説明

カラーフィルタ製造方法及び製造装置、並びにカラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】表示画像のコントラスト悪化を防止すると共に、設計パターン通りの高精度のカラーフィルタを製造することができるカラーフィルタ製造方法及び製造装置、並びにカラーフィルタ及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】基板20上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を隔壁のパターンに従って付与し、基板20上に受容体21を形成する受容体形成工程と、受容体21の乾燥後に、受容体21に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を基板上に形成された受容体21の位置と重なるように付与し、受容体21内に遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁22を形成する隔壁形成工程と、隔壁22により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を付与して光透過領域25B,25R,25Gを形成する光透過領域形成工程と、を実施することでカラーフィルタを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ製造方法及び製造装置、並びにカラーフィルタ及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示パネルのような表示装置においてカラー表示を可能にするためにカラーフィルタが用いられる。この種のカラーフィルタは、高精細なカラー画像の表示を可能にするため、必要とされる画素の大きさに応じて微細に形成されたR(赤色)、G(緑色)、B(青色)等の特定色の光透過領域を画素数分配列する必要がある。また、従来より表示のコントラスト等の品質を向上するために、R、G、B各色の間に遮光領域である隔壁を配置することが行われている。
【0003】
近年、カラーフィルタの製造において、工程削減および使用材料削減によるコストダウンを狙いとして、インクジェット法による製造が開発されている。R、G、Bの画素部分についてはインクジェット法による形成が実用化され、さらに隔壁についてもインクジェット法による形成が検討されている。
【0004】
そこで、例えば特許文献1においては、インクに対して受容性を有する受容体を先に形成しておき、この受容体の上に隔壁をインクジェットヘッドにより吐出するインク液滴により形成することを提案している。
以下に、特許文献1の製造工程について図16を用いて説明する。
(1)透明な基板101の上に樹脂層102(厚さ2μm以下)を形成する。樹脂層102を構成する樹脂については、光照射又は光照射と加熱により硬化可能であり、かつインク受容性を有する材料とする(図16(a))。
(2)樹脂層102の透明部予定部104aだけに光を照射し、あるいは光の照射と加熱を行い、透明部予定部104aを硬化させる(図16(b))。
(3)樹脂層102の未硬化領域である遮光部形成予定部106aにインクジェットヘッド105を用いて黒色インクを付与する(図16(c))。
(4)樹脂層102の全面に光を照射し、あるいは光の照射と加熱を行い、遮光部形成予定部106aも硬化させる(図16(d))。
上記の処理により、透明部予定部104aに透明部104が形成され、遮光部形成予定部106aに遮光部(隔壁)106が形成される。このような樹脂の隔壁が形成された基板を用いて、透明部104にR、G、B等の着色を施すことにより、カラーフィルタを構成する。
【0005】
また、前述のような受容体を使わずに、隔壁をインクジェットにより形成する技術が、例えば特許文献2に記載されている。特許文献2では、隔壁であるバンクを基板上に形成することが記載されている。以下に、特許文献2の製造工程について図17を用いて説明する。
(1)インクジェットヘッドを利用し、基板111にポリシラザン112の液滴を吐出してバンクを生成する領域に描画し、基板111にバンクとなる格子状の突起形状を生成する(図17(a))。
(2)基板111上に描画された突起状のポリシラザン112にアニール処理を施して酸化シリコン(SiO2)113を生成する(図17(b))。
(3)インクジェットヘッドを利用し、酸化シリコン(SiO2)113の上に撥液性のシランカップリング剤(例えばフッ素が含まれる)114を吐出し、撥液性のバンク115を得る(図17(c)(d))。このとき、シランカップリング剤114はバンク115の頂部付近を覆って、その領域に撥液性を確保し、バンク115の下部は酸化シリコン(SiO2)113が露出するようにして親水性を確保する。
【特許文献1】特開平9−5730号公報
【特許文献2】特開2006−171365号公報
【特許文献3】特開2006−116417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカラーフィルタを使用する場合には、各透明部104を通過する光が受容体である樹脂層102も通過することになるので、この光が受容体を透過する際に、光の散乱や屈折が生じ、その結果偏光の一部が解消され、表示画像のコントラストが悪化するという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載された技術では、受容体を用いないので、コントラストの悪化等の問題は生じない。しかし、例えば特許文献3などに記載されているように、非浸透基板上にインクジェットで形成される微細なパターンは非常に微細なものであるため、基板上に配置された液状体は、表面/界面の動力学的影響(例えば、表面張力や濡れ性)を多分に受けることとなる。このため、液状体が単独の液滴として基板上に配置されている場合はともかくとして、複数の液滴が基板上で重なり合い、直線のような集合体を形成した場合においては、液状体のパターンはこの動力学的影響によって、変形したり分裂を起こしたりする場合がある。すなわち、基板上に設計パターン通りに液状体のパターンを形成することが困難な場合がある。
【0008】
本発明は、表示画像のコントラスト悪化を防止すると共に、設計パターン通りの高精度のカラーフィルタを製造することができるカラーフィルタ製造方法及び製造装置、並びにカラーフィルタ及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 特定の色成分を透過する多数の光透過領域と、該光透過領域の各周縁に配置され遮光性を有する隔壁とが基板上に形成されたカラーフィルタの製造方法であって、
前記基板上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を前記隔壁のパターンに従って付与し、前記基板上に受容体を形成する受容体形成工程と、
前記受容体の乾燥後に、前記受容体に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を前記基板上に形成された受容体の位置と重なるように付与し、前記受容体内に前記遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を付与して前記光透過領域を形成する光透過領域形成工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0010】
このカラーフィルタ製造方法によれば、受容体形成工程で受容体を形成する際に、液滴として付与された受容体材料を用いて隔壁のパターンを形成するので、隔壁に必要となる箇所だけに受容体が選択的に形成される。そして、この受容体に遮光性材料の液滴が浸透して隔壁が形成される。このように、受容体を必要最小限の領域に形成するので、材料の使用量を低減してコストを削減できる。また、受容体は光透過領域が形成される領域を避けるようにパターンを形成するため、光透過領域を透過する光に散乱や屈折が生じにくくなり、コントラストの低下が防止される。そして、受容体および隔壁となる材料を液滴として供給して隔壁のパターンを形成するので、製造が容易になる。すなわち、パターンを形成するために、フォトレジストの層を形成したり露光を行う必要がなく、少ない工程数で製造できる。
【0011】
(2) (1)記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記受容体として形成するパターンの線幅を、前記隔壁の幅より広くすることを特徴とするカラーフィルタ製造方法。
【0012】
このカラーフィルタ製造方法によれば、受容体のパターンの線幅が、隔壁の幅よりも広くされるので、受容体の上に着弾した遮光性材料の液滴が、受容体からはみ出して外側に流出することを防止でき、これにより、隔壁のパターンが均一に形成される。
【0013】
(3) (1)または(2)記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記受容体材料の液滴が前記基板へ着弾したときの基板上着弾径φと、前記基板上に着弾した液滴の隣接する着弾位置との間の打滴間隔Pと、下記式から算出される仮想ライン幅Wとの関係が、
前記基板上着弾径φが打滴間隔P以上、かつ前記基板上着弾径φが前記仮想ライン幅W以上となるように前記受容体材料の液滴を付与することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0014】
【数2】

ただし、θは前記液滴と前記基板との接触角、dは前記液滴の着弾前の直径である。
【0015】
このカラーフィルタ製造方法によれば、(φ≧P)かつ(φ≧w)の条件を満たすように着弾径φ及び打滴間隔Pを決定することにより、複数の液滴によって形成される受容体の細長い線状のパターンにバルジ(出っ張り)が形成されにくく、しかも線が途切れることがない。これにより、良好な途切れのない線状パターンを形成できる。
【0016】
(4) (1)〜(3)のいずれか1項記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記受容体形成工程、前記隔壁形成工程、前記光透過領域形成工程のうち、少なくともいずれかの工程の直後に、当該工程における形成物の欠陥を検査する検査工程を設けたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0017】
このカラーフィルタ製造方法によれば、より信頼性の高いカラーフィルタを得ることが可能になる。例えば、形成された受容体のパターンの中に、断線あるいは出っ張りなどが生じた場合に、次工程で、無駄な工程を施すことがなくなり、生産効率が向上する。
【0018】
(5) (4)記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記検査工程で欠陥が検出された場合に、該欠陥を修正する修正工程を設けたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0019】
このカラーフィルタ製造方法によれば、次工程に移る前に欠陥を修正することで、スループットを向上させることができる。
【0020】
(6) (1)〜(5)のいずれか1項記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記隔壁形成工程が、
染料又は顔料を含み前記受容体に対して浸透性を有する第1の遮光性材料を前記受容体に付与する第1隔壁形成工程と、
前記第1隔壁形成工程の後に、金属微粒子が分散された第2の遮光性材料を前記受容体に付与する第2隔壁形成工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0021】
このカラーフィルタ製造方法によれば、第1の遮光性材料により受容体内に隔壁を形成し、第2の遮光性材料により隔壁上面に遮光層を形成することで、カラーフィルタに入射する光の反射防止効果と、カラーフィルタ自体の光の透過を遮断する遮光効果を同時に持たせることができ、コントラストの良好なカラーフィルタが実現できる。
【0022】
(7) (1)〜(6)のいずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法に基づいて製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
【0023】
(8) 液晶パネルと、
前記液晶パネルの一方の面に配置された(7)記載のカラーフィルタと、
を少なくとも備えた液晶表示装置。
【0024】
これらカラーフィルタおよび液晶表示装置によれば、製造工程を簡略化することができ、しかもコントラストに優れたカラーフィルタとすることができる。
【0025】
(9) 特定の色成分を透過する多数の光透過領域と、該光透過領域の各周縁に配置され遮光性を有する隔壁とが基板上に形成されたカラーフィルタを製造する製造装置であって、
前記基板上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を吐出する受容体材料吐出手段と、
前記基板上に前記受容体に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を吐出する遮光性材料吐出手段と、
前記基板上に着色層材料の液滴を吐出する着色層材料吐出手段と、
前記基板上に前記受容体材料吐出手段から前記隔壁のパターンに従って受容体材料の液滴を吐出させ、これにより形成された受容体の位置と重なるように前記遮光性材料吐出手段から前記遮光性材料の液滴を吐出させて、前記受容体内に前記遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁を形成し、前記着色層材料吐出手段から前記隔壁により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を吐出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【0026】
このカラーフィルタ製造装置によれば、受容体材料吐出手段と、遮光性材料吐出手段と、着色層材料吐出手段とにより、隔壁パターンを必要最小限の材料で形成でき、材料コストを低減できる。また、受容体は光透過領域が形成される領域を避けるようにパターンを形成するため、光透過領域を透過する光に散乱や屈折が生じにくくなり、コントラストの低下が防止される。そして、受容体および隔壁となる材料を液滴として供給して隔壁のパターンを形成するので、製造が容易になる。例えば、パターンを形成するために、フォトレジストの層を形成したり露光を行う必要がなく、少ない工程数で製造できる。
【0027】
(10) (9)記載のカラーフィルタの製造装置であって、
前記受容体材料吐出手段、前記遮光性材料吐出手段、前記着色層材料吐出手段のうち、少なくともいずれかがインクジェット方式により液滴を吐出可能なインクジェットノズルを有することを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【0028】
このカラーフィルタの製造装置によれば、インクジェット方式により液滴を形成することで、寸法精度よく、均一に隔壁のパターンを形成することができる。
【0029】
(11) (9)または(10)記載のカラーフィルタの製造装置であって、
前記基板上に着弾した液滴を乾燥させる加熱手段を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【0030】
このカラーフィルタの製造装置によれば、液滴のプリベーク、ポストベークが可能となり、液滴の乾燥時間が短縮される。その結果、製造時間全体の短縮化が図られる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のカラーフィルタ製造方法及び製造装置によれば、基板上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を隔壁のパターンに従って付与し、基板上に受容体を形成し、この受容体の乾燥後に、受容体に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を基板上に形成された受容体の位置と重なるように付与して、受容体内に遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁を形成し、この隔壁により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を付与して光透過領域を形成することで、必要とされる領域のみ受容体と隔壁が形成され、光透過領域における受容体の光学的影響が抑制され、表示画像のコントラストが悪化することを防止できる。また、設計パターン通りの高精度のカラーフィルタを製造することができる。
また、本発明のカラーフィルタ及び液晶表示装置によれば、製造工程を簡略化することができ、しかもコントラストに優れたカラーフィルタとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のカラーフィルタ製造方法及び製造装置、並びにカラーフィルタ及び液晶表示装置に関する具体的な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1はカラーフィルタを製造するための製造工程の処理手順(a)〜(d)を表す縦断面図、図2は図1に示すカラーフィルタを製造するための各工程の概略内容を表すフローチャート、図3は本発明の方法を用いて製造されたカラーフィルタの一部分の構成を表す縦断面図(a)および平面図(b)である。
【0033】
まず、本発明に係るカラーフィルタ製造方法は、基本的な製造工程として図2に示す手順で処理が実施される。以下に、図2に示す各工程S1〜S7の概要について図1を参照して簡単に説明する。
【0034】
工程S1:図1(a)に示すように、カラーフィルタの基材である透明基板20の表面のうち隔壁となる箇所に受容体材料である受容体21のパターンを形成する。具体的には、液状の受容体材料をインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出し、隔壁のパターンに従って受容体21のパターンを描画する。
【0035】
工程S2:図1(b)に示すように、着弾した受容体21に遮光性材料の液滴を付与して隔壁22のパターンを形成し、続いて図1(c)に示すように、隔壁22の上に他の隔壁23のパターンを形成する。なお、図1に示す隔壁の例では、2種類の材料を2回に分けて各隔壁22、23を積層して隔壁24を形成しているが、隔壁22、23の一方を省略した構成としても良い。
具体的な隔壁22の材料としては、反射防止能力に優れ受容体に対して浸透性を有する液状の黒色(Bk色)インク材料を用い、これをインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出し、隔壁22のパターンを必要な位置に形成する。隔壁23については遮光能力の高い金属微粒子が分散したインクを用い、これをインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出しパターンを形成する。
【0036】
工程S3:図1(d)に示すように、透明基板20上の隔壁24のパターンに囲まれる領域に、B色透過部25B、R色透過部25R、G色透過部25Gの各パターンを形成する。具体的には、B色の液状インク、R色の液状インク、G色の液状インクをそれぞれインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出し、この液滴を、隔壁により画成される複数の領域内に付与する。これにより、必要な箇所に各パターンを各色の着色層が形成される。ここで、着色層が配置される光透過領域には、受容体21が光透過領域の全面に形成されることなく、端部の一部に僅かに形成されるのみであり、受容体21が光透過領域の光学特性に影響をほとんど与えない。
【0037】
工程S4では図1(d)のように形成された材料の上側に、図3に示すように保護膜26を形成し、工程S5では保護膜26の上に透明導電膜(ITO)27を形成する。この後の工程S6で検査を実施し、問題のある箇所が見つかった場合には工程S7で必要に応じて修正を実施する。
【0038】
以上の処理によって、図3に示すような光透過領域の周縁に隔壁が配置された構造のカラーフィルタ20Aが形成される。このカラーフィルタ20Aによれば、光透過領域に受容体21が殆ど形成されていないため、光の散乱や屈折等により表示画像のコントラストを低下させることがない。なお、図示例では一画素分のカラーフィルタの層構造を示しているが、実際に製造されるカラーフィルタ20Aにおいては、表示する画像を構成する画素数に合わせてB色透過部25B、R色透過部25R、G色透過部25Gの微小なパターンが一定の間隔で規則的に多数形成される。
【0039】
次に、上記各工程についての詳細を以下に説明する。
<工程S1>
まず、工程S1に関する製造条件の詳細を説明する。
前述の工程S1では、より具体的には図4に示す手順で処理が実施される。すなわち、最初の工程S11で透明基板20を洗浄した後、前述のような方法により次の工程S12で受容体21のパターンを形成する。更に、次の工程S13で受容体21のパターンを乾燥及び硬化させるためにプリベーク及びポストベークの処理を実施する。
【0040】
プリベーク及びポストベークの処理条件については、受容体材料(インク)の種類や特性や量に応じて最適な条件に決定されるが、一般的には、50〜180℃の温度条件下で0.5〜10分間処理すればよい。
【0041】
受容体21の形成が完了した後、次の工程S14で検査を実施する。この検査工程については、光学的手段を用いて検査を実施することができる。具体的には、受容体21はほぼ無色透明であるため、蛍光像で観察する。また受容体21に、フタロシアニン系等の赤外色素を混入させ赤外線で観察を行う。
【0042】
工程S14で欠陥が見つかった場合には、次の工程S15で受容体21のパターンの修正を実施する。この修正工程については、不要な箇所への余分なパターンの付与による欠陥の修正と、パターンの形状不良や不足による欠陥の修正とがある。
【0043】
前者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により余分な箇所を除去する。また、後者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により形状を整えた後、ディスペンサ、インクジェット法、針塗布、等により新たなインクを付与する。
【0044】
このように、検査工程を設けることで、より信頼性の高いカラーフィルタを得ることが可能になる。例えば、形成された受容体のパターンの中に、断線あるいは出っ張りなどが生じた場合に、次工程で、無駄な工程を施すことがなくなり、生産効率が向上する。そして、修正工程を設けることで、次工程に移る前に欠陥を修正でき、スループットを向上させることができる。
【0045】
受容体21を形成するために用いるインク材料(以下、受容体インク材料)としては、水溶性樹脂、架橋剤、微粒子、媒染剤、その他の添加剤などを含有してなる構成が好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類より選択される少なくとも1種の水溶性樹脂を含有し、更にシリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトより選択される少なくとも1種の微粒子を含有することが好ましい。
【0046】
また、受容体インク材料をインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出するためのインク化の調製に用いる溶媒としては、水や有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布液に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0047】
また、受容体インク材料については、インクジェット吐出安定性のため、高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。この高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、この水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル( DE G M B E )、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。
【0048】
また、インクジェット吐出安定性のために、界面活性剤を用いて液状材料の表面張力を制御しても良い。
【0049】
また、受容体インク材料の物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましい。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、受容体インク材料の温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。インクジェットヘッドの温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発しやすくなり、ノズル詰まりが起こりやすくなるため、インクジェットヘッドの温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
【0050】
なお、上記および以下に記す粘度は、25℃に受容体インク材料を保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
【0051】
また、受容体インク材料の25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性を向上する点、および吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、受容体インク材料の温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。受容体インク材料の温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱もしくは冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱もしくは冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0052】
上述および以下に記す表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB−A3など)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃、60%RHにて測定される値である。
【0053】
また、受容体インク材料が基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板20に着弾後の受容体インク材料の液物性を所定範囲内に保持することが好ましい。このためには、基板および/または基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0054】
透明基板20の材料については、例えばガラスを用いることができる。具体的なガラス板の種類としては、石英ガラス板、液晶パネルに使用される低膨張ガラス板(例えばコーニング社製 イーグル2000)、プラズマディスプレイパネル用に使用される高歪点ガラス板(例えば旭ガラス製 PD−200)などがある。
【0055】
また、透明基板20の材料として、プラスチックフィルムを利用することもできる。透明基板に使用することができるプラスチックフィルムの種類としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリシクロオレフィンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム、メタクリル−スチレン樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどがある。
【0056】
工程S1で受容体21を形成する際には、前述のような液状の材料をノズルから液滴として吐出しパターンを形成する。この液滴の吐出には、インクジェットプリンタに用いられているインクジェットヘッドを利用することができる。工程S1で利用可能なインクジェットヘッドの形式については、ピエゾ方式やサーマル方式など一般的なもので良い。
【0057】
また、工程S1で受容体21を形成する際にインクジェットヘッドのノズルから吐出する液滴の吐出条件については、吐出体積や着弾間隔は特に限定されないが、ベーク後の受容体21の膜厚が2μm程度になるように設計することが望ましい。
【0058】
例えば、固形分濃度が26%の受容体インク材料を10pl(ピコリットル)の液滴として吐出し、受容体インク(着弾した液滴)とガラス基板との接触角が30度、互いに隣接する複数の液滴の着弾間隔となる打滴間隔P(ドット間ピッチ)が35μmの条件で描画すると、おおよそ、高さ(厚み)が2μm、仮想ライン幅(実質的な線幅)Wが55μmの線状パターンが形成される。
【0059】
すなわち、図5に示すように、基板上に着弾したインクの液滴64は、着弾前の液滴63の径よりも拡がってドット状のパターンを形成し、互いに隣接するドット同士が部分的に重なることにより連続的な線状のパターンが形成される。
【0060】
例えば図6に示すように、複数のインク液滴を用いて互いに隣接する液滴のドット間ピッチPが異なる描画パターン61A、61B、61C、61D、61Eを形成すると、実際にはパターン62A、62B、62C、62D、62Eのような形状の受容体21が形成される。つまり、互いに隣接する液滴のドット間ピッチPを小さくすると、狭い領域に必要以上にインクが溜まることで、着弾位置誤差、滴量誤差、表面性差等をきっかけにバルジ(出っ張り)が発生し、パターン62Aの形状のようになる。一方、ドット間ピッチPを広げていくと、比較的良好な直線が形成される領域を経て、ドット間ピッチPに一致した数珠状のラインとしてパターン62Cの形状となる。さらに着弾間隔を拡げると、着弾滴が互いに独立し、パターン62Eの形状となる。
【0061】
実際の受容体21のパターンについては、できるだけ細いこと、すなわち、フィルタを構成する光透過領域へのはみ出しが少ないことがコントラストの観点から望ましい。また、隔壁24となる隔壁を精度よく描画するためには、受容体21のパターンが途中で断線することなく連続していることが望まれる。つまり、受容体21のパターンは線が繋がっているとともに、大きなバルジがない条件がよく、ロバスト性を考慮すれば、ほぼ直線になる条件から着弾インクが独立しない条件の間で描画するのがよい。具体的には、次の2つの条件の両方を満たすことが望ましい。
(条件1) φ≧P
(条件2) φ≧W
φ:液滴の着弾径
W:仮想ライン幅(図5,6参照)
【0062】
つまり、(条件1)は着弾したインクが互いに独立しないために必要な条件であり、(条件2)は大きなバルジが発生しないために必要な条件である。また、仮想ライン幅Wについては、次のように定義した。
直線状に連続的に着弾した液滴が、体積保存、ヤングの式に基づいた接触角を満たす条件、およびヤングラプラスの式に基づく内圧を満たす条件のもと、図7に示すように、蒲鉾状の形状になると仮定する。このときの液滴と基板との接触角をθとすると、蒲鉾状となった液滴の断面積Akは、(1)式で表される。
【0063】
【数3】

ここで、Wは蒲鉾状となった液滴の稜線方向とは直交する方向の幅(これが仮想ライン幅に相当する)である。
【0064】
従って、蒲鉾状となった液滴の体積Vkは、(2)式で表される。
【0065】
【数4】

ここで、Pはドット間ピッチである。
【0066】
一方、着弾前の液滴の体積Vbは、着弾前の液滴直径(吐出時の液滴径)がdであるため(3)式で表される。
【0067】
【数5】

【0068】
体積Vk、Vbは等しいので、Vk=Vbとおいて整理すると(4)式が得られる。
【0069】
【数6】

【0070】
つまり、着弾径φが仮想ライン幅Wよりも大きく、かつ、着弾径φがドット間ピッチPよりも大きくなるように、着弾径φ及びドット間ピッチPを定める。
【0071】
<工程S2>
次に、前述の工程S2(隔壁の形成)に関する製造条件の具体例について説明する。
前述の工程S2では、より具体的には図8または図9に示す手順で処理が実施される。図1に示す各工程のように隔壁22及び隔壁23を形成する場合には図9に示す手順で処理が実行され、隔壁23の形成を省略する場合には図8に示す手順で処理が実行される。
【0072】
すなわち、前述の工程S1が終了し、図1(a)に示すように表面に受容体21が形成された透明基板(ガラス基板)20を受け入れて、図8、図9の工程S21で受容体21の位置と重なるように遮光性材料の液滴を付与し、隔壁22のパターンを形成する(第1隔壁形成工程)。また、隔壁23を形成する場合には、工程S22で隔壁23のパターンを形成する(第2隔壁形成工程)。そして、次の工程S23で隔壁22、23のパターンの乾燥処理を行う。
ここで、受容体21として形成するパターンの線幅は、隔壁23の幅より広くする。これにより、受容体21の上に着弾した遮光性材料の液滴が、受容体21からはみ出して外側に流出することを防止でき、これにより、隔壁23のパターンが均一に形成される。
【0073】
隔壁22(23)の形成及び乾燥が完了した後、次の工程S24でこれら隔壁22(23)の検査を実施する。この検査工程は、例えば、光学的手段を用いる。隔壁22、23は遮光性を有する黒色であるので、可視光の画像を撮影することによりパターンの形成状態を観察できる。
【0074】
工程S24で欠陥が見つかった場合には、次の工程S25で隔壁22、23のパターンの修正を実施する。この修正工程については、不要な箇所への余分なパターンの付与による欠陥の修正と、パターンの形状不良や不足による欠陥の修正とがある。
【0075】
前者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により余分な箇所を除去する。また、後者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により形状を整えた後、ディスペンサ、インクジェット法、針塗布、等により新たなインクを付与する。
【0076】
ここで、隔壁22のパターンを形成するための材料(インク)としては、公知の黒色インクを用いればよく、染料、顔料何れでも用いることができる。
この材料の具体例としては、例えば(特開平8−62417号公報)に開示されているようなブラックインクを用いることができる。また、金属微粒子が分散したインクを用いることもできる。このインクの例としては、例えば(特開2002−324966号公報)に開示されているようなインクを利用することができる。
【0077】
図1(b)、(c)に示したように、2種類の材料を用いて隔壁22、23を形成する場合には、顔料あるいは染料が含まれるインクで隔壁22を形成したのち、金属微粒子が分散されたインクでさらに隔壁23を形成することで、隔壁の光学特性をさらに改善することができる。すなわち反射防止に優れた顔料あるいは染料インクが、ガラス基板側に配置されて反射防止機能を果たし、顔料あるいは染料インクで不足する遮光機能を高光学濃度の金属インクの膜が補完する。
【0078】
上記工程S2で隔壁22、23を形成する際は、前述のような液状の材料をノズルから液滴として吐出し、隔壁のパターンを形成する。この液滴の吐出には、インクジェットプリンタに用いられているインクジェットヘッドを利用することができる。工程S2で利用可能なインクジェットヘッドの形式については、工程1と同様にピエゾ方式やサーマル方式など一般的なもので良い。
【0079】
ただし、後述するように、隔壁22、23のパターンを形成する際には、受容体21を形成する場合と比較して、より小さな液滴をノズルから吐出させるのが望ましい。そのため、隔壁22、23のパターンを形成するために用いるインクジェットヘッドについては、受容体21を形成する際に用いるインクジェットヘッドよりもノズル径が小さいものが望ましい。
【0080】
工程S2で隔壁22、23を形成する際にインクジェットヘッドのノズルから吐出する液滴の吐出条件については、吐出体積や、液滴の着弾間隔(ドット間ピッチP)を、形成する隔壁のサイズに合わせて適切に決定する必要がある。例えば、液滴の吐出体積が0.1〜10pl(ピコリットル)であれば、液滴径が6〜27μmになり、液晶ディスプレイ用の隔壁として良好なサイズのパターンが形成される。また、0.1pl程度の吐出体積の液滴を吐出する場合には、電界等の制御により吐出液滴の飛翔をアシストすることによって着弾位置の精度を向上させることが望ましい。
【0081】
隔壁22、23を形成する際にインクジェットヘッドのノズルから吐出する液滴のインク材料(以下、隔壁インク材料)の物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましい。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、隔壁インク材料の温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。インクジェットヘッドの温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発しやすくなり、ノズル詰まりが起こりやすくな。そのため、インクジェットヘッドの温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
【0082】
なお、粘度は、25℃に隔壁インク材料を保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
【0083】
また、隔壁インク材料の25℃の表面張力(静的表面張力)としては、受容層に対する浸透性、および吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、隔壁インク材料の温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。隔壁インク材料の温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱もしくは冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱もしくは冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0084】
また、隔壁インク材料が基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後の隔壁インク材料の液物性を所定範囲内に保持することが好ましい。このためには、基板および/または基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0085】
<工程S3>
次に、前述の工程S3(着色層(25R,25G,25B)の形成)に関する製造条件の具体例について説明する。
前述の工程S3では、より具体的には図10に示す手順で処理が実施される。すなわち、前述の工程S2が終了し、図1(c)に示すように表面に隔壁22、23が形成された透明基板(ガラス基板)20を受け入れて、図10の工程S31で各着色層(R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25B)のパターンを形成し、続いて工程S32で着色層のパターンを乾燥処理する。
【0086】
各着色層(R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25B)の形成及び乾燥が完了した後、次の工程S33で検査を実施する。この検査工程については、例えば、光学的手段を用いて検査を実施することができる。R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25Bのパターンはいずれも有色であるので、可視光の画像を撮影することによりパターンの形成状態を観察できる。
【0087】
工程S33で欠陥が見つかった場合には、次の工程S34で各着色層のパターンの修正を実施する。この修正工程については、不要な箇所への余分なパターンの付与による欠陥の修正と、パターンの形状不良や不足による欠陥の修正とがある。
【0088】
前者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により余分な箇所を除去する。また、後者の修正については、レーザカット、研磨、スクラッチ等により形状を整えた後、ディスペンサ、インクジェット法、針塗布、等により新たなインクを付与する。
【0089】
工程S3で、R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25Bのそれぞれのパターンを隔壁22同士の間の空間に形成するために利用可能な液滴のインク材料(以下、着色層インク材料)の物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましく。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、着色層インク材料の温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。インクジェットヘッドの温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発しやすくなり、ノズル詰まりが起こりやすくなる。そのため、インクジェットヘッドの温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
【0090】
また、着色層インク材料の25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性を向上、吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、インクジェットヘッドで吐出する際には、着色層インク材料の温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。着色層インク材料の温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱もしくは冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱もしくは冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0091】
また、着色層インク材料が基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後の着色層インク材料の液物性を所定範囲内に保持することが好ましい。このためには、基板および/または基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0092】
R、G、B3色によるカラーフィルタを例として記載しているが、前記3色に加えて、C、M、Yからなる6色のカラーフィルタを形成してもよい。また色数は特に限定されない。
【0093】
そして、図1(d)に示すように、透明基板20上に隔壁24および各着色層(25R,25G,25B)を形成したのち、カラーフィルタ20Aの平坦性、耐性向上の目的で、図3に示すように、カラーフィルタ20Aの表面の全面を覆うように保護層(オーバーコート層)26を形成する。
【0094】
この保護膜26は、各着色層(25R,25G,25B)および隔壁24を保護すると共に表面を平坦にすることができる。但し、工程数の削減を重視する場合は、保護膜26の形成を省略してもよい。
【0095】
保護膜26は、樹脂(OC剤)を用いて構成することができ、利用可能な樹脂(OC剤)としては、アクリル系樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などが挙げられる。中でも、可視光領域での透明性で優れており、インクジェット用インクの樹脂成分が通常アクリル系樹脂を主成分としており、密着性に優れることから、アクリル系樹脂組成物が望ましい。オーバーコート層の例としては、特開2003−287618号公報の段落番号[0018]〜[0028]に記載のものや、オーバーコート剤の市販品として、JSR社製のオプトマーSS6699Gが挙げられる。
【0096】
図3に示したカラーフィルタ20Aには、さらに保護膜26の上側を覆うように透明導電膜(ITO:酸化インジウムスズ層)27を形成してある。
ITO層の形成方法としては、例えば、インライン低温スパッタ法や、インライン高温スパッタ法、バッチ式低温スパッタ法、バッチ式高温スパッタ法、真空蒸着法、およびプラズマCVD法などが挙げられ、特にカラーフィルタに対するダメージを少なくするため、低温スパッタ法が好ましく用いられる。
【0097】
図1に示したカラーフィルタの製造工程のうち、ノズルから吐出した液滴により受容体21のパターンを形成する工程と、ノズルから吐出した液滴により隔壁22、23のパターンを形成する工程と、ノズルから吐出した液滴により各着色層(25R,25G,25B)のパターンを形成する工程のために利用可能な製造装置の概略構成を図11に示した。
【0098】
図11に示す製造装置は、受容層形成用のインクジェット装置100Aと、隔壁形成用のインクジェット装置100Bと、着色層形成用のインクジェット装置100Cとを備え、それぞれが搬送路32に沿って配置されている。
受容層形成用のインクジェット装置100Aは、搬送路32上のカラーフィルタ20Aの基材である透明基板20に対向してインクジェットヘッド30が透明基板20に対して相対移動可能に配置されている。このインクジェットヘッド30は、駆動手段により、搬送方向に平行なX軸方向、これと直交するY軸方向に沿って移動可能にされている。また、インクジェットヘッド30は複数のチューブ等を介して液状材料保持部40と接続されている。液状材料保持部40には、前述の受容体21の形成の際に利用する液状材料を保持する受容体材料カートリッジが配置されている。このインクジェットヘッド30は、受容体材料吐出手段として機能する。
【0099】
また、受容層形成用のインクジェット装置100Aの搬送路32後段には、ベーク用のヒータ50が配置されている。ヒータ50は、インクジェットヘッド30の各ノズルから液滴として吐出された材料を適宜な温度に加熱して、プリベーク、ポストベーク等によるインク硬化処理を行うために利用される。
【0100】
上記の受容層形成用のインクジェット装置100Aの制御ブロック構成図を図12に示した。
図12に示すように、このインクジェット装置100A(100B,100Cも同様)には、制御部51、メモリ52、X軸モータドライバ53、Y軸モータドライバ54、X軸モータ55、Y軸モータ56、ヘッドドライバ57、インクジェットヘッド30(30A,30B,30C)、位置エンコーダ59、60が備わっている。
【0101】
電気モータであるX軸モータ55,Y軸モータ56は、インクジェットヘッド30をX,Y軸方向に移動させるための駆動源である。そして、X軸モータ55,Y軸モータ56によるインクジェットヘッド30(30A,30B,30C)の移動量は、X軸エンコーダ59,Y軸エンコーダ60により検出されて、制御部51にその位置情報を出力するようになっている。
【0102】
ヘッドドライバ57は、例えばピエゾ素子のような駆動素子を駆動することにより、インクジェットヘッド30(30A,30B,30C)の各ノズルからインク材料を微小な液滴として吐出する。
【0103】
制御部51は、制御用のマイクロコンピュータであり、予めメモリ52に保持されているプログラムやデータに基づいて、製造装置の全体の制御を行う。具体的には、X軸エンコーダ59,Y軸エンコーダ60が出力する位置情報を監視しながらX軸モータドライバ53,Y軸モータドライバ54を通じて、X軸モータ55,Y軸モータ56を駆動し、インクジェットヘッド30(30A,30B,30C)上の使用するノズルと透明基板20との相対的な位置についてXY方向の位置合わせを行い、多数の液滴により予め定めたパターンを描画するために必要な位置制御を行いながら、インクジェットヘッド30(30A,30B,30C)を駆動し液滴の吐出を制御する。また、ヒータ50A,50B,50Cを用いてインク材料硬化のための温度制御を実施する。
【0104】
受容層形成用のインクジェット装置100Aの搬送路32の後段のヒータ50の下流側には、隔壁形成用のインクジェット装置100Bと、着色層形成用のインクジェット装置100Cとが同様の構成で接続されている。隔壁形成用のインクジェット装置100Bのインクジェットヘッド30は、遮光性材料吐出手段として機能し、液状材料保持部40には、隔壁22の形成の際に利用する遮光性液状材料を保持するBk色インクカートリッジと、前述の隔壁23の形成の際に利用する金属微粒子が分散された液状材料を保持する金属インクカートリッジとが設けてある。
【0105】
さらに、着色層形成用のインクジェット装置100Cのインクジェットヘッド30は、着色層材料吐出手段として機能し、液状材料保持部40には、R色透過部25Rの形成の際に利用する液状材料を保持するR色インクカートリッジと、G色透過部25Gの形成の際に利用する液状材料を保持するG色インクカートリッジと、B色透過部25Bの形成の際に利用する液状材料を保持するB色インクカートリッジとが設けてある。
【0106】
図11に示した製造装置は、6種類のインク材料をそれぞれ液滴として吐出することにより、受容体21のパターンと、隔壁22、23のパターンと、R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25Bの各パターンとをそれぞれ描画する機能を搭載しているが、実際の製造工程においてはカラーフィルタの品質を維持するために、受容体21を形成する工程と、隔壁22、23を形成する工程と、R色透過部25R、G色透過部25G、B色透過部25Bを形成する工程とのそれぞれについて、前述のように検査及び欠陥の修正を適宜行うものとしている。
【0107】
次に、各工程で透明基板20上に形成されたパターンの検査及び欠陥の修正を自動的に行うために用いる製造装置(欠陥修正装置)の構成例を図13に示した。
この欠陥修正装置は、図11に示した製造装置100と同様にY軸方向に移動可能な可動テーブル10を備えており、検査対象のカラーフィルタ20Aが図13に示すように可動テーブル10の上に配置される。可動テーブル10の上方に設けられたキャリッジ70は、図示しない駆動手段によりX軸方向に移動可能な構造となっている。
【0108】
キャリッジ70上には、撮像部71、レーザ照射部72、インク付与部73が搭載されている。
【0109】
撮像部71は、CCD(Charge Coupled Devices)カメラのように被写体であるカラーフィルタ20Aの表面を撮影して、検査用の二次元画像を生成する。
【0110】
レーザ照射部72は、カラーフィルタ20A上に形成されている各パターンの中に欠陥として余分な材料(インク等)が付着している場合に、この欠陥を除去するためにカラーフィルタ20Aの表面に向けてレーザ光を照射する。レーザ照射部72が照射するレーザ光については、所定のスリットを介して照射することにより、カラーフィルタ20A上の狭い領域に集中してレーザ光が照射されるように制御される。この領域の大きさは、例えばカラーフィルタ20Aにより表示可能な画像の各画素に相当する各着色層(25R,25G,25B)のサイズよりも十分に小さくすることができる。
【0111】
インク付与部73は、カラーフィルタ20A上でパターンに欠陥が生じている箇所に対して液状材料保持部74に保持されているインク材料を付与する。インク付与部73としては例えばインクジェットヘッドやディスペンサー等を用いることができる。
【0112】
制御部75は、マイクロコンピュータのような制御装置であり、メモリ76に保持されているプログラムやデータに基づいて各部の制御を行い、カラーフィルタ20Aの検査及び欠陥の修正を行う。
【0113】
具体的には、可動テーブル10のY方向の位置及びキャリッジ70のX方向の位置を調整することによりカラーフィルタ20A上の検査及び修正対象箇所の位置決めを行い、パターンの微小領域毎に検査及び修正を実施する。検査の際には、カラーフィルタ20A上の微小な検査対象箇所について撮像部71で二次元画像の撮影を行い、得られた画像の画素毎に明るさを二値化処理等の画像処理した結果を欠陥検出画像として生成する。そして、生成された欠陥検出画像と、欠陥のない正常なパターンを表す二値化されたマスク画像との論理積を画素毎に計算することにより、画素毎に欠陥の有無を表す欠陥判別データが得られる。
【0114】
検査の際に得られた前記欠陥判別データは、カラーフィルタ20A上の検査対象パターン毎に、及び検査対象位置毎にメモリ76に保存され、修正の際に利用される。すなわち、前記欠陥判別データの中に欠陥があることが判明した場合には、該当する欠陥箇所とインク付与部73とが互いに対向するように可動テーブル10のY方向位置及びキャリッジ70のX方向位置を調整し、インク付与部73により欠陥箇所にインクを付与するか又はレーザ照射部72で余分なパターンを除去する。
【0115】
図13に示した欠陥修正装置がカラーフィルタ20A上の1つの欠陥を修正するための動作の処理手順を図14に示した。以下に図14に基づいて欠陥修正動作について説明する。
【0116】
制御部75は、所定の位置決め機構を制御して、可動テーブル10上のカラーフィルタ20Aの位置及びキャリッジ70上のインク付与部73の位置を移動し、カラーフィルタ20A上の欠陥の検出が可能な状態にする(S101)。この時、照明の明るさを調整したり撮像部71に装備されている光学系の撮影倍率や焦点等も同時に調整する。
【0117】
制御部75は、検査対象であるカラーフィルタ20Aの表面を撮像部71で撮影し、撮影した入力画像を取り込む(S102)。
【0118】
制御部75は、取り込んだ入力画像における各画素位置の明るさと正常なパターンを表すマスク画像のデータとに基づいてカラーフィルタの欠陥箇所を検出する(S103)。
【0119】
制御部75は、欠陥の検出結果に基づいて欠陥の重心位置を算出する。そして、算出した欠陥の重心位置に基づいてセンタリングを行なう、すなわち欠陥の重心位置が入力画像の中心に位置するように位置決め機構を制御する(S104)。
【0120】
制御部75は、繰り返し回数が規定の範囲内かどうかを調べ(S105)、繰り返し回数が規定の範囲内であれば、制御部75は精密な欠陥位置を求めるために、撮像部71の光学系を調整し、撮影倍率を高倍率に切り替える(S106)。
【0121】
制御部75は、検査対象であるカラーフィルタ20Aの表面を再び撮像部71で撮影し、撮影した入力画像を取り込む(S107)。
【0122】
制御部75は、繰り返し回数の値を調べることにより、修正前か否か(1回目かどうか)を調べ(S108)、修正前であれば取り込んだ画像を修正前画像として保存し(S109)、そうでなければ修正後画像として保存する(S110)。
【0123】
制御部75は、取り込んだ入力画像における各画素位置の明るさと正常なパターンを表すマスク画像のデータとに基づいてカラーフィルタの欠陥箇所を検出する(S111)。
【0124】
制御部75は、取り込んだ入力画像においてステップS111の結果として欠陥を検出した場合には、欠陥箇所に対応する絵素の色判定を行なって塗布するインクの色を求め、インクの塗布位置を算出する。また、制御部75はレーザ光の照射位置を算出する(S114)。
【0125】
制御部75は、撮像部71の光学系を調整し、撮影倍率を所定の倍率に切り替え、更に修正作業のための位置あわせを行う(S114)。
【0126】
制御部75は、ステップS113で算出した欠陥の修正位置等に基づいて、カラーフィルタ20A上の欠陥に対して、レーザ照射部72によるレーザ光の照射およびインク付与部73によるインク塗布のうち少なくとも一方を行なって欠陥を修正する(S115)。
【0127】
制御部75は、ステップS105以降の処理に関する繰り返し回数をカウントし、この回数が規定回数以内であれば、ステップS115の修正作業の後で、ステップS105から再びステップS106の処理に進み、前述のような処理を繰り返す。つまり、修正後の欠陥について、再び画像を撮影し、この画像に基づいて欠陥の有無を検出し、修正後も欠陥が残っている場合にはステップS113、S114、S115を実行し修正作業を繰り返す。
【0128】
一方、制御部75は、2回目以降の繰り返し処理の際に修正後の入力画像において欠陥が検出されない場合には、今回の欠陥の修正に成功したと判断する(S118)。この後、ステップS101に戻って他の箇所の欠陥について検査及び修正を行う。
【0129】
また、制御部75は、1回目の繰り返し処理の際に修正後の入力画像において欠陥が検出されない場合には、欠陥が存在しているかどうか不明であると判断する(S117)。この後、ステップS101に戻って他の箇所の欠陥について検査及び修正を行う。
【0130】
また、制御部75は、繰り返し回数が規定値を超えた場合には、ステップS119に進み、欠陥修正不可と判断する。この後、ステップS101に戻って他の箇所の欠陥について検査及び修正を行う。
【0131】
前述のような製造方法により作成されたカラーフィルタ20Aを用いて構成した液晶表示装置の構成例を図15に示した。図15は、液晶表示パネルの厚み方向の断面構造を表している。
【0132】
図15を参照すると、液晶表示パネルの背面側(バックライトの照明光が照射される側)から順に、偏光板81、透明電極82、配向膜83、液晶層84、配向膜85、透明電極(透明導電膜)27、保護膜26、カラーフィルタ20AのRGB色透過部25R,25G,25Bの層、偏光板87が積層されている。偏光板87は、図3に示す透明基板20に偏光層を形成したものである。
【0133】
すなわち、上記構成により、透明電極82,27との間に印加される電圧に応じて、液晶層84の透過、非透過が決定され、フィルタ位置で各色の光が調光されて2次元の表示光が生成される。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明のカラーフィルタ製造方法は、隔壁の領域を有するカラーフィルタを製造する場合に適用することができ、受容体の影響により表示のコントラスト特性が低下することを防止することができる。また、本発明のカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクタ、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの画像表示、特にカラー画像表示の用途に特に制限なく好適に適用できる。そして、本発明のカラーフィルタは、電子ペーパや有機EL素子デバイスなどの画像表示デバイス、特にカラー画像表示デバイスにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】カカラーフィルタを製造するための製造工程の処理手順(a)〜(d)を表す縦断面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタを製造するための各工程の概略内容を表すフローチャートである。
【図3】本発明の方法を用いて製造されたカラーフィルタの一部分の構成を表す縦断面図(a)および平面図(b)である。
【図4】図2に示す工程S1に関する詳細を表すフローチャートである。
【図5】基板上に着弾する複数の液滴の径及び着弾ピッチの例を表す模式図である。
【図6】基板上に着弾する複数の液滴によって形成される線状パターンの例を表す模式図である。
【図7】着弾液滴を蒲鉾状の形状に仮想的に変換する様子を示す説明図である。
【図8】図2に示す工程S2に関する詳細を表すフローチャートである。
【図9】図8に示した工程に関する変形例を表すフローチャートである。
【図10】図2に示す工程S3に関する詳細を表すフローチャートである。
【図11】カラーフィルタを製造するための製造装置の一例を示す構成図である。
【図12】図11の製造装置の各インクジェット装置についての制御ブロック図である。
【図13】透明基板上に形成されたパターンの検査及び欠陥の修正を自動的に行うために用いる製造装置(欠陥修正装置)の一例を示す構成図である。
【図14】図13に示す製造装置がカラーフィルタ上の1つの欠陥を修正するための動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】カラーフィルタを搭載した液晶表示装置の構成例を表す縦断面図である。
【図16】従来のカラーフィルタの製造工程(a)〜(d)を断面で表す説明図である。
【図17】従来のカラーフィルタの製造工程(a)〜(d)を断面で表す説明図である。
【符号の説明】
【0136】
10 可動テーブル
20 透明基板
20A カラーフィルタ
21 受容体インク
22 隔壁
23 隔壁
24 隔壁
25B B色透過部
25R R色透過部
25G G色透過部
26 保護膜
27 透明導電膜(ITO)
30A,30B,30C インクジェットヘッド
40A,40B,40C 液状材料保持部
50A,50B,50C ヒータ
51 制御部
52 メモリ
53 X軸モータドライバ
54 Y軸モータドライバ
55 X軸モータ
56 Y軸モータ
57 ヘッドドライバ
59 X軸エンコーダ
60 Y軸エンコーダ
63 着弾前の液滴
64 着弾したインクの液滴
70 キャリッジ
71 撮像部
72 レーザ照射部
73 インク付与部
74 液状材料保持部
75 制御部
76 メモリ
81、87 偏光板
82 透明電極
83、85 配向膜
84 液晶層
100A 受容層形成用のインクジェット装置
100B 隔壁形成用のインクジェット装置
100C 着色層形成用のインクジェット装置
d 液滴直径
φ 液滴の着弾径
P ドット間ピッチ
W 仮想ライン幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の色成分を透過する多数の光透過領域と、該光透過領域の各周縁に配置され遮光性を有する隔壁とが基板上に形成されたカラーフィルタの製造方法であって、
前記基板上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を前記隔壁のパターンに従って付与し、前記基板上に受容体を形成する受容体形成工程と、
前記受容体の乾燥後に、前記受容体に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を前記基板上に形成された受容体の位置と重なるように付与し、前記受容体内に前記遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁を形成する隔壁形成工程と、
前記隔壁により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を付与して前記光透過領域を形成する光透過領域形成工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記受容体として形成するパターンの線幅を、前記隔壁の幅より広くすることを特徴とするカラーフィルタ製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記受容体材料の液滴が前記基板へ着弾したときの基板上着弾径φと、前記基板上に着弾した液滴の隣接する着弾位置との間の打滴間隔Pと、下記式から算出される仮想ライン幅Wとの関係が、
前記基板上着弾径φが打滴間隔P以上、かつ前記基板上着弾径φが前記仮想ライン幅W以上となるように前記受容体材料の液滴を付与することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【数1】

ただし、θは前記液滴と前記基板との接触角、dは前記液滴の着弾前の直径である。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記受容体形成工程、前記隔壁形成工程、前記光透過領域形成工程のうち、少なくともいずれかの工程の直後に、当該工程における形成物の欠陥を検査する検査工程を設けたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のカラーフィルタの製造方法であって、
前記検査工程で欠陥が検出された場合に、該欠陥を修正する修正工程を設けたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のカラーフィルタ製造方法であって、
前記隔壁形成工程が、
染料又は顔料を含み前記受容体に対して浸透性を有する第1の遮光性材料を前記受容体に付与する第1隔壁形成工程と、
前記第1隔壁形成工程の後に、金属微粒子が分散された第2の遮光性材料を前記受容体に付与する第2隔壁形成工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のカラーフィルタの製造方法に基づいて製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
液晶パネルと、
前記液晶パネルの一方の面に配置された請求項7記載のカラーフィルタと、
を少なくとも備えた液晶表示装置。
【請求項9】
特定の色成分を透過する多数の光透過領域と、該光透過領域の各周縁に配置され遮光性を有する隔壁とが基板上に形成されたカラーフィルタを製造する製造装置であって、
前記基板上に樹脂材料からなる受容体材料の液滴を吐出する受容体材料吐出手段と、
前記基板上に前記受容体に対して浸透性を有する遮光性材料の液滴を吐出する遮光性材料吐出手段と、
前記基板上に着色層材料の液滴を吐出する着色層材料吐出手段と、
前記基板上に前記受容体材料吐出手段から前記隔壁のパターンに従って受容体材料の液滴を吐出させ、これにより形成された受容体の位置と重なるように前記遮光性材料吐出手段から前記遮光性材料の液滴を吐出させて、前記受容体内に前記遮光性材料の液滴を浸透させて隔壁を形成し、前記着色層材料吐出手段から前記隔壁により画成される複数の領域内にそれぞれ着色層材料の液滴を吐出させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【請求項10】
請求項9記載のカラーフィルタの製造装置であって、
前記受容体材料吐出手段、前記遮光性材料吐出手段、前記着色層材料吐出手段のうち、少なくともいずれかがインクジェット方式により液滴を吐出可能なインクジェットノズルを有することを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10記載のカラーフィルタの製造装置であって、
前記基板上に着弾した液滴を乾燥させる加熱手段を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−244406(P2009−244406A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88649(P2008−88649)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】