カラーフィルタ基板、電気光学装置、およびカラーフィルタ基板の製造方法
【課題】製造工程数を増やさず、かつ、基板厚を増大させずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面を備えた偏向用基板にカラーフィルタを付加したカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板を備えた電気光学装置、および当該カラーフィルタ基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100において、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26で挟まれた凹部260に液状のカラーフィルタ材料を塗布した後、硬化させてカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、偏向突起26の斜面261に光反射性が付与されており、斜面261での反射により画素開口領域100dに向けて光を効率よく導く。
【解決手段】電気光学装置100において、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26で挟まれた凹部260に液状のカラーフィルタ材料を塗布した後、硬化させてカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、偏向突起26の斜面261に光反射性が付与されており、斜面261での反射により画素開口領域100dに向けて光を効率よく導く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性基板上にカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板を備えた電気光学装置、および当該カラーフィルタ基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置では、配線領域の確保など目的に縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する。例えば、代表的な電気光学装置である液晶装置は、図12(a)、(b)に示すように、画素電極が形成された素子基板10と、この素子基板10に対向配置された対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に保持された液晶層50とを備えており、素子基板10において配線および画素スイッチング用のトランジスタが形成された領域14、および対向基板20においてブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光層24が形成された領域によって、遮光領域100cが規定され、遮光領域100cの内側は、画素電極を備えた画素開口領域100dになっている。このような液晶装置において、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって光変調した後、素子基板10から出射する構成を採用した場合、入射光を効率よく利用するには、対向基板20の側から入射した光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。
【0003】
そこで、ドライエッチングなどにより、対向基板20側において遮光領域100cと重なる領域に、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面265を備えた断面V字形状の偏向溝264(図12(b)において右下がりの斜線を付した領域)を縦横に形成した偏向用基板20eを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−215427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の液晶装置を直視型のカラー表示装置などとして構成する場合、対向基板20側にカラーフィルタを形成する必要があるが、図12(a)、(b)に示すように、対向基板20側に偏向用基板20eを用いた場合、対向基板20にカラーフィルタを追加すると、製造程数が増大するとともに、対向基板20が分厚くなってしまうという問題点がある。すなわち、対向基板20を製造するには、偏向溝264を形成するためのエッチング対象領域に対応する開孔部を備えたレジストマスクを偏向用基板20eに形成した後、偏向用基板20eの基板面およびレジストマスクにドライエッチングを行い、偏向溝264を形成した後、偏向用基板20eより屈折率が低い樹脂材料や空気などの低屈折率材料263を偏向溝264に充填した状態で、偏向用基板20eの基板面に接着剤20xを介してカバー基板20yを貼り付け、カバー基板20yの表面に遮光層24および共通電極21を順に形成する。このため、対向基板20に偏向用基板20eを用いただけでも、製造程数が増大しているとともに、対向基板20が分厚くなっている上に、対向基板20に別途カラーフィルタを形成すると、製造程数が増大するとともに、対向基板20が分厚くなってしまうのである。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、製造工程数を増やさず、かつ、基板厚を増大させずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面を備えた偏向用基板にカラーフィルタを付加させることのできるカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板を備えた電気光学装置、および当該カラーフィルタ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板において、前記透光性基板の一方面側には、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起が形成され、平面視において前記偏向突起によって挟まれた領域内の全体にわたって前記カラーフィルタが形成されているとともに、当該偏向突起の斜面には、前記透光性基板の一方面側から当該斜面に向けて入射した光を反射して前記透光性基板の他方面側から出射する光反射性が付与されていることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明では、透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板の製造方法において、前記透光性基板の一方面側に、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起を形成する第1工程と、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与するとともに、前記偏向突起によって挟まれた領域内に所定色の液状のカラーフィルタ形成材料を塗布した後、当該カラーフィルタ形成材料を固化させて前記カラーフィルタを形成する第2工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明を適用したカラーフィルタ基板では、一方面側から入射した光を反射して光の利用効率を高めるために偏向突起が形成されており、かかる偏向突起で挟まれた凹部を埋める際、凹部内にカラーフィルタを配置する。このため、偏向突起で挟まれた凹部を埋める工程とカラーフィルタを形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く偏向突起を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板として製造することができる。また、カラーフィルタは、偏向突起で挟まれた凹部内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板として構成することができる。
【0009】
本発明において、前記偏向突起は透光性材料から形成され、前記カラーフィルタは、当該偏向突起より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、前記偏向突起の斜面に光反射性が付与されていることが好ましい。すなわち、本発明を適用したラーフィルタ基板の製造方法において、前記偏向突起は透光性材料から形成されており、前記第2工程では、前記偏向突起を構成する材料より屈折率の大きな材料により前記カラーフィルタを形成することにより、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与することが好ましい。このように構成すると、偏向突起の斜面に光反射層を形成しなくても、偏向突起の斜面に光反射性を付与することができるので、光反射層の形成工程を省略できる分、製造工程数を減らすことができる。
【0010】
本発明において、前記カラーフィルタは保護層で覆われているとともに、当該保護層は、前記カラーフィルタが形成されている領域を含む全体が平坦であることが好ましい。このように構成すると、カラーフィルタの劣化を防止することができるとともに、カラーフィルタ基板の光入射面に偏向突起やカラーフィルタに起因する凹凸が発生することを防止することができる。
【0011】
本発明において、前記カラーフィルタの厚さ寸法は、前記偏向突起の高さ寸法より薄いことが好ましい。このように構成すると、カラーフィルタを形成する際、カラーフィルタの体積が、カラーフィルタ形成材料からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料の充填量より小さくなる場合でも、カラーフィルタ形成材料の塗布および乾燥を多数回、繰り返す必要がなく、カラーフィルタ形成材料の塗布および乾燥を1回乃至少数回行なえばよい。それ故、カラーフィルタ基板の生産性を向上することができる。
【0012】
本発明において、前記偏向突起は、前記複数の画素の各々の全周を囲むように格子状に形成されている構成を採用できる。この場合、カラーフィルタの配列がストライプ配列やデルタ配列、モザイク配列のいずれであっても対応することができる。また、画素の全周が偏向突起で囲まれているので、入射した光の利用効率を高めることができる。
【0013】
本発明において、前記複数の画素は、同色に対応する画素が直線状に配置されている場合、すなわち、カラーフィルタの配列がストライプ配列である場合、前記偏向突起は、前記異なる色に対応する画素の境界領域に沿って直線状に形成されている構成を採用してもよい。このように構成すると、カラーフィルタを効率よく形成でき、カラーフィルタ基板の生産性を向上することができる。
【0014】
本発明を適用したカラーフィルタ基板は、電気光学装置に用いることができ、この場合、前記カラーフィルタ基板には、一方面側から前記複数の画素の各々で光変調するための光、あるいは前記複数の画素の各々で光変調した後の光が入射することになる。本発明において、電気光学装置は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマ表示装置など、電気信号に基づいて各画素から変調した光を出射する装置のことをいう。
【0015】
本発明に係る電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記カラーフィルタ基板に対して対向配置された素子基板と、該素子基板と前記カラーフィルタ基板との間に保持された液晶層とを備え、当該素子基板は、前記複数の画素の境界領域に沿って延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で前記カラーフィルタ基板から入射した光が透過可能な複数の画素開口領域とを備え、前記画素開口領域は、前記カラーフィルタと重なる位置に配置された構成が採用される。
【0016】
本発明を適用したカラーフィルタの製造方法において、前記第2工程では、前記透光性基板の一方面において前記偏向突起で挟まれた領域を選択的にエッチングして前記偏向突起を残す方法を採用することができる。
【0017】
本発明を適用したカラーフィルタの製造方法において、前記第2工程では、前記透光性基板上に透光性の被転写層を形成する被転写層形成工程と、型部材において前記偏向突起の形状に対応する溝状凹部を備えた成形面を前記被転写層に押し付けて前記溝状凹部の反転パターンを当該被転写層に転写して前記偏向突起を形成する転写工程と、を行なう方法を採用してもよい。この場合、前記被転写層は、例えば、樹脂材料あるいは低融点ガラス材料からなる。このような方法を採用すると、偏向突起をエッチングで形成する必要がないので、カラーフィルタ基板を効率よく製造することができ、かつ、偏向突起の斜面については、傾き角度の精度が高く、ばらつきが発生しない。
【0018】
本発明に係る電気光学装置は、直視型のカラー表示装置として用いることができる他、1つの液晶装置でカラー画像を拡大投射する投射型表示装置に用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用した電気光学装置、および電気光学装置に用いたカラーフィルタ基板の製造方法(電気光学装置の製造方法)を説明する。なお、対応関係を明確化することを目的に、以下の説明では、可能な限り、図12を参照して説明した構成と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。また、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、電界効果型トランジスタでは、印加する電圧によってソースとドレインが入れ替わるが、以下の説明では、説明の便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとして説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(電気光学装置の全体構成)
図1(a)、(b)は、本発明を適用した電気光学装置(液晶装置)に用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
図1(a)に示すように、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、液晶パネル100xを有している。本形態において、液晶パネル100xは、素子基板10と、この素子基板10に対向する対向基板20とを備えており、対向基板20の側から入射した光を変調して素子基板10の側から出射する透過型の液晶パネルである。素子基板10と対向基板20とは、シール材(図示せず)を介して貼り合わされて対向しており、シール材の内側領域にはTN(Twisted Nematic)液晶などからなる液晶層50が保持されている。詳しくは後述するが、素子基板10において対向基板20と対向する面側には島状の画素電極9aなどが形成され、対向基板20において素子基板10と対向する面側には、その略全面に共通電極21が形成されている。なお、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、素子基板10上に形成される。
【0022】
図1(b)に示すように、電気光学装置100の素子基板10において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状の複数の画素100aの各々には、画素電極9aと、画素電極9aをスイッチング制御するための画素トランジスタとしてのMOS型の電界効果型トランジスタ30とが形成されている。また、画像表示領域10aには、画像信号を供給するための複数のデータ線6aと、走査信号を供給するための複数の走査線3aとが互いに交差する方向に延びており、データ線6aはデータ線駆動回路101に接続され、走査線3aは走査線駆動回路104に接続されている。電界効果型トランジスタ30のソースにはデータ線6aが接続し、電界効果型トランジスタ30のゲートには走査線3aが接続されている。画素電極9aは、電界効果型トランジスタ30のドレインに電気的に接続されており、電界効果型トランジスタ30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給されるデータ信号を各画素100aに所定のタイミングで書き込む。そして、図1(a)に示す画素電極9a、液晶層50、および共通電極21により構成された液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画素信号は一定期間保持される。
【0023】
ここで、液晶容量50aには並列に蓄積容量55が形成されており、蓄積容量55によって、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100を実現できる。本形態では、蓄積容量55を構成するために、走査線3aと並列するように容量線5bが形成されており、かかる容量線5bは共通電位線(COM)に接続され、所定の電位に保持されている。なお、蓄積容量55は前段の走査線3aとの間に形成される場合もある。
【0024】
ここで、複数の画素100aは各々、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応しており、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3つの画素100aによって1つのピクセルが構成されている。本形態では、同色に対応する画素100aが直線状に並んだストライプが採用されており、画素100aが対応する色は、後述するカラーフィルタによって規定される。
【0025】
(画素の具体的構成)
図2は、本発明を適用した電気光学装置の画素1つ分の断面図である。図3(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。図2は、図3(a)のA−A′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、図3(a)、(b)では、半導体層は細くて短い点線で示し、走査線3aは太い実線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、容量線5bは二点鎖線で示し、画素電極9aおよびそれと同時形成された薄膜は太くて長い点線で示し、後述する中継電極は細い実線で示してある。
【0026】
図2および図3(a)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、各画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びている。また、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に電界効果型トランジスタ30が形成されている。また、素子基板10上には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0027】
素子基板10は、石英基板やガラス基板などの透光性材料からなる支持基板11(基板本体)、その液晶層50側の表面に形成されたITO(Indium Tin Oxide)膜からなる画素電極9a、画素スイッチング用の電界効果型トランジスタ30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、後述するカラーフィルタ基板20b、その液晶層50側の表面に形成されたITO膜からなる共通電極21、および配向膜29を主体として構成されている。
【0028】
素子基板10において、画素電極9aに隣接する位置には電界効果型トランジスタ30が形成されている。電界効果型トランジスタ30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、半導体層1aには、走査線3aに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1a′、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eが形成されている。半導体層1aは、例えば、石英基板からなる支持基板11上に下地絶縁膜12を介して形成された単結晶シリコン層によって構成され、このような構成の素子基板10は、石英基板と単結晶シリコン基板とが絶縁層を介して貼り合わされたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることにより実現することができる。このようなSOI基板は、例えば、単結晶シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成した上で石英基板と貼り合わせる方法、あるいは石英基板と単結晶シリコン基板の双方にシリコン酸化膜を形成した上でシリコン酸化膜同士を接触させて貼り合わせる方法を採用できる。このような基板を用いた場合、ゲート絶縁層2は、半導体層1aに対する熱酸化膜により形成できる。半導体層1aとしては、単結晶シリコン層の他、アモルファスシリコンをレーザアニールやランプアニールにより多結晶化したポリシリコン膜や、アモルファスシリコン膜を用いることができ、この場合、支持基板11としてガラス基板を用いることができる。このような場合、ゲート絶縁層2は、CVD法などで形成される。なお、走査線3aには、ポリシリコンやアモルファスシリコン、単結晶シリコン膜などのシリコン膜や、これらのポリサイドやシリサイド、あるいは金属膜が用いられる。
【0029】
走査線3aの上層側には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール82、および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83を備えたシリコン酸化膜などからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41の上層には中継電極4a、4bが形成されている。中継電極4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差する位置を基点として走査線3aおよびデータ線6aに沿って延出する略L字型に形成されており、中継電極4bは、中継電極4bと離間した位置において、データ線6aに沿うように形成されている。中継電極4aは、コンタクトホール83を介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続され、中継電極4bは、コンタクトホール82を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0030】
中継電極4a、4bの上層側には、シリコン窒化膜などからなる誘電体膜42が形成されており、この誘電体膜42を介して、中継電極4aと対向するように容量線5bが形成され、蓄積容量55が形成されている。中継電極4a、4bは導電性のポリシリコン膜や金属膜等からなり、容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0031】
容量線5bの上層側には、中継電極4aへ通じるコンタクトホール87、および中継電極4bへ通じるコンタクトホール81を備えたシリコン酸化膜などからなる第2層間絶縁膜43が形成されている。第2層間絶縁膜43の上層にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成されている。データ線6aはコンタクトホール81を介して中継電極4bに電気的に接続し、中継電極4bを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。ドレイン電極6bはコンタクトホール87を介して中継電極4aに電気的に接続し、中継電極4aを介して、高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0032】
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側には、シリコン酸化膜などからなる第3層間絶縁膜44が形成されている。第3層間絶縁膜44には、ドレイン電極6bへ通じるコンタクトホール86が形成されている。
【0033】
第3層間絶縁膜44の上層には、ITO膜などからなる透光性の画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール86を介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。
【0034】
これに対して、対向基板20では、後述する偏向突起やカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板20bを備えており、カラーフィルタ基板20bにおいて素子基板10と対向する面側にはITO膜からなる共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0035】
このように構成した電気光学装置100においては、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって、表示に直線寄与しない格子状の遮光領域100c(図3(b)に右上がりの斜線を付した領域)が形成されており、かかる遮光領域100cは、互いに交差する第1方向(矢印Xで示す方向)および第2方向(矢印Yで示す方向)に延在し、かかる遮光領域100cで周りが囲まれた領域が、変調光を出射して表示に直接寄与する画素開口領域100dになっている。本形態では、対向基板20には、いわゆるブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光膜が形成されていない。このため、遮光領域100cは、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって規定されている。
【0036】
(画素の具体的構成)
図4(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板(偏向用基板)の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。なお、図4(a)では、素子基板10側の配向膜16などの図示を省略してある。
【0037】
図4(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においては、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって画素毎に光変調した後、素子基板10から出射する。このため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。そこで、本形態では、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、光が入射する側に斜面261を向ける断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26は、遮光領域100cと重なる領域に沿って形成されている。このため、偏向突起26は複数の画素100aの全周を囲むように格子状に形成されている。
【0038】
本形態において、断面V字形状の偏向突起26は、カラーフィルタ基板20bの母材である透光性基板20fの一方の面20g(液晶層50が位置する側とは反対側)に形成されている。また、カラーフィルタ基板20bにおいて、透光性基板20fの一方の面20gでは、偏向突起26で挟まれた凹部260内に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、平面視において凹部260の内部全体に形成されている。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法は、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等になっている。
【0039】
また、透光性基板20fの一方の面20g側では、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性の樹脂層からなる保護膜20iが形成されており、かかる保護膜20iは平坦化膜としても機能しており、カラーフィルタ基板210bにおいて、光が入射する側の面20jは、偏向突起26およびカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている領域を含む全体が平坦面になっている。
【0040】
ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなる。このため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与されている。
【0041】
すなわち、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を構成する材料の屈折率をn11とし、偏向突起26を構成する透光性材料(透光性基板20f)の屈折率をn12とし、斜面261の法線に対する光の入射角度をθ0とした場合、n11>n12で、かつ、n11、n12、θ0が以下の式
sinθ0>n12/n11
を満たせば、全反射が起こるので、斜面261に反射性を付与することができる。
【0042】
なお、透光性基板20fにおいて、液晶層50が位置する側の面20kは、平滑面になっており、その表面に共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0043】
(偏向突起26の作用効果)
このように構成した電気光学装置100では、対向基板20の側からは光源からの様々な入射角度の光が入射し、かかる入射光のうち、画素開口領域100dに向かう光は、矢印L1で示すように、そのまま進行する。これに対して、矢印L2で示すように、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光については、矢印L3で示すように、偏向突起26の反射性の斜面261で反射し、画素開口領域100dに向かう。ここで、偏向突起26は、斜面261を一辺とする略二等辺三角形形状の断面を有しており、三角形形状の頂点は、遮光領域100cの幅方向の中心に位置している。また、偏向突起26の幅寸法(三角形形状の底辺の長さ)は、遮光領域100cの幅寸法と略同一寸法、あるいはやや幅広に設定されており、これにより、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光についても有効に利用することができる。
【0044】
(カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法)
図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100に用いたカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法を示す工程断面図である。
【0045】
本形態に係る電気光学装置100に用いた対向基板20(偏向用基板)を製造するには、まず、透光性基板20fの一方の面20gの側に偏向突起26を形成する偏向突起形成工程(第1工程)を行なう。具体的には、図5(a)に示すように、透光性基板20fの一方の面20gに対して感光性レジスト層を例えば50〜200μmの厚さで塗布した後、露光、現像し、開孔部66aを備えたエッチングマスク66を形成する。ここで、エッチングマスク66は、図4を参照して説明した偏向突起26と略同一パターンに形成されている。
【0046】
次に、透光性基板20fの一方の面20gにエッチングマスク66を形成した状態で、透光性基板20fの基板面にドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、エッチングエリアに高密度プラズマを均一に形成できるエッチングガスとして、例えば、C4F8、CHF3等のフッ化物系ガスを用いる。また、透光性基板20fとエッチングマスク66とのエッチング選択比を例えば4:1とする。その結果、図5(b)に示すように、エッチングマスク66の厚みに対して略4倍の高さを有する断面V字形状の偏向突起26を残すことができるとともに、偏向突起26で挟まれた領域には、エッチングマスク66の厚みに対して略4倍の深さを有する凹部260が形成される。
【0047】
次に、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するとともに、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成するカラーフィルタ形成工程(第2工程)を行なう。具体的には、図5(c)に示すように、インクジェット法などの液滴吐出法で、偏向突起26で挟まれた凹部260内に対して所定色の液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を選択的に塗布した後、加熱して、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)から溶媒成分を蒸発させるとともに、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を硬化させて、図5(d)に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなるため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与される。
【0048】
かかる方法でカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する際、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の体積は、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の充填量より小さくなる。従って、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等とする場合には、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を繰り返す。但し、図8を参照して後述するように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法については、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)より薄くてもよい。
【0049】
次に、図5(e)に示すように、透光性基板20fの一方の面20g側に対して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性樹脂層からなる保護膜20iを形成する。
【0050】
次に、必要に応じて、図5(f)に示す研磨工程を行なう。この研磨工程では、透光性基板20fの他方の面20kを研磨し、透光性基板20fの薄板化を行なうとともに、面20kを平滑化する。かかる研磨工程において、本形態では、化学機械研磨を行なう。この化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と透光性基板20fとの相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などからなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、透光性基板20fを保持するホルダとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と透光性基板20fとの間に供給する。なお、透光性基板20fの一方の面20gにおいて、保護膜20iがシリコン酸化膜などからなる場合、保護膜20iの表面にも研磨を行ない、平坦化してもよい。
【0051】
このようにしてカラーフィルタ基板20bを製造した後、図5(g)に示すように、透光性基板20fの面20k側に共通電極21および配向膜29を形成し、対向基板20を得る。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカラーフィルタ基板20bでは、一方面側から入射した光を反射して光の利用効率を高めるために偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める際、凹部260に液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を塗布し、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。このため、偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める工程と、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面261を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして製造することができる。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26で挟まれた凹部260内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして構成することができる。
【0053】
また、偏向突起26は透光性材料から形成され、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、偏向突起26の斜面261に光反射性が付与されている。このため、偏向突起26の斜面261に光反射層を形成しなくても、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与することができるので、光反射層の形成工程を省略できる分、製造工程数を減らすことができる。
【0054】
さらに、偏向突起26は、複数の画素100aの各々の全周を囲むように形成されているため、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の配列がストライプ配列に限らず、デルタ配列やモザイク配列であっても対応することができるとともに、光の利用効率が高い。
【0055】
さらにまた、本形態では、断面V字形状の偏向突起26によって入射光を画素開口領域100dに導くため、対向基板20には、ブラックマトリクスやブラックストライプなどと称せられる遮光層(図12参照)を設ける必要がないので、その分、製造工程数を減らすことができる。
【0056】
[実施の形態2]
図6(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板(偏向用基板)の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。なお、図6(a)では、素子基板10側の配向膜16などの図示を省略してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0057】
図6(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって画素毎に光変調した後、素子基板10から出射する。このため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。そこで、本形態では、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、変調すべき光が入射する側に斜面261を向ける断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26は、遮光領域100cと重なる領域に沿って形成されている。本形態において、偏向突起26は複数の画素100aの全周を囲むように格子状に形成されている。
【0058】
かかる偏向突起26を構成するにあたって、本形態では、カラーフィルタ基板20bにおいて、その母材である透光性基板20fの変調すべき光が入射する一方の面20g(液晶層50が位置する側とは反対側)には、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料、あるいは低融点ガラスからなる透光性の被転写層20hが形成されており、かかる被転写層20hに、光の入射側に向かって尖った断面V字形状の偏向突起26が形成されている。
【0059】
また、カラーフィルタ基板20bにおいて、透光性基板20fの一方の面20gでは、偏向突起26で挟まれた凹部260内に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、平面視において凹部260の内部全体に形成されており、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法は、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と同様である。さらに、透光性基板20fの一方の面20gでは、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性の樹脂層からなる保護膜20iが形成されており、かかる保護膜20iは平坦化膜としても機能しており、カラーフィルタ基板210bにおいて、光が入射する側の面20jは全体が平坦面になっている。
【0060】
ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、実施の形態1と同様、偏向突起26を構成する透光性材料(被転写層20h)よりも屈折率が高い透光性樹脂材料に色材を分散させた材料からなる。このため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与されている。従って、光源から対向基板20には様々な入射角度の光が入射した際、かかる入射光のうち、画素開口領域100dに向かう光は、矢印L1で示すように、そのまま進行する一方、矢印L2で示すように、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光については、矢印L3で示すように、偏向突起26の反射性の斜面261で反射させ、画素開口領域100dに向かわせることができる。なお、透光性基板20fにおいて、液晶層50が位置する側の面20kは、平滑面になっており、その表面に共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0061】
(カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法)
図7を参照して、本形態の電気光学装置100の製造工程のうち、カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造工程を説明する。図7は、本形態の電気光学装置100に用いたカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造工程を示す工程断面図である。
【0062】
本形態のカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20を製造するには、まず、図7(a)、(b)に示す工程により、転写用の型部材61を形成する。それには、図7(a)に示すように、型部材61の基材として、シリコン基板、石英基板、ニッケルなどの金属基板などからなる板材610を準備した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、その一方の面611に、厚さが50〜200μmのレジストマスク62を形成する。次に、板材610に対してドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、板材610とレジストマスク62とのエッチング選択比を例えば4:1とする。その結果、図7(b)に示すように、レジストマスク62の厚みに対して略4倍の深さを有する断面V字形状の溝状凹部612が形成される。このようにして、成形面613に断面V字形状の溝状凹部612を備えた型部材61を得ることができ、かかる溝状凹部612の形状は、図7(a)を参照して説明した偏向突起26の形状に対応している。
【0063】
かかる型部材61を用いてカラーフィルタ基板20bを製造するには、まず、透光性基板20fの一方の面20gの側に偏向突起26を形成する偏向突起形成工程(第1工程)を行なう。具体的には、図7(c)に示す被転写層形成工程において、カラーフィルタ基板20bの母材たる透光性基板20fの一方の面20gに、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料、あるいは低融点ガラスからなる透光性の被転写層20hを形成する。かかる材料のうち、熱硬化性樹脂を用いた場合には、ある程度、軟性をもった状態に硬化を止めておく。
【0064】
次に、図7(d)に示す転写工程において、被転写層20hを加熱するなどの方法で軟化性を示す状態とした後、被転写層20hに型部材61の成形面613を押し付けて、溝状凹部612の反転パターンを被転写層20hに転写する。次に、被転写層20hを固化させた後、型部材61を外すと、図7(e)に示すように、被転写層20hには、斜面261を備えた偏向突起26が形成される。また、偏向突起26で挟まれた領域には凹部260が形成される。なお、転写の際、型部材61の成形面613に離型剤を塗布しておくと、型部材61を容易に外すことができ、偏向突起26の形状が崩れない。
【0065】
それ以降は、実施の形態1と同様、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するとともに、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成するカラーフィルタ形成工程(第2工程)を行なう。具体的には、図7(f)に示すように、インクジェット法などの液滴吐出法で、偏向突起26で挟まれた凹部260に対して所定色の液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を選択的に塗布した後、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を硬化させて、図7(g)に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなるため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与される。
【0066】
次に、図7(h)に示すように、透光性基板20fの一方の面20gに対して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や樹脂層からなる保護膜20iを形成する。次に、必要に応じて、図7(i)に示す研磨工程を行ない、透光性基板20fの薄板化を行なうとともに、面20kを平滑化する。かかる研磨工程においても、実施の形態1と同様、化学機械研磨を行なう。なお、透光性基板20fの一方の面20gにおいて、保護膜20iがシリコン酸化膜などからなる場合、保護膜20iの表面にも研磨を行ない、平滑化してもよい。
【0067】
このようにしてカラーフィルタ基板20bを製造した後、図7(j)に示すように、透光性基板20fの面20k側に共通電極21および配向膜29を形成し、対向基板20を得る。
【0068】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカラーフィルタ基板20bでは、実施の形態1と同様、偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める工程と、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面261を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして製造することができる。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26で挟まれた凹部260内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして構成することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0069】
さらに、本形態では、カラーフィルタ基板20bを得るにあたって、透光性基板20f上に透光性の被転写層20hを形成した後、型部材61において偏向突起26の形状に対応する溝状凹部612を備えた成形面613を押し付けて溝状凹部612の反転パターンを被転写層20hに転写し、斜面261を備えた偏向突起26を形成する。このため、カラーフィルタ基板20bの斜面261をエッチングで形成する必要がないので、カラーフィルタ基板20bを効率よく製造することができ、かつ、偏向突起26の斜面261については、傾き角度の精度が高く、ばらつきが発生しない。
【0070】
[実施の形態1、2の変形例]
図8、図9および図10は各々、本発明を適用したカラーフィルタ基板20bの変形例を示す説明図である。
【0071】
実施の形態1、2では、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等としたが、図8に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)より薄くしてもよい。この場合でも、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように保護膜20iを形成すれば、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の劣化を防止することができるとともに、対向基板20の光が入射する側の面20jを平坦化することができる。
【0072】
このように構成すると、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する際、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の体積が、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の充填量より小さくなる場合でも、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を多数回、繰り返す必要がなく、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を1回乃至少数回行なえばよい。それ故、カラーフィルタ基板20bの生産性を向上することができる。なお、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)については、互いに厚さ寸法が異なる構成を採用してもよい。
【0073】
また、実施の形態1、2では、複数の画素100aの各々の全周を囲むように偏向突起26を形成したため、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、画素100a毎に独立して形成されていたが、カラー配列がストライプ配列である場合には、図9に示すように、異なる色に対応する画素100aの境界領域に沿って偏向突起26を直線状に形成し、かかる偏向突起26の構成に対応して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を、同色に対応する複数の画素100aに跨るようにストライプ上に形成してもよい。このように構成すると、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を塗布すべき領域の数が少ない分、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を効率よく塗布することができる。それ故、カラーフィルタ基板20bの生産性を向上することができる。
【0074】
上記実施の形態1、2では、偏向突起26の断面が二等辺三角形である例を説明したが、図10(a)に示すように、二等辺三角形の頂部が丸まっている構成や、図10(b)に示すように、斜面261が、透光性基板20fの基板面に対する法線方向に対して異なる傾きの第1斜面268と第2斜面269を有する構成を採用してもよい。ここで、二等辺三角形の底部側に位置する第2斜面269が、第1斜面268に比して、透光性基板20fの基板面に対する法線方向に対して大きな角度を形成していれば、液晶のドメインなどが発生しやすい画素開口領域100dの端部分を避けて、画素開口領域100dの中央に入射光を導くことができる。
【0075】
また、上記実施の形態1、2では、対向基板20にブラックマトリクスあるいはブラックマトリクスと称せられる遮光層を省略したが、かかる遮光層を設けてもよい。
【0076】
また、実施の形態1、2では、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するにあたって屈折率の差を利用したが、斜面261のみを覆うように、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などといった光反射性材料層を形成して、斜面261に光反射性を付与してもよい。
【0077】
また、上記実施の形態1、2では、透光性基板20fに対するエッチングや、型部材61を形成するための板材610に対するエッチングにドライエッチングを用いたが、レーザエッチングを行なってもよく、レーザエッチングを用いれば、エッチングマスクの形成を省略することができる。
【0078】
[電子機器への搭載例]
次に、図11を参照して、本発明を適用した電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図11は、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【0079】
図11(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図11(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図11(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図11(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【0080】
次に、図11(d)を参照して、本発明を適用した電気光学装置100(液晶装置)をプロジェクタ(投射型表示装置)の液晶ライトバルブに採用した例について図面を参照して説明する。本発明を適用した電気光学装置100は、カラーフィルタを内蔵しているので、図11(d)に示す投射型表示装置において、1枚の電気光学装置100をライトバルブとして用いて、カラー画像をスクリーン211に投射表示することができる。すなわち、図11(d)に示す投射型表示装置210は、白色光源212、インテグレータ221および偏光変換素子222を備えた光源部240と、電気光学装置100と、投射光学系218とを備えている。また、電気光学装置100では、カラーフィルタ内蔵の液晶パネル100xの両側に第1偏光板216aおよび第2偏光板216bが配置されている。
【0081】
[他の実施の形態]
また、上記形態では、電気光学装置として、透過型の液晶装置を例示したが、投射型表示装置に用いる反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、バックライト装置から出射された光を入射光として画像を表示する直視型の透過型あるいは半透過反射型の液晶装置や、外光を入射光として画像を表示する直視型の反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、カラーフィルタ基板を対向基板に用いたが、素子基板の側にカラーフィルタ基板を用いてもよい。
【0082】
さらに、上記形態では、電気光学装置として液晶装置を例に説明したが、自発光素子から出射された白色の変調光を、カラーフィルタ基板を透過させることによってカラー画像を表示する有機エレクトロルミネッセンス装置(電気光学装置)において混色などを防止することを目的に、カラーフィルタ基板に対して縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する場合に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(a)、(b)は、本発明を適用した電気光学装置(液晶装置)に用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置の画素1つ分の断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置に用いた対向基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置に用いた対向基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1、2の変形例に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1、2の別の変形例に係る電気光学装置に用いたカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1、2のさらに別の変形例に係るカラーフィルタ基板に形成された偏向突起の構成を示す説明図である。
【図11】本発明を適用した電気光学装置を備えた電子機器の説明図である。
【図12】(a)、(b)は各々、従来の電気光学装置の断面を模式的に示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10・・素子基板、20・・対向基板、20b・・カラーフィルイタ基板、20f・・透光性基板、20h・・被転写層、20i・・保護膜、22(R)、(G)、(B)・・カラーフィルタ、26・・偏向突起、100・・電気光学装置、100c・・遮光領域、100d・・画素開口領域、261・・偏向突起の斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性基板上にカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板を備えた電気光学装置、および当該カラーフィルタ基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置では、配線領域の確保など目的に縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する。例えば、代表的な電気光学装置である液晶装置は、図12(a)、(b)に示すように、画素電極が形成された素子基板10と、この素子基板10に対向配置された対向基板20と、素子基板10と対向基板20との間に保持された液晶層50とを備えており、素子基板10において配線および画素スイッチング用のトランジスタが形成された領域14、および対向基板20においてブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光層24が形成された領域によって、遮光領域100cが規定され、遮光領域100cの内側は、画素電極を備えた画素開口領域100dになっている。このような液晶装置において、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって光変調した後、素子基板10から出射する構成を採用した場合、入射光を効率よく利用するには、対向基板20の側から入射した光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。
【0003】
そこで、ドライエッチングなどにより、対向基板20側において遮光領域100cと重なる領域に、入射光を画素開口領域100dに導く反射性の斜面265を備えた断面V字形状の偏向溝264(図12(b)において右下がりの斜線を付した領域)を縦横に形成した偏向用基板20eを用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−215427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の液晶装置を直視型のカラー表示装置などとして構成する場合、対向基板20側にカラーフィルタを形成する必要があるが、図12(a)、(b)に示すように、対向基板20側に偏向用基板20eを用いた場合、対向基板20にカラーフィルタを追加すると、製造程数が増大するとともに、対向基板20が分厚くなってしまうという問題点がある。すなわち、対向基板20を製造するには、偏向溝264を形成するためのエッチング対象領域に対応する開孔部を備えたレジストマスクを偏向用基板20eに形成した後、偏向用基板20eの基板面およびレジストマスクにドライエッチングを行い、偏向溝264を形成した後、偏向用基板20eより屈折率が低い樹脂材料や空気などの低屈折率材料263を偏向溝264に充填した状態で、偏向用基板20eの基板面に接着剤20xを介してカバー基板20yを貼り付け、カバー基板20yの表面に遮光層24および共通電極21を順に形成する。このため、対向基板20に偏向用基板20eを用いただけでも、製造程数が増大しているとともに、対向基板20が分厚くなっている上に、対向基板20に別途カラーフィルタを形成すると、製造程数が増大するとともに、対向基板20が分厚くなってしまうのである。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、製造工程数を増やさず、かつ、基板厚を増大させずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面を備えた偏向用基板にカラーフィルタを付加させることのできるカラーフィルタ基板、該カラーフィルタ基板を備えた電気光学装置、および当該カラーフィルタ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板において、前記透光性基板の一方面側には、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起が形成され、平面視において前記偏向突起によって挟まれた領域内の全体にわたって前記カラーフィルタが形成されているとともに、当該偏向突起の斜面には、前記透光性基板の一方面側から当該斜面に向けて入射した光を反射して前記透光性基板の他方面側から出射する光反射性が付与されていることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明では、透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板の製造方法において、前記透光性基板の一方面側に、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起を形成する第1工程と、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与するとともに、前記偏向突起によって挟まれた領域内に所定色の液状のカラーフィルタ形成材料を塗布した後、当該カラーフィルタ形成材料を固化させて前記カラーフィルタを形成する第2工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明を適用したカラーフィルタ基板では、一方面側から入射した光を反射して光の利用効率を高めるために偏向突起が形成されており、かかる偏向突起で挟まれた凹部を埋める際、凹部内にカラーフィルタを配置する。このため、偏向突起で挟まれた凹部を埋める工程とカラーフィルタを形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く偏向突起を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板として製造することができる。また、カラーフィルタは、偏向突起で挟まれた凹部内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板として構成することができる。
【0009】
本発明において、前記偏向突起は透光性材料から形成され、前記カラーフィルタは、当該偏向突起より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、前記偏向突起の斜面に光反射性が付与されていることが好ましい。すなわち、本発明を適用したラーフィルタ基板の製造方法において、前記偏向突起は透光性材料から形成されており、前記第2工程では、前記偏向突起を構成する材料より屈折率の大きな材料により前記カラーフィルタを形成することにより、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与することが好ましい。このように構成すると、偏向突起の斜面に光反射層を形成しなくても、偏向突起の斜面に光反射性を付与することができるので、光反射層の形成工程を省略できる分、製造工程数を減らすことができる。
【0010】
本発明において、前記カラーフィルタは保護層で覆われているとともに、当該保護層は、前記カラーフィルタが形成されている領域を含む全体が平坦であることが好ましい。このように構成すると、カラーフィルタの劣化を防止することができるとともに、カラーフィルタ基板の光入射面に偏向突起やカラーフィルタに起因する凹凸が発生することを防止することができる。
【0011】
本発明において、前記カラーフィルタの厚さ寸法は、前記偏向突起の高さ寸法より薄いことが好ましい。このように構成すると、カラーフィルタを形成する際、カラーフィルタの体積が、カラーフィルタ形成材料からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料の充填量より小さくなる場合でも、カラーフィルタ形成材料の塗布および乾燥を多数回、繰り返す必要がなく、カラーフィルタ形成材料の塗布および乾燥を1回乃至少数回行なえばよい。それ故、カラーフィルタ基板の生産性を向上することができる。
【0012】
本発明において、前記偏向突起は、前記複数の画素の各々の全周を囲むように格子状に形成されている構成を採用できる。この場合、カラーフィルタの配列がストライプ配列やデルタ配列、モザイク配列のいずれであっても対応することができる。また、画素の全周が偏向突起で囲まれているので、入射した光の利用効率を高めることができる。
【0013】
本発明において、前記複数の画素は、同色に対応する画素が直線状に配置されている場合、すなわち、カラーフィルタの配列がストライプ配列である場合、前記偏向突起は、前記異なる色に対応する画素の境界領域に沿って直線状に形成されている構成を採用してもよい。このように構成すると、カラーフィルタを効率よく形成でき、カラーフィルタ基板の生産性を向上することができる。
【0014】
本発明を適用したカラーフィルタ基板は、電気光学装置に用いることができ、この場合、前記カラーフィルタ基板には、一方面側から前記複数の画素の各々で光変調するための光、あるいは前記複数の画素の各々で光変調した後の光が入射することになる。本発明において、電気光学装置は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマ表示装置など、電気信号に基づいて各画素から変調した光を出射する装置のことをいう。
【0015】
本発明に係る電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記カラーフィルタ基板に対して対向配置された素子基板と、該素子基板と前記カラーフィルタ基板との間に保持された液晶層とを備え、当該素子基板は、前記複数の画素の境界領域に沿って延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で前記カラーフィルタ基板から入射した光が透過可能な複数の画素開口領域とを備え、前記画素開口領域は、前記カラーフィルタと重なる位置に配置された構成が採用される。
【0016】
本発明を適用したカラーフィルタの製造方法において、前記第2工程では、前記透光性基板の一方面において前記偏向突起で挟まれた領域を選択的にエッチングして前記偏向突起を残す方法を採用することができる。
【0017】
本発明を適用したカラーフィルタの製造方法において、前記第2工程では、前記透光性基板上に透光性の被転写層を形成する被転写層形成工程と、型部材において前記偏向突起の形状に対応する溝状凹部を備えた成形面を前記被転写層に押し付けて前記溝状凹部の反転パターンを当該被転写層に転写して前記偏向突起を形成する転写工程と、を行なう方法を採用してもよい。この場合、前記被転写層は、例えば、樹脂材料あるいは低融点ガラス材料からなる。このような方法を採用すると、偏向突起をエッチングで形成する必要がないので、カラーフィルタ基板を効率よく製造することができ、かつ、偏向突起の斜面については、傾き角度の精度が高く、ばらつきが発生しない。
【0018】
本発明に係る電気光学装置は、直視型のカラー表示装置として用いることができる他、1つの液晶装置でカラー画像を拡大投射する投射型表示装置に用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用した電気光学装置、および電気光学装置に用いたカラーフィルタ基板の製造方法(電気光学装置の製造方法)を説明する。なお、対応関係を明確化することを目的に、以下の説明では、可能な限り、図12を参照して説明した構成と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明する。また、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、電界効果型トランジスタでは、印加する電圧によってソースとドレインが入れ替わるが、以下の説明では、説明の便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとして説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(電気光学装置の全体構成)
図1(a)、(b)は、本発明を適用した電気光学装置(液晶装置)に用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
図1(a)に示すように、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、液晶パネル100xを有している。本形態において、液晶パネル100xは、素子基板10と、この素子基板10に対向する対向基板20とを備えており、対向基板20の側から入射した光を変調して素子基板10の側から出射する透過型の液晶パネルである。素子基板10と対向基板20とは、シール材(図示せず)を介して貼り合わされて対向しており、シール材の内側領域にはTN(Twisted Nematic)液晶などからなる液晶層50が保持されている。詳しくは後述するが、素子基板10において対向基板20と対向する面側には島状の画素電極9aなどが形成され、対向基板20において素子基板10と対向する面側には、その略全面に共通電極21が形成されている。なお、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、素子基板10上に形成される。
【0022】
図1(b)に示すように、電気光学装置100の素子基板10において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状の複数の画素100aの各々には、画素電極9aと、画素電極9aをスイッチング制御するための画素トランジスタとしてのMOS型の電界効果型トランジスタ30とが形成されている。また、画像表示領域10aには、画像信号を供給するための複数のデータ線6aと、走査信号を供給するための複数の走査線3aとが互いに交差する方向に延びており、データ線6aはデータ線駆動回路101に接続され、走査線3aは走査線駆動回路104に接続されている。電界効果型トランジスタ30のソースにはデータ線6aが接続し、電界効果型トランジスタ30のゲートには走査線3aが接続されている。画素電極9aは、電界効果型トランジスタ30のドレインに電気的に接続されており、電界効果型トランジスタ30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給されるデータ信号を各画素100aに所定のタイミングで書き込む。そして、図1(a)に示す画素電極9a、液晶層50、および共通電極21により構成された液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画素信号は一定期間保持される。
【0023】
ここで、液晶容量50aには並列に蓄積容量55が形成されており、蓄積容量55によって、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100を実現できる。本形態では、蓄積容量55を構成するために、走査線3aと並列するように容量線5bが形成されており、かかる容量線5bは共通電位線(COM)に接続され、所定の電位に保持されている。なお、蓄積容量55は前段の走査線3aとの間に形成される場合もある。
【0024】
ここで、複数の画素100aは各々、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応しており、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3つの画素100aによって1つのピクセルが構成されている。本形態では、同色に対応する画素100aが直線状に並んだストライプが採用されており、画素100aが対応する色は、後述するカラーフィルタによって規定される。
【0025】
(画素の具体的構成)
図2は、本発明を適用した電気光学装置の画素1つ分の断面図である。図3(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。図2は、図3(a)のA−A′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図に相当する。なお、図3(a)、(b)では、半導体層は細くて短い点線で示し、走査線3aは太い実線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、容量線5bは二点鎖線で示し、画素電極9aおよびそれと同時形成された薄膜は太くて長い点線で示し、後述する中継電極は細い実線で示してある。
【0026】
図2および図3(a)に示すように、素子基板10上には、複数の画素100aの各々に矩形状の画素電極9aが形成されており、各画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。データ線6aおよび走査線3aは各々、直線的に延びている。また、データ線6aと走査線3aとが交差する領域に電界効果型トランジスタ30が形成されている。また、素子基板10上には、走査線3aと重なるように容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0027】
素子基板10は、石英基板やガラス基板などの透光性材料からなる支持基板11(基板本体)、その液晶層50側の表面に形成されたITO(Indium Tin Oxide)膜からなる画素電極9a、画素スイッチング用の電界効果型トランジスタ30、および配向膜16を主体として構成されており、対向基板20は、後述するカラーフィルタ基板20b、その液晶層50側の表面に形成されたITO膜からなる共通電極21、および配向膜29を主体として構成されている。
【0028】
素子基板10において、画素電極9aに隣接する位置には電界効果型トランジスタ30が形成されている。電界効果型トランジスタ30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、半導体層1aには、走査線3aに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1a′、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eが形成されている。半導体層1aは、例えば、石英基板からなる支持基板11上に下地絶縁膜12を介して形成された単結晶シリコン層によって構成され、このような構成の素子基板10は、石英基板と単結晶シリコン基板とが絶縁層を介して貼り合わされたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることにより実現することができる。このようなSOI基板は、例えば、単結晶シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成した上で石英基板と貼り合わせる方法、あるいは石英基板と単結晶シリコン基板の双方にシリコン酸化膜を形成した上でシリコン酸化膜同士を接触させて貼り合わせる方法を採用できる。このような基板を用いた場合、ゲート絶縁層2は、半導体層1aに対する熱酸化膜により形成できる。半導体層1aとしては、単結晶シリコン層の他、アモルファスシリコンをレーザアニールやランプアニールにより多結晶化したポリシリコン膜や、アモルファスシリコン膜を用いることができ、この場合、支持基板11としてガラス基板を用いることができる。このような場合、ゲート絶縁層2は、CVD法などで形成される。なお、走査線3aには、ポリシリコンやアモルファスシリコン、単結晶シリコン膜などのシリコン膜や、これらのポリサイドやシリサイド、あるいは金属膜が用いられる。
【0029】
走査線3aの上層側には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール82、および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83を備えたシリコン酸化膜などからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41の上層には中継電極4a、4bが形成されている。中継電極4aは、走査線3aとデータ線6aとの交差する位置を基点として走査線3aおよびデータ線6aに沿って延出する略L字型に形成されており、中継電極4bは、中継電極4bと離間した位置において、データ線6aに沿うように形成されている。中継電極4aは、コンタクトホール83を介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続され、中継電極4bは、コンタクトホール82を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。
【0030】
中継電極4a、4bの上層側には、シリコン窒化膜などからなる誘電体膜42が形成されており、この誘電体膜42を介して、中継電極4aと対向するように容量線5bが形成され、蓄積容量55が形成されている。中継電極4a、4bは導電性のポリシリコン膜や金属膜等からなり、容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0031】
容量線5bの上層側には、中継電極4aへ通じるコンタクトホール87、および中継電極4bへ通じるコンタクトホール81を備えたシリコン酸化膜などからなる第2層間絶縁膜43が形成されている。第2層間絶縁膜43の上層にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成されている。データ線6aはコンタクトホール81を介して中継電極4bに電気的に接続し、中継電極4bを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。ドレイン電極6bはコンタクトホール87を介して中継電極4aに電気的に接続し、中継電極4aを介して、高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。データ線6aおよびドレイン電極6bは、導電性のポリシリコン膜、高融点金属を含む金属シリサイド膜、それらの積層膜、金属膜からなる。
【0032】
データ線6aおよびドレイン電極6bの上層側には、シリコン酸化膜などからなる第3層間絶縁膜44が形成されている。第3層間絶縁膜44には、ドレイン電極6bへ通じるコンタクトホール86が形成されている。
【0033】
第3層間絶縁膜44の上層には、ITO膜などからなる透光性の画素電極9aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール86を介してドレイン電極6bに電気的に接続されている。画素電極9aの表面には配向膜16が形成されている。
【0034】
これに対して、対向基板20では、後述する偏向突起やカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板20bを備えており、カラーフィルタ基板20bにおいて素子基板10と対向する面側にはITO膜からなる共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0035】
このように構成した電気光学装置100においては、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって、表示に直線寄与しない格子状の遮光領域100c(図3(b)に右上がりの斜線を付した領域)が形成されており、かかる遮光領域100cは、互いに交差する第1方向(矢印Xで示す方向)および第2方向(矢印Yで示す方向)に延在し、かかる遮光領域100cで周りが囲まれた領域が、変調光を出射して表示に直接寄与する画素開口領域100dになっている。本形態では、対向基板20には、いわゆるブラックマトリクスやブラックストライプと称せられる遮光膜が形成されていない。このため、遮光領域100cは、走査線3a、容量線5b、データ線6aおよび電界効果型トランジスタ30の形成領域によって規定されている。
【0036】
(画素の具体的構成)
図4(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板(偏向用基板)の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。なお、図4(a)では、素子基板10側の配向膜16などの図示を省略してある。
【0037】
図4(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においては、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって画素毎に光変調した後、素子基板10から出射する。このため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。そこで、本形態では、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、光が入射する側に斜面261を向ける断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26は、遮光領域100cと重なる領域に沿って形成されている。このため、偏向突起26は複数の画素100aの全周を囲むように格子状に形成されている。
【0038】
本形態において、断面V字形状の偏向突起26は、カラーフィルタ基板20bの母材である透光性基板20fの一方の面20g(液晶層50が位置する側とは反対側)に形成されている。また、カラーフィルタ基板20bにおいて、透光性基板20fの一方の面20gでは、偏向突起26で挟まれた凹部260内に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、平面視において凹部260の内部全体に形成されている。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法は、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等になっている。
【0039】
また、透光性基板20fの一方の面20g側では、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性の樹脂層からなる保護膜20iが形成されており、かかる保護膜20iは平坦化膜としても機能しており、カラーフィルタ基板210bにおいて、光が入射する側の面20jは、偏向突起26およびカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている領域を含む全体が平坦面になっている。
【0040】
ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなる。このため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与されている。
【0041】
すなわち、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を構成する材料の屈折率をn11とし、偏向突起26を構成する透光性材料(透光性基板20f)の屈折率をn12とし、斜面261の法線に対する光の入射角度をθ0とした場合、n11>n12で、かつ、n11、n12、θ0が以下の式
sinθ0>n12/n11
を満たせば、全反射が起こるので、斜面261に反射性を付与することができる。
【0042】
なお、透光性基板20fにおいて、液晶層50が位置する側の面20kは、平滑面になっており、その表面に共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0043】
(偏向突起26の作用効果)
このように構成した電気光学装置100では、対向基板20の側からは光源からの様々な入射角度の光が入射し、かかる入射光のうち、画素開口領域100dに向かう光は、矢印L1で示すように、そのまま進行する。これに対して、矢印L2で示すように、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光については、矢印L3で示すように、偏向突起26の反射性の斜面261で反射し、画素開口領域100dに向かう。ここで、偏向突起26は、斜面261を一辺とする略二等辺三角形形状の断面を有しており、三角形形状の頂点は、遮光領域100cの幅方向の中心に位置している。また、偏向突起26の幅寸法(三角形形状の底辺の長さ)は、遮光領域100cの幅寸法と略同一寸法、あるいはやや幅広に設定されており、これにより、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光についても有効に利用することができる。
【0044】
(カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法)
図5は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100に用いたカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法を示す工程断面図である。
【0045】
本形態に係る電気光学装置100に用いた対向基板20(偏向用基板)を製造するには、まず、透光性基板20fの一方の面20gの側に偏向突起26を形成する偏向突起形成工程(第1工程)を行なう。具体的には、図5(a)に示すように、透光性基板20fの一方の面20gに対して感光性レジスト層を例えば50〜200μmの厚さで塗布した後、露光、現像し、開孔部66aを備えたエッチングマスク66を形成する。ここで、エッチングマスク66は、図4を参照して説明した偏向突起26と略同一パターンに形成されている。
【0046】
次に、透光性基板20fの一方の面20gにエッチングマスク66を形成した状態で、透光性基板20fの基板面にドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、エッチングエリアに高密度プラズマを均一に形成できるエッチングガスとして、例えば、C4F8、CHF3等のフッ化物系ガスを用いる。また、透光性基板20fとエッチングマスク66とのエッチング選択比を例えば4:1とする。その結果、図5(b)に示すように、エッチングマスク66の厚みに対して略4倍の高さを有する断面V字形状の偏向突起26を残すことができるとともに、偏向突起26で挟まれた領域には、エッチングマスク66の厚みに対して略4倍の深さを有する凹部260が形成される。
【0047】
次に、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するとともに、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成するカラーフィルタ形成工程(第2工程)を行なう。具体的には、図5(c)に示すように、インクジェット法などの液滴吐出法で、偏向突起26で挟まれた凹部260内に対して所定色の液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を選択的に塗布した後、加熱して、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)から溶媒成分を蒸発させるとともに、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を硬化させて、図5(d)に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなるため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与される。
【0048】
かかる方法でカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する際、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の体積は、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の充填量より小さくなる。従って、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等とする場合には、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を繰り返す。但し、図8を参照して後述するように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法については、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)より薄くてもよい。
【0049】
次に、図5(e)に示すように、透光性基板20fの一方の面20g側に対して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性樹脂層からなる保護膜20iを形成する。
【0050】
次に、必要に応じて、図5(f)に示す研磨工程を行なう。この研磨工程では、透光性基板20fの他方の面20kを研磨し、透光性基板20fの薄板化を行なうとともに、面20kを平滑化する。かかる研磨工程において、本形態では、化学機械研磨を行なう。この化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と透光性基板20fとの相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などからなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、透光性基板20fを保持するホルダとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と透光性基板20fとの間に供給する。なお、透光性基板20fの一方の面20gにおいて、保護膜20iがシリコン酸化膜などからなる場合、保護膜20iの表面にも研磨を行ない、平坦化してもよい。
【0051】
このようにしてカラーフィルタ基板20bを製造した後、図5(g)に示すように、透光性基板20fの面20k側に共通電極21および配向膜29を形成し、対向基板20を得る。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカラーフィルタ基板20bでは、一方面側から入射した光を反射して光の利用効率を高めるために偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める際、凹部260に液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を塗布し、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。このため、偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める工程と、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面261を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして製造することができる。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26で挟まれた凹部260内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして構成することができる。
【0053】
また、偏向突起26は透光性材料から形成され、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、偏向突起26の斜面261に光反射性が付与されている。このため、偏向突起26の斜面261に光反射層を形成しなくても、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与することができるので、光反射層の形成工程を省略できる分、製造工程数を減らすことができる。
【0054】
さらに、偏向突起26は、複数の画素100aの各々の全周を囲むように形成されているため、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の配列がストライプ配列に限らず、デルタ配列やモザイク配列であっても対応することができるとともに、光の利用効率が高い。
【0055】
さらにまた、本形態では、断面V字形状の偏向突起26によって入射光を画素開口領域100dに導くため、対向基板20には、ブラックマトリクスやブラックストライプなどと称せられる遮光層(図12参照)を設ける必要がないので、その分、製造工程数を減らすことができる。
【0056】
[実施の形態2]
図6(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板(偏向用基板)の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。なお、図6(a)では、素子基板10側の配向膜16などの図示を省略してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0057】
図6(a)、(b)に示すように、本形態の電気光学装置100においても、実施の形態1と同様、対向基板20の側から入射した光を液晶層50によって画素毎に光変調した後、素子基板10から出射する。このため、入射光を効率よく利用するには、入射光を画素開口領域100dに効率よく導く必要がある。そこで、本形態では、対向基板20に用いたカラーフィルタ基板20bには、変調すべき光が入射する側に斜面261を向ける断面V字形状の偏向突起26が形成されており、かかる偏向突起26は、遮光領域100cと重なる領域に沿って形成されている。本形態において、偏向突起26は複数の画素100aの全周を囲むように格子状に形成されている。
【0058】
かかる偏向突起26を構成するにあたって、本形態では、カラーフィルタ基板20bにおいて、その母材である透光性基板20fの変調すべき光が入射する一方の面20g(液晶層50が位置する側とは反対側)には、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料、あるいは低融点ガラスからなる透光性の被転写層20hが形成されており、かかる被転写層20hに、光の入射側に向かって尖った断面V字形状の偏向突起26が形成されている。
【0059】
また、カラーフィルタ基板20bにおいて、透光性基板20fの一方の面20gでは、偏向突起26で挟まれた凹部260内に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)が形成されている。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、平面視において凹部260の内部全体に形成されており、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法は、偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と同様である。さらに、透光性基板20fの一方の面20gでは、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や透光性の樹脂層からなる保護膜20iが形成されており、かかる保護膜20iは平坦化膜としても機能しており、カラーフィルタ基板210bにおいて、光が入射する側の面20jは全体が平坦面になっている。
【0060】
ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、実施の形態1と同様、偏向突起26を構成する透光性材料(被転写層20h)よりも屈折率が高い透光性樹脂材料に色材を分散させた材料からなる。このため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与されている。従って、光源から対向基板20には様々な入射角度の光が入射した際、かかる入射光のうち、画素開口領域100dに向かう光は、矢印L1で示すように、そのまま進行する一方、矢印L2で示すように、画素開口領域100dに向かう方向から外れた方向に向かう光については、矢印L3で示すように、偏向突起26の反射性の斜面261で反射させ、画素開口領域100dに向かわせることができる。なお、透光性基板20fにおいて、液晶層50が位置する側の面20kは、平滑面になっており、その表面に共通電極21および配向膜29が形成されている。
【0061】
(カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造方法)
図7を参照して、本形態の電気光学装置100の製造工程のうち、カラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造工程を説明する。図7は、本形態の電気光学装置100に用いたカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20の製造工程を示す工程断面図である。
【0062】
本形態のカラーフィルタ基板20bおよび対向基板20を製造するには、まず、図7(a)、(b)に示す工程により、転写用の型部材61を形成する。それには、図7(a)に示すように、型部材61の基材として、シリコン基板、石英基板、ニッケルなどの金属基板などからなる板材610を準備した後、フォトリソグラフィ技術を利用して、その一方の面611に、厚さが50〜200μmのレジストマスク62を形成する。次に、板材610に対してドライエッチングを行なう。かかるドライエッチングには、高密度プラズマを形成可能なICPドライエッチング装置を用い、板材610とレジストマスク62とのエッチング選択比を例えば4:1とする。その結果、図7(b)に示すように、レジストマスク62の厚みに対して略4倍の深さを有する断面V字形状の溝状凹部612が形成される。このようにして、成形面613に断面V字形状の溝状凹部612を備えた型部材61を得ることができ、かかる溝状凹部612の形状は、図7(a)を参照して説明した偏向突起26の形状に対応している。
【0063】
かかる型部材61を用いてカラーフィルタ基板20bを製造するには、まず、透光性基板20fの一方の面20gの側に偏向突起26を形成する偏向突起形成工程(第1工程)を行なう。具体的には、図7(c)に示す被転写層形成工程において、カラーフィルタ基板20bの母材たる透光性基板20fの一方の面20gに、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料、あるいは低融点ガラスからなる透光性の被転写層20hを形成する。かかる材料のうち、熱硬化性樹脂を用いた場合には、ある程度、軟性をもった状態に硬化を止めておく。
【0064】
次に、図7(d)に示す転写工程において、被転写層20hを加熱するなどの方法で軟化性を示す状態とした後、被転写層20hに型部材61の成形面613を押し付けて、溝状凹部612の反転パターンを被転写層20hに転写する。次に、被転写層20hを固化させた後、型部材61を外すと、図7(e)に示すように、被転写層20hには、斜面261を備えた偏向突起26が形成される。また、偏向突起26で挟まれた領域には凹部260が形成される。なお、転写の際、型部材61の成形面613に離型剤を塗布しておくと、型部材61を容易に外すことができ、偏向突起26の形状が崩れない。
【0065】
それ以降は、実施の形態1と同様、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するとともに、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成するカラーフィルタ形成工程(第2工程)を行なう。具体的には、図7(f)に示すように、インクジェット法などの液滴吐出法で、偏向突起26で挟まれた凹部260に対して所定色の液状のカラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を選択的に塗布した後、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を硬化させて、図7(g)に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する。ここで、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26を構成する透光性材料よりも屈折率が高い透光性樹脂材料からなるため、偏向突起26の斜面261には反射性が付与される。
【0066】
次に、図7(h)に示すように、透光性基板20fの一方の面20gに対して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように、シリコン酸化膜や樹脂層からなる保護膜20iを形成する。次に、必要に応じて、図7(i)に示す研磨工程を行ない、透光性基板20fの薄板化を行なうとともに、面20kを平滑化する。かかる研磨工程においても、実施の形態1と同様、化学機械研磨を行なう。なお、透光性基板20fの一方の面20gにおいて、保護膜20iがシリコン酸化膜などからなる場合、保護膜20iの表面にも研磨を行ない、平滑化してもよい。
【0067】
このようにしてカラーフィルタ基板20bを製造した後、図7(j)に示すように、透光性基板20fの面20k側に共通電極21および配向膜29を形成し、対向基板20を得る。
【0068】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカラーフィルタ基板20bでは、実施の形態1と同様、偏向突起26で挟まれた凹部260を埋める工程と、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する工程とを同時に行なうので、製造工程数を増やさずに、入射光を所定領域に導く反射性の斜面261を備えた偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして製造することができる。また、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、偏向突起26で挟まれた凹部260内に形成されるため、基板厚を増大させずに、偏向用基板をカラーフィルタ基板20bとして構成することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0069】
さらに、本形態では、カラーフィルタ基板20bを得るにあたって、透光性基板20f上に透光性の被転写層20hを形成した後、型部材61において偏向突起26の形状に対応する溝状凹部612を備えた成形面613を押し付けて溝状凹部612の反転パターンを被転写層20hに転写し、斜面261を備えた偏向突起26を形成する。このため、カラーフィルタ基板20bの斜面261をエッチングで形成する必要がないので、カラーフィルタ基板20bを効率よく製造することができ、かつ、偏向突起26の斜面261については、傾き角度の精度が高く、ばらつきが発生しない。
【0070】
[実施の形態1、2の変形例]
図8、図9および図10は各々、本発明を適用したカラーフィルタ基板20bの変形例を示す説明図である。
【0071】
実施の形態1、2では、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)と略同等としたが、図8に示すように、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の厚さ寸法を偏向突起26の高さ寸法(凹部260の深さ寸法)より薄くしてもよい。この場合でも、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を覆うように保護膜20iを形成すれば、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の劣化を防止することができるとともに、対向基板20の光が入射する側の面20jを平坦化することができる。
【0072】
このように構成すると、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を形成する際、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)の体積が、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)からの溶剤の蒸発分だけ、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の充填量より小さくなる場合でも、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を多数回、繰り返す必要がなく、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)の塗布および乾燥を1回乃至少数回行なえばよい。それ故、カラーフィルタ基板20bの生産性を向上することができる。なお、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)については、互いに厚さ寸法が異なる構成を採用してもよい。
【0073】
また、実施の形態1、2では、複数の画素100aの各々の全周を囲むように偏向突起26を形成したため、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)は、画素100a毎に独立して形成されていたが、カラー配列がストライプ配列である場合には、図9に示すように、異なる色に対応する画素100aの境界領域に沿って偏向突起26を直線状に形成し、かかる偏向突起26の構成に対応して、カラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を、同色に対応する複数の画素100aに跨るようにストライプ上に形成してもよい。このように構成すると、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を塗布すべき領域の数が少ない分、カラーフィルタ形成材料23(R)、(G)、(B)を効率よく塗布することができる。それ故、カラーフィルタ基板20bの生産性を向上することができる。
【0074】
上記実施の形態1、2では、偏向突起26の断面が二等辺三角形である例を説明したが、図10(a)に示すように、二等辺三角形の頂部が丸まっている構成や、図10(b)に示すように、斜面261が、透光性基板20fの基板面に対する法線方向に対して異なる傾きの第1斜面268と第2斜面269を有する構成を採用してもよい。ここで、二等辺三角形の底部側に位置する第2斜面269が、第1斜面268に比して、透光性基板20fの基板面に対する法線方向に対して大きな角度を形成していれば、液晶のドメインなどが発生しやすい画素開口領域100dの端部分を避けて、画素開口領域100dの中央に入射光を導くことができる。
【0075】
また、上記実施の形態1、2では、対向基板20にブラックマトリクスあるいはブラックマトリクスと称せられる遮光層を省略したが、かかる遮光層を設けてもよい。
【0076】
また、実施の形態1、2では、偏向突起26の斜面261に光反射性を付与するにあたって屈折率の差を利用したが、斜面261のみを覆うように、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などといった光反射性材料層を形成して、斜面261に光反射性を付与してもよい。
【0077】
また、上記実施の形態1、2では、透光性基板20fに対するエッチングや、型部材61を形成するための板材610に対するエッチングにドライエッチングを用いたが、レーザエッチングを行なってもよく、レーザエッチングを用いれば、エッチングマスクの形成を省略することができる。
【0078】
[電子機器への搭載例]
次に、図11を参照して、本発明を適用した電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図11は、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【0079】
図11(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図11(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図11(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図11(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【0080】
次に、図11(d)を参照して、本発明を適用した電気光学装置100(液晶装置)をプロジェクタ(投射型表示装置)の液晶ライトバルブに採用した例について図面を参照して説明する。本発明を適用した電気光学装置100は、カラーフィルタを内蔵しているので、図11(d)に示す投射型表示装置において、1枚の電気光学装置100をライトバルブとして用いて、カラー画像をスクリーン211に投射表示することができる。すなわち、図11(d)に示す投射型表示装置210は、白色光源212、インテグレータ221および偏光変換素子222を備えた光源部240と、電気光学装置100と、投射光学系218とを備えている。また、電気光学装置100では、カラーフィルタ内蔵の液晶パネル100xの両側に第1偏光板216aおよび第2偏光板216bが配置されている。
【0081】
[他の実施の形態]
また、上記形態では、電気光学装置として、透過型の液晶装置を例示したが、投射型表示装置に用いる反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、バックライト装置から出射された光を入射光として画像を表示する直視型の透過型あるいは半透過反射型の液晶装置や、外光を入射光として画像を表示する直視型の反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、カラーフィルタ基板を対向基板に用いたが、素子基板の側にカラーフィルタ基板を用いてもよい。
【0082】
さらに、上記形態では、電気光学装置として液晶装置を例に説明したが、自発光素子から出射された白色の変調光を、カラーフィルタ基板を透過させることによってカラー画像を表示する有機エレクトロルミネッセンス装置(電気光学装置)において混色などを防止することを目的に、カラーフィルタ基板に対して縦横に延在する格子状の遮光領域を設け、この遮光領域で囲まれた画素開口領域から変調光を出射する場合に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(a)、(b)は、本発明を適用した電気光学装置(液晶装置)に用いた液晶パネルの構成を模式的に示す説明図、およびその電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した電気光学装置の画素1つ分の断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびこの素子基板上における遮光領域を右上がりの斜線によって示した説明図である。
【図4】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置に用いた対向基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図、およびカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置に用いた対向基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1、2の変形例に係る電気光学装置の断面を模式的に示してカラーフィルタ基板の断面構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1、2の別の変形例に係る電気光学装置に用いたカラーフィルタ基板の偏向突起の平面構成を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1、2のさらに別の変形例に係るカラーフィルタ基板に形成された偏向突起の構成を示す説明図である。
【図11】本発明を適用した電気光学装置を備えた電子機器の説明図である。
【図12】(a)、(b)は各々、従来の電気光学装置の断面を模式的に示す説明図、および偏向溝の平面構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10・・素子基板、20・・対向基板、20b・・カラーフィルイタ基板、20f・・透光性基板、20h・・被転写層、20i・・保護膜、22(R)、(G)、(B)・・カラーフィルタ、26・・偏向突起、100・・電気光学装置、100c・・遮光領域、100d・・画素開口領域、261・・偏向突起の斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板において、
前記透光性基板の一方面側には、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起が形成され、
平面視において前記偏向突起によって挟まれた領域内の全体にわたって前記カラーフィルタが形成されているとともに、当該偏向突起の斜面には、前記透光性基板の一方面側から当該斜面に向けて入射した光を反射して前記透光性基板の他方面側から出射する光反射性が付与されていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記偏向突起は透光性材料から形成され、
前記カラーフィルタは、当該偏向突起より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、前記偏向突起の斜面に光反射性が付与されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記カラーフィルタは保護層で覆われているとともに、
当該保護層は、前記カラーフィルタが形成されている領域を含む全体が平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
前記カラーフィルタの厚さ寸法は、前記偏向突起の高さ寸法より薄いことを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項5】
前記偏向突起は、前記複数の画素の各々の全周を囲むように格子状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項6】
前記複数の画素は、同色に対応する画素が直線状に配置されており、
前記偏向突起は、前記異なる色に対応する画素の境界領域に沿って直線状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板を備えた電気光学装置であって、
前記カラーフィルタ基板には、一方面側から前記複数の画素の各々で光変調するための光、あるいは前記複数の画素の各々で光変調した後の光が入射することを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタ基板に対して対向配置された素子基板と、該素子基板と前記カラーフィルタ基板との間に保持された液晶層とを備え、
当該素子基板は、前記複数の画素の境界領域に沿って延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で前記カラーフィルタ基板側から入射した光が透過可能な複数の画素開口領域とを備え、
前記画素開口領域は、前記カラーフィルタと重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板の製造方法において、
前記透光性基板の一方面側に、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起を形成する第1工程と、
前記偏向突起の斜面に光反射性を付与するとともに、前記偏向突起によって挟まれた領域内に所定色の液状のカラーフィルタ形成材料を塗布した後、当該カラーフィルタ形成材料を固化させて前記カラーフィルタを形成する第2工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項10】
前記偏向突起は透光性材料から形成されており、
前記第2工程では、前記偏向突起を構成する材料より屈折率の大きな材料により前記カラーフィルタを形成することにより、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与することを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1工程では、前記透光性基板の一方面において前記偏向突起で挟まれた領域を選択的にエッチングして前記偏向突起を残すことを特徴とする請求項9または10に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1工程では、前記透光性基板上に透光性の被転写層を形成する被転写層形成工程と、型部材において前記偏向突起の形状に対応する溝状凹部を備えた成形面を前記被転写層に押し付けて前記溝状凹部の反転パターンを当該被転写層に転写して前記偏向突起を形成する転写工程と、を行なうことを特徴とする請求項9または10に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項1】
透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板において、
前記透光性基板の一方面側には、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起が形成され、
平面視において前記偏向突起によって挟まれた領域内の全体にわたって前記カラーフィルタが形成されているとともに、当該偏向突起の斜面には、前記透光性基板の一方面側から当該斜面に向けて入射した光を反射して前記透光性基板の他方面側から出射する光反射性が付与されていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記偏向突起は透光性材料から形成され、
前記カラーフィルタは、当該偏向突起より屈折率の大きな材料から構成されていることにより、前記偏向突起の斜面に光反射性が付与されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記カラーフィルタは保護層で覆われているとともに、
当該保護層は、前記カラーフィルタが形成されている領域を含む全体が平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
前記カラーフィルタの厚さ寸法は、前記偏向突起の高さ寸法より薄いことを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項5】
前記偏向突起は、前記複数の画素の各々の全周を囲むように格子状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項6】
前記複数の画素は、同色に対応する画素が直線状に配置されており、
前記偏向突起は、前記異なる色に対応する画素の境界領域に沿って直線状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のカラーフィルタ基板を備えた電気光学装置であって、
前記カラーフィルタ基板には、一方面側から前記複数の画素の各々で光変調するための光、あるいは前記複数の画素の各々で光変調した後の光が入射することを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタ基板に対して対向配置された素子基板と、該素子基板と前記カラーフィルタ基板との間に保持された液晶層とを備え、
当該素子基板は、前記複数の画素の境界領域に沿って延在する格子状の遮光領域と、該遮光領域の内側領域で前記カラーフィルタ基板側から入射した光が透過可能な複数の画素開口領域とを備え、
前記画素開口領域は、前記カラーフィルタと重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
透光性基板上の複数の画素に対応する各領域に異なる色のカラーフィルタが形成されたカラーフィルタ基板の製造方法において、
前記透光性基板の一方面側に、少なくとも異なる色に対応する画素の境界領域に沿って延在する断面V字形状の偏向突起を形成する第1工程と、
前記偏向突起の斜面に光反射性を付与するとともに、前記偏向突起によって挟まれた領域内に所定色の液状のカラーフィルタ形成材料を塗布した後、当該カラーフィルタ形成材料を固化させて前記カラーフィルタを形成する第2工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項10】
前記偏向突起は透光性材料から形成されており、
前記第2工程では、前記偏向突起を構成する材料より屈折率の大きな材料により前記カラーフィルタを形成することにより、前記偏向突起の斜面に光反射性を付与することを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1工程では、前記透光性基板の一方面において前記偏向突起で挟まれた領域を選択的にエッチングして前記偏向突起を残すことを特徴とする請求項9または10に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1工程では、前記透光性基板上に透光性の被転写層を形成する被転写層形成工程と、型部材において前記偏向突起の形状に対応する溝状凹部を備えた成形面を前記被転写層に押し付けて前記溝状凹部の反転パターンを当該被転写層に転写して前記偏向突起を形成する転写工程と、を行なうことを特徴とする請求項9または10に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−128742(P2009−128742A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305364(P2007−305364)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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