説明

カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器

【課題】吐出安定性に優れ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものであって、着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体とを含み、前記樹脂材料として、所定のグラフト共重合体を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用インク、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
【0003】
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造の過程で形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
【0004】
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。しかしながら、インクジェットヘッドを用いたカラーフィルターの製造方法では、長期間液滴吐出を行ったり、連続して液滴吐出を行ったりすると、吐出された液滴の軌道が変化し(いわゆる、飛行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させることができなくなったり、液滴の吐出量が不安定化する等の問題を生じることがあった。このような問題を生じると、液滴を着弾させるべき基板上等において、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまい、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。このような過酷な条件で用いられるため、本来、民生用のものに比べて、液滴の吐出量の変動が生じ易いが、このような吐出量の変動が生じると、製造される多数のカラーフィルター間での特性のばらつきや、カラーフィルターの各部位での着色濃度のばらつきを生じてしまい、製品としてのカラーフィルターの信頼性を著しく低下させてしまう。
【0005】
また、カラーフィルターにおいて、より広い色再現域を確保するために、近年、カラーフィルター用のインクとして、着色剤の含有率の高いものを用いる傾向があるが、着色剤の含有率の高いほど、上記のような問題は、より顕著なものとなる。
また、近年、カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等においては、更なる高画質化を目指し、表示画像の輝度を高くする傾向がある。このような高輝度化に伴い、カラーフィルターには、耐久性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−372613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、吐出安定性に優れ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供すること、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供すること、また、該カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体とを含み、
前記樹脂材料として、下記式(1)で表されるブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位と、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体Cに対応するモノマー単位と、下記式(2)又は下記式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量500以上30000以下のマクロモノマーDに対応するモノマー単位とを有し、前記マクロモノマーDに由来する前記重合体鎖部が枝部を構成しているグラフト共重合体を含むことを特徴とする。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す)
【化2】

(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又はシアノ基を示す。式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
これにより、吐出安定性に優れ、各部位での色むら、濃度むらが抑制され、個体間での特性の均一性に優れ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターの製造に好適に用いることができる、インクジェット方式のカラーフィルター用インクを提供することができる。
【0009】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記グラフト共重合体は、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位、ビニル単量体Bに対応するモノマー単位、ビニル単量体Cに対応するモノマー単位、及びマクロモノマーDに対応するモノマー単位に加えて、下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位を有するものであることが好ましい。
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
これにより、カラーフィルター用インクの低粘度化により吐出安定性をさらに優れたものとしつつ、形成される着色部の耐溶剤性のさらなる向上、形成される着色部の表面の平坦性の向上による表示画像の輝度、コントラストのさらなる向上を図ることができる。
【0010】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記着色剤として、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むことが好ましい。
本発明者は、カラーフィルター用インクにおいて、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を用いることにより、緑色のカラーフィルター用インクに一般的に用いられているC.I.ピグメントグリーン36を用いた場合に比べて、明度、コントラストに優れた緑色の着色部を形成することができることを見出した。しかしながら、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体は、インク中における分散安定性に劣っており、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むカラーフィルター用インクを用いて着色部を形成した場合に、色むら、濃度むら等の発生を、長期間にわたって安定的に防止するのが困難であった。また、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含むカラーフィルター用インクを用いた場合、液滴の吐出安定性を十分に優れたものとすることが困難であった。そこで、鋭意研究を行った結果、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体とともに、前記グラフト共重合体を用いることにより、上記のような問題の発生を十分に防止しつつ、上記のような優れた効果が得られることを見出した。すなわち、前記グラフト共重合体とともに、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を用いることにより顔料の分散安定性の低下による弊害の発生を確実に防止しつつ、形成される着色部の明度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
【0011】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記液性媒体として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましい。
これにより、カラーフィルター用インク中における前記グラフト共重合体の溶解状態をより均一なものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画像のコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合においては、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
【0012】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、前記重合体Mに加え、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることが好ましい。
【化4】

【化5】

【化6】

これにより、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0013】
本発明のカラーフィルター用インクでは、前記樹脂材料は、前記重合体Mに加え、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yとを含むものであることが好ましい。
【化7】

これにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0014】
本発明のカラーフィルターは、本発明のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性にも優れたカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置は、液晶パネルであることが好ましい。
これにより、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性にも優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、コントラスト比、明度に優れた画像を表示することができ、かつ、耐久性にも優れた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図3】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルター用インク》
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、着色剤、樹脂材料、前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体等を含むものである。
【0017】
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
【0018】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体、これらの誘導体等が挙げられる。
【0019】
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものであると、形成されるカラーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。また、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものである場合、従来においては、後に詳述するように、液滴の吐出安定性が低下するという問題が発生し易かったが、本発明では、着色剤として顔料を含む場合であっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【0020】
なお、従来のカラーフィルター用インクにおいては、着色剤として顔料を含む場合、着色剤の分散状態を、長期間にわたって優れたものとするのが困難であり、コントラスト等に優れたカラーフィルターを長期間にわたって、安定的に製造するのが困難であったのに対し、本発明においては、後に詳述するような樹脂材料を用いるため、樹脂材料と着色剤(顔料)との混合安定性を長期間にわたって優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に、コントラスト等に優れたカラーフィルターを製造することができる。また、一旦調製したカラーフィルター用インクを長期間にわたって好適に使用することができるため、カラーフィルター用インクの交換、液滴吐出装置内におけるカラーフィルター用インクの置換の頻度を少なくすることができるため、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターの品質の安定性も向上する。
【0021】
カラーフィルター用インクは、上記の着色剤の中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、後に詳述するグラフト共重合体を用いることによる効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルターの色再現範囲、耐光性を特に優れたものとすることができる。
【0022】
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、樹脂材料と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(6)または下記式(7)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
【0026】
しかしながら、本発明者は、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体を含む場合であっても、後に詳述する樹脂材料(グラフト共重合体)をともに用いることにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0027】
以下、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体について説明する。
ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、中心金属としての亜鉛と、配位子としてのハロゲン化フタロシアニンとを備えている。ハロゲン化フタロシアニンは、フタロシアニンを構成するベンゼン環の少なくとも一部の水素原子が、ハロゲン原子で置換されたものである。ハロゲン化フタロシアニンは、このような条件を満足するものであればいかなるものであってもよいが、下記式(8)で示される化学構造を有するものであるのが好ましい。このような構造のハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体は、明度に優れるとともに、発色性にも優れている。
【0028】
【化10】

【0029】
また、本発明者は、後に詳述するグラフト共重合体を含むカラーフィルター用インクにおいて、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体とともに、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0030】
顔料として、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(9)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
【0031】
【化11】

【0032】
ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、ハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(主顔料):100重量部に対して、2重量部以上32重量部以下であるのが好ましく、7重量部以上28重量部以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。
【0033】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
【0034】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、20nm以上180nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルターインクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
【0035】
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。
【0036】
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2重量%以上25重量%以下であるのが好ましく、3重量%以上20重量%以下であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、従来においては、このように比較的高濃度で着色剤(特に、顔料)を含む場合には、吐出安定性が特に低いものとなり、カラーフィルター用インクの液滴を吐出する際に、飛行曲がりや液滴吐出量の不安定化等の問題が特に発生し易かった。また、従来においては、特に、大型基板(例えば、G5以上)上に液滴吐出をして着色部を形成する場合に、面内の各部位での吐出量ばらつきによる不良品の発生が顕著となり、カラーフィルターの生産性が著しく低下するという問題があった。これに対し、本発明では、比較的高濃度で着色剤を含む場合であっても、後に詳述するように、上記のような問題の発生を確実に防止することができ、製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等や、個体間での特性のばらつきの発生を確実に防止することができ、優れた生産性で、カラーフィルターを製造することができる。すなわち、カラーフィルター用インクが、上記のように比較的高濃度の着色剤を含む場合、本発明の効果がより顕著に発揮される。また、製造されるカラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0037】
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。一般に、インクジェット法を用いて製造されるカラーフィルターは、製造過程において、加熱処理が施され、溶剤等での洗浄処理が施される。このため、インクジェット法を用いて製造されるカラーフィルターには、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性が要求されるが、従来のカラーフィルターでは満足のいく耐久性を得るのが困難であった。
【0038】
また、インクジェット法によるカラーフィルターの製造では、一般に、基板上に設けられたセル内に液滴吐出を行った後に、液性媒体を除去し、カラーフィルター用インクを固化させることによって行われるが、液性媒体の除去による固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ、これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像のコントラスト比、明度を十分に高いものとすることができず、色むら、濃度むら等を生じるという問題があった。このような傾向は、着色剤として顔料を含む場合、樹脂材料に対して顔料の含有率が高い場合により顕著に現れる。これは、固形分濃度の上昇に伴い、インク中に含まれる顔料粒子が凝集することによるものであると考えられる。
【0039】
また、従来のカラーフィルター用インクでは、インクジェット法により、長期間にわたって液滴吐出を行ったりすると、液滴の吐出量が不安定化したり、吐出された液滴の軌道が変化し(いわゆる、飛行曲がりが発生し)、目的に部位に液滴を着弾させることができなくなる等の問題を生じることがあった。このような問題を生じると、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生してしまったり、液滴を着弾させるべき基板上等において、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまい、結果として、カラーフィルターの各部位での色むら、濃度むら等が発生してしまったり、多数のカラーフィルター間での特性(特に、コントラスト比、色再現域等の色特性)にばらつきを生じ、カラーフィルターの信頼性は低いものとなってしまう。特に、このような問題は、インク中において分散状態が保たれる必要があり、かつ、分散状態の変化が液滴の吐出性に大きな影響を与えてしまう顔料を含むインクを用いた場合に、顕著に発生していた。
上記のような問題を解決する目的で、本発明者は鋭意研究を行った。その結果、カラーフィルター用インク中に、以下に詳述するような樹脂材料を含ませることにより、上記のような問題を解決することができることを見出した。
【0040】
以下、本発明のカラーフィルター用インクを構成する樹脂材料(硬化性樹脂材料)について詳細に説明する。
[グラフト共重合体G]
本発明のカラーフィルター用インクは、樹脂材料として、下記式(1)で表されるブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」と称する場合がある)を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位(繰り返し単位)と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位と、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体Cに対応するモノマー単位(繰り返し単位)と、下記式(2)又は下記式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量500以上30000以下のマクロモノマーDに対応するモノマー単位(繰り返し単位)とを有し、前記マクロモノマーDに由来する前記重合体鎖部が枝部を構成しているグラフト共重合体(以下、「グラフト共重合体G」ともいう)を含むものである。
【0041】
【化12】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す)
【0042】
【化13】

(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又はシアノ基を示す。式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
【0043】
このグラフト共重合体の幹部は、各ビニル単量体のビニル部位(炭素−炭素二重結合部位)、及びマクロモノマーDの(メタ)アクリロイルオキシ基の炭素−炭素二重結合部位で共重合して形成される重合体鎖部(ポリマー鎖部)により構成されている。本発明のカラーフィルター用インクを構成する樹脂材料(硬化性樹脂材料)を熱や活性エネルギー線により硬化させると、前記イソシアネート基、カルボキシル基又は酸無水物基、及び3〜5員の環状エーテル基が硬化に寄与して、諸物性、特に、基板に対する密着性、耐久性(耐溶剤性等)、平坦性に著しく優れた着色部を形成することができる。また、カラーフィルター用インクの吐出安定性、保存安定性を優れたものとすることができる。
【0044】
(ビニル単量体Aに対応するモノマー単位)
式(1)で表される単量体Aにおいて、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられる。これらの中でも、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2〜4の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0045】
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、公知のイソシアネート基ブロック剤を用いることができ、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリンなどのアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤などが挙げられる。
【0046】
イソシアネート基のブロック剤としては、カラーフィルター用インクの製造ラインにおいてゲル化が生じないような安定性の高いブロック剤が好ましい。ブロック剤の脱ブロック温度は、例えば100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下の範囲である。上記のブロック剤のなかでも、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましい。
特に好ましいブロック剤には、下記式(5)で表されるオキシム系ブロック剤が含まれる。
【0047】
【化14】

(式中、R10、R11は、同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基を示す。R10及びR11は、互いに結合して、隣接する炭素原子とともに環を形成してもよい)
【0048】
10及びR11における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましい。R10及びR11が互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5又は6員)のシクロアルカン環などが挙げられる。
【0049】
式(1)で表されるビニル単量体Aの代表的な例として、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)[商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製、下記式(1a)]、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル[商品名「カレンズMOI−BP」、昭和電工株式会社製、下記式(1b)]等が挙げられる。なお、商品名「カレンズMOI−BM」の脱ブロック温度は、50%脱ブロック温度が130℃、90%脱ブロック温度が150℃である。また、商品名「カレンズMOI−BP」の脱ブロック温度は、50%脱ブロック温度が100℃、90%脱ブロック温度が120℃である。
【0050】
【化15】

【0051】
式(1)で表されるビニル単量体Aに対応するモノマー単位は下記式(I)で表される。式中、R、R、Rは前記に同じである。
【0052】
【化16】

【0053】
式(1)で表されるビニル単量体Aに対応するモノマー単位の脱ブロック化は以下のようにして進行する。この脱ブロック化により生じたイソシアネート基が硬化性基として作用する。イソシアネート基は、主にカラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性の向上に寄与する。
【0054】
【化17】

【0055】
(ビニル単量体Bに対応するモノマー単位)
カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bとしては、不飽和カルボン酸又はその酸無水物が挙げられる。不飽和カルボン酸及びその酸無水物には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が含まれる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
カルボキシル基、酸無水物基は、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性の向上に寄与するとともに、耐熱性を向上させる働きを有する。また、カルボキシル基、酸無水物基は硬化性基として機能しうる。
【0056】
(ビニル単量体Cに対応するモノマー単位)
3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体Cには、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物等を用いることもできる。
【0057】
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。
【0058】
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。
3〜5員の環状エーテル基[オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基)]は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
【0059】
(マクロモノマーDに対応するモノマー単位)
マクロモノマーDは、前記式(2)又は式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有している。前記(メタ)アクリロイルオキシ基と式(2)又は式(3)で表される繰り返し単位は直接結合していてもよいが、マクロモノマーの合成法に応じて適宜な連結基を介して結合していてもよい。また、前記重合体鎖の末端は水素原子であってもよいが、マクロモノマーの合成法に応じて適宜な末端基を有していてもよい。
マクロモノマーDは、前記重合体鎖において、式(2)で表される繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよく、式(3)で表される繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。また、式(2)で表される繰り返し単位と式(3)で表される繰り返し単位の両方を有していてもよい。
【0060】
前記式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又はシアノ基を示す。また、式(3)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
式(2)中、Rの「置換基を有していてもよいフェニル基」における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基;アセトキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ基等の炭素数1〜10のアシルオキシ基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等の炭素数1〜10のアシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等の炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基;ピペリジノ、モルホリノ基等の環状アミノ基などが挙げられる。置換基の数は0〜5の範囲から適宜選択できる。
【0061】
式(3)中、Rにおける炭素数1〜25の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。前記炭素数1〜25の炭化水素基の中でも、炭素数1〜20の炭化水素基、特に炭素数1〜12の炭化水素基が好ましい。
【0062】
炭素数1〜25の炭化水素基が有していてもよい「炭化水素基置換オキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基などの炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基などが挙げられる。
マクロモノマーDの重量平均分子量は500以上30000以下であり、好ましくは1000以上25000以下、さらに好ましくは2000以上20000以下である。
【0063】
マクロモノマーDの重合体鎖部は、式(2)で表される繰り返し単位又は式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含んでいる。
式(2)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマーにおいて、該重合体鎖は式(2)で表される1種又は2種以上の繰り返し単位のみで構成されていてもよいが、他の構造単位(繰り返し単位)を有していてもよい。このようなマクロモノマーにおいて、重合体鎖を構成する繰り返し単位(モノマー単位)全体に占める式(2)で表される繰り返し単位の割合は、例えば、30重量%以上100重量%以下、好ましくは50重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは80重量%以上100重量%以下である。
【0064】
式(2)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマーとしては、式(2)においてRが置換基を有していてもよいフェニル基である繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマー、及び式(2)においてRが置換基を有していてもよいフェニル基である繰り返し単位と、式(2)においてRがシアノ基である繰り返し単位の両方の繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖部有するマクロモノマーが好ましい。
【0065】
式(2)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマーは、式(2)で表される繰り返し単位に対応するビニル単量体、すなわち、下記式(a)で表されるビニル単量体、及び必要に応じて他のビニル単量体をモノマー原料として用い、公知の方法で製造することができる。
CH=CR (a)
(式中、R、Rは前記に同じ)
【0066】
式(a)で表されるビニル単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記他のビニル単量体としては、例えば、後述する式(3)で表される繰り返し単位に対応するビニル単量体等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0067】
式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマーにおいて、該重合体鎖は式(3)で表される1種又は2種以上の繰り返し単位のみで構成されていてもよいが、他の構造単位(繰り返し単位)を有していてもよい。このようなマクロモノマーにおいて、重合体鎖を構成する繰り返し単位(モノマー単位)全体に占める式(3)で表される繰り返し単位の割合は、例えば、30重量%以上100重量%以下、好ましくは50重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは80重量%以上100重量%以下である。
【0068】
式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有するマクロモノマーは、式(3)で表される繰り返し単位に対応するビニル単量体、すなわち、下記式(b)で表される(メタ)アクリル酸エステル、及び必要に応じて他のビニル単量体をモノマー原料として用い、公知の方法で製造することができる。
CH=C(R)COOR (b)
(式中、R、Rは前記に同じ)
【0069】
式(b)で表される(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記他のビニル単量体としては、例えば、前述の式(2)で表される繰り返し単位に対応するビニル単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0070】
前記マクロモノマーDとしては市販品を用いることができる。該市販品として、例えば、商品名「AS−6」(スチレンに対応する繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端にメタクリロイルオキシ基を有するマクロモノマー)、「AB−6」(アクリル酸ブチルに対応する繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端にアクリロイルオキシ基を有するマクロモノマー)、「AA−6」(メタクリル酸メチルに対応する繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端にメタクリロイルオキシ基を有するマクロモノマー)、「AN−6」(スチレンに対応する繰り返し単位及びアクリロニトリルに対応する繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端にメタクリロイルオキシ基を有するマクロモノマー)(以上、何れも東亞合成株式会社製)などが挙げられる。なお、これらのマクロモノマーの重量平均分子量は約6000である。
グラフト共重合体の枝部を構成するマクロモノマーDに由来する前記重合体鎖部は、耐溶剤性および、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性の向上に寄与する。
【0071】
ビニル単量体Aに対応するモノマー単位、ビニル単量体Bに対応するモノマー単位、ビニル単量体Cに対応するモノマー単位、及びマクロモノマーDに対応するモノマー単位は、それぞれ、1種であってもよく、2種以上存在していてもよい。
グラフト共重合体に占めるビニル単量体Aに対応するモノマー単位の割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、1重量%以上90重量%以下、好ましくは3〜70重量%、さらに好ましくは5重量%以上50重量%以下、特に好ましくは6重量%以上35重量%以下である。この割合が少なすぎると、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性が低下しやすく、多すぎるとビニル単量体Cに対応するモノマー単位の割合が相対的に少なくなるので、耐溶剤性が低下しやすくなる。
【0072】
グラフト共重合体に占めるビニル単量体Bに対応するモノマー単位の割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、1重量%以上90重量%以下、好ましくは3重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上50重量%以下、特に好ましくは6重量%以上35重量%以下である。この割合が少なすぎると耐熱性が低下しやすく、多すぎるとビニル単量体Cに対応するモノマー単位の割合が相対的に少なくなるので、耐溶剤性が低下しやすくなる。
【0073】
グラフト共重合体に占めるビニル単量体Cに対応するモノマー単位の割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、5重量%以上99重量%以下、好ましくは20重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上90重量%以下、特に好ましくは35重量%以上70重量%以下である。この割合が少なすぎると耐溶剤性等の耐薬品性が低下しやすく、多すぎるとビニル単量体Aに対応するモノマー単位の割合が相対的に少なくなるので、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性が低下しやすくなる。
【0074】
グラフト共重合体に占めるマクロモノマーDに対応するモノマー単位の割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、1重量%以上60重量%以下、好ましくは1.5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上40重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以上30重量%以下である。この割合が少なすぎると耐溶剤性や、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板等に対する密着性が低下しやすく、多すぎると残存モノマーが多くなるので、耐溶剤性が低下しやすくなる。
【0075】
ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位とビニル単量体Cに対応するモノマー単位とマクロモノマーDに対応するモノマー単位の総和のグラフト共重合体に占める割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、例えば、40重量%以上100重量%以下、好ましくは50重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは60重量%以上100重量%以下である。
【0076】
(その他のモノマー単位)
カラーフィルター用インクを構成するグラフト共重合体は、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位とビニル単量体Bに対応するモノマー単位とビニル単量体Cに対応するモノマー単位とマクロモノマーDに対応するモノマー単位のみで構成されていてもよいが、これらのモノマー単位に加えて、他のモノマー単位(繰り返し単位)を含んでいてもよい。
このようなグラフト共重合体が含んでいてもよい他のモノマー単位を形成しうる単量体として、下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ヒドロキシル基含有単量体が挙げられ、これらの単量体は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0077】
【化18】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
【0078】
グラフト共重合体が、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位、ビニル単量体Bに対応するモノマー単位、ビニル単量体Cに対応するモノマー単位、及びマクロモノマーDに対応するモノマー単位に加えて、式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位を有するものであることにより、カラーフィルター用インクの低粘度化により吐出安定性をさらに優れたものとしつつ、形成される着色部の耐溶剤性のさらなる向上、形成される着色部の表面の平坦性の向上による表示画像の輝度、コントラストのさらなる向上を図ることができる。
【0079】
式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルにおいて、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1以上25以下の炭化水素基を示す。Rにおける炭素数1以上25以下の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
【0080】
炭素数1以上25以下の炭化水素基が有していてもよい「炭化水素基置換オキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基などの炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基などが挙げられる。
【0081】
式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニルなどが挙げられる。
【0082】
ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ等)やエチレンオキサイド、若しくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物などが挙げられる。
【0083】
式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位のグラフト共重合体に占める割合は、グラフト共重合体を構成する全モノマー単位に対して、一般に、0重量%以上60重量%以下(例えば、1重量%以上60重量%以下)、好ましくは0重量%以上50重量%以下(例えば、2重量%以上50重量%以下)、さらに好ましくは0重量%以上40重量%以下(例えば、2重量%以上40重量%以下)である。
【0084】
本発明のカラーフィルター用インクを構成するグラフト共重合体は、前記式(1)で表されるブロックイソシアネート基を有するビニル単量体Aと、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bと、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体Cと、マクロモノマーDと、必要に応じて他の共重合性単量体とを含む単量体混合物を共重合(ビニル共重合)に付すことにより製造できる。
【0085】
重合に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用できる。例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジエチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジブチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物などが挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤として使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。上記のなかでもアゾ化合物が好ましく、特に、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが好ましい。
重合開始剤の使用量は、円滑な共重合を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、全単量体成分及び重合開始剤の総量に対して、1重量%以上30重量%以下程度であり、好ましくは5重量%以上25重量%以下程度である。
【0086】
本発明においては、ラジカル重合において一般的に使用されている連鎖移動剤を併用してもよい。具体例としては、チオール類(n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、トリエチレングリコールジメルカプタン等)、チオール酸類(メルカプトプロピオン酸、チオ安息香酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸等)、アルコール類(イソプロピルアルコール等)、アミン類(ジブチルアミン等)、次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウム等)、α−メチルスチレンダイマー、タービノーレン、ミルセン、リモネン、α−ピネン、β−ピネン等を挙げることができ、連鎖移動剤の量は全ラジカル重合性単量体の量に対して、好ましくは0.001重量%以上3重量%以下である。連鎖移動剤を使用する場合は、予め重合性ビニル単量体に混合させておくことが好ましい。
【0087】
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予め単量体、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。
【0088】
重合溶媒は単量体組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒として、例えば、エーテル(ジエチルエーテル;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアルキルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、C5−6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5−6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート等のカルボン酸エステル類;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ又はジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ又はジアセテート、1,3−プロパンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1−4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジアセテート等のグリコールアセテート類又はグリコールエーテルアセテート類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、C5−6シクロアルカンジオール、C5−6シクロアルカンジメタノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。重合温度は、例えば30℃以上150℃以下の範囲で適宜選択できる。
【0089】
上記方法により本発明のカラーフィルター用インクを構成するグラフト共重合体が生成することができる。グラフト共重合体の重量平均分子量は、例えば1000以上100000以下、好ましくは1500以上40000以下、さらに好ましくは2500以上30000以下である。共重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1以上3以下である。
【0090】
カラーフィルター用インク中における前記グラフト共重合体の含有率は、1.8重量%以上10.5重量%以下であるのが好ましく、2.0重量%以上8.0重量%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果をより確実に発揮させることができる。
上述したように本発明において、樹脂材料は、上述したグラフト共重合体を含むものであるが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
このような樹脂成分(重合体)としては、例えば、以下に述べるような重合体X、重合体Y等が挙げられる。
【0091】
[重合体X]
重合体Xは、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
【化21】

【0095】
【化22】

【0096】
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性(所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性)や、カラーフィルター用インク中における各重合体成分の親和性、相溶性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部の表面の平坦性を特に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
【0097】
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
【0098】
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30重量%以上90重量%以下であるのが好ましく、40重量%以上80重量%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
【0099】
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0100】
【化23】

【0101】
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
【0102】
【化24】

【0103】
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5重量%以上60重量%以下であるのが好ましく、10重量%以上50重量%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
【0104】
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
【0105】
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0106】
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2重量%以上20重量%以下であるのが好ましく、3重量%以上15重量%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
【0107】
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
【0108】
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0109】
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2重量%以上20重量%以下であるのが好ましく、3重量%以上15重量%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
【0110】
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがより好ましい。
【0111】
重合体Xの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0112】
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
【0113】
【化25】

【0114】
【化26】

【0115】
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性、カラーフィルター中における顔料の分散安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
【0116】
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0117】
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30重量%以上90重量%以下であるのが好ましく、40重量%以上80重量%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから分散媒を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
【0118】
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0119】
【化27】

【0120】
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
【0121】
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、グラフト共重合体Gや重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、グラフト共重合体G等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
【0122】
【化28】

【0123】
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10重量%以上70重量%以下であるのが好ましく、20重量%以上60重量%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
【0124】
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがより好ましい。
【0125】
重合体Yの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0126】
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、上述したような着色剤等を、溶解および/または分散する機能を有するものである。すなわち、液性媒体は、溶媒および/または分散媒として機能するものである。そして、通常、液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
【0127】
カラーフィルター用インクを構成する液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、液性媒体としては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
【0128】
これにより、カラーフィルター用インク中における前記グラフト共重合体の溶解状態をより均一なものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画像のコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合においては、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にカラーフィルター用インク中に含ませた場合であっても、カラーフィルター用インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、液性媒体が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクをより確実に濡れ広がるようにすることができる。
【0129】
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、形成される着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができ、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
【0130】
また、上述した中でも、液性媒体がビス(2−ブトキシエチル)エーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用インクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥しにくくなることで、着色剤、樹脂材料等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
【0131】
また、特に、液性媒体が1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、液性媒体への水の溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、外部からの過剰な水分の吸収を確実に防止しつつ、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に多少の水分が混入した場合であっても、水を好適に溶解することで、分散の安定性・流動性を保持したまま流路内を移動することができる。
【0132】
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160℃以上300℃以下であるのが好ましく、180℃以上290℃以下であるのがより好ましく、200℃以上280℃以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0133】
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0134】
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50重量%以上98重量%以下であるのが好ましく、70重量%以上95重量%以下であるのがより好ましく、80重量%以上93重量%以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な色濃度を確保することができる。
【0135】
<分散剤>
カラーフィルター用インク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、カラーフィルター用インクが、分散性の低い顔料を含む場合等であっても、顔料の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性を優れたものとすることができる。
【0136】
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等のほか、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、Disperbyk(ビックケミー・ジャパン(株)製)、ソルスパース3000,5000,11200,12000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,22000,24000SC,24000GR(日本ルブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5重量%以上15重量%以下であるのが好ましく、0.5重量%以上8重量%以下であるのがより好ましい。
【0137】
<その他の成分>
カラーフィルター用インクは、必要に応じて、種々の他の成分を含むものであってもよい。このような成分(他の添加剤)としては、例えば、各種架橋剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等のオニウム塩等の熱酸発生剤;ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等の光酸発生剤;各種重合開始剤;酸架橋剤;増感剤;光安定剤;接着性改良剤;銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等の分散助剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、グリセリン等のインクジェット吐出性能安定化剤;以下商品名で、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173、同F178K(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業(株)製)等の界面活性剤等が挙げられる。
【0138】
架橋剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸、多官能エポキシモノマー、多官能アクリルモノマー、多官能ビニルエーテルモノマー、多官能オキセタンモノマー等を用いることができる。多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましい。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。また、多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸が挙げられるが、中でも、芳香族多価カルボン酸が好ましい。また、多官能エポキシモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業株式会社製、商品名セロキサイド2021、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードGT401、ダイセル化学工業株式会社製、商品名エポリードPB3600、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、イソシアヌル酸トリグリシジル等が挙げられる。また、多官能アクリルモノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートトリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。また、多官能ビニルエーテルモノマーの具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シキロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等が挙げられる。また、多官能オキセタンモノマーの具体例としては、キシリレンジオキセタン、ビフェニル型オキセタン、ノボラック型オキセタン等が挙げられる。
【0139】
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生する成分であり、前記の中でも、特に、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。熱酸発生剤のより具体的な例としては、商品名として、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)等が挙げられる。
【0140】
光酸発生剤は、光により酸を発生する成分であり、より具体的な例としては、商品名として、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591(ダイセル・ユーシービー(株)社製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)等が挙げられる。
【0141】
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、後述するようなインクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インクの液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
《カラーフィルター用インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インクが用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセット(カラーフィルター用インクセット)が用いられる。本発明においては、カラーフィルターの製造において、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるものであればよいが、全ての種類の着色部の形成に用いられるものであるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮され、製造されるカラーフィルターの信頼性を特に高いものとすることができる。
【0142】
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルターの一例について説明する。
図1は、本発明のカラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて形成された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
【0143】
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0144】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
【0145】
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、色むら、濃度むらの発生が効果的に防止されている。また、コントラスト比、明度に優れた画像を好適に表示することができるものとなっている。また、同色の着色部12については、カラーフィルター1の個体間での特性差(濃度等のばらつき)が小さいものとなっている。
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
【0146】
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
【0147】
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0148】
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
【0149】
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
【0150】
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(1b、1c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(1d)と、カラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(1e)とを有している。
【0151】
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0152】
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(1c)。
【0153】
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の工程で形成される着色部12の表面の平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
【0154】
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(1d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
【0155】
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0156】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
【0157】
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0158】
上記のような液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与する。上記のような装置を用いることにより、セル14内に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。また、上述したように、カラーフィルター用インク2は、優れた吐出安定性を有しており、長期間、液滴吐出を行った場合であっても、飛行曲がりや、液滴の吐出量が不安定化する等の問題が極めて発生しにくいものである。したがって、異なる色の着色部を形成するのに用いられる複数種のインクが混ざり合って(混色して)しまったり、本来同一の着色濃度であることが求められる複数個の着色部の間での着色濃度のばらつきが発生する等の問題を確実に防止することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
【0159】
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させることにより固形状の着色部12とする(1e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内に液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
【0160】
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100℃以上280℃以下であるのが好ましく、110℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30分以上190分以下であることが好ましく、40分以上130分以下であることがより好ましい。
【0161】
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を効果的に防止することができる。
【0162】
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0163】
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3分以上50分以下であることが好ましく、5分以上40分以下であることがより好ましい。
【0164】
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120℃以上280℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25分以上150分以下であることが好ましく、30分以上100分以下であることがより好ましい。
【0165】
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、樹脂材料の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
【0166】
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、液性媒体をより効率よく除去することができたり、画素(セル)内での着色部の形状を確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部を形成することができる。
【0167】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図4は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0168】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
【0169】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図4中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図4中下側)から出射する。
【0170】
上述したように、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インク2(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、色むら、濃度むらの発生が効果的に防止され、各画素間での特性のばらつきが抑制されたものであるとともに、耐久性に優れたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。また、着色部12は、本発明のカラーフィルター用インクを用いて形成されたものであるため、コントラスト比、明度に優れている。
【0171】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
【0172】
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0173】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
【0174】
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
【0175】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0176】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
【0177】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから液性媒体を除去し、樹脂材料を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
【0178】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明において、カラーフィルターは、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
【0179】
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
【実施例】
【0180】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成した共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン換算)及び分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、以下の条件にて測定した。
【0181】
装置:検出器:RID-10A(島津製作所)
ポンプ:LC-10ADVP(島津製作所)
システムコントローラー:SCL-10AVP(島津製作所)
デガッサー:DGU-14A(島津製作所)
オートインジェクター:SIL-10AF(島津製作所)
カラム:Waters Styragel HR3, Styragel HR4, Styragel HR5 計3本
移動相:THF
流量:1mL/min
温度:オーブン(40℃)、RI(40℃)
検出器:RI POLARITY(+)
注入量:50μL
【0182】
[1]重合体の合成
(合成例1)
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):40重量部、メタクリル酸:30重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、ブチルアクリレート系マクロモノマー(商品名「AB−6」、東亞合成株式会社製):10重量部、ブチルアクリレート:10重量部を、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:50重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):30重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:260重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、グラフト共重合体G1を得た。生成したグラフト共重合体G1の重量平均分子量Mwは12000、分散度は2.52であった。
【0183】
(合成例2)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):40重量部、メタクリル酸:30重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、スチレン系マクロモノマー(商品名「AS−6」、東亞合成株式会社製):10重量部、スチレン:10重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体G2を得た。生成したグラフト共重合体G2の重量平均分子量Mwは10500、分散度は2.29であった。
【0184】
(合成例3)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):20重量部、メタクリル酸:25重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、ブチルアクリレート系マクロモノマー(商品名「AB−6」、東亞合成株式会社製):20重量部、ステアリルメタクリレート:40重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体G3を得た。生成したグラフト共重合体G3の重量平均分子量Mwは12400、分散度は2.50であった。
【0185】
(合成例4)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):20重量部、メタクリル酸:25重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、スチレン系マクロモノマー(商品名「AS−6」、東亞合成株式会社製):20重量部、ステアリルメタクリレート:40重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、グラフト共重合体G4を得た。生成したグラフト共重合体G4の重量平均分子量Mwは11800、分散度は2.31であった。
【0186】
(合成例5)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):40重量部、メタクリル酸:30重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、ブチルアクリレート:30重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、共重合体G’1を得た。生成した共重合体G’1の重量平均分子量Mwは11900、分散度は2.55であった。
【0187】
(合成例6)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):40重量部、メタクリル酸:30重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、スチレン:30重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、共重合体G’2を得た。生成した共重合体G’2の重量平均分子量Mwは11000、分散度は2.39であった。
【0188】
(合成例7)
単量体組成を、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(商品名「カレンズMOI−BM」、昭和電工株式会社製):25重量部、メタクリル酸:30重量部、エポキシ化ジシクロペンテニルアクリレート(商品名「E−DCPA」、ダイセル化学工業株式会社製):100重量部、ステアリルメタクリレート:40重量部に変更する以外は、合成例1と同様の操作を行い、共重合体G’3を得た。生成した共重合体G’3の重量平均分子量Mwは12100、分散度は2.43であった。
【0189】
(合成例8)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(18)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例9〜15)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例8と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
【0190】
(合成例16)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例17、18)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例16と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
【0191】
表1には、合成例1〜18で合成した各樹脂成分を構成する各単量体成分の比率、各樹脂成分の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、「g1」はメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を示し、「g2」はメタクリル酸を示し、「g3」はエポキシ化ジシクロペンテニルアクリレートを示し、「g4」はブチルアクリレート系マクロモノマー(商品名「AB−6」、東亞合成株式会社製)を示し、「g5」はブチルアクリレートを示し、「g6」はスチレン系マクロモノマー(商品名「AS−6」、東亞合成株式会社製)を示し、「g7」はスチレンを示し、「g8」はステアリルメタクリレートを示す。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上3以下の範囲内であった。
【0192】
【表1】

【0193】
[2]カラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)の調製
(実施例1)
分散剤としてのディスパービック166と、グラフト共重合体G1と、グラフト共重合体G1を溶解する溶媒(カラーフィルター用インクにおける液性媒体の構成成分)として機能するジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートとを、攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより、グラフト共重合体G1が溶媒に溶解したグラフト共重合体G溶液を得た(グラフト共重合体G溶液調製工程)。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
【0194】
次に、以下に述べるようにして、グラフト共重合体G溶液調製工程で得られたグラフト共重合体G溶液に、顔料を添加し、攪拌機(ビーズミル)を用いて、無機ビーズを多段で添加して微分散処理を行う微分散工程を施した。
まず、得られたグラフト共重合体G溶液に、顔料を添加し、10分間攪拌を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。また、顔料としては、上記式(8)で表されるハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(ただし、分子内の16個のXのうち、2個が水素原子、4個が塩素原子、10個が臭素原子)の粉末と、上記式(9)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体(副顔料)の粉末と、C.I.ピグメントイエロー150との混合物を用いた。
次に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(第1の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加して、室温下、30分間攪拌し1段目の分散処理(第1の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
【0195】
次に、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第1の無機ビーズ)を除去し、その後、平均粒径0.1mmの無機ビーズ(第2の無機ビーズ、ジルコニア製、「Toray ceram 粉砕ボール」(商品名)、東レ株式会社製)を添加し、更に30分間攪拌し第2段目の分散処理(第2の処理)を行った。このとき、ビーズミル(攪拌機)が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。
その後、フィルター(「PALL HDCII Membrane Filter」(商品名)、PALL社製)を用いたろ過により、無機ビーズ(第2の無機ビーズ)を除去し、顔料分散体を得た。
【0196】
次に、上記のようにして得られた顔料分散体に、重合体X1、重合体Y1、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)および、液性媒体としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを加え、混合した(希釈工程)。本工程は、上記の各材料を内容量400ccの攪拌機(一軸ミキサー)に投入し、ディスパーミルで10分間攪拌することにより行った。このとき、攪拌機が有する攪拌翼の回転数は、2000rpmとなるようにした。これにより、目的とする緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)を得た。
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記緑色のカラーフィルター用インクと同様にして、赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるカラーフィルター用インクセットが得られた。
【0197】
(実施例2〜11)
カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表2、表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
(比較例1〜4)
カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表3に示すように変更した以外は、前記実施例と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
【0198】
前記各実施例および各比較例でのカラーフィルター用インクの構成成分の種類、含有量を表2、表3にまとめて示した。なお、表中、グラフト共重合体G1〜G4をそれぞれG1〜G4で示し、共重合体G’1〜G’3をそれぞれG’1〜G’3で示し、熱硬化性アクリル樹脂としての樹脂A(商品名:ACRYDIC A−430−60、DIC株式会社製)を「A」、上記式(8)で表されるハロゲン化フタロシアニンの亜鉛錯体(ただし、分子内の16個のXのうち、2個が水素原子、4個が塩素原子、10個が臭素原子)の粉末を「HPZC1」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、上記式(9)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、下記式(10)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が2個)で構成された粉末を「SPD2」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(6)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(7)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA2」、ヒノアクトT8000Eを「DA3」、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)を「T152」、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製))を「DF58」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S4」、オクタン酸エチルを「S5」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」、メチルプロピレントリグリコールを「S9」、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを「S10」、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「S11」、ジエチレングリコールジエチルエーテルを「S12」エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S13」、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを「S14」、3−メトキシブチルアセテートを「S15」で示した。
【0199】
また、前記各実施例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(6)で表される顔料誘導体との混合物中における式(6)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1重量%以上10重量%以下であった。また、前記各実施例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(7)で表される顔料誘導体との混合物中における式(7)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1重量%以上10重量%以下であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下の範囲内の値であった。
【0200】
【化29】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
[3]カラーフィルター用インクの保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクについて、50℃の環境下に、70日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
【0204】
[4]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、55℃の環境下に28日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
【0205】
[4.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、40%RHの環境下で、各カラーフィルター用インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、3000000発(3000000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された3000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
【0206】
A:ズレ量dの平均値が0.5μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.5μm以上1μm未満。
C:ズレ量dの平均値が1μm以上3μm未満。
D:ズレ量dの平均値が3μm以上5μm未満。
E:ズレ量dの平均値が5μm以上。
【0207】
[4.2]液滴吐出量の安定性評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、40%RHの環境下で、各カラーフィルター用インクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、3000000発(3000000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
【0208】
A:ΔW/Wの値が、0.026未満。
B:ΔW/Wの値が、0.026以上0.270未満。
C:ΔW/Wの値が、0.270以上0.470未満。
D:ΔW/Wの値が、0.470以上0.790未満。
E:ΔW/Wの値が、0.790以上。
【0209】
[5]カラーフィルターの製造
前記各実施例および各比較例で得られたカラーフィルター用インク(製造直後のカラーフィルター用インク)、および、55℃の環境下に28日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、以下のようにして、カラーフィルターを製造した。
【0210】
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
【0211】
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力600W、プラズマ発生装置からテーブルまでの距離:0.5mm、処理テーブル速度:5mm/sという条件で、プリベーク処理、ポストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:150℃、加熱時間:5分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
【0212】
次に、図3に示すような液滴吐出装置を用いて、隔壁で囲まれた領域としてのセル内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
【0213】
その後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。さらに230℃のオーブン内で60分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図1に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(それぞれ、製造直後のカラーフィルター用インクおよび加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を用いて、それぞれ、8000枚のカラーフィルターを製造した。
【0214】
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、6000枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0215】
A:ΔDが0.14μm未満。
B:ΔDが0.14μm以上0.23μm未満。
C:ΔDが0.23μm以上0.40μm未満。
D:ΔDが0.40μm以上0.50μm未満。
E:ΔDが0.50μm以上。
【0216】
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、8000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、単色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
【0217】
赤色の単色表示の場合、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2900以上。
B:CRが2400以上2900未満。
C:CRが2000以上2400未満。
D:CRが1700以上2000未満。
E:CRが1700未満。
【0218】
緑色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3800以上。
B:CRが3500以上3800未満。
C:CRが3200以上3500未満。
D:CRが2800以上3200未満。
E:CRが2800未満。
【0219】
青色の単色表示の場合、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3100以上。
B:CRが2700以上3100未満。
C:CRが2400以上2700未満。
D:CRが2200以上2400未満。
E:CRが2200未満。
【0220】
[6.3]明度の評価
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、赤色光、緑色光、青色光の3色のY値の平均を白色光の明度Yとして、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0221】
A:明度Yが29.2以上。
B:明度Yが28.5以上29.2未満。
C:明度Yが27.9以上28.5未満。
D:明度Yが27.2以上27.9未満。
E:明度Yが27.2未満。
【0222】
[6.4]色むら、濃度むら
前記[6.2]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら(光漏れによるものを含む)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0223】
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
【0224】
[6.5]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、7980〜7999枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜20枚目、7980〜7999枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0225】
A:色差(ΔE)が1.3未満。
B:色差(ΔE)が1.3以上2.3未満。
C:色差(ΔE)が2.3以上3.3未満。
D:色差(ΔE)が3.3以上4.3未満。
E:色差(ΔE)が4.3以上。
【0226】
[6.6]ヒートサイクル試験
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、7001〜7010枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
【0227】
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、75℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計30回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図4に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
【0228】
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
【0229】
[7]耐熱性評価
各カラーフィルター用インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が2.0μmとなるように設定した。
次に、これらの試験片を、クリーンオーブン内で220℃で1時間加熱した。
【0230】
次に、220℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
その後さらに、これらの試験片を、クリーンオーブン内で250℃で1時間加熱した。
ここで、250℃での加熱処理を施した試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、加熱処理(250℃での加熱処理)の前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0231】
A:色差(ΔE)が0.9未満。
B:色差(ΔE)が0.9以上1.9未満。
C:色差(ΔE)が1.9以上2.5未満。
D:色差(ΔE)が2.5以上3.1未満。
E:色差(ΔE)が3.1以上。
【0232】
[8]カラーフィルター用インクを用いて形成した着色膜の評価
各カラーフィルター用インクを用いて、以下のようにして、下記の試験に用いる多数枚の試験片(試験板)を作製した。
まず、各インクを用いて、それぞれ、厚さ0.7mmのガラス基板上に、スピンコートにより塗布した。インクの付与量は、乾燥膜厚が2.0μmとなるように設定した。
次に、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行い、着色膜を有する試験片(試験板)を得た。
【0233】
[8.1]耐溶剤性評価
前記実施例および比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、これらの試験片を、50℃の溶剤中に10分間浸漬し、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
これらの結果から、各試験片についての、溶剤の浸漬前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
【0234】
A:色差(ΔE)が2.5未満。
B:色差(ΔE)が2.5以上3.0未満。
C:色差(ΔE)が3.0以上3.5未満。
D:色差(ΔE)が3.5以上。
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。
【0235】
[8.2]耐光性評価
前記実施例および比較例の各色の試験片について、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。
次に、40℃、60%RHの環境下で、これらの試験片に対し、キセノンフェードメーターを用いて光照射を行い、その後、同様に、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。照射条件は、320W/m×180時間とした。このときのブラックパネル温度は50℃とした。
これらの結果から、各試験片についての、光照射前後での色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差(ΔE)が1.0未満。
B:色差(ΔE)が1.0以上2.8未満。
C:色差(ΔE)が2.8以上3.3未満。
D:色差(ΔE)が3.3以上。
これらの結果を表4、表5に示す。なお、表中、製造直後のカラーフィルター用インクを「加熱前」と示し、55℃の環境下に28日間放置したカラーフィルター用インク(加熱環境下に放置したカラーフィルター用インク)を「加熱後」と示した。
【0236】
【表4】

【0237】
【表5】

【0238】
表から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【符号の説明】
【0239】
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク、遮光部) 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクであって、
着色剤と、樹脂材料と、前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体とを含み、
前記樹脂材料として、下記式(1)で表されるブロックされたイソシアネート基を有するビニル単量体Aに対応するモノマー単位と、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニル単量体Bに対応するモノマー単位と、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル単量体Cに対応するモノマー単位と、下記式(2)又は下記式(3)で表される繰り返し単位を主構造単位として含む重合体鎖を有し、且つ該重合体鎖の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重量平均分子量500以上30000以下のマクロモノマーDに対応するモノマー単位とを有し、前記マクロモノマーDに由来する前記重合体鎖部が枝部を構成しているグラフト共重合体を含むことを特徴とするカラーフィルター用インク。
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す)
【化2】

(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又はシアノ基を示す。式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
【請求項2】
前記グラフト共重合体は、ビニル単量体Aに対応するモノマー単位、ビニル単量体Bに対応するモノマー単位、ビニル単量体Cに対応するモノマー単位、及びマクロモノマーDに対応するモノマー単位に加えて、下記式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及びヒドロキシル基含有単量体からなる群より選択された少なくとも1種の単量体に対応するモノマー単位を有するものである請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す)
【請求項3】
前記着色剤として、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体を含む請求項1または2に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項4】
前記液性媒体として、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含む請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項5】
前記樹脂材料は、前記重合体Mに加え、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化4】

【化5】

【化6】

【請求項6】
前記樹脂材料は、前記重合体Mに加え、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yとを含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルター用インク。
【化7】

【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルター用インクを用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
画像表示装置は、液晶パネルである請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−168364(P2012−168364A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29500(P2011−29500)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】