d)積層PS構成色(2)の塗布層644を塗布し、(e)積層PS構成色(2)の着色画素パターン64と積層PS構成パターン(上層)54との2種類のパターンを一括して形成する。積層PS構成色(2)の着色画素パターン64と積層PS構成パターン(上層)54として、例えば青色顔料を用いて、着色画素3の3色目のフォトリソグラフィー工程を行う。
【0033】
さらに、(f)前記積層PS外部色の着色画素パターン62として、前記積層PS下地色の着色画素パターン61と隣接する位置に、例えば赤色顔料を用いて、着色画素3の4色目のフォトリソグラフィー工程を行う。
【0034】
上記2例の製造工程順の差異の意味を明確にするために、2つのモデルを用いて、底部と凸部の境界段差を有する下地にフォトリソグラフィ法で樹脂パターンを塗布形成する一般的な場合の膜厚の傾向を説明する。図5の断面模式図の(1a)、(2a)は樹脂を塗布した工程、(1b)、(2b)は樹脂パターンを形成した工程を示す。
【0035】
(1a)に示す工程中の下地24は、底部Aと凸部Bとが、図のような関係で形成されており、凸部の高さCを有する段差部分を乗り越えるように樹脂塗布層25を形成する。塗布される樹脂の流動性により、また、具体的な塗布方法や塗布条件により、樹脂塗布層の断面形状は変化するが、一般的に下地の段差部分の縁端上の樹脂塗布層の断面形状は、曲線状の傾斜がなだらかになる。上記の樹脂塗布層に対して、フォトリソグラフィー法によりパターン形成し、(1b)に示すように、下地の段差部分の縁端位置と図のような関係の位置に、底部上の形成パターン26と凸部上の微小形成パターン27を作ることができる。
【0036】
(2a)に示す工程中の下地24’は、底部Aと凸部Bとが、(1a)とは異なる関係で形成されており、凸部の高さCを有する段差部分を乗り越えるように樹脂塗布層25’を形成する。塗布される樹脂の流動性により、また、具体的な塗布方法や塗布条件により、樹脂塗布層の断面形状は変化するが、一般的に下地の段差部分の縁端上の樹脂塗布層の断面形状は、曲線状の傾斜がなだらかになる。上記の樹脂塗布層に対して、フォトリソグラフィー法によりパターン形成し、(2b)に示すように、下地の段差部分の縁端位置と図のような関係の位置に、底部上の形成パターン26’と凸部上の微小形成パターン27’を作ることができる。この時、凸部上の微小形成パターン27’は、(1b)に示した凸部上の微小形成パターン27の断面形状とは異なり、下地の段差部分の縁端上の樹脂塗布層の断面形状の影響をそのまま受けて、曲線状の傾斜を有する傾向が顕著となるため、微小形成パターン27’全体としては高さが低い方向にばらつき易く、安定した高さに形成できない。
【0037】
前述の図3(c)〜(d)、(e)〜(f)に示した積層PS構成パターン53、54の形成工程は、積層PS外部色の着色画素パターン62が事前に形成されているため、図5のモデルにおける下地の段差部分の縁端に相当する部分が積層PS構成パターン位置から離れた状態での工程が可能となり、図5(1b)の凸部上の微小形成パターン27と同様に、パターンの断面高さを高く保つ方向に安定した高さを保持することができる。これに対して、前述の図4(b)〜(c)、(d)〜(e)に示した積層PS構成パターン53、54の形成工程は、積層PS外部色の着色画素パターン62が事前に形成されていないため、図5のモデルにおける下地の段差部分の縁端に相当する部分が積層PS構成パターン位置に接近した状態での工程を余儀なくされ、図5(2b)の凸部上の微小形成パターン27’と同様に、パターンの断面高さを低い方向にばらつかせて、安定した高さを形成できない。
【符号の説明】
【0038】
1・・・透明基板
2・・・ブラックマトリクス
3・・・着色画素
4・・・透明電極層
5・・・固定スペーサ(PS部)
10、11・・・カラーフィルタ
24、24’・・・工程中の下地
25、25’・・・樹脂塗布層
26、26’・・・底部上の形成パターン
27、27’・・・凸部上の微小形成パターン
31、32、33・・・着色画素パターン
50・・・固定スペーサ(積層タイプ)
53・・・積層PS構成パターン(下層)
54・・・積層PS構成パターン(上層)
61・・・積層PS下地色の着色画素パターン
62・・・積層PS外部色の着色画素パターン
63・・・積層PS構成色(1)の着色画素パターン
64・・・積層PS構成色(2)の着色画素パターン
633・・・積層PS構成色(1)の塗布層
644・・・積層PS構成色(2)の塗布層
A・・・下地の底部
B・・・下地の凸部
C・・・凸部の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、ブラックマトリクスと、異なる4色以上のストライプ状配列の着色層をブラックマトリクス間隙を埋めるように繰り返し平面配置した着色画素と、複数の着色層を積層した微小パターンを規則的に平面配置した液晶セル形成用の固定スペーサと、を有するフォトリソグラフィー法による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、固定スペーサを配置するブラックマトリクス上にオーバーラップする特定の着色層を積層PS下地色とし、積層PS下地色とは異なる色で積層PS下地色の着色画素パターン上に積層配置して固定スペーサを構成する他の複数色を積層PS構成色とし、積層PS下地色と積層PS構成色とを除く着色画素パターンの残余の色を積層PS外部色とする場合に、積層PS外部色を積層PS構成色の形成より以前に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
着色画素が前記積層PS下地色と隣り合う2色の内に、前記積層PS外部色が含まれることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記異なる色のストライプ状配列が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色からなり、前記積層PS構成色が前記4色中の2色からなることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−3117(P2012−3117A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139227(P2010−139227)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】