説明

カラーフィルタ基板及びその製造方法

【課題】透明電極層に開口部を設けると、開口部に露出した下地である着色層に電界が浸透し、また着色層と液晶が直接に接触する結果、着色層側ではその物性的変動及び色度の変化、変色、クラック発生等の外観不良が発生し、液晶側では着色層からの不純物漏出による配向不良、残像不良、焼きつき不良等の表示品質の低下を招くという問題がある。
【解決手段】透光性基板上に少なくとも、複数の着色層、開口部を有する透明電極層が積層されてなるカラーフィルタ基板において、透明電極層の開口部より露出した少なくとも比抵抗が5×1014Ω・cm以下である一色の着色層に凹み部が形成されており、該凹み部は、その深さが、0.3μm以上、該着色層の厚み以下であり、該凹み部に、保護層が充填形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に使用するカラーフィルタ基板に係わり、特には垂直配向(VA)方式の液晶表示装置に好適なカラーフィルタ層の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VA(Vertical alignment)方式の液晶表示装置は、高いコントラスト比を得ることができることから広く用いられているが、コントラスト比や色純度などの表示品位において視野角依存性があるといわれている。これに対し、画素中央部に感光性樹脂を用いて突起を形成することにより、この突起部分の傾いた斜面を利用して液晶分子を多方向に配列させ、視野角依存性を改善するマルチドメイン配向技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、突起部において光漏れが生じやすくコントラストが低下するといった問題があった。
【0003】
上記の問題点については、突起部の代わりに、カラーフィルタ層上に積層形成するITO電極層に円状の開口部を設け、電圧印加時に開口部に生じる電界を利用して所望の配向を得る方法がある。この方法では電圧印加時に電極開口部から斜め方向の電界が生じるため、液晶分子を多方向に配列させることができ、高コントラスト、高速応答などの利点があるといわれている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、ITO電極に液晶配向用の開口部を設けると、開口部より下地層である着色層が露出し、着色層が液晶層と接するため、着色層から不純物が液晶中に溶出し、残像不良や焼きつき不良が発生する。また、開口部の外周と対向電極を結ぶように生じる強い電界の一部が、着色層に入り込むことによると推測される着色層の電気特性上の変化(絶縁破壊による比抵抗や誘電損失の変動)などに起因した液晶の配向不良など、表示品質低下を引き起こすという問題がある。
さらにまた、下地の着色層が露出することで、耐熱性や耐溶剤性が低下し、パネル化する際に、色度変化や、変色、クラックといった外観上の不良が生じやすいといった問題があった。
【特許文献1】特開平8-292423号公報
【特許文献2】特開平6-258649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VA方式の液晶表示装置に使用するカラーフィルタ基板のカラーフィルタ層上に積層形成される透明電極層に配向制御用の開口部を設けると、開口部より露出した下地であるカラーフィルタ部材である着色層に電界の一部が浸透し、また着色層と液晶が直接に接触する結果、カラフィルター部材側では物性値の変動や製造工程上で色度の変化、変色、クラック発生等の外観不良が発生し、液晶側では着色層からの不純物漏出による配向不良、残像不良、焼きつき不良等の表示品質の低下を招くという問題がある。本発明はこうしたトラブル発生のないカラーフィルタ基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、透光性基板上に少なくとも、複数の着色層、開口部を有する透明電極層とが積層されてなるカラーフィルタ基板において、透明電極層の開口部より露出した少なくとも一色の着色層部位に凹み部が形成されていることを特徴とするカラーフ
ィルタ基板としたものである。
【0007】
かかる構成にすることで、透明電極の開口部と対向電極を結ぶように電界が生じても、その電界が着色層を通ることがないので、着色層に絶縁破壊などを生じることを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、着色層の凹み部は、その深さが、0.3μm以上、該着色層の厚み以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ基板としたものである。
【0009】
本発明者らは、電界が着色層に滲みこむ深さは、着色層の表面から概ね0.3μm程度の範囲であることを見出している。そのため、着色層に形成する凹み部の深さを0.3μm以上とすることで、電界が着色層中を通過することが無くなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、着色層の凹み部形成領域の大きさが、透明電極層の開口部形成領域の大きさ以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ基板としたものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、着色層の凹み部が形成される着色層は、比抵抗が5×1014Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板としたものである。
【0012】
本発明者らは、着色層の比抵抗が5×1014Ω・cmより大きいと、滲みこんだ電界により着色層がダメージを受けることを見出している。そのため、5×1014Ω・cm以上の比抵抗を有する着色層だけに凹みを設ければ、課題解決のためには十分といえる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、着色層の凹み部に、保護層が充填形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板としたものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の保護層は、比抵抗が5×1014Ω・cm以上であることを特徴とするカラーフィルタ基板としたものである。
【0015】
請求項5の発明は、着色層と液晶層が直接接触しないように保護層を設ける構成とするもので、請求項6の発明は、凹み部に形成した保護層が電界のダメージを受けにくい比抵抗値とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の保護層は、断面形状が凸形状であることを特徴とするカラーフィルタ基板としたものである。
【0017】
請求項8に記載の発明は、着色層の凹み部に充填形成される保護層は、透明電極層の開口部の外周を被覆するように形成していることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタである。
【0018】
請求項9に記載の発明は、透光性基板上に少なくとも、複数の着色層を色毎に順に形成する工程と、着色層上に透明電極層を積層形成する工程と、透明電極層に開口部を形成する工程とをこの順に含むカラーフィルタ基板の製造方法において、複数の着色層のうち少なくとも一つの色の着色層を形成する際に、該着色層に凹み部を同時に形成し、該凹み部を有する着色層の形成より後に他の色の着色層を形成する際に、該凹み部を他の色の着色層の一部で充填することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0019】
請求項10に記載の発明は、透光性基板上に少なくとも、複数の着色層を色毎に順に形成する工程と、着色層上に透明電極層を積層形成する工程と、透明電極層に開口部を形成する工程と、をこの順に含むカラーフィルタ基板の製造方法において、複数の着色層のうち少なくとも一つの色の着色層を形成する際に、該着色層に凹み部を同時に形成し、透明電極層の開口部を形成する工程の後に、感光性樹脂を用いてスペーサーを形成すると同時に、凹み部に該感光性樹脂を保護層として充填形成することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0020】
すなわち、上記請求項9、および請求項10の発明は、保護層を形成する工程を特定するもので、請求項9では、他の色の着色層を形成する際に同時に凹み部に保護層を、また、請求項10では、スペーサを形成すると同時に凹み部に保護層を形成するものである。
【0021】
なお、ここでいうスペーサとは、液晶表示装置を構成する2枚の基板を対向させ両基板間に液晶を挟持させる際に、2枚の基板の間隔を所定の間隔に保つために形成する柱状突起をいう。スペーサは、基板上に形成した感光性樹脂層へのパターン露光、現像、必要により硬膜処理を行う、所謂フォトリソグラフィー法で形成することが一般的となりつつある。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、強い電界が、透明電極の開口部より露出する着色層に滲みだすことで生じる、着色層への絶縁破壊等のダメージを与えることを防止できる。また、絶縁耐性の高い保護層で着色層と液晶層が隔離されているので、着色層の変質及び液晶の品質劣化や配向不良が生じることがなく表示品質、耐久性に優れた液晶表示装置を得ることができる。また、着色層やスペーサー層を形成すると同時に凹み部を埋設するため、カラーフィルタ基板表面を平坦にする等の目的のために形成するオーバーコート層を設けるなどの新たな工程を必要とせず、安価で高品位なカラーフィルタ基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係わるカラーフィルタ基板の構造及び製造方法の一例を、図1から図5を用いて、説明する。尚、使用した材料については実施例の後の末尾にまとめて記載した。
【0024】
本発明のカラーフィルタ基板に用いられる透光性基板1としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラスなどの市販されている無機ガラスや、PET、PES、PCなどのプラスチック基板や、これらプラスチック基板上に、酸化シリコンや酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機薄膜を表面に成膜したものなどがあげられ、用途に応じて適宜選択して使用することができる。
【0025】
まず始めに、透光性基板1上に、カーボンブラックを含有させることで遮光性を持たせた感光性の遮光層材料を塗布、乾燥した後に(図1(a))、フォトマスク10を用いて所定のパターンに露光し(図1(b))、次いで、現像およびポストベークを行うことにより、所定のパターンとした遮光層2を形成する(図1(c))。なお、遮光層2の膜厚に特に制限はないが、含有されるカーボンブラック量で必要な光学濃度が得られるように膜厚を設定することが望ましく、およそ1〜2μm程度とすることが一般的となっている。
遮光層材料の塗布方法としては、スピンコート法やスリットコート法、バーコート法などを適宜採用できる。またフォトリソグラフィー法以外には、インクジェット法、印刷法などにより直接遮光層をパターン形成しても構わない。
【0026】
次に、遮光層2を形成した透光性基板1上に、着色層3を形成する。着色層3は複数色
の着色画素から構成されている。複数の色の組合せとしては、赤、緑、青(RGB)の組み合わせやイエロー、マゼンダ、シアン(YMC)の組み合わせが挙げられ、各色毎に着色層を順に形成していくものである。
【0027】
着色層3の製造方法としては、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で基板上に所定の色の着色感光性組成物層を形成し、その後にフォトリソグラフィー法により着色感光性組成物層をパターニングする方法、またはインクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの印刷法で直接に基板上に所定のパターンとした着色材料を形成しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に色顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色感光性組成物を透明基板上に塗布成膜して着色感光性組成物層を形成し、着色感光性組成物層にパターン露光、現像することで一つの色の画素を形成し、同じ工程を各色毎に繰り返し行ってカラーフィルタを製造するフォトリソグラフィー法が好ましい。
【0028】
本実施例では、着色層3として、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を形成する例を基に説明を行う。
【0029】
まず、基板上にネガ型の赤(R)色着色感光性組成物を塗布、乾燥した後に(図1(d))、基板上に形成すべきR着色層に対応する箇所に光透過部を有するフォトマスクを介してネガ型赤(R)色着色感光性組成物にパターン露光し(図2(e))、現像およびポストベーク処理を施すことにより、R着色層31を形成することができる(図2(f))。以下、図1(d)〜図2(f)の工程を、残りのネガ型緑(G)色着色感光性組成物及び、ネガ型青(B)色着色感光性組成物を各々用い、2色分繰り返すことにより、緑(G)色着色層32および青(B)色着色層33が形成されたカラーフィルタ基板を得ることができる(図2(g))。各色の塗布膜厚は適宜設定されるが、形成される着色層の分光透過率などを考慮すると、通常はプリベーク後の膜厚で通常1〜2μm程度である。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。
本発明のカラーフィルタ基板においては、図2(h)に示すように、着色画素に凹み部34を設けている。
【0030】
3色の着色層を形成した後、従来のカラーフィルタ基板においては、着色層上に透明電極層を形成する。前述したように、透明電極層に液晶配向用の開口部を設けると、開口部より着色層3が露出するため、着色層から液晶への不純物溶出による残像不良や焼きつき不良、また、着色層表面における表面抵抗や誘電損失による液晶配向不良など表示品質低下が問題となっていた。
【0031】
本発明者らは、これらの異常が発生するか否かを左右する指標の一つとして着色層の比抵抗値に着目し、着色層の比抵抗値を5×1014以上とすることにより液晶の配向不良などの問題が生じないことを見出している。しかしながら、着色層の比抵抗値を5×1014以上に保つことは、顔料など着色層を構成する材料の選択の幅を狭め、また、着色層内での構成比率を制限することになる。その結果、着色画素に所望する色特性を持たせるための色相設計に大きな制約が生じるといった問題があった。
【0032】
これらの問題を解決するため、さらに鋭意検討を行った。その結果、比抵抗値が5×1014以下の着色層においては、透明電極層の開口部外周から着色層に滲みだす強い電界により着色層の比抵抗や誘電正接といった電気特性が非可逆的に変化しても、その変化は着色層の表面からおよそ0.3μm程度の内部までであること、また着色層からの不純物やイオンの溶出による液晶配向への影響も、着色層の表面からおよそ0.3μm程度の内部ま
での着色層部位が関係しているということを見出した。このことから、比抵抗値が5×1014以下の着色層を使用する場合には、透明電極層の開口部から露出する着色層に、図5(a)のように表面から0.3μm以上の深さを有する凹みを設ければ、着色層が電界の影響を受けることがないといえ、本発明者らは、かかる構造を有するカラーフィルタ基板とすることを提案するものである。なお、図5(b)のように着色層を形成した下地が露出するように貫通孔(スルーホール)を形成しても、凹み部を形成した場合と同様の効果が得られるため、凹み部に変えて貫通孔(スルーホール)としても構わない。また、図5(c)や図5(d)のように着色層に設けた凹み部分に、比抵抗が5×1014以上の保護層6を充填形成すれば、液晶と着色層が直接接触することが防げるので、液晶の配向不良等の問題の発生を防止できる。さらに、保護層にて凹み部を埋設すると、余分なストレスが開口部周辺に加わることが低減されるので、製造工程中にカラーフィルタ基板に加わる外力や応力により透明電極にクラックが生じたり、透明電極の浮きが発生することを防止できる。
【0033】
着色層3の膜厚を部分的に薄くし凹み部を形成する手法としては、例えば、ハーフトーンマスク、グレートーンマスク、または、マスク開口差を利用することにより露光量を減ずることができるフォトマスクなどを使用することが出来る。これらのマスクを用いてフォトリソグラフィー法にて着色画素を形成すれば、着色層の形成の際に、凹み部も同時に形成可能となる。または、インクジェット法、印刷法を用いて、凹み部を有する着色画素を形成してもよく、または、着色画素の形成後に凹み部のみ別途形成することであっても構わない。
【0034】
図2(h)に示すように、着色画素に凹み部34を設けた着色画素を形成後、透明電極層4を着色画素上に積層形成する(図3(i))。透明電極層4の材料としては、可視光領域における透過率と、表面抵抗値を両立できる膜であれば特に制限はないが、一般的に用いられているインジウム錫酸化物(ITO)の他に、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)などを好適に用いることができる。また、これら透明電極層の膜厚は、特に制限はないが、1000〜1500Å程度である。
【0035】
次に、この透明電極層4をパターニングする。まずは、透明電極層4上に、ポジ型感光性レジスト5を形成し、フォトマスを介した感光性レジスト5へのパターン露光および、現像といった一連のフォトリソグラフィー工法を用いることにより、感光性レジスト層5をパターニングする(図3(j))。次に、レジストパターンが形成された透明電極層を塩酸水溶液や酸化第二鉄水溶液、シュウ酸水溶液、臭化水素水溶液などの市販の酸性水溶液に浸漬することにより、感光性レジスト5より露出した部分のみ透明電極層を除去する(図3(k))。最後にアルカリ剥離液を用いて感光性レジスト層5を除去することにより開口部を有する透明電極層4を形成することができる(図3(l))。
【0036】
この時、透明電極層開口部を着色層32に形成した凹み部34と同じ大きさ、もしくは、それ以下の大きさとすることが好ましい。かかる関係であると、後述する保護層6を凹み部に充填形成したカラーフィルタ基板を用いて液晶表示パネルにした際に、透明電極層の開口部のフリンジ部(縁部)への電界集中を一段と抑制することができるため、先述した不具合の発生を抑制できるといった利点が生じることになる。ただし、凹み部34に保護層6を充填形成した着色画素上に透明電極を積層形成する場合には、透明電極層の開口部の大きさと、着色層の凹み部の大きさとは、ほぼ同じ大きさとすることが好ましい。
【0037】
次いで、図3(l)に示すように、透明電極層に開口部を形成した後、着色層の凹み部34に保護層6を充填形成する(図4(m))。保護層6の材料としては、比抵抗が5×1014以上であれば、特に材料の制限はなく、種々の感光性樹脂を使用することができ、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で樹脂層を形成後にフォトリソグラフィー法によりパターニングしてもよく、インクジェット法や、グラビア印刷
法、フレキソ印刷法などの印刷法で形成しても良い。また、例えば、図4(n)のように、前述したフォトリソグラフィー法にてスペーサー7を形成する場合には、スペーサー7を形成するのと同時に、着色層の凹み部34にスペーサー材料を充填形成してもよく、または、図4(o)のように、透明層8を形成する半透過型液晶表示装置用のカラーフィルターの場合には、着色層の凹み部34に透明層8の材料である透明材料を保護層として充填形成してもよい。なお、透明層8は、液晶中を光が通過する距離を調整するために設けている。すなわち、半透過型液晶表示装置用のカラーフィルタ基板は、液晶表示装置に内蔵された光源からの光に着色を行う透過部と、表示装置に入射した外光を反射させ、その反射光に着色を行う反射部とを有する。透過部を通過する光は、1回か液晶を通過しないが、反射部を通過する反射光は液晶を2回通過するため、液晶により反射光に不要な着色が行われることになる。
【0038】
透明層8は、液晶による反射光への着色を防止するために、反射光が通過する液晶部位の厚みを薄くするためにカラーフィルタ基板の反射部に形成するもので、透明感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー法にて形成することが一般的となっている。
【0039】
ここで、凹み部に保護層を形成する際、保護層の膜厚としては、おおよそ凹みの深さ分を充填形成することが好ましく、凹みの深さにあわせて設定することが好ましい。フォトリソグラフィー法を用いて保護層6を、スペーサー7や透明層8と同時形成する場合には、前述したハーフトーンマスクなどを用いることにより、保護層を形成する部位への露光光の量と、スペーサー7や透明層8を形成する部位への露光量とを変えることが可能なため、保護層を形成する部位では膜厚を減らして形成することができる。スペーサー7や透明層8と保護層とを一括形成することで、別々に形成するよりも低コスト化が可能となり、より好ましい実施の形態といえる。
【0040】
さらには、保護層6の断面形状を凸形状に形成すれば、凸部の斜面が液晶への配向作用を有するので、透明電極に開口部を設けることによる電界効果との相乗効果が得られ、より液晶の配向規制力が強まり、高速応答、広視野角など表示品位が向上するため、より好ましい実施の形態となる。
また、透明電極層に開口部を形成する前に保護層6を形成する場合には、凹み部34を有する着色層(例えば、比抵抗値が5×1014以下の着色層)を形成後、凹み部34を有する着色層より電気特性に優れた(比抵抗値が5×1014以上の)他の色の着色層を形成する際に、凹み部34に電気特性に優れた他の色の着色層の材料を充填形成することで保護層を形成しても良い(図4(p))。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明に係わる実施形態の一例につき説明を行う。
はじめに、透光性基板1として無アルカリガラスを用い、その上に、感光性アクリル樹脂中にカーボンブラックを分散させた遮光材料を、スピンコート法を用いて1μm厚塗布した後に、フォトマスクを介して所定のパターン露光を行い、引き続きアルカリ現像を行うことにより、パターニングされた遮光層2を形成した(図1(c))。
【0042】
次に、感光性樹脂中に、赤色の顔料を分散させた赤(R)色着色組成物を、スピンコート法を用いて基板上に塗布し、フォトマスクを介して所定のパターン露光およびアルカリ現像を着色組成物に行うことにより赤(R)色着色層31を形成した(図2(f))。次いで、緑色の顔料を分散させた緑(G)色着色組成物及び、青色の顔料を分散させた青(B)色着色組成物を用い、各々同様の製造工程を繰り返し、緑(G)色着色層32、青(B)色着色層33を1.2μmの厚みで形成した(図2(g))。なお、緑(G)色着色層32の形成時に、凹み部
を形成する部位に対応したフォトマスク開口部をハーフトーン部 (露光光であるi線の透
過率が約60〜70%となるようCrO膜を成膜した部位)とし、着色層を形成する部位のi線の透過率を例えば90%以上とハーフトーン部より高くし、それ以外は遮光部としたハーフトーンマスクを用いた。これにより、緑(G)色着色組成物への1回のパターン露光、現像により、凹み部34(深さ0.4μm)を有する緑(G)色着色層32を形成している(図2(h))。このとき、各材料の比抵抗値を測定した結果、赤(R)色が3×1015Ω・cm、緑(G)色が1×1014Ω・cm、青(B)色が1×1015Ω・cmであった。
【0043】
次に、スパッタ法を用いて、インジウム錫酸化物を0.14μmの厚みで着色画素上に積層し透明電極層4を形成した(図3(i))。その後、スピンコート法により感光性レジスト5を1μmの厚みで透明電極層4上に塗布し、フォトマスク10を介したパターン露光、現像、及び硬膜処理を行い、所定のパターンを有する感光性レジスト層5を形成した。次に、シュウ酸水溶液中に基板を浸漬することにより、感光性レジスト層5より露出した透明電極層4部位を除去した後に、アルカリ剥離液を用いて感光性レジスト層5を剥離した。以上の処理により透明電極4に開口部4’を形成した。この時、透明電極層の開口部は、緑(G)色着色層に形成した凹み部34よりも1μm程度小さく形成した。
【0044】
次に、図1(n)のように、感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によりスペーサー7を形成すると共に、緑(G)色着色層の凹み部34に、保護層6としてスペーサー材料を充填形成した。なお、スペーサー7の形成にあたっては、スペーサー形成部と保護層形成部とのi線の透過率を変えたハーフトーンマスクを用いており、スペーサーと保護層とを同時に形成した。
【0045】
以上のようにして得られたカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置を作製した結果、1〜15Vの駆動電圧において、配向不良のない良好な表示品質が得られた。また、温度60℃、湿度90%RH下で500Hr保存した後に、同様の条件で駆動したが、配向不良のない良好な表示品質が得られた。
【0046】
なお本実施例では、緑(G)色着色層に凹みを形成した(図2(h))後に、透明電極層の開口部を形成し(図3(l))、着色層の凹み部に保護層7を充填形成する(図4(m))場合ついて説明しているが、実施の形態としては、保護層7を形成した後に透明電極層に開口部を設けてもよい。
【実施例2】
【0047】
本実施例ではまず、上述した実施例1と同様の手順にて、フォトリソグラフィー法にて赤(R)色着色層及び、深さ0.3μmの凹み部を有する緑(G)色着色層を形成した。次いで本実施例では、フォトリソグラフィー法にてB(青)色着色層形成したが、前述したハーフトーンマスクを用いることで、B(青)色着色層を形成すると同時に、緑(G)色着色層に形成した凹み部34に青(B)色着色層の材料からなる厚み0.3μmの保護層6を形成した。その後、開口部を有する透明電極層4を形成した(図4(p))。この時、透明電極層の開口部と着色層の凹み部とは、ほぼ同じ大きさとした。
【0048】
得られたカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置を作製した結果、1〜15Vの駆動電圧において、配向不良のない良好な表示品質が得られた。また、温度60℃、湿度90%RH下で500Hr保存した後に、同様の条件で駆動したが、配向不良のない良好な表示品質が得られた。
【実施例3】
【0049】
本実施例では、上述した実施例1と同様の手順にて、赤(R)色着色層、緑(G)色着色層、及び青(B)色着色層を形成した。ただし、本実施例では、緑(G)色着色層32
に形成した凹み部34は、緑(G)色着色層の厚み方向に基板まで貫通した、スルーホール(貫通孔)状とした凹み部34としている。また、本実施例では、実施例1と同様に保護層6としてスペーサー7の材料を充填形成した(図5(d))。
【0050】
得られたカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置を作製した結果、1〜15Vの駆動電圧において、配向不良のない良好な表示品質が得られた。また、温度60℃、湿度90%RH下で500Hr保存した後に、同様の条件で駆動したが、配向不良のない良好な表示品質が得られた。
【実施例4】
【0051】
本実施例では、上述した実施例1と同一の手順により、赤(R)色着色層、緑(G)色着色層、及び青(B)色着色層を形成し、凹み部34は緑(G)色着色層に形成した。その際、本実施例では、赤(R)色着色層、緑(G)色着色層、及び青(B)色着色層の形成と同時に、遮光層2上の所定部位に、各着色層の一部を順次積層させることで高さを持たせたスペーサを形成した(図示せず)。また、前述したように、青(B)色着色層の形成と同時に、緑(G)色着色層の材料からなる保護層を緑(G)色着色層の凹み部に充填形成した。
【0052】
次いで、透明電極層4として、スパッタ法により、着色画素層全面にインジウム錫酸化物を0.14μm積層した。その後、スピンコート法により感光性レジスト5を1μmの厚みで透明電極層4上に塗布した。次いで、フォトマスク10を介した感光性レジスト5へのパターン露光、及びその後の現像により感光性レジスト層5をパターニングした。
【0053】
次に、シュウ酸水溶液中に基板を浸漬することにより、感光性レジスト5から露出した透明電極層4を除去した。その際、青(B)色着色層の材料からなる保護層が充填形成された緑(G)色着色層の凹み部34部位に対応する開口部としての透明電極4部分と、3色の着色画素の一部が積層されてなるスペーサの頂部の透明電極層部位を同時に除去した。
(比較例1)
【0054】
緑(G)色着色層に凹み部34および、保護層6を形成しない以外は実施例1と同じ手順で本比較例のカラーフィルタ基板を得た。本比較例のカラーフィルタ基板を用いて液晶表示装置を作製した結果、5Vの電圧で駆動した場合において、緑(G)色着色層で液晶の配向不良が発生した。
【0055】
最後に本発明のカラーフィルタ基板に使用可能な材料関係につき以下にまとめて記載する。
【0056】
遮光層および、着色層31〜33の材料としては、着色剤となる顔料を透明な樹脂中に光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させる。分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。本発明の感光性着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を示す。
【0057】
遮光材としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸窒化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物分や顔料、その他既知の遮光材料を用いることができる。さらには、遮光層の色調を調整するために、以下に示す補色の顔料を必要に応じて混合してもよい。
【0058】
赤色フィルタセグメント(画素)を形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を併用することができる。
【0059】
黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。橙色顔料としてはC.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0060】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0061】
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I.Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I.Pigment Violet 23を併用することができる。
【0062】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0063】
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0064】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる

【0065】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0066】
用いることのできる重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0067】
紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2
−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4'−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0068】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0069】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0070】
また、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】(a)〜(d)本発明のカラーフィルター基板の製造工程の一例の一部を示す断面視の図である。
【図2】(e)〜(h)本発明のカラーフィルター基板の製造工程の一例の一部を示す断面視の図である。
【図3】(i)〜(l)本発明のカラーフィルター基板の製造工程の一例の一部を示す断面視の図である。
【図4】(m)〜(p)本発明のカラーフィルター基板の製造工程の一例の一部を示す断面視の図である。
【図5】本発明になる凹み部を有するカラーフィルターの一例を示す断面視の図である。
【符号の説明】
【0072】
1:透光性基板
2:遮光層
3:着色層
4:透明電極層
4’:開口部
5:感光性レジスト層
6:保護層
7:スペーサ
8:透明層
10:フォトマスク
31:R着色層
32:G着色層
33:B着色層
34:凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上に少なくとも、複数の着色層と開口部を有する透明電極層とが積層されてなるカラーフィルタ基板において、透明電極層の開口部より露出した少なくとも一色の着色層部位に凹み部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
着色層の凹み部は、その深さが、0.3μm以上、該着色層の厚み以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
着色層の凹み部形成領域の大きさが、透明電極層の開口部形成領域の大きさ以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
着色層の凹み部が形成される着色層は、比抵抗が5×1014Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項5】
着色層の凹み部に、保護層が充填形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項6】
保護層は、比抵抗が5×1014Ω・cm以上であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項7】
保護層は、断面形状が凸形状であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項8】
保護層は、透明電極層の開口部の外周を被覆するよう形成していることを特徴とすることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項9】
透光性基板上に少なくとも、
複数の着色層を色毎に順に形成する工程と、
着色層上に透明電極層を形成する工程と、
透明電極層に開口部を形成する工程と、をこの順に含むカラーフィルタ基板の製造方法において、
複数の着色層のうち少なくとも一つの色の着色層を形成する際に、該着色層に凹み部を形成し、該凹み部を有する着色層の形成より後に他の色の着色層を形成する際に、該凹み部を他の色の着色層の一部で充填することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項10】
透光性基板上に少なくとも、
複数の着色層を色毎に順に形成する工程と、
着色層上に透明電極層を形成する工程と、
透明電極層に開口部を形成する工程と、をこの順に含むカラーフィルタ基板の製造方法において、
複数の着色層のうち少なくとも一つの色の着色層を形成する際に、該着色層に凹み部を形成し、透明電極層の開口部を形成する工程の後に、感光性樹脂を用いてスペーサーを形成する際に、スペーサの形成と同時に該凹み部に該感光性樹脂を保護層として充填形成することを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−107632(P2010−107632A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277928(P2008−277928)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】