説明

カラーフィルター用着色剤

【課題】カラーフィルターを製造するに当たって、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、カラーフィルター用着色剤を塗布して乾燥したのち、露光し、現像する時、水ムラのない画素を形成することができるカラーフィルター用着色剤を提供することにある。
【解決手段】(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤であって、
それぞれの着色剤(a)をガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、
複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下であることを特徴とするカラーフィルター用着色剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置および固体撮像素子に用いられるカラーフィルターを構成するフィルタセグメントの形成に用いられるカラーフィルター用着色剤、その製造方法、ならびに該カラーフィルター用着色剤を用いてなるカラーフィルターセグメントを備えてなるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルター用着色剤を用いてカラーフィルターを製造するに当たっては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、カラーフィルター用着色剤を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が知られている。
【0003】
そして、近年におけるカラーフィルターの技術分野においては、露光量を下げてタクトタイムを短縮することが主流となっているのに加え、カラー液晶表示素子に対する高色純度化の要求に対応すべく、カラーフィルター用着色剤中に占める顔料の含有割合がますます高くなる傾向にある。このような状況下、カラーフィルターの製造時において、上記現像の後に行われる水洗工程が終了した段階で、画素パターン上にシミ状の色ムラ(以下、「水ムラ」という。)が発生し、この水ムラがその後に行われる検査工程を渋滞させ生産効率を低下させる問題が顕在化している。低露光量であっても水ムラのない画素を形成することができる技術として着色層形成用感放射線性組成物中に酸性官能基など特定の重合体を含有させることが提示されている(例えば特許文献3)。しかしながら、この水ムラの問題を解決する有効な手段は見つかっていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平2009−223253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、カラーフィルターを製造するに当たって、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、カラーフィルター用着色剤を塗布して乾燥したのち、露光し、現像する時、水ムラのない画素を形成することができるカラーフィルター用着色剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の条件を満たす着色剤を、複数混合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤であて、
それぞれの着色剤(a)をガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、
複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下であることを特徴とするカラーフィルター用着色剤に関する。
【0008】
また、本発明は、(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される下記の条件を満たす複数の着色剤(a)を混合することを特徴とするカラーフィルター用着色剤の製造方法であって、
それぞれの着色剤(a)は、ガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、
複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下であることを特徴とするカラーフィルター用着色剤の製造方法に関する。
【0009】
また、本発明は、上記カラーフィルター用着色剤を用いてなるカラーフィルターセグメントを備えてなるカラーフィルターに関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明のカラーフィルター用着色剤は、複数の着色剤(a)を混合して得られる。
【0012】
本発明の着色剤(a)は、それぞれ、(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される。
【0013】
ただし、それぞれの着色剤(a)を単独で、ガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板としたとき、それぞれのプリベーク基板の水接触角の差は、いずれも1.2以下である必要がある。例えば、着色剤(a)が、a1,a2,a3の3つあった場合は、a1とa2、a1とa3、a2とa3の間で、それぞれ、水接触角の差が1.2以下である。
【0014】
また、複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角と、それぞれの着色剤(a)を単独でプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ、いずれも、1.0以下である。
【0015】
着色剤(a)およびカラーフィルター用着色剤の水接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−X型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。基本溶媒として、精製水を使用した。
【0016】
<(A)顔料>
着色剤(a)に用いられる顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
【0017】
以下に、カラーフィルター用着色剤に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。赤色フィルタセグメントを形成するための赤色着色剤には、例えばC.I.PigmentRed 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
【0018】
イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色着色剤には、例えばC.I.PigmentYellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77
、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139
、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187
、188、193、194、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。
【0019】
オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色着色剤には、例えばC.I.Pigmentorange36、43、51、55、59、61、71、73等のオレンジ色顔料を用いることができる。
【0020】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色剤には、例えばC.I.PigmentGreen7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色組成物には黄色顔料を併用することができる。
【0021】
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色剤には、例えばC.I.PigmentBlue15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色組成物には、C.I.PigmentViolet1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0022】
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色着色剤には、例えばC.I.PigmentBlue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等の青色顔料を用いることができる。
【0023】
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色着色剤には、例えばC.I.PigmentViolet1、19、C.I.PigmentRed144、146、177、169、81等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
【0024】
また、樹脂ブラックマトリクス用の黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的にはC.I.Pigmentblack6、7、12、20、31、32等が挙げられ、中でもカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。
【0025】
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0026】
顔料組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることもできる。
【0027】
本発明の着色剤は、顔料組成物の含有量が、着色剤の全固形分中、30重量%以上となる場合であっても、水ムラのない画素を形成することができる。また、本発明において、着色剤の含有量の上限は、現像性を確保する観点から、カラーフィルター用着色剤の全固形分中、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。ここで、固形分とは、後述する溶剤以外の成分である。
【0028】
<(C)誘導体>
着色剤(a)に用いられる(C)誘導体は、下記一般式(1)で示される化合物であり、塩基性置換基を有するものと酸性置換基を有するものとがある。
式(1)
A−B
A:有機顔料残基
B:塩基性置換基または酸性置換基
式(1)中、Aの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0029】
式(1)中、Bの塩基性置換基としては、下記式(2)、式(3)、式(4)、および式(5)で示される置換基が挙げられ、酸性置換基としては、式(6)および式(7)で示される置換基が挙げられる。
【0030】
式(2)
【化1】

【0031】
式(3)
【化2】

【0032】
式(4)
【化3】

【0033】
式(5)
【化4】

【0034】
式(6)
【化5】

【0035】
式(7)
【化6】

【0036】
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−または直接結合を表す。
n:1〜10の整数を表す。
R1、R2:それぞれ独立に、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR1とR2とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。
R3:炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
R4、R5、R6、R7:それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
Y:−NR8−Z−NR9−または直接結合を表す。
R8、R9:それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。
Z:炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキレン基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニレン基、または置換されていてもよいフェニレン基を表す。
R:式(8)で示される置換基または式(9)で示される置換基を表す。
Q:水酸基、アルコキシル基、式(8)で示される置換基または式(9)で示される置換基を表す。
【0037】
式(8)
【化7】

【0038】
式(9)
【化8】

【0039】
M:水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子またはアルミニウム原子を表す。
i:Mの価数を表す。
R10、R11、R12、R13:それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基またはポリオキシアルキレン基を表す。
【0040】
式(2)〜式(5)および式(8)、式(9)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0041】
式(7)のスルホン酸アミン塩を形成するために使用されるアミン成分は1級、2級、3級、4級のいずれのアミンでもよく、例えば、1級アミンとしては、側鎖を有していてもよいへキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エオコシルアミン等のアミン、もしくはそれぞれの炭素数に対応する不飽和アミンが挙げられる。
【0042】
2級、3級および4級アミンとしては、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルジドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウムクロリド、トリメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルドデシルテトラデシルアンモニウムクロリド、ジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0043】
また、式(7)におけるR10、R11、R12、R13のいずれかがポリオキシアルキレン基を表す場合、その例としてはポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0044】
顔料誘導体の具体例を、化合物番号を付して以下に示す。
【0045】
化合物1
【化9】

【0046】
化合物2
【化10】

【0047】
化合物3
【化11】

【0048】
化合物4
【化12】

【0049】
化合物5
【化13】

【0050】
化合物6
【化14】

【0051】
化合物7
【化15】

【0052】
化合物8
【化16】

【0053】
着色剤中の顔料誘導体の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは5〜15重量部である。顔料誘導体の配合量が1重量部より少ないと、分散効果が不十分となり、20重量部より多いと、余剰の顔料誘導体で分散に影響を及ぼすことがある。
【0054】
<(E)溶剤>
着色剤(a)に用いられる(E)溶剤としては特に限定されるものではなく、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0055】
溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色剤の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%となる量が望ましい。
【0056】
<(B)樹脂>
本発明の着色剤(a)に用いられる(B)樹脂としては、以下に挙げるモノマー及び/ 又は樹脂を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0058】
樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透明樹脂が用いられる。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができるが、特に感光性樹脂が好ましい。
【0059】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0060】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0061】
また、樹脂には、本発明の方法で製造されたカラーフィルター用着色剤を用いてアルカリ現像によりカラーフィルタパターンを形成させる場合には、アルカリ可溶型樹脂を含有させることが好ましい。アルカリ可溶型樹脂とは、アルカリ水溶液に溶解する樹脂であり、例えば、カルボキシル基、スルホン基などの酸性官能基を有する重量平均分子量1000〜500000、好ましくは5000〜100000の樹脂が挙げられる。アルカリ可溶型樹脂として具体的には、アクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体などが挙げられる。なかでも、アクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特にアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0062】
アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
<そのほかの添加剤>
カラーフィルター用着色剤には、該着色剤を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
【0064】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0065】
これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0066】
本発明の着色剤(a)及びカラーフィルター用着色剤の製造方法においては、顔料、顔料誘導体、および溶剤を含む顔料組成物を、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライタ、ペイントコンディショナー等の各種分散手段を用いてプレ分散することもできる。また、顔料、顔料誘導体、および溶剤を含む顔料組成物を、粒径が0.05mmφより大きいメディアを用いた湿式分散機で分散しておくことも、分散効率の面で好ましい。このときに粒径が0.5mmφ〜1.0mmφのメディアを用いると効果が顕著となる。このときも、分散方法は循環およびパス分散のいずれでもよいが、パス分散の方が好ましい。
【0067】
着色剤(a)及びカラーフィルター用着色剤を分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることもできる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を溶剤中に分散してなるカラーフィルター用着色剤を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルターが得られる。
【0068】
上記樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が用いられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
具体的には、ビックケミー社製のDisperbykまたはDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001またはAnti-Terra−U、203、204またはBYK−P104、P104S、220SまたはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、アビシア社製のSOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等が挙げられる。
【0070】
上記界面活性剤としては、ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0071】
また、カラーフィルター用着色剤には、着色剤の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
顔料は、カラーフィルター用着色剤中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましい。また、顔料は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含有され、その残部は、モノマー及び/または樹脂により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
【0072】
カラーフィルター用着色剤は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調整することができる。着色レジスト材は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とモノマー、あるいは感光性樹脂と、顔料、顔料誘導体、光重合開始剤、および溶剤を含むものである。カラーフィルター用着色剤は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0073】
次に、本発明のカラーフィルターについて説明する。本発明のカラーフィルターは、本発明の製造方法により製造されるカラーフィルター用着色剤を用いて形成されたフィルタセグメントを具備する。カラーフィルターとしては、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するもの、またはマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するものが挙げられる。
【0074】
本発明のカラーフィルターは、フォトリソグラフィー法により、カラーフィルター用着色剤を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
【0075】
透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0076】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントを形成は、下記の方法で行う。すなわち、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色剤を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルターを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルターが製造できる。
【0077】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0078】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0079】
本発明のカラーフィルターは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の製造方法により製造される着色剤は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルターを製造する方法である。
【0080】
また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルター層を形成しておき、このカラーフィルター層を所望の透明基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラスト比を一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0081】
本発明のカラーフィルター上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などが形成される。
【0082】
カラーフィルターは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0083】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルターを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0084】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
【0085】
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液1〜4の調整について説明する。
樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0086】
( アクリル樹脂溶液1 の調製)
反応容器にシクロヘキサノン3 7 0 部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃ に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1 時間かけて滴下して重合反応を行った。
【0087】
メタクリル酸 2 0 . 0 部
メチルメタクリレート 1 0 . 0 部
n − ブチルメタクリレート 5 5 . 0 部
2 − ヒドロキシエチルメタクリレート 1 5 . 0 部
2 , 2 ’ − アゾビスイソブチロニトリル 4 . 0 部
滴下終了後、さらに8 0 ℃ で3 時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1 . 0部をシクロヘキサノン5 0 部に溶解させたものを添加し、さらに8 0 ℃ で1 時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約4 0 0 0 0 であった。
【0088】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2 g をサンプリングして1 8 0 ℃ 、2 0 分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が2 0 重量% になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0089】
( アクリル樹脂溶液2 の調製)
反応容器にシクロヘキサノン3 7 0 部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら8 0 ℃ に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1 時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 2 0 . 0 部
メチルメタクリレート 1 0 . 0 部
n − ブチルメタクリレート 3 5 . 0 部
2 − ヒドロキシエチルメタクリレート 1 5 . 0 部
2 , 2 ’ − アゾビスイソブチロニトリル 4 . 0 部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 2 0 . 0 部
( 東亜合成株式会社製「アロニックスM 1 1 0 」)
滴下終了後、さらに8 0 ℃ で3 時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1 . 0部をシクロヘキサノン5 0 部に溶解させたものを添加し、さらに8 0 ℃ で1 時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約4 0 0 0 0 であった。
【0090】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2 g をサンプリングして1 8 0 ℃ 、2 0 分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が2 0 重量% になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0091】
( アクリル樹脂溶液3 の調製)
反応容器にシクロヘキサノン5 6 0 部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃ に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1 時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 3 4 . 0 部
メチルメタクリレート 2 3 . 0 部
n − ブチルメタクリレート 4 5 . 0 部
2 − ヒドロキシエチルメタクリレート 7 0 . 5 部
2 , 2 ’ − アゾビスイソブチロニトリル 8 . 0 部
滴下終了後、さらに1 0 0 ℃ で3 時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1 .0 部をシクロヘキサノン5 5 部に溶解させたものを添加し、さらに8 0 ℃ で1 時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
【0092】
次に、得られた共重合体溶液3 3 8 部に対して、下記化合物の混合物を7 0 ℃ で3 時間かけて滴下した。
2 − メタクロイルエチルイソシアネート 3 2 . 0 部
ラウリン酸ジブチル錫 0 . 4 部
シクロヘキサノン 1 2 0 . 0 部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2 g をサンプリングして1 8 0 ℃ 、2 0 分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が2 0 重量% になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は2 0 0 0 0 、二重結合当量は4 7 0 であった。
【0093】
−着色剤(a)顔料分散液の調製−
顔料としてジケトピロロピロール系顔料(C.I.ピグメントレッド254)、アントラキノン系顔料(C.I.ピグメントレッド177)、樹脂としてアクリル樹脂溶液1、アクリル樹脂溶液2、アクリル樹脂溶液3、分散剤としてOR−Z−98X、LEX61、OR−Z−93X、OR−Z−50X、OR−Z−22X、OR−Y−3X、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを「表1」に示す樹脂と分散剤の配合比、固形分中の顔料の割合となるように、ビーズミルで5時間混合・分散して、着色剤a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、a10、a11、a12、a13、a14、a15、a16、a17、a18を調製した。
【0094】
【表1】

【0095】
−カラーフルター用着色剤の調整−
上記載の手法で調整された各着色剤(a)を「表2」に示す組合せと配合比で混合して、本実施例、比較例とした。さらに、それぞれの水接触角の結果も併せて提示した。接触角は接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−X型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した。
【0096】
【表2】

【0097】
−水ムラの評価−
実施例1〜4、比較例1〜5に示した混合したカラーフィルター用着色剤を、ガラス基板の表面上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、60℃のオーブンで5分間プリベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して40J/m2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に、室温の0.04重量%水酸化カリウム水溶液をシャワリングすることで、未露光部の塗膜が完全に剥離しさらに5秒経過するまで吐出することにより現像を行った。次いで、超純水を同様にシャワリングすることでリンス処理を行って、パターンを形成した。エアブローによりドットパターンが形成された基板表面上の水分を除去した後、光学顕微鏡を用いて、20個のドットパターンを観察した。20個のパターンのうち10個以上のパターンに水ムラが観察される場合を×、1〜9個のパターンに水ムラが観察される場合を△、水ムラが全く観察されない場合を○として評価した。
【0098】
さらに、それぞれの着色剤をガラス基板上に塗布した後のプリベーク基板の水接触角の差(1.2以下)と複数の着色剤を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差(それぞれ1.0以下)という評価を実施した。これらの結果を「表3」に示した。
【0099】
【表3】

【0100】
表3の結果から、本発明のカラーフィルター用着色剤は、構成するそれぞれの着色剤をガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、複数の着色剤を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下である場合、露光処理後の水ムラの発生がなく良好な画素を提供できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤であって、
それぞれの着色剤(a)をガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、
複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下であることを特徴とするカラーフィルター用着色剤。
【請求項2】
(A)顔料、(B)樹脂、(C)誘導体、(D)分散剤および(E)溶剤とから構成される下記の条件を満たす複数の着色剤(a)を混合することを特徴とするカラーフィルター用着色剤の製造方法であって、
それぞれの着色剤(a)は、ガラス基板上に塗布した後、60℃でプリベークして得られるプリベーク基板の水接触角の差が1.2以下で、且つ、
複数の着色剤(a)を混合してなるカラーフィルター用着色剤のプリベーク基板の水接触角との差が、それぞれ1.0以下であることを特徴とするカラーフィルター用着色剤の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のカラーフィルター用着色剤を用いてなるカラーフィルターセグメントを備えてなるカラーフィルター。

【公開番号】特開2012−181253(P2012−181253A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42593(P2011−42593)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】