説明

カラーフィルター用組成物、硬化物、及びカラーフィルター

【課題】大型化が進むガラス基板に対して画素パターンを形成するのに適していると共に、低コスト化及び量産化が可能なインクジェット法に用いるインキ組成物において、耐薬品性や密着性等に優れたカラーフィルター用組成物、及びこれを硬化して得られた硬化物を用いて形成したカラーフィルターを提供する。
【解決手段】溶剤中に、2官能以上の多官能エポキシ化合物(A)、3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)、2官能以上の多官能アミノ樹脂(C)〔但し、アミノ樹脂が有する官能基は、−NH、−NR'、−NR'OH、又は、−NR'OR'である(R'はアルキル基を示す)〕、及び着色材(D)を必須成分として含有し、溶剤を除いた固形分の合計質量に対する着色材(D)の質量比率が10%〜60%であるカラーフィルター用組成物であり、また、これを160℃〜250℃で硬化して得られた硬化物を用いてカラーフィルターの画素を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット法によってカラーフィルターを作製するのに適したカラーフィルター用組成物、この組成物を硬化して得られた硬化物、及びカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置に使われるカラーフィルターの製造方法としては、感光性樹脂に光重合開始剤、各種添加剤、及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各着色材を加えた後、溶剤によって調製したカラーレジストを塗布し乾燥後、一連の工程により画素パターンをフォトリソ法により形成するのがこれまでの主流である。しかしながら、近時のマザーガラスの大型化に伴い、従来のフォトリソ法によるカラーフィルターの製造方法では、塗布工程などの各工程において技術的な問題点が生じ始めている。
【0003】
例えば、これまでにスピンコートを用いた塗工方法が主に用いられているが、ベースとなるマザーガラスが大きくなるにつれ、スピンコートで塗布することは技術的に困難になり、替わりにスリットコータを用いた塗工方法が採用されている。ところが、スリットコータを用いた塗工方法でも更なるマザーガラスの大型化により全面に均一な塗膜を形成することが難しく、特に8G、10Gクラスといった超大型マザーガラスでは、この問題はより一層顕著になる。また、フォトリソ法では3色ごとに塗工、乾燥、露光、現像、硬化の各処理が必要となることから、工程数が嵩みコスト高となってしまうと言う問題もあり、フォトリソ法とは別の画素形成手段が望まれている。
【0004】
そこで、フォトリソ法に替わるカラーフィルターの製造方法として、例えばオフセット印刷法やインクジェット法を用いた画像形成が提案され、実施化が進められている。このうち、オフセット印刷法については、超大型マザーガラスに対して十分安定した画素形成は困難な状態となっており、実用化が遅れている。これに対してインクジェット法による画素形成方法は、近年注目を集めて実施され、ある程度の実績を残していることは周知の事実である。そして、インクジェット法において使用されるインキについて幾つかの特許が提示されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
ところで、従来のフォトリソ用カラーフィルター用組成物は、液状アクリレートモノマーと光重合開始剤とを混合した光硬化型の組成物が一般的であり、UV照射と熱乾燥により硬化膜を作成している。しかしながら、インクジェット法においては、光硬化は行わず熱硬化によりカラーフィルターを作成する場合が多い。そのため、従来の光硬化型のカラーフィルター用組成物をインクジェット法により画素形成すると、硬化が不十分となり硬化膜の耐性が劣ってしまう。熱硬化を特徴とするカラーフィルター用組成物としては、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5等が開示されている。
【0006】
このうち、特許文献3は、エポキシモノマーを必須成分したカラーフィルター用熱硬化性組成物として開示されており、低粘度のインキにより吐出安定性を保っているが、耐溶剤性等の耐性については劣ってしまう。特許文献4は、エポキシモノマーを必須成分とするものであり、硬化収縮率が少なく平坦性、耐溶剤性に優れたカラーフィルター用熱硬化性組成物として開示されているが、硬化収縮率が多い方が顔料濃度を下げることができ、より耐薬品性には有利となる。特許文献5は、バインダー樹脂として、実質的にメラミン樹脂とエポキシ樹脂を必須成分とするものであり、インクジェットで吐出した際の画素内平坦性に優れたインキとして開示されているが、硬化剤が入っていないため、硬化不足となり耐薬品性等の耐性は劣ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3826561号公報
【特許文献2】特開2006−299090号公報
【特許文献3】特開2004−22036号公報
【特許文献4】特開2007−219302号公報
【特許文献5】特開2008−242203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カラーフィルターの製造において、大型化が進むガラス基板に対して画素パターンを形成するのに適していると共に、低コスト化及び量産化が可能なインクジェット法に用いるインキ組成物において、耐薬品性や密着性等に優れたカラーフィルター用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記組成物を硬化して得られた硬化物を用いて形成したカラーフィルターを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために検討した結果、本発明者等は、インクジェット法プロセスによるカラーフィルター用の画素形成において、熱硬化に適したカラーフィルター用組成物として、2官能以上の多官能エポキシ化合物、3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物、及び2官能以上の多官能アミノ樹脂を含有した組成物を用いることで、耐薬品性や密着性等に優れたカラーフィルターを作製することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、溶剤中に、2官能以上の多官能エポキシ化合物(A)、3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)、2官能以上の多官能アミノ樹脂(C)〔但し、アミノ樹脂が有する官能基は、−NH、−NR'、−NR'OH、又は、−NR'OR'である(R'はアルキル基を示す)〕、及び着色材(D)を必須成分として含有し、溶剤を除いた固形分の合計質量に対する着色材(D)の質量比率が10%〜60%であることを特徴とするカラーフィルター用組成物である。
【0011】
また、本発明のカラーフィルター用組成物は、上記(A)成分におけるオキシラン環100当量に対して、(B)成分のカルボン酸基が50〜110当量の範囲であると共に、(C)成分のアミノ官能基が10〜150当量の範囲であるのが好ましい態様である。
【0012】
更に、本発明は、上記カラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物であり、更にまた、本発明は、画素を形成する硬化膜が上記記載の硬化物からなるカラーフィルターである。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、2官能以上の多官能エポキシ化合物(A)、3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)、及び2官能以上の多官能アミノ樹脂(C)を必須成分として含有しており、上記(A)成分のオキシラン環数100に対して、(B)成分のカルボン酸基数が50〜110の範囲であると共に、(C)成分のアミノ官能基の数が10〜150の範囲であることが好ましいが、上記(A)成分のオキシラン環数100に対して、(B)成分のカルボン酸基数が60〜105の範囲であるか、又は(C)成分の官能基数が80〜150の範囲であるか、或いは(B)成分と(C)成分が同時にこのような条件の範囲となることがより好ましい。
【0014】
上記(A)〜(C)の化合物については、(A)成分のエポキシ基と(B)成分のカルボキシル基とが反応して架橋結合を形成する。また、(A)成分と(B)成分の架橋結合により新たに生成した水酸基が(C)成分と反応することで、強固な架橋構造を構成する。(A)成分のオキシラン環数100に対して(B)成分のカルボン酸基数が110より多いと、未反応のカルボキシル基が多く残存して粘度安定が悪化したり、架橋密度の低下により耐薬品性が悪化する等の不具合が生じる。また、(A)成分のオキシラン環数100に対して(C)成分が150より多いと、アミノ樹脂の自己縮合による膜収縮が大きくなりすぎて、画素内平坦性が悪くなってしまう。
【0015】
また、本発明のカラーフィルター用組成物の必須成分である着色材(D)は、溶剤を除いた固形分の合計質量に対する質量比重が10%〜60%であるが、好ましくは20%〜50%である。
【0016】
上記(A)〜(D)成分について、先ず、2官能以上の多官能エポキシ化合物(A)は、一分子中に2個以上のオキシラン環を有するエポキシ化合物であり、例えば、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等のノボラック型エポキシ樹脂系、ビスフェノールA型エポキシ系、ビスフェノールF型エポキシ等のビス型エポキシ樹脂系やビフェニル型エポキシ樹脂系、脂環式エポキシ樹脂系等を代表的なものとして挙げることができる。これらはその1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。
【0017】
3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等を代表的なものとして挙げることができる(ここでは酸無水物基1モルを2官能として数える)。これら3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)に存在するカルボキシル基および酸無水物基は、組成物中に存在するエポキシ基と反応して架橋結合を形成する。
【0018】
2官能以上の多官能アミノ樹脂(C)としては、下記一般式(1)
【化1】


〔但し、式中、R〜Rは、カルボキシル基や水酸基と縮合反応で架橋構造を形成しうる−H、−CHOH、−CHOR’を示し(R’は炭素数1〜4のアルキル基を示す)、R〜Rは同一又は異なってもよい〕で表される完全アルキル基型、イミノ基型、メチロール基型、あるいはその混合系のメラミン樹脂やそのオリゴマーを例示できる。あるいは一般式(1)のようにS−トリアジン骨格を持ち、置換基−NRRの一部がカルボキシル基や水酸基と縮合反応しない芳香族炭化水素又は炭素数1〜4のアルキル基にかわったグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、アルコキシメチル化グリコールウリル類のほか、尿素樹脂やそれらの類似品などが挙げられる。いずれも置換基−NRRの少なくとも一部が、カルボキシル基や水酸基と縮合反応で架橋構造を形成しうる場合の−NRRをアミノ官能基と定義する。
【0019】
特に、メラミンとホルムアルデヒドの縮合物にメチロール基が一部もしくはすべてがアルキル化されたブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、混合アルキル化メラミン樹脂、イミノ基含有アルキル化メラミン樹脂、及びメチロール基/イミノ基含有アルキル化メラミン樹脂が好適に用いられる。これらの市販品の具体例としては、サイメルシリーズ及びマイコートシリーズ(日本サイテックインダストリーズ(株)製)等がある。これらアミノ樹脂(C)は、加熱により組成物中に存在するエポキシ基とカルボキシル基が反応した結果生じる水酸基と縮合して、架橋を形成すると共に、自己縮合も生じる。
【0020】
着色材(D)は、有機顔料、無機顔料、及び染料の何れでもよく、これらはその1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。このうち、有機顔料としては、例えばアゾレーキ系、不溶性アゾ(PY150)系、フタロシアニン系(PG7、PG36&PB15.6)を含むシアニン系、キノフタロン系(PY138)、キナクドリン系、ジオキサジン(PV23)系、イソインドリノン(PY139)系、ベリノン系、アントラキノン(PR177)系、ピロロピロール系(PR254)、ペリレン系等の顔料を挙げることができ、これの1種又は2種以上を併用することもできる。無機顔料としては、例えばミロリブルー、酸化鉄、コバルト系、マンガン系、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の顔料を挙げることができ、これの1種又は2種以上を併用することもできる。これらの顔料については、得られる着色膜の透明性を維持しつつ着色できるようにするために、好ましくは可視光の波長の下限である0.4μm以下の平均粒子径に分散されているのがよく、実用的には平均粒子径の範囲が100nm以下であるのがより好ましい。
【0021】
また、染料としては、例えばピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、アゾメチン系等の、従来カラーフィルター用として公知である染料が適用できる。
【0022】
カラーフィルター用組成物に含まれる溶剤については、特に制限されないが、インクジェット法でカラーフィルターを形成する場合は全溶剤分に対して、沸点200℃以上の高沸点溶剤が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。沸点200℃未満の溶剤が共存すると乾燥タクトの削減で好ましい場合があるが、沸点200℃未満の溶剤が全溶剤のなかで20質量%以上なると、インク組成物における溶剤の蒸発が速くなりすぎて、着色膜の平坦性が低下する。
【0023】
沸点200℃以上の高沸点溶剤としては、特に制限されないが、好ましくはジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びその末端アセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル及びその末端アセテート類もしくはジエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びその末端アセテート類、並びにポリエチレングリコールのジアルキルエーテル類からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのがよい。
【0024】
また、沸点が200℃以下の低沸点溶剤としては、特に制限されないが、メチルエチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸エチル等の乳酸エステル類、酢酸n−ブチル等の酢酸エステル類などの有機溶剤を例示することができる。
【0025】
本発明のカラーフィルター用組成物には、上記(A)〜(D)成分の樹脂またはモノマー以外の公知の硬化性樹脂もしくはモノマーを含有することができ、例えばインクジェットカラーフィルターの製造プロセスを考慮して重合開始剤を含むことができる。重合開始剤としては熱重合開始剤が好ましいが、光重合開始剤等も付与することができる。熱重合開始剤としては過酸化物を用いるのが一般的であり、公知の具体例としては、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0026】
本発明のカラーフィルター用組成物は、インクジェット法により画素を形成するのに好適であり、例えば公知の手段によって吐出された組成物を160℃〜250℃で硬化させることで、所定の画素を形成してカラーフィルターを得ることができる。なお、本発明のカラーフィルター用組成物は、インクジェット法以外の方法に適用することを妨げるものではない。
【発明の効果】
【0027】
本発明におけるカラーフィルター用組成物は、インクジェット法によるカラーフィルターの作成において十分に硬化し、耐薬品性、密着性等に優れたカラーフィルターを作製することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下における「部」はいずれも質量部を示す。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を100部として、これに対して高分子系分散剤80部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート820部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)40部、無水トリメリット酸8部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)23部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート239部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー315部を得た。これに上記で得られた分散液685部を配合し、十分に攪拌して実施例1に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0030】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターA)を製作した。
【0031】
[実施例2]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)29部、無水トリメリット酸9部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)20部、触媒(サンアプロ株式会社製 U−CAT SA102)1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート236部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例2に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0032】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターB)を製作した。
【0033】
[実施例3]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)33部、無水トリメリット酸6部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)19部、触媒(サンアプロ株式会社製 U−CAT SA102)1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート235部、界面活性剤0.5部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例3に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0034】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターC)を製作した。
【0035】
[実施例4]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)37部、無水トリメリット酸6部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)18部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート234部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例4に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0036】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターD)を製作した。
【0037】
[実施例5]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製YX−4000H)30部、無水トリメリット酸10部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製サイメル370)22部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート233部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例5に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0038】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターE)を製作した。
【0039】
[実施例6]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)29部、無水トリメリット酸10部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)21部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート235部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例6に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0040】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターF)を製作した。
【0041】
[実施例7]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)33部、無水トリメリット酸10部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)20部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート232部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例7に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0042】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターG)を製作した。
【0043】
[実施例8]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)31部、無水トリメリット酸9部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)19部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート236部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例8に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0044】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターH)を製作した。
【0045】
[実施例9]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製 EHPE−3150)29部、無水トリメリット酸10部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)21部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート235部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例9に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0046】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターI)を製作した。
【0047】
[実施例10]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を100部として、これに対して高分子系分散剤80部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート820部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂酸無水物付加体の56.2質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新日鐵化学社製商品名:V−259ME)48部、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)28部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)15部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート223部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー319部を得た。これに上記で得られた分散液681部を配合し、十分に攪拌して実施例10に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0048】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターJ)を製作した。
【0049】
[実施例11]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)26部、無水トリメリット酸8部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル303)24部、触媒(サンアプロ株式会社製 U−CAT SA102)1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート236部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して実施例11に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0050】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターK)を製作した。
【0051】
[比較例1]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を100部として、これに対して高分子系分散剤80部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート820部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、3官能アクリルモノマー(サートマー株式会社製 SR−444)20部、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)25部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)24部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート246部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー320部を得た。これに上記で得られた分散液680部を配合し、十分に攪拌して比較例1に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0052】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターL)を製作した。
【0053】
[比較例2]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂の56.2質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新日鐵化学社製商品名:V−259ME)43部、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000H)10部、3官能アクリルモノマー(サートマー株式会社製 SR−368)24部、ベンゾイルパーオキサイドの40質量%キシレン溶液(日油株式会社製 ナイパーBMT−K40)3部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート215部、界面活性剤0.5部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して比較例2に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0054】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターM)を製作した。
【0055】
[比較例3]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、無水トリメリット酸25部、メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製 サイメル370)52部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート218部、界面活性剤0.5部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して比較例3に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0056】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターN)を製作した。
【0057】
[比較例4]
(カラーフィルター用組成物の作製)
ピグメント・レッド254を140部として、これに対して高分子系分散剤85部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート775部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い、分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次に、3官能アクリルモノマー(サートマー株式会社製 SR−368)58部、ベンゾイルパーオキサイドの40質量%キシレン溶液(日油株式会社製 ナイパーBMT−K40)3部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート234部、界面活性剤0.3部、及びシランカップリング剤5部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー300部を得た。これに上記で得られた分散液700部を配合し、十分に攪拌して比較例4に係るカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
【0058】
(モデルカラーフィルターの製作)
上記で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmのガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上90℃で3分間乾燥させた後、熱風オーブン中240℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターO)を製作した。
【0059】
上記実施例及び比較例で得たカラーフィルター用組成物の配合を表1及び表2にまとめて示す。また、各カラーフィルター用組成物から得られた硬化膜について、以下のような評価を行った。結果をまとめて表1に記す。なお、表1中に記した使用材料は、以下のとおりである。
YX−4000H:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製)
ESF−300:ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(新日鐵化学社製)
EHPE:脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製:EHPE−3150)
無水トリメリット酸:(三菱ガス化学社製)
V−259ME:ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂の56.2質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新日鐵化学社製商品名)
サイメル370:メチロール基型メチル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製)、有効成分88%。
サイメル303:完全アルキル型メチル化メラミン樹脂(日本サイテックインダストリーズ社製)
SR−444:ペンタエリストールトリアクリレート(サートマー社製)
SR−368:トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(サートマー製)
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製 サイラエースS−510)
界面活性剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの51%プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート溶液(ビックケミージャパン社製 BYK−330)
触媒:ベンゾイルパーオキサイドの40質量%キシレン溶液(日油株式会社製 ナイパーBMT−K40)
溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ダイセル化学社製)
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
(耐薬品性評価)
硬化膜を40℃のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に30分間浸漬後、熱風オーブン中230℃で30分間焼成する耐薬品性評価試験を行い、NMPに浸漬する前の硬化膜の膜厚を基準にして、浸漬処理後の硬化膜の膜厚変化率、及び焼成処理後の硬化膜の膜厚変化率を求めて、それぞれ以下の基準で評価した。
◎:膜変化率が±5%未満のもの
○:膜変化率が±10%未満のもの
×:膜変化率が±10%以上のもの
【0063】
(密着性評価)
上記耐薬品性評価試験で溶剤に浸漬した硬化膜に少なくとも100個の基板目を作るようにクロスカットを入れて、ついでセロテープ(登録商標)を用いてピーリング試験を行い、NMPに浸漬する浸漬処理後の硬化膜、及び浸漬処理後、更に焼成処理した後の硬化膜の基板目の剥離状態をそれぞれ目視によって評価した。評価の基準は次のとおりである。
○:全く剥離が認められないもの
×:剥離が少しでも認められるもの
【0064】
(安定性評価)
カラーフィルター用組成物の粘度安定性評価として、カラーフィルター用組成物の作製直後の粘度を基準にして、カラーフィルター用組成物を室温で保管して1週間経過後の粘度の変化率、及び40℃で保管して1週間経過後の粘度の変化率を求めて、それぞれ以下の基準で評価した。
◎:変化率が10%未満のもの
○:変化率が20%未満のもの
×:変化率が20%以上のもの
【0065】
表1及び表2に示したとおり、実施例及び比較例で得られたモデルカラーフィルターにおける耐薬品性及び密着性の評価について、実施例のモデルカラーフィルターは、密着性が何れも良好であり、耐薬品性評価においても膜変化率が±10%以内におさまっている。一方、比較例のモデルカラーフィルターは密着性が悪く、剥がれが生じてしまう。また、密着性が良好であった比較例2、及び4の場合においても、耐薬品性試験後の膜変化率が大きいことが分った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤中に、2官能以上の多官能エポキシ化合物(A)、3官能以上の多官能カルボン酸誘導体化合物(B)、2官能以上の多官能アミノ樹脂(C)〔但し、アミノ樹脂が有する官能基は、−NH、−NR'、−NR'OH、又は、−NR'OR'である(R'はアルキル基を示す)〕、及び着色材(D)を必須成分として含有し、溶剤を除いた固形分の合計質量に対する着色材(D)の質量比率が10%〜60%であることを特徴とするカラーフィルター用組成物。
【請求項2】
上記(A)成分におけるオキシラン環100当量に対して、(B)成分のカルボン酸基が50〜110当量の範囲であると共に、(C)成分のアミノ官能基が10〜150当量の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項3】
インクジェット法により画素を形成するのに用いる請求項1又は2に記載のカラーフィルター用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物を160℃〜250℃にて硬化して得られる硬化物。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化物を用いて画素を形成したカラーフィルター。

【公開番号】特開2011−107632(P2011−107632A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265413(P2009−265413)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】